# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.41 棋譜ファイル --- 対局ID:8900 記録ID:5c987dcdd31dec0004a1cb24 開始日時:2019/04/03 10:00 終了日時:2019/04/03 14:09 表題:ヒューリック杯清麗戦 棋戦:第1期ヒューリック杯清麗戦予選 戦型:雁木 持ち時間:各2時間 消費時間:83▲98△110 場所:東京・将棋会館 備考:昼休前47手目▲63分△55分\n 振り駒:3,0,渡 計時方式:チェスクロック 秒読み:60秒 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:00〜12:40 昼休前消費時間:47手▲63分△55分 手合割:平手   先手:渡部愛女流王位 後手:塚田恵梨花女流初段 手数----指手---------消費時間-- *第1期ヒューリック杯清麗戦(ヒューリック株式会社主催)予選3回戦の渡部愛女流王位(2勝0敗)−塚田恵梨花女流初段(2勝0敗)戦をお送りする。対局は4月3日(水)10時から東京・将棋会館「雲鶴」で行われる。持ち時間はチェスクロック使用の各2時間。切れたら1手60秒未満での着手となる。先後は振り駒で決定する。 *振り駒の結果、歩が3枚出て渡部の先手番に決まった。 *(棋譜・コメント入力=琵琶) *[棋譜表示の*はコメント入りの指し手。#は局後の感想が追記された指し手] 1 2六歩(27) ( 0:11/00:00:11) *◆渡部 愛(わたなべ まな)女流王位◆ *1993年6月26日生まれ、北海道帯広市出身。2013年、女流3級。2018年、女流三段。LPSA番号19。 *タイトル戦登場は1回。獲得は女流王位1期。棋戦優勝は2回。 2 3四歩(33) ( 0:05/00:00:05) *◆塚田 恵梨花(つかだ えりか)女流初段◆ *1998年8月27日生まれ、東京都杉並区出身。塚田泰明九段門下。2014年、女流2級、2019年、女流初段。女流棋士番号は51。 3 7六歩(77) ( 0:18/00:00:29) *【渡部の女流棋戦成績】 *通 算=87勝53敗(0.621) *昨年度=12勝10敗(0.545) * *渡部は本局が本年度の初対局となる。 4 4四歩(43) ( 0:06/00:00:11) *【塚田の女流棋戦成績】 *通 算=27勝31敗(0.466) *昨年度=9勝7敗(0.563) * *塚田も本局が本年度の初対局となる。 5 4八銀(39) ( 0:07/00:00:36) *両者の対戦成績は渡部4勝、塚田1勝。2月に行われた第46期岡田美術館杯女流名人戦予選以来の対戦となる。 6 8四歩(83) ( 0:07/00:00:18) *塚田は4月1日付けで女流初段に昇段した。7勝以上した上で年度指し分け以上の成績(9勝7敗)の昇段規定をクリアしたため。 7 2五歩(26) ( 1:11/00:01:47) 8 3三角(22) ( 0:08/00:00:26) 9 7八金(69) ( 0:08/00:01:55) 10 4二銀(31) ( 0:53/00:01:19) *清麗戦はヒューリック株式会社が主催する女流棋戦。今期創設されたばかりの新棋戦で、清麗(せいれい)が7つ目の女流タイトルとなった。現役の女流棋士のみが出場し、今期は62人で行われている。予選は6勝通過・2敗失格。第1期は予選を勝ち抜いた4人で本戦を行う。本戦の初戦を勝った2人が決勝五番勝負を戦い、勝者が第1期清麗を獲得する。持ち時間はチェスクロック方式で、予選は各2時間、本戦は各3時間、五番勝負は各4時間。それぞれ持ち時間を使い切ったら1手60秒未満での着手となる。優勝賞金は女流棋戦最高額の700万円。 11 6九玉(59) ( 0:24/00:02:19) 12 8五歩(84) ( 3:27/00:04:46) *塚田の本棋戦成績は2勝0敗。初戦で藤井奈々女流1級を、2回戦で水町みゆ女流1級に勝って本局を迎えた。 13 3六歩(37) ( 2:47/00:05:06) *渡部の本棋戦成績は1勝0敗。初戦はタイトル保持者による特典によりシード。2回戦で脇田菜々子女流1級に勝って本局を迎えた。 14 4三銀(42) ( 2:21/00:07:07) 15 7七角(88) ( 0:15/00:05:21) *渡部は前期、初タイトルとなる女流王位を獲得した。1日に発表された2018年度の将棋大賞で優秀女流棋士賞を受賞。ならびに女流名局賞(第29期女流王位戦五番勝負の全4局)と名局賞特別賞(第45期女流名人戦女流名人リーグ・上田初美女流四段戦)を受賞した。 16 7二銀(71) ( 2:19/00:09:26) *塚田は昨年9月に行われた第12回白滝あゆみ杯争奪新人登竜門戦で優勝した。前期は惜しくも準優勝に終わったが、そのとき優勝したのが渡部だった。渡部はそのあと女流王位を獲得し、白滝あゆみ杯優勝をきっかけに飛躍した。精鋭ぞろいの登竜門戦を制した塚田の活躍も期待される。 17 3七銀(48) ( 0:23/00:05:44) *渡部は右銀を繰り出し、攻勢の構えを採る。 18 8三銀(72) (12:25/00:21:51) *塚田の作戦は棒銀だった。渡部の方針次第では激しい攻め合いになる可能性が出てきた。 *渡部が手を止めている。やはり作戦の岐路のようだ。 19 3五歩(36) (20:24/00:26:08) *約20分の考慮で▲3五歩と突っかけた。△3五同歩と取らせて▲4六銀や▲2六銀と繰り出すようだ。銀を出る前に3筋を突き捨てるのはスピードを重視した手筋である。 20 7四銀(83) ( 2:44/00:24:35) *3筋を手抜いて△7四銀と前進する。先手に速度負けしないことを心掛けたのだろうか。▲4六銀には△6五銀の角頭攻めがある。 21 3八飛(28) ( 6:35/00:32:43) *渡部は飛車を3筋に寄った。部分的な攻めは▲4六銀〜▲3四歩だろうか。だが、後手も△6五銀のような手をからめて猛攻を仕掛けるかもしれない。 22 6五銀(74) ( 0:48/00:25:23) *塚田は時間を掛けず銀を6五に繰り出す。先手が飛車を3筋に寄ったことで7六の地点は受からなくなっている。 23 3四歩(35) ( 0:45/00:33:28) *先に取り込む。△3四同銀に▲4六銀となれば銀取りの先手になる。すでに前例はなく、両者は未知の荒野を突き進んでいる。 24 2二角(33) ( 2:14/00:27:37) *11時1分の着手。△2二角までの消費時間は▲渡部33分、△塚田27分。 *△3四同銀は▲4六銀の銀取りを気にしたのだろうか。角を引いて△7六銀を楽しみに待つ。 * *※局後の感想※ *△2二角が疑問手だった。代えて△3四同銀とし、以下▲2六銀△7六銀▲3四飛△7七銀成▲同金△2八角▲3五銀△1九角成▲4四銀△同角▲同飛△4二香▲3四飛△2九馬なら難しかった。塚田は「この変化を読まなければいけませんでしたね」と反省する。渡部は「むしろこちらが駒損ですし、そちらの一段金も生きそうですよね」という。 25 2四歩(25) ( 6:44/00:40:12) *鋭い一着。△2四同歩は▲2三歩△3一角に▲4六銀と上がって▲3三歩成を見せる。 26 3二金(41) ( 0:44/00:28:21) *歩を取りにくい後手は金を上がって辛抱する。 27 2三歩成(24) ( 1:43/00:41:55) 28 同 金(32) ( 0:28/00:28:49) 29 2八飛(38) ( 0:09/00:42:04) *渡部は2筋にアヤをつけてから▲2八飛と戻った。 30 2四歩打 ( 1:21/00:30:10) *塚田は生を打って金取りを受ける。 31 2五歩打 ( 0:21/00:42:25) *なるほど、▲2五歩が渡部の狙いだったようだ。△2五同歩なら▲同飛が2三の金取りと6五の銀取りになる。十字飛車と呼ばれる手筋だ。これはさすがに痛そうか。 * *※局後の感想※ *「十字飛車の筋をうっかりしていました」と塚田。先手が優勢になった。 32 3四金(23) ( 2:09/00:32:19) *先に目標の金をかわす。 33 2四歩(25) ( 0:23/00:42:48) *大きな取り込み。後手は▲2三歩成が受からない。 34 2五歩打 ( 2:34/00:34:53) *飛車先を通したまま2筋を破らせてはいけない。 35 2三歩成(24) ( 2:58/00:45:46) *先手が無条件で2筋を破った。 36 3一角(22) ( 0:49/00:35:42) *さすがに後手は角を逃げるしかない。 37 3六銀(37) ( 1:05/00:46:51) *目につく▲2二歩は重いと見たのだろうか。右銀を使って3四の金を攻める。 38 7六銀(65) ( 1:27/00:37:09) 39 5九角(77) ( 2:37/00:49:28) *角の引き場所は5九だった。▲3七角〜▲7四歩を視野に入れているのかもしれない。 40 5四歩(53) ( 1:32/00:38:41) *3一の角を使うために必須の一手である。角が遊んだままでは挽回できない。 41 3七角(59) ( 6:55/00:56:23) *やはりこのラインに角を使うのが効率がいいようだ。 * *※局後の感想※ *「▲3七角が△8六歩を与えて危険でした」と渡部。「△6四角と出られる筋を気にしすぎてしまって……」と振り返る。 42 8六歩(85) ( 6:41/00:45:22) *飛車や角の活用を図るためにも突き捨てておきたい歩だ。 43 同 歩(87) ( 1:00/00:57:23) 44 同 飛(82) ( 1:38/00:47:00) *▲7四歩の攻めを未然にかわす。 *先手も2筋を破ったが、△8六同飛で3六の銀が狙われているので注意が必要だ。 45 8八歩打 ( 1:51/00:59:14) *低く受けるのが正着。代えて▲8七歩は△同銀成で8筋が破られてしまう。おまけに3六の銀取りにもなる。 46 7五角(31) ( 8:44/00:55:44) *働きの弱かった角を活用する。狙いは△5七角成だ。以下、先手が▲5八金と受ければ△5五歩でどうか。▲5五同角は△5六歩の合わせが▲5六同歩に△3九角成を見てうるさいかもしれない。 *渡部の残り時間が1時間を切った。 *12時、この局面で渡部が4分使って昼食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲渡部1時間3分、△塚田55分。昼食の注文は渡部が生姜焼き定食・ご飯半分(ふじもと)。塚田の注文はなし。対局は12時40分から再開される。 47 3五歩打 ( 4:46/01:04:00) *対局再開。昼食休憩後の指し手。 *先手は狙われている3六の銀をさばいてしまえばいいようだ。△4五金には▲同銀△同歩に▲6六金が厳しいだろうか。以下△6六同角▲同歩の進行は駒得の先手が優勢のようだ。 48 4五金(34) ( 2:27/00:58:11) 49 同 銀(36) ( 0:54/01:04:54) 50 同 歩(44) ( 0:13/00:58:24) *▲3五歩と打てば、ここまでは一本道だ。▲6六金と打つのか、他の手を指すのか。 51 2五飛(28) ( 6:46/01:11:40) *渡部は△5七角成を受けずに▲2五飛と飛車をさばく。攻め合い勝ちを目指したようだ。 *塚田の残り時間も1時間を切った。 52 6二玉(51) ( 3:00/01:01:24) *玉の早逃げ。相手の飛車から遠ざかるのは将棋のセオリーである。 53 1二と(23) ( 1:08/01:12:48) *手筋。せっかくのと金だが、捨てれば飛車を成り込むことができる。 54 8七歩打 ( 1:47/01:03:11) *塚田は△8七歩と打って8筋をこじ開ける。▲8七同歩は△同銀成で後手の言い分が通る。したがって放置することになりそうだが、△8八歩成▲同銀に△6七銀成の攻めを受ける必要がありそうだ。 55 2二飛成(25) ( 6:32/01:19:20) *待望の飛車成り。王手で様子を見る。 56 3二歩打 ( 0:12/01:03:23) *安い駒で王手を防ぐ。後手は△8七歩成▲同銀△6七銀成の攻めと△5七角成が残っているため、一時よりは差が詰まったのかもしれない。 57 8七歩(88) ( 3:24/01:22:44) *渡部はこのタイミングで手を戻す。△8八歩成〜△6七銀成の筋が厳しかったのかもしれない。 58 同 銀成(76) ( 0:51/01:04:14) *後手も8筋を破って懸命に追い上げる。 59 同 金(78) ( 0:59/01:23:43) 60 同 飛成(86) ( 0:05/01:04:19) *後手も飛車を成り込むことができた。 61 7八銀打 ( 0:19/01:24:02) *ガッチリと銀を打って先手陣を守る。2枚タテに並んだ構えは耐久力がある。しかし、後手に飛車の成り込みを許しては、先手がはっきり優勢とはいえなくなったかもしれない。 62 8三竜(87) ( 2:43/01:07:02) 63 8四歩打 ( 2:31/01:26:33) 64 同 竜(83) ( 0:53/01:07:55) 65 8五歩打 ( 0:03/01:26:36) *歩を連打して竜を呼び込む。△8五同竜は▲7七桂と眠っている桂を活用するのかもしれない。 66 7四竜(84) ( 0:45/01:08:40) *※局後の感想※ *「こちらが悪いんですけど、もうちょっと何かあればと思ったんですが」と塚田。深浦九段が解説した△3六銀から角を追って△6四角を目指せば大変だった可能性は高そうだ。本譜の進行は2枚の大駒が近すぎて後手の攻めが渋滞したのが痛かった。 67 5八金(49) ( 0:51/01:27:27) *金を上がって△5七角成を防いだ。局面が落ち着けば桂香の補充が間に合ってくる。 68 8六歩打 ( 5:12/01:13:52) *塚田は8六に歩を垂らして拠点を築く。次に△8七銀の打ち込みが厳しいか。 69 2一竜(22) ( 0:40/01:28:07) *渡部はようやく桂を補充した。同時に竜の横利きを通して後手玉にプレッシャーを掛ける。 70 7六銀打 ( 4:34/01:18:26) *銀を8七ではなく7六に打って力を溜める。次に△8七歩成が厳しい。しかし、▲7七歩と打たれると△8七歩成に▲7六歩で逆に先手の拠点ができるような気もするが……。 71 7七歩打 ( 2:06/01:30:13) *やはり渡部は▲7七歩と打った。後手の2枚の大駒が近いため、両取りを掛けられる展開になるかもしれない。 72 8七銀(76) ( 1:08/01:19:34) 73 1一と(12) ( 0:52/01:31:05) *渡部は桂に続いて香も補充する。▲7六香が回れば先手がはっきりよくなりそうだ。 74 7八銀成(87) ( 1:35/01:21:09) 75 同 銀(79) ( 1:18/01:32:23) *先手は銀を1枚削られたが、▲7七歩がしっかりしていて耐久性がありそうだ。 76 8七銀打 ( 0:31/01:21:40) *後手は嫌みを突いていくしかない。▲7九銀と受けると△7八銀成▲同銀△8七銀で千日手模様になる。 *桂香得の先手はうまく打開したい。 77 7六香打 ( 2:42/01:35:05) *▲1一とからの継続手。△7八銀成は▲同玉で問題ないと見ているようだ。 78 7八銀成(87) ( 0:39/01:22:19) 79 同 玉(69) ( 0:35/01:35:40) 80 8七歩成(86) ( 2:45/01:25:04) 81 6九玉(78) ( 0:35/01:36:15) *深浦康市九段が中継室を訪れた。現局面は「先手が勝ちに近づいていますね」と話す。「68手目の△8六歩で△3六銀と角を攻めたらどうだったでしょうか。▲5九角には△6四角と引いて2枚の大駒の利きを通します。△3六銀は△4六歩▲同歩△4七金といった攻めにも使えますからね。△7六銀(70手目)に▲7七歩と打たれて、攻めを逆用されてしまったように感じます」(深浦九段) 82 8五竜(74) (17:51/01:42:55) *塚田は18分近く考えて△8五竜。△7七と〜△8九竜を見ている。 83 7五香(76) ( 2:04/01:38:19) *14時2分の着手。▲7五香までの消費時間は▲渡部1時間38分、△塚田1時間42分。 *渡部は震えず角を取る。△7七とにはどう応じるのだろうか。 *この局面で塚田が投了した。終局時刻は14時9分。消費時間は▲渡部1時間38分、△塚田1時間50分。勝った渡部は3連勝、敗れた塚田は2勝1敗となった。 *投了以下、先手玉に寄りはなく、後手は駒損が大きく形勢を挽回するのは難しいと判断したようだ。 * 84 投了 ( 7:49/01:50:44) まで83手で先手の勝ち