# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.41 棋譜ファイル --- 対局ID:9583 記録ID:5d6cca2913802b000402a547 開始日時:2019/09/07 09:00 終了日時:2019/09/07 17:59 表題:ヒューリック杯清麗戦 棋戦:第1期ヒューリック杯清麗戦五番勝負 第3局 戦型:ゴキゲン中飛車 持ち時間:各4時間 消費時間:120▲240△226 場所:石川・ホテル日航金沢 備考:昼休前55手目▲154分△25分\n 振り駒:なし 計時方式:チェスクロック 秒読み:60秒 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:00〜13:00 昼休前消費時間:55手▲154分△25分 手合割:平手   先手:甲斐智美女流五段 後手:里見香奈女流五冠 後手省略名:里見香 手数----指手---------消費時間-- *里見香奈女流五冠と甲斐智美女流五段が対戦する第1期ヒューリック杯清麗戦(ヒューリック株式会社主催)決勝五番勝負。第3局は9月7日(土)9時から石川県金沢市「ホテル日航金沢」で行われる。持ち時間は各4時間(チェスクロック方式)、使い切ると1手60秒未満での着手となる。これまで2局を終えて里見が2勝0敗とし、初代の清麗位まであと1勝に迫っている。本局の立会人は谷川浩司九段、記録係は相川春香女流初段、現地大盤解説会は解説を屋敷伸之九段、聞き手を長谷川優貴女流二段が務める。本局は甲斐の先手番で行われる。 *Twitter解説は宮田敦史七段が担当する。 *(棋譜・コメント入力=琵琶) *[棋譜表示の*はコメント入りの指し手。#は局後の感想が追記された指し手] * *ヒューリック株式会社 *https://www.hulic.co.jp/ *ホテル日航金沢 *https://www.hnkanazawa.jp/ *ヒューリック杯清麗戦中継サイト *http://live.shogi.or.jp/seirei/ * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>本日のツイッター解説を務める宮田です。戦型予想は里見女流五冠の角交換四間飛車だと予想します。見どころは中、終盤のねじり合いだと思います。それでは将棋ファンの皆様よろしくお願いいたします。 1 2六歩(27) ( 0:15/00:00:15) *◆甲斐 智美(かい ともみ)女流五段◆ *1983年5月30日生まれ、石川県七尾市出身。中原誠十六世名人門下。1997年、女流2級。2014年、女流五段。女流棋士番号は21。 *タイトル戦登場は13回。獲得は女王1期、女流王位4期、倉敷藤花2期の計7期。棋戦優勝は2回。 * *【対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-75cb.html *【対局開始前】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-cda0.html 2 3四歩(33) ( 0:16/00:00:16) *◆里見 香奈(さとみ かな)女流五冠(女流王座・女流名人・女流王位・女流王将・倉敷藤花)◆ *1992年3月2日生まれ、島根県出雲市出身。森けい二九段門下。2004年、女流2級。2011年、女流五段。女流棋士番号は33。 *タイトル戦登場は43回。獲得は女王1期、女流王座4期、女流名人10期(クイーン名人)、女流王位5期(クイーン王位)、女流王将7期(クイーン王将)、倉敷藤花9期(クイーン倉敷藤花)の計36期。 3 7六歩(77) ( 0:12/00:00:27) *甲斐の入室は8時46分。下座に着くと背筋を伸ばして里見を待つ。 4 5四歩(53) ( 0:23/00:00:39) *里見は8時49分に姿を見せた。上座を占めると扇子を盤の前に置いてから、駒箱に手を掛けた。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>中飛車かな。私の戦型予想は外れそうですね。(互角) 5 2五歩(26) ( 0:25/00:00:52) *両者の対戦成績は里見23勝、甲斐8勝。清麗戦では里見の2勝1敗。甲斐1勝はともに3連勝で迎えた予選4回戦。五番勝負は里見が第1局、第2局と連勝した。 * *【第1期ヒューリック杯清麗戦予選 ▲里見−△甲斐戦】 *http://live.shogi.or.jp/seirei/kifu/1/seirei201904120101.html *【第1期ヒューリック杯清麗戦五番勝負第1局 ▲甲斐−△里見戦】 *http://live.shogi.or.jp/seirei/kifu/1/seirei201908030101.html *【第1期ヒューリック杯清麗戦五番勝負第2局 ▲里見−△甲斐戦】 *http://live.shogi.or.jp/seirei/kifu/1/seirei201908240101.html 6 5二飛(82) ( 0:14/00:00:53) *控室では大盤解説会で解説を担当する屋敷九段がモニターを見つめている。△5四歩を見て「さすが谷川先生」とつぶやく。前夜祭の展望トークショーで谷川九段は里見のゴキゲン中飛車を予想した。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>里見女流五冠の中飛車ですね。私の予想は外れですね。(互角) 7 4八銀(39) ( 0:16/00:01:08) *両者のタイトル戦での対戦成績は里見3勝、甲斐2勝。結果は下記の通り。 *1、第23期女流王位戦五番勝負 *(3連勝で里見が奪取) *2、第24期女流王位戦五番勝負 *(3勝2敗で甲斐が奪取) *3、第21期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負 *(2勝1敗で甲斐が奪取) *4、第26期女流王位戦五番勝負 *(3連勝で里見が奪取) * *5、第23期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負 *(2連勝で里見が奪取) * *甲斐は里見に唯一、タイトル戦で2回勝った女流棋士である。 8 5五歩(54) ( 1:22/00:02:15) *将棋連盟ホームページのコラムには、渡辺弥生女流初段による五番勝負の展望記事が掲載されている。 *【新タイトル戦開幕、初代「清麗」を勝ちとるのは?里見香奈女流五冠VS甲斐智美女流五段、ヒューリック杯清麗戦五番勝負の展望は?】 *https://www.shogi.or.jp/column/2019/08/seirei_1.html 9 6八玉(59) ( 0:23/00:01:31) *清麗戦はヒューリック株式会社が主催する女流棋戦。今期創設されたばかりの新棋戦で、清麗(せいれい)が7つ目の女流タイトルとなった。現役の女流棋士のみが出場し、今期は62人で行われている。予選は6勝通過・2敗失格。第1期は予選を勝ち抜いた4人で本戦を行う。本戦の初戦を勝った2人が決勝五番勝負を戦い、勝者が第1期清麗を獲得する。持ち時間はチェスクロック方式で、予選は各2時間、本戦は各3時間、五番勝負は各4時間。それぞれ持ち時間を使い切ったら1手60秒未満での着手となる。優勝賞金は女流棋戦最高額の700万円。 10 3三角(22) ( 0:05/00:02:20) *対局が行われている金沢市は石川県の中央南部に位置する県庁所在地。前田利家を藩祖とする加賀藩が治めた土地で、江戸時代には大名中で最大の100万石を超える石高を誇り、加賀百万石と称された。石川は伝統文化や食文化が残り、国内でも人気を誇る観光地として知られる。日本三大庭園のひとつである兼六園や加賀友禅、九谷焼、金沢箔などが有名である。金沢市内の近江町市場は市民の台所として賑わい、多くの観光客で賑わう人気スポットだ。 11 3六歩(37) ( 0:59/00:02:30) *石川県での女流タイトル戦はかなり珍しく、今回が22年ぶりとなる。前回は1997年1月に第23期女流名人位戦五番勝負第1局が行われた。清水市代女流名人に中井広恵女流五段が挑戦したシリーズである。結果は中井女流五段の勝ち。 12 4二銀(31) ( 1:33/00:03:53) 13 3七銀(48) ( 0:42/00:03:12) *先手の作戦は超速3七銀。玉を6八に置いて5七の地点を補強することで、右銀を4六に繰り出すのが狙いだ。 14 5三銀(42) ( 0:09/00:04:02) 15 4六銀(37) ( 0:30/00:03:42) 16 4四銀(53) ( 0:04/00:04:06) *銀対抗と呼ばれる形に。 17 7八銀(79) ( 1:43/00:05:25) *右の銀に続いて左の銀も繰り出す。 18 6二玉(51) ( 2:38/00:06:44) 19 7七銀(78) ( 0:21/00:05:46) *前日に囲み取材が行われた。甲斐は「第1期のタイトル戦に出場できてうれしく思います。里見さんとはこれまでもタイトル戦で対戦していて、一局一局いろいろなことを学ばせてもらっています」と語った。 20 7二玉(62) ( 0:27/00:07:11) *里見は前日の取材で「タイトル戦(五番勝負)は3つ勝って1勝です。(六冠は)意識していません。目の前の一局に自分の力を出しきることを念頭に置いて指したいです」とコメントした。 * *【囲み取材】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-5ea7.html 21 6六銀(77) ( 0:33/00:06:19) *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>甲斐女流五段は超速と呼ばれる戦法で対抗しました。これは有力な指し方ですね。(互角) 22 8二玉(72) ( 0:07/00:07:18) 23 7八玉(68) ( 0:11/00:06:30) *前日、関係者一行は15時30分頃に金沢入りした。16時から検分が行われ、両者とも特に注文はなかった。本局で使用されている将棋盤と駒は将棋連盟の所有する逸品。将棋盤は主催のヒューリック株式会社・西浦三郎会長から将棋連盟に寄贈されたもの。本棋戦の決勝五番勝負やヒューリック杯棋聖戦五番勝負で使用されている。 * *【検分】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-42ac.html 24 7二銀(71) ( 0:07/00:07:25) *後手は美濃囲いに組む。シンプルで美しい形だが、堅い囲いのひとつとして人気が高い。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>お互い研究範囲なのか、指し手が速いですね。(互角) 25 5八金(49) ( 3:47/00:10:17) *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>私は第1局を現地に見に行ったのですが、途中からはやや一方的な内容だったのが気になりました。本局はカド番でもある甲斐女流五段が実力を発揮して熱戦になることを願います。(互角) 26 6四歩(63) ( 0:52/00:08:17) 27 2四歩(25) ( 4:10/00:14:27) *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>この▲2四歩は後の△1五角を消した手です。▲1六歩と突けば穏やかですがそれすらも省こうと。積極的ですね。(互角) * *【戦型はゴキゲン中飛車対超速3七銀戦法】 *kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-d8ad.html 28 同 歩(23) ( 0:08/00:08:25) 29 3七桂(29) ( 0:09/00:14:36) *前夜祭は多くのファンや関係者が参加した。 * *【前夜祭(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-b995.html * *【前夜祭(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-8f9f.html * *【前夜祭(3)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-5d4f.html 30 3二金(41) ( 0:10/00:08:35) *【前夜祭(4)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-8889.html * *【前夜祭(5)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-4d49.html * *【前夜祭(6)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-249a.html 31 4五桂(37) ( 2:34/00:17:10) *【9時30分ごろの控室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/30-c2f5.html 32 2二角(33) ( 0:15/00:08:50) *本局は現地で大盤解説会が行われます。解説会は当日、会場で受付となります。 * *■日時 9月7日(土) 13時受付 13時30分開始 *■場所 ホテル日航金沢(石川県金沢市本町2-15-1)3階「孔雀の間」 *https://www.hnkanazawa.jp/index.html *◆サンダル・素足・酒気帯びでのご入場はご遠慮ください。 *■定員 100人 *■入場料 1000円(コーヒー付) *■出演棋士 *解説:屋敷伸之九段 *聞き手:長谷川優貴女流二段 *ゲスト:谷川浩司九段 * *【2019年9月7日 (土)現地大盤解説会情報 】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-8a27.html 33 2四飛(28) ( 0:12/00:17:22) *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>これは両者相当な早指しですね。お互い研究範囲なのでしょう。(互角) 34 2三歩打 ( 4:34/00:13:24) *09時31分の着手。 *本局の進行は8月27日に行われた第61期王位戦予選の▲藤原直哉七段−△里見香奈女流五冠戦と同一である(86手で里見の勝ち)。モバイル中継がされており、甲斐はこの将棋をベースに研究をしてきた可能性が高い。 *ここまでテンポよく進んでいたが、甲斐が手を止めている。▲藤原七段−△里見戦は▲2五飛△1四歩▲9六歩△5一飛▲9五歩△6五歩▲7七銀△5六歩と進み、後手が勝った。振り飛車が快勝だったことから、甲斐がこのあたりで手を変えるかもしれない。 *10時、午前のおやつが運ばれた。里見がアイスカフェオレと緑茶、甲斐がアイスレモンティーを注文した。里見は席を外している。 *日本将棋連盟常務理事の清水市代女流六段が控室のモニターを見つめている。「30分以上も考えられているんですか。ここまでは想定しているはずなので、今後の確認をしているのかもしれません。▲3四飛と横歩を取れば詰みまで研究していることになるでしょうけど、控室の検討では先手がよくなっていなかったです」と語った。 *控室の検討が進む。先手が▲3四飛と歩を取り、△3三桂に▲5五銀左の順が継ぎ盤に並んでいる。屋敷九段は「▲5五銀左に後手がどう指すか。里見さんはこの順が大丈夫と見て、本譜を選んでいるはずですからね」という。清水女流六段は「居飛車党と振り飛車党とでは見解が違うところもあるでしょうか」と話す。 *10時31分、甲斐が手を止めて1時間が経過した。屋敷九段は「甲斐さんは踏み込む予定でこの局面にしたと思いますが、この局面を前にして悩まれているんだと思います」と解説する。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>▲3四飛か▲2九飛か。この形は定跡形なので第1、2局より研究しやすい形ではありますね。お互いさらに深くまで研究しているのでしょうね。(互角) *宮田敦史七段>コメントで触れられている▲藤原七段−△里見戦では▲2五飛と引いていますね。それもありそうな手ですね。(互角) * *【午前のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-02c9.html 35 2九飛(24) (64:52/01:22:14) *1時間4分の考慮で▲2九飛と引いた。やはり▲3四飛の踏み込みは無理と判断したようだ。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>1時間以上掛けて▲2九飛と引きました。▲3四飛の予定だったが変更した、ということでしょうか。(互角) * *※局後の感想※ *甲斐は大長考で▲2九飛と引いたが、▲3四飛を掘り下げていた。以下△3三桂▲5五銀左△4五銀▲同銀△同桂▲4一銀△5五飛▲3二飛成△5七桂成▲2二竜△5八成桂▲5五角△6九成桂▲4五角が互いの読み筋だった。甲斐は無理筋と判断したようで「つい考えてしまって」と振り返る。 36 1四歩(13) ( 0:26/00:13:50) *対する里見は間髪を入れずに△1四歩と突く。自身の指した前例を踏襲している。 37 9六歩(97) ( 2:58/01:25:12) 38 9四歩(93) ( 0:07/00:13:57) *再び里見はノータイムで△9四歩と突く。▲2五飛には△5一飛だったが、▲2九飛には△9四歩と決めていたようだ。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>形勢自体は互角でしょうが、1時間以上かけて▲2九飛と引くのでは精神的に先手が面白くないですね。(互角) 39 6八金(69) ( 7:56/01:33:08) *甲斐は▲6八金上と上部を厚くした。代えて▲1六歩と突けば手順は違うが、実戦例のある局面と合流していた。 *先手は攻めるなら▲3九飛と寄る手が▲2九飛からの継続手となる。だが、次に▲3五歩△同歩▲同銀と攻めても、△4五銀と桂を取られてしまう。後手の飛車が5一に引いてある形なら▲4六銀と引く手が3二の金取りになるが、本譜は5二飛型のため、その筋がない。里見が△5一飛よりも△9四歩を優先したことについて、谷川九段は「里見さんはもっと深いことを考えているはずです」と話す。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>△6三銀〜△7二金と、木村美濃に組み替えるのでしょうか。(互角) 40 5一飛(52) ( 6:55/00:20:52) *里見はこのタイミングで△5一飛と引く。4一への割り打ちを未然に防ぐ中飛車の基本である。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>△5一飛でした。▲3九飛と寄せて3筋を狙うのが普通でしょうか。または時間差で▲2四歩と合わせて今度こそ3四の歩を狙う手もありますかね。(互角) 41 2四歩打 (10:22/01:43:30) *11時4分の着手。▲2四歩までの消費時間は▲甲斐1時間43分、△里見香20分。 *検討陣から「ほぉ」という声が上がる。 42 同 歩(23) ( 0:06/00:20:58) 43 同 飛(29) ( 0:08/01:43:38) *△2三歩なら今度は▲3四飛が3二の金取りになる。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>ここで△2三歩は▲3四飛△3三桂▲5五銀左△4五銀▲同銀△同桂に、先ほどと違い飛車が5一にいるので▲3二飛成と取れます。これが時間差で▲2四歩と合わせた意味です。(互角) 44 3三桂(21) ( 0:13/00:21:11) *△2三歩は▲3四飛があるため、里見は△3三桂と跳ねる。振り飛車は左桂のさばけ具合で形勢の善し悪しが変わってくる。 45 同 桂成(45) ( 0:17/01:43:55) *【近江町市場】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-82fa.html 46 同 角(22) ( 0:06/00:21:17) *【兼六園】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-3f16.html 47 2九飛(24) ( 0:12/01:44:07) *【尾山神社】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-ba6b.html 48 5六歩(55) ( 1:45/00:23:02) 49 同 歩(57) ( 0:40/01:44:47) *【金沢21世紀美術館】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/21-70b8.html 50 5四桂打 ( 0:05/00:23:07) *後手は桂を手にした利点をさっそく生かす。銀の両取りが掛かった。 *控室では継ぎ盤が休みなく動いている。形は▲5七銀左としたいが、△4六桂と銀を取られたときに先手陣の具合が悪いらしい。▲4六同歩は△1五角とのぞかれたときに、△3七角成が受けにくい。また、▲4六同銀は△2三歩で、次に△5六飛とさばかれてしまう。里見が5筋の歩を突き捨ててから△5四桂と打ったのが好判断と見られている。単に△5四桂は▲5五銀左△4六桂▲同銀となり、先手の5筋の歩が5七と低く、陣形がしっかりしている。 *甲斐は▲1六歩の代わりに▲6八金上と上部を厚くしたわけだが、▲5七銀左の変化になると1七歩型がマイナスに働くようだ。 *甲斐の残り時間が早くも2時間を切った。対して里見の消費時間はわずか23分。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>これで後手の駒得が確定しましたが、先手は持ち駒が多いので後手よしとはいえないと思います。しかし、それにしても里見女流五冠の指し手は速いですね。(互角) 51 2四歩打 (19:50/02:04:37) *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>▲2四歩と垂らしました。これは△2二歩と受けるでしょう。(互角) 52 6六桂(54) ( 2:01/00:25:08) *【ひがし茶屋街】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-29de.html 53 同 角(88) ( 4:14/02:08:51) *後手が銀桂交換の駒得に。左桂が銀に換わったのは大きな戦果だが、先手に桂を持たれたため▲9五歩の攻めを警戒する必要が生じた。 54 2二歩打 ( 0:10/00:25:18) *しっかりと2筋を受けておく。対して先手はどう指すか。▲9五歩の筋は先手の歩が少ないため、時期尚早といえるだろうか。継ぎ盤では▲7七桂と跳ねて、△5六飛に▲5七歩が並んでいる。以下△5一飛には▲5六桂△6五歩▲7五角△5五銀に▲4五桂でどうか。こう進めば先手の2枚の桂が後手陣の急所を捉えているかもしれない。先手の▲7七桂は9筋の攻めを視野に入れながら、△6五銀を防いでいる。 *11時50分、消費時間に2時間の差がついた。だが、日本将棋連盟常務理事の鈴木大介九段は「現局面は振り飛車側が手を作れるかどうかという状況です。甲斐さんはしばらく相手の手に対応して指すことになるので、そこまで気にならないかもしれません」と語る。 *12時、この局面で甲斐が25分使って昼食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲甲斐2時間34分、△里見香25分。昼食の注文は対局は里見がうな重(ご飯少なめ)、甲斐が金澤カレー。対局は13時から再開される。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>外れましたね。銀を取ってから△2二歩でした。実戦的には▲9五歩の端攻めでしょうか。またはいったん▲7七桂と力をためるか。(形勢不明) *宮田敦史七段>もうすぐ休憩なので、甲斐女流五段としてはそこで考えをまとめられるかどうかですね。残り時間に差があるので休憩前に指したいところでもありますが……。(形勢不明) * *【対局者の昼食】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-7632.html * *【昼食休憩時の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-e82f.html 55 9五歩(96) (25:27/02:34:18) *対局再開。昼食休憩後の指し手。 *甲斐は昼食休憩を挟む25分の考慮で9筋から打って出た。歩が少ないようだが、桂が2枚あるので△9五同歩に▲9三歩△同香▲8五桂で攻めが続くだろうか。以下△9四香は▲8六桂の追撃がある。 * *【対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-2985.html 56 6五歩(64) ( 3:59/00:29:17) *里見は6六の角を追う。左右をにらむ角で、好ポジションを嫌った。 57 4八角(66) ( 1:04/02:35:22) *角を4八に。9三の地点へのニラミを優先する。 58 9五歩(94) ( 7:57/00:37:14) *△6五歩を利かしてから手を戻す。里見は端攻めを受け止めることができるのか。 59 9三歩打 ( 1:26/02:36:48) *手筋の一着。△9三同香に▲8五桂と攻める狙いだ。継ぎ盤には▲9三歩に△5六飛とし、▲9五香△7六飛▲7七金△5六飛▲5九飛△9七歩▲9二歩成△同香▲同香成△同玉▲9三歩が並ぶ。屋敷九段は「この順は攻め合いになって、難解な勝負だと思います」と解説する。 *13時30分、現地の金沢では屋敷九段と長谷川女流二段による大盤解説会が始まった。 *控室では谷川九段と清水女流六段が継ぎ盤を挟んでいる。自然な△9三同香は▲8五桂が厳しいようだ。以下△9四香▲8六桂に△5四飛とすれば香にヒモがつくが、▲7七桂と力をためられたときに後手の指し手が難しいだろうか。後手は▲9三歩に△8四歩と突くのが受けの形で、▲9五香に△8三銀を用意したいが、▲7五桂がぴったりだ。▲9三歩に△5四飛も、▲8六桂で次の手が悩ましい。谷川九段は「桂と歩だけで攻めになるところを先手はさらにもう1枚桂を持っていますからね」という。先手の端攻めはかなりうるさいようだ。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>▲9五歩△6五歩▲4八角△9五歩▲9三歩と進みました。甲斐女流五段の指し手が速くなってきました。休憩中に考えをまとめてきたのでしょう。(形勢不明) *宮田敦史七段>△9三同香以外に△5六飛と走る手もあるようですね。△7六飛の筋を狙っていますが、▲9五香と走られるし、怖いところです。(形勢不明) *宮田敦史七段>△9三同香だと▲8五桂△8四銀と受けることになりそうですが、▲9三桂成△同銀▲9八香打でうるさそうですね。(形勢不明) * *【大盤解説会始まる】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-a6a0.html *【販売コーナー】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-9cf7.html 60 5六飛(51) (47:44/01:24:58) *14時2分の着手。△5六飛までの消費時間は▲甲斐2時間36分、△里見香1時間24分。 *里見は47分の考慮で△5六飛と歩を取った。以下▲9五香に△7六飛▲7七金△5六飛▲9二歩成と前述した激しい変化になりそうだ。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>△5六飛でした。▲9五香△7六飛▲7七金△9六飛▲9二歩成に△7一玉と引く手もあるかもしれません。飛車が成れれば大きいので▲9七歩か、▲8一と△同銀▲9七歩か。(形勢不明) 61 9五香(99) ( 4:03/02:40:51) *▲9三歩と打ったからには▲9五香と走りたい。4八角のニラミも強力で、後手は9筋が受けにくい。 62 8四歩(83) ( 7:38/01:32:36) *里見の指し手は△8四歩。▲同角なら△8三銀が角に当たる。だが、▲4八角と引かれておいてどうか。先手に桂を2枚持たれているため、▲7五桂と銀取りに打つ筋が残ってしまう。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>△8四歩ですか。これはよさそうな手ですね。さかのぼって60手目コメントの△7一玉の順はさすがに無理そうですね。(形勢不明) *宮田敦史七段>▲8四同角だと△9四歩▲同香△8三玉と取りに行くのでしょうか。これは先手もやりづらい気がします。(形勢不明) * *※局後の感想※ *里見は▲9五香に応手を悩んでいた。検討されたのが△7六飛▲7七桂△9六飛▲9二歩成△同香▲同香成△同玉▲8八桂△9七飛成▲7五角△9四竜▲9六香△9五歩▲8六桂△5四竜▲9五香△8二玉▲9九飛。「けっこうイヤですね」と里見。 63 7七桂(89) ( 8:07/02:48:58) *甲斐の指し手は▲7七桂。次に▲9九飛の転回が▲9二歩成を見て厳しい狙いとなる。 *里見が再び手を止めている。残り時間の差が1時間に詰まった。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>これは△7六飛の王手を先受けしながら▲9九飛と回す狙いです。後手はここで△4二角と引くか、9七辺りに歩を垂らすか、またはそれでも△7六飛か。その辺が有力そうですね。(形勢不明) * *【端をめぐる攻防】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-a9b7.html 64 4二角(33) (22:18/01:54:54) *里見の指し手は△4二角。9筋にニラミを利かして、▲9九飛に備えた角引きである。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>△4二角でした。これには▲9六桂と打つのでしょうか。(形勢不明) 65 8六桂打 ( 4:53/02:53:51) *15時、対局室におやつが運ばれた。里見はアイスカフェオレと緑茶、甲斐はカステラとジンジャーエールを注文した。 *▲8六桂は角筋を止めて▲9九飛を狙っている。△9七歩と打って▲9九飛を牽制するが、▲9二歩成と攻める順が控室で発見された。以下△同香▲同香成△同玉▲5七香△7六飛▲8八桂△7五飛▲5二香成△同金▲7五角△同角に▲9五飛で王手角取りが掛かる。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>▲8六桂でした。これはよさそうな手ですね。△4二角の利きを止め、攻めにも利き、△7六飛〜△9六飛の筋も防いでいます。先手がよさそうに見えてきました。(先手やや有利) * *【午後のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-ecc5.html 66 9七歩打 (14:13/02:09:07) *里見の指し手は△9七歩。前述の変化は大丈夫だろうか。 *甲斐の残り時間が1時間を切った。里見はまだ2時間近く残している。 *前述した▲9二歩成は、△9二同香▲同香成△同玉▲5七香△7六飛▲8八桂△7五飛▲5二香成△同金▲7五角△同角▲9五飛に、△9三香▲7五飛△6四銀。先手は打った飛車が狭くて、角を取ったぐらいでは追いつかないかもしれない。 *甲斐の残り時間が30分を切った。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>△9七歩でした。これには攻めるか。▲9九飛と受けるか。いい攻めがなければ▲9九飛と受けたいです。(先手やや有利) *宮田敦史七段>65手目コメントで触れられている▲9二歩成は、最後の▲9五飛に△9三香▲7五飛△6四銀で、7五の飛と8八の桂が狙われるので微妙な気がします。(先手やや有利) *宮田敦史七段>▲9九飛は△9八銀▲2九飛に△7六飛で、次に△8七銀成があってイヤですね。(先手やや有利) *宮田敦史七段>▲8四角と出て、▲9二歩成△同香▲9三歩を狙う手も有力そうですね。△9八歩成だけではそんなに怖くないので。(先手やや有利) * *【15時過ぎの大盤解説会】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/15-fae7.html * 67 8四角(48) (39:45/03:33:36) *甲斐は39分の考慮で▲8四角と歩を取った。先手は9五の香と8六の桂とを連動させて後手玉を攻略したい。 *△9八歩成には▲9二歩成△同香▲9三歩△同香▲同香成△同桂▲9四歩△9二歩▲9三歩成△同歩▲8五桂がうるさそうだ。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>▲8四角でした。先手が良さそうには見えますがここで40分使ったのは痛いですね。時間がないので優勢でも勝ちきれないかもしれません。(先手やや有利) 68 8三銀(72) ( 3:48/02:12:55) *△8四歩からの継続手。銀を上がって玉頭を手厚くして、9筋の攻めに備える。 69 4八角(84) ( 0:47/03:34:23) *4八に角を戻る。持ち歩を増やして、先手の攻撃力を高める。後手はどう指すか。鈴木九段は「普通は△8四歩ですが、指さないような気がします。ならどうするか。△8四歩は次善手という感じなんですよね」という。 *鈴木九段は△9八歩成として、▲9二歩成に△同銀を示している。以下▲同香成に△同玉の格好が「けっこうしっかりしていませんか」という。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>67手目コメントで、ここで40分使ったのは痛いと書きましたが、甲斐女流五段としては先の見通しが立ったので時間がなくても大丈夫ということかもしれません。(先手やや有利) 70 8四歩打 (37:47/02:50:42) *鈴木九段が打ちにくいと語っていた△8四歩を里見は選んだ。37分の考慮は先を見据えて慎重になったものか、それとも自信が持てず苦吟の時間だったのか。 71 9二歩成(93) ( 1:19/03:35:42) *甲斐はすぐに▲9二歩成とした。 * *※局後の感想※ *▲9二歩成で▲6六歩が検討された。以下△9八歩成▲9二歩成△同香▲9三歩△同桂▲6七金右△5一飛▲9四歩△3八銀が一例。里見は「どうなっているのかよくわからない」という。甲斐は「▲9三歩成は△同桂なんですね。歩を成るタイミングが難しいですね」と語った。 72 同 香(91) ( 0:48/02:51:30) 73 9三歩打 ( 0:38/03:36:20) 74 同 香(92) ( 0:14/02:51:44) *歩のタタキで香をつり上げる。 75 9四歩打 ( 0:44/03:37:04) *さらに▲9四歩と打つ。9四の地点は8六の桂がバックアップしている。 76 同 香(93) ( 0:33/02:52:17) *【ホテル日航金沢】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-f1a0.html 77 同 桂(86) ( 0:21/03:37:25) 78 7二玉(82) ( 1:16/02:53:33) *控室の検討陣が首をかしげている。中でも鈴木九段は「後手玉は中央に逃げていきたいところです。先手が攻めたことでかえって逃がしている感があります」と話す。「後手は角筋が通ったのが大きく、△9八歩成〜△9七角成というわかりやすい攻めが残っています」と続けた。 *大盤解説の屋敷九段は▲6六歩を推奨している。△9八歩成には▲5七香と打ち、△6六飛に▲6七金直で飛車を召し捕る狙いがある。他には▲7五角と角をさばく手もありそうだ。 *甲斐の残り時間が10分をきった。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>局面の焦点が変わってきましたね。▲2三歩成△同歩▲7五角とぶつけていきたい気がします。(先手やや有利) * *【中盤戦たけなわ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-a4b5.html 79 6六歩(67) (13:12/03:50:37) *甲斐の指し手は▲6六歩。控室に歓声が上がった。屋敷九段が解説していた飛車を召し捕る狙いを秘める。 80 5一飛(56) ( 0:30/02:54:03) *里見は間髪入れずに△5一飛と引く。▲5七香を未然に避けた。 81 6五歩(66) ( 0:09/03:50:46) *ぐいぐいと6筋の歩が伸びていく。歩切れを解消しながら先手玉を広くしている。 82 6三歩打 ( 0:54/02:54:57) *歩を打って6筋のキズを消す。後手は▲6四桂の筋を消した。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>▲6六歩△5一飛▲6五歩△6三歩と進みました。こう進めば▲6六歩もいい手に見えます。しかし、いよいよ先手の時間がなくなってきました。(先手やや有利) 83 6七金(58) ( 1:35/03:52:21) *▲6七金右と上がって先手玉を手厚くする。 84 9八歩成(97) ( 0:53/02:55:50) *里見はようやく△9八歩成とと金を作った。 85 7五桂打 ( 0:42/03:53:03) *△9七角成を防ぎながら急所の銀にアタックする。△7四銀には▲6四歩と突いてどうか。△6四同角は▲6六香、△6四同歩は▲6三歩が気になる。 *里見の残り時間もようやく1時間を切った。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>後手は70手目△8四歩に時間を使ってから時間攻めを続けていますね。△7四銀と逃げるでしょう。(先手やや有利) *宮田敦史七段>先手が良さそうには見えますが、時間もないしはっきりしません。83手目▲6七金右では▲6四歩と突いた方が良かったのではないでしょうか。(先手やや有利) 86 7四銀(83) ( 4:56/03:00:46) *予想された一手。問題は残り時が少なくなった先手がどう指すか。 87 5八香打 ( 3:05/03:56:08) *後手の中飛車を迎撃する。 88 5四歩打 ( 3:54/03:04:40) *里見は△5四歩と受けた。 89 5九飛(29) ( 0:07/03:56:15) *▲6七金右〜▲5八香からの継続手。だが、先手玉が狭くなるデメリットも。 *これまで居飛車よしとしていた宮田七段が、ついに振り飛車有利とした。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>いつの間にか後手がよさそうです。83手目▲6七金右が緩手だったかもしれません。(後手有利) 90 9七と(98) ( 3:51/03:08:31) *と金を引く手に好手あり。じわっとした手で先手玉にプレッシャーを与える。 * *※局後の感想※ *里見は局後に「△9七とがおかしかったですね」という。ただ、代わる手も難しく「どう指していいかわからなくなってしまって」と首をかしげる。 91 2六角(48) ( 0:31/03:56:46) *4八の角を方向転換する。控室で「迫力があるね」という声が聞かれる。 *宮田七段が示している△7五銀▲同歩△8三桂の攻めがやはり厳しそうだ。次の△7五桂が△8七とを見ながら6七の金取りになっている。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>△7五銀▲同歩△8三桂といきたい気もしますが、怖いですかね。(後手有利) *2019/9/7 17:18:25 *宮田敦史七段>△2五銀と打って催促する手もありそうです。(後手有利) *宮田敦史七段>先手の時間が少ないので、実戦的には△7五銀よりは△2五銀のような手のほうがよさそうです。角が入れば△9六角が厳しいので。(後手有利) * *【中央に戦力集める甲斐女流五段】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/09/post-1e77.html 92 2五銀打 (22:17/03:30:48) *宮田七段が示した手のひとつ。だが、▲4四角△同歩に▲5三歩の強襲は大丈夫なのだろうか。 93 4四角(26) ( 1:25/03:58:11) *やはり甲斐は角を切った。先手は打たれたばかりの2五銀に空を切らせたい。 94 同 歩(43) ( 0:21/03:31:09) 95 5三歩打 ( 0:22/03:58:33) *甲斐の猛攻が始まった。△5三同角や△5三同飛は、いずれも▲5四香が厳しい。甲斐の踏み込みに鈴木九段は「いい順だと思います。後手がどう指すかわかりません」という。後手は△9六角に期待してこの順に誘導した可能性が高いが、△9六角には▲8八銀と打って△同と▲同玉と受ける順があるという。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>△9六角に▲6六金として上に逃げますかね。(後手有利) 96 7五銀(74) ( 5:30/03:36:39) *里見は△7五銀と桂を取り払った。 97 同 歩(76) ( 0:25/03:58:58) 98 4八角打 ( 1:11/03:37:50) *この局面で甲斐は持ち時間を使いきった。これよりの指し手は1手60秒未満での着手となる。 99 2九飛(59) ( 1:02/04:00:00) *飛車を2九に逃げる。 * *※局後の感想※ *▲2九飛が敗着となった。代えて▲4九飛とし、△7五角成に▲5四香なら難解な戦いが続いた。本譜は▲2九飛としたために、△5三歩と拠点の歩を払われたのが先手にとって痛かった。甲斐は「この順なら本譜に比べて駒が取れる形です。本譜は歩を取られて攻める形がなくなってしまって」と振り返る。 100 5三飛(51) ( 0:36/03:38:26) *この手で100手に達した。△5三飛までの消費時間は▲甲斐4時間0分、△里見香3時間38分。 *里見は5三の拠点を払った。飛車を5筋から移動させたことで、▲5四香がなくなっている。 101 6四歩(65) ( 0:00/04:00:00) *手筋の突き出し。▲6五桂の活用を見ている。 *谷川九段は「後手は5三の歩を取り払ったことで玉が広くなりましたね」という。優位に立ったかどうかは不明だが、ここ数手のやりとりで後手が得をしたようだ。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>混戦ですね。92手目△2五銀がよくなかったかもしれません。(形勢不明) 102 同 歩(63) ( 2:42/03:41:08) 103 3七銀打 ( 0:00/04:00:00) *甲斐は銀を打って目障りな角に働きかける。いかんせん時間がないのがつらい。 104 7五角成(48) ( 0:36/03:41:44) *馬を引きつけて後手玉が急に手厚くなった。 105 2五飛(29) ( 0:00/04:00:00) *銀を取りながら馬取りの先手に。 106 7四馬(75) ( 0:06/03:41:50) *慌てず馬を引き揚げる。 107 7六金(67) ( 0:00/04:00:00) *玉の懐を広げながら強力な馬に圧力を掛ける。 108 5一飛(53) ( 1:52/03:43:42) *予想されていない手が指されて控室がどよめく。ただ「先手は一分将棋だからなぁ」という声も聞かれる。 109 7五金(76) ( 0:00/04:00:00) *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>これは後手がよさそうです。101手目か103手目に▲2五飛と取ればどうだったのでしょうか。(後手有利) 110 9六馬(74) ( 0:28/03:44:10) 111 6七玉(78) ( 0:00/04:00:00) *玉の早逃げだが、△9五馬と香を取られる手が痛そうだ。 112 9五馬(96) ( 0:35/03:44:45) *「次に△9四馬と桂を取る手があり、後手の負ける形が見えないですね」と鈴木九段はいう。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>これは後手勝勢といってよさそうです。最後に時間の差が響きましたね。(後手勝勢) 113 5四香(58) ( 0:00/04:00:00) 114 同 飛(51) ( 1:03/03:45:48) 115 5五飛(25) ( 0:00/04:00:00) *甲斐は飛車をぶつけて勝負に出る。 116 同 飛(54) ( 0:28/03:46:16) *後手は△9四馬と桂を外す手が王手の先手になるのが大きい。 117 同 銀(46) ( 0:00/04:00:00) 118 9四馬(95) ( 0:02/03:46:18) *桂を外して後手玉がかなり広くなった。報道陣が取材の準備でせわしなく動く。 119 8五桂(77) ( 0:00/04:00:00) *甲斐は歩頭の桂で踏ん張る。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>△6三桂くらいで後手が勝ちでしょう。(後手勝勢) 120 6三桂打 ( 0:33/03:46:51) *この局面で甲斐が投了した。終局時刻は17時59分。消費時間は▲甲斐4時間0分、△里見香3時間46分。 *勝った里見はシリーズ成績を3連勝とし、初代の清麗位を獲得するとともに、前人未踏の女流六冠を達成した。 * *■Twitter解説■ *宮田敦史七段>投了図以下、▲9二飛には△8二桂で受かりますし、次に王手で金か銀を取られるので先手は攻防ともに見込みがありません。 *宮田敦史七段>本局は甲斐女流五段が積極的な攻勢に出て、今期の五番勝負では一番の熱戦でした。しかし里見女流五冠の指し手や時間の使い方が上手く、結果的に甲斐女流五段が時間切迫に泣いた印象です。指し手としては99手目▲2九飛で▲4九飛や、101手目か103手目に▲2五飛ならどうだっかというのが最後の勝負どころで、それを逃してからは後手が良さそうです。本日は一日ご覧いただきありがとうございました。両対局者、関係者の方々もお疲れ様でした。それではこの辺で失礼いたします。 * *※史上初となる女流六冠誕生という歴史的な一局を立会人・谷川九段に総括していただきました。 *――本局を振り返ってください。 *谷川九段「将棋はずっと後手ペースで見ていました。それ自体はそうだったと思いますが、実際はずっと微差だったようです。結果論になりますが、甲斐さんが△2三歩(34手目)に▲3四飛と踏み込むかどうかで1時間使ったのは、やはり大きく響いてきたのではないでしょうか。また、甲斐さんは▲2九飛(99手目)に△5三飛と歩を払われて、攻める形がなくなってしまいました。▲2九飛では▲4九飛と角取りの先手を取って、△7五角成に▲5四香としたほうがよかったようです。形勢自体も難しかったですし、攻め合いが見込めたので実戦的に大変だったと思います。里見さんは△9七と(90手目)で有効手が見えなかったそうです。△2五銀(92手目)も感触がよくなかったようで、悔やんでいた感じを受けました」 *――里見女流五冠は初代の清麗位を獲得したと同時に、史上初となる女流六冠を達成しました。 *谷川九段「里見さんは得意のゴキゲン中飛車だけではなく、それ以外の戦型でも高い対応力を見せているのが強さです。他の女流棋士もそれぞれ得意の形は持っていますが、それ以外の展開になったときに、里見さんと差が出ているように感じます。結果も内容も充実していますので、女流七冠全冠制覇も十分に可能性があるでしょうし、プロ編入試験の成績をクリアすることも考えられると思っています」 * 121 投了 ( 0:00/04:00:00) まで120手で後手の勝ち