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特集対談

 福間香奈女流王位(34)=清麗、女王、女流王座、倉敷藤花=に大島綾華女流二段(23)が挑戦する第37期女流王位戦(新聞三社連合主催)五番勝負が、4月15日に開幕する。七連覇中の福間女流王位が防衛に成功するか、研究家の大島女流二段が初タイトルを獲得するか|。両対局者に意気込みを聞くとともに、豊川孝弘七段(59)と伊藤沙恵女流四段(32)に展望を語ってもらった。

対談:豊川孝弘七段 × 伊藤沙恵女流四段

――
大島女流二段が挑戦者になりました。
豊川孝弘七段
伊藤
 納得いくまで考えるタイプ。女流王位戦五番勝負は持ち時間が4時間なので、スタイルに合っていると感じます。ただ、読みが堂々巡りして、疲れがたまることもあります。時間の使い方がポイントになりそうです。
豊川
以前、王座戦予選で対局した際、負かされました。5時間の持ち時間を目いっぱい使っていて、集中力の高さが伝わってきました。リーグ戦、挑戦者決定戦も読みが入って強い内容でした。
伊藤
 私の対局経験から、大島さんはまず攻める手を読んでいるように感じます。どちらかというと攻め将棋ですね。
――
福間女流王位の振り飛車に、大島女流二段はどのように挑むでしょう。
豊川
急戦だけではなく持久戦も指しこなす現代風のオールラウンダーなので幅が広い。
伊藤
大島女流二段はどちらかと言えば急戦が好き。積極的に攻めの形を築きたいと思うはずで、急戦が濃厚でしょう。
――
福間女流王位はいかがでしょう。
伊藤沙恵女流四段
伊藤
 両者は過去1回対戦していますが、後手の福間さんが得意のゴキゲン中飛車を採用し、負けています。福間女流王位は、負けた対局と同じ戦型を続けて指すことはあまりないのではないでしょうか。先手なら中飛車で間違いないのですが、後手の作戦が予想しにくいです。
豊川
福間女流王位の振り飛車も多彩ですよね。後手なら角交換振り飛車のような力戦形を選択することもありそうです。
――
どんな五番勝負になりますか
伊藤
福間女流王位は対戦成績0勝1敗の相手とタイトル戦を指したことはないと思います。勝ったイメージを持てない状態で対戦するので、今までにない感情を味わっているのかもしれません。
豊川
福間さんにとって一回り近く年下の相手から挑戦を受けるのは初めてのこと。研究にAIを駆使している大島さんとの五番勝負は予測不能で、おもしろくなりそうです。
伊藤
私は挑戦者の経験ばかりなのですが、挑戦者は1勝してやっとスタートラインに立つ、という感覚があります。仮に、1局目で福間さんが勝てばかなり有利になると思います。

担当記者展望

 今の女流棋界は福間香奈女流王位を筆頭に、西山朋佳女流三冠、伊藤沙恵女流四段、加藤桃子女流四段らタイトル戦常連の30代が中心となっている。
 そうしたなか、今期の女流王位戦挑戦者決定戦は、ともに23歳の大島綾華女流二段と磯谷祐維女流初段による顔合わせとなった。紅白リーグで先輩を破って大舞台に進出した2人は今後、女流棋界を背負う立場になるだろう。
 挑戦権を獲得した大島の序盤研究の深さは、女流棋士トップクラスと評される。対する福間は、今年に入って女流名人を失冠し、棋士編入試験でも不合格となった。 しかし過去を引きずったまま調子を落としてしまうのであれば、女流タイトル67期を積み上げることはできない。悪い流れをすぐに断ち切ることができるからこそ、長く第一人者でいることができる。 開幕までにしっかり調子を上げてくるはずだ。
 勝負の分かれ目は、中盤のねじり合いにある。大島の居飛車に、福間の振り飛車となることは間違いない。研究家の大島が序盤でリードを奪ったとしても、居飛車対振り飛車の対抗形はじりじりとした中盤が長い。
 駒がぶつかってからの押し引きは福間の得意とするところではあるが、大島もその点を強化して臨むと話している。第1局、挑戦者がギリギリでも逃げ切って勝利することができれば、五番勝負の行方はわからなくなる。

(新聞三社連合・森本孝高)