# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.14 棋譜ファイル --- 対局ID:8488 記録ID:5c10806cef71e000046c2e0c 開始日時:2018/12/20 09:00 終了日時:2018/12/21 18:49 表題:竜王戦 棋戦:第31期竜王戦七番勝負 第7局 戦型:角換わり腰掛け銀 持ち時間:各8時間 消費時間:167▲427△479 場所:山口・春帆楼 備考:昼休前39手目38分\n2日目昼休前92手目31分\n09:02〜09:04まで中断\n封じ手時刻:18:00<71手目>\n09:05〜09:07まで中断\n 振り駒:0,2,羽 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:30〜13:30 昼休前消費時間:39手38分 手合割:平手   先手:広瀬章人八段 後手:羽生善治竜王 先手省略名:広瀬 後手省略名:羽生 手数----指手---------消費時間-- *羽生善治竜王に広瀬章人八段が挑戦する第31期竜王戦七番勝負は、両者譲らず3勝3敗でフルセットにもつれ込んだ。羽生が防衛とともに通算タイトル100期の大記録を打ち立てるのか、広瀬が奪取して羽生を27年ぶりの無冠に追い落とすのか。大一番となる第7局は12月20・21日(木・金)、山口県下関市「春帆楼」で行われる。 *立会人は藤井猛九段、副立会人兼新聞解説は松尾歩八段、記録係は徳田拳士三段(小林健二九段門下)。現地大盤解説会の解説は田村康介七段、聞き手は中村真梨花女流三段が担当する。対局開始は20日9時、持ち時間は各8時間。先後はあらためて振り駒で決定する。 *20日、下関市は朝から雨が降っている。対局室には多くの報道陣の姿。8時46分、広瀬入室。8時49分、羽生入室。カメラのシャッター音が鳴り響いた。羽生が駒箱を開け、2人が駒を並べていく。前田晋太郎下関市長が行った振り駒は、と金が3枚。広瀬の先手に決まった。 * *※局後の感想※ *60手目、62手目、77手目、79手目、117手目に記載。 * *(棋譜・コメント入力=文) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手] 1 2六歩(27) ( 1:00/00:01:00) *9時、立会人の藤井猛九段が「それでは定刻になりましたので、広瀬八段の先手でお願いします」と告げて対局開始。注目の大勝負が始まった。 2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *広瀬も羽生も、ゆっくりと盤上に手を伸ばした。対局室から関係者が退室する。 * *【1日目 対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-75cb-2.html 3 2五歩(26) ( 2:00/00:03:00) *◆広瀬 章人(ひろせ あきひと)八段◆ *1987年1月18日生まれ、北海道札幌市出身。勝浦修九段門下。2005年、四段。2014年、八段。棋士番号は255。 *タイトル戦登場は4回。獲得は王位1期。棋戦優勝は1回。 4 8五歩(84) ( 2:00/00:02:00) *◆羽生 善治(はぶ よしはる)竜王◆ *1970年9月27日生まれ、埼玉県所沢市出身。(故)二上達也九段門下。1985年、四段。1994年、九段。棋士番号は175。 *タイトル戦登場は136回。獲得は竜王7期(永世竜王)、名人9期(十九世名人)、王位18期(永世王位)、王座24期(名誉王座)、棋王13期(永世棋王)、王将12期(永世王将)、棋聖16期(永世棋聖)の計99期。棋戦優勝は44回。 5 7六歩(77) ( 1:00/00:04:00) *竜王戦は読売新聞社が主催し、野村ホールディングスが特別協賛する棋戦。今期七番勝負には東急グループ、明治のヨーグルトドリンク[R−1]が協賛している。1987年、十段戦を発展的に解消して設立された。優勝賞金は棋界最高の4,320万円。十段戦の前身となる九段戦を含めると1950年から続いており、長い歴史を持つ。6組に分かれてトーナメント戦を行い、各組の上位11名による決勝トーナメントで挑戦者を決定。七番勝負の勝者が竜王のタイトルを得る。 * *【囲碁・将棋:竜王戦:カルチャー:読売新聞】 *http://www.yomiuri.co.jp/culture/igoshougi/ryuoh/ * *【野村證券 | 退職金・相続など資産運用のご相談は野村證券へ】 *http://www.nomura.co.jp/ * *【東急グループサイト】 *https://tokyugroup.jp/ * *【株式会社 明治】 *https://www.meiji.co.jp/ 6 3二金(41) ( 2:00/00:04:00) *本局の観戦記を担当するのは相崎修司さん。今日の読売新聞朝刊には、七番勝負第5局の観戦記が掲載されている。こちらの執筆は池田将之さん。 7 7七角(88) ( 1:00/00:05:00) *今期七番勝負は第1局、第2局を羽生が連勝して好スタートを切ったが、第3局、第4局で広瀬が終盤の逆転劇を見せてタイに戻した。第5局は羽生制勝、第6局は広瀬快勝。竜王戦では2期ぶりのフルセットとなった。 *今年は棋聖戦、王位戦、王座戦、そしてこの竜王戦と、番勝負のフルセットが続いている。ここまでの3棋戦はすべて挑戦者の奪取という結果に終わったが、本局はどうなるか。 8 3四歩(33) ( 8:00/00:12:00) *羽生は本局に勝てば通算タイトル100期という前人未到の大記録に到達する。一方、敗れると無冠に転落。これまでに羽生は1990年11月に竜王を失冠して無冠になったが、翌年3月に棋王奪取、わずか4ヵ月で無冠を返上した。以降27年もの間、タイトルを持つ期間が途切れないまま今日に至っている。羽生が七冠制覇の偉業を達成したのが1996年2月のこと。本局はそのときとはまた違った、重い意味を持つ大勝負になる。 9 6八銀(79) ( 1:00/00:06:00) *広瀬にとってタイトル獲得まであと1勝という状況は、2011年の第52期王位戦七番勝負以来のこと。王位を保持していた広瀬は羽生の挑戦を受け、第5局まで3勝2敗とリードしたが、そこから2連敗と逆転されて失冠した。2015年の第56期王位戦七番勝負では前回と立場を入れ替えて再び羽生と相まみえるが、1勝4敗で退けられ、タイトルに手は届かず。7年越しにつかんだ好機をものにできるか。 10 7七角成(22) ( 2:00/00:14:00) *戦型は角換わりに。今期七番勝負では5度目の登場だ。星は両者2勝と五分だが、第3局と第4局は結果が広瀬勝ちとはいえ、途中までは羽生がリードする展開だった。 11 同 銀(68) ( 0:00/00:06:00) *下関市は山口県の西部、本州最西端に位置する市。古くから港湾都市として栄え、豊かな自然環境と歴史遺産を有する「歴史と海峡のまち」である。源平合戦最後の舞台となった壇ノ浦、宮本武蔵と佐々木小次郎の決闘が行われた巌流島、幕末に活躍した高杉晋作のゆかりの地などで知られる。多くの船舶が行き交う関門海峡、名産のふく(ふぐ)はとみに有名。今年は明治維新150年を記念する事業が行われている。 * *【下関市公式ウェブサイト】 *http://www.city.shimonoseki.lg.jp/www/toppage/0000000000000/APM03000.html 12 2二銀(31) ( 0:00/00:14:00) *山口県での竜王戦開催は15年ぶり。前回は2003年、第16期七番勝負第3局が柳井市の「柳井クルーズホテル」で行われた。竜王2連覇中の羽生に森内俊之九段が初挑戦、新竜王誕生となったシリーズだ。森内九段は広瀬の兄弟子に当たる。 13 4八銀(39) ( 1:00/00:07:00) *対局場の春帆楼は「下関の迎賓館」として親しまれる割烹旅館。ふぐ料理公許第一号の老舗であり、日清講和条約が締結された会場でもある。「春帆楼」の屋号は、春うららかな眼下の海に多くの帆船が浮かんでいるさまから、初代総理大臣の伊藤博文が命名した。対局室の「帝の間」では1958年と1963年の2度、昭和天皇・皇后が宿泊している。 * *【下関春帆楼:日本のふぐ料理公許第一号の老舗ふぐ料理店】 *https://www.shunpanro.com/location/shimonoseki/ 14 6二銀(71) ( 2:00/00:16:00) *記録係の徳田三段は山口県周南市の出身。これまでに山口県出身の棋士はおらず、地元の期待を集めている。前夜祭では対局関係者として紹介されると、大きな拍手が贈られていた。周南市の広報誌「広報しゅうなん」2018年9月15日号の表紙を飾ったこともある。 * *【広報しゅうなん平成30年9月15日号 - 山口県周南市】 *http://www.city.shunan.lg.jp/site/koho/27823.html 15 7八金(69) ( 1:00/00:08:00) *控室では松尾八段が第6局の棋譜を並べている。戦型は横歩取りで2日目の昼食休憩前に決着という、早い終局になった一局だ。「藤井さんに聞きたいことがあるんですけど……」と松尾八段。藤井猛九段は2日目のニコニコ生放送で解説を担当していた。 16 3三銀(22) ( 1:00/00:17:00) *現地大盤解説会は事前申し込み制で、受付は終了している。東西の将棋会館、新橋西口SL広場では2日目に解説会が行われる。東京・将棋会館の担当は戸辺誠七段、八代弥六段。関西将棋会館は脇謙二八段、村田智穂女流二段。新橋の解説会には鈴木大介九段、梶浦宏孝四段、藤森奈津子女流四段が出演する。 17 4六歩(47) ( 1:00/00:09:00) *本局の模様はニコニコ生放送、AbemaTV、将棋プレミアムで中継されている。ニコニコ生放送の解説は青野照市九段、聞き手は宮宗紫野女流二段。AbemaTVの解説は千葉幸生七段と青嶋未来五段、聞き手は本田小百合女流三段、貞升南女流初段。 * *【ニコニコ生放送】 *http://live.nicovideo.jp/gate/lv317221096 * *【AbemaTV】 *https://abema.tv/now-on-air/shogi * *【将棋プレミアム】 *https://www.igoshogi.net/shogipremium/ 18 7四歩(73) ( 2:00/00:19:00) *対局前日の19日、両対局者は羽田空港から北九州空港に飛び、車に乗り換えて現地入り。巌流島で記念撮影を行い、春帆楼で検分に臨んだ。前夜祭では羽生が「自分の持てるものすべてを出しきって、悔いの残らないようにしたい」、広瀬が「平成最後の竜王戦にふさわしい内容の将棋を指したい」とそれぞれ決意を語った。 * *【前夜祭(5)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-4d49.html 19 4七銀(48) ( 1:00/00:10:00) *広瀬の今年度成績は33勝11敗(0.750)。 *対局数はランキング2位、勝数は1位、勝率は6位。 *通算成績は384勝207敗(0.650)。 *12月17日の第44期棋王戦挑戦者決定二番勝負第1局で佐藤天彦名人を破り、自身初となる棋王挑戦を決めている。 20 7三桂(81) ( 3:00/00:22:00) *羽生の今年度成績は21勝19敗(0.525)。 *対局数はランキング4位タイ、勝数は17位。 *通算成績は1419勝584敗(0.708)。 *11月21日に行われた第77期順位戦A級、阿久津主税八段戦で通算2000局を達成した。 21 6八玉(59) ( 1:00/00:11:00) *広瀬の対局数44局はランキング2位の記録。11月からここまで、ほぼ週2局というペースで対局がついている。竜王戦は前後に移動日もあるため、多忙なスケジュールだ。なお、1位は豊島将之二冠で47局。羽生も4位タイの40局で多くの対局をこなしている。 22 6四歩(63) ( 2:00/00:24:00) *本局で立会人を務める藤井猛九段は竜王3期の実績を持つ。前夜祭では「自分の話になりますが、僕は20世紀最後の竜王戦を羽生さんと指したんですよ。それがいまでもすごく思い出に残っています」と当時を振り返っていた。2000年に行われた第13期竜王戦七番勝負は、藤井猛竜王(当時)に羽生が挑戦したシリーズ。フルセットの末に藤井猛竜王が防衛、3連覇を達成した。 * *【前夜祭(6)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-249a.html 23 3六歩(37) ( 1:00/00:12:00) *角換わりは右銀の使い方で作戦の性格が決まる。棒銀と早繰り銀は攻撃的、腰掛け銀はバランス重視の方針だ。本局は互いに腰掛け銀模様。今期七番勝負で広瀬が先手だった第2局、第4局と似た進行だ。 24 4二玉(51) ( 4:00/00:28:00) *角換わりは現在の主流戦法。数年前までは玉の堅さを重視する傾向があったが、いまはバランスよく構えることがほとんどだ。後手玉でいえば、以前は△3一玉〜△5二金〜△4二金右と、金銀3枚で固めることが多かった。現在は玉を深く囲うことは減り、△5二玉〜△4二玉と、中住まいのような形で手待ちをすることもある。 25 9六歩(97) ( 1:00/00:13:00) *端の打診。手詰まりになりやすい角換わりでは「突かれたら受ける」が原則だが、先攻を狙う場合はその限りではない。 26 1四歩(13) ( 3:00/00:31:00) *同じように玉側の端歩を突いてバランスを取る。 *10時、対局者におやつが出された。羽生は栗のタルト、ホットコーヒー。広瀬は栗どら、抹茶。2人とも足を崩し、おやつを食べてひと息つく。 * *【1日目 午前のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-48ae.html 27 1六歩(17) (13:00/00:26:00) *広瀬は今期の1組ランキング戦で優勝、決勝トーナメントを勝ち抜いて挑戦権を手にした。竜王戦は1組優勝者が挑戦者になったケースが少なく、これまでに第24期、第29期、そして今期の3回しかない。第24期と第29期はどちらも渡辺明竜王(当時)に丸山忠久九段が挑戦、防衛で決着した。本局で広瀬が勝てば、初めて1組優勝者が竜王を奪取することになる。 28 6三銀(62) (16:00/00:47:00) *10時30分、羽生が着手。9筋を受けるかどうか、態度を保留したまま駒組みを進める。第2局は先手が9筋を突き越し、第4局は互いに端を突いた形だったが、本局はどうなるか。1筋の突き合いがない形から▲9五歩と位を取ったのが、20手目コメントで触れた順位戦A級の▲羽生善治竜王−△阿久津主税八段戦。結果が先手快勝だっただけに、本局で羽生が後手を持っているのは意外で、何やら不気味でもある。 *外では雨が上がり、薄い雲越しにぼんやりとした日差しが注いでいる。 29 3七桂(29) ( 7:00/00:33:00) *広瀬は9筋の歩を伸ばさない。先述の順位戦の進行を並べていた松尾八段が「これは違う将棋になりそうですね」とうなずく。 30 8一飛(82) ( 7:00/00:54:00) *タイトル戦などの番勝負では第1局に振り駒で先後を決め、第2局以降は前局と先後を逆にして続いていく。そしてフルセットになると、あらためて振り駒を行う。本局、勝率が高い先手番を手にしたのは広瀬。今年度はタイトル戦の先手勝率が目立って高く、名人戦、叡王戦、棋聖戦、王位戦、王座戦、そしてこの竜王戦の6つの番勝負を合わせた戦績は、先手の26勝7敗(0.788)と8割に近い。それだけに後手に工夫が求められやすい状況といえる。羽生の作戦に注目したい。 31 2九飛(28) ( 2:00/00:35:00) 32 6二金(61) (12:00/01:06:00) *下段飛車の死角を守る金上がり。角の打ち込みに強い布陣で、現在の角換わりはこの形が主流だ。部分的なアイデアとしては、木村義雄十四世名人が試みている。雁木もそうだが、古くからある形が再評価されるという流れだ。 33 4八金(49) ( 2:00/00:37:00) *竜王戦がフルセットを迎えるのは今期で9回目(下表の肩書は当時)。これまでの8回のうち5回に羽生が登場しており、奪取2回、防衛1回、挑戦からの敗退が2回という内訳になっている。 * *第2期 島朗竜王3−4羽生善治六段(持将棋1) *第5期 谷川浩司竜王3−4羽生善治二冠 *第13期 藤井猛竜王4−3羽生善治五冠 *第15期 羽生善治竜王4−3阿部隆七段 *第17期 森内俊之竜王3−4渡辺明六段 *第19期 渡辺明竜王4−3佐藤康光棋聖 *第21期 渡辺明竜王4−3羽生善治名人 *第29期 渡辺明竜王4−3丸山忠久九段 34 5四銀(63) ( 3:00/01:09:00) 35 5六銀(47) ( 6:00/00:43:00) *互いに銀を上がって腰掛け銀の形になった。注目は9筋の動向である。形を決めないで指すなら△9四歩が自然だが、松尾八段は「(端を)受けるつもりなら、もっと前に受けるような気がします」と首をかしげていた。 *11時18分、羽生はうつむき、髪をかき上げる。ゆっくりと席を立った。広瀬は頬杖をつく。 36 3一玉(42) (22:00/01:31:00) *11時36分、羽生の手が動いた。端を受けない手が続く。 37 7九玉(68) ( 8:00/00:51:00) 38 9四歩(93) ( 6:00/01:37:00) *羽生は天井を見上げてから、ゆったりと盤上に手を伸ばした。ここまで保留していた端歩をようやく受けて、先後同型に戻った。先手は▲6六歩と突けば穏やか。仕掛けるなら▲3五歩、▲4五桂が指されている。田村七段は「▲6六歩だと後手から仕掛けてきそうですね。なんとなく、攻めるような気がします」と話す。控室では▲4五桂と仕掛けた実戦例、▲佐藤天彦名人−△郷田真隆九段戦(2018年10月、王将戦挑戦者決定リーグ)を並べている。ここから▲4五桂△4二銀▲3五歩△同歩▲6六角△4四角▲1五歩△同歩▲2四歩△同歩▲1五香△同香▲2四飛△2三歩▲1四飛△1三香▲3四飛と、先手が積極的に動いた。結果は先手勝ち。「先手快勝という印象でした」と松尾八段。 *12時、広瀬は口元を引き締めて盤面を見つめている。方針の岐路だけに、このまま休憩に入れるかもしれない。12時30分、広瀬の手番で昼食休憩に入った。消費時間は▲広瀬1時間29分、△羽生1時間37分。昼食は羽生が鯛茶漬けとふく唐揚げ御膳、広瀬がとらふくのたたき丼御膳。対局は13時30分に再開される。 * *【1日目 昼食注文】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-21f3.html 39 4五桂(37) (49:00/01:40:00) *13時30分、対局再開。再開の時刻を少し過ぎてから羽生が対局室に戻ってきた。「時間になっております」の声に、「あ、はい」と答える。腰を下ろし、腕組みをしてうつむいた。13時36分、広瀬が対局室に戻った。 *広瀬の手が動いたのは13時41分のこと。控室で有力と見られていた桂跳ねだった。いきなり決戦である。羽生は棋譜用紙を受け取ってじっと見つめ、しばらくして記録係に返した。先述した前例と同じ進行では後手がまずい。どこで変化するかがポイントになる。 * *【1日目 対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-8ab6-1.html 40 4二銀(33) (22:00/01:59:00) *前例と同じ銀引きだ。「桂先の銀」の手筋は△4四銀だが、安定する代わりに歩の上に出てしまうので桂を取る楽しみがなくなる。こうして銀を引けば、△4四歩から桂を取る狙いが残る。 *現地の春帆楼では、14時から指導対局が始まった。田村七段と中村真女流三段が多面指しで指導している。 41 6六角打 ( 1:00/01:41:00) *広瀬は急所のラインに角を据える。最近の角換わりでは▲6六歩を保留して駒組みを進めることが多いが、それは争点を作らないことに加え、この角打ちが生じるという2つの利点があるから。 *前例は先に▲3五歩と突き、△同歩に▲6六角と打っていた。本局は単に角打ち。この違いがどう出るか。 42 4四角打 ( 2:00/02:01:00) *カシッと高い駒音が響いた。「角には角」の受けだ。 43 3五歩(36) ( 7:00/01:48:00) *桂で攻めるには歩の協力が必要だ。ここで△3五同歩なら再び前例と合流するが、後手は手抜くという選択もある。「例えば△6六角▲同歩△4四歩としてどうか」と松尾八段。 44 同 歩(34) ( 4:00/02:05:00) *羽生、悠然と歩を取った。松尾八段は「取りましたか。なんとなく、そんな気がしていました。前例は天彦さんがバンバン攻めましたが、対応できるということですね」とうなずく。 45 1五歩(16) ( 2:00/01:50:00) 46 同 歩(14) ( 1:00/02:06:00) *どんどん歩を突き捨てて先手が激しく攻めかかっているが、粛々と進むさまはまるで棋譜並べのよう。もちろん、前例で敗れた側を持っている羽生に用意の研究があることは間違いない。 47 2四歩(25) ( 3:00/01:53:00) 48 同 歩(23) ( 1:00/02:07:00) 49 1五香(19) ( 4:00/01:57:00) *歩の突き捨てだけでなく、この香捨ても角換わりでよく出てくる攻め。駒損になるが、△1五同香と取らせれば1筋に隙が生じる。歩を入手したことと合わせて、攻めの幅が広がるのだ。 * *【巌流島(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-228a.html 50 同 香(11) (16:00/02:23:00) 51 2四飛(29) ( 2:00/01:59:00) *中段に飛車をさばく。先手は香損しているので、△2三歩のときに飛車を引いて飛車先交換で満足しては割に合わない。よって▲1四飛や▲3四飛と接近戦を挑み、積極的に次の攻めを狙うことになる。 *15時、午後のおやつが出された。羽生は芋羊羹、抹茶。広瀬はフランボワーズのムース、紅茶。芋羊羹には味のアクセントとして、ドライフルーツとクリームチーズを和えたものが添えられている。 * *【1日目 午後のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-d241.html 52 2三歩打 (21:00/02:44:00) *この2人による前例をたどる戦いといえば、2011年の第52期王位戦七番勝負第4局が思い浮かぶ。下関市と関門海峡を挟んで向かいにある、福岡県北九州市門司区で行われた一戦だ。横歩取りの激しい戦いは、なんと2日目に入って終盤まで、後手勝ちとされている前例通りに進んだ。結果は後手の羽生勝ち。広瀬も前例は承知で臨んでいたが、軌道修正が利かなかったという。 53 1四飛(24) (10:00/02:09:00) *香の裏に潜り込む。香を捨てたことで生じた攻めだ。香取りを受けるには△1三香と打つよりない。 54 6六角(44) ( 4:00/02:48:00) 55 同 歩(67) ( 2:00/02:11:00) 56 1三香打 ( 0:00/02:48:00) *飛車に当てながらの受け。先手は香を取り返せないのでつまらないようだが、働きの悪い位置に香を打たせたことが主張だ。後手玉の周囲にはキズや隙が多く、先手玉はしっかりしている。先手は駒損でも主導権を握る展開が期待できる。 57 3四飛(14) ( 2:00/02:13:00) *先手の飛車は窮屈な形だが、歩の裏を取って意外な安全地帯になっている。次は▲1四歩だけでなく、▲2二歩△同玉▲1一角という強烈な狙いもある。 58 1六角打 ( 1:00/02:49:00) *15時37分、羽生の手が盤上に伸びる。ついに前例を離れる手が出た。羽生は打った角にちょんちょんと触れて駒の位置を整える。広瀬がのけぞるように身を起こし、険しい表情になった。 *香の利きを遮る意表の端角。松尾八段は「こういう角打ちがあると、昼休みに徳田君が話していました。羽生さんはこの手がやりたかったんですね」と話す。飛車を四段目から動かせば、▲1四歩で香を取られる心配はない。松尾八段は▲3五飛に後手がどう指すかを検討している。馬を作る(1)△2七角成は、▲2二歩△同玉▲1一角でしびれる。手番を握る(2)△3四歩は、▲3七飛と引かれたときに手が難しい。以下△4四歩は▲1四歩△同香▲1七歩△2五角▲2六歩で角が捕まってしまう。(3)△3三歩は手番を渡すのでやりにくい。以下▲7五歩と攻めて先手ペースだ。松尾八段は▲3五飛に(1)△2七角成の変化に戻って、以下▲2二歩に△3三桂とかわしてどうか、という順を調べている。 59 3五飛(34) (29:00/02:42:00) 60 3三歩打 ( 1:00/02:50:00) *羽生の選択は低く受ける△3三歩だった。「やりにくいと思っていましたが……」と松尾八段。自然な▲7五歩で先手好調に見えるからだ。以下(1)△4四歩から桂を取り合うのは、▲7四歩△4五歩▲7三歩成△同金▲4四桂と後手玉の急所に桂が刺さる。そこで松尾八段は▲7五歩に(2)△6三銀を調べている。このまま△4四歩〜△4五歩で桂を取りきれれば後手の駒得が広がるが、手番を握る先手は腕の見せどころ。「例えば」と松尾八段は▲1四歩△同香▲4七角△1三歩▲3七飛を示した。次に▲1七歩や▲2五歩の筋で角を捕獲する狙いがある。「先手に手段が多そうなので、とても怖いです」と松尾八段。 *16時20分、松尾八段と中村真女流三段が継ぎ盤を挟む横で、藤井猛九段が封じ手用の封筒に必要な情報を書いている。封じ手の定刻は18時。その時刻で手番の対局者が、次の手を封じて2日目に指し継ぐ。 * *※局後の感想※ *ここで▲3四歩は△2七角成で「怖いところはある」と羽生、「わからない」と広瀬。 61 7五歩(76) (23:00/03:05:00) *16時32分の着手。歩を持って桂頭を狙う基本の攻め。受けの形は△6三銀だが、駒が後退して先手に好き放題やられてしまうので悩ましい。検討が進み、控室では角を活用する△2七角成が面白そうだといわれている。以下▲7四歩△2六馬▲3八飛△1七香成▲7三歩成△同金でどうか。ボロッと桂を取られるので選びにくい順だが、駒割りは桂香交換で駒損ではないし、懸案だった1筋の団子が解消できる。「かなり考えにくい順です」と松尾八段。藤井猛九段は「ここまでが研究だね。角を打ったということは」と話している。 62 8六歩(85) (29:00/03:19:00) *17時2分、羽生の手が動いた。手筋の突き捨てで、▲8六同歩と取らせればいつでも△8七歩が急所の攻めになる。先手は7筋に空間ができたばかりなので、▲8六同銀とは取りにくい。 * *※局後の感想※ *羽生は「突き捨てが余計だったですか。筋と思って突き捨てたんですが」と振り返った。この△8六歩を入れずに△2七角成は有力だった。本譜は突き捨てを入れたことで、先手にある手段が生じることになる。 63 同 歩(87) ( 2:00/03:07:00) 64 2七角成(16) ( 1:00/03:20:00) *羽生が角を手に持つ。指しにくいといわれていた角成り。控室の関係者から感嘆のため息が漏れた。馬を作って飛車を目標に入れつつ、香の活用も見ている。凝り形にも映る△1六角には、遠大な構想が秘められていた。 65 7四歩(75) ( 3:00/03:10:00) *歩がずんずん進んで桂取り。普通はこう取り込めれば先手好調としたもの。だが、後手も飛車を狙った反撃がある。 66 2六馬(27) ( 4:00/03:24:00) *羽生の指先に力がこもっていた。飛車金両取り。両方を受けるには▲3八飛と引くしかない。 67 3八飛(35) ( 2:00/03:12:00) *今期七番勝負の封じ手は、第1局が49手目、第2局が60手目、第3局が50手目、第4局が66手目、第5局が52手目、第6局が49手目だった。1日目に進んだ手数は本局が最長である。 68 1七香成(15) ( 0:00/03:24:00) *香を成り込んで飛車に圧力をかける。桂を取られるのは痛いが、成香の働きに期待だ。次は△2七成香が楽しみ。松尾八段は「▲7三歩成△同金の次の手がわからないですね。どうやって△2七成香を防ぐかですが、▲3七金は△2八成香▲2六金△3八成香と取り合いになってまずそうです。次は△2九飛や△8七歩があって、一気にガタガタになりそうなので。金を馬の利きから逃げる▲4七金は考えられますが、△2七成香▲3九飛△2八成香▲6九飛で飛車を追いやられるのが嫌です。あとは▲2八歩ですが、ちょっと打ちにくいですよね」と話す。先手は▲7三歩成△同金のときに手が広いので、ここで封じ手にしてその後の展開をひと晩考えるのは有力だ。 69 7三歩成(74) (16:00/03:28:00) *17時33分、広瀬が着手。長考して封じ手になる可能性もあったが、決断した。後手は△7三同金と応じるよりないので、その後の方針が固まったと見てよさそうだ。 70 同 金(62) ( 1:00/03:25:00) *先手は桂を取って駒損を回復した。問題は△2七成香にどう備えるかだ。「ここで封じ手になるでしょうね」と藤井猛九段。考えられる手として▲2八歩、▲3七金、▲4七金、▲4九金、▲5八金を挙げた。手が広い。 *17時40分、広瀬が席を立つ。羽生は棋譜用紙を受け取ってしげしげと見つめる。しばらくして広瀬が戻ってきた。18時、藤井猛九段が「広瀬八段は次の手を封じてください」と告げる。広瀬はすぐに封じる意思を示した。1日目の消費時間は▲広瀬3時間53分、△羽生3時間25分。別室で封じ手を行った広瀬は対局室に戻ると、2通の封筒を羽生に差し出す。羽生が封筒に署名して広瀬に返し、広瀬が封筒を藤井猛九段に預けて1日目が終了した。対局は明日21日の9時から指し継がれる。 * *【封じ手(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-e383.html 71 5八金(48) (25:00/03:53:00) *21日、対局2日目の朝を迎えた。現地は曇り。8時44分、広瀬入室。今日も多くの報道陣が詰めかけている。8時47分、羽生入室。あいさつの声がかき消されるほどのシャッター音が響く。駒を並べ終えると、1日目の指し手再現が始まった。記録係の徳田三段の読み上げに従って、2人が指し手を進めていく。9時3分、再現が終わり、藤井猛九段が「封じ手を開封します」と立ち上がる。封筒にはさみを入れ、封じ手用紙を広げると「封じ手は▲5八金です」と読み上げた。 *封じ手は前日の予想にあった金寄り。馬の利きを避けることで、△2七成香には▲3九飛と逃げることができるようになっている。ただ、以下△2八成香▲6九飛△4四歩で桂が助からないので、うまい攻めがあるかが問題だ。控室に戻ってきた藤井猛九段は「どうすればいいかわからないけどなあ」とつぶやく。 * *【封じ手開封(3)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-e582.html 72 2七成香(17) ( 9:00/03:34:00) *9時16分の着手。馬と成香で飛車を攻める。後手は攻撃陣を押さえ込んで、△4四歩〜△4五歩とゆっくり桂を取りたい。 73 3九飛(38) ( 0:00/03:53:00) *2日目の動画中継が始まっている。ニコニコ生放送の解説は屋敷伸之九段、聞き手は本田小百合女流三段。AbemaTVの解説は谷川浩司九段、中村太地七段、佐々木勇気七段、藤森哲也五段。聞き手は山口恵梨子女流二段。将棋プレミアムの解説は中村修九段、聞き手は観戦記者の内田晶さん。 * *【ニコニコ生放送】 *http://live.nicovideo.jp/gate/lv317221130 * *【AbemaTV】 *https://abema.tv/now-on-air/shogi * *【将棋プレミアム】 *https://www.igoshogi.net/shogipremium/ 74 2八成香(27) ( 0:00/03:34:00) *今朝、対局室に入っていた報道陣は60人ほどという情報が入った。昨日よりも数が増えているようだ。本局の注目度の高さがうかがえる。 75 6九飛(39) ( 1:00/03:54:00) 76 4四歩(43) ( 1:00/03:35:00) *攻め駒の除去にかかった。先手はこのまま桂を取りきられて何もできないようだと苦しくなる。どこに突破口を見いだすか。松尾八段は「どう取っかかりを作るかですよね。桂を打つかなと思うんですが」と、▲8五桂を示した。後手玉に直接迫るのは難しいので、後手が馬と成香で飛車を狙ってきたのと同様に、先手も敵の攻め駒を狙う。 77 8五桂打 (12:00/04:06:00) *桂を据えて相手の攻め駒に働きかける。8筋の突き捨てを逆用した手でもある。後手は金をどこに逃げるかだが、△7二金は▲7四歩、△7四金は▲5二角で受けにくい。よって△6三金が自然だ。松尾八段は、以下▲7二角△7一飛▲8三角成△7六歩▲6八銀△4五歩という順を調べたが、これは△7六歩と拠点を作られるのが嫌みだという。さらに検討を進めると、桂頭に逃げる△8四金も有力とわかってきた。自玉からは離れるが、すぐに馬を作られる心配がない。 *10時のおやつは下関の銘菓「阿わ雪」。飲み物に羽生はレモンティー、広瀬は抹茶を注文した。「阿わ雪」は卵白、砂糖、寒天のみを使った和菓子で、消えるような口どけから初代総理大臣の伊藤博文が命名したという。 * *【2日目 午前のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-66ed-1.html * *※局後の感想※ *8筋を突き捨てたために、この桂打ちが生じた。「打たれてみると、応接が難しかった」と羽生。 78 6三金(73) (48:00/04:23:00) *10時21分、羽生の手が盤上に伸びる。 79 7三歩打 ( 1:00/04:07:00) *読み筋だったのだろう、広瀬は考慮1分で歩を垂らした。ちょうど控室でも同じ手を検討していたところだった。藤井猛九段が「おっ、検討通りだ」とモニターに目をやる。継ぎ盤で△8二飛▲6五歩△2五馬▲3六歩△6五歩▲同銀△同銀▲同飛△6四歩▲7五飛△7四歩▲7二歩成△同飛▲8一角という順を調べて、「あれれ、さばけたんじゃないの。後手自信ないですよ」と藤井猛九段。以下△6二飛は▲6三角成△同飛▲7四飛で飛車がさばけ、△7一飛は▲6三角成で急所に馬ができる。藤井猛九段は「ねちっこくなると思っていたけど、突然激しくなりました」。松尾八段との検討にも熱が入る。 *10時30分、現地では大盤解説会が始まった。控室で検討を進めた藤井猛九段は「後手ちょいよし」との見解。ここから△2五馬▲3六歩△8二飛▲6五歩△7六歩▲同銀△4五歩▲6四歩△6二金▲7一角△9二飛▲9三桂成△6一金▲9二成桂△7一金▲6三歩成△4四角という進行を有力と見ている。最後の△4四角が急所のラインで、△9九角成と△6六桂の狙いがある。 * *※局後の感想※ *上記の「後手ややよし」と見られた変化(〜△4四角)が調べられた。羽生は「角で桂成られてまずいんじゃないかと思いましたが、なるほど……難しそうですね。これもあったかもしれません」と話した。 80 7一歩打 (20:00/04:43:00) *10時44分の着手。「歩を打っちゃいましたよ」と残念そうな藤井猛九段。飛車の横利きは止まるが、安定した受けだ。控室には日本将棋連盟会長の佐藤康光九段が到着した。佐藤康九段は第6期の竜王。七番勝負には5回登場している。 81 6五歩(66) ( 4:00/04:11:00) *待望の突き出し。6筋に追いやられた飛車を攻めに活用できた。 82 2五馬(26) ( 3:00/04:46:00) *強力な大駒を遊ばせておく手はない。馬の利きで金と飛車をにらんだ。自陣にも利いて攻防に働いている。 *10時58分、広瀬はじっと盤面を見つめている。羽生が頭に手をやった。 83 3六歩打 ( 6:00/04:17:00) *「大駒は近づけて受けよ」の手筋。これに△3六同馬なら、▲4七金で馬に当てながら受けが利く。後手としては歩がぶつかっている6筋が気になるところだが、△6五歩は▲同銀で駒を呼び込むので指しにくい。とはいえ、放置して△4五歩と桂を取るのも▲6四歩が大きな取り込みになる。悩ましい。 84 6二金(63) (11:00/04:57:00) 85 6四歩(65) ( 1:00/04:18:00) *現地大盤解説会の模様は、「YOMIURI ONLINE」でライブ中継されている。 * *【第31期竜王戦七番勝負第7局 ライブ中継 : まとめ読み「NEWS通」 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)】 *https://www.yomiuri.co.jp/matome/archive/20181213-OYT8T50026.html 86 4五歩(44) ( 5:00/05:02:00) *桂を取って後手は香得になった。一方、先手は6筋の拠点と豊富な持ち駒が主張だ。手番を生かしてうまい攻めを考えたい。 87 1二歩打 ( 7:00/04:25:00) *11時25分、広瀬の手が動いた。まずは垂れ歩で揺さぶりをかける。後手は▲1一歩成を受けるなら△2二玉だが、▲4一角の隙が生じる点が気がかりだ。飛車の横利きが消えている弱みを突かれてしまう。控室では佐藤康九段と松尾八段が検討中。ここから△2二玉▲1一歩成△同玉▲6三歩成△同銀▲4一角△2二玉▲6三角成△同金▲同飛成△8七歩という順を調べている。「いちばんわかりやすい攻めですが」と松尾八段。飛車を成り込んで先手好調に見えるが、▲6三同飛成がやや甘いので不安がある。佐藤康九段は「封じ手のところは先手持ちに見えましたが、いまは少し後手持ちです。現代将棋はわからないですね」と話した。 88 3六馬(25) (14:00/05:16:00) *歩を取って金当たり。思わぬタイミングで馬が前に出てきた。佐藤康九段、松尾八段は「意外でした」と口をそろえる。自然に▲4七金と受けられて後手を引くからだ。 89 4七金(58) ( 7:00/04:32:00) *馬に当てて切り返す。後手は△2五馬と逃げると▲6八飛△1七香成▲1一歩成でと金を作られてしまう。羽生の狙いはどこにあるのか。控室では意図がつかめていない。 90 1四馬(36) ( 8:00/05:24:00) *羽生は遠くまで馬を引いた。ここですぐ▲1一歩成なら△4六歩で馬を生かした攻めが利くが、いったん▲6八飛が成香に当てながら飛車の位置を変えてうまい。以下△2七成香▲1一歩成で、先手は後手玉の近くにと金を作る戦果が得られる。 * *【海響館(6)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-4fe4.html 91 3六歩打 ( 3:00/04:35:00) *広瀬の手が駒台に伸びる。控室で有力と見られていた▲6八飛ではなかった。「△2五馬よりも位置の悪い△1四馬だったので、▲3六歩でも大丈夫と見ているのかもしれません」と佐藤康九段。松尾八段は「と金を作られるのは嫌なので△2二玉を検討していますが、はっきりしない戦いです」と話す。まだまだ先は長そうだ。 *12時10分、羽生はうつむいて額に手を当て、悩ましそうな様子だ。12時30分、羽生の手番で昼食休憩に入った。消費時間は▲広瀬4時間35分、△羽生5時間55分。昼食は羽生がとらふく寿司と茶そば瓦風、広瀬がふくカツのカレー。対局は13時30分に再開される。 * *【2日目 昼食注文】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-4ce8.html 92 2二玉(31) (34:00/05:58:00) *13時21分、広瀬が対局室に戻る。羽生は13時28分に戻った。外では冷たい雨が降っている。関門海峡を挟んで遠くに見える山々が白く霞んでいる。13時30分、対局再開。報道陣が退室すると、羽生は信玄袋から扇子と時計を取り出し、棋譜用紙を受け取って目を通した。記録係に返すと、盤上に手を伸ばす。羽生の着手を見て、今度は広瀬が棋譜用紙を見せてくれるよう記録係に頼んだ。 *先手は直線的に攻めるなら▲1一歩成△同玉▲6三歩成△同銀▲4一角だが、▲6三角成からの2枚換えが実現しても形勢は難しい。藤井猛九段は「何ともいえませんね」とため息をつく。松尾八段は▲3六歩(91手目)に代えて▲6八飛はどうだったかと調べている。 * *【2日目 対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-f312.html 93 4一角打 (47:00/05:22:00) *14時21分の着手。熟慮して▲1一歩成や▲6三歩成は入れず、単に▲4一角と打った。次は▲1一歩成△同玉▲3二角成の狙いがある。 94 3一金(32) ( 3:00/06:01:00) 95 7四角成(41) ( 0:00/05:22:00) *いきなり2枚換えで敵陣突破を目指すのではなく、手厚く馬を作って次の攻めを狙う。雄大さを感じさせる手順だ。後手が△8四歩と桂を取りにきたときに、▲9三桂成△同香▲9二馬の返し技を用意してもいる。 *14時30分、現地大盤解説会に藤井猛九段と松尾八段が登場。藤井猛九段は「先手は大駒の力が強い。後手は細かい道具はいっぱいあるけど、大駒が使いにくい。ということで、バランスが取れていると。いやあ、これは長くなりますよね」と解説していた。 96 1二玉(22) (11:00/06:12:00) *羽生、ぐっと押さえつけるような手つきだった。目障りな歩を払っておく。じりじりとした展開が続いている。控室で検討中の佐藤康九段は、無言で▲8八玉と指した。 * *※局後の感想※ *代えて△6七歩と垂らし、▲同飛△1二玉▲6八飛△2七成香▲6三歩成△同金▲同馬△同銀▲同飛成△8七歩という順が調べられた。これなら先手が本譜のように▲4五銀とぶつける余裕はない。「1歩渡すのは大きいと思ったが、本譜を思えばこういうことをやらなきゃいけなかった気がする」と羽生。 97 4五銀(56) ( 4:00/05:26:00) *積極的かつ着実なぶつけ。強引に6筋を突破するのではなく、守り駒を削ってのと金攻めを狙っている。無条件で▲5四銀△同歩▲6三歩成が実現すれば後手つぶれ。強く△4五同銀▲同歩△5八銀と反撃するのは、▲6八飛△4七銀成▲同馬で、次に▲6三歩成と▲2八飛の両狙いが残る。馬が金にヒモをつけているのが先手の自慢だ。田村七段は「突破は受からないので、それに見合う攻めを考えたいですね」と継ぎ盤に向かう。候補手は△6七歩で、▲同飛には△5五桂▲6八飛△2七成香と飛車に圧力をかけておく。中央に打った桂が重要な拠点になり、いつでも急所に△6七歩の一発が入る。先手は玉飛接近形なので、飛車を攻められると弱い。 *15時、午後のおやつが運ばれた。羽生はわかめ餅と梅最中、ホットコーヒー。広瀬は苺のショートケーキ、紅茶。2人ともおやつを食べてひと息つく。 * *【2日目 午後のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-b560.html 98 6七歩打 (34:00/06:46:00) *15時17分、羽生が駒台の歩を手に取る。ふわりとした感触の垂れ歩だが、急所を突いてじわりと厳しい。銀が入れば△5八銀が強烈な攻めになる。歩を払う▲6七同飛には△5五桂がぴったりした追撃だ。佐藤康九段は「どんどんいく手がありそうですよね」と、▲5四銀△同歩▲6七飛を示す。指されてみればなるほどで、銀を盤上から消したほうが飛車が伸び伸びと動ける。 99 5四銀(45) (14:00/05:40:00) 100 同 歩(53) ( 0:00/06:46:00) 101 6七飛(69) ( 0:00/05:40:00) *銀を取ってから歩を払うのが大事なところ。これで▲6三歩成が厳しくなり、後手が忙しくなっている。 102 5五桂打 ( 0:00/06:46:00) *飛車と金の両取り。部分的には厳しい手だが、先手も▲6三歩成の楽しみがあるし、金には馬のヒモもついている。佐藤康九段は検討で▲6六飛と浮いていた。以下△4七桂成▲同馬△7五金▲6八飛は、やはり▲6三歩成と▲2八飛が残って味が悪い。「これは後手が自信ない気がします」と佐藤康九段。 103 6六飛(67) ( 1:00/05:41:00) 104 4七桂成(55) ( 1:00/06:47:00) 105 同 馬(74) ( 3:00/05:44:00) *駒割りは先手の金損だが、大駒の働きには大きな差がある。とにかく▲6三歩成が楽しみだ。後手は駒得ではあるものの、のんびりとはできない。 106 7五金打 ( 1:00/06:48:00) *奪った金で飛車を狙う。6筋突破の筋に備えつつ、先手玉を攻める拠点にもなって攻防だ。落ち着いた流れになって働きの悪い駒を立て直す余裕ができれば、金得の実利が際立ってくる。 107 6八飛(66) ( 3:00/05:47:00) 108 2七成香(28) ( 0:00/06:48:00) *羽生はすぐに成香を引いた。堂々とした手だ。当たりになった駒を逃げて自然だが、手番を渡して不安もある。佐藤康九段は▲2四歩が気になると話していた。以下△2四同馬には▲3五銀と手厚く投資して、2筋のコビン攻めを狙う。どこかで▲5六馬と応援も利く形だ。よって、▲2四歩には△3四歩と突いて▲3五銀を消してどうか。後手は攻めるなら△6七歩▲同飛△6六歩の連打が狙い筋。以下▲6六同銀に△8六金となれば、自陣に眠っている飛車が目を覚ます。 *16時、現地大盤解説会では佐藤康九段が登場。「これほど一局の勝ち負けで落差がある対局は、羽生さんにとって初めてだと思います」と話していた。 109 5六馬(47) (19:00/06:06:00) *現地大盤解説会で佐藤康九段が「読みにない手を指されるかもしれません」と話した直後、広瀬の手が盤面カメラに映った。16時4分の着手。「単にですか。じっとですか」と佐藤康九段。コビン攻めに力をためる活用だ。次こそ▲2四歩△同馬▲3五銀が強烈な攻めになる。後手は馬筋をずらしたいところだが、手筋の△5五歩は▲4五馬が飛車取りになってしびれる。 110 5五銀打 (16:00/07:04:00) *16時21分、羽生が着手。銀を打って馬に働きかけたが、控室で「えっ!」と佐藤康九段の声。大盤解説会で「△5五銀は▲4五馬と出られて、次に▲5四馬があるのでうまくいかない」と解説したばかりだった。 111 4五馬(56) ( 1:00/06:07:00) 112 6七歩打 ( 0:00/07:04:00) 113 同 馬(45) ( 1:00/06:08:00) *控室で検討する佐藤康九段は「△5五銀の感触は不安です」と話している。 114 6六歩打 ( 5:00/07:09:00) *連打で馬を追う。とにかく馬筋をそらすことが急務だ。ただ、歩切れになったことが不安材料。ここから▲4五馬△5三金▲3五銀と進んだとき、△4四歩と打つ歩がない。 115 4五馬(67) ( 1:00/06:09:00) 116 5三金(62) ( 0:00/07:09:00) *じっと金を上がって歩を支えておく。次に△4四金と馬を捕獲できれば後手成功だ。先手はここでの手番をどう使うか。攻防手は▲3五銀で、次に▲2四歩を見ながら△4四金を防いでいる。 117 3五銀打 ( 8:00/06:17:00) *16時41分、広瀬が銀を手に取った。後手の歩切れを突いた銀打ち。羽生は額に手をやって「いやー」とつぶやく。 *このまま▲2四歩と打たれては後手玉は持たない。何かしら受ける必要がある。一本△3四歩は手筋で、▲同銀なら△4四銀で馬を捕獲できるが、▲1五歩△同馬▲3四銀でしびれる。 * *※局後の感想※ *ここで△4三金▲2四歩△3四歩が調べられた。以下▲3四同銀△2四馬▲4三銀成△同銀▲3五金△4四歩▲2四金△4五歩▲3五桂△2四歩ははっきりしない。羽生は「そうか、まだちょっと難しいところが……。(本譜は)玉を寄ったからはっきりしちゃいましたね」と話していた。感想戦は19時57分に終了した。 118 2二玉(12) ( 5:00/07:14:00) *角筋や馬筋に玉がにらまれたままでは受けにくい。そこで玉を逃げた。守りの金銀にも近づいて合理的だ。これで▲2四歩には△同歩と応じて問題ない。 119 6三歩成(64) ( 8:00/06:25:00) 120 同 金(53) ( 0:00/07:14:00) *手筋だ。歩を成り捨てて金を後手玉から遠ざけた。 121 1五歩打 ( 0:00/06:25:00) *また手筋。馬を上ずらせれば後手玉の守りが弱体化する。 122 同 馬(14) ( 1:00/07:15:00) 123 2四歩打 ( 0:00/06:25:00) *16時58分、広瀬は着手してグラスの水を飲んだ。薄くなった玉頭を狙って厳しい。歩を払う△2四同歩には、▲6六銀が金銀の入手を見た決め手になる。広瀬が席を立つと、羽生が何度かうつむいた。肩が落ちているようにも見える。急転直下、広瀬が勝ちに近づいているようだ。控室で関係者の動きが慌ただしくなってきた。 124 同 歩(23) (10:00/07:25:00) *羽生は口元に手を当てて、ぼんやりと盤側に目をやる。広瀬はじっと盤面を見ている。 125 6六銀(77) ( 1:00/06:26:00) *17時10分、広瀬の手が動いた。金か銀が手に入れば、▲2三金(▲2三銀)と打って後手玉は詰み。後手は収拾がつかない。 126 4四歩打 ( 0:00/07:25:00) *最大の脅威になっている馬に働きかけて頑張る。だが、▲7五銀が金を取りながら飛車の利きを通して痛烈だ。 127 7五銀(66) ( 7:00/06:33:00) 128 4五歩(44) ( 0:00/07:25:00) *控室では多くの関係者が立ってモニターを見つめている。 129 6三飛成(68) ( 0:00/06:33:00) *周到な事前工作で、スムーズに飛車を成り込むことができた。次は▲3四銀が確実な寄せになる。 130 3二金(31) ( 0:00/07:25:00) *広瀬ははたはたと扇子であおぎ、水を飲む。羽生も水を飲む。羽生の背中が丸まっている。 131 5四竜(63) ( 5:00/06:38:00) *冷静な活用。次は▲2四銀△同馬▲同竜△2三歩▲2七竜と、駒を次々に取ることができる。後手は戦力不足で、先手玉に迫る手段が難しい。 *17時30分、前傾姿勢になっていた羽生は上体を起こすと、頭に手をやってため息をついた。外は日が落ちて暗い。 132 5八角打 ( 7:00/07:32:00) *17時33分の着手。羽生が席を立った。しばらくして戻ってくる。広瀬は盤面を見つめながら、何度かうなずく。 133 5五竜(54) ( 4:00/06:42:00) 134 3六角成(58) ( 0:00/07:32:00) 135 4四銀(35) ( 3:00/06:45:00) *手堅い。広瀬は着手すると、うつむいて首を振った。 136 8七歩打 ( 0:00/07:32:00) *次に△5九馬で先手玉に詰めろがかかるが、駒が少なく詰めろを続けるのは難しそうだ。先手は後手玉の上部脱出にだけは気をつけたい。 137 3五桂打 ( 9:00/06:54:00) *上に逃さない桂打ち。次は▲2三歩△同金▲1一銀と下段に落とす寄せがある。1筋の馬を△1四馬左と引けば、玉頭を受けながら△6九馬までの詰めろをかけることができるが、▲8七金と歩を払われると継続手が難しい。 *17時59分、羽生が席を立った。1分ほどで戻ってくる。 138 5九馬(15) ( 9:00/07:41:00) *先手玉は詰めろ。しかし、▲8七金で左辺に脱出路が開ける。 139 2三歩打 ( 0:00/06:54:00) 140 同 金(32) ( 0:00/07:41:00) 141 8七金(78) ( 0:00/06:54:00) 142 6九馬(36) ( 0:00/07:41:00) 143 8八玉(79) ( 0:00/06:54:00) 144 6八馬(59) ( 0:00/07:41:00) *両者、淡々と指し進めていく。先手玉は△7八馬寄からの詰めろ。 145 9八玉(88) ( 1:00/06:55:00) *逃げて詰めろを外す。なおも△7八馬寄なら▲8八金打で大丈夫だ。 146 8二飛(81) ( 0:00/07:41:00) *眠っていた飛車を活用。後手玉は▲5二竜と入られると受けがなかった。 147 1一銀打 ( 2:00/06:57:00) 148 同 玉(22) ( 0:00/07:41:00) 149 2三桂成(35) ( 0:00/06:57:00) 150 3一銀(42) ( 0:00/07:41:00) *飛車の横利きを通して詰めろを受ける。後手の持ち駒に銀が増えているが、先手玉はまだ詰まない。先手は渡せる駒を考えながら、寄せを組み立てることになる。 151 7二金打 ( 5:00/07:02:00) *歩頭の金。迫力ある手で横利きを止めた。金を渡す寄せだが、先手玉は△8七馬▲同玉で上に抜ける形なので詰みにくい。 *18時20分、羽生はグラスの水を飲み、うつむく。席を立った間に、残り10分を切った。 152 1二銀打 (12:00/07:53:00) *羽生、駒を埋めて受ける。広瀬が立ち上がって部屋を出ていく。 153 同 成桂(23) ( 3:00/07:05:00) *戻ってきた広瀬は、ゆっくりと手を伸ばして銀を取った。 154 同 玉(11) ( 0:00/07:53:00) 155 8二金(72) ( 0:00/07:05:00) 156 8八歩打 ( 0:00/07:53:00) *次に△8九歩成と桂を取れば、先手玉は△8七馬▲同玉△7七金以下の詰めろになる。 157 6二飛打 ( 1:00/07:06:00) *攻防の飛車打ち。どこかで▲6八飛成と馬を外すこともできる。 158 3二桂打 ( 1:00/07:54:00) 159 3三銀成(44) ( 1:00/07:07:00) 160 同 桂(21) ( 0:00/07:54:00) 161 3四銀打 ( 0:00/07:07:00) *銀を成り捨ててから上部を押さえる鋭い踏み込み。自玉がほぼ詰まない形なので、駒を渡す寄せを選びやすい。 *18時41分、羽生は残り5分に。秒読みが始まった。羽生は額に手をやってうつむいている。残り4分、3分、2分。残り時間が減っていく。そのまま一分将棋に入った。 162 2二銀打 ( 5:00/07:59:00) 163 2三歩打 ( 0:00/07:07:00) *広瀬はすぐに歩を打つ。「30秒」と読まれた羽生はがっくりと肩を落とした。 164 8九歩成(88) ( 0:00/07:59:00) *桂を取って詰めろをかけたが、後手玉に詰みがある。 165 2二歩成(23) ( 0:00/07:07:00) 166 同 銀(31) ( 0:00/07:59:00) 167 2一銀打 ( 0:00/07:07:00) *この手を見た羽生はすぐに「負けました」と頭を下げた。後手玉は△2一同玉▲3二飛成△同玉▲5二竜△4二桂▲同竜以下の詰み。終局時刻は18時49分。消費時間は▲広瀬7時間7分、△羽生7時間59分。七番勝負第7局は挑戦者の広瀬が勝ち、シリーズ4勝3敗で竜王奪取。2010年の王位以来のタイトル獲得を決めた。敗れた羽生は棋聖戦に続く失冠で、27年ぶりに無冠となった。 * *【終局直後】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-bb10-2.html * *【広瀬新竜王の記者会見】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-7c8d.html * *【一夜明けて】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-ba7f.html 168 投了 ( 0:00/07:59:00) まで167手で先手の勝ち