# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.32 棋譜ファイル --- 対局ID:8751 記録ID:5c6a6186fa993e00047f792e 開始日時:2019/02/27 10:01 終了日時:2019/02/27 14:23 表題:ヒューリック杯清麗戦 棋戦:第1期ヒューリック杯清麗戦予選 戦型:相掛かり 持ち時間:各2時間 消費時間:89▲110△111 場所:東京・将棋会館 備考:昼休前42手目▲57分△60分\n 振り駒:4,0,渡 計時方式:チェスクロック 秒読み:60秒 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:00〜12:40 昼休前消費時間:42手▲57分△60分 手合割:平手   先手:渡部愛女流王位 後手:脇田菜々子女流1級 手数----指手---------消費時間-- *第1期ヒューリック杯清麗戦(ヒューリック株式会社主催)予選2回戦の渡部愛女流王位(1勝0敗)−脇田菜々子女流1級(1勝0敗)戦をお送りする。対局は2月27日(水)10時から東京・将棋会館「飛燕」で行われる。持ち時間はチェスクロック使用の各2時間。切れたら1手60秒未満での着手となる。先後は振り駒で決定する。 *振り駒の結果、歩が4枚出て渡部の先手番に決まった。 *(棋譜・コメント入力=琵琶) *[棋譜表示の*はコメント入りの指し手。#は局後の感想が追記された指し手] 1 2六歩(27) ( 0:03/00:00:03) *◆渡部 愛(わたなべ まな)女流王位◆ *1993年6月26日生まれ、北海道帯広市出身。2013年、女流3級。2018年、女流三段。LPSA番号19。 *タイトル戦登場は1回。獲得は女流王位1期。棋戦優勝は2回。 2 3四歩(33) ( 0:01/00:00:01) *◆脇田 菜々子(わきた ななこ)女流1級◆ *1997年3月7日生まれ、愛知県一宮市出身。中田章道七段門下。2018年、女流2級。2019年、女流1級。女流棋士番号は66。 3 7六歩(77) ( 0:18/00:00:21) *【渡部の女流棋戦成績】 *通 算=84勝53敗(0.613) *昨年度=18勝10敗(0.643) *今年度=9勝10敗(0.474) 4 8四歩(83) ( 0:17/00:00:18) *【脇田の女流棋戦成績】 *通 算=4勝1敗(0.800) *今年度=4勝1敗(0.800) *脇田は昨年秋にデビュー。女流名人戦予選で決勝に進出し、女流1級への昇級を決めた期待のルーキーだ。 5 2五歩(26) ( 0:19/00:00:40) *両者は本局が初手合いとなる。 6 8五歩(84) ( 0:22/00:00:40) 7 7八金(69) ( 0:18/00:00:58) *清麗戦はヒューリック株式会社が主催する女流棋戦。今期創設されたばかりの新棋戦で、清麗(せいれい)が7つ目の女流タイトルとなった。現役の女流棋士のみが出場し、今期は62人で行われている。予選は6勝通過・2敗失格。第1期は予選を勝ち抜いた4人で本戦を行う。本戦の初戦を勝った2人が決勝五番勝負を戦い、勝者が第1期清麗を獲得する。持ち時間はチェスクロック方式で、予選は各2時間、本戦は各3時間、五番勝負は各4時間。それぞれ持ち時間を使い切ったら1手60秒未満での着手となる。優勝賞金は女流棋戦最高額の700万円。 8 3二金(41) ( 0:16/00:00:56) *渡部の1勝はタイトル保持者としてのアドバンテージのもので、本局が初戦となる。 9 2四歩(25) ( 0:24/00:01:22) 10 同 歩(23) ( 0:18/00:01:14) 11 同 飛(28) ( 0:16/00:01:38) 12 2三歩打 ( 0:25/00:01:39) *後手の趣向。古来からある指し方で、先手が▲3四飛と横歩を取るかどうか。 13 2六飛(24) ( 3:33/00:05:11) *渡部は横歩を取らず、飛車を2六に引く。▲3四飛は相手の土俵と見たのだろう。相掛かりを目指す。 14 6二銀(71) ( 0:32/00:02:11) 15 3八銀(39) ( 0:22/00:05:33) 16 5四歩(53) ( 4:20/00:06:31) 17 6八玉(59) ( 7:54/00:13:27) 18 5三銀(62) ( 1:15/00:07:46) *脇田は△5四歩〜△5三銀と中央を厚くする。 19 2二角成(88) ( 1:11/00:14:38) *渡部はこのタイミングで角を交換する。「角交換に5筋を突くな」という格言がある。後手が△5四歩と突いたことで先手は角交換の順を選んだのだろう。 20 同 銀(31) ( 0:27/00:08:13) 21 8八銀(79) ( 0:07/00:14:45) 22 4一玉(51) ( 0:18/00:08:31) *互いに自陣の整備に当たる。 23 7七銀(88) ( 0:28/00:15:13) 24 7四歩(73) ( 0:40/00:09:11) 25 4六歩(47) ( 2:50/00:18:03) *角を交換したので5筋ではなく4筋を突くのが現在の定説である。新旧対抗形になった。5筋を突いていない先手のほうが角を打ち込まれるスキが生じにくいといわれる。 26 6四銀(53) ( 0:54/00:10:05) *右銀を積極的に繰り出していく。 27 4五歩(46) ( 6:16/00:24:19) *飛車の横利きを通す。 28 3三桂(21) ( 9:27/00:19:32) *先手の4五歩が伸びすぎという見方もできる。脇田は△3三桂と跳ねて▲4五歩をとがめようとしているのかもしれない。 29 4七銀(38) ( 0:34/00:24:53) *△4五桂には▲4六歩で桂を召し捕る狙い。渡部は右銀の進出が間に合うと見て▲4五歩と突いたと思われる。 30 7五歩(74) ( 6:31/00:26:03) *後手から打って出た。先手の飛車の横利きが7筋まで通っているが、次に△7六歩と取り込み▲同飛なら△2八角の打ち込みを狙っているのだろうか。また、▲7五同歩は△同銀で、▲7六歩には△8六歩と突かれてしまう。以下▲8六同歩△同銀▲同銀△同飛となれば、後手は銀交換が実現する。 31 同 歩(76) ( 9:16/00:34:09) *11時1分の着手。▲7五同歩までの消費時間は▲渡部34分、△脇田26分。 *渡部は約9分の考慮で▲7五同歩と歩を取った。 32 同 銀(64) ( 1:20/00:27:23) *後手は攻めの銀が前進した。先手はこの銀をどう撃退するか。 33 4八金(49) ( 4:30/00:38:39) *じっと金を上がった。角打ちのスキを与えないように、バランス感覚を重視した金上がりだ。先手は▲7六歩と打たなければ飛車の横利きが通っているため、△8六歩からの攻めはなさそうだ。 34 8六歩(85) (10:43/00:38:06) *脇田は10分以上、時間を使って△8六歩を決行した。飛車の横利きが強そうだが、▲8六同歩には△5三角と打つのかもしれない。以下▲2八飛と飛車が逃げれば△8六銀▲同銀△同角が王手になる仕組み。こう進んでは先手が支えきるのが難しいかもしれない。 35 同 歩(87) ( 5:53/00:44:32) *△8七歩成を許してはいけないので▲8六同歩は仕方がない。後手は△5三角と打つのだろうか。 36 5三角打 ( 1:36/00:39:42) *やはり後手は△5三角と打つ構想だった。飛車取りと△8六銀を見た攻撃的な自陣角だ。 37 5六飛(26) ( 7:51/00:52:23) *渡部は飛車を5六に逃げた。2八は銀交換後の△3九銀を与えてしまう。 *△8六銀と銀をぶつけられたときに、渡部はどう応じるのだろうか。 38 8六銀(75) ( 1:02/00:40:44) *脇田は予定どおりとばかりに銀を繰り出す。▲5四飛は角取りの先手だが、△7七銀成と銀を取られると△8九飛成が残ってしまう。 39 8五歩打 ( 2:53/00:55:16) *渡部は8五に歩を打った。飛車の利きを止めている。△7七銀成には▲同桂で手順に8五歩にヒモがつく。だが、△8五同飛にうまい反撃があるかどうか。▲9六角が利けば面白そうだが、△7七銀成▲同桂△8九飛成▲6三角成に△5二銀で、先手が攻めきるのは難しいかもしれない。 40 同 飛(82) (13:00/00:53:44) *※局後の感想※ *△8五飛に代えて△7七銀成がまさった。以下▲7七同桂△7六歩▲同飛△7五銀と進む。自然な▲5六飛は△7六歩▲6五桂に渡部は△6二角を恐れていたという。次に△9五角の王手が強烈だ。「角を7五のラインで使うことしか考えていなくて」と脇田。渡部は「△9五角の王手と△6四歩から桂を取りにこられる手があって忙しくて」と振り返る。 *したがって△7五銀に先手は▲6五桂と跳ねることになる。以下△7六銀▲5三桂不成△3一玉▲6一桂成△2一玉▲5三角と進む。渡部は「△8九飛〜△7七歩の攻めが残っていますし、あまり自信がなかったです」という。 41 7六銀(77) ( 2:35/00:57:51) *飛車取りの先手で銀交換を避ける。先手としては後手の自陣角の動きを押さえて、攻撃目標にして優位を築きたい。 *12時、この局面で脇田が6分59秒使って昼食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲渡部57分、△脇田1時間。昼食の注文は渡部がミックス雑炊・半分(みろく庵)、脇田がカキフライ定食(ふじもと)。対局は12時40分から再開される。 *▲7六銀に後手がどう指すか。△4五飛なら▲5四飛と走って△5二歩には▲8四飛の転回が幸便だ。△8二飛は▲8三歩△同飛▲5四飛でどうか。8六の銀を立ち往生させることができれば先手が優位に戦えそうだ。 * *※局後の感想※ *△8五同飛に▲7六銀が好判断だった。後手は銀交換ができなくなってしまい、繰り出した銀が空を切った格好に。 42 8二飛(85) ( 7:13/01:00:57) *対局再開。昼食休憩後の指し手。 *脇田は飛車を8二に引いた。目につく▲8三歩△同飛▲5四飛の反撃にはどう応じるのだろうか。 43 8三歩打 ( 9:37/01:07:28) *手筋のタタキ。好位置の8二飛に働きかける。 44 7二飛(82) ( 5:47/01:06:44) *脇田は歩を取らず飛車を寄った。先手の5六飛がタテに動けば7六の銀を取ることができる。先手の動きを牽制している意味もある。 45 7七歩打 ( 3:43/01:11:11) *7七に歩を打って7六の銀を支える。手堅い一着だ。△7五銀には▲6五銀と繰り出しておき、次に▲5四銀から角を攻める筋が狙いだろうか。 46 4二金(32) ( 7:16/01:14:00) *渡部が自陣に手を戻せば、脇田も自陣を整備する。金を寄って中央を厚くしながら△3二玉と上がる手も見ている。 47 6五銀(76) ( 2:46/01:13:57) *目標にされていた銀を繰り出す展開になった。先手が指しやすくなったかもしれない。 48 5五歩(54) ( 7:29/01:21:29) 49 3六飛(56) ( 2:21/01:16:18) *飛車の横利きを維持しながら桂頭に狙いをつける。 50 5二金(61) ( 1:23/01:22:52) *50手目にしてようやく右金を中央に活用する。 51 8二角打 ( 5:51/01:22:09) *渡部が歩の拠点を生かして角を打ち込んだ。▲9一角成と▲5五角成を見ている。先手が△5五歩(48手目)を▲同飛と取らなかったのは、この角打ちを視野に入れていたためだと思われる。 *千葉幸生七段が中継室を訪れた。現局面を見て「後手が忙しい」という。「渡部さんが▲8五歩〜▲7六銀とうまく切り返しましたね。ここまで進んでみると後手は自陣に打った角が負担になっているでしょうか。ここで後手にうまい攻めがあればいいのですが、先手陣はキズかない格好ですから」と千葉七段。先手が優勢になったようだ。 52 同 飛(72) (12:22/01:35:14) *決断の一着。角に働きの差が出ては勝てないと判断したのだろうか。だが、飛車を渡すのもリスクが伴う。 53 同 歩成(83) ( 0:08/01:22:17) 54 2七角打 ( 0:18/01:35:32) *取った角で飛車を攻める。5三角のラインが強力で、▲3四飛には△4五角成の追撃がある。先手の飛車は意外と狭い。 *後手は▲6一飛の王手が厳しそうだ。△3二玉は▲8六飛と銀を取った手が▲2一銀の詰めろになっている。▲6一飛には△5一金と強く当ててどうか。 55 7六飛(36) ( 8:50/01:31:07) *渡部は飛車を7六に逃げた。△7五銀が目につくが、▲同飛△同角に▲7一飛が王手角取りになる。 56 4五角成(27) ( 1:47/01:37:19) *後手は馬の力で挽回したい。 57 9一と(82) ( 3:46/01:34:53) *渡部は香を補充する。▲5四香の田楽刺しを見ている。 58 3二玉(41) ( 3:12/01:40:31) *▲6一飛が厳しいので玉を上がって踏ん張る。 59 5四香打 ( 1:45/01:36:38) *しかし、▲5四香が痛打だ。先手がリードを広げている。 60 7五銀(86) ( 0:29/01:41:00) *脇田は飛車を攻めてアヤを求める。 *先手は▲7五同飛△同角に▲7一飛が▲2一銀の詰めろ飛車取りになるが、飛車を渡すだけにリスクも伴うだろうか。 * 61 5三香成(54) ( 3:41/01:40:19) *14時2分の着手。▲5三香成までの消費時間は▲渡部1時間40分、△脇田1時間41分。 *渡部は根元の角を取った。 62 7六銀(75) ( 0:16/01:41:16) *脇田はノータイムで飛車を取る。△3九飛が有効打になるまで辛抱したい。 63 5二成香(53) ( 3:29/01:43:48) *渡部は5二の金を取る。4二の金を取れば王手の先手だが、△同金で後手玉が安定する。▲5二成香に△同金なら5二の金が浮き駒になるが、王手ではないため後手からの反撃には注意が必要だ。 *△6七銀成▲同金△6九飛▲同玉△6七馬の強襲は、▲6八金で大丈夫そうだ。 64 6七銀成(76) ( 2:30/01:43:46) *取られる銀を有効に活用する。成り捨てて先手陣を乱す。 65 同 金(78) ( 0:06/01:43:54) 66 5二金(42) ( 0:17/01:44:03) *駒割は先手が金銀得になっている。 67 8二飛打 ( 0:18/01:44:12) *5二の金が浮いているため、この飛車打ちが厳しいか。後手の応手によっては▲8一飛成も見ている。 68 6七馬(45) ( 1:58/01:46:01) *ズバッと△6七馬が飛んできた。 69 同 玉(68) ( 0:15/01:44:27) 70 6九飛打 ( 0:29/01:46:30) *△6七馬からの継続手。 71 6八金打 ( 1:20/01:45:47) *金を弾いて先手を取って受ける。 72 6六香打 ( 1:06/01:47:36) *部分的には痛打だが……。 * *※局後の感想※ *「急に迫られて怖かった」と渡部。だが、後手の攻めがわずかに足りず、先手が残していた。 73 7六玉(67) ( 0:54/01:46:41) 74 8五金打 ( 0:34/01:48:10) *飛車と玉の利きに金を捨てる。▲8五同玉は△8九飛成が不気味だ。先手は歩があれば▲8六歩で受かるが、高い駒しかないため受けにくいか。 75 同 飛成(82) ( 0:09/01:46:50) *飛車を引き揚げさせたために5二の金取りが消えた。 * *※局後の感想※ *代えて▲8五同玉とし、△8九飛成に▲8六銀とするのも有力だったが、渡部は本譜の▲8五同飛成のあと「▲8一竜と桂を取りながら竜を使うのが味よく思えたので」と本譜を選んだ理由を述べた。 *感想戦はポイントの局面を中心に約15分間と手短に行われた。 76 6八飛成(69) ( 0:22/01:48:32) *後手も金を取る。だが、先手玉は上部が広い。 77 8一竜(85) ( 0:13/01:47:03) *桂を取りながら竜を寄せに活用する。 78 5一金打 ( 1:38/01:50:10) *金を投入して粘り強く指す。後手は手番が回れば△4八竜と金を補充できる。 79 4四桂打 ( 2:07/01:49:10) *歩頭に桂を捨てる。後手玉を寄せにいった。 80 同 歩(43) ( 0:28/01:50:38) 81 5四角打 ( 0:09/01:49:19) *玉のコビンを開けて王手に角を打つ。 82 4三桂打 ( 0:13/01:50:51) 83 5一竜(81) ( 0:52/01:50:11) *この竜切りが決め手になりそうだ。 84 同 金(52) ( 0:11/01:51:02) 85 4三角成(54) ( 0:06/01:50:17) 86 同 玉(32) ( 0:09/01:51:11) 87 5四角打 ( 0:07/01:50:24) 88 5三玉(43) ( 0:16/01:51:27) 89 6四銀打 ( 0:13/01:50:37) *この局面で脇田が投了した。終局時刻は14時23分。消費時間は▲渡部1時間50分、△脇田1時間51分。勝った渡部は2勝0敗、敗れた脇田は1勝1敗となった。 *投了以下、△6四同歩に▲6三金△4二玉▲3二金まで後手玉は詰み。 90 投了 ( 0:05/01:51:32) まで89手で先手の勝ち