# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.56 棋譜ファイル --- 対局ID:12291 記録ID:60c705273b719a00042073af 開始日時:2021/06/25 10:00 終了日時:2021/06/25 21:26 表題:竜王戦 棋戦:第34期竜王戦決勝トーナメント 戦型:四間飛車 持ち時間:各5時間 消費時間:116▲299△238 場所:東京・将棋会館 備考:昼休前33手目13分・夕休前54手目4分\n 振り駒:2,0,青 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:00〜12:40 夕食休憩:18:00〜18:40 昼休前消費時間:33手13分 夕休前消費時間:54手4分 手合割:平手   先手:折田翔吾四段 後手:青嶋未来六段 手数----指手---------消費時間-- *第34期竜王戦(読売新聞社主催、野村ホールディングス特別協賛、東急グループ、株式会社UACJ、旭化成ホームズ株式会社、一般財団法人あんしん財団協賛)決勝トーナメントの青嶋未来六段(5組優勝)−折田翔吾四段(6組優勝)戦をお送りする。対局は6月25日(金)10時から東京・将棋会館「特別対局室」で行われる。持ち時間は各5時間。先後は振り駒で決定する。 *振り駒の結果、と金が3枚出て、折田の先手番に決まった。 * *本局の感想戦取材はありません。 *https://twitter.com/shogi_mobile/status/1247034286126985218 *終局後、黒沢怜生六段による解説を掲載いたします。 *記載された箇所は、23手目、54手目、64手目、73手目、82手目、92手目、108手目、最終手です。 * *(棋譜・コメント入力=琵琶) *[棋譜表示の*はコメント入りの指し手。#は局後の解説が追記された指し手] 1 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *◆折田 翔吾(おりた しょうご)四段◆ *1989年10月28日生まれ、大阪府出身。森安正幸七段門下。2020年、四段。棋士番号は321。 * *【対局開始】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-75cb.html 2 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) *◆青嶋 未来(あおしま みらい)六段◆ *1995年2月27日生まれ、静岡県三島市出身。安恵照剛八段門下。2015年、四段。2020年、六段。棋士番号は300。 3 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *【折田の公式戦成績】 *通 算=16勝11敗(0.593) *昨年度=12勝9敗(0.571) *今年度=4勝2敗(0.667) 4 4四歩(43) ( 0:00/00:00:00) *【青嶋の公式戦成績】 *通 算=171勝93敗(0.648) *昨年度=27勝14敗(0.659) *今年度=5勝4敗(0.556) 5 4八銀(39) ( 0:00/00:00:00) *両者は本局が初手合いとなるが、第54回奨励会三段リーグ戦の1回戦で1度だけ対戦している。結果は折田の勝ち。 6 9四歩(93) ( 0:00/00:00:00) *振り飛車模様の立ち上がりだが、端歩を突いて様子を見る。 7 9六歩(97) ( 0:00/00:00:00) *折田はノータイムで9筋を受ける。想定の進行と見ているようだ。 8 3二銀(31) ( 1:00/00:01:00) 9 6八玉(59) ( 2:00/00:02:00) 10 4二飛(82) ( 0:00/00:01:00) *青嶋の作戦は四間飛車だった。穴熊を得意にしているので、9筋の突き合いがどう影響するか。序盤の注目ポイントといえよう。 11 7八玉(68) ( 1:00/00:03:00) *作戦が決まったので、互いに自陣の整備に移る。 12 6二玉(51) ( 0:00/00:01:00) *竜王戦は読売新聞社が主催、野村ホールディングスが特別協賛、東急グループ、株式会社UACJ、旭化成ホームズ株式会社、一般財団法人あんしん財団が協賛する棋戦。棋戦参加者は全棋士と女流棋士・女流タイトル保持者4人、奨励会員1人、アマチュア6人。ランキング1組から6組に分かれてトーナメント戦が行われ、各組の上位者計11人が決勝トーナメントに進出し、挑戦権を争う。 *竜王と挑戦者との七番勝負は毎年10月から12月にかけて行われる。前期七番勝負は豊島将之竜王が挑戦者の羽生善治九段を4勝1敗で破り、竜王位を防衛した。 * *【竜王戦 : 囲碁・将棋 : ニュース : 読売新聞オンライン】 *https://www.yomiuri.co.jp/igoshougi/ryuoh/ * *【野村グループ】 *https://www.nomura.com/jp/ * *【東急グループサイト】 *https://tokyugroup.jp/ * *【株式会社UACJ】 *https://www.uacj.co.jp/ * *【旭化成ホームズ】 *https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/index.html/ * *【一般財団法人あんしん財団】 *https://www.anshin-zaidan.or.jp/ 13 5六歩(57) ( 0:00/00:03:00) *折田の竜王戦は6勝0敗(1.000)。昨年、プロ編入試験に合格し、今期が初参加となる。今期は6組で優勝し、5組に昇級した。6組ランキング戦では中田功八段、福崎文吾九段、石川陽生七段、宮本広志五段、佐藤秀司八段、長谷部浩平四段に勝って優勝し、決勝トーナメントに進出した。 14 7二玉(62) ( 0:00/00:01:00) *青嶋の竜王戦成績は23勝9敗(0.719)。第29期からの参加で、今期が6期目となる。今期は5組で優勝し、4組に昇級した。5組ランキング戦では片上大輔七段、藤森哲也五段、高野智史五段、日浦市郎八段、池永天志五段に勝って優勝し、決勝トーナメントに駒を進めた。 15 5八金(49) ( 0:00/00:03:00) *本局の読売新聞観戦記は鈴木宏彦さんが担当する。 16 4三銀(32) ( 0:00/00:01:00) 17 5七銀(48) ( 0:00/00:03:00) *居飛車が右銀を5七に上がった場合は持久戦になることが多い。玉の周りに金銀を集める展開はじっくりした戦いになりやすい。 18 5二金(41) ( 1:00/00:02:00) *後手は玉を7二に置いたまま駒組みを進める。最近は美濃囲いや穴熊に囲わず7二玉型で戦う耀龍四間飛車や、8一玉型に組む作戦が指されるようになった。どちらも玉を相手の角筋から避ける戦い方である。 19 2五歩(26) ( 2:00/00:05:00) 20 3三角(22) ( 0:00/00:02:00) 21 3六歩(37) ( 0:00/00:05:00) *▲3六歩は急戦を匂わす一着。▲3五歩△同歩▲4六銀や、▲4六銀と出てから▲3五歩と仕掛ける順を見せる。もちろん▲3六歩と突いて相手の出方を見てから玉を固める指し方もあるが、この一手によって緊張感が高まったといえる。 * *【戦型は四間飛車】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-b0fc.html 22 5四歩(53) (20:00/00:22:00) *青嶋の指し手は△5四歩。手元のデータベースには10局が集録されている。前期の王将リーグ▲藤井聡太王位・棋聖−永瀬拓矢王座戦がある(永瀬王座の勝ち)。 23 7七角(88) (10:00/00:15:00) *▲3六歩と突いてから玉の整備にあたる。 * *※局後の解説※ *黒沢怜生六段>△5四歩を見て、持久戦に向かう。後手が5四銀型にできないことで、四間飛車穴熊の作戦を牽制している。 24 8二玉(72) ( 0:00/00:22:00) *玉を8二に移動した。前述した流行形ではなく、通常の形に戻りそうだ。 25 8八玉(78) ( 1:00/00:16:00) *先手は玉をさらに深く囲う。 26 7二銀(71) ( 0:00/00:22:00) *△7二銀と上がって美濃に囲う。しばらくは駒組みが進みそうだ。 * *【読売新聞オンライン】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-0589.html * *【豊島将之竜王扇子】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-3b35.html 27 7八銀(79) (20:00/00:36:00) *11時14分の着手。▲7八銀までの消費時間は、▲折田36分、△青嶋22分。 *折田は▲7八銀と上がって左美濃で対抗する。端歩の突き合いがあるため、互いに穴熊には囲いにくかったのかもしれない。この後は互いに高美濃や銀冠に発展させるのだろうか。 28 6四歩(63) ( 5:00/00:27:00) *自陣の歩を突いて陣形を膨らませる。△6三金と高美濃に組み替える手が可能になった。 29 9八香(99) (19:00/00:55:00) *高美濃から銀冠ではなく、穴熊への組み替えを目指す。▲9九玉としてから、▲6八銀〜▲7九銀〜▲8八銀と右銀を使ってハッチを閉めるのかもしれない。 30 7四歩(73) ( 2:00/00:29:00) *後手はさらに歩を突いて陣形を広げる。 31 9九玉(88) ( 2:00/00:57:00) *玉を9九に潜る。あとは8八のハッチをどう閉めるか。 32 6三金(52) ( 1:00/00:30:00) *11時46分の着手。 *△6三金と上がって高美濃を完成させた。 *12時、この局面で折田が13分使って昼食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲折田1時間10分、△青嶋30分。昼食の注文は折田がカレー南ばんうどん(ほそ島や)、青嶋が日替わりパスタセット・鶏胸肉とカブのビアンコラグ−ソース、サラダ、自家製パンつき(アンフォラ)。対局は12時40分に再開する。 * *【昼食休憩】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-bc24.html * *【休憩中の特別対局室】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-fd23.html 33 6八銀(57) (21:00/01:18:00) *対局再開。昼食休憩後の指し手。 *右銀を6八に引く。やはりこの銀を使ってハッチを閉めにいく構想のようだ。すでに前例から離れている。 *青嶋が手を止めている。先手に穴熊に組まれてしまうと作戦負けになってしまう可能性も出てくる。どんな構想を描いているのか注目だ。 * *【対局再開】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-2985.html 34 5二飛(42) (35:00/01:05:00) *青嶋は35分の考慮で△5二飛と回った。△5五歩と突き捨ててから△4五歩として、大さばきを狙っているのかもしれない。具体的には▲7九銀に△5五歩として、▲同歩は△4五歩で、次に△5五飛を見る。△5五歩に▲同角も△4五歩で、△5五飛▲同歩△同角となれば王手飛車が掛かる。△5二飛は先手の▲3六歩をとがめにいった意味かもしれない。 35 7九銀(68) (40:00/01:58:00) *14時3分の着手。▲7九銀までの消費時間は、▲折田1時間58分、△青嶋1時間5分。 *折田は40分の考慮で▲7九銀と引いた。やはり後手の仕掛けを警戒して慎重に時間を使ったようだ。 36 5五歩(54) ( 2:00/01:07:00) *やはり青嶋は△5五歩と動いた。▲5五同角△4五歩に▲8八銀とハッチを閉めてどうか。以下△5五角▲同歩△同飛とするのか。それとも△5五飛▲同歩△同角とするのか。 37 同 歩(56) ( 1:00/01:59:00) *折田は▲5五同歩を選択した。 38 4五歩(44) ( 0:00/01:07:00) *角道を開けてさばきを見せる。△5五飛や△5五角以外にも、△4四銀と上がって△5五銀といった順も考えられる。 * *【開戦は歩の突き捨てから】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-8186.html 39 8八銀(79) (28:00/02:27:00) *ハッチを閉めて、ひとまず穴熊が完成した。先手は5筋が薄いので後手のさばきを受け止められるかどうかが焦点となるだろう。 40 7三桂(81) ( 2:00/01:09:00) *右桂を跳ねた。いつでも△8五桂や△6五桂と角取りに跳ねて攻めに使うことができる。△9五歩▲同歩△8五桂と跳ねてから△5五角とさばけば、△9七歩の筋を絡めて迫力のある攻めが見込めそうだ。 41 2四歩(25) ( 2:00/02:29:00) *対抗形で飛車先の歩を突き捨てるタイミングはひとつのテーマとされる。戦いが始まる直前に突くのが理想だ。 42 同 歩(23) ( 0:00/01:09:00) *【今日の鳩森八幡神社(1)】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-3d0d.html * *【今日の鳩森八幡神社(2)】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-7ca7.html 43 5四歩(55) ( 1:00/02:30:00) *2筋を突き捨ててから▲5四歩と突いて角交換を迫った。後手の3三角がいなくなれば▲2四飛が可能になる。 *青嶋が手を止めている。角が交換になると▲2四飛が受けにくくなりそうだ。△5五歩と打って交換を拒否する手が見えるが、▲5三歩成△同飛▲3七桂のときにどう応じるべきか。△5四銀と上がると▲2二歩の筋がうるさいかもしれない。以下△2二同角は▲2四飛とさばかれてしまう。 44 5五歩打 (49:00/01:58:00) *△5五歩は49分の考慮だった。前述した▲5三歩成△同飛▲3七桂には△4四銀と上がり、▲2二歩には△5六歩と伸ばして反撃する順があるかもしれない。次に△5七歩成が実現すれば後手が優勢になる。 45 6八角(77) (14:00/02:44:00) *角を6八に引く。次に▲2四角が狙いだ。後手が△2二飛と回ってこの筋を受ければ、▲5三歩成△同金に▲7五歩と後手の薄くなった桂頭を攻めることができそうだ。 46 5六歩(55) ( 2:00/02:00:00) *15時50分の着手。 *先手の角のラインがそれたので△5六歩と伸ばす。後手の駒がさばけそうな感じもするが、先手も▲3七桂の活用が見込めそうだ。 *先手は▲5三歩成△同飛を利かすと後手の飛車先が通ってくるため、攻めの組み立てが難しいかもしれない。自然な▲2四角が利けばいいが、△5五角が飛車取りになってしまう。以下▲2六飛は△4四角、▲2五飛は△2二飛で先手の指し手が難しそうだ。 * *【千駄ヶ谷を歩く】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-baa0.html 47 3七桂(29) (54:00/03:38:00) *折田は54分の考慮で▲3七桂と跳ねた。桂を使った攻めが実現すれば先手が優勢になりそうである。とはいえ振り飛車の大駒が働きそうにも感じるため、難解な戦いが展開されるだろう。 48 5四飛(52) ( 3:00/02:03:00) *わずか3分で△5四飛と歩を取った。△5七歩成の筋を見せることで先手の角をさばかせにくくしている。また手番が回ってくれば△5七歩成▲同角に△6五桂〜△5六歩の攻めが狙い筋になっているようだ。ここで▲2二歩が気になるが、△5五角〜△3三桂がいい切り返しになるかもしれない。 *折田の残り時間が早くも1時間をきった。青嶋は3時間近く残している。 * *【消費時間に差がつく】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-b37a.html 49 2四角(68) (39:00/04:17:00) *39分の考慮で▲2四角と出た。残りは43分。△同角▲同飛に△5七歩成が見えているだけに大胆といえるだろう。先手としてはと金を作らせるが、飛車の成り込みに期待しているようだ。穴熊の先手玉は後手玉に比べて戦場から遠いため、5筋にと金を作らせるような激しい攻めに出ることができる。 50 6五桂(73) (20:00/02:23:00) *桂を跳ねて△5七歩成を見せる。▲3三角成と角を取ってくれば△同桂と桂を手順に逃げることができる。以下▲2一飛成と成り込まれてしまうが、桂を取られないので威力が半減するといった考え方である。 51 5九金(58) ( 0:00/04:17:00) *金を引いて未然に当たりを避けておく。 52 5七歩成(56) ( 5:00/02:28:00) *後手が5筋にと金を作って戦果を挙げる。5七のと金に負けなし、といった格言があるが、先手玉が遠いため、後手はこのと金を生かすことができるかどうか。 53 5八歩打 ( 0:00/04:17:00) *▲5九金と早逃げをしたのは▲5八歩の受けを見ていたからである。△5六ととさせればと金の活用を遅らせることができる。 *18時、この局面で青嶋が4分使って夕食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲折田4時間17分、△青嶋2時間32分。夕食の注文は折田四段がもやしそば(紫金飯店)、青嶋六段がオムハヤシ(LAITIER)。対局は18時40分に再開する。 * *【夕食休憩】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-d57e.html * *【夕食休憩中の対局室】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-48fb.html 54 5六と(57) ( 4:00/02:32:00) *対局再開。夕食休憩後の指し手。 *青嶋はと金を引いた。形勢に自信がなければ△5六歩とつないで、▲5七歩△同歩成▲5八歩△5六歩の千日手が考えられた。△5六とは優勢を意識しているのかもしれない。後手としては▲4五桂が怖い。以下△2四角は▲同飛が2一の桂取りになる。しかし、▲4五桂には△5五角と切り返して後手の調子がよさそうだ。 *対する折田はどう指すべきか。▲3三角成△同桂▲2二飛成と勝負に出るのだろうか。桂は逃がすものの、▲2二飛成が桂香の両取りだ。もしくは▲7九金と寄って玉を固める手も考えられる。次に▲6九金右で先手の穴熊を固めておき、来る勝負に備えるのも実戦的かもしれない。 *折田の残り時間が30分をきった。青嶋とは2時間以上の差がついている。 * *※局後の解説※ *黒沢怜生六段>と金を引いて、千日手を拒否した。居飛車穴熊は金銀が4枚いるが、形が悪く、それほど堅くはない。実戦的に後手が勝ちやすくなった。 55 3三角成(24) (17:00/04:34:00) *折田はこのタイミングで角を取った。 56 同 桂(21) ( 0:00/02:32:00) *角を取り返しながら手順に桂を逃げる。▲2一飛成がカラ成りになるため、後手としては味のいい展開といえる。 57 2三飛成(28) ( 0:00/04:34:00) *飛車の成り場所は2三だった。桂を守る△5五角には▲4五桂と跳ねる手がありそうだ。以下△4五同桂は▲4三竜と銀を取ることができる。手順に桂を逃がしたのは不満だが、飛車を成り込んだ利は大きく、形勢は互角といえるのではないだろうか。 * *【先手が竜を作る】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-9293.html 58 5五角打 (16:00/02:48:00) *桂を守りながら△3七角成を見た攻防手である。 59 4五桂(37) ( 0:00/04:34:00) *▲2三飛成からの継続手。△4五同桂は▲4三竜と銀を取ることができる。 60 4四銀(43) ( 0:00/02:48:00) *銀を逃げながら桂を支えた。▲3三桂成には△同銀を用意している。 61 3三桂成(45) ( 0:00/04:34:00) 62 同 銀(44) ( 0:00/02:48:00) *互いに桂を手持ちにした。▲4五角が好打に見えるが、飛車を逃げずに△8四桂と反撃に転じる可能性もあるだろうか。 *折田の残り時間は20分に。 63 3二竜(23) ( 7:00/04:41:00) *2三のままでは竜の働きが弱い。3二に入ることで後手玉を間接的ににらんでいる。次に▲4五角と打つことができれば攻めがつながりそうだ。▲4五角に△5三飛なら▲6三角成△同飛▲5四金が大駒の両取りになる。 *後手は△8四桂と打って攻めるのが形だが、どのタイミングで発動するべきか。いきなり△8四桂と打ち、▲4五角には△5二飛とぶつける手があるかもしれない。 *青嶋の残り時間が2時間になった。 64 8四桂打 (23:00/03:11:00) *青嶋は23分の考慮で△8四桂を決行した。この桂を打ったということは優勢を意識しているのかもしれない。 * *※局後の解説※ *黒沢怜生六段>急所の桂打ち。いつでも△7六桂から先手玉を寄せる筋があるのが大きく、後手が優勢になった。 65 7九金(69) ( 0:00/04:41:00) *金を7九に寄って8八の銀に連絡をつける。 66 5二飛(54) ( 0:00/03:11:00) *5九の金が離れたタイミングで飛車交換を挑んだ。▲5二同竜△同金となれば、後手は△5一歩の底歩が堅く、5筋に防波堤を築くことができる。 67 同 竜(32) ( 3:00/04:44:00) *先手は飛車交換に応じた。 68 同 金(61) ( 0:00/03:11:00) 69 4一飛打 ( 0:00/04:44:00) *交換した飛車を打ち下ろす。▲7一角が狙いだ。△5一歩に継続の攻めがあるかどうか。 70 5一飛打 ( 1:00/03:12:00) *強く飛車を合わせた。▲5一同飛成は△同金で、後に△4一歩や△4二銀と自陣を強化することができる。▲4五飛成と逃げられてしまいそうだが、△6二金寄がぴったりか。▲5六竜は△8八角成〜△5六飛と竜を素抜くことができる。 71 4五飛成(41) ( 0:00/04:44:00) *飛車を逃げた。このまま収まれば先手の竜が大きいが……。 72 6二金(52) ( 0:00/03:12:00) *やはりこの金寄りが好手のようだ。先手は▲5六竜とと金を取ることができない。 73 9五歩(96) ( 2:00/04:46:00) *桂と歩を2枚持ったので9筋から攻める。△9五同歩に▲9三歩△同香▲9四歩△同香▲8六桂の攻めを狙っている。 *後手は△1九角成と香を取って、▲9四歩に△9二香打と迎撃するのが振り飛車らしい指し回しかもしれない。 * *※局後の解説※ *黒沢怜生六段>アヤを求めた勝負手。 74 1九角成(55) (14:00/03:26:00) *香を取って△9二香打を用意する。香得の後手が優勢になったようだ。 75 9四歩(95) ( 1:00/04:47:00) *▲9五歩と突いた以上、▲9四歩と取り込むしかない。 76 9六香打 ( 1:00/03:27:00) *香を上から打って、先手玉に襲いかかる。△9四香〜△9一飛といった攻め筋を描いているのだろうか。 77 9三歩成(94) ( 1:00/04:48:00) *歩を成り捨てる。△9三同香に▲9七歩の受けを用意した。 78 同 香(91) ( 1:00/03:28:00) 79 9七歩打 ( 0:00/04:48:00) *王手で9四の歩を消して▲9七歩と打つ。だが、9四香の利きを通してしまったといった見方もできる。受けの勝負手といえよう。 80 4四歩打 ( 0:00/03:28:00) *歩を打って竜を移動させる。 81 2五竜(45) ( 0:00/04:48:00) 82 2四歩打 ( 0:00/03:28:00) *さらに竜を追う。先手は竜をどこに行っても中途半端な位置になってしまう。 * *※局後の解説※ *黒沢怜生六段>端を受け止めたあとは竜を追いかける。丁寧な指し回しでリードを広げる。 83 6五竜(25) ( 0:00/04:48:00) *何と、竜をきってしまった。竜を逃げ回るようでは勝ち目がないと見た勝負手かもしれない。 84 同 歩(64) ( 0:00/03:28:00) *▲桂△飛香で、後手が大きな駒得になった。 * *【後手が駒得】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-ec54.html 85 9六歩(97) ( 0:00/04:48:00) *香を取り返して駒損を少し回復する。しかし、先手は飛車を失ったのが痛そうだ。 86 7六桂(84) ( 1:00/03:29:00) *ついに本丸に手がついた。▲7七銀左に△5五馬が厳しいか。 *折田の残り時間が10分になった。 *後手玉は1九馬の利きもあって、鉄壁である。 87 9五歩(96) ( 5:00/04:53:00) *鉄壁の後手玉に対して、先手の利がある場所は9筋である。▲9五歩と伸ばしてチャンスを待つ。 *だが、△2九飛が厳しそうだ。▲6九金右には△6六歩▲同歩△6八歩が痛打となる。 88 2九飛打 ( 3:00/03:32:00) *やはりこの飛車打ちが厳しい。 89 4九桂打 ( 0:00/04:53:00) *▲6九金右は△6六歩の筋がある。折田は4九に桂を打って踏ん張る。手番が回ってくれば▲8五桂と反撃することができる。 90 8四歩(83) ( 3:00/03:35:00) *懐を広げる振り飛車の手筋。▲8五桂を消しながら、△8三銀と上がる受けを用意している。▲9四歩には△同香▲同香△9三歩▲同香成△同玉で、青嶋は先手の攻めが続かないと見ているのだろう。 91 9六香打 ( 4:00/04:57:00) *残り3分まで考えて▲9六香打と9筋を強化した。もちろん狙いは▲9四歩である。 92 7三玉(82) ( 2:00/03:37:00) *玉を早逃げして▲9四歩の攻めを未然に回避する。▲9四歩には△8八桂成▲同金に△7九銀と攻めてどうか。 * *※局後の解説※ *黒沢怜生六段>先手が端に勢力を集めたところで受け流しにいく。△7三玉〜△6四玉がやわらかい発想で、場合によっては入玉を目指す。 93 9四歩(95) ( 0:00/04:57:00) *後手は予定通り▲9四歩と攻める。 94 同 香(93) ( 0:00/03:37:00) *▲9三歩成を許してはいけない。 95 同 香(96) ( 0:00/04:57:00) *こう進むと△7三玉の早逃げが生きている。 96 6四玉(73) ( 0:00/03:37:00) *青嶋はさらに玉を逃げ出す。▲9三香成〜▲8二角を未然に消している。 * *【後手が勝勢に】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-ec08.html 97 7七銀(88) ( 1:00/04:58:00) *ここで銀を逃げる。▲7六銀と桂を外すことができれば粘りが増してくる。 98 7五歩(74) ( 1:00/03:38:00) *歩を突いて桂を支える。とにかく後手玉が広くて捕まらない。 99 3五歩(36) ( 0:00/04:58:00) *懸命に手をつなぐ。次に▲3四歩△同銀となれば▲4二角が王手飛車になる。 *後手は方針を定める必要がある。△5四玉〜△4五玉〜△3六玉と入玉を目指すのか。それとも△5四玉と寄ってから△6六歩▲同歩△6七歩と攻めるのか。 100 9七歩打 ( 5:00/03:43:00) *この手で100手に達した。△9七歩までの消費時間は、▲折田4時間58分、△青嶋3時間43分。 *△9七歩は手筋のタタキ。▲9七同香とさせれば先手玉の退路を塞ぐことができる。 101 同 香(98) ( 0:00/04:58:00) 102 4七と(56) ( 0:00/03:43:00) *上部を開拓しながら飛車の利きを通して△5八とを見せる。 103 3四歩(35) ( 0:00/04:58:00) *折田は懸命に手を作っていく。 104 4六馬(19) ( 0:00/03:43:00) *△4七とからの継続手。7九の金を狙う。 105 5七歩(58) ( 0:00/04:58:00) *歩を突いて馬の利きを遮る。だが、△5七同飛成の強手があるかもしれない。▲5七同桂は△5九竜と金を取ることができる。△9七歩▲同香を利かしたのは、この変化になったときに先手玉を狭くさせているといえる。 106 4二銀(33) (11:00/03:54:00) *11分使って銀を逃げる。後手はどこで見切りをつけるか。 107 4三歩打 ( 0:00/04:58:00) *△4三同銀は▲4二角で王手飛車が掛かる。△5三銀と逃げれば飛車先が止まってしまう。 108 5七飛成(51) ( 3:00/03:57:00) *ついに△5七飛成を決行した。 * *※局後の解説※ *黒沢怜生六段>決め手。ギアを上げて寄せにいった。 109 同 桂(49) ( 0:00/04:58:00) *▲5七同桂は仕方がないところ。 110 5九飛成(29) ( 0:00/03:57:00) *7九の金取りになっている。▲6九金には△5七竜と桂を取るのが攻防になる。 *折田はこの局面で一分将棋になった。 111 6九金(79) ( 1:00/04:59:00) *後手がリードを拡大していく。 112 同 竜(59) ( 1:00/03:58:00) *決断の一着。竜を切って決めにいく。 113 同 銀(78) ( 0:00/04:59:00) *後手玉は飛車を2枚渡しても捕まらない。 114 5七と(47) ( 0:00/03:58:00) *桂を補充する。先手玉が詰めろになっているようだ。 115 4二歩成(43) ( 0:00/04:59:00) *▲4二歩成と銀を取ってゲタを預けた。 116 8八金打 ( 0:00/03:58:00) *この局面で折田が投了した。終局時刻は21時26分。消費時間は▲折田4時間59分、△青嶋3時間58分。勝った青嶋は次戦で4組優勝の梶浦宏孝七段と対戦する。 *投了以下、▲8八同銀△同桂成▲同玉△7六桂▲7八玉△6八と▲7七玉△8八銀▲8六玉△8五金まで先手玉は詰み。 * *【青嶋六段が初戦を突破】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-c2b3.html * *【感想戦】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2021/06/post-10da.html * *※局後の解説※ *黒沢怜生六段>先手としては5筋にと金を作られてしまう展開になったので、穴熊に組みにいったのが危険だった可能性がある。仕掛けからリードを奪った青嶋六段が丁寧な指し回しを続け、快勝譜となった。 117 投了 ( 0:00/04:59:00) まで116手で後手の勝ち