# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.52 棋譜ファイル --- 対局ID:11095 記録ID:5f55d48b2788120004dd7e45 開始日時:2020/09/19 10:00 終了日時:2020/09/19 21:31 表題:竜王戦 棋戦:第33期竜王戦挑戦者決定三番勝負 第3局 戦型:一手損角換わり 持ち時間:各5時間 消費時間:99▲266△287 場所:東京・将棋会館 備考:昼休前41手目11分・夕休前69手目5分\n 振り駒:3,0,羽 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:00〜12:40 夕食休憩:18:00〜18:40 昼休前消費時間:41手11分 夕休前消費時間:69手5分 手合割:平手   先手:羽生善治九段 後手:丸山忠久九段 手数----指手---------消費時間-- *豊島将之竜王への挑戦を目指す第33期竜王戦挑戦者決定三番勝負第3局は、9月19日10時に東京・将棋会館の特別対局室で指される。羽生善治九段(1組優勝)と丸山忠久九段(2組2位)による争いは、本局の勝者が挑戦権を得る。持ち時間は各5時間。第3局は羽生の振り歩先による振り駒で先後を決める。 *二人は9時50分前には対局室入り。ともに大橋流で駒を並べる。振り駒は歩が3枚。羽生の先手に決まった。 * *【お知らせ】 *本局の感想戦取材はありません。 *https://twitter.com/shogi_mobile/status/1247034286126985218 *終局後、阿部健治郎七段による解説を掲載いたします。記載箇所は6手目、13手目、15手目、16手目、22手目、24手目、25手目、28手目、31手目、38手目、39手目、42手目、52手目、55手目、61手目、65手目、71手目、75手目、76手目、77手目、78手目、79手目、82手目、83手目、88手目、90手目、93手目、94手目、最終手です。 *(棋譜・コメント入力=銀杏) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手] 1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *羽生が歩をつまむと、カメラマンが「バシャバシャ」と一斉にシャッターを切った。 * *竜王戦は読売新聞社が主催する棋戦。特別協賛は野村ホールディングス株式会社、協賛は東急グループ、株式会社UACJ、旭化成ホームズ株式会社。 *予選のランキング戦を1組から6組に分けて行い、優勝者や上位進出者の計11人が決勝トーナメントで挑戦者を争う。竜王と挑戦者による七番勝負は、例年10月から12月にかけて行われる。優勝賞金は棋界最高の4400万円。現在のタイトル保持者は豊島将之竜王。 *【竜王戦 : 囲碁・将棋 : ニュース : 読売新聞オンライン】 *https://www.yomiuri.co.jp/igoshougi/ryuoh/ *【ホーム - 野村グループ】 *https://www.nomura.com/jp/ *【東急グループサイト】 *https://tokyugroup.jp/ *【グローバル アルミニウム メジャーグループ 株式会社UACJ】 *https://www.uacj.co.jp/ *【ヘーベルハウス | 住宅メーカー・注文住宅 | 旭化成ホームズ】 *https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/index.html/ 2 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) *丸山の2手目にもカメラマンがシャッターを切る。 * *本局は将棋プレミアムとABEMAで中継される。いずれも9時50分放送開始。 *将棋プレミアムは15時から中村太地七段と飯野愛女流初段による解説がある。 *ABEMAの解説と聞き手は、深浦康市九段、澤田真吾六段、阿部光瑠六段、上田初美女流四段、山口恵梨子女流二段。澤田六段は昨日の竜王戦2組昇級者決定戦で八代弥七段に勝った。 *【第33期竜王戦挑戦者決定三番勝負第3局 羽生善治九段(1勝)−丸山忠久九段(1勝)|将棋プレミアム】 *https://www.igoshogi.net/shogipremium/live/live_info.html?live_id=7030c679518769f4fd27f1fa00a389d3 *【ABEMA】 *https://abema.tv/channels/shogi/slots/AypTtz8u7ZaPiw *【第33期竜王戦ランキング戦2組】 *https://www.shogi.or.jp/match/ryuuou/33/2hon.html#syou 3 2六歩(27) ( 1:00/00:01:00) *◆羽生 善治(はぶ よしはる)九段◆ *1970年9月27日生まれ、埼玉県所沢市出身。(故)二上達也九段門下。1985年、四段。1994年、九段。棋士番号は175。 *タイトル戦登場は136回。獲得は竜王7期(永世竜王)、名人9期(十九世名人)、王位18期(永世王位)、王座24期(名誉王座)、棋王13期(永世棋王)、王将12期(永世王将)、棋聖16期(永世棋聖)の計99期。棋戦優勝は45回。 4 8八角成(22) ( 0:00/00:00:00) *丸山は一手損角換わりを用いた。後手番でよく指している作戦だ。角交換のタイミングはさまざまあるが、丸山は4手目に△8八角成とすることが多い。双方の形が決まっておらず、手広く指すことができる。互いにどの手札を出すか、序盤の駆け引きが最初の注目ポイントになる。 * *◆丸山 忠久(まるやま ただひさ)九段◆ *1970年9月5日生まれ、千葉県木更津市出身。(故)佐瀬勇次名誉九段門下。1990年、四段。2000年、九段。棋士番号は194。 *タイトル戦登場は10回。獲得は名人2期、棋王1期の計3期。棋戦優勝は12回。 5 同 銀(79) ( 0:00/00:01:00) *■ABEMA■ *澤田真吾六段>一手損角換わりでも、4手目、6手目、8手目に交換するタイミングがあるのですが、4手目が多いです。 6 2二銀(31) ( 0:00/00:00:00) *3手目と4手目の棋譜コメントで対局者のプロフィールを紹介したが、丸山は5日に50歳を迎えた。羽生も27日に50歳となる。50代の棋士が竜王戦七番勝負に登場するのは初めてのこと。これまでの最年長登場者は、第31期の羽生で当時48歳。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>4二や3二に銀を上がる手もある。 7 4八銀(39) ( 0:00/00:01:00) *羽生の本年度の成績は8勝6敗(0.571) *通算成績は1464勝614敗(0.705) *羽生は通算勝率7割超えのまま、27日に50歳を迎える。驚異的な記録である。 *(未放映のテレビ対局を除く) 8 6二銀(71) ( 0:00/00:00:00) *丸山の本年度の成績は11勝8敗(0.579) *通算成績は932勝545敗(0.631) *(未放映のテレビ対局を除く) 9 2五歩(26) ( 0:00/00:01:00) *過去の対戦成績は羽生39勝、丸山20勝。 *羽生先手の場合は、羽生21勝、丸山9勝。 *羽生後手の場合は、羽生18勝、丸山11勝。 10 3三銀(22) ( 0:00/00:00:00) *竜王戦の挑戦者決定三番勝負で第3局を迎えるのは21回目となる。特に第20期以降では、第2局で挑戦者が決まったのは第23期のみ。伯仲する実力者が勝ち上がっているといえそうだ。 *過去20回の成績を見ると、挑戦者決定三番勝負第3局は先手側が15勝5敗と高い勝率を挙げている。重要な対局で先手番は大きいようだ。 *なお、挑戦者決定三番勝負の第1局と第2局が後手勝ちなのは前期と同じ星取り。 11 3六歩(37) ( 0:00/00:01:00) *今期竜王戦七番勝負の日程や対局場は8月に発表された。詳しくは下のリンクを参照いただきたい。第1局は10月9・10日に東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」で指される。 *【第33期竜王戦七番勝負 日程・開催地の発表|日本将棋連盟】 *https://www.shogi.or.jp/news/2020/08/33_4251.html 12 6四歩(63) ( 0:00/00:00:00) *本局の観戦記は飯島栄治七段が担当する。将棋監修を務めた、柚月裕子さんの小説『盤上の向日葵』が文庫化され、9月24日に上下巻が発売される。 *読売新聞では、18日から小暮克洋さんによる準々決勝の佐藤和俊七段(1組2位)−丸山戦の観戦記が掲載されている。 *【9月観戦記情報】 *https://www.shogi.or.jp/news/2020/09/9_25.html 13 3七銀(48) ( 0:00/00:01:00) *羽生は早繰り銀を目指す。手得していることを急戦にして生かそうとしている。 *挑戦者決定三番勝負第1局と似た駒組みだが、1筋の端歩を突き合っていないこと、先手は▲7七銀を省略していることが異なる。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>▲7七銀もあるが、最近は▲3七銀から▲6八玉が多い。△5五角を防いでいる。 14 6三銀(62) ( 0:00/00:00:00) *今日は土曜日で、東西の対局は本局のみ。 *21日は敬老の日、22日は秋分の日のため、世の中は今日から4連休だ。羽生は22日に藤井聡太二冠との王将戦挑戦者決定リーグ戦も予定されている。 15 6八玉(59) ( 0:00/00:01:00) *東京の天気は曇り。昼過ぎから時々雨が降ると予報されている。予想最高気温は27度。厳しかった残暑も過ぎて、秋めいてきた。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>▲3五歩△同歩▲4五角は、△5四銀▲2三角成△4五角で後手有利。 16 5四銀(63) ( 0:00/00:00:00) *丸山のお盆の上に、水やお茶のペットボトルが3枚ずつ置いてある。羽生のお盆には水と麦茶が見える。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>ここら辺から、後手は毎局駒組みを少しずつ工夫する。 17 7八玉(68) ( 0:00/00:01:00) *挑戦者決定三番勝負第1局のように▲7八金から▲7七銀という駒組みも考えられた。▲7八玉は横からの攻めに強い構えだ。7八玉型は相矢倉戦の早囲いや対振り飛車の舟囲いで見られる。 *■ABEMA■ *澤田真吾六段>ここは分岐点ですね。△4四歩として▲4六銀なら△4五歩と追い返す手。もう一つは△8四歩と攻撃態勢を整える手です。 18 4四歩(43) ( 0:00/00:00:00) *丸山は今期竜王戦のランキング戦2組決勝佐々木勇気七段戦や、挑戦者決定トーナメントの藤井聡太棋聖(肩書は当時)戦で同じ局面を指している。 19 5八金(49) ( 1:00/00:02:00) *対局前、丸山が座布団の変更を要望。羽生も同調し、二人は厚みのあるものに変えた。 * *【朝の様子〜開始前】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/post-53b0.html *【対局開始】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/post-75cb.html 20 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) 21 2六銀(37) ( 1:00/00:03:00) *▲4六銀は△4五歩が待ち構えているので▲2六銀と繰り出す。こうした戦型では部分的に見かける指し方だ。 22 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00) *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>早い戦いが予想されるため、飛車先を保留する意味がない。 23 7七銀(88) ( 0:00/00:03:00) 24 9四歩(93) ( 0:00/00:00:00) *丸山は序盤をノータイムで指し続ける。手損の不利は経験で補う。挑戦者決定三番勝負では際立っている。 *この局面の1号局は、昨年11月の▲澤田六段−△丸山戦。その将棋は▲6八金上△9五歩▲1五銀△2二飛▲2六銀△8二飛から千日手になった。 *■ABEMA■ *澤田真吾六段>玉の横に2枚の金がいる後手陣が妙に堅いんですよ。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>1歩入れば、△8六歩▲同歩△8五歩▲同歩△9三桂を狙える。 25 6八金(69) ( 1:00/00:04:00) *ここで丸山は時間を使っている。右手に握った扇子を左ももに突き立て、その上に左ひじを載せる丸山スタイルで熟考。身動きもほとんどしない。鍛えられた、たくましい左腕が目立つ。 *10時30分過ぎ、係が昼食の注文を取りに入った。羽生は20秒ほどで注文していたが、丸山は昼食選びに時間を使っている。土曜日、そして4連休。店の選択肢が平日と異なるようだ。3分以上考えて丸山は注文を決めた。昼食も含めて序盤の勝負どころ。 *前例は△9五歩や△1四歩の様子見。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>上部に備えて価値ある一手。 26 1四歩(13) (27:00/00:27:00) *10時48分、丸山はあぐらから正座になり、△1四歩を着手。そして席を外した。 *△1四歩は▲1五銀を防いで手堅い。ただし、△2二飛で受かるなら突く必要はなく、24手目に△1四歩でなく△9四歩とした理由でもある。このあたりの駆け引きは複雑でわかりにくい。 *同一局面は3局で、先手3勝。丸山は2局経験している。先手の駒組みは飽和点に近い。▲5六歩は△3九角が生じるし、▲6六歩は△6五歩の争点になる。そこで、3局とも▲3五歩と攻めた。 27 3五歩(36) ( 6:00/00:10:00) *【戦型は一手損角換わり】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/post-7610.html 28 3二金(41) ( 3:00/00:30:00) *▲3五歩と歩がぶつかってから△3二金がこの場合のタイミング。早く△3二金とするのは手堅いようで、当たりが強くなったり、△2二飛と受けられなくなったりする意味もある。そのため、先手が▲1五銀から▲2四歩の銀交換を目指しやすくなる。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>△4三銀より柔軟性があり、棒銀に対しては有力な受け方。 29 3四歩(35) ( 6:00/00:16:00) *11時05分の着手。▲3四歩までの消費時間は、▲羽生16分、△丸山30分。 30 同 銀(33) ( 1:00/00:31:00) 31 3七銀(26) ( 0:00/00:16:00) *銀の特徴はしなやかな動き。▲3四歩から▲3七銀は部分的によくある指し方。これで▲2四歩からの歩交換を目指す。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>手損だが歩交換をして、後手のバランスを乱す。 32 3三桂(21) ( 1:00/00:32:00) *△3三金とすれば歩交換を受けられるが、居玉のまま積極的に進める。 33 2四歩(25) ( 7:00/00:23:00) 34 同 歩(23) ( 0:00/00:32:00) 35 同 飛(28) ( 0:00/00:23:00) 36 2三金(32) ( 0:00/00:32:00) *銀取りと▲2一飛成を受ける。ただ、好形といいがたいので、こうした展開を避ける向きがあった。最近は相掛かりや角換わり腰掛け銀で8七や2三に金を移動させる指し方が出て、評価が変わりつつある。 37 2八飛(24) ( 0:00/00:23:00) 38 2四歩打 ( 1:00/00:33:00) *6月に指されたB級1組の▲千田翔太七段−△丸山戦と同じ進行をたどっている。先手は△4五桂や△4五銀右が気になる。そこで、千田七段は▲4六歩と突き、丸山は△3五歩と3筋の位を取っていた。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>形が乱れたが駒損はしていない。また、後手は沢山指している。先後どちらにも主張のある将棋。 *【『盤上の向日葵』が文庫化】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/post-2cdb.html *【盤上の向日葵(上)】 *https://www.chuko.co.jp/bunko/2020/09/206940.html *【盤上の向日葵(下)】 *https://www.chuko.co.jp/bunko/2020/09/206941.html 39 3六歩打 (11:00/00:34:00) *11時30分ごろ、羽生は▲3六歩と打ち、席を立った。丸山は正座からあぐらになって熟考の気配。▲3六歩は3四銀にプレッシャーをかけている。 *■ABEMA■ *澤田真吾六段>▲3五歩も考えられましたが、△同銀▲3六歩△2五桂▲3五歩△3七桂成▲同桂△3六歩で手が見えませんでした。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>先手は最善形に近いため戦いたい。拠点を作る。 *【前例を離れる】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/11-d598.html 40 9五歩(94) (18:00/00:51:00) *11時48分の着手。3筋にプレッシャーがかかっているが、よそ見をしているかのような△9五歩。▲9六歩を消して、間合いを詰める。▲4六銀から攻めてきても大丈夫と判断している。 *ABEMAでは、澤田六段と阿部光瑠六段が▲4六銀に△4五歩▲3五銀△同銀▲同歩△5五角の変化を調べている。 *羽生が11分使ったところで、昼食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲羽生45分、△丸山51分。 *昼食の注文は羽生が鶏むね肉のカレー照り焼き(鳩やぐら)。丸山は鶏むね肉のカレー照り焼き、納豆オムレツ(鳩やぐら)。たんぱく質をタップリ取れるメニューだ。 *12時40分対局再開。再開直後に丸山が戻ってきた。羽生はしばらく席を外したままだ。羽生は12時46分ごろ戻ってきた。上着を脱ぐ。12時53分、羽生は棋譜を借りた。 *【昼食休憩】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/post-bc24.html *【昼食休憩時の対局室】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/post-e82f.html 41 4六歩(47) (29:00/01:03:00) *12時58分、羽生は歩を高く持ち上げ、押しつけるようにして▲4六歩を着手した。▲2六銀から▲3五銀や▲3五歩の筋を作っている。後手は駒を多く動かしているが、居玉でもあり、まとめにくい陣形だ。丸山がどう指し進めるか。△4二玉から△5二金などとするのは自然だが、相手の攻め駒に近づく意味もある。 *控室では、飯島七段が38手目コメントで記した▲千田−△丸山戦を調べている。飯島七段は先手側を持ってみたいという。 *【昼食休憩明け】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/post-7c34.html 42 4五歩(44) (30:00/01:21:00) *居玉の丸山から打って出た。非常に好戦的だ。▲4五同歩に△8六歩とすればさらに激しい。羽生は25分以上考えている。▲4六歩と突いたときに、△4五歩をどのくらい予想していただろうか。 *■ABEMA■ *澤田真吾六段>▲3五歩に△同銀▲3六歩△4四銀と逃げられるようにしています。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>不安定な形に見えるが、仕方ない意味もある。 43 同 歩(46) (28:00/01:31:00) *13時55分、羽生はあぐらから正座になって▲4五同歩と応じる。丸山は微動だにせず、盤面を見つめている。14時ごろ、丸山はあぐらになり、大きな扇子を開いてあおぐ。羽生は扇子を用意しているが、「責」(扇子を留めるための紙の帯)をつけたまま広げずにいる。 44 同 銀(34) ( 9:00/01:30:00) *14時05分の着手。△4五同銀左までの消費時間は、▲羽生1時間31分、△丸山1時間30分。 *この手を見た羽生は棋譜を確認する。 *丸山は紙コップをお盆に置く。2階の自動販売機で買った飲料のようだ。羽生は栄養ゼリー飲料を飲む。羽生はここ1年ほど、栄養ドリンクや栄養ゼリーを対局に導入している。 45 4六歩打 ( 6:00/01:37:00) *飯島七段は▲4七金も有力視していたが、△6五歩の味がよかった。△6四角のほか、△6六歩▲同歩△6五歩と攻める筋が生じる。羽生は銀を押し返す。 46 3四銀(45) ( 3:00/01:33:00) 47 2六銀(37) ( 0:00/01:37:00) *羽生も攻めを狙う。▲3五銀とぶつけるつもりだ。▲2六銀以下、△3八歩▲3五銀△同銀▲同歩△3九歩成▲3四歩が飯島七段が示した手順。こう進めば激しくなる。 *ABEMAでは△8六歩▲同銀△6五銀の筋を示している。機を見て△7六銀から先手玉を目がけてなだれ込む狙いだ。 48 9二角打 (28:00/02:01:00) *14時45分ごろ、丸山が△9二角を指すと、モニターを見た飯島七段が驚きの声を上げた。 *△3八歩や▲3五銀に△同銀▲同歩△3九銀▲2六飛△3八角成といった狙いがある。しかし、9二に角を打つと、後手はしばらく9筋から攻めていけない。それまでの指し手との関連が薄いわけで、ひねった印象を受ける。「遠見の角に好手あり」といわれるが、本局の命運をかけた角打ちといえるだろう。 *なお、丸山は藤井聡棋聖(当時)戦では、△7四角と打ってペースをつかんだ。 *羽生は大きく息をついて考え込む。そして、棋譜を借りる。▲3五銀からの変化で先手が指せるなら、自然でわかりやすい。ほかに▲5六歩も有力だ。 *15時15分、深浦康市九段が控室を訪れた。今日のABEMA解説陣の一人だ。 *【東京・将棋会館1階 販売コーナー】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/post-bf48.html *【遠見の角】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/post-cc29.html 49 3五銀(26) (38:00/02:15:00) *飯島七段は▲3五銀で先手が指せるのではとみている。棒銀をさばく自然流の一手。▲2四銀や▲3四銀△同金▲3五歩の狙いがあるため、後手は放置するわけにいかない。 50 同 銀(34) ( 7:00/02:08:00) 51 同 歩(36) ( 1:00/02:16:00) *後手は9二角を最大限に生かして反撃したい。▲3五同歩に△3七歩▲5六歩が予想されている。 52 3七歩打 ( 1:00/02:09:00) *力を込めた様子で歩を垂らした。▲5六歩に△同角なら、そこで▲3四銀と打ち込む。△3八歩成▲2七飛△3六銀と追われても、▲5七飛が角取りになるのが▲5六歩の効果だ。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>48手目△9二角は△3七歩に期待している。 *【15時過ぎの控室】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/15-e0a9.html 53 5六歩(57) ( 4:00/02:20:00) *大きく手を舞わせて▲5六歩が指された。△同角と取らせて、「大駒は近づけて受けよ」の軽い手筋だ。5筋に歩がいなくなると、攻めては▲5二歩や▲5五歩、守っては▲5九歩の底歩と、歩の使い道がグンと増える意味もある。 *羽生は着手してから「1枚見せてください」と記録係に告げて、棋譜を借りる。十数秒ほどで返すことも多いが、ここでの羽生は1分近く棋譜を見ていた。飯島七段は対局室に入って観戦する。丸山は扇子であおいでいる。丸山は40分以上使っている。本局いちばんの長考となった。 *■将棋プレミアム■ *中村太地七段>△5六同角なら▲4七銀△9二角▲3四歩△同金▲3五歩が先手の狙い筋です。角取りに▲4七銀と打つための▲5六歩だと思います。 54 同 角(92) (47:00/02:56:00) *16時26分ごろ、丸山は△5六同角と応じて、席を外した。 55 4七銀打 ( 2:00/02:22:00) *がっちり打って角を弾く。これで角取りをかけつつ△3八歩成を防ぐことに成功した。控室では当初▲3四銀が検討されていたが、▲4七銀のほうが後手の攻めを消していいようだ。 *※局後の解説※ *冷静な手。次の▲3四歩に期待している。▲3四銀と攻めるより効率がよい。 56 9二角(56) ( 1:00/02:57:00) *52手目△3七歩の局面と比べて、先手の5七歩が4七銀に置き換えたことになる。これにより、手順に△3八歩成を防ぐことができた。先手は銀を手放しても、▲3四歩△同金▲3五歩と歩を使えば攻めが続く。 *16時33分、係が夕食の注文を取るために対局室に入る。昼食のときと同様に、サッと注文する羽生と熟考する丸山。対照的だ。 *【懐かしの棋書】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/post-296e.html *【羽生九段がリードを奪う】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/post-9f24.html 57 3四歩(35) ( 8:00/02:30:00) 58 同 金(23) ( 2:00/02:59:00) *△2五桂は▲4四角があるので、歩を取るのは仕方ない。 59 3五歩打 ( 1:00/02:31:00) *軽妙な手筋が丸山を襲う。△3五同金は▲2四飛、△2五金は▲4四角や▲3四歩。いずれもパンチが入っている。形勢は先手よしとみられる。丸山は手をひねり出さねばまずい。 *16時45分ごろ、夕食の情報が控室にもたらされた。羽生はもやしそば(紫金飯店)。丸山は酢豚丼、ワンタンスープ(紫金飯店)。 60 2五金(34) ( 2:00/03:01:00) *△3五同金▲2四飛で飛車をさばかれては、後手玉はひとたまりもない。ただ、△2五金は▲3四歩が見えている。ABEMAで深浦康市九段が「羽生さんはと金作りの名手ですからね」という。 *深浦九段と阿部光六段が▲3四歩に△4五桂の勝負手を調べている。▲4五同歩なら△4六歩▲同銀△3八歩成という意味だ。ただ、桂を取ってもらえないと後手の攻めは難しい。 *16時56分、羽生は再び栄養ゼリー飲料を飲む。 61 4四角打 (18:00/02:49:00) *▲4四角は飯島七段が示していた。△4二銀と受けても▲3四歩でかえって当たりが強くなる。 *■ABEMA■ *深浦康市九段>羽生さんは△6二玉に▲3三角成〜▲1一馬〜▲6六馬〜▲8四香という筋を目指しているのでしょう。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>先手優勢がはっきりした。局面を分かりやすくする手順が参考になる。 62 6二玉(51) ( 2:00/03:03:00) *▲5三角成とされると、後手玉は息苦しくなるところだった。丸山は△6二玉の早逃げで▲5三角成を受ける。とかげの尻尾切りで、3三桂は諦めた。 63 3三角成(44) ( 8:00/02:57:00) *形勢の判断要素として、駒の損得、駒の働き、玉の堅さ、手番が挙げられる。▲3三角成の局面を見ると、先手が桂得かつ玉が堅い。優位な要素の多い先手が優勢といえる。 64 3八銀打 ( 2:00/03:05:00) *丸山は食らいついて、攻めに活路を見いだそうとする。羽生は扇子を握りしめるが、まだ責をつけたままで開くことはない。体を前後にゆらゆらと揺らしながら考えている。 *控室では角の利きを止める▲5六桂が示されている。将来▲6四桂と跳ねる手があるため、遊び駒にはならない。 *17時40分過ぎ、丸山は扇子で肩をたたく。扇子で頭をたたく棋士もいる。 65 3七桂(29) (30:00/03:27:00) *夕食休憩が近づいてきた17時49分、羽生は▲3七桂を指した。△4七銀成と取らせる強手だ。後手は△4七銀成▲2五桂△3七成銀▲2六飛△1五銀で飛車を取れる。ただ、▲1一馬△2六銀▲6六馬と引きつければ先手が指せそうだ。 *席を外していた丸山は、戻ってくるとすぐに棋譜を借りた。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>▲5七金左と数で受けるより筋がいい。 66 4七銀成(38) ( 3:00/03:08:00) 67 2五桂(37) ( 0:00/03:27:00) 68 5八成銀(47) ( 1:00/03:09:00) *夕食休憩の前にパタパタと指し手が進む。△5八成銀は△3七成銀の選択肢もあったので、丸山が休憩にするかと思われたが、1分で指した。 *17時58分ごろ、両対局者が席を立つ。早めに休憩に入ったようだ。羽生が18時まで考えたことにして消費時間に加える。消費時間は▲羽生3時間32分、△丸山3時間9分。夕食は羽生がもやしそば(紫金飯店)。丸山は酢豚丼、ワンタンスープ(紫金飯店)。対局は18時40分再開。 *羽生は18時38分に戻ってきて、棋譜を確認した。そして、カバンから扇子や栄養ドリンクを取り出す。 *【夕食休憩】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/post-d57e.html *【夕食休憩時の対局室】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/post-0226.html 69 同 飛(28) ( 5:00/03:32:00) *羽生は対局が再開されると、すぐに▲5八同飛と取った。▲5四飛△同歩▲4四馬で一気に寄せる順が含みにある。 *丸山は羽生が着手したタイミングで対局室に戻ってくる。 70 4七角成(92) ( 1:00/03:10:00) 71 7五桂打 ( 0:00/03:32:00) *この手を見た丸山は水をコップにつぐ。次こそ▲5四飛△同歩▲4四馬がある。ここで△7四銀は▲8三銀△同銀▲5四飛△同歩▲4四馬と構わずに強襲されるので、△5八馬▲同金△7四銀が予想されている。▲7五桂は▲8三銀の筋も見ているため、飛車を取っても後手は受けなればならない。 *【クサビの桂打ち】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/post-c8df.html *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>急所の桂打ち。部分的に7三歩の陣形をとがめている。 72 5八馬(47) (17:00/03:27:00) *9二に打った角がさばけたが、ほかの部分での借金が大きい。 73 同 金(68) ( 0:00/03:32:00) *先手陣がさっぱりした。こうしてみると、3三馬や7五桂で後手玉に迫っている分だけ、先手が先んじているのがわかる。 *▲8三銀が厳しいため、後手は受ける必要がある。△7四銀は「桂先の銀、定跡なり」で格言通りの受け。 74 2八飛打 (14:00/03:41:00) *△2八飛に▲5九歩と条件反射で打ちたくなるが、羽生は慎重に時間を使っている。 *■ABEMA■ *阿部光瑠六段>これは▲5九歩に△7二銀ですか。単に△7二銀だと、▲5二歩の詰めろが利きます。 75 6八金打 (12:00/03:44:00) *まったく予想になかった手が出てきた。高い駒音で▲6八金打と固めた。歩は▲5五歩や▲5二歩のように、攻めに使うつもりか。なお、ここで△2九飛成は詰めろだが、そこで▲5九歩と受けられると▲4七角の筋が生じて、後手は▲8三銀がより厳しくなってしまう。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>▲5九歩(底歩)もあるが、77手目に期待した。 76 7四銀打 (10:00/03:51:00) *ここ数手、互いに10分以上考えて指している。特に丸山は3手連続で10分以上使った。手段を探している様子がうかがえる。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>受けるならこの一手。 77 4七角打 ( 2:00/03:46:00) *▲8三銀を狙いながら、△2九飛成を消す攻防手。▲6八金打と相まって手堅い指し回しに感じる。▲4七角は▲1一馬から▲2九香の含みもある。 *19時50分、丸山は残り1時間になった。考慮中に羽生は麦茶を紙コップにつぐ。20時5分ごろ、控室に常務理事の鈴木大介九段が訪れた。「▲6八金打から▲4七角は勝負将棋の感じがします。万全を期していますよね」と鈴木九段。20時10分ごろ、羽生が栄養ドリンクを飲む。丸山は考慮中に残り40分を切った。 *■将棋プレミアム■ *中村太地七段>74手目△2八飛で単に△7四銀だと▲5五歩△6三銀左▲4四銀のような攻めを嫌ったと思います。先手に歩を使わせようとして飛車を打ちましたが、▲6八金打から▲4七角で2八飛が目標になっており、とがめられた意味があります。なんだか、急に後手がきつく感じてきました。 *■ABEMA■ *深浦康市九段>▲6八金打から▲4七角は羽生流ですね。基本的に手堅い人ですよね。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>75手目を▲5九歩(底歩)に代えると△5七金があった。 *【攻防の角】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/post-193e.html 78 6五銀(54) (38:00/04:29:00) *20時20分、丸山は38分の長考で、攻めに活路を見い出そうとする。金を温存して、△3七金や△7五銀▲同歩△5六桂を狙う。受け一方ではダメとみた勝負手だ。羽生も時間を使う。 *20時27分、将棋プレミアムの解説を務める中村太地七段が休憩時間を利用して控室へ。仕事を終えた中村真梨花女流三段も控室を訪れた。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>先手玉にプレッシャーをかける。 *【20時30分ごろの控室】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/2030-3acf.html 79 1一馬(33) ( 9:00/03:55:00) *▲6五角△同歩▲6四香を狙っている。ここで後手が攻めてきても大丈夫と判断した。丸山はひざの上に両手を置いて考えている。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>手を渡すのは怖いが、平手は形勢がよくても攻め続けるのは難しい。読みの入った手。 * 80 7五銀(74) ( 5:00/04:34:00) 81 同 歩(76) ( 0:00/03:55:00) 82 5六桂打 ( 0:00/04:34:00) *△7六桂だと▲同銀△同銀▲8三銀が厳しかった。△8六桂も▲同歩△同歩▲8八歩で大丈夫。そこで横から攻める△5六桂。 *ABEMAでは▲2九香が検討されている。きっぱり飛車を取りにいく。これで後手が攻め切れないならわかりやすい。 *20時41分、羽生は残り1時間を切った。同じころ、席を外していた丸山は対局室に戻ってくると、クローゼットに入れたカバンから袋に入った栄養ゼリー飲料を取り出した。席に着き、ゼリー飲料を飲む。夜戦に入って、ともに栄養補給だ。戦況も終盤に入りつつある。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>玉の近くの金を攻められて非常に怖い形。先手優勢でも全く気が抜けない局面。 83 2九香打 ( 8:00/04:03:00) *きっぱりと香。局面をはっきりさせにいった。後手は飛車が捕獲されているので、△6八桂成▲同銀△5八飛成▲同角の進行が考えられる。先手は角が一瞬遊ぶものの、▲3六角や▲3二飛など楽しみが多い。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>忙しい終盤で▲1一馬〜▲2九香は怖い面もある。 84 6八桂成(56) ( 2:00/04:36:00) 85 同 銀(77) ( 2:00/04:05:00) 86 5八飛成(28) ( 1:00/04:37:00) 87 同 角(47) ( 0:00/04:05:00) *検討通りに進む。ここで後手から厳しい攻めが難しいようだ。1一馬が自陣によく利いている。 *後手は金を4枚持って、攻防に手段は多いが、形勢は芳しくない。 88 2五歩(24) ( 0:00/04:37:00) *角銀香と金金の交換。先手は手番を持っているうえに戦力が多い。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>△7六桂を狙う。 89 同 角(58) ( 1:00/04:06:00) *この手を見た丸山は棋譜を借りた。6一金を狙う好位置だ。丸山からすれば、△2五歩は先手角のさばきを誘発した意味があるが、桂を補充して次の攻めを狙うつもりだろう。 90 4三歩打 ( 1:00/04:38:00) *「大駒は近づけて受けよ」。▲4三同角成なら△5二金打と弾くつもり。 *21時になった。羽生はあぐらになって考えている。21時2分ごろ、羽生は残っていた栄養ドリンクを飲んで席を外す。その間に、丸山は棋譜を借りて、扇子で肩をたたいた。 *▲1二飛△5二金打▲3六角が予想されている。▲1二飛に△7一玉は▲6三桂で頓死するので、合駒は仕方ない。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>手が広く、先手が間違えそうな局面。 91 2一飛打 (13:00/04:19:00) *熟考して▲2一飛と打った。▲6三銀△同玉▲6一飛成の詰み筋を狙っている。二段目に飛車を打って王手をしないのは味がある。 *△5一桂と受ければ、▲3六角△5二金打▲4一銀が予想される。 92 5二金打 ( 7:00/04:45:00) *ABEMAで阿部光六段が▲4四桂を示している。猛攻を耐える後手陣にグサッと突き刺さる鎖鎌。△4四同歩は▲5二角成△同金▲7一銀でいきなり詰み筋に入る。しかし、▲4四桂を取れないのはつらい。 93 4四桂打 ( 4:00/04:23:00) *羽生は4分使って▲4四桂を打ちつけた。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>直前の△5二金打をとがめにいった。 94 4二金(52) ( 0:00/04:45:00) *▲6三銀を受けて△5二金打としたはずだが、△4二金では▲6三銀が生じてしまう。真剣白刃取りに挑むかのような一手は意表を突く。 *羽生は席を外す。まだ37分残しているので、落ち着いて考えたい。 *※局後の解説※ *阿部健治郎七段>△4四同歩は▲6三銀!が大駒を生かした寄せ。△同金、△同玉ともに▲6一飛成で寄り。 95 6三銀打 ( 3:00/04:26:00) *席に戻ってきて羽生は▲6三銀を打ち込んだ。狙い筋が実現して、勝利に近づいている。 96 同 玉(62) ( 0:00/04:45:00) 97 6一飛成(21) ( 0:00/04:26:00) *指し手が早くなってきた。控室は終局に備えている。△6二金に▲7一竜が冷静のようだ。 98 6二金打 ( 0:00/04:45:00) 99 7一竜(61) ( 0:00/04:26:00) *羽生の手が震え気味だった。ここで△7二金打は▲8一竜!が利く。△同飛は▲5五桂△5四玉▲4五金で詰む。金がたくさん後手玉を守っているのに、皮肉にも邪魔駒になって後手玉が詰んでしまうのだ。 *しばらく考えていた丸山は、そのまま指さずに投了した。終局時刻は21時31分。消費時間は▲羽生4時間26分、△丸山4時間47分。勝った羽生が2勝1敗で挑戦権を獲得した。第31期竜王戦七番勝負以来、2年ぶりのタイトル戦登場。七番勝負登場は通算16回目となる。豊島竜王とのタイトル戦の七番勝負は今回が初めて。 *七番勝負第1局は、10月9・10日に東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」で指される。 *※本局の総括※ *阿部健治郎七段>一局を通して先手にこれといった疑問手がなく、後手は駒組みに工夫が求められそうだ。一手損角換わりは駒組みの自由度が高く、工夫する余地はたくさんある。丸山九段の次局の工夫が楽しみ。羽生九段は充実した内容で挑戦権を獲得した。 *【終局直後の様子】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/post-97fc.html *【感想戦】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/post-10da.html *【記者会見】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2020/09/post-1155.html *【第33期竜王戦七番勝負 日程・開催地の発表|日本将棋連盟】 *https://www.shogi.or.jp/news/2020/08/33_4251.html 100 投了 ( 2:00/04:47:00) まで99手で先手の勝ち