# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.14 棋譜ファイル --- 対局ID:8453 記録ID:5c05dc375ff759000487a7bc 開始日時:2018/12/12 09:00 終了日時:2018/12/13 12:07 表題:竜王戦 棋戦:第31期竜王戦七番勝負 第6局 戦型:横歩取り△3三角型 持ち時間:各8時間 消費時間:81▲260△356 場所:鹿児島・指宿白水館 備考:昼休前30手目31分\n封じ手時刻:18:00<49手目>\n 振り駒:なし 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:30〜13:30 昼休前消費時間:30手31分 手合割:平手   先手:広瀬章人八段 後手:羽生善治竜王 手数----指手---------消費時間-- *羽生善治竜王に広瀬章人八段が挑戦する第31期竜王戦七番勝負(主催:読売新聞社、特別協賛:野村ホールディングス、協賛:東急グループ、明治のヨーグルトドリンク[R−1])第6局は、12月12・13日に鹿児島県指宿市「指宿白水館」で行われる。持ち時間は2日制の各8時間。本局の先手番は広瀬。ここまで羽生3勝、広瀬2勝。羽生は防衛にあと1勝。広瀬はあとがない。 *立会人は屋敷伸之九段。新聞解説は佐々木勇気七段。記録係は冨田誠也三段(小林健二九段門下)。現地大盤解説会は、飯島栄治七段と高浜愛子女流2級が解説・聞き手を務める。新聞観戦記は上村亘四段が担当する。 *広瀬は8時44分ごろ入室。羽生は8時49分ごろ入室。駒台の位置を少し整えた羽生は、一礼して駒箱を開けた。駒を並べ終えると、羽生はうつむいて気息を整えている。開始時刻が近づくにつれて少しずつシャッター音が減っていき、緊張感が増していく。 *【YOMIURI ONLINE 竜王戦ページ】 *http://www.yomiuri.co.jp/culture/igoshougi/ryuoh/ *【野村證券】 *http://www.nomura.co.jp/ *【東急グループ】 *https://tokyugroup.jp/ *【明治】 *https://www.meiji.co.jp/ *【指宿温泉 旅館 砂むし温泉|指宿白水館】 *http://www.hakusuikan.co.jp/ *(棋譜・コメント入力=銀杏) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手。【】はブログやリンクのタイトル] 1 2六歩(27) ( 1:00/00:01:00) *9時になり、立会人の屋敷伸之九段が「定刻となりましたので、挑戦者広瀬八段の先手番でお願いします」と告げて対局が開始された。しばらくして広瀬は初手▲2六歩を着手する。角換わりに進んだ第1局から第4局は初手▲2六歩、矢倉戦になった第5局は初手▲7六歩だった。 * *竜王戦は読売新聞社主催の棋戦で、優勝賞金は棋界最高の4320万円。1987年にそれまで26期続いた十段戦を発展的解消して設立された。予選のランキング戦を1組から6組に分けて行い、上位進出者による決勝トーナメントで挑戦者を争う。第3期から海外対局を多数開催し、海外普及に大きな役割を果たした。 *【竜王戦概要】 *http://www.shogi.or.jp/match/ryuuou/rules.html *http://live.shogi.or.jp/ryuou/summary.html 2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *羽生も飛車先の歩を突く。対局室にシャッター音が鳴り響く。ここで関係者が退室。報道陣も退室し、少しずつ対局室が静かになっていく。そして、盤側に観戦記を担当する上村亘四段が着いた。上村四段は初めての観戦記担当だ。現在、上村四段と大盤解説担当の飯島栄治七段は、読売新聞夕刊で「竜王戦見聞録」を執筆している。 *7日に第32期竜王戦のランキング戦が開幕。上村四段は5組で川上猛七段と対戦し勝っている。 * *◆羽生 善治(はぶ よしはる)竜王◆ *1970年9月27日生まれ、埼玉県所沢市出身。(故)二上達也九段門下。1985年、四段。1994年、九段。棋士番号は175。 *タイトル戦登場は136回。獲得は竜王7期(永世竜王)、名人9期(十九世名人)、王位18期(永世王位)、王座24期(名誉王座)、棋王13期(永世棋王)、王将12期(永世王将)、棋聖16期(永世棋聖)の計99期。棋戦優勝は44回。 *竜王戦七番勝負登場は15回目。 3 2五歩(26) ( 2:00/00:03:00) *角換わり志向でも、広瀬は初手から▲2六歩△8四歩▲2五歩と進める。羽生は▲2六歩△8四歩▲7六歩とし、2六歩型の角換わりを目指していた。細部に好みが表れる。 * *◆広瀬 章人(ひろせ あきひと)八段◆ *1987年1月18日生まれ、北海道札幌市出身。勝浦修九段門下。2005年、四段。2014年、八段。棋士番号は255。 *タイトル戦登場は4回。獲得は王位1期。棋戦優勝は1回。 *今回が竜王戦七番勝負初登場。 4 8五歩(84) ( 3:00/00:03:00) *羽生はうつむいたり、お茶を飲んだり、前かがみになったりして考えたあと△8五歩と伸ばした。 * *羽生の本年度の成績は19勝18敗(0.514)。 *通算成績は1417勝583敗(0.709)。 *タイトル戦の番勝負の対局数は650を超える。通算対局数の3割以上がタイトル戦ということだ。 5 7六歩(77) ( 0:00/00:03:00) *△3二金▲7七角△3四歩▲6八銀△7七角成▲同銀と進めば角換わりになる。ここで△3四歩なら横歩取りが予想される。後手は角換わりを受けて立つか、変化するか、ここ数手に分岐点がある。ここでも羽生が考え込んでいる。角換わりは前夜祭で佐々木勇気七段が本命視していたが、別の戦型を考えているのだろうか。何かが出そうな雰囲気だ。「どちらかというと、見てみたいのは力戦ですが」と佐々木勇七段がいう。 * *広瀬の本年度の成績は31勝10敗(0.756)。 *1月からの成績は41勝12敗(0.774)で、1年近く高い勝率を挙げている。ただし、タイトル獲得や棋戦優勝はない。高勝率を大きな実績として実らせるためにも、ここは踏ん張りどころ。 *通算成績は382勝206敗(0.650)。 6 3四歩(33) (12:00/00:15:00) *9時21分、羽生は12分使って△3四歩。これは角換わりにならない。横歩取りが考えられる出だしだ。竜王戦七番勝負での横歩取りは、第29期第5局以来。和服からスーツに着替えて控室を訪れた屋敷九段はモニターを見て「横歩取り」とつぶやいた。 *【第29期竜王戦七番勝負第5局 渡辺明竜王 対 丸山忠久九段】 *http://live.shogi.or.jp/ryuou/kifu/29/ryuou201612010101.html 7 7八金(69) ( 3:00/00:06:00) *過去の対戦成績は羽生18勝、広瀬10勝。本年度は羽生3勝、広瀬4勝。 *二人は大師匠(師匠の師匠)が渡辺東一名誉九段。 *【棋士系統図】 *https://www.shogi.or.jp/player/diagram.html 8 3二金(41) ( 0:00/00:15:00) *羽生は1989年度の第2期竜王戦で初タイトルの竜王を獲得。その後、すべての年度でタイトルを獲得してきた(1990年11月から1991年3月に無冠の時期あり)。 *本年度は竜王戦以外の八大タイトル戦で敗退しており、この七番勝負は最後である。 9 2四歩(25) ( 0:00/00:06:00) *本局が行われている鹿児島県指宿市は、鹿児島県の薩摩半島南端にある約人口4万人の市。豊富な湯量で、寝そべって砂をかけてもらう砂むし温泉の指宿温泉で知られる。ほかにも日本百名山で「薩摩富士」といわれる開聞岳やJRにおける日本最南端の駅である西大山駅(開聞岳の撮影スポットとしても知られている)、九州最大の湖である池田湖など観光名所も数多い。 *鹿児島県は今年、明治維新150年や西郷隆盛を主人公にした大河ドラマ「西郷(せご)どん」の放送で盛り上がっている。三反園訓・鹿児島県知事は指宿市出身。【指宿市】 *https://www.city.ibusuki.lg.jp/main/ 10 同 歩(23) ( 0:00/00:15:00) *指宿市は「東洋のハワイ」としてPRしてきた。一足早い南国ムードを全国にPRする目的で、アロハとムームーによるまちづくりをしている。4月下旬に指宿市長が「アロハ宣言」を行い、10月末までアロハシャツを市民のユニフォームとして、市役所やホテル、旅館などで制服として着用している。 * *【アロハ宣言&アロハ健幸ウオーク】 *https://www.city.ibusuki.lg.jp/main/shicho/page013395.html 11 同 飛(28) ( 0:00/00:06:00) *本局が行われている指宿白水館は、鹿児島県指宿市にある旅館。1947年に鹿児島市に鹿児島白水館として創業、1960年に指宿市で指宿白水館を設立した。約5万坪の広大な敷地内にある庭園は、四季折々の姿を見せてくれる。砂むし風呂や江戸情緒あふれる「元禄風呂」も人気。 *2004年12月17日に指宿白水館で当時の小泉純一郎首相と廬武鉉大統領による日韓首脳会談が行われた。 *漫画『3月のライオン』12巻で棋竜戦第3局が指された対局場「白泉館」のモデルとなった。 *【指宿温泉 旅館 砂むし温泉|指宿白水館】 *http://www.hakusuikan.co.jp/ *【白水館】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-1a7e.html 12 8六歩(85) ( 1:00/00:16:00) *指宿白水館での竜王戦対局は3年連続3回目。 *昨年の第30期竜王戦七番勝負第5局は、羽生が当時の渡辺明竜王を破り、4勝1敗で竜王復位。通算獲得7期として、永世竜王の資格を得た。また、永世・名誉称号のある7棋戦すべてで資格を得る偉業を成し遂げた。指宿白水館の敷地内にそれをたたえる記念碑が設置され、9月28日に除幕式が開かれ、元竜王で日本将棋連盟専務理事の森内俊之九段が出席した。 *【羽生永世七冠記念碑除幕式…鹿児島・指宿|読売新聞】 *https://www.yomiuri.co.jp/kyushu/odekake/sightseeing/20180929-OYS1T50011.html *【永世七冠達成の地|指宿白水館 スタッフブログ】 *http://www.hakusuikan.co.jp/blog/detail.php?logkey=1538894416&y=2018&m=10&d=7 *【第30期竜王戦七番勝負第5局 渡辺明竜王 対 羽生善治棋聖】 *http://live.shogi.or.jp/ryuou/kifu/30/ryuou201712040101.html *【永世七冠記念碑】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-fca5.html 13 同 歩(87) ( 0:00/00:06:00) *前夜祭が行われた指宿白水館の敷地内にある薩摩伝承館は、指宿白水館創業者の下竹原弘志氏と館主の下竹原和尚氏が親子二代にわたって収集した、薩摩焼などの薩摩の美術品3000点におよぶコレクションを公開する場として2008年2月に開館した。建物は平等院鳳凰堂をイメージして建てられている。 *前夜祭は約150人が参加。対局2日目には、大盤解説会も開かれる。 *【薩摩伝承館ホームページ】http://www.satsuma-denshokan.com/ *【薩摩伝承館】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-37df.html 14 同 飛(82) ( 0:00/00:16:00) *対局前日、移動日の両対局者は鹿児島空港で歓迎と取材を受けた。移動の途中で指宿市立今和泉小学校に立ち寄り、地元の児童や生徒たちから熱烈に歓迎された。記念撮影で掲げられた幕には、「チェスト指せ!竜王戦」などと書かれてあった。 *「チェスト」は大河ドラマ「西郷どん」でも出てくる鹿児島弁。薩摩藩で伝えられた剣術の示現流でもかけ声に使われるという。その昔、打倒大山を掲げて戦った故・山田道美九段は、大山康晴十五世名人とのタイトル戦の対局中に「示現流でいくぞ」といったことがあるとされる。 *【鹿児島空港】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-9f4b.html *【今和泉小学校】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-1643.html 15 3四飛(24) ( 1:00/00:07:00) *9時32分、戦型は横歩取りになった。前夜祭で飯島栄治七段が言及していた。 16 3三角(22) ( 0:00/00:16:00) *羽生が後手番で横歩取りを指したのは、5月の第76期名人戦七番勝負第4局▲佐藤天彦名人−△羽生戦以来。その対局は、佐藤天名人が研究手から巧みにペースをつかんで快勝している。7ヵ月ほどたって、どのような研究が見られるだろうか。羽生は着手してから席を外した。 *最近はここから先手が▲5八玉から▲3六歩とする青野流がよく指されている。 17 5八玉(59) ( 2:00/00:09:00) *▲6八玉とするのが佐々木勇七段創案の「勇気流」。この作戦で佐々木勇七段は2017年度の第45回将棋大賞の升田幸三賞を受賞した。 *この▲5八玉は青野照市九段が最初に指した「青野流」を目指している。青野九段も青野流で第45回将棋大賞升田幸三賞を受賞している。 *控室では、常務理事の鈴木大介九段と佐々木勇七段が継ぎ盤を挟んで、定跡を調べている。後手はどこに玉を移すかの岐路。△2二銀から△4二玉は穏やか。△5二玉は突っ張った指し方だが、最近は先手勝率が高い。△6二玉も考えられる。 *【将棋大賞受賞者】 *https://www.shogi.or.jp/player/winner.html 18 5二玉(51) (14:00/00:30:00) *9時50分、羽生は△5二玉。14分の考慮だった。うつむいていた広瀬は、羽生が盤に手を伸ばすと、体を起こした。 *△5二玉は激しい変化も辞さずといった手。当初は後手の勝率が高かったが、今年に入って先手勝率が高い。ただ、佐々木勇七段は5日に行われたB級2組順位戦▲澤田真吾六段−△永瀬拓矢七段戦に注目。永瀬七段が工夫して勝っていた。その将棋が羽生の作戦選択に影響を与えた可能性もあるようだ。 19 3六歩(37) ( 2:00/00:11:00) *飛車を3四に置いたまま指すのが青野流の骨子。四段目の飛車は目標になりやすいが、そこで威張れれば高い攻撃力が魅力だ。そして、足早に桂を使おうとするのが▲3六歩だ。 *羽生の考慮中に10時になり、午前のおやつが出された。広瀬はよもぎ餅と抹茶。羽生はスイートポテトとホットコーヒー。 *【1日目午前のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-62f1-1.html 20 7六飛(86) (19:00/00:49:00) *羽生は14分で△5二玉、19分で△7六飛。時間を使って指している。 *15手目▲3四飛に△8八角成▲同銀△7六飛とするのが昔からある相横歩取り。ここでの△7六飛は変則的な相横歩取りといえるだろう。後手の指し方が有力なら、新相横歩取りとして定着するかもしれない。 21 7七角(88) ( 7:00/00:18:00) *本局は将棋プレミアム、ニコニコ生放送やAbemaTVでも中継されている。 *1日目 *【将棋プレミアム】(動画中継のみ) *http://www.igoshogi.net/shogipremium/live/live_info.html?live_id=9804f6b6c0783fa14f0e2ce8f3fb8b1f *【ニコニコ生放送】解説・聞き手は田中寅彦九段、村田智穂女流二段 *http://live.nicovideo.jp/gate/lv317003383 *【AbemaTV】解説・聞き手は村山慈明七段、近藤誠也五段、中村真梨花女流三段、貞升南女流初段。 *https://abema.tv/channels/shogi/slots/9kM7FGyK3vjKuH * *2日目 *【将棋プレミアム】https://www.igoshogi.net/shogipremium/live/live_info.html?live_id=dfba75c0d7853ec3cede80a2931e15b5 *解説・聞き手は阿久津主税八段、観戦記者の内田晶さん。 *【ニコニコ生放送】 *解説・聞き手は藤井猛九段、和田あき女流初段。 *http://live.nicovideo.jp/gate/lv317003649 *【AbemaTV】 *解説・聞き手は久保利明王将、戸辺誠七段、村田智穂女流二段、中村桃子女流初段。 *https://abema.tv/channels/shogi/slots/9MiUcnBJZVDr23 22 7四飛(76) ( 2:00/00:51:00) *この局面の初出は、2013年2月の第38期棋王戦五番勝負第2局▲渡辺明竜王−△郷田真隆棋王戦(肩書はともに当時)。そして、前にも触れたB級2組順位戦の▲澤田六段−△永瀬七段戦でも指されている。 *いずれも▲7四同飛△同歩▲3七桂と進んでいるが、永瀬七段は△7七角成▲同桂△8六歩として、後手が勝った。それを踏まえての、本局の戦型選択だったのだろう。鈴木九段は「先手の両方の桂が中央に跳ねられるのに大丈夫とみた永瀬さんの指し方がすごいんでしょうね」という。▲7四同飛△同歩に▲2四歩や▲8三飛などを示している。▲2四歩は後手の△8六歩を拝借する手だ。 *広瀬が考えている。この展開をどの程度想定してきただろうか。初めて見る局面か、ある程度の時間をかけて考えてあった局面かでは、指し手の精度に影響があるだろう。 *■AbemaTV■ *村山慈明七段>▲7四同飛か▲3五飛か。▲7四同飛だと思います。実戦例を思い出したり、先のことを考えたりして時間を使っているんでしょうね。 23 同 飛(34) (34:00/00:52:00) *今日の指宿は曇り。昨日は強い雨が降っていたが、今日は晴れ間も見える。 *指宿白水館は錦江湾に面しており、陽光が海原を照らしてまぶしい。対局室は対局前からカーテンが閉められた。 *【1日目午前の控室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-94ad.html 24 同 歩(73) ( 0:00/00:51:00) *先後同型になった。一見すると、先後同型で激しくなればなるほど、先行している先手がよくなりそうに思えるところ。価値観や大局観が問われる。 *控室には桜島産のみかんが差し入れられた。手のひらにすっぽりと収まるほど非常に小さいサイズなのが特徴で、いまが旬だ。 *【桜島の小みかん|鹿児島県】 *http://www.pref.kagoshima.jp/ag01/sangyo-rodo/nogyo/nosanbutu/brand/komikan.html 25 3七桂(29) (14:00/01:06:00) *11時12分の着手。▲3七桂までの消費時間は、▲広瀬1時間6分、△羽生51分。前例を踏襲する▲3七桂。19手目に▲3六歩とした青野流の意志を貫こうとしている。 *つい先日、Google傘下のDeepMind社が開発したプログラム「AlphaZero」の論文が発表された。第27回世界コンピュータ将棋選手権で優勝したコンピュータ将棋「elmo」に大きく勝ち越す強さだ。 *AlphaZeroとelmoの棋譜がDeepMind社のサイトで100局公開され、その中から10局を羽生が注目局としてセレクトしている。100局の中には△7四同歩まで進んだ棋譜もあり、▲2四歩と垂らしていた。 26 7七角成(33) (35:00/01:26:00) *11時49分、35分の長考で角交換。先手はこれを取る一手なので、わずか27手で双方が飛車角を駒台にのせることになる。展開次第では、あっという間に終盤に入る可能性もある。 27 同 桂(89) ( 0:00/01:06:00) *控室では、佐々木勇七段がすでに2回砂蒸し風呂に入ったという話題。肌つやがいいように思ったが、若いからだけではなさそうだ。 *佐々木勇七段は立会人を初めて務める。11月に3組の昇級者決定戦決勝を制して2組昇級。竜王ランキング戦連続2回昇級の規定で七段に昇段した。 *【佐々木勇気六段が七段に昇段】 *https://www.shogi.or.jp/news/2018/11/post_1744.html *【昇段規定】 *https://www.shogi.or.jp/match/dan_provisions/ 28 8六歩打 ( 0:00/01:26:00) *永瀬流の垂れ歩。これで△8七歩成▲同金△8九飛の金銀両取りを狙う。 *公式戦で初めて指したのは永瀬七段だが、将棋世界8月号で千田翔太六段が連載講座の中で△8六歩を示していた。千田六段の講座は後日に公式戦で指される例がほかにもある。ページ数は3ページと少ないが注目の講座だ。 29 6五桂(77) ( 8:00/01:14:00) *11時58分の着手。澤田六段は▲2二歩△同銀に▲6五桂としていた。広瀬は単に▲6五桂。佐々木勇七段はこれを予想していた。継ぎ盤では、△8七歩成▲同金△8九飛▲8八角△8六歩が並べられた。現局面について、鈴木九段と検討している佐々木勇七段に聞いた。「前例が離れたので、さまざまな手段を調べています。まず、△8六歩に▲7七金として、▲澤田−△永瀬戦との比較を調べています。▲7七金に△6四歩は▲5三桂成△同玉▲8三飛で、▲2二歩と打ち捨ててなくて1歩多いので先手が得です。後手は3一の銀を4二に使いたいので、そういう順を考えています」とのことだ。 *12時10分ごろ、席を外していた羽生が戻ってくると、入れ替わるように広瀬が席を外した。 *対局者の昼食は、広瀬が指宿産鰻重、羽生は黒豚カツカレー。鹿児島県は養殖うなぎや黒豚の産地だ。ほかにも知覧茶やサツマイモ、焼酎など名物が多い。 *12時26分ごろ、対局者が席を外す。羽生は12時30分まで考えたことにして、早めに休憩に入ったようだ。昼食休憩時の消費時間は▲広瀬1時間14分、△羽生1時間57分。対局は13時30分再開。 *13時30分になったが、羽生はまだ対局室に戻っていない。13時32分、羽生が対局室へ。 *【かごっまがいっばん】 *https://www.pref.kagoshima.jp/af05/sangyo-rodo/rinsui/suisangyo/suisanbutu/suisanitiban.html *【かごしま黒豚】 *http://www.pref.kagoshima.jp/ag01/sangyo-rodo/nogyo/nosanbutu/brand/kurobuta.html *【1日目の昼食】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-d2ad.html *【1日目昼食休憩時の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-8416.html 30 8七歩成(86) (35:00/02:01:00) *対局室に戻った羽生は気息を整えてから△8七歩成と成り捨てた。△8七歩成▲同金△8九飛▲8八角△8六歩はワンセットの手順とみられている。そこからどのように進むかが注目される。 *控室では、屋敷九段と佐々木勇七段の両立会人が封じ手の封筒に名前を記入している。 *■AbemaTV■ *村山慈明七段>早指し戦ではなく、竜王戦で長い持ち時間でも正しく指せるという考えでこういう戦型を選んでいるのかもしれません。 *【1日目対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-8ab6.html 31 同 金(78) ( 3:00/01:17:00) *29年前の1989年12月12日、この日に第55期棋聖戦五番勝負第1局の▲中原誠棋聖−△屋敷伸之四段戦(肩書、段位は当時。また、当時の棋聖戦は1年2期制)が行われた。屋敷現九段は当時17歳10ヵ月。史上最年少のタイトル挑戦者だ。 *屋敷九段は当時について「ちょうど29年前にだったんですか。覚えていませんでした。その対局はホテルだったのですが、和服の注文が間に合わなかったので、スーツで対局したと記憶しています。やはり緊張しましたね」と話した。 32 8九飛打 ( 0:00/02:01:00) 33 8八角打 ( 1:00/01:18:00) 34 8六歩打 ( 0:00/02:01:00) *13時41分、記録係の冨田三段を見て、棋譜を書き終えたのを確認した羽生は、スラっとした手を駒台にもっていって△8六歩を打った。 *控室の佐々木勇七段は「本当は▲8六同金としたいです。△6四角なら▲4五桂△8六角に▲8三飛や▲5六飛で先手が指せます。ただ、▲8六同金に△4四角と打たれると、▲同角△同歩で先手が悪そうです。そこで▲8八角は△6四角で今度は▲4五桂を防がれているからです。 *結局、△8六歩には▲7七金でしょうが、8九飛を取れないので飛車が不気味です」という。 *■AbemaTV■ *近藤誠也五段>▲8六同金は△6四角が金桂両取りです。ただ、▲7七金も形の悪さが気になります。自分で打った角が働きませんから。それでも、▲6五桂と跳ねているのは魅力です。ここ数手がどうかです。 35 7七金(87) (15:00/01:33:00) *13時56分の着手。羽生が考えている。 *「(1)△5四角が第一感なのですが、▲5三桂成△同玉▲5六飛が不気味です。▲5四飛△同玉▲9八角の筋など、中段玉は流れ弾に当たりやすいんです。▲4五桂を防ぐには(2)△4四歩(3)△3三桂が考えられます。(2)△4四歩は▲8三飛△7二銀▲8六飛成△6四角▲5六竜△3七角成▲5三桂成△4一玉となれば5筋を突破されても、飛車や馬が強いので後手がいいです。なので、▲8五飛のように中段から飛車を打つかもしれません。(3)△3三桂は壁なのが気になります。やはり▲8五飛が嫌らしいです」と佐々木勇七段。 *14時35分過ぎ、AbemaTVで鈴木九段と佐々木勇七段が、指宿白水館の風呂のレポートをしている。元禄風呂という1000坪ある広い風呂だ。 *【元禄風呂】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-b252.html 36 5四角打 (50:00/02:51:00) *14時47分の着手。△5四角までの消費時間は、▲広瀬1時間33分、△羽生2時間51分。50分の長考だった。 *「△5四角は▲5三桂成△同玉▲5六飛があるので強い手ですね。ほかに▲8五飛もあり、△6四歩▲8二歩でどうかという検討をしていました」と佐々木勇七段。 *広瀬の考慮中に15時になり、午後のおやつが出された。広瀬は湯の里ロールとホットティー(夢ふうき)。羽生がよもぎ餅と抹茶。また、両対局者には桜島産の小みかん2個も供された。広瀬はロールケーキを食べ、羽生は包装をはがす。休息の時間だ。羽生のおやつは広瀬の午前と同じで、おやつの棋風が似ているようだ。 *その間に検討が進み、15時10分現在では、▲8五飛の変化は▲8二歩に△6五歩▲8一歩成△6二銀と進むと、次の△6六歩が厳しく後手十分のようだ。よって、▲8五飛よりも▲5三桂成から▲5六飛が最有力だ。広瀬は45分以上考えている。▲5五飛もあるかと鈴木九段。以下△4二銀に▲4五桂と跳ねて中央を狙う。先手は銀を持てば、▲7八銀が楽しみだ。 *【1日目午後のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-59ae-1.html *※局後の感想※ *△6四歩は▲5三桂成△同玉▲8三飛△6三角▲8六飛成△7三桂が予想される。「▲2二歩△同銀が入っていればやれそうだが、これは自信がない」と羽生。 37 5五飛打 (52:00/02:25:00) *15時39分、52分使った広瀬は中段に飛車を打った。▲5三桂成は含みに残した。桂を捨てずに頑張れれば、そのほうがいいだろう。△4二銀▲4五桂△6二銀には、▲5三桂左成から銀を取って▲7八銀打と飛車を捕獲できる。 *後手は▲4五桂を受ける△3三桂のほかに、△6五角という強手もあるようだ。以下▲同飛△7六桂▲同金△8七歩成と角損でも強引に食い破ってしまう。ただ、8八角が自動的にさばけそうなので、後手としては勇気がいる。 *■ニコニコ生放送■ *田中寅彦九段>△6五角(▲同飛は△7六桂▲同金△8七歩成)や△4二銀、△3三桂も捨てがたいです。 *■AbemaTV■ *近藤誠也五段>後手が神経を使う戦いだと思います。局面は進むでしょうけど、大事なところなので読みを入れないといけません。 *※大盤解説会での感想※ *▲8五飛は△6四歩▲8二歩△6五歩▲8一歩成△6二銀で、△6六歩が厳しい。「角頭を狙われていきなり受けがなくなる恐れがある」と広瀬。 38 6二銀(71) (36:00/03:27:00) *36分の長考で指された△6二銀だが、一瞬壁形になる。そのため、控室では5三を守るなら△4二銀が示されていた。 *【16時15分ごろの控室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/1615-14e2.html *【封じ手の封筒】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-0aa9.html *※局後の感想※ *△6四歩は▲5三桂成△同玉▲4五桂△6三玉▲5四飛△同玉▲9八角△8七歩成▲同金に(1)△7九飛成は▲同角△4五玉が検討されたが「いやー」と羽生が苦笑すると、広瀬も笑顔を見せた。「後手が悪い」と羽生。(2)△8八飛成も▲同金△4五玉▲2二歩で「悪そう。痛すぎる気がする」と羽生。 39 4五桂(37) ( 5:00/02:30:00) *飛び道具の飛車桂桂が中央に集まる。一気に攻めつぶせるわけではないが、夢のある格好だ。「子どもが好きそうですよね」の声も。両方の桂で中央を狙うのは、青野流の理想の一つだ。 *ここでも、羽生はすぐに指さない。自然なのは△4二銀と中央を固める手だが、▲5三桂右成△同銀右▲同桂成△同銀▲7八銀打と飛車を取られたときに難しいのではないかと鈴木九段。ならば、△4二金はどうか。これなら▲5三桂右成△同金▲同桂成△同銀と銀を渡さずに済む。 40 4二銀(31) (23:00/03:50:00) *羽生は飛車の捕獲が見えていて、指しにくいといわれていた順に飛び込んだ。 *ここまでの消費時間は▲広瀬2時間30分、△羽生3時間50分と差がついた。 41 5三桂成(45) ( 9:00/02:39:00) *16時55分、広瀬は飛び込んでいく。1日目、しかも実戦例のない進行だが、どんどん進んでいく。 *飯島栄治七段は△同銀右▲同桂成△同銀▲7八銀打△8八飛成▲同銀に△7三桂を示した。△6五桂から中央を逆襲しようという発想だ。 *飯島七段と高浜愛子女流2級は、地元の鹿児島情報高校やラ・サール高校を訪問し、将棋の指導や講義を行っていた。 *【学校訪問】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-4fcb.html 42 同 銀(62) ( 7:00/03:57:00) 43 同 桂成(65) ( 0:00/02:39:00) 44 同 銀(42) ( 1:00/03:58:00) *飛車銀歩歩と角桂桂の交換。先手は▲7八銀打で飛車を捕獲できる。 45 7八銀打 ( 3:00/02:42:00) *17時10分ごろの着手。△8八飛成の一手のはずだが、ここで羽生が考え込んでいる。あぐらで指す気配が感じられない。封じ手時刻は18時なので、その前後での駆け引きもあるだろう。△8八飛成▲同銀の局面は手が広い。ただ、持ち時間に1時間以上差がついているので、時間の使いすぎても2日目に支障が出る恐れがある。 *控室にいた屋敷九段が自室に戻る。和服に着替えるようだ。封じ手に向けて、各々が準備を進めている。 *鹿児島の日の入りは17時15分で周囲はまだ明るい。東京は16時30分ごろですでに日が暮れているころなので、九州にきたことを感じる。 46 8八飛成(89) (18:00/04:16:00) *【上村四段と指宿を歩く(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-5299.html *【上村四段と指宿を歩く(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-21b9.html *【上村四段と指宿を歩く(3)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-4f97.html 47 同 銀(79) ( 0:00/02:42:00) *■AbemaTV■ *村山慈明七段>後手が銀と桂桂の交換で駒得になりましたから、羽生竜王はうまく攻撃できれば有利に戦えると見ているのではないでしょうか。ここでは△7三桂は遊び駒の活用をしつつ▲8二飛に備えて第一感ではあります。後手のイメージは△6五桂から△4五桂のように、先手がした攻めをするような順です。 48 3七角打 ( 2:00/04:18:00) *17時30分ごろ、羽生が△3七角を打つ。「▲8二飛の受けが難しいのではないかと考えていました」と佐々木勇七段。以下△6二桂には▲3五飛△8二角成▲3二飛成の筋を狙う。 *▲8二飛は激しいが、単に▲8五飛や▲3五飛とかわす手もある。選択肢が広い。なお、▲5四飛△同銀▲3四飛の金銀両取りは△4一玉が軽い受けになるようだ。以下▲5四飛△1九角成と進むと△5一香の味がいい。 *しばらくして、冨田三段が封じ手用の図面用紙を書いているのか、下を向いて手を動かしている。広瀬が指示したようだ。 *18時になり、広瀬はすぐに封じ手の意思表示をした。1日目の消費時間は▲広瀬3時間12分、△羽生4時間18分。 *控室では▲8二飛や▲8五飛が封じ手と予想されている。 *13日8時20分、記録係の冨田三段が駒を磨いている。8時25分、立会人の屋敷九段が盤側へ。関係者や報道陣が対局室に集まっていく。8時44分ごろ、1日目と同じようなタイミングで広瀬が入室。8時50分、羽生が対局室に入る。シャッター音が鳴り響く。9時2分、1日目の指し手を並べ終えた。「それでは封じ手を開封します」と告げて屋敷九段が立ち上がる。 *■AbemaTV■ *村山慈明七段>いちばん打ってみたい手ですが、▲8五飛がありますのでどうかなと思いましたが、最強手でいった感じがします。▲8五飛には△7三桂と当てて跳ねるのでしょうか。 *【1日目を終える】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-3e74.html *【封じ手予想など】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-f1f2.html *※局後の感想※ *(1)△7三桂は▲8二飛△6二桂▲8一飛成△5一金が検討されたが、後手は5五飛を攻めても、▲3五飛や▲2五飛が金取りや桂取りの逆先になってしまうため「自信がない」と羽生。 *(2)△6四角は▲8五飛△7三桂▲8二飛成△6二桂▲6六金△6五桂▲7三歩△1九角成が並べられた。「よくわからない勝負。ただ、△6四角は弱いかなと思った」と羽生。 *(3)△3六角も示されたが、▲2六飛△1四角打▲2一飛成や▲5六飛打があるので、後手まずそうだ。 49 8五飛(55) (30:00/03:12:00) *封筒を開封した屋敷九段が「封じ手は▲8五飛です」と告げて、広瀬が着手する。少しして、関係者が退室する。 *予想された手の一つだ。△7三桂に先手が▲8二飛成とするか▲8一飛成とするかでわかれる。1日目で見たことのある攻め方だが、後手は△6五桂から△4五桂と中央を狙うのが一つの筋になる。 *■ニコニコ生放送■ *藤井猛九段>最新型を勉強している人にとっては目の離せない将棋ですね。▲8五飛で▲5四飛△同銀▲3四飛は△4一玉▲5四飛△1九角成と進んで、金銀の数は6対2なんですけど、後手も桂香豊富で△5一香や△6五桂で大変なんですね。でも、自分の実戦なら、きっと飛車を切ってしまうなと思っていたんですよ。 *▲8五飛に△7三桂▲8二飛成△6二銀▲2四飛△6五桂となると、すごい激しくなります。先手がよくなりそうに見えますが、どうなでしょうか。▲8二飛成に△6二桂なら▲2四飛はありませんが、自陣に桂を打つのは指しにくい手です。 *【封じ手開封前の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-f656.html *【封じ手開封】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-91fc-1.html *【封じ手用紙】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-ade5.html *※大盤解説会での感想※ *「▲5四飛か▲8五飛の2択と思っていた」と広瀬。 *▲8二飛は△6二桂▲3五飛△8二角成▲3二飛成△4二銀▲2一竜△5一金でどうか。「▲8二飛を消したつもりで△3七角としたが、それでも打つ手があるのか。そこらじゅうに先手から飛車を打つ手があって、ずっとまとめにくいと思っていた」と羽生。 50 7三桂(81) (18:00/04:36:00) *2日目の中継一覧 *【将棋プレミアム】https://www.igoshogi.net/shogipremium/live/live_info.html?live_id=dfba75c0d7853ec3cede80a2931e15b5 *解説・聞き手は阿久津主税八段、観戦記者の内田晶さん。 *【ニコニコ生放送】 *解説・聞き手は藤井猛九段、和田あき女流初段。 *http://live.nicovideo.jp/gate/lv317003649 *【AbemaTV】 *解説・聞き手は久保利明王将、戸辺誠七段、村田智穂女流二段、中村桃子女流初段。 *https://abema.tv/channels/shogi/slots/9MiUcnBJZVDr23 51 8二飛成(85) ( 2:00/03:14:00) 52 6二桂打 ( 0:00/04:36:00) *予想された進行。控室では▲2七飛の角桂両取りに(1)△2六歩▲3七飛△4五桂▲3八飛△6五桂や(2)△4五桂▲2一飛成△5七桂成▲同玉△6五桂(3七角で8二竜取りにもなっている)▲6八玉△7七桂成▲同銀左△3一金打が調べられている。 53 2七飛打 ( 8:00/03:22:00) *控室で示されていた△2六歩▲3七飛△4五桂は、その瞬間に▲9一竜と香を取る手があるようだ。△3七桂成に▲4一角△同玉▲6一竜△4二玉▲3五香と厳しく攻めて先手よしとのこと。 *■将棋プレミアム■ *阿久津主税八段>△1九角成▲2一飛成△3一歩▲2八銀となると、馬と7三桂取りになりますね。わずかに先手を持ってみたいと思います。 54 1九角成(37) ( 2:00/04:38:00) *羽生は2分で△1九角成。香を取る意味では自然だが、より厳しく攻める手が控室で検討されていたので、意外そうな声が上がった。 *※局後の感想※ *ここは大きな勝負どころだった。△4五桂が有力だった。ただし、両対局者は△4五桂に気づいていなかったという。 *△4五桂に(1)▲4八銀は△6五桂▲3七飛△同桂成▲同銀△2九飛▲3九桂△7七桂成▲同銀直△8七歩成▲同銀△1九飛成で「長い将棋になったかもしれない」と羽生。 *途中、△2九飛で△7七桂成▲同銀直△7八飛も考えられ、▲6八角△8七歩成▲同銀△6八飛成▲同銀△5五角▲7三桂△3七角成でどうか。 *△4五桂に(2)▲2一飛成△5七桂成▲6九玉(▲同玉は△6五桂▲6八玉△7七桂成▲同玉△8二角成▲3二竜△4二金の変化で先手も大変)も有力。△3一歩▲5八歩△6五桂▲8六竜△1九角成▲5七歩△同桂不成▲7九玉△4九桂成が並べられた。「長い将棋だと思うが、先手もしっかりしているので自信がない。駒をたくさん自陣に使わされている」と羽生。 55 2一飛成(27) ( 5:00/03:27:00) 56 3一歩打 ( 0:00/04:38:00) *先手は左右に竜を作り、挟撃のきっかけができた。後手は上部から攻める展開にしたい。 57 2八歩打 ( 2:00/03:29:00) *9時46分ごろの局面。2日目に入って進行が早い。▲2八歩は馬を閉じ込める手筋。控室では、△1九角成と隅の香を取るのは感触が悪いのではという意見もあった。現局面で1九馬と2一竜を見ると、竜のほうが働きがいい。 *控室では53手目▲2七飛に△4五桂▲2一飛成△5七桂成▲同玉△6五桂▲6八玉△7七桂成▲同銀左△8二角成の変化が最有力という見解だった。次いで▲3二竜に△4二金と弾く。後手からすると、3二金を取らせる順は選びにくいが、△4二金の局面は先手が一気に寄せる順は難しいということだった。羽生の54手目△1九角成はわずか2分。前日からの読み筋だったのだろうか。 *10時になり、おやつが出された。広瀬はそら豆プリン、ホットコーヒー。羽生はそら豆プリン、ホットティー(夢ふうき)。10時10分ごろ、羽生は着手することなく席を外した。10時15分、広瀬はコーヒーに手を伸ばす。 *■ニコニコ生放送■ *藤井猛九段>先手は▲9一竜、▲7三竜、▲2四桂など指したい手が多いです。後手はプラスの手が難しいのではないかと思います。△7五香は金駒をけずれますね。 *■AbemaTV■ *戸辺誠七段>竜2枚作って駒の効率がよく、指したい手が多いので55対45くらいで先手が指しやすいと思います。後手は長引かせる指し方が難しいので、どう攻めていくかだと思います。1日目から激しいですが、攻防が目まぐるしいんですよね。なので、形勢が揺れ動きやすい将棋です。 *【2日目午前のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-66ed.html 58 7五香打 (32:00/05:10:00) *10時19分、羽生は32分の長考で△7五香。▲7六歩△同香▲同金△同角▲7七銀左△6五角▲3五香が検討されている。「後手玉が遠いので、先手はそれを生かされないようにしてみたいです。ただ、先手は手が広いので、どのような方針で指すかわかれますね」と鈴木九段。 59 2四桂打 (16:00/03:45:00) *広瀬は攻め合いに出た。 *羽生はあぐらになり、眼鏡を外して、顔に手を当てる。 *【砂蒸し風呂(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-addc.html *【砂蒸し風呂(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-8f9d.html 60 4二金(32) ( 7:00/05:17:00) 61 3一竜(21) ( 1:00/03:46:00) *控室は竜と香で右辺から攻める展開を調べていたが、広瀬は竜と桂で迫る。▲3二桂成を受けるなら△7七香成▲同銀左に△4一金打だが、戦力不足が懸念される。 *羽生の考慮中に11時になろうとしている。現地では大盤解説会が開かれる。その様子は読売新聞のYOMIURI ONLINEからリンクをたどっていただきたい。 *■AbemaTV■ *久保利明王将>竜王戦の決勝トーナメントでは、ヨーグルトドリンクの[R−1]を出していただきました。そのときの印象が強く、ほかの対局でも2本くらい持参するようになりました。 *【読売新聞 第31期竜王戦七番勝負第6局 ライブ中継】 *https://www.yomiuri.co.jp/matome/archive/20181206-OYT8T50029.html?from=ytop_os1 *【現地大盤解説会始まる】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-0024.html 62 7七香成(75) (15:00/05:32:00) 63 同 銀(78) ( 1:00/03:47:00) *金や銀は縦横に2枚並べるのが好形とされる。そのセオリーからは▲7七同銀左が自然だが、広瀬は▲7七同銀直とした。ヒモつきにしておくのがいいとみたか。 *【鹿児島名物】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-0a57.html 64 4一金打 ( 0:00/05:32:00) *消費時間は▲広瀬3時間47分、△羽生5時間32分。粘りに出た手。形勢は先手優勢とみられている。消費時間も大きな差がついた。 65 1一竜(31) ( 2:00/03:49:00) 66 6五桂(73) ( 0:00/05:32:00) *着手した羽生はうつむいている。桂香交換だが、持ち歩の枚数差や竜の力が大きい。後手陣は堅いようでも、▲5六香が見えていること、△3一歩の底歩が利かないことがつらい。 *■AbemaTV■ *久保利明王将>▲5六香に△3六角だと▲3二桂成が筋ですね。△同金上なら▲6一竜△同玉▲7二金△5二玉▲6二金△4一玉▲9一竜で詰みがあります。局面的には羽生竜王が厳しいように思います。▲6六銀と逃げる手も自然ですね。 67 6六銀(77) ( 5:00/03:54:00) *広瀬は慌てず騒がず冷静に▲6六銀とかわした。 *■ニコニコ生放送■ *藤井猛九段>先手は▲5六香と打てばいいので、後手が局面を複雑にするのは難しそうです。 68 2九馬(19) ( 5:00/05:37:00) *△2九馬はAbemaTVで久保王将、戸辺七段の検討で示されていた。▲5六香に△3六角が△4七馬▲6八玉△6九馬の詰めろという狙いだ。しかし、控室では△3六角に▲5三香成△同玉▲3八銀打で、やはり先手優勢といわれている。どうも、後手が苦しい。 *広瀬はあぐらになり、扇子であおいでいる。 69 5六香打 (10:00/04:04:00) *11時28分、じっくり考えた広瀬は▲5六香と打った。羽生はゆっくりした動きで席を外した。 70 3六角(54) ( 8:00/05:45:00) 71 3八歩打 ( 1:00/04:05:00) *「プロ好みの手ですね。歩で囲いを作って」と佐々木勇七段。2九馬を馬小屋に閉じ込めたまま使わせない。△3七歩は▲5五香打、△3七桂も▲6五銀△4九桂成▲5五香打が厳しい。 *早い時間帯での終局も考えられる。屋敷九段は和服に着替えた。観戦記担当の上村四段は対局室に入る。 *■AbemaTV■ *戸辺誠七段>後手からは△3七桂と打つ手があります。▲同歩なら△4七馬から詰みです。広瀬八段は△3七桂の瞬間に▲3二桂成と攻めるのでしょうね。 72 3七桂打 ( 7:00/05:52:00) *11時45分、羽生は桂を打って席を外す。広瀬は腕を組んで考える。進行が早い。58手目△7五香以降、まとまった長考はない。控室も早い終局の可能性に備えて慌ただしい。対局室に戻った羽生は扇子でハタハタあおぐ。 *ここから▲6五銀△4九桂成▲5五香打が控室の検討手順。これは▲5三香成△同金▲4一竜△同玉▲3二金以下の詰めろだ。 73 6五銀(66) (13:00/04:18:00) *11時57分、13分の考慮で広瀬は▲6五銀。寄せのめどが立ったか。△4九桂成▲5五香打の局面は左右と上部の3方向からの攻めで受けが難しい。羽生は正座に直ったが、うつむいて肩も落ちている感じだ。 74 4九桂成(37) ( 2:00/05:54:00) *羽生が金を取ったところで12時になった。羽生は頬に右手を当ててうつむいている。 *竜王戦七番勝負では、2日目昼食休憩前での終局はない。第25期七番勝負第1局▲丸山忠久九段−△渡辺明竜王戦で、2日目13時58分終局の記録がある。 *鈴木九段、佐々木勇七段がモニターを注視している。 75 5五香打 ( 1:00/04:19:00) 76 3九馬(29) ( 2:00/05:56:00) *後手玉に詰めろがかかっているが、羽生は△3九馬。 77 5三香(55) ( 1:00/04:20:00) *広瀬は気息を整えて▲5三香不成。 *■ニコニコ生放送■ *藤井猛九段>広瀬八段の気合ですね。第7局に向けて、厳しさを感じます。▲5三香成よりも不成のほうがいいですね。 78 同 金(42) ( 0:00/05:56:00) 79 4一竜(11) ( 0:00/04:20:00) 80 同 玉(52) ( 0:00/05:56:00) 81 3二金打 ( 0:00/04:20:00) *この手を見た羽生は「負けました」と告げて頭を下げた。終局時刻は12時7分。消費時間は▲広瀬4時間20分、△羽生5時間56分。以下は△5二玉▲4一銀△5一玉▲5三香不成△5二歩▲4二金打まで。 *広瀬が厳しい寄せで快勝。七番勝負の決着は、第7局に持ち越された。第7局は20・21日に山口県下関市「春帆楼」で行われる。 *【終局直後】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-bb10-1.html *【両対局者が大盤解説会場に】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-e27d.html *【感想戦】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/12/post-10da-1.html *※局後の感想※ *感想戦は13時33分ごろに終了。羽生は「キズがあるので先手に飛車を持たれて、攻めにくい将棋ですかね。▲2一飛成(55手目)と桂を取られてからはダメと思います」と振り返った。 82 投了 ( 0:00/05:56:00) まで81手で先手の勝ち