加藤女流四段は多くの戦型を幅広く研究されています。私の場合は中飛車を中心に、いろいろと工夫をしたいと考えています。
指し手を選択する際は、自分の棋風に合っているかを考えて選んでいます。しかし、棋力向上のため、あえて得意ではない戦い方をしてみたいという心境のときもあります。自分の探究心に対し、素直な選択をしたいなと思います。
加藤女流四段は、果敢に勢いよく攻めてくる将棋を指されます。相手の攻めへの対応力が求められるので、正確な読みで補っていきたいです。
もちろん、序盤の研究は大切なのですが、研究から外れたところで力量が問われてきます。そこからが勝負だと考えています。
私が初めて女流王位戦の五番勝負に出たとき、対局場が全国の北から南まであり、びっくりしました。多くの方々が携わってくださっていると実感しましたし、そこでファンの方々と出会いもありました。王位との記念対局があるなど、魅力的で伝統ある棋戦だと感じています。4時間の持ち時間も、長考派の私にとってはうれしいものです。
いい将棋を指し、自分の力を出し切るために、集中して五番勝負に臨みたいと思っています。
ふくま・かな 1992年生まれ、島根県出雲市出身。森けい二・九段門下。2004年、女流2級で女流棋士に。11年、1級で奨励会入会。18年、三段で奨励会退会。女流タイトル獲得数は女流王位通算9期を含む57期。現在、女流五冠を保持。中飛車を中心とする振り飛車党で、攻め、受けともに自在に指し回す。
福間女流王位の将棋は、相当な読みが入っており、丁寧に指されている印象があります。強敵ですので、自分の得意な形を極めて挑んでいくしかありません。簡単に勝てる相手ではないですが、でも勝ちたい。
第31期の五番勝負では、福間(当時・里見)女流王位の中飛車に対し、居飛車穴熊で対抗することにこだわってしまいました。今回は、どのような戦型で挑むのかを開幕までに詰めていきます。
大事なポイントは3つあります。まずは仕掛け。次に、仕掛けた後の中盤戦。そして、終盤でどのように収束させ、着地していくか、ということです。
五番勝負の特徴である4時間の持ち時間の使い方も、4年前はつかめていなかった気がします。今回は持ち時間をうまく使えるよう、しっかりと準備をして全力を出せるようにします。
ここからの5年ほどは、将棋一本に絞るため普及関連の仕事を控える決断をしました。その覚悟が盤上に反映されているか、観戦していただきたいです。
各地に行けることは楽しみでもありながら、タイトル戦を指すんだという気合も入っているところです。どの将棋も心を込め、伸び伸びと指します。応援よろしくお願いいたします。
かとう・ももこ 1995年生まれ、静岡県牧之原市出身。安恵照剛八段門下。2006年、6級で奨励会入会。19年、初段で奨励会退会。女流三段で女流棋士に。20年、女流王位戦挑戦者。女流タイトル獲得数は清麗、女王、女流王座の9期。豊富な研究量を誇る居飛車党で、踏み込みの鋭い攻めに定評がある。
※上記、段位肩書きなど、2024年4月現在