# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.43 棋譜ファイル --- 対局ID:9438 記録ID:5d46e75efce7ce0004a51ccb 開始日時:2019/08/05 10:00 終了日時:2019/08/05 20:39 表題:竜王戦 棋戦:第32期竜王戦決勝トーナメント 戦型:横歩取りその他 持ち時間:各5時間 消費時間:87▲241△270 場所:東京・将棋会館 備考:昼休前34手目27分・夕休前70手目38分\n 振り駒:1,1,永 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:00〜12:40 夕食休憩:18:00〜18:40 昼休前消費時間:34手27分 夕休前消費時間:70手38分 手合割:平手   先手:木村一基九段 後手:永瀬拓矢叡王 手数----指手---------消費時間-- *広瀬章人竜王への挑戦を目指す第32期竜王戦決勝トーナメント(主催:読売新聞社、特別協賛:野村ホールディングス株式会社)。本局は準決勝の永瀬拓矢叡王(1組2位)−木村一基九段(1組3位)戦。勝者が挑戦者決定三番勝負に進出し、豊島将之名人と対戦する。過去の対戦成績は1勝1敗。 *対局は8月5日10時から東京・将棋会館の特別対局室で指される。持ち時間は各5時間。先後は永瀬の振り歩先による振り駒で決める。振り駒はと金が3枚で木村の先手となった。 *【囲碁・将棋:読売新聞オンライン】 *https://www.yomiuri.co.jp/igoshougi *【野村證券】 *https://www.nomura.co.jp/ *(棋譜・コメント入力=銀杏) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手。【】はブログやリンクのタイトル] 1 2六歩(27) ( 1:00/00:01:00) *竜王戦は読売新聞社が主催、野村ホールディングス株式会社が特別協賛する棋戦。予選のランキング戦を1組から6組に分けて行い、優勝者や上位進出者による決勝トーナメントで挑戦者を争う。竜王と挑戦者による七番勝負は、例年10月から12月にかけて行われる。優勝賞金は棋界最高の4320万円。現在のタイトル保持者は広瀬章人竜王。 2 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) *◆永瀬 拓矢(ながせ たくや)叡王◆ *1992年9月5日生まれ、神奈川県横浜市出身。安恵照剛八段門下。2009年、四段。2017年、七段。棋士番号は276。 *タイトル戦登場は3回。獲得は叡王1期。棋戦優勝は2回。 3 7六歩(77) ( 0:00/00:01:00) *◆木村 一基(きむら かずき)九段◆ *1973年6月23日生まれ、千葉県四街道市出身。(故)佐瀬勇次名誉九段門下。1997年、四段。2017年、九段。棋士番号は222。 *タイトル戦登場は7回。棋戦優勝は2回。 4 3二金(41) ( 0:00/00:00:00) *永瀬の本年度の成績は15勝8敗(0.652)。 *対局数、勝数、連勝の3部門でランキング1位。 *通算成績は326勝128敗(0.718)。 5 2五歩(26) ( 1:00/00:02:00) *木村の本年度の成績は8勝8敗(0.500)。 *対局数ランキング13位。 *通算成績は640勝367敗(0.636)。 6 9四歩(93) ( 0:00/00:00:00) *4手目△3二金におやっと思ったが、さらに意外な手が出てきた。力戦を誘う。ただ、手順の前後はあるが5月の第60期王位戦挑戦者決定リーグ白組▲中村太地七段−△永瀬戦で現れた出だしでもある。その将棋は変則的な相居飛車戦に進んで中村太七段が勝った(モバイル中継あり)。 7 9六歩(97) ( 5:00/00:07:00) *10時10分ごろ、木村は端歩を受けた。穏やかな対応だ。▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2八飛△8四歩が前手コメントで紹介した▲中村太−△永瀬戦の進行だった。 8 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *永瀬は決勝トーナメントの対鈴木大介九段戦の3日後に第67期王座戦挑戦者決定戦で豊島将之名人を破って挑戦権を得た。 *本棋戦も挑戦権を得れば、年末には三冠王になっているかもしれない。 *【第67期王座戦挑戦者決定トーナメント】 *https://www.shogi.or.jp/match/ouza/67/hon.html 9 7八金(69) ( 1:00/00:08:00) *木村は第60期王位戦で豊島王位(名人)に挑戦中。2連敗で苦しい出だしだが、白星が薬になる。挑戦者決定三番勝負に進めば、こちらでも豊島名人と対戦になる。 *【第60期王位戦】 *https://www.shogi.or.jp/match/oui/ 10 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00) *永瀬は第28期以来の挑戦者決定三番勝負進出を目指す。 *木村は第18期の挑戦者。挑戦者決定三番勝負には過去4回出場している。 11 2四歩(25) ( 1:00/00:09:00) *8月2日に反対の山の渡辺明三冠(1組優勝)−豊島将之名人(1組4位)戦が行われ、豊島名人が制した。 *【第32期竜王戦決勝トーナメント ▲豊島将之名人−△渡辺明三冠】 *http://live.shogi.or.jp/ryuou/kifu/32/ryuou201908020101.html *【決勝トーナメント】 *https://www.shogi.or.jp/match/ryuuou/32/hon.html 12 同 歩(23) ( 0:00/00:00:00) *本局はAbemaTVで動画配信されている(解説はなし)。 *https://abema.tv/channels/shogi/slots/CDSg54HMXSEjHZ 13 同 飛(28) ( 0:00/00:09:00) *東京は晴れ。千駄ヶ谷は夏空が広がる。最高気温は33度と予報されている。 *熱中症は屋内でも起こる。縁台将棋をするときも水分や塩分の補給を怠らないように気をつけたい。 14 4二玉(51) ( 0:00/00:00:00) *永瀬は6手目△9四歩でひねり、△4二玉と再びひねりを入れてきた。 *△4二玉は小堀清一九段が指し始めたといわれる指し方。9筋の突き合いがなければ、1950年代前半からある古い形だ。大山康晴十五世名人と升田幸三実力制第四代名人の対戦でも指されている。ここで▲3四飛と横歩を取れば、△8八角成▲同銀△2二銀に▲3六飛△2七角や▲3八金が進行例。 15 3四飛(24) ( 6:00/00:15:00) *考えること6分、木村は横歩を取る。▲7七金と後手の歩交換を阻む指し方もあったところ。 16 3三角(22) ( 0:00/00:00:00) *△8八角成もあったが、永瀬はすぐに△3三角を選んだ。通常の横歩取り3三角戦法と違うところが3点ある。9筋の端歩を突き合っていること、後手が8筋の歩を交換していないこと、後手玉が4二にいることだ。それらがどう影響するか。 17 3六飛(34) ( 3:00/00:18:00) *本局の観戦記は小暮克洋さんが担当する。読売新聞では、今月から決勝トーナメントの観戦記が掲載されている。 *【8月観戦記情報│日本将棋連盟】 *https://www.shogi.or.jp/news/2019/07/8_18.html 18 2二銀(31) ( 0:00/00:00:00) *【対局開始前の様子】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/08/post-1bd0.html *【対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/08/post-75cb-1.html 19 2六飛(36) ( 2:00/00:20:00) *今日は中倉彰子女流二段が主宰する「いつつ将棋教室」に通う児童が対局を観戦した。「いつつ将棋教室」は東京都府中市と神戸市に教室を開いており、府中校では中倉彰女流二段や夫の中座真七段が講師を務めている。 *【いつつ将棋教室】 *https://lesson.i-tsu-tsu.co.jp/ *【対局観戦】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/08/post-c618.html 20 7二銀(71) ( 0:00/00:00:00) 21 5八玉(59) ( 6:00/00:26:00) 22 7四歩(73) ( 0:00/00:00:00) *近年は相掛かりで▲3六歩から▲3七桂や▲3七銀を急ぐ将棋が増えているが、それを横歩取りで応用しようとしている。9筋の端歩の突き合いがなければ、2月に指された第90期棋聖戦▲阿久津主税八段−△横山泰明六段戦と同じ(モバイル中継ある)。 *10時40分過ぎ、昼食の注文のために係が対局室に入る。永瀬、木村の順に注文を取る。木村は注文しないこともあるが、今日はしばらくメニューを見て財布を取りだした。何か頼んだようだ。 23 3八金(49) (14:00/00:40:00) *木村は金開きと中住まいで隙のない構え。ノータイムで進めていた永瀬、ここで手を止めた。 24 8六歩(85) (10:00/00:10:00) *11時5分の着手。△8六歩までの消費時間は、▲木村40分、△永瀬10分。 25 同 歩(87) ( 0:00/00:40:00) 26 同 飛(82) ( 0:00/00:10:00) 27 8七歩打 ( 0:00/00:40:00) 28 2五歩打 ( 1:00/00:11:00) *△8四飛や△8五飛と飛車を引くかと思いきや、第3の手があった。ギリギリのタイミングで飛車取りに歩を打つ。▲2五同飛なら△7六飛のつもり。▲8六歩△2六歩の飛車の取り合いは、2六に伸びた歩が大きい。 *永瀬はまだ消費時間11分。事前に準備してきた作戦の進行なのだろう。 *※局後の感想※ *「やってみたかった手だった」と永瀬。 29 3三角成(88) ( 6:00/00:46:00) *態度を決めさせる。いまなら、▲2五飛を阻止するため後手は△3三同桂の一手だ。 30 同 桂(21) ( 1:00/00:12:00) 31 5六飛(26) ( 0:00/00:46:00) *先手の楽しみは(1)▲3六歩から▲3五歩の桂頭狙いや(2)▲7七桂から▲6五桂。 32 8四飛(86) (14:00/00:26:00) 33 3六歩(37) ( 0:00/00:46:00) *11時33分ごろ、木村はさっそく▲3六歩。角頭や桂頭はどの戦型でも常に弱点になる。そこを狙うのが筋だ。 *永瀬が考えている。11時50分、木村が棋譜を借りる。11時56分ごろ、対局者が席を外した。早めに昼食休憩入りしたようだ。この場合、永瀬が12時まで考えたことにして消費時間に加える。 *消費時間は▲木村46分、△永瀬53分。昼食の注文は永瀬がうな重セットのごはん少なめ(肝吸)、肝焼き1本(ふじもと)。木村はロースカツ丼ライト(ふじもと)。永瀬はほかにバナナの買い出しを頼んでいる。 *12時10分ごろ、永瀬は対局室に戻ってきた。木村も再開数分前には戻った。 *【昼食休憩時の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/08/post-44b1.html 34 7五歩(74) (27:00/00:53:00) *12時40分に対局が再開されると、永瀬はすぐに△7五歩と突いた。飛車の横利きを通して、横歩取りや相掛かりでよくみられる指し方だ。 35 3五歩(36) ( 9:00/00:55:00) *永瀬は前傾姿勢で読んでいる。お盆には水、お茶、コーヒー、清涼飲料水が並べられている。 *木村の指し方は自然流。後手の陣形が少し違っていても有効だ。後手はどう指すか。△7六歩は▲同飛ではなく▲7五角がある。5三を受けるなら△6二金が考えられる。 *【局面が動く】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/08/post-eec7.html 36 9五歩(94) (28:00/01:21:00) *13時18分、永瀬はいきなり端歩を突っかけた。激しく攻め合うつもりだ。▲9五同歩には△7三桂と跳ねるのだろうか。 *※局後の感想※ *永瀬は△7三桂▲3七桂△3四歩のように、△3四歩と歩を合わせる筋も読んでいた。以下、(1)▲6六角△6二金▲3六飛△3五歩▲同飛△2三金や(2)▲3四同歩△同飛▲3六歩△8四飛▲8八銀という変化が検討された。 37 同 歩(96) (12:00/01:07:00) 38 2六歩(25) ( 9:00/01:30:00) *13時40分ごろ、永瀬は△2六歩と突きだした。 *控室に先崎学九段が訪れている。「これはもう、ただでは済まない宣戦布告ですね。△2六歩の狙いは、△2七歩成▲同金△4五角▲2六飛△2五歩。▲2六同飛なら△5五角が香の両取りです。▲2八銀は△2四飛が気になりますね。▲2八歩がいちばん堅いです。▲2八歩は堅いけど、ものすごい利かされなので、打ちたくないんですよね。突っ張るなら▲3七桂でしょうか。 *後手は▲3五歩(35手目)に攻めたのは冒険心がありますよね。△7三桂が普通でしたから。攻めが1手早いんですよね」という。 *【先崎九段が中継室へ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/08/post-aad3.html *※局後の感想※ *△7三桂は▲3七桂と跳ねられて動きにくい。 39 3七桂(29) (17:00/01:24:00) *先崎九段が示していた積極的な受け。攻め駒を使いながら、▲2六飛と取れるようにした。ただ、自分も桂頭に弱点があるので怖い手でもある。 *歩損は横歩取りの宿命だが、2六歩も取られると永瀬は3歩損だ。これだけ歩を損するなら、どこかで代償を得たい。△2四飛や△5四飛と飛車を動かす攻めが考えられるところ。二人は背広を着て考えている。 40 3六歩打 (26:00/01:56:00) *14時24分の着手。△3六歩までの消費時間は、▲木村1時間24分、△永瀬1時間56分。 *この△3六歩は直前の▲3七桂をとがめようとしているが、歩切れになった。永瀬はどのように攻め続けるのだろうか。 *※局後の感想※ *△8六歩▲同歩△2七歩成▲同金△8六飛は、▲7七桂と強く応じ、△7六飛には▲6六角と据えて先手指せる。 41 同 飛(56) ( 3:00/01:27:00) 42 2七歩成(26) ( 0:00/01:56:00) 43 同 金(38) ( 0:00/01:27:00) 44 5四角打 ( 0:00/01:56:00) *後手の攻めは歩を使い果たしてかなり強引だ。受けが強い木村にとっては得意な展開だろう。 45 2六飛(36) ( 1:00/01:28:00) 46 2七角成(54) ( 0:00/01:56:00) 47 同 飛(26) ( 0:00/01:28:00) 48 3六金打 ( 0:00/01:56:00) *直接手が続いており、変化しにくいため双方の指し手が早い。問題はどちらが有利かということ。 *▲2九飛△3七金に▲5五角の金香両取りが目に付く。先手はそれでよければ話は早い。しかし、攻めているのは永瀬だ。▲5五角に用意の手があるだろう。ノータイムで進めていた木村も手を止めた。 49 2九飛(27) ( 5:00/01:33:00) 50 3七金(36) ( 0:00/01:56:00) *△3七金を指されると、木村はこれまでの消費時間を尋ねて、1時間33分であることを確認してから席を外した。局面は角歩4枚と金桂の交換。後手は駒得しているともいえない。 *「パッと見は後手の攻めが細いですけど。▲5五角とされたらどうするのでしょう」と先崎九段がいう。後手が歩切れなので、先手は香を取る手の価値が高い。例えば▲2六香のような攻めが厳しい。 51 4六角打 (17:00/01:50:00) *14時55分ごろ、木村は慎重に読みを入れて▲4六角と打った。角にヒモがついており、▲5五角よりも手堅い。「両取り逃げるべからず」というが、3七金は大事な攻め駒なので放置できない。しかし、△3六金▲9一角成では後手の攻めは継続が難しい。急いで攻めるなら△9五香▲同香△2八歩▲同銀△3八金のような手段になりそうだ。 52 9五香(91) (15:00/02:11:00) *自ら動いていたのだから、止まるわけにいかない。永瀬は走り続ける。しかし、後手は△7六歩以外に駒を補充できないのがつらいところ。給水所のないマラソンのようなものだ。技を駆使しないといけない。 53 同 香(99) ( 0:00/01:50:00) 54 2八歩打 (21:00/02:32:00) *※局後の感想※ *△3六金は▲9一角成△7三桂▲5五角が木村の読み。△6五桂には▲6六歩△5四歩▲7三角成△同銀▲同馬△4五桂▲6五歩△6六桂▲6七玉が予想される。「これで勝負できれば」と木村。 55 同 銀(39) ( 0:00/01:50:00) 56 3八金(37) ( 0:00/02:32:00) *飛車を5九と6九のどちらに逃がすか。▲5九飛は玉と近いが、▲6九飛も△7六歩から△7七桂のような攻めが見える。 *【将棋世界9月号】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/08/post-d58c.html 57 5九飛(29) (14:00/02:04:00) *▲2七銀の金取りが見えているので、依然後手は忙しい。△2八金▲同角△2四飛なら飛車を使えるが、▲2九歩や▲8二角成とされて戦果十分とはいいにくそうだ。 *15時50分ごろ、控室に千葉幸生七段が訪れた。「後手を持って自信がなさそうです。△3六桂と打っても、▲3九銀で受かっています。後手は攻めていくと切れてしまいそうなので、うまく力をためたいですが、△4五桂と跳ねるのは後手玉がだいぶ薄くなってしまいます」という。 58 2八金(38) (13:00/02:45:00) *※局後の感想※ *△4四飛も考えられた。(1)▲2七銀は△4六飛▲同歩△1四角がうるさい。△4四飛には(2)▲3四歩が利く。△4六飛▲3三歩成△同銀▲4六歩△1四角▲3六歩で先手が余せそう。 59 同 角(46) ( 0:00/02:04:00) 60 2四飛(84) ( 0:00/02:45:00) *歩切れだと、どうしても小技が使いにくい。「▲2九香か角を成るか。成るなら▲8二角成ですね。どちらも有力です」と千葉七段。 *永瀬は盤に近づいて考えている。 *【先手ペースの声】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/08/post-2b85.html 61 4六角(28) (19:00/02:23:00) *▲8二角成は△7三桂と封じられるのを嫌ったか。▲4六角はふんわりとしている。「次に▲2九香がありますし、△2七飛成も▲2九香があります。なので、△7六歩あたりになりそうですが、▲3四歩△同飛▲3五香と反撃できそうです」と千葉七段。 62 2七飛成(24) ( 7:00/02:52:00) *(1)▲2九香があるといわれていたが果たして。木村は棋譜を借りて確認。そのあと前傾姿勢になった。16時40分ごろ、永瀬はお茶や清涼飲料水を購入して戻ってきた。 *「そうか、(1)▲2九香は△3八竜▲4八金に△同竜▲同玉△3六桂と攻める手があるんですね。▲3七玉は△4八銀、▲5八玉は△4八金で王手飛車取りがかかります。△3八竜を防ぐなら(2)▲1六角ですが、あまり攻撃力がないのが気になります」と千葉七段。 *検討を進める千葉七段は「(2)▲1六角が有力そうです。△3六竜には▲3八香と打ちます。3九に打つと△4六竜▲同歩△1四角▲6八玉△4八銀のときに、飛車が2九に逃げられないのでしびれてしまいます。▲3八香も△4六竜▲同歩の局面が怖いですが、そこで後手から攻めがなければ▲3四歩として先手が勝てます」と話す。 *16時45分ごろ、係が夕食の注文を取るため対局室に入る。 63 1六角打 (21:00/02:44:00) 64 3六竜(27) ( 0:00/02:52:00) *木村が席を外すと、永瀬は棋譜を確認した。千葉七段が示していたのは▲3八香。「香は下段から打て」の格言に沿って考えれば▲3九香だが、この場合は5九の飛車を狭くしてまずい。 65 3八香打 ( 5:00/02:49:00) *力を込めて▲3八香。 *【第32期竜王戦決勝トーナメント 永瀬拓矢叡王−鈴木大介九段】 *http://live.shogi.or.jp/ryuou/kifu/32/ryuou201907220101.html *【先手好調の評判】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/08/post-326c.html 66 2六竜(36) ( 0:00/02:52:00) *17時になり、「夕焼け小焼け」のチャイムが鳴る。夏の千駄ヶ谷はまだ日が高い。東京の日の入り時刻は18時42分である。 *△2六竜を見た千葉七段は「鬼辛抱ですね」とつぶやく。形勢は先手がよいようだ。現局面は▲3四歩が厳しい。攻守が入れ替わった。 67 3四歩(35) (12:00/03:01:00) *ズン。 *33手目▲3六歩の狙い筋が3八香の援軍をつけて実現した。後手陣の急所である桂頭を厳しく攻める形になって、先手よしがはっきりしてきた。▲1六角から▲3八香が攻防の好手順だった。 68 4五桂(33) ( 0:00/02:52:00) *永瀬は自力で攻めるのは難しい。先手に攻めてもらい、戦力をたくわえて反撃したい。先手は厳しく攻めるなら▲3三金、丁寧に指すなら▲3六金が考えられる。 69 3三金打 (10:00/03:11:00) *17時21分の着手。木村は61手目▲4六角から時間を使って指している。10分考えて▲3三金と決めに出た。厳しい。 *△3三同銀▲同歩成△同金▲同香成△同玉は▲3四銀に△4二玉と逃げられず(▲4三銀成から詰み)後手が困る。清算できないので、後手は現局面か△3三同銀のあとに△5一玉と逃げることになりそうだ。しかし、それでは駒損が広がってしまう。また、こうした展開のときに、4六角が7三と8二を封鎖してよく働いている。 *17時25分ごろ、永瀬は小声で残り時間を尋ねた。少しして目薬を差す。木村はあぐらになって考え込んでいる。17時30分、永瀬は残り2時間を告げられた。17時35分ごろ、木村が席を外すと、永瀬は息をついた。永瀬はうつむいている時間が長い。 *17時58分ごろ、両者が席を外す。早めの休憩に入った。ここまでの消費時間は▲木村3時間11分、△永瀬3時間30分。対局は18時40分再開。夕食の注文は永瀬が豚しゃぶ(梅しそだれ)弁当(鳩やぐら)、木村はちらし並(千寿司)。永瀬は前局の対鈴木大介九段戦でも昼食にうな重セットのごはん少なめ(肝吸)と肝焼き1本、夕食に豚しゃぶ弁当を頼んでいた。 *18時40分に対局が再開したが、永瀬は考え込んでいる。指さぬまま19時になった。 *【夕食休憩時の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/08/post-48fb.html *【1年後を楽しみに】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/08/post-1648.html 70 同 銀(22) (68:00/04:00:00) *19時10分ごろ、「残り1時間です」と告げられた永瀬は△3三同銀と取った。夕食休憩を挟んで1時間8分の長考だった。 *【ようやく進む】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/08/post-f2ee.html 71 同 歩成(34) ( 0:00/03:11:00) 72 5二玉(42) ( 0:00/04:00:00) *△5一玉だと▲3二とのあとに▲4三角成が生じる。玉で4三を守った。 *△5二玉に▲3二とが自然だが、▲4三ともあるか。△同金に▲4一銀と打つのが手筋。 73 3二と(33) ( 4:00/03:15:00) *自然に金を取る。3七の歩が行進を続けてここまできた。 74 3七銀打 ( 0:00/04:00:00) *歩を持っていたら△3七歩としただろう。歩がないから△3七銀と銀で代用した。苦心の一手。 *▲3七同香△同桂成と迫られても、先手玉は詰めろではない。その局面で後手玉を寄せたい。19時20分ごろ、永瀬が席を外すと、木村が「うーん」とうなった。永瀬が戻ると、入れ替わりに木村が席を立つ。 75 同 香(38) (14:00/03:29:00) 76 同 桂成(45) ( 0:00/04:00:00) *(1)▲4一銀△6二玉▲8二角成が▲7一銀△同金▲5二金の詰めろ。 *また、(2)▲4二金もあるようだ。以下△6二玉に▲7一銀と放り込む鬼手がある。△同金は▲5一銀△6一玉▲4三角成まで。△7一同玉は▲8二銀△6二玉に▲3七角と成桂を取る手が▲7四桂の詰めろと竜取りになる。 *いずれも左右挟撃で寄せようというもの。「玉は包むように寄せよ」の格言が生きている。 *【玉は包むように寄せよ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/08/post-2a8f.html 77 4一銀打 (10:00/03:39:00) 78 6二玉(52) ( 0:00/04:00:00) 79 8二角成(46) ( 3:00/03:42:00) *挟み撃ち。基本の忠実な攻め方だ。逃げ道を開ける△6四歩には▲4三角成と踏み込めばよさそうだ。△2八竜の王手は▲6九玉で詰みはない。 80 6四歩(63) (10:00/04:10:00) *「永瀬先生、残り50分です」と告げられたあとに△6四歩が指された。▲7一銀△同金▲5二金に△6三玉を用意する。 *木村の考慮中に20時を回った。 81 4三角成(16) ( 6:00/03:48:00) *69手目▲3三金から踏み込む方針は一貫している。▲5二金△6三玉▲5三馬△7四玉▲6四馬右と2枚の馬を結合させる詰めろだ。▲4二との応援もあるので、後手は受けが難しい。 *▲4三角成とすると、△2八竜に▲3八歩は利かなくなるが、▲6九玉とすれば大丈夫だ。 82 4七成桂(37) ( 9:00/04:19:00) *ハッとする王手が飛んできた。▲4七同玉には△4八金▲同玉△4六竜の王手馬取りで頑張るつもりだろう。 *逃げて問題ないなら▲6八玉だ。 83 同 玉(58) ( 8:00/03:56:00) *毒まんじゅうに思えた成桂を木村は取った。△4八金▲同玉△4六竜の王手馬取りが見えているが、駒をたくさんもらえれば大丈夫と判断したのだろう。この毒は利かないという強い態度だ。 *永瀬は天を仰ぐ。 84 4五香打 ( 2:00/04:21:00) *先手玉は▲5八玉と引けば詰みはない。 85 5八玉(47) ( 3:00/03:59:00) 86 4八香成(45) ( 0:00/04:21:00) *攻防のアヤを求めたい永瀬。▲4八同玉なら△4六竜の王手馬取り。金を渡さずに王手馬取りをかけられればアヤが多い。だが、今度の毒まんじゅうは食べてくれそうにない。 *20時28分ごろ、木村は残り1時間を告げられた。 87 6八玉(58) ( 2:00/04:01:00) *永瀬は懸命に手段を探している。詰めろ逃れの詰めろ級の何かがあれば。 *後手玉は▲5二金△6三玉▲5三馬△7四玉▲6四馬右△8五玉▲7五馬△9五玉▲8六銀△9四玉▲8五馬の詰めろがかかっている。 *9分使った永瀬はここで投了した。終局時刻は20時39分。消費時間は▲木村4時間1分、△永瀬4時間30分。 *木村が永瀬の攻めを受け止めてから反撃に出て快勝。通算5回目となる挑戦者決定三番勝負進出を果たした。豊島将之名人との三番勝負第1局は、8月13日に関西将棋会館で指される。 *※感想戦は21時55分ごろまで行われた。 *35手目▲3五歩周辺の模様の取り方が調べられたが、なかなか後手に思わしい変化が出なかった。木村は「ペースをつかまれているかと思った」というが、3五の歩が後手陣にプレッシャーをかけており、後手の指し方が難しかった。「作戦がよくなかったかもしれない」と永瀬は振り返った。 *【挑戦者決定三番勝負の日程と対局場】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/08/post-2c36.html *【終局直後の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/08/post-febc.html *【感想戦】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/08/post-10da-1.html 88 投了 ( 9:00/04:30:00) まで87手で先手の勝ち