# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.43 棋譜ファイル --- 対局ID:9382 記録ID:5d2e946fabfefa00045f16b4 開始日時:2019/07/23 10:00 終了日時:2019/07/23 22:48 表題:竜王戦 棋戦:第32期竜王戦決勝トーナメント 戦型:角換わり腰掛け銀 持ち時間:各5時間 消費時間:146▲299△299 場所:関西将棋会館 備考:昼休前52手目28分・夕休前77手目39分\n 図:投了 振り駒:1,0,豊 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:00〜12:40 夕食休憩:18:00〜18:40 昼休前消費時間:52手28分 夕休前消費時間:77手39分 手合割:平手   先手:藤井聡太七段 後手:豊島将之名人 先手省略名:藤井聡 後手省略名:豊島 手数----指手---------消費時間-- *第32期竜王戦は決勝トーナメントが進行中。トーナメント表、左の山はいよいよタイトルホルダーが登場する。豊島将之名人(1組4位)−藤井聡太七段(4組優勝)戦を中継する。対局は関西将棋会館で7月23日(火)10時開始予定。持ち時間は各5時間。先後は豊島の振り歩先で決定する。振り駒の結果、と金が4枚出て藤井の先手となった。本局はベスト4の最後の椅子を巡る戦いとなる。 * *【第32期竜王戦決勝トーナメント】 *https://www.shogi.or.jp/match/ryuuou/32/hon.html *【豊島将之名人(1組4位)−藤井聡太七段(4組優勝)戦】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-2f70.html *【最後の椅子】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-23ba.html * *(棋譜・コメント入力=飛龍) *[棋譜表示の*はコメントつきの指し手。#は局後の感想が追記された指し手] *【】内は各種リンク 1 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *10時になり、対局開始。両者は深々と一礼を交わす。ともに間を取っての礼で、特に豊島の頭の下げている時間は長かった。 * *【対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-75cb-4.html 2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *初手▲2六歩に対して△8四歩と、同様に飛車先の歩を突く。▲2五歩なら△8五歩と相掛かりの用意があることをうかがわせる。 3 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *◆藤井 聡太(ふじい そうた)七段◆ *2002年7月19日生まれの17歳、愛知県瀬戸市出身。杉本昌隆八段門下。2016年、四段。2018年、七段。棋士番号は307。 *棋戦優勝は3回。 4 3二金(41) ( 0:00/00:00:00) *◆豊島 将之(とよしま まさゆき)名人(王位)◆ *1990年4月30日生まれの29歳、愛知県一宮市出身。桐山清澄九段門下。2007年、四段。2019年、九段。棋士番号は264。 *タイトル戦登場は9回。獲得は名人1期、王位1期、棋聖1期の計3期。棋戦優勝は1回。 5 2五歩(26) ( 0:00/00:00:00) *今朝、藤井はいつものとおり、9時頃に棋士室に顔を出す。30分以上を過ごし、対局室には9時38分に入室した。 6 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00) *豊島は9時35分に棋士室に立ち寄っている。対局室には9時40分に入った。 * *【対局開始前の様子(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-1bd0.html *【対局開始前の様子(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-db3d.html 7 7七角(88) ( 0:00/00:00:00) *藤井の今年度成績は15勝2敗(0.882)。対局数ランキング4位タイ、勝数ランキング1位、勝率ランキング3位、連勝ランキング7位タイ。 *通算成績は131勝22敗(0.856)。 8 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) *豊島の今年度成績は11勝3敗(0.786)。対局数ランキング13位タイ、勝数ランキング7位タイ、勝率ランキング11位タイ、連勝ランキング7位タイ。 *通算成績は452勝198敗(0.695)。 9 6八銀(79) ( 0:00/00:00:00) *対戦成績は豊島の1勝0敗(1千日手)。本日放映のTV棋戦はこの数字に含まず、ここまでに記した成績にも未放映のTV対局は含まない。また、昨年に藤井が新人王戦で優勝した際に記念対局で豊島と対戦しているが、公式戦ではないため成績の対象外となる。 * *【対局予定】 *https://www.shogi.or.jp/game/schedule/ *【両者の対戦履歴】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-5ac8.html 10 7七角成(22) ( 0:00/00:00:00) *角を交換する。角換わりといわれる戦型に進んだ。 11 同 銀(68) ( 0:00/00:00:00) *直前の▲6八銀によって、形よく▲7七同銀と応じることができた。△8六歩からの飛車先交換を防いでいる。歩を持てばさまざまに動きやすくなるところで、7手目▲7七角も飛車先交換を防ぐ手だった。いまのところ、後手に歩を交換するチャンスはきていない。 12 2二銀(31) ( 0:00/00:00:00) *▲2四歩は△同歩▲同飛に△3五角の切り返しがある。先手は▲4八銀などと上がれば5七の地点を守れるが、△3三銀が間に合う。互いに簡単に飛車先を交換できるわけではない。 13 4八銀(39) ( 0:00/00:00:00) *本局は以下のとおり、動画中継されている。 * *【将棋プレミアム(有料)】 *9時40分配信開始(10時〜12時、14時36分〜21時45分は囲碁・将棋チャンネルとの同時生中継) *解説:佐々木大地五段(第1部、10時開始予定)、八代弥七段(第2部、16時開始予定) *聞き手:井道千尋女流二段(第1部、10時開始予定)、安食総子女流初段(第2部、16時開始予定) *http://www.igoshogi.net/shogipremium/live/live_info.html?live_id=e521c0ad19df80bf3cbd6a048f17e25d * *【ニコニコ生放送】 *9時50分開場、10時開演(スタジオ解説は12時40分から) *解説:山崎隆之八段 *聞き手:谷口由紀女流二段 *https://live.nicovideo.jp/gate/lv320977696 * *【ニコニコ生放送プレミアム限定評価値放送(有料)】 *9時50分開場、10時開演 *https://live.nicovideo.jp/gate/lv320989691 * *【AbemaTV(下記URLは番組表)】 *9時30分配信開始、24日(水)1時まで *解説:行方尚史八段、飯島栄治七段、本田奎四段 *聞き手:宮宗紫野女流二段、和田あき女流初段 *https://abema.tv/channels/shogi/slots/9hynfpJEjbWJ5D 14 3三銀(22) ( 0:00/00:00:00) *【将棋プレミアム】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-6754.html *【ニコニコ生放送】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-0fce.html *【AbemaTV】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/abematv.html 15 3六歩(37) ( 0:00/00:00:00) *藤井は今期の決勝トーナメントでは、近藤誠也六段(5組優勝)、久保利明九段(1組5位)の順に破って本局に臨む。竜王戦に出場するのは3期目で、決勝トーナメントには3期連続で進出している。過去2回はそれぞれ6、5組のランキング戦を制しての進出で、いずれも4組ランキング戦優勝者に敗れた。今期は1組5位の壁を突破し、自己最高を更新している。 * *【藤井聡太七段】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-a375-1.html 16 6二銀(71) ( 0:00/00:00:00) *豊島は今期、決勝トーナメントでは本局が初戦。決勝トーナメント進出は第21、22、25、26、28、29、31期に続いて8回目となった。 * *【豊島将之名人】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-b6d2.html 17 4六歩(47) ( 1:00/00:01:00) *▲4六歩と突く。▲3七銀〜▲4六銀の早繰り銀の可能性はなくなった。▲4七銀〜▲5六銀と進めば腰掛け銀で、昔からよく指されている戦法だ。この手は1分の少考で、両者を通じて初めて持ち時間が消費された。この先、どのような形にするかを考えつつ進めることになっていくだろう。 18 6四歩(63) ( 2:00/00:02:00) *豊島も初めて持ち時間を消費した。2分を費やして△6四歩と突き、同様に腰掛け銀のような展開を目指す。 19 7八金(69) ( 0:00/00:01:00) *藤井は先日、17歳の誕生日を迎えたばかりの最年少棋士。加藤一二三九段、谷川浩司九段、羽生善治九段、渡辺明三冠に続く5人目の中学生棋士となっただけでなく、プロ入り最年少も記録している。デビューから1敗もすることなく29連勝の連勝記録を更新したのはマスコミにも大きく取り上げられ、誰しも知るところだろう。最年少棋戦優勝など、さまざまな最年少記録を更新しているが、タイトル戦登場、タイトル獲得の記録更新にも期待がかかる。 20 7四歩(73) ( 0:00/00:02:00) *豊島は平成生まれのプロ棋士第1号。天才少年として早くから注目を集め、中学2年で三段にまで昇段した。これは当時の最年少記録で、5人目の中学生棋士の期待も持たれたが、実現はしていない。16歳のプロ入り(四段昇段)から10年以上が優にたち、着実に力をつけてきた印象だ。昨年、初のタイトル獲得を果たすと、今年にかけて挑戦したタイトルは次々に獲得した。 21 3七桂(29) ( 1:00/00:02:00) *桂の起用を急ぐ。▲4五桂で銀を3三から動かし、▲2四歩と飛車先交換するのがひとつの狙いとなる。その後の展開で、△4四歩と「桂の高跳び歩の餌食」にならないような組み立てが必要だ。 22 4二玉(51) ( 0:00/00:02:00) *両者は午(うま)年で干支が同じ。若手の代表格の豊島もタイトルを複数獲得し、来年には30歳を迎える。一回り年下の藤井も対抗勢力として台頭してきた。 23 4七銀(48) ( 0:00/00:02:00) *藤井は居飛車党。月刊『将棋世界』誌では、毎号さまざまな棋士が藤井の将棋を分析する連載「強者の視点―棋士たちの藤井将棋論―」がある。詰将棋で鍛えた終盤力を武器に持ち、序中盤も洗練されてきた。 24 7三桂(81) ( 1:00/00:03:00) *豊島は居飛車党。コンピューターソフトを研究のパートナーとして用い、最新の形に明るい。鋭く踏み込んで攻める展開を得意とする。 25 6八玉(59) ( 0:00/00:02:00) *本局の読売新聞観戦記を担当するのは相崎修司さん。 26 6三銀(62) ( 0:00/00:03:00) *△6三銀と立ち、先後同型になった。 27 9六歩(97) ( 0:00/00:02:00) *今朝の大阪は曇り。夜は雨になるかもしれない。最高気温は32度と予想されている。 28 9四歩(93) ( 0:00/00:03:00) *△9四歩と応じ、端の突き越しは許さない。▲9五歩と伸ばされると、終盤で玉の広さとなって生きる可能性があった。 29 4八金(49) ( 0:00/00:02:00) *本日は関西将棋会館2階道場で18時から、本局の大盤解説会が開かれる。解説は谷川九段、聞き手は長谷川優貴女流二段。整理券は10時から道場で配布予定(配布場所は変更の可能性あり)。 * *【関西将棋会館大盤解説会】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-563d.html *【関西将棋会館道場 大盤解説会】 *https://www.kansai-shogi.info/道場/大盤解説会/ 30 6二金(61) ( 0:00/00:03:00) 31 1六歩(17) ( 0:00/00:02:00) 32 1四歩(13) ( 0:00/00:03:00) *1筋も突き合いに応じ、再び先後同型となった。 33 2九飛(28) ( 0:00/00:02:00) *飛車を引き、バランスよく構える。2九飛・4八金の形は近年、よく見られるようになった。着手して藤井は席を外す。 34 8一飛(82) ( 0:00/00:03:00) *藤井の離席中の着手。同様に飛車を引く。 35 5六銀(47) ( 4:00/00:06:00) *藤井は席に戻ってしばらくすると、▲5六銀と腰掛け銀に構えた。歩を椅子に見立て、その上に腰掛けているように見えるからついた名とされる。 36 5四銀(63) ( 0:00/00:03:00) 37 6六歩(67) ( 0:00/00:06:00) 38 5二玉(42) ( 0:00/00:03:00) *△5二玉と寄り、手番を渡す。初形から1手で△5二玉は指せるが、4二を経由して1手損をした。後手は現状、バランスが取れて最善に近い形をしているためで、好形を崩したくない指し方といえる。現局面は昨年が初出ながら、データベース上に40局以上の前例があり、まだ定跡の範囲だ。 39 7九玉(68) ( 0:00/00:06:00) 40 4二玉(52) ( 0:00/00:03:00) *玉を戻ってさらに待つ。相手の駒組みを見て、最善形に組むのを狙う高等戦術だ。 41 8八玉(79) ( 2:00/00:08:00) *藤井は構わずに玉を囲う。囲いに収めることは、玉が堅くなるメリットがある。ただ、相手の飛車が狙っているところだけに、いいことばかりではないのが難しい。 42 6五歩(64) ( 0:00/00:03:00) *10時34分、駒がぶつかった。実戦例が多く、研究が進んでいる形とはいえ、早い。 * *【戦型は角換わり腰掛け銀】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-c493.html 43 同 歩(66) ( 2:00/00:10:00) *2分の少考で、▲6五同歩と応じた。前手△6五歩までの前例は8局だったが、現局面の前例は1局に絞られている。今年3月の第44期棋王戦五番勝負第4局の▲渡辺明棋王−△広瀬章人竜王戦で、△6五同桂▲6六銀△6四歩▲4五歩△6三銀▲4六角△5四歩▲7七桂の進行だった。結果は先手の勝ち。両者ともに頭の中にあるのは間違いないところだろう。 44 同 桂(73) ( 0:00/00:03:00) 45 6六銀(77) ( 0:00/00:10:00) 46 6四歩打 ( 0:00/00:03:00) *歩を打って桂を支えた。前手▲6六銀で6五への利きの数が下回ったところを補う。 47 4五歩(46) ( 0:00/00:10:00) *直前までわずか3分の消費で飛ばしてきた豊島、▲4五歩を見て考慮に沈む。4手前のコメントで紹介した前例どおりの進行だが、後手が敗れていた。指された△6三銀以外の手で鉱脈を見つけているのか。 48 3一玉(42) (17:00/00:20:00) *17分考え、△3一玉と引いた。現局面で前例を離れている。 * *【前例から離れる】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-6aab.html 49 4六角打 ( 3:00/00:13:00) *11時頃、▲4六角までの消費時間は▲藤井13分、△豊島20分。前例にない局面だったが、藤井はわずか3分の少考で対応した。4筋に取った位を生かし、好位置に角を据える。放置すれば▲6四角で桂のヒモを減らし、次に桂得を見込む。 * *【命運を託す】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-457a.html 50 6三銀(54) ( 0:00/00:20:00) *銀を引き、▲6四角を防ぐ。△3一玉に代えて△5四歩が指されていれば43手目コメントで紹介した▲渡辺明−△広瀬戦でも現れた局面になるが、この違いがどのように出るか。両者はともにあぐらに崩している。棋士室では▲7七桂が候補に挙がった。ただ、前例と違って桂を渡すと△5四桂があり、先手の角は狭い点に注意が必要だと見られている。進行の一例は▲7七桂△8六歩▲同歩△同飛▲8七金△7七桂成▲同銀△8一飛▲8六歩△5二金。 * *【梅田ゆかた祭り2019(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-0cff.html *【朝の対局室回り】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-3c42.html 51 6七歩打 (31:00/00:44:00) *30分あまり考え、▲6七歩と打った。銀を支えた手だが、どのような変化に備えたものかは見えづらい。いわゆる「難しい手」と呼ばれるような手だ。対して豊島も時間を使う。棋士室では検討が進み、△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8一飛なら▲5五銀左が示された。次に▲6四銀△同銀▲同角で桂のヒモを外す。この▲6七歩はその際、△6六角の王手を防ぐ意味があると見られている。▲5五銀左に△7三金なら▲4四歩△同歩▲6五銀△同歩▲4四銀のような順もありそうだ。▲5五銀左を嫌えば△5四歩だが、好機の▲3五歩△同歩▲同角で6二の金を狙われる筋には注意が必要になる。豊島は眼鏡を外してうつむく。視線は盤上になく、脳内で今後の進行を読み進めているのか。 *この局面で定刻の12時になり、昼食休憩に入った。▲6七歩に対して豊島が使った時間は28分。ここまでの消費時間は▲藤井44分、△豊島48分。昼食の注文は藤井がやまがそばの御弁当(冷たいうどん)、豊島がイレブンの一口ヘレカツ(サービスランチ)。対局は12時40分から再開される。 * *【北村桂香女流初段が来訪】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-e989.html *【昼食休憩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-bc24-3.html *【昼食休憩時の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-e82f-3.html *【両対局者の昼食】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-6fbd.html * *※局後の感想※ *△8六歩は▲同歩△同飛▲8七金から▲8六歩で先手陣が厚くなり、後手としては面白くない。 52 5四歩(53) (34:00/00:54:00) *12時40分になり、対局再開。さらに豊島は数分考え、△5四歩と突いた。対してすぐに▲3五歩△同歩▲同角は△5二金で、響きが薄い。着手した豊島が席を外すと、藤井は記録係から棋譜を受け取って目を通す。豊島が戻る前に返却した。席に戻った豊島はあぐらに崩す。 * *【昼食休憩再開前後】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-0bee.html *【昼食休憩再開後の一手は△5四歩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-3aeb.html * *※局後の感想※ *豊島は▲5五銀左の展開を嫌って△5四歩と突いたという。対して▲7七桂は△8六歩▲同歩△同飛▲8七金△7七桂成▲同銀△8一飛▲8六歩の進行が見込まれるが、先手は前手▲6七歩が生きない変化になる。 53 4七銀(56) (11:00/00:55:00) *13時頃、▲4七銀までの消費時間は▲藤井55分、△豊島54分。11分考え、腰掛けた銀を引いた。この後、▲5六歩と突き出す展開になるか、あるいは動くのが難しいと見れば△5二金に▲5六銀△6二金▲4七銀……、と千日手を受け入れるか。大きな分岐点が近いようだ。 54 5二金(62) ( 4:00/00:58:00) *金を寄り、銀のヒモをつけた。▲3五歩△同歩に▲同角が当たらないようにもしている。 55 5六歩(57) ( 1:00/00:56:00) *銀のいたところに歩を突き出した。角の利きを自陣の奥深くまで通す。将来的に▲5五歩と突っかける含みもあるようだ。角頭が薄くなっており、後手は△8六歩▲同歩△同飛で1歩を持ち、△4四歩▲同歩△4五歩を狙う順がひとつ考えられる。 56 6二角打 (21:00/01:19:00) *20分あまりの考慮で、自陣に角を放った。左右をにらむ好位置だが、具体的な狙いは難しい。△9五歩▲同歩△同香で1歩を持つ順は考えられる。その1歩をいかに生かすのか。 * *【自陣角】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-473b.html 57 6八角(46) (24:00/01:20:00) *藤井はハンカチを手に顔を覆い、それを外すと盤上に手を伸ばした。▲6八角と引き、9五の地点に勢力を足す。24分の考慮だった。今度△9五歩▲同歩△同香なら▲同香で、香得の変化になる。角が4六にいたままで△9五歩▲同歩△同香に▲9六歩は、△同香▲同香に△9五歩から香を取り返されるところだった。 58 4二金(52) ( 7:00/01:26:00) *14時頃、△4二金右までの消費時間は▲藤井1時間20分、△豊島1時間26分。金を寄り、玉を固める。前手▲6八角で△8六歩や△9五歩とは動けないようにされていた。先手にも▲5八金と金銀の連結を図る手がある。そこで後手の指す手は難しそうだ。 * *【梅田ゆかた祭り2019(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/2019-907a.html 59 7九玉(88) ( 9:00/01:29:00) *10分近く考え、玉を囲いから出ていった。後手からの仕掛けが難しいと見れば、右玉の遷都も考えられそうだ。棋士室を村田顕弘六段が訪れている。 *「先手玉の引っ越しも違和感のない形になってきましたね。引っ越して▲7七桂とぶつけるのでしょうか。豊島さんのほうも最善形を保ちながら待つのでしょうね」(村田顕六段) *先手は▲6九玉〜▲5八玉と5八までは移動し、そこで考えることになりそうだという。後手の待つ手段としては△5二金〜△4二金右や、△2二玉〜△3一玉の往復が考えられる。 * *※局後の感想※ *豊島「▲7九玉から組み替えられて、あまり自信がないです」 60 9二香(91) (17:00/01:43:00) *17分の考慮で△9二香と上がった。△9一飛〜△9五歩と仕掛ける形を見せる。勢いをつけて先に△9五歩で、▲同歩に△9一飛もあるようだ。後手は歩を持てば△1五歩▲同歩△1七歩とし、△1五香から1筋突破を目指す順もあるか。ただ、△9一飛には▲4六角〜▲6五銀を狙われるリスクも考慮に入れなければならない。 * *【間合いのはかり合い】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-c076.html 61 6九玉(79) (14:00/01:43:00) *14分考え、玉を6九に寄った。9筋から攻められる可能性がある。玉を遠ざかっておくほうが安全度が高い。 62 2二玉(31) ( 1:00/01:44:00) 63 5八玉(69) ( 2:00/01:45:00) *差し入れを手に、棋士室を糸谷哲郎八段が訪れた。 *「先手玉は中央がいいでしょうね。3八までいくと角が1七までにらんでいますので。後手は△3一玉〜△2二玉を繰り返して待っていると、先手はどこかで▲7七桂と動く手があります。△同桂成▲同銀で次にどうするかは難しいですが、一応、▲2六桂〜▲1四桂のような順はありますので、後手も反撃の態勢は整えるのでしょう。動くなら△4四歩か、△9一飛として△9五歩か。そのどちらかから動けるようにするのではないかと思います」(糸谷八段) * *【引っ越し】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-82ae.html *【糸谷哲郎八段が来訪】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-b23d.html 64 5三角(62) ( 8:00/01:52:00) *「▲7七桂から▲6五桂に△同歩とできるようにしたのかもしれませんね。そのときに角がにらんでくると。もしかしたら△6二角〜△5三角という手待ちのほうが、隙が少ないというのもあるかもしれません」(糸谷八段) *△6五同歩に▲同銀は△7三桂で銀が捕まる。現局面は▲7七桂を中心に考えたいという。対して△3一玉が考えられるようだ。桂交換後の▲2六桂で▲3五歩から銀を狙われた際、△2二銀と引ける形になる。 *15時頃の局面。△5三角までの消費時間は▲藤井1時間45分、△豊島1時間52分。 65 7七桂(89) (14:00/01:59:00) *14分の考慮で桂をぶつけた。先手番らしく局面を動かしていく。 *「(1)△7七同桂成に▲同角は△3一玉とします。次に△6五歩▲5七銀で△7五歩や△8六歩がありますので、先手は▲7七同角とは取りたくないですね。▲7七同銀に△6五歩と突くなら、先手から▲6五桂△同歩▲7七銀とさせたほうが後手は1手得なので、ここで(2)△3一玉も考えられます。ただ、それには▲4六角で、桂交換から6五に歩を突かれる筋を牽制する手がありますね」(糸谷八段) *(2)△3一玉とするか、▲4六角を嫌うなら手損になるが、(1)△7七同桂成▲同銀に△3一玉として▲2六桂を牽制するか、考えることは多いという。 * *【長い将棋】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-f81c.html * *※局後の感想※ *後手は桂を持たれると▲2四桂の筋が気になる。(1)△7七同桂成は▲同銀△6五歩▲4六角△6四銀▲2四桂△3一金▲9五歩。▲2四桂でクサビが入るのが大きい。 66 5二金(42) (41:00/02:33:00) *41分の長考で、8手前に寄った金を5二に戻る。離れ駒になっていた銀に再びヒモをつけた。桂と歩を持たれて▲2六桂から▲3五歩△同歩▲3四歩を狙われた際、銀を4二に引けるようにもしている。 *16時頃、△5二金までの消費時間は▲藤井1時間59分、△豊島2時間33分。着手から10分あまりが経過した。藤井はやや前傾姿勢になって考える。手待ちや組み替えなど、互いに手損を繰り返した。現状は差し引きで後手のほうが1手ほど得しているようだが、手得がそのまま局面の優劣につながらないのが本局のような将棋の難しいところだ。棋士室では、このように再編成する将棋は昔にはなかった感覚だと話題に上がった。 * *※局後の感想※ *豊島は本譜では「あまりさえない」という。 67 4六角(68) (21:00/02:20:00) *藤井は悩ましそうな様子を見せた後、▲4六角と上がる。20分あまりの考慮だった。 68 7七桂成(65) ( 0:00/02:33:00) *予想の本命だったか、豊島はノータイムで桂を換える。 69 同 銀(66) ( 0:00/02:20:00) 70 3一玉(22) ( 0:00/02:33:00) *藤井が前手を着手して席を外すと、豊島は体を伸ばして記録机のほうを見やり、盤上に手を伸ばす。△3一玉と引いた。 * *【1階販売部(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-3522.html 71 6六歩(67) ( 5:00/02:25:00) *席に戻った藤井はさして時間を使わず、▲6六歩と突き出す。▲6五歩を見せて△9一飛を牽制した。何かの際に△6五桂と打たれる筋を防ぎ、8筋を守る銀を安定させてもいる。 72 6二角(53) (12:00/02:45:00) *12分考え、角を6二に戻った。9五の地点への利きの数が上回り、現状、先手は利きを足すことができない。 * *【1階販売部(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-5141.html * *※局後の感想※ *藤井は▲6七金だと具体的に動く筋がないと指摘する。 73 5七金(48) (15:00/02:40:00) *15分考え、玉の頭に金を上がった。上部に厚く構える。脇腹は開いたが、現状は横から狙われる展開になりにくい。 *17時頃、▲5七金までの消費時間は▲藤井2時間40分、△豊島2時間45分。豊島は15分近く考えている。棋士室を村山慈明七段が訪れた。本局の新聞解説を担当する。 * *【じりじりとした戦い】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-3705.html *【新聞観戦記と解説者】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-7a6a.html 74 4二金(52) (20:00/03:05:00) *20分の考慮で、再び金を4二に戻った。金銀が連結し、上部から攻められた際には深い玉形だ。 75 6八金(78) ( 5:00/02:45:00) *金を寄り、まだまだじっくりと進める。糸谷八段と村山七段はわずかに先手を持ってみたいというが、確たる差はなさそうだ。 *「藤井君はじっくりした序盤が好きですよね。歩を持てば手を作れそうで、▲6九飛で▲6五歩を見せるのはありましたが、▲6八金は意外でした。どこで戦いが起こるか、分かりません」(村山七段) *先手はどこかで▲2六桂から局面を動かすことができそうだと見られている。 * *【村山慈明七段が来訪】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-a333.html 76 4一金(42) ( 8:00/03:13:00) *△4一金と引いた。村山七段は△5一飛の余地を残したと見ている。 *「コビンが開きますが、角で狙われる展開にはなりにくいと見たのでしょうね。先手は打開するなら(1)▲2六桂か(2)▲5五歩△同歩▲同角ですが、(1)▲2六桂から3四に桂を跳ねられる筋になった際、当たらないようにしています」(村山七段) *(2)の順は▲5五同角に△5一飛が角取り。以下、▲5六歩△5四歩▲4六角△8一飛と進めば現局面に戻る。後手番としては千日手歓迎だろう。 *17時40分、夕食休憩まであと20分となった。村山七段は、現局面で何らか攻めを見せるのは決断の手になるとして、休憩に入れてゆっくり考える可能性を示す。そうなったとして、消費時間は藤井が上回るが、その差は10分あまりにとどまる。 *この局面で定刻の18時になり、夕食休憩に入った。△4一金に対して藤井が使った時間は39分。ここまでの消費時間は▲藤井3時間24分、△豊島3時間13分。夕食の注文は藤井がイレブンのバターライス、豊島がやまがそばの親子丼セット(温かいそば)。昼食とは出前の店が両者の間で入れ替わった。対局は18時40分から再開される。 * *【谷川浩司九段、長谷川優貴女流二段が来訪】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-b8ca.html *【夕食休憩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-d57e-5.html *【夕食休憩時の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-0226-1.html *【大盤解説会が始まる】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-17fc.html * *※局後の感想※ *(3)▲1八香は△2六桂の筋がつきまとい、先手として指しづらい。(1)▲2六桂は狙いに乏しいようで打ちにくく、豊島はあまり考えなかったと明かす。しかし、後手の指す手も難しく、△4二金上は▲5五歩で後手は押し潰されそうだ。 *豊島「作戦負け気味かなあと思いました」 77 5五歩(56) (46:00/03:31:00) *18時40分になり、対局再開。▲5五歩と突き出す。夕食休憩を挟んで46分を消費する長考だった。 * *【夕食休憩再開の一手は▲5五歩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-7ebd.html 78 同 歩(54) ( 0:00/03:13:00) 79 2四歩(25) ( 1:00/03:32:00) *5筋の歩を取り返す前に、飛車先に突き捨てを入れにいく。棋士室では、「先に」と一様に感心する声が上がった。(1)△2四同銀は▲5五角が香取りになり、(2)△2四同歩は▲5五角のあとに▲2五歩の継ぎ歩攻めが狙いとなる。 *「(1)△2四同銀も(2)△同歩もあって難しいですね。(1)△2四同銀は▲5五角に△(A)3三銀や(B)△3三桂で、相手に手番を渡して対応しようとします。ただ、(A)△3三銀は怖いですね。▲5四歩のような手が気になります。(2)△2四同歩は▲5五角に△5四歩か△5一飛で▲4六角と追って、手番を握って何かしようという積極的な意味ですね」(村山七段) *(1)と(2)では方針が真逆ともいえ、決断を要することになると解説する。(1)の(A)の変化、▲5四歩に△5三歩は▲3五歩△5四歩▲3三角成△同桂▲3四歩の攻めがあり、うるさいようだ。(B)△3三桂に▲5四歩は△5三歩で垂れ歩を消される。 80 同 歩(23) (15:00/03:28:00) *19時過ぎ、△2四同歩までの消費時間は▲藤井3時間32分、△豊島3時間28分。15分の考慮で豊島は歩で応じた。前手コメントで、村山七段が手番を握って積極的と解説していた手だ。 81 5五角(46) ( 0:00/03:32:00) *歩を取り返し、▲2五歩△同歩▲同桂の継ぎ歩攻めを見せる。角が5五にいるうちは迫力があり、後手は△5四歩か△5一飛で天王山から角を追いたい。 82 5一飛(81) ( 5:00/03:33:00) *2歩を手持ちにしたまま飛車を回った。▲4六角に対し、どのように動いていくのか。 83 4六角(55) ( 3:00/03:35:00) *棋士室に顔を出している井上慶太九段は「ここや、ここでどうするか」と注目している。 * *【19時ごろの棋士室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/19-edfc.html *【恐れることなく】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-df81.html 84 3五歩(34) ( 4:00/03:37:00) *桂頭をめがけて△3五歩と突き出した。▲3五同歩△5六歩に▲同銀や▲同金なら△3六歩で桂を取りにいける。 * *※局後の感想※ *豊島「やるしかないですよね」 85 同 歩(36) (16:00/03:51:00) *16分考え、▲3五同歩と応じた。△5六歩▲同銀△3六歩で桂損になりそうだが、代償に後手を歩切れにできる。 86 5六歩打 ( 1:00/03:38:00) *利きの足りないところ、金取りに歩を放つ。▲6七金寄は△5五桂が金銀両取りになる。 * *※局後の感想※ *豊島は▲5六同金でも「分からなかった」という。以下、△3六歩▲5五桂△3七歩成▲6三桂成△4七と▲同玉△3六銀▲5七玉△4五銀▲6四角△2二玉▲5三歩△5六銀▲同玉△8四角の順が示され、両者ともに自信なさそうな様子だった。豊島は本譜も成算があったわけではなかったと明かす。 87 同 銀(47) ( 1:00/03:52:00) *銀で応じた。棋士室の脇謙二八段は、自信のありそうな手つきだという。 88 3六歩打 ( 0:00/03:38:00) *観戦記者の相崎さんが持ち込んだパソコン上の将棋ソフトは、▲2五桂△同歩(1)▲5五歩△3七歩成に▲3九飛! を示す。継ぎ盤の面々も、一様に驚きの声を上げた。△2七とと逃げれば▲3四歩が幸便だ。後手は歩切れのため▲3九飛への対応が難しい。読みやすい手として、(1)▲5五歩に代えて(2)▲2五同飛も考えられる。次に▲2三桂の狙いがあり、歩切れの後手は工夫が求められそうだ。 *19時35分頃、2階道場の大盤解説会場は90人近いお客さんが入っている。夕食休憩時には雨が降り出していたことを考えると、まずまずのにぎわいといえそうだ。 * *【19時35分ごろの大盤解説会場】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/1935-6045.html * *※局後の感想※ *藤井は▲2七飛を挙げた。△9五歩▲同歩△同香▲同香△5五歩▲同銀△5四桂▲同銀△同銀と進む。 *豊島「無理やりやっている感じなので、自信があるわけではありませんが、際どいですかね」 *また、上記(1)の変化が盤側から指摘されると、豊島は笑みを浮かべた。▲3九飛以下、△2三金▲3七飛△3二金の順では自信を持てないという。(1)▲5五歩に△2四銀と変化するのは▲3四桂△3五銀▲同角△同角▲2五飛で、「嫌ですかね」と豊島。▲2五桂△同歩に(1)▲5五歩の変化は先手有望だったようだ。(2)▲2五同飛は△3七歩成▲同角に(A)△1三桂〜△3五角や、(B)△5六飛▲同金△3六銀があり、先手としては選びづらい。 89 3九飛(29) (19:00/04:11:00) *20時頃、▲3九飛までの残り時間は▲藤井49分、△豊島1時間22分。20分近い考慮で▲3九飛と寄った。縦の利きが通れば▲3四歩の狙いがある。 *「△2七桂〜△1九桂成と香を取って、後手は上部を開拓するような展開を読んでみたいですね」(村山七段) *豊島は右拳を座布団に突き、腕を脇息に預けた左手を顔に当てて考える。対局室は暑いようで、夕食休憩明けからワイシャツ姿だ。 * *【館】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-d396.html 90 2七桂打 (16:00/03:54:00) *16分考え、飛車香両取りに桂を打った。筋のいい手ではないが、▲2九飛△1九桂成▲同飛△3七歩成▲同角△3五角と進めば、後手は香得のうえに歩切れを解消して角をさばける。大盤解説会は休憩に入り、谷川九段と長谷川女流二段が棋士室に戻ってきた。谷川九段はモニターを見るや、△2七桂を見て「まさか」の表情を見せる。 91 3八飛(39) ( 1:00/04:12:00) *香はタダになるが、3筋にいることを優先した。△3七歩成に▲同飛を用意し、次の▲3四歩を楽しみにする。△1九桂成はあるが、成桂の働きが悪い。 92 1九桂成(27) ( 0:00/03:54:00) *棋士室では、▲2五桂△同歩▲3六飛が候補に挙がった。ほかに▲5五歩や▲6七玉も先手として指しておきたいと見られている。飛車の利きが直通してきそうな現状は気持ちが悪い。 * *※局後の感想※ *▲5五歩は△2九成桂で先手自信なし。 93 2五桂(37) ( 6:00/04:18:00) *助からない桂を跳ね、飛車の縦の利きを通す。脇八段は第一感として挙げていた。 * *【歩頭に桂跳ね】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-5acc.html 94 同 歩(24) ( 0:00/03:54:00) 95 3六飛(38) ( 0:00/04:18:00) 96 2四銀(33) ( 0:00/03:54:00) *「▲4七桂と打ちたいですね。次に▲3四歩があり、▲1九角とも指しやすくなります。▲4七桂に後手の手が広いですね。△1八成桂と逃げておくか、△2三桂として▲3四歩に△3五香を用意しつつ、▲1九角を牽制するのもあります」(村山七段) *20時30分になり、大盤解説会は棋士室を訪れていた杉本昌隆八段と井上九段のコンビに交代した。杉本昌八段は藤井の師匠だ。 * *【ゲスト出演】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-c69a.html *【大盤解説会交代】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-7768.html 97 4七桂打 (10:00/04:28:00) *10分の考慮で▲4七桂と放った。3筋の位に厚みを持たせる。 98 2六歩(25) ( 3:00/03:57:00) *△2六歩と伸ばし、▲3四歩に△2五銀を用意した。継ぎ盤では▲2六同飛△2三香の順が挙がる。 * *※局後の感想※ *▲2六同飛に(1)△2三香は▲3六飛で、豊島は自信を持てていなかった。また、(2)△3四桂は▲2四飛△4六桂▲同金△2三香▲3四飛で、後手は味のいい飛車の取り方が難しい。豊島は容易でないと見ていたようだ。 99 3九飛(36) ( 6:00/04:34:00) *飛車を下段に引き、相手の銀から距離を取った。村山七段は△2七歩成を挙げる。そこで▲3四歩△2五銀の交換を入れるかどうかは難しい。先手は3四に拠点を作りたいが、後手の角筋が通って△1七角成が実現しやすくなる。 *21時頃、▲3九飛までの残り時間は▲藤井26分、△豊島1時間3分。着手から10分あまりが経過した。すでに豊島の残り時間も1時間を切っている。棋士室では、これまで模様がよさそうと見られていた先手を持って、自信なしの声が聞かれるようになった。 100 2七歩成(26) (19:00/04:16:00) *豊島は20分近く読みを入れ、と金を作る。自然と見られていた手に時間をかけた。 * *【100手に到達】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/100-6856.html * *※局後の感想※ *豊島「(△2七歩成と)成りますよね」 101 1九飛(39) ( 0:00/04:34:00) *飛車で成桂を取る。△1八成桂〜△2八成桂と活用されるわけにはいかなかった。 102 2六と(27) ( 3:00/04:19:00) 103 5五角(46) ( 7:00/04:41:00) *香取りに角を上がる。前手△2六とで△3六とを見せられていた。代えて▲3九飛では、筋は悪いものの△2七桂▲3八飛△3六香▲2八飛△3七香成の順が気になったか。継ぎ盤では△3三桂打が挙がる。いままでの手厚い指し手の流れに沿っており、次は△5二香の狙いだ。▲3四歩△5二香▲3三歩成には△同桂と応じられる。 * *※局後の感想※ *△5五同飛は▲同桂で後手大変。 104 3三桂打 (10:00/04:29:00) *10分考え、手厚く桂を打って受けた。先手は△5二香の田楽刺しの狙いを見せられ、対処しなければならない。 * *【やっぱり打つんですね】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-673a.html 105 3四歩(35) ( 3:00/04:44:00) *村山七段は、堅くなったところに▲3四歩は指したくないと指摘していたが、藤井は桂を取りにいく。 * *※局後の感想※ *△5二香は考えられたか。▲3三歩成△同桂▲3四歩△5五香▲同桂△4五桂に、(1)▲6三桂成は△3五角、(2)▲3三香は△5七桂成▲同玉△5四銀でそれぞれ後手は指せそうだ。 106 3六と(26) ( 0:00/04:29:00) *ノータイムでと金を寄った。放置すれば△4七と▲同金△5五飛▲同銀に△2八角の飛車銀両取りがある。21時30分を回り、大盤解説会にゲスト出演していた井上九段と杉本昌八段が戻ってきた。交代で呼びにこられるのを待っていたとのことで、思わず長めの登板となったようだ。 * *【忍び寄ると金】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-5080.html 107 3三歩成(34) ( 5:00/04:49:00) *桂を取り、一時的に駒割りは▲桂△香でほぼ互角に戻った。 108 同 桂(21) ( 0:00/04:29:00) 109 3四歩打 ( 0:00/04:49:00) *再度の▲3四歩でさらに桂を取りにいく。村山七段は△4五桂を挙げた。先手は桂を大量に持っても使い道に乏しい。△4七と▲同金△5四香は▲3三角成△5六香▲5七歩△3三銀▲同歩成△同金▲2五桂で、後手は食いつかれてしまう。 * *【大変な勝負】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-2aee.html 110 4五桂(33) (12:00/04:41:00) *12分考え、△4五桂と跳ねた。▲5二歩△同飛▲5三歩が指摘されている。△5三同飛は角筋が止まり、▲1一角成で後手の指す手が難しい。村山七段は△5三同角▲4五銀△4七と▲同金△5四香を示した。 111 1一角成(55) ( 0:00/04:49:00) *飛車先に歩をたたかず、単に角を成る。「自信がありそう」との声が上がった。 112 5七桂成(45) ( 1:00/04:42:00) 113 同 金(68) ( 0:00/04:49:00) 114 2一金打 ( 0:00/04:42:00) *金を取って受けに使う。▲5五馬なら5筋に香を打つのか。ただ、▲2一同馬△同玉と進むと手番を握られてしまう。 * *【ケリをつけにいく】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-cd09.html * *※局後の感想※ *(1)▲2一同馬は△同玉▲3三桂△1二玉▲4一桂成△5六飛▲同金△7八角▲5七金打△4七と▲同玉△3五桂▲5八玉△4七銀▲同金△同桂成▲同玉△3六金で後手が勝つ。豊島は、この変化は相当に駒を渡すため怖かったと振り返る。見えにくいが、(2)▲3三歩成はあった。△3三同銀▲同馬△同金とシンプルに清算して▲4五桂と打つ。持ち駒の桂を使いやすく、先手有望だったようだ。 115 5五香打 ( 4:00/04:53:00) *22時頃、▲5五香までの残り時間は▲藤井7分、△豊島18分。5筋に香を先着した。脇八段は飛車を切る筋を消したと指摘する。 * *※局後の感想※ *本譜で後手が悪いのであればと、△1一金にも触れられた。掘り下げるべきだったかもしれない。 116 5四歩打 ( 4:00/04:46:00) 117 2一馬(11) ( 1:00/04:54:00) *△5四歩と打たせて馬を切った。△5五歩〜△5六歩がくる前に寄せなければならない。 118 同 玉(31) ( 0:00/04:46:00) 119 3三桂打 ( 0:00/04:54:00) *【3三対5筋】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-e726.html 120 1二玉(21) ( 0:00/04:46:00) *王手のかかりにくい1二に逃げる。脇八段は、先手はこの攻めでは自信を持てないという。 121 2五歩打 ( 2:00/04:56:00) *少ない残り時間から2分を費やし、銀取りに▲2五歩と打った。△2五同銀は▲2四桂や、▲4一桂成から▲2四金が生じる。 122 5五歩(54) ( 1:00/04:47:00) 123 同 桂(47) ( 0:00/04:56:00) *「△3五角▲2四歩△4六とで、▲同金に△同角は詰めろではありませんが、以下、▲2五桂は△3六角で抜かれてしまいます」(村山七段) *後手玉にどのように迫ればいいか、難しいという。豊島は目元に手を当てて考える。 * *【残り4分対10分】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/10-eea6.html * *※局後の感想※ *豊島は本譜で勝つ組み立てだったが、検討の結果、△3七角▲2九飛△2八歩が本譜にまさったようだ。しかし、この順は指しづらいという。 124 3五角(62) ( 5:00/04:52:00) *5分考えて角を上がった。金を質駒にしながらさばき、味がいい。 125 2四歩(25) ( 0:00/04:56:00) 126 4六と(36) ( 0:00/04:52:00) *一直線の寄せ合いに進む。読み勝っているのはどちらか。 127 同 金(57) ( 0:00/04:56:00) 128 同 角(35) ( 0:00/04:52:00) *飛車取りだが、構わずに▲2五桂があるようだ。▲1三銀△1一玉▲1二金までの詰めろで、△3六角から抜くのは後手の攻め駒が少ない。 *藤井はこの局面での考慮中に一分将棋に入った。 * *※局後の感想※ *豊島は(1)▲3六桂を指摘したが、△3五角打が手厚い(▲2一銀△2二玉▲1二金△3一玉▲4一桂成△同玉▲3二銀不成△5二玉と追われたときに受けに利く)うえに△5七角成以下の詰めろになる。(2)▲2五桂で先手がよかった。以下、(A)△3六角は▲4七桂△2五角▲2一銀で先手が勝つ(対して△1三玉には▲4一桂成が▲2三金以下の詰めろになる。△2二玉は▲4一桂成△2一玉▲3三歩成△同金▲1三金で先手玉は詰まない)。(B)△5七金は▲5九玉△3七角成▲4八歩△同馬▲6九玉△5八馬▲7九玉△2五馬▲4一桂成で、「そうか、負けですかね」と豊島。対局中、豊島は桂を抜く順がいくつかあるから勝ちだろうと見ていたが、結論として▲2五桂なら先手が勝ちだった。藤井は(A)の手順の▲2一銀に気づかなかったと振り返る。 129 1七飛(19) ( 3:00/04:59:00) *飛車を浮き、自玉頭に利かす。手番を渡してしまい、棋士室の評判は芳しくない。△5五飛が挙がった。▲5五同銀は△5六香から詰みがあるようだ。 * *【幻の妙手】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-9ad7.html 130 5五飛(51) ( 3:00/04:55:00) *3分考えて飛車を切った。▲5五同銀△5六香に▲5七歩は△3六角の筋がある。 131 同 銀(56) ( 0:00/04:59:00) 132 5六香打 ( 0:00/04:55:00) *▲6七玉は△8九角▲7八合△5七金以下の詰み。 133 5七歩打 ( 0:00/04:59:00) *△3六角に▲6七玉は△5七角成▲7八玉△6九角成▲同玉△7九金▲5九玉△5八馬までの詰み。豊島もこの局面での考慮中に一分将棋に入った。上を見上げ、読みを確認しているのか。 134 同 香成(56) ( 4:00/04:59:00) *△5七同香成でも詰むと見られている。 * *【豊島名人勝勢】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-bdbe.html 135 同 飛(17) ( 0:00/04:59:00) 136 同 角成(46) ( 0:00/04:59:00) 137 同 玉(58) ( 0:00/04:59:00) *△4五桂▲4六玉△3六金以下の詰み。 138 4五桂打 ( 0:00/04:59:00) 139 4六玉(57) ( 0:00/04:59:00) 140 3六金打 ( 0:00/04:59:00) *▲4五玉に△4八飛▲3六玉△5八角の順がある。 141 4五玉(46) ( 0:00/04:59:00) *代えて▲3六同玉は△3七飛▲4六玉△3五角▲4五玉△4四香以下の詰みだった。 142 3五飛打 ( 0:00/04:59:00) *△3五飛でも詰み。▲5六玉に△7八角がある。 143 5六玉(45) ( 0:00/04:59:00) 144 5五飛(35) ( 0:00/04:59:00) *▲5五同玉に△4六銀以下、詰む。 145 同 玉(56) ( 0:00/04:59:00) 146 4六銀打 ( 0:00/04:59:00) *藤井は体の前で手を合わせる。グラスのお茶を口に含む。やがて投了した。以下は▲5六玉△7八角▲6七合△5五香▲4五玉△3五金までの詰み。終局時刻は22時48分。消費時間は▲藤井4時間59分、△豊島4時間59分。勝った豊島は次戦で1組ランキング戦優勝者の渡辺明三冠と対戦する。 * *【豊島名人がベスト4進出】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-9151.html *【終局直後】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-bb10-3.html *【感想戦】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-10da-3.html *【次回は8月2日(金)に渡辺明三冠−豊島将之名人戦】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2019/07/post-7757.html * *※局後の感想※ *129手目▲1七飛が敗着となり、代えて▲2五桂なら先手の勝ち筋だった。遡って豊島は終盤の2者択一で、「何回か微妙に間違えているかもしれません」と振り返る。124手目△3五角以下の順は負け筋で、代えて△3七角は考えられたか。感想戦は0時10分に終了した。 147 投了 ( 0:00/04:59:00) まで146手で後手の勝ち