# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.43 棋譜ファイル --- 対局ID:9520 記録ID:5d53b4e82bfacb0004a16fae 開始日時:2019/08/24 09:00 終了日時:2019/08/24 17:29 表題:ヒューリック杯清麗戦 棋戦:【無料】第1期ヒューリック杯清麗戦五番勝負 第2局 戦型:相振り飛車 持ち時間:各4時間 消費時間:99▲204△240 場所:鹿児島・指宿白水館 備考:昼休前55手目▲76分△103分\n 振り駒:なし 計時方式:チェスクロック 秒読み:60秒 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:00〜13:00 昼休前消費時間:55手▲76分△103分 手合割:平手   先手:里見香奈女流五冠 後手:甲斐智美女流五段 先手省略名:里見香 手数----指手---------消費時間-- *第1期ヒューリック杯清麗戦(主催:ヒューリック株式会社)五番勝負は里見香奈女流五冠と甲斐智美女流五段が戦う。里見が第1局を先勝して第2局を迎える。 *第2局は8月24日(土)鹿児島県指宿市「指宿白水館」で9時開始。 *立会人は藤井猛九段、記録係は伊藤明日香女流初段、現地大盤解説は都成竜馬五段、聞き手は塚田恵梨花女流初段が務める。 *持ち時間はチェスクロック使用で各4時間、使いきると1手60秒未満での着手になる。第2局の先手は里見。 *Twitter解説は古森悠太四段が担当する。 *本日の指宿は快晴。8時35分、関係者、カメラマンが対局室に入室する。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>おはようございます。本日のtwitter解説を担当させていただきます古森悠太です。第1局は派手な手が多く出てきて楽しい将棋でした。本局もわくわくしながら解説させていただきます。みなさま、一日よろしくお願いいたします。 *戦型予想は里見女流五冠は先手だと中飛車の採用が最近多いので、このあたりで三間飛車を採用されるのではないかと思います。対して甲斐女流五段が居飛車で迎え打つ展開と予想します。両者ともに積極的な手が多い印象で序盤から面白い駆け引きが見られそうです。 *【ヒューリック株式会社】 *https://www.hulic.co.jp/ *【日本将棋連盟モバイルTwitter】 *https://twitter.com/shogi_mobile?lang=ja * *(棋譜コメント入力=吟) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手] *【】内は中継ブログタイトルならびにリンク 1 5六歩(57) ( 0:16/00:00:16) *9時、立会人の藤井猛九段が「それでは定刻になりましたので、里見女流五冠の先手で対局を始めて下さい」と告げる。 2 3四歩(33) ( 0:42/00:00:42) *8時41分、甲斐が対局室に入り、下座に腰を落ち着けて里見を待つ。48分、里見が軽やかな足取りで、対局室に入室。30秒ほどして、一礼して駒箱に手を伸ばし、駒が並べ始められた。 3 5八飛(28) ( 1:11/00:01:27) *◆里見 香奈(さとみ かな)女流五冠(女流王座・女流名人・女流王位・女流王将・倉敷藤花)◆ *1992年3月2日生まれ、島根県出雲市出身。森けい二九段門下。2004年、女流2級。2011年、女流五段。女流棋士番号は33。 *タイトル戦登場は43回。獲得は女王1期、女流王座4期、女流名人10期(クイーン名人)、女流王位5期(クイーン王位)、女流王将7期(クイーン王将)、倉敷藤花9期(クイーン倉敷藤花)の計36期。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>裏を読んだ予想がはずれてしまいました。採用の多い中飛車にされましたね。里見女流五冠は先手番では中飛車を有力視されているのでしょうね。 4 3二飛(82) ( 1:09/00:01:51) *◆甲斐 智美(かい ともみ)女流五段◆ *1983年5月30日生まれ、石川県七尾市出身。中原誠十六世名人門下。1997年、女流2級。2014年、女流五段。女流棋士番号は21。 *タイトル戦登場は13回。獲得は女王1期、女流王位4期、倉敷藤花2期の計7期。棋戦優勝は2回。 * *関係者、報道陣が退室すると、甲斐は△3二飛と振った。前夜祭で相振り飛車は都成五段が予想していた。控室に戻ってきた都成五段はさわやかな笑顔を見せる。藤井猛九段は「あら、都成くんが当たっちゃったか」と笑う。 5 6八銀(79) ( 1:50/00:03:17) *対戦成績は里見22勝、甲斐8勝。里見が大きくリードしているが、清麗戦に限れば1勝1敗。3連勝同士でぶつかった、予選4回戦では甲斐が勝ち、五番勝負第1局は里見が制している。 *【第1期ヒューリック杯清麗戦予選 ▲里見−△甲斐戦】 *http://live.shogi.or.jp/seirei/kifu/1/seirei201904120101.html *【第1期ヒューリック杯清麗戦五番勝負 第1局 ▲甲斐−△里見戦】 *http://live.shogi.or.jp/seirei/kifu/1/seirei201908030101.html 6 4二銀(31) ( 1:44/00:03:35) *将棋連盟ホームページのコラムには、渡辺弥生女流初段による五番勝負の展望記事が掲載されている。 *【新タイトル戦開幕、初代「清麗」を勝ちとるのは?里見香奈女流五冠VS甲斐智美女流五段、ヒューリック杯清麗戦五番勝負の展望は?】 *https://www.shogi.or.jp/column/2019/08/seirei_1.html 7 5七銀(68) ( 4:32/00:07:49) *里見の通算成績は258勝86敗(0.750)、今年度成績は9勝5敗(0.643)。 8 6二玉(51) ( 0:26/00:04:01) *甲斐の通算成績は282勝171敗(0.623)、今年度成績は10勝9敗(0.526)。 9 7六歩(77) ( 0:10/00:07:59) *両者の過去のタイトル戦での直接対決は下記の通り。 *第23期女流王位戦五番勝負(3連勝で里見が奪取) *第24期女流王位戦五番勝負(3勝2敗で甲斐が奪取) *第21期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負(2勝1敗で甲斐が奪取) *第26期女流王位戦五番勝負(3連勝で里見が奪取) *第23期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負(2連勝で里見が奪取) *■Twitter解説■ *古森悠太四段>相振り飛車となりました。里見女流五冠と似たような形をつい最近私も指しましたが、独自の指し方をもっておられて、かなり研究されている印象でした。 10 5二金(41) ( 5:32/00:09:33) *ヒューリック杯清麗戦はヒューリック株式会社が主催する棋戦。女流棋戦では8年ぶりの新タイトル戦。予選は、2敗失格制という点が大きな特徴。第1期は予選と本戦を勝ち進んだ2人が新タイトルの清麗を争う。 *里見が獲得すれば、史上初の女流六冠、甲斐が五番勝負を制すれば、4年ぶりのタイトルということになる。 *【女流新棋戦「ヒューリック杯清麗戦」が誕生】 *https://www.shogi.or.jp/news/2018/12/1_40.html 11 8六歩(87) ( 2:13/00:10:12) *▲8六歩と突いた局面の前例は1局になっている。本局Twitter解説の古森四段が、先手を持って、昨年の9月に瀬川晶司五段(現六段)と竜王戦6組昇級者決定戦で指している。 *先手は△8八角成に▲同飛で手順に飛車を8筋に回りたいようだ。 12 2四歩(23) ( 3:14/00:12:47) *指宿白水館は1947年に鹿児島市に鹿児島白水館として創業。1960年に指宿市で指宿白水館を設立した。約5万坪の広大な敷地内にある庭園は、四季折々の美しい姿を見せる。名物の砂むし風呂や江戸情緒あふれる「元禄風呂」も人気だ。 *【白水館公式ホームページ】 *http://www.hakusuikan.co.jp/ 13 8五歩(86) ( 0:12/00:10:24) *【対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-75cb-1.html 14 2五歩(24) ( 0:56/00:13:43) *互いに角の頭を突き合う形になった。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>この形はお互いに向かい飛車に振り直すことが多いです。ただ、▲2二角成△同飛▲8八飛と先に角交換したほうが一手損してしまうので、お互いにどのタイミングで交換するかがひとつのポイントです。(互角) 15 4八玉(59) ( 1:05/00:11:29) *里見は予選の1回戦はシードで1勝分のアドバンテージが与えられ、6勝1敗で通過。本戦では頼本奈菜女流初段に勝って五番勝負進出を決めた。 16 7二玉(62) ( 1:45/00:15:28) *甲斐は予選を6勝1敗で通過、本戦で中村真梨花女流三段に勝って五番勝負に勝ち進んだ。タイトル戦登場は2015年に行われた第23期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負以来。 17 3八玉(48) ( 0:07/00:11:36) *角の利きが向かい合ったまま、両者は駒組みを続ける。相手に換えさせたい形だ。 18 8二銀(71) ( 0:56/00:16:24) *鹿児島といえば、宝石のような美しい色とやわらかな光の薩摩切子や焼酎、かるかん、薩摩地鶏などが名物。昨日の前夜祭で両対局者は、大島紬を身にまとって、登場して会場を沸かせた。大島紬は長い歴史と伝統があり、鹿児島県を代表する工芸品。緻密なかすり模様で、軽くて着崩れしないなどのすぐれた面を持つ。 19 2二角成(88) ( 7:00/00:18:36) *ちょうど7分使って、里見は角を換えた。手損になるが、飛車を8八に持っていきたいということだろう。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>このタイミングで交換されたのはなるべく囲いの形を決めたくなかったということだと思います。後手は△8八同飛で、△3三銀〜△4四銀か△3三桂と組むのが自然でしょうか。(互角) 20 同 飛(32) ( 0:15/00:16:39) *△2二同飛で、後手の飛車は手順に2筋に回ることができた。 21 8八飛(58) ( 0:04/00:18:40) *指宿白水館では竜王戦が3年連続で開催されている。第29期竜王戦は第4局、第30期竜王戦は第5局、第31期竜王戦は第6局が行われた。第32期は12月12、13日(木、金)の第6局が予定されている。 *第30期竜王戦では渡辺明竜王(当時)から羽生善治棋聖(当時)がタイトルを奪取して、永世竜王(7つ目の永世称号)の資格を得た。指宿白水館の敷地内には「永世七冠達成記念碑」が建てられている。 *女流のタイトル戦が行われるのは、本局が初になる。 22 3三銀(42) ( 4:01/00:20:40) *【前夜祭(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-b995.html *【前夜祭(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-8f9f-1.html *【前夜祭(3)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-5d4f-1.html *【前夜祭(4)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-8889-1.html 23 2八銀(39) ( 0:28/00:19:08) *▲2八銀と上がって、2筋をケアしておく。 24 4四銀(33) ( 0:39/00:21:19) *後手は積極的に攻めの銀を繰り出していく。 25 7七桂(89) ( 0:07/00:19:15) *▲7七桂を見て甲斐が席を立つ。続いて里見も部屋を出る。 *後手は△3五銀から△2六歩から、2筋の交換を目指すのか。△3三桂と桂の活用を急ぐのもありそうだ。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>後手は△3五銀と出ていく手もありますが、▲8四歩△同歩▲同飛とされたとき、▲3四飛をどう受けるか考える必要があります。(互角) 26 2六歩(25) (15:07/00:36:26) *15分ほどの考慮で、△2六歩と動いた。 27 同 歩(27) ( 0:06/00:19:21) 28 同 飛(22) ( 0:07/00:36:33) 29 2七歩打 ( 0:05/00:19:26) *【対局開始前の様子】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-1bd0.html 30 2四飛(26) ( 0:06/00:36:39) 31 6八金(69) ( 0:07/00:19:33) *甲斐が△2六歩と動くと、両者ほぼノータイムで、ここまで進んだ。 32 3三桂(21) ( 0:47/00:37:26) *角を手持ちに、後手は飛車、銀、桂と攻めの配置についた。 33 8四歩(85) ( 0:06/00:19:39) *先手も飛車先の歩を交換。 34 同 歩(83) ( 0:14/00:37:40) 35 同 飛(88) ( 0:07/00:19:46) *指宿白水館から車で30分ほどの場所に鰻池がある。鰻池は火口湖。大うなぎが獲れたことから、この名前がついたといわれている。 *将棋界で鰻といえば、本局の立会人、藤井猛九段の名言がある。「こっちは鰻しか出さない鰻屋だからね。ファミレスの鰻に負けるわけにはいかない」。居飛車党が振り飛車を用いるようになった時期の発言で、藤井九段が振り飛車党として、ユーモアと職人魂を見せた発言だった。 36 8三歩打 ( 0:10/00:37:50) 37 8九飛(84) ( 0:06/00:19:52) *下段まで引いて、角の打ち込みに備えている。 *10時になり、対局室におやつが運ばれた。里見が「アイスカフェオレ」と「知覧茶」、甲斐が「指宿温泉サイダー」。知覧茶は南九州市で栽培されている緑茶のブランド。 *【午前のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-02c9-1.html 38 3五歩(34) ( 7:26/00:45:16) *【永世七冠達成の碑】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-8eb9.html 39 5八金(49) ( 1:17/00:21:09) *△3五歩に対しては、「▲4六銀も有力だったように思います」と日本将棋連盟会長として、現地を訪れている佐藤康光九段。6八に金がいる形だったので、考えられる手だったようだ。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>これは見覚えのある形ですね。意味としては左辺に逃げ込みやすいのと、▲4八金型と違い△5九銀の割り打ちの筋がなく連結をよくする構想です。(互角) 40 1四歩(13) ( 1:58/00:47:14) *【砂むし温泉(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-971f.html 41 1六歩(17) ( 0:05/00:21:14) *「うん。ここは受けますよね」と佐藤康九段。 *先手の陣形は今月19日叡王戦段位別予選四段戦の古森四段と先手が里見の対戦と同じだ(モバイル中継あり)。後手の陣形は△3五歩が突いておらず、代わりに△6二金上が指されている。 *その将棋は▲9六歩△9四歩の端歩の交換のあと、△5四歩が指されている。里見は、この将棋をベースに組み立てているのだろう。結果は古森四段が勝っているが、手応えを感じた戦いだったのかもしれない。 * 42 5四歩(53) ( 4:42/00:51:56) *ピンと指先を伸ばして、△5四歩を着手した。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>後手の△3五歩は少し早い印象で▲4六銀として▲1七銀〜▲2六銀と3五の歩を狙いにいきたいです。(互角) 43 6六銀(57) (11:53/00:33:07) *▲6六銀は△5五歩を防いだ意味と、▲7五銀と出る手を見ている。 44 6二金(61) ( 9:08/01:01:04) *都成五段、塚田女流初段が大盤解説会場に向かう。現地大盤解説会は11時から開始される。 45 9六歩(97) ( 1:18/00:34:25) *▲9六歩と端歩の打診。後手は△9四歩と受けるかどうか。 46 9四歩(93) ( 5:35/01:06:39) *41手目に触れた古森四段と里見の戦いでは、▲7五銀△5五歩▲6五角△6四歩▲同銀△5六歩に▲9五歩と里見が端を攻める展開になっている。 *Twitter解説の古森四段は当時の対局を「非常に注目されている一戦だったので終始緊張していました。里見女流五冠はかなりハイペースでこの局面に誘導されたこともあり、警戒しながら恐る恐る時間を使いながら指していたのを思い出します」と振り返る。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>これは自分が指した将棋と全く同じです! こうしてまた指されると嬉しいものです。里見女流五冠は何か用意してこられていることでしょう。注目です!(互角) 47 4六歩(47) ( 9:05/00:43:30) *里見は▲7五銀と出る自身の前例ではなく、▲4六歩と自陣にふくらみを持たせた。これが里見の修正案ということだろうか。 *控室の佐藤康九段は、「玉のコビンなので、指しにくいと思っていましたが、▲4六歩は前例からの改良案ということでしょう。第一感は△5三銀と引いて、△4四歩と突きたいですね」と話している。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>やはり用意されていましたか。見えづらい手ですが、指されてみると後手も何を動かせばいいか難しいです。後手はうまくパスして様子を見たいところです。△5三銀や△6四歩が候補手です。(互角) *※局後の感想※ *感想戦は佐藤康九段、藤井猛九段をまじえて行われた。佐藤康九段が「▲4六歩が工夫ですか?」と聞くと、里見は「候補が多いと思っていましたが、今日はこれでいこうかと思いました」と応じた。 48 6四歩(63) (15:47/01:22:26) *11時6分の着手。△6四歩までの消費時間は、▲里見43分、△甲斐1時間22分。 *「ほぉ〜」と佐藤康九段。お互いに玉をコビンを開ける手に、やや驚いた様子。 *【大盤解説会が始まる】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-17fc-1.html 49 4七金(58) ( 0:14/00:43:44) *玉のコビンをカバーした。 50 6三金(62) ( 0:55/01:23:21) *後手も玉のコビンをケアした。 *「バランスを重視するのは、ここ1〜2年の傾向でしょうか」と佐藤康九段。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>バランスを重視した、いかにも現代将棋という感じです。先手のほうは▲8九飛、▲6八金とバランスが取れている形で指す手には困りにくそうです。少し後手が神経を使う将棋かもしれません。(互角) 51 1七銀(28) ( 2:50/00:46:34) *▲1七銀を着手して、里見は上着を脱いだ。今日の指宿市は最高気温が30度と予想されている。 52 4二金(52) (13:41/01:37:02) *△4二金に席を立っていた里見が戻る。座る前に、ヒザを軽く曲げて伸ばして、ストレッチするような姿を見せる。 *先手は▲2六銀と出て、▲4五歩を狙うのだろうか。 *「▲2六銀と出ても、△2五歩▲1七銀で、ちょっとわかりません。また▲2六銀に△2一飛でも指す手が難しいです」と藤井猛九段。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>形を崩さずに待とうということですね。のちの▲4一角の筋も防いでいます。(互角) *※局後の感想※ *△4二金に対して、▲4五歩△同銀▲4六歩△3四銀▲5五歩△同歩▲5九飛△2五銀▲5五銀△5四歩▲5一角△5三角▲5四銀△同金▲2六歩△5五歩▲2五歩が検討され「本譜は千日手模様になったので、この順はありましたね」と里見。 53 2六銀(17) (24:01/01:10:35) *▲1七銀からの継続手で、▲2六銀と出る。次は▲4五歩が狙いになるが、△2五歩や△2一飛が考えられる。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>▲1七銀〜▲2六銀は金無双特有の手筋です。特に△3五歩を突かせているときに有効な手です。△2五歩と歩を使わせてポイントを稼ごうという狙いです。(互角) 54 2一飛(24) ( 6:07/01:43:09) *11時54分の着手。 *甲斐は△2五歩と打つのではなく、歩を温存して飛車を引く。 *佐藤康九段は継ぎ盤を前に、「どう指すんだろう」と首をひねる。藤井猛九段は「1手も指す手が見えない」と話す。次の指し手は難しいようだ。 *▲4五歩△同銀▲3五銀は△1三角がある。 *△2一飛に里見が6分ほど使って、12時になり休憩に入った。消費時間は▲里見1時間16分、△甲斐1時間43分。対局は13時に再開される。 *昼食は里見が「指宿産鰻重」、「知覧ひと粋アイス・知覧抹茶」。甲斐が「海鮮丼定食」、「知覧ひと粋アイス・知覧焙煎(ほうじ茶)」。 *再開されても里見は考え続けている。控室では先手が仕掛けられなければ、千日手の可能性も話されている。 *佐藤康九段は「里見さんは千日手にはしないと思います。私は▲3六歩だと思ったのですが、藤井さんに顔をしかめられてしまいましたから」と笑う。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>この局面で休憩に入りました。お互いに見慣れない陣形になりましたが、先手がどこから打開していくかが見どころになりそうです。午後からも引き続きよろしくお願いいたします。 *打開の一例として▲3六歩△同歩▲3四歩△2五桂▲3六金と力強く桂馬を取りにいく手は考えられそうです。桂馬を持てば▲7五桂が狙いとなります。ただ、先手玉への反動も大きいのでなんともいえません。(互角) *【昼食休憩に入る】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-97d2.html *【休憩中の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-eb76.html 55 7五歩(76) (58:58/02:09:33) *対局再開。昼食休憩後の指し手。 *13時53分、里見は昼食休憩を挟んで59分ほどの長考で、▲7五歩と7筋の位を取った。先手は桂を取って、▲7五桂の狙い筋があったが、それはなくなった。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>再開の一手は▲7五歩でした。△7四歩から盛り上がられるのを防いだ手でしょうか。▲7五桂の筋がなくなったので▲3六歩から動いていく筋はやらないつもりでしょうね。(互角) *【対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-2985-1.html 56 9三銀(82) (14:43/01:57:52) *14時8分の着手。△9三銀までの消費時間は、▲里見2時間9分、△甲斐1時間57分。 *△9三銀で甲斐は手待ち。先手の里見は動く順があるかどうか。▲3六歩△同歩▲3四歩と桂を取りに入っても、今度は▲7五桂がない。 *着手した甲斐は扇子を広げて、じっと見ている。 *▲1七銀△8四銀▲2六銀△9三銀▲1七銀……。両者、銀の上下運動を繰り返せば千日手になる。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>次に△8四銀とあがれば先後同型となって動くのは難しくなりそうです。ここで動けなければ千日手が見えてきそうです。(互角) 57 4五歩(46) (11:00/02:20:33) *14時19分、里見は▲4五歩と突いて、敢然と動いた。△9三銀と後手の銀が玉から離れた瞬間の仕掛けだ。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>これは△4五同銀から考えたいです。以下▲3五銀△1三角のときにどう受けるのでしょうか。(互角) 58 同 銀(44) ( 2:43/02:00:35) *藤井猛九段の前の継ぎ盤が動き出した。▲4六歩(▲3五銀は△1三角)△3四銀▲5五歩△同歩▲同銀が並べられる。 59 4六歩打 ( 1:22/02:21:55) 60 3四銀(45) ( 0:07/02:00:42) *【砂むし温泉(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-9a58.html 61 5五歩(56) ( 1:01/02:22:56) *▲5五歩は▲5六角が狙い。▲5六角は銀取りと▲8三角成の狙いで厳しい。 *△5五同歩▲同銀△5四歩は(1)▲5六角、(2)▲6四銀△同金▲5六角、(3)▲6六銀と引いておいて、▲5六角を狙う。先手は▲5六角を含みにして、仕掛けていることがわかる。 *藤井猛九段は▲4五歩からの動きを見て、成立している可能性があると話す。 *△5五同歩▲同銀に、敵に打ちたいところに打ての△5六歩の可能性が有力と藤井猛九段。 *△5五同歩▲同銀に△5四歩は▲6四銀△同金▲5六角△8二銀▲3四角。以下△2三銀は▲5六角△5五歩に▲6五角と出る手があるようだ。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>なるほど、△9三銀を上がらせていることで▲5六角が狙いになっているという仕組みでしたか。▲7五歩はこの攻めを見越した手渡しだったんですね。△5五同歩▲同銀△5四歩▲5六角△8四銀と受けてみたいです。(互角) 62 同 歩(54) (30:21/02:31:03) *30分使って、甲斐は自然な△5五同歩を着手した。 63 同 銀(66) ( 1:32/02:24:28) *ここが後手にとっての分岐点。(1)△5六歩か、(2)△5四歩か。 *※局後の感想※ *▲5五同銀に対して、△5六歩▲5九飛△5一飛▲5四歩△同金▲同銀△同飛▲5六金△5一飛▲5五金で、「△5六歩と垂らすのは▲5九飛と回られて、わからなかったです」と甲斐。 64 5四歩打 ( 1:19/02:32:22) *甲斐は△5四歩と打って、銀を追う順を選んだ。 *※局後の感想※ *△5四歩に対して、▲5六角△8二銀▲6四銀△同金▲3四角△9三銀▲5三歩△5五歩▲5二歩成△同金▲3二銀△2四飛▲2三角成が検討され、「嫌ですね」と甲斐。「こうやるべきでしたか。組み合わせがわからなかったので」と里見。 65 6六銀(55) ( 0:08/02:24:36) *里見は▲6六銀と引いて、▲5六角を含みに残す。後手は△8四銀か△8二銀を選ぶことができる。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>じっと引きました。△8二銀か△8四銀で受けたときにどう動くかですね。△4四歩と突かれると△3四銀の顔が立つ展開なので、先手はその前に動いていきたいです。(互角) *※局後の感想※ *▲6六銀に(1)△8二銀▲5六角△2五歩▲1七銀△2四飛▲9五歩△同歩▲3六歩△同歩▲同金。(2)△8二銀▲9五歩△同歩▲5六角△2五銀▲同銀△同飛▲9三歩△5五銀。(3)△8二銀▲9五歩△同歩▲5六角△2三角▲8五桂△4四歩▲9三歩△同桂▲同桂成△同香▲8五桂の順が考えられる。 66 8四銀(93) ( 5:45/02:38:07) *△8四銀までの消費時間は▲里見2時間25分、△甲斐2時間38分。 *15時、対局室におやつが運ばれた。午後のおやつは里見が「黒酢ソーダ」「アイスカフェオレ」、甲斐が「安納芋ロールかるかん」、「黒酢ソーダ」。 *甲斐は△8四銀で、▲5六角からの▲8三角成を受けた。 *【午後のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-ecc5-1.html 67 9五歩(96) ( 9:51/02:34:27) *里見は端をからめて攻める。△9五同歩には▲9二歩△同香▲5六角か。 *里見は着手してアイスカフェオレに口をつける。 68 同 歩(94) ( 1:59/02:40:06) *【午後の大盤解説会場】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-b610.html 69 9三歩打 ( 0:21/02:34:48) *里見は▲9三歩と垂らして攻めの継続。 *佐藤康九段と都成五段の継ぎ盤には▲9三歩に△2五歩▲1七銀△9三香▲5六角△2四飛▲8三角成△同玉▲8五歩が並ぶ。途中△9三香と歩を取らせている効果で、最後の▲8五歩に銀の逃げ場所がない。「これは後手がイヤかもしれません」と佐藤康九段。 *研究が進み、上記▲8五歩に△同銀▲同桂△8四歩で「後手が怖いですが、指せますね。今は先ほどの検討の▲8三角成に代えて▲3六歩が検討されています」と佐藤康九段。 *▲9三歩に甲斐の手が止まって40分がすぎた。長考の甲斐はどういった手順を描いているか。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>難しい手が飛んできました。放っておくと▲9四角が厳しいので△9三同香と取ると思います。そこで1歩あれば▲8五歩と打てるのですがどう攻めるのでしょうか。 *△9三同香には▲5六角と打って△2四飛には▲3六歩△同歩▲同金として▲8五歩と▲3四角〜▲3五銀を見せて戦う手はありそうです。(後手やや有利) *※局後の感想※ *▲9三歩に△2五歩▲1七銀△9三香▲5六角△2四飛▲3六歩△同歩▲同金△9六歩▲9二歩△9七歩成▲9一歩成で、「激戦、難しい」と佐藤康九段と藤井猛九段は見解を話した。 70 同 香(91) (43:28/03:23:34) *43分の長考。甲斐は単に△9三同香と応じた。 *【JR日本最南端の駅(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-4d71.html *【JR日本最南端の駅(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-766d.html 71 5六角打 ( 1:09/02:35:57) *▲5六角までの消費時間は▲里見2時間36分、△甲斐3時間24分。 *里見は狙い筋だった▲5六角を放った。3四銀を狙いつつ、8三の地点を見ている。 *控室では▲5六角に△2五銀と出る手が有力とされている。そこで▲3五銀なら△9六歩と端を突いておくのが好手のようだ。8四銀の逃げ道を作りつつ、△9七歩成を見せて急かす手だ。 *※局後の感想※ *▲5六角に△2五銀▲同銀△同桂で(1)▲8三角成△同玉▲8四飛△同玉▲7二銀で「あるとは思っていたんですが、さすがにちょっと無理ですね」と里見。(2)▲9二銀△8二銀▲2六歩で「ちょっと、これは……」と甲斐。 *感想戦は18時46分に終了した。 72 2三角打 ( 7:40/03:31:14) *甲斐は自陣角で銀にヒモをつける。△2三角をモニターで見た佐藤康九段は「これはひねった手ですね」と話す。自身の飛車先が止まって、角を手放すだけに思いきった手だ。 *先手は▲8三角成△同玉▲8五歩の強襲を繰り出すのだろうか。 *対局室には里見が扇子を開閉する音だけが響いている。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>これは思いつきませんでした。しかし、ここで▲8三角成△同玉▲8五歩△同銀▲同桂△8四歩▲9三桂成△同桂▲2四香として先手の攻めもまずまずに見えます。手順中△8四歩に代えて△9四香なら▲9五香△同香▲9三桂成△同玉▲9四歩△同玉▲8二飛成で攻めが決まります。(互角) 73 8三角成(56) (27:28/03:03:25) *16時35分、考慮時間27分で踏み込んだ。 74 同 玉(72) ( 0:08/03:31:22) 75 8五歩打 ( 0:04/03:03:29) *角切りからの継続手で、銀を捕まえる。 76 7二玉(83) ( 2:15/03:33:37) 77 8四歩(85) ( 0:03/03:03:32) *銀を取って▲銀△角の交換になった。先手は8筋を食い破れそうだ。 78 8二歩打 ( 0:21/03:33:58) *△8二歩に藤井猛九段は▲9二銀が厳しいと見ている。また▲8三歩成△同歩▲9二銀も有力とのことだ。 *▲8三歩成△同歩▲9二銀に△8四角は▲8三銀成△同玉▲8五歩が痛い。 *控室から虹が見える。「対局者は虹を見ている余裕はないでしょうね」と藤井猛九段。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>香車は渡したくないということで辛抱されましたね。▲9二銀と打てば▲8三歩成が受からない形です。▲8三角成からの踏み込みが鋭く里見女流五冠がリードを奪ったと思います。(先手有利) 79 9二銀打 ( 6:42/03:10:14) *▲8三歩成も考えられたが、里見は▲9二銀で8筋突破を目指した。 80 6二玉(72) ( 2:51/03:36:49) *△6二玉の早逃げで、しのぎに掛かる。 81 8三歩成(84) ( 0:03/03:10:17) *先手は自然に▲8三歩成で攻めていく。飛車先の突破が約束されて、形勢は里見よしになっただろう。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>後手としては被害を最小限にして逃げたいところです。香車を渡すと▲2四香があるので一度△8三同歩でしょうか。(先手有利) 82 2八歩打 ( 9:24/03:46:13) *残り時間は▲里見50分、△甲斐14分。 *▲8三歩成に対して、甲斐は△2八歩と反撃に転じた。先手は▲9三とから▲8二飛成を急ぐか。▲2八同玉と応じるか。 *継ぎ盤では▲2八同玉△2五銀▲同銀△同桂▲9三と△5三玉▲8二飛成△3六歩が検討されている。 83 9三と(83) ( 5:36/03:15:53) *里見は△8二歩に手抜きで攻めを急いだ。 84 2九歩成(28) ( 0:21/03:46:34) 85 8二飛成(89) ( 0:09/03:16:02) *待望の飛車成り。 86 5三玉(62) ( 0:10/03:46:44) 87 8一銀(92) ( 0:17/03:16:19) *▲8一銀不成に藤井猛九段は腕組みをしてモニターを見る。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>次の▲6五桂打を見た手でぱっと見ではよい受けが見えません。▲2四香も残っているので先手が優勢だと思います。後手は△2三角が世に出れば面白い展開になるのですが。(先手優勢) 88 2五銀(34) ( 7:30/03:54:14) *銀をぶつけて攻めに使う。持ち駒の角桂だけでは、やや攻め駒が足りない。 89 6五桂打 ( 4:53/03:21:12) *里見は△2五銀を相手にせず迫っていく。 90 同 歩(64) ( 0:24/03:54:38) 91 同 桂(77) ( 0:12/03:21:24) *△4四玉に▲4二竜、▲3五銀、▲2五銀の手段がある。控室は終局近しの雰囲気になっている。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>△4四玉▲4二竜△2六銀に▲同歩と取った形が次に▲4五香を見て厳しいです。里見女流五冠が勝ちに近づいています。(先手勝勢) 92 4四玉(53) ( 3:27/03:58:05) *シンプルに▲4二竜と金を取る手が厳しいと見られている。 93 4二竜(82) ( 2:06/03:23:30) *金を駒台にのせて、滑らせるように▲4二竜を着手する。 94 2六銀(25) ( 1:55/04:00:00) *この手で持ち時間を使いきった。甲斐はここから60秒未満での着手になった。 95 同 歩(27) ( 0:11/03:23:41) *「▲2六同歩が、詰めろか」と藤井猛九段。▲4五香△同角▲同歩からの詰めろになっている。 96 5六銀打 ( 0:00/04:00:00) 97 4五香打 ( 0:49/03:24:30) *角筋を遮断しながらの王手。△4五同銀に▲2四金がある。 98 同 銀(56) ( 0:00/04:00:00) 99 2四金打 ( 0:20/03:24:50) *▲2四金で後手玉は受けなしになった。▲5三銀と▲3三竜がある。 *この局面で甲斐が投了した。終局は17時29分。消費時間は▲里見3時間24分、△甲斐4時間。第3局は9月7日(土)石川県金沢市「ホテル日航金沢」で行われる。 *■Twitter解説■ *古森悠太四段>投了以下、△4一桂と受けても▲5三銀△同金▲同桂成で受けがありません。 *本局は里見女流五冠の47手目▲4六歩が用意の一手で、濃密な序盤戦が繰り広げられましたが、甲斐女流五段の自陣に隙を作らない駒組みがうまく序盤は甲斐女流五段に軍配が上がりました。中盤で甲斐女流五段が受け間違えたところを見逃さず73手目▲8三角成がさすがの踏み込みで一気にリードを奪い勝ち切ったという印象です。甲斐女流五冠としては72手目△2三角が働かなかったのが痛く、代えて△2五歩〜△2四飛と軽くうけておけば指しやすさが維持できたのではないかと思います。本シリーズは序盤の駆け引きが非常に面白く、第3局も面白い戦いが期待できそうです。本日は1日、解説におつき合いいただきましてありがとうございました。 *【終局直後】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-bb10-1.html *【両対局者が大盤解説会場に】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-e27d.html *【感想戦】 *http://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2019/08/post-10da.html 100 投了 ( 0:00/04:00:00) まで99手で先手の勝ち