# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.13 棋譜ファイル --- 対局ID:8308 記録ID:5bcecaafe1509100048e6584 開始日時:2018/11/01 09:00 終了日時:2018/11/02 18:24 表題:竜王戦 棋戦:第31期竜王戦七番勝負 第3局 戦型:角換わり腰掛け銀 持ち時間:各8時間 消費時間:130▲479△429 場所:茨城・鹿島神宮 備考:昼休前40手目69分\n2日目昼休前76手目16分\n封じ手時刻:18:00<50手目>\n 図:投了 振り駒:なし 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:30〜13:30 昼休前消費時間:40手69分 手合割:平手   先手:羽生善治竜王 後手:広瀬章人八段 手数----指手---------消費時間-- *羽生善治竜王に広瀬章人八段が挑戦する第31期竜王戦七番勝負(主催:読売新聞社、特別協賛:野村ホールディングス株式会社、協賛:東急グループ、(株)明治のヨーグルトドリンク[R−1])。第1局と第2局は羽生が制した。第3局は2018年11月1日(木)から2日(金)にかけて、茨城県鹿嶋市「鹿島神宮」で行われる。 *第3局の先手は羽生。対局開始は9時。持ち時間は各8時間。おやつは10時と15時に出される。昼食休憩は12時30分から1時間。1日目の18時以降に次の手を封じる。立会人は中村修九段と飯塚祐紀七段、飯塚七段は新聞解説も担当する。記録係は小高悠太郎三段(所司和晴七段門下)。読売新聞の観戦記は鈴木宏彦さんが執筆する。 *対局開始の朝を迎えた。鹿嶋市は快晴。冷たい空気が流れる。対局室は境内にある「祈祷殿」の一室。床の間には「龍神」の軸が掛けられている。8時43分、広瀬が入室した。鹿島神宮の巫女の方が給仕をする。48分、羽生が上座につき、駒箱を開けた。 * *【読売新聞(YOMIURI ONLINE)】 *http://www.yomiuri.co.jp/ *【野村證券】 *http://www.nomura.co.jp/ *【東急グループ】 *https://tokyugroup.jp/ *【株式会社 明治】 *https://www.meiji.co.jp/ *【鹿島神宮】 *http://kashimajingu.jp/ * *(棋譜・コメント入力=牛蒡) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手] 1 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *初手は▲2六歩。居飛車で戦う姿勢を見せた。飯塚七段は本局の戦型を有力な順に、角換わり、相掛かり、矢倉と予想していた。 * *【中継ブログ|対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-75cb.html 2 8四歩(83) ( 1:00/00:01:00) *広瀬は2手目に1分かけた。△8四歩が指されたところで、初手の見学ツアーの方々や関係者が退室した。ここから▲7六歩や▲2五歩△8五歩▲7六歩なら角換わりが有力、▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金なら相掛かりになる。 * *【対局準備1〜2】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-1597.html *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-64e1.html 3 7六歩(77) ( 3:00/00:03:00) *◆羽生 善治(はぶ よしはる)竜王◆ *1970年9月27日生まれ、埼玉県所沢市出身。(故)二上達也九段門下。1985年、四段。1994年、九段。棋士番号は175。 *タイトル戦登場は136回。獲得は竜王7期(永世竜王)、名人9期(十九世名人)、王位18期(永世王位)、王座24期(名誉王座)、棋王13期(永世棋王)、王将12期(永世王将)、棋聖16期(永世棋聖)の計99期。棋戦優勝は44回。 4 3二金(41) ( 2:00/00:03:00) *◆広瀬 章人(ひろせ あきひと)八段◆ *1987年1月18日生まれ、北海道札幌市出身。勝浦修九段門下。2005年、四段。2014年、八段。棋士番号は255。 *タイトル戦登場は4回。獲得は王位1期。棋戦優勝は1回。 5 7八金(69) ( 3:00/00:06:00) *【羽生の公式戦成績】 *通算成績は1415勝580敗(0.709) *昨年度成績は32勝22敗(0.593) *本年度成績は17勝15敗(0.531) 6 8五歩(84) ( 1:00/00:04:00) *【広瀬の公式戦成績】 *通算成績は374勝204敗(0.647) *昨年度成績は24勝16敗(0.600) *本年度成績は23勝8敗(0.742) 7 7七角(88) ( 0:00/00:06:00) *羽生の直近10局は7勝3敗。古い対局から順に○○●●○○○○●○。竜王戦1組、順位戦A級に在籍するトップ棋士との対戦が続いたが、強者を相手に白星を積み重ねた。 8 3四歩(33) ( 1:00/00:05:00) *広瀬の直近10局は7勝3敗。古い対局から順に○○○○●●○○●○。本年度はランキング4部門(対局数、勝数、勝率、連勝)でトップ5に入っている。 9 6八銀(79) ( 0:00/00:06:00) *羽生の本棋戦成績は153勝85敗(0.643)。第1期(4組)から出場。1組以上の在籍は28期。七番勝負登場は15回、竜王獲得は7期。永世竜王の資格を持つ。今回の番勝負には、タイトル通算100期が懸かっている。 10 7七角成(22) ( 1:00/00:06:00) *広瀬の本棋戦成績は45勝23敗(0.662)。第19期から出場。前期は2組の昇級者決定戦を勝ち上がり、自身初の1組昇級を決めた。今期は1組優勝、挑戦者決定三番勝負では深浦康市九段を破った。七番勝負出場は初めて。 11 同 銀(68) ( 1:00/00:07:00) *戦型は角換わり。西尾明六段は「最近の羽生竜王は、先手でも後手でも角換わりが多いです」と話す。西尾六段は今日と明日、本田小百合女流三段と現地大盤解説会に出演する。 12 2二銀(31) ( 0:00/00:06:00) *対戦成績は羽生17勝、広瀬8勝。広瀬が初手合いから公式戦で3連勝したが、2011年から15年にかけて羽生が9連勝するなど、現在は羽生が大きくリードしている。タイトル戦の対局は今回のほか、第52期と第56期王位戦の七番勝負があり、どちらも羽生が制している。 13 3八銀(39) ( 7:00/00:14:00) *竜王戦は読売新聞社が主催する棋戦。十段戦を発展的に解消して設立された。十段戦の前身となる九段戦を含めると1950年から続いており、長い歴史を持つ。1組から6組まで分けた「ランキング戦」と呼ばれる、昇降級制を取り入れた独自のトーナメントで予選を行い、各クラスの優勝者、並びに上位者による決勝トーナメントでタイトル挑戦者を決める。竜王と挑戦者の七番勝負は、例年10月から12月にかけて行われる。優勝賞金は棋界最高の4,320万円(七番勝負の敗者は1,620万円)。 14 6二銀(71) ( 0:00/00:06:00) *「読売竜王戦(@yomiuri_ryuo)」のツイッター・アカウントでは、竜王戦や将棋界の情報を発信している。 * *【Twitter:読売竜王戦(@yomiuri_ryuo)】 *https://twitter.com/yomiuri_ryuo 15 4六歩(47) ( 2:00/00:16:00) *現地の大盤解説会は事前申込制で、西尾明六段と本田小百合女流三段が出演する。受付はすでに締め切られている。東西の将棋会館の解説会はなく、東京では2日目にJR新橋駅西口SL広場前で無料の解説会が予定されている。 * *【東京・新橋SL広場】 *日時:11月2日(金)18時開始 *会場:JR新橋駅西口SL広場前 *出演:鈴木大介九段、梶浦宏孝四段、藤森奈津子女流四段 16 4二玉(51) ( 0:00/00:06:00) *本局の動画中継は、将棋プレミアム、ニコニコ生放送、AbemaTVで行われる。出演者は次のとおり。 * *■将棋プレミアム(無料配信)■ *1日目:解説なし *2日目:木村一基九段、安食総子女流初段 *http://www.igoshogi.net/shogipremium/live/ * *■ニコニコ生放送■ *1日目:所司和晴七段、貞升南女流初段 *http://live.nicovideo.jp/gate/lv315581671 *2日目:高見泰地叡王、長谷川優貴女流二段 *http://live.nicovideo.jp/gate/lv315581734 * *■AbemaTV■ *1日目:藤井猛九段、都成竜馬五段、宮宗紫野女流二段、長谷川優貴女流二段 *2日目:深浦康市九段、村田智弘六段、飯野愛女流初段、高浜愛子女流2級 *https://abema.tv/now-on-air/shogi 17 4七銀(38) ( 2:00/00:18:00) *関係者一行は昨日、読売新聞本社前から貸し切りバスで鹿嶋市に移動。鹿島神宮で祈祷と検分を行った。検分に用意された駒は2組で、「富士駒の会」の寉峯師の作。清涼感のある駒木地の錦旗書が選ばれた。駒は対局後に鹿島神宮に奉納されるという。盤は日本将棋連盟理事の竹井粋鏡さんが提供した。 * *【茨城県鹿嶋市へ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/10/post-e381.html *【祈祷】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/10/post-edcd.html *【検分】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/10/post-42ac.html 18 7四歩(73) ( 0:00/00:06:00) *検分のあとは鹿島神宮の近くにある「新仲家」に移動。前夜祭に出席した。 *前夜祭では、つるの剛士さん(将棋親善大使)と相川七瀬さん(かしま大使)も登壇した。つるのさんは俳優、タレント業など、多方面で活躍している。NHK将棋フォーカスの司会を務めたこともある。相川さんは「夢見る少女じゃいられない」や「恋心」などのヒット曲で知られる歌手、カラーセラピスト。鹿島神宮を崇敬しているという。 * *【前夜祭1】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-b995.html *【前夜祭3】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-8f9f.html *【前夜祭4】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-5d4f.html *【日本将棋連盟HP|将棋親善大使委嘱式(2014年)】 *https://www.shogi.or.jp/news/2014/06/post_1006.html *【鹿嶋市HP|かしま大使】 *http://city.kashima.ibaraki.jp/info/detail.php?no=1243 19 3六歩(37) ( 8:00/00:26:00) *前夜祭では、羽生と広瀬が意気込みを語った。「きちんとした棋譜を残したい」と羽生。「鹿島神宮の神様の前でみっともない将棋は指せません」と広瀬。鹿島神宮で指すことの重みを強く意識している様子だった。 * *【前夜祭5】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-8889.html 20 3三銀(22) ( 1:00/00:07:00) *鹿嶋市は茨城県南東部に位置する。太平洋に面しているため、黒潮の影響で四季を通じて温暖な気候である。昭和30年代後半に開発が進められ、工業都市になった。Jリーグの鹿島アントラーズのホームタウンとしても知られている。名物はハマグリやタコなどの海産物、メロン、ピーマンなど。前夜祭では、おいしい寿司や刺身が出された。 * *【前夜祭2】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-8f9f-1.html 21 6六歩(67) ( 5:00/00:31:00) *鹿島神宮(かしまじんぐう)は、北浦(霞ヶ浦を構成する湖のひとつ)と鹿島灘に挟まれた丘陵地にある。最寄駅はJR鹿島線の鹿島神宮駅。神武天皇元年(紀元前660年)の創建といわれる。祭神は日本建国・武道の神様である「武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)」。それゆえ武術が盛んである。剣豪として知られる塚原卜伝(つかはら・ぼくでん)は、鹿島神宮の神官の次男として生まれ、のちに鹿島新當流を興した。 22 6四歩(63) ( 2:00/00:09:00) *20手目の局面は32局の前例があり、最新局の1局だけが▲6六歩△6四歩と進んでいた。先月17日の順位戦A級の将棋で、先手は羽生、後手は稲葉陽八段。95手で先手が勝った。以下の進行は▲5八金△6三銀▲6八玉△5四銀▲5六銀△6二飛▲7九玉△7二金▲3七桂△6五歩。 23 5八金(49) ( 2:00/00:33:00) *控室では中村修九段と本田女流三段が継ぎ盤を挟み、第1局と第2局の進行を並べている。検討で使われる駒は寉峯師の菱湖書。盤も高さ3寸の立派な物だ。 24 6三銀(62) ( 1:00/00:10:00) *前例のある進行のためか、両者とも少考で指し進めていく。 25 6八玉(59) ( 1:00/00:34:00) 26 7三桂(81) ( 1:00/00:11:00) *広瀬は22手目で紹介した前例から指し方を少し変えてきた。 27 5六銀(47) ( 2:00/00:36:00) *羽生は淡々と駒組みを進める。腰掛け銀にして6五の地点に利かした。 28 8一飛(82) ( 2:00/00:13:00) *10時になり、対局者の午前のおやつが出された。羽生の注文は鹿嶋ろまん、ホットコーヒー。広瀬は鹿島立最中、緑茶。鹿嶋ろまんは、茨城県産のベニアズマを使用したスイートポテト。鹿島立は「かしまだち」と読み、旅立ちや物事の始まりとその無事を祈る故事に由来する。 * *【1日目午前のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-62f1.html 29 7九玉(68) ( 2:00/00:38:00) 30 6二金(61) ( 0:00/00:13:00) *6二金・8一飛型は流行形だ。よくある形になりつつあり、5局の前例に合流している。端歩の形が決まれば、その数はさらに増えるだろう。羽生と広瀬は腰を落とし、おやつに手を伸ばす。2日制は長い長い戦いである。休憩を入れるのも大事なことだ。 31 9六歩(97) ( 8:00/00:46:00) *まずは9筋の端歩を打診。中央の駒組みを進めるなら後手は手抜くことになる。△9四歩なら無難だ。 32 9四歩(93) ( 5:00/00:18:00) *▲9六歩は8分、△9四歩は5分の考慮で指された。 33 1六歩(17) ( 1:00/00:47:00) *1筋は△1四歩と受けるだろう。玉側の端歩を突き越されると息苦しい戦いになりやすい。 34 1四歩(13) ( 2:00/00:20:00) *「最近は序盤の早い段階で▲2五歩を突き、後手の雁木を牽制する指し方が主流です。2六歩型を生かすのが難しい、ということもあります。本譜はここまで▲2五歩を決めずにきたので、羽生竜王はしばらく2六歩型で進めると思います。△1四歩に▲3七桂△5四銀までは進むとして、そこで▲4五歩なのか、別の組み立てを考えているのか。注目しています」(西尾六段) 35 3七桂(29) (14:00/01:01:00) 36 5四銀(63) ( 2:00/00:22:00) *▲4五歩△6五歩▲同歩△同銀▲同銀の進行は昨年8月の棋王戦、▲藤井聡太四段−△豊島将之八段戦(段位と肩書は当時)が有名だ。59手で千日手になった。羽生は今年のNHK杯本戦、対高野智史四段戦で▲6五同銀に代えて▲6四歩を指し、勝っている。 37 4七金(58) (10:00/01:11:00) *羽生は10分の考慮で▲4七金を選択。まだ10局の前例がある。後手は△5二玉〜△4二玉や△6三銀〜△5四銀で手待ちをする指し方がひとつ。動くなら△6五歩が有力。 38 3一玉(42) ( 4:00/00:26:00) *△3一玉は前例にはなかった。羽生は手を止め、眼鏡を外す。 39 4五歩(46) (25:00/01:36:00) *▲4七金と▲4五歩の組み合わせは珍しい。もう未知の局面に入っただろう。 *「▲4七金(37手目)は3筋の桂頭を守り、2八飛の横利きも通していますから、△6五歩の筋に強くなっています。あとはどこかで▲4六角と打ち、▲2五桂や▲3五歩△同歩▲同角など、先手が細かく動いていく展開でしょうか。大きく動くことはないと思います」(西尾六段) *先手からは次に▲4六角△6三銀▲5五銀もあるうる。後手がこの変化を気にするのであれば、ここで(1)△6三銀として、▲4六角に△5四歩が考えられる。▲5五銀の筋は問題ないと見れば(2)△4二玉で手待ちに入るのも有力だ。「将棋ソフトが(3)△4二銀とした例もある」と西尾六段は話す。さまざまな展開が考えられるため、後手は長考するかもしれない。 *ここで広瀬が1時間9分使って昼食休憩に入った。休憩時間は12時30分から1時間。消費時間は▲羽生1時間36分、△広瀬1時間35分(持ち時間は各8時間)。羽生の昼食は「常陸牛ぼっかけ焼きそば」。常陸牛の本スジが入っている。広瀬は「常陸 牛めし重」。こちらはスライスしたステーキ用の肉が使われている。 *広瀬、羽生の順で対局室に戻ってきた。どちらも再開前の入室だった。対局が再開しても広瀬は指さない。仕掛けを考えているだろうか。控室でも休憩中に△6五歩が検討されたが、有力そうだった。 * *【1日目 昼食休憩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-f3dd.html *【1日目 昼食休憩時の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-e82f.html * *■AbemaTV■ *都成竜馬五段>後手はまだ仕掛けない気がしますが、(4)△6五歩▲同歩△7五歩という展開もあるでしょうか。以下▲6六銀は△7六歩なら▲7四歩ですが、後手も桂損覚悟で6五から攻めてくるかもしれません。 * *※局後の感想※ *「▲4七金から▲4五歩はあまり想定していませんでした」(広瀬) 40 6五歩(64) (98:00/02:04:00) *対局再開。13時59分の着手。△6五歩の考慮時間は1時間38分と記録された。羽生はすぐに席を立つ。現地では大盤解説会が始まった。 *(1)▲6八飛は△5九角▲5八飛△7七角成▲同金△6六歩。先手にとってリスクが高い順で、後手は次に△6五銀、△6五桂、△6七銀など攻めの手がいくつもある。 *(2)▲6五同歩が予想の本命。以下△同銀▲2五桂△5六銀▲同金は先手の形がいい。5六金が△6五桂や△3九角▲3八飛△5七角成の筋を消している。したがって▲6五同歩には△同桂や△7五歩を選ぶことになるだろう。 * *【対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-2985.html *【長考の末に仕掛ける】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-29bd.html *【現地大盤解説会】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-403b.html 41 2五桂(37) (37:00/02:13:00) *14時36分、羽生は37分の考慮で返した。2六歩型を生かした手だ。△2二銀は指しにくい。自陣に壁を抱えることになる。△4二銀には▲6五歩から▲6六角でどうか。後手の仕掛けを逆用した形になればうまい。 * *※局後の感想※ *「▲2五桂はあとからだと入りません」(羽生) 42 2二銀(33) ( 9:00/02:13:00) *指しにくいと思われた△2二銀。広瀬は9分で指した。羽生は「ふー」と息をつく。 43 6五歩(66) ( 5:00/02:18:00) *ここで手を戻す。味わい深いやりとり。2筋を壁にされたので、後手も動きづらくなっている。 44 2四歩(23) ( 2:00/02:15:00) *中村修九段と飯塚七段が検討を始めた。先手が2五桂を助けるのは難しいが、△2五歩と取られても▲同歩で飛車先の歩が伸びてくる。そう悪いわけではないようだ。▲6四歩が継ぎ盤に示された。 45 6四歩(65) ( 1:00/02:19:00) *△6五桂は▲同銀△同銀▲6三歩成△同金に▲7二角の筋がある。仕掛けたのは後手だが、あっという間に攻守が入れ替わりそうだ。41手目▲2五桂は、まさにカウンターだった。 *△2五歩は▲同歩で後手は桂得、ただし歩切れ。先手は2筋を伸ばしていけばいいので手がわかりやすい。中村修九段は△2五歩▲同歩に△7二桂を示した。△7二桂はまず6四の歩取りであり、△6五桂も指しやすくしている。△6五桂▲同銀△同銀▲6三歩成△同金に▲7二角がない。 *15時、おやつの時間になった。羽生は鹿島立最中と緑茶、広瀬は「極 マスカット大福」と紅茶。 * *【1日目午後のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-59ae.html 46 2五歩(24) (38:00/02:53:00) *【鹿島神宮1〜2】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-23d8.html *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-a2af.html 47 同 歩(26) ( 3:00/02:22:00) *△6五桂打という新しいアイデアが検討で出てきた。▲6六銀に△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8一飛と1歩持っておく。以下▲2四歩△2七歩▲6八飛△5九角▲6九飛△2六角成▲4六角は激戦という評価である。最後の▲4六角は▲3七金を見ている。 48 7二桂打 ( 8:00/03:01:00) *15時45分の着手。中村修九段の示した手が指された。「おおー」と控室で声が上がる。 *(1)▲6八飛は△5九角▲6九飛△7七角成(△2六角成は▲2九飛)▲同金△5八銀▲6八飛△4七銀成▲同銀△6五桂で先手も怖い。(2)▲4六角が検討されている。(1)と(2)のどちらも△6四桂を受けている。 *「▲6四歩(45手目)がいい手に見えましたが、△7二桂でまた難しそうな気がしてきました。先手は桂損でも好形、後手は悪形でも桂得です。どちらが自分の長所を生かせるか。盤面を大きく使った名局になる予感がします」(飯塚七段) *羽生の手が止まって40分が経過、16時25分になった。現局面は均衡を保っているとしても、これ以上進めると差がついてもおかしくない。「1日目はあと2〜3手しか進まないかも」という声もある。 49 3七角打 (69:00/03:31:00) *16時55分の着手。1時間9分の考慮。形がいいのは▲4六角だった。▲3七角は少し違和感を覚えるが、どこかで▲5五銀の筋を考えているなら▲4六角よりも当たりが弱い。 *控室の検討手順は△9五歩▲同歩△8六歩▲同歩△7五歩▲同歩△8四飛。以下(1)▲2四歩には△6四桂▲同角△7六歩(△6四同飛は▲7六桂)と攻める。(2)▲6八飛には△3三桂。どちらの変化も難解であり、結論は容易には出ない。 *18時を30秒ほど過ぎたところで、広瀬が封じ手の意思表示をした。1日目の消費時間は▲羽生3時間31分、△広瀬4時間6分(持ち時間は各8時間)。対局は明日9時に再開される。 *中村修九段は、△9五歩、△8六歩、△7五歩、△3三桂を封じ手の候補に挙げ、「絞り込むのが難しい」と話す。飯塚七段は△9五歩、西尾六段は△8六歩を本命とした。ニコ生では次の一手のアンケートが行われ、人気の高い順に、△9五歩、△3三桂、△7五歩、△8六歩、その他、△8四桂となった。上位の2手は僅差だった。 * *【封じ手】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-4646.html * *■AbemaTV■ *藤井猛九段>△7五歩▲同歩△8四飛(△6四桂)が考えられます。△3三桂もありそうです。1手前の△7二桂では△5二桂の可能性もあったので、7筋に打ったからには、どこかで△8四桂も考えているはず。いずれにしても、ここで広瀬さんが指せば、次の手は封じ手になります。 * *■ニコニコ生放送■ *所司和晴七段>▲3七角は△3三桂が少し気になります。2筋の壁も解消できるので味のいい手です。以下▲5五銀は△4五桂が角に当たります。△3三桂には▲2四歩が私の本命ですが、形勢は何とも言えません。 * *※局後の感想※ *▲4六角は△7五歩▲同歩△8四飛▲2四歩△8六歩▲同歩△6四桂▲同角△同飛▲7六桂△6五飛▲7四歩△8八歩▲同金が示された。「これもあったかもしれません。本譜とどちらがいいのか、わかりませんでした」と羽生。 50 8六歩(85) (65:00/04:06:00) *2日目も快晴。控室の検討は8時20分から再開している。評判は「難解」で変わっていない。西尾六段は「7〜9筋の歩を突き捨てれば激しく、△3三桂から△4二玉のような展開なら穏やか。広瀬八段の構想次第です」という。読売新聞は1日目の対局を「模様対実利の戦い」の見出しで伝えている。模様がよいのは先手、実利とは後手の桂得を指す。 *8時42分に広瀬、46分に羽生の順で入室。駒を初形に並べると、小高三段の読み上げで1日目の指し手を再現していく。9時になり、中村修九段が封じ手を開封した。封じ手は△8六歩。予想されていた手のひとつだ。 * *【模様対実利の戦い、1日目終了】 *https://www.yomiuri.co.jp/culture/20181101-OYT1T50143.html * *※局後の感想※ *広瀬は1日目の感想を問われ、「失敗したと感じた」と答えた。桂得のプラスよりも歩切れのマイナスのほうが大きいという。 51 同 歩(87) ( 3:00/03:34:00) *政府は2日付で秋の褒章受章者を発表、羽生の紫綬褒章受賞が決まった。「名誉あることだと思っています。いままでの活動だけではなく、これから先の棋士としての歩みに期待を込められていると思っています」と羽生はコメントした。これからの歩みの第一歩を竜王防衛、タイトル100期で飾るべく、羽生はいま番勝負を戦っている。 * *【読売新聞|秋の褒章、羽生善治さんら797人・22団体】 *https://www.yomiuri.co.jp/politics/20181101-OYT1T50178.html *【日本将棋連盟|羽生善治竜王に紫綬褒章】 *https://www.shogi.or.jp/news/2018/11/post_1740.html 52 3三桂(21) ( 2:00/04:08:00) *▲2四歩には△4二玉と戦場から逃げ出す手もあるし、△8四桂から△9六桂と猛攻もできる。後手は常に複数の選択肢を残している。 *激しい順の一例は、▲2四歩△8四桂▲1五歩△同歩▲2三歩成△同銀▲2四歩△1四銀▲1五香△2七歩▲同飛△1五銀▲2三歩成。これも難しい。 * *【2日目 開始前】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-0b9f.html *【封じ手開封】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-91fc.html *【実際の封じ手】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-d1e8.html 53 2四歩(25) (31:00/04:05:00) *31分の考慮。後手玉にプレッシャーをかける。 54 4五桂(33) ( 1:00/04:09:00) *分岐点の前で手を封じた広瀬には、1日目に蓄積した読みがあるはず。とはいえ1分の考慮で△4五桂とは早い。「午前中から動きましたね」と中村修九段。9時41分の着手だった。 *「羽生竜王の棋風は▲4五同銀だと思います」と飯塚七段。▲4五同銀△同銀▲6三歩成△同金に▲5五桂という筋だ。以下△6二金▲4三桂成△同金▲2三歩成は先手がいい。後手はどこかで△2七歩▲同飛△3八銀と切り返したいが、△2七歩に▲6八飛が幸便になる変化もあるのでタイミングが悩ましい。飯塚七段は「まだ互角の範囲内ですが、あえていうなら先手持ちです」という。 *10時になった。2日目午前のおやつ、羽生は鹿島しぐれとホットコーヒー、広瀬は常陸風土紀と緑茶を注文した。鹿島しぐれは、2種類の餡をロールケーキのように生地で巻いたもの。巨木の年輪を思わせる。常陸風土紀は天皇陛下にも献上された銘菓。 * *【2日目 午前のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-66ed.html * *※局後の感想※ *「こちらは歩切れなので、じっとしていると悪くなりそうだと思いました。先手の攻めは見えていますが、ここは(△4五桂と)踏み込むしかない。それが1日目の夜に出した結論でした」(広瀬) *後手は封じ手を△8六歩(50手目)の突き捨てにして、さまざまな展開を含みにした。そのうちのどれを選ぶかを1日目の夜に決めることで、2日目午前は早指しで進めていく。ただ、△8六歩自体の損得は微妙だったという。1歩余計に渡しているので、先手の攻めがつながる恐れがある。 55 同 銀(56) (32:00/04:37:00) *△4五桂は通さない。強く対応する。 56 同 銀(54) ( 1:00/04:10:00) *【鹿島神宮3〜4】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-7334.html *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-e75a.html 57 6三歩成(64) ( 0:00/04:37:00) *飯塚七段が54手目に解説していた変化になりそうだ。 58 同 金(62) (13:00/04:23:00) 59 5五桂打 ( 0:00/04:37:00) *■AbemaTV■ *深浦康市九段>▲5五桂に(1)△6二金は▲4三桂成△同金▲2三歩成△同銀▲同飛成△3二銀▲2五竜△3三桂▲2二銀△4二玉▲3三銀成△同銀▲4五竜。駒割りは互角でも先手の竜が大きいです。(2)△2七歩は有力に見えます。のっぴきならない局面ですが、先手も現状は銀損ですから、このまま決めきるイメージはありません。ねじり合いになりながら最終盤を迎えそうです。 60 6二金(63) ( 6:00/04:29:00) *筋だけでいえば▲2三歩成△同銀▲同飛成△同金▲4三桂成もある。以下△3二銀▲4二銀△2二玉▲2四歩△2九飛▲6九歩△2四飛成で受かっているとはいえ、局面のバランスを保つには、このあとも危ない変化をいくつもクリアしなければならない。広瀬がそういう進行を選んだことに検討陣は驚いている。 * *【2日目 午前の控室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-833d.html * *※局後の感想※ *「しばらくは言いなりになるしかないですか」(広瀬) 61 4三桂成(55) (18:00/04:55:00) *△2七歩を打つならここか。▲6八飛に△6四歩で耐える。△6四歩に代えて△6五歩は▲3二成桂△同玉▲7三角成△同金▲6五飛が怖い。 62 同 金(32) ( 1:00/04:30:00) *△4三同金は▲2三歩成△同銀▲同飛成。先手に竜を作らせる変化に広瀬は進めている。その淡々とした様子に、むしろ凄みを感じる。 63 2三歩成(24) ( 2:00/04:57:00) 64 同 銀(22) ( 1:00/04:31:00) 65 同 飛成(28) ( 4:00/05:01:00) *羽生は第2局で角損の攻めを敢行している。本譜は桂損で竜ができた。先手がいいとされていた形だが。 * *【第31期竜王戦第2局(78手目)】 *http://live.shogi.or.jp/ryuou/kifu/31/ryuou201810230101.html?te=78 66 3二銀打 ( 1:00/04:32:00) *後手は駒得を頼みにして受けに回る。先手は竜を逃げて悪くないだろう。「しかし、羽生さんは踏み込むのが好きだからなあ」と中村修九段が話しているところで、羽生は駒台の歩を持った。竜を逃げないようだ。「うわああ、踏み込む、踏み込む!」と中村修九段が声を上げる。 67 4四歩打 ( 3:00/05:04:00) *歩が着地した場所は4四。△2三銀▲4三歩成で次に▲3三銀が入れば後手玉は受けなしになる。後手は持ち駒にカナ駒がないので受けにくいか。 68 4二金(43) ( 0:00/04:32:00) *▲4四歩が通った。先手にとって大きな拠点ができた。 * *※局後の感想※ *「▲4四歩が入ったので、その瞬間は調子がいいと思いましたが、△4二金と引かれてみると意外とたいしたことがなかった」(羽生) 69 2五竜(23) ( 2:00/05:06:00) *さすがに一気の寄りはない。ここで竜を逃げた。 * *※局後の感想※ *羽生は「▲2五竜は銀取りの先手だが、いい位置ではなかった」というが、▲2九竜も△8八歩▲同歩△8五歩で難解とされた。 70 5四銀(45) ( 1:00/04:33:00) *2日目の広瀬はここまで27分しか使っていない。 *「後手の指し方は昨日から練っていたものでしょう。▲4四歩が入り、先手が押している感じはしますが、後手も△5四銀がしっかりしているので、これ以上攻め込まれることはないと。まだまだ長いと思います」(中村修九段) *長い戦いは駒得が生きやすい。先手は攻めを継続したい局面だ。▲4三銀や▲6三歩をうまく組み合わせた攻めがあるか。西尾六段と本田女流三段が解説会から控室に戻ってきた。▲2二銀△4一玉▲2四歩の変化を話し合っている。 * *【いい勝負か】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-ea2a.html 71 2三歩打 (47:00/05:53:00) *消費時間に1時間20分の差がついた。羽生のほうが多く使っている。▲2三歩は△2一歩と受けられて、そこでどう攻めるか。控室で話されていた▲2二銀△4一玉▲2四歩は、確実にと金を作る順だった。 72 2一歩打 ( 2:00/04:35:00) *羽生は前傾姿勢で読みを入れる。2分ほど考えると足を崩した。 73 7三角成(37) ( 7:00/06:00:00) *さらなる駒損を恐れることなく角を切る。将棋が若々しい。 * *※局後の感想※ *▲4三銀は△8八歩▲同玉△8五歩でどうするか。以下▲4二銀成△同玉▲2二歩成△同歩▲同竜は△2一銀打くらいで先手は攻めづらい。「▲7三角成もそんなに自信はありませんが、▲4三銀が思ったより厳しくないので」と羽生。 74 同 金(62) ( 1:00/04:36:00) *第2局と同じく先手は角損。 75 4六桂打 ( 0:00/06:00:00) *▲4六桂の狙いは銀取りではなく▲3四桂だろう。△8八歩▲同玉△6九角▲3四桂△4一玉▲2二歩成△同歩▲4二桂成△同玉▲2二竜は先手よしだ。「▲7三角成△同金▲4六桂はさすがの攻めでした。形勢は先手よしです」と飯塚七段。先手は角損でも攻めがつながる可能性が高く、7三桂を6五に活用される変化も消した。 *ここで広瀬が16分使って昼食休憩に入った。休憩時間は12時30分から1時間。消費時間は▲羽生6時間0分、△広瀬4時間52分(持ち時間は各8時間)。羽生の昼食は特製・幕の内弁当、広瀬は和牛ステーキ。 * *【2日目 昼食休憩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-bc24.html *【2日目 昼食休憩中の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-f439.html * *※局後の感想※ *「角切り(73手目)から本譜の攻めは軽視していました」(広瀬) *「ただ、角を渡しているので、あとの反撃がきついです」(羽生) 76 3三桂打 (28:00/05:04:00) *対局再開。昼食休憩後の指し手。小高佐季子女流2級が控室を訪れた。兄は記録係の小高三段。関係者にうながされ、継ぎ盤の前に座る。▲2八竜には△4五銀で後手も立て直せそう。▲2二銀は成立するか。 *本日も多くの参拝客が鹿島神宮を訪れている。奥参道はきれいに掃き清められ、清々しい気持ちになる。参道脇の木の太さに鹿島神宮の歴史が感じられた。巨木を見ながら歩いていると、自分が少し小さくなったような気さえする。 * *【2日目 対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-f312.html *【小高佐季子女流2級が来訪】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-9d48.html * *※局後の感想※ *「△3三桂は本譜の攻めを呼び込むのですが、勝負になる順がほかに見えませんでした」(広瀬) 77 2二銀打 (29:00/06:29:00) *▲2二銀は3三桂を取るつもりだ。 * *※局後の感想※ *▲2八竜は△4五銀▲2二銀△4一玉▲1一銀不成△5五角で「自信がないです」と羽生。次に△4四角から2八竜を押さえ込まれる恐れがある。 78 4一玉(31) ( 1:00/05:05:00) *△2二同歩▲同歩成は後手が持ちこたえられない。 79 3三銀成(22) ( 0:00/06:29:00) 80 同 銀(32) ( 1:00/05:06:00) 81 2二歩成(23) ( 0:00/06:29:00) *△2二同歩▲5四桂△同歩▲4五桂△4四銀▲4三歩△同金▲2二竜△3二銀▲2一銀△同銀▲同竜△3一桂で耐えているか。危ないと見れば、手順中の△4四銀では△3二銀のように駒を投入することになる。 82 同 歩(21) (27:00/05:33:00) *永作芳也さんが控室へ。永作さんは元プロ棋士。1979年に四段昇段、88年に五段で引退・退会。現在は行方市、神栖市など茨城県内の4ヵ所で将棋教室を開いている。89年には羽生とNHK杯本戦を戦い、119手で敗れた。当時の解説者は中村修九段だったそうだ。2日前の前夜祭、3人は久しぶりに顔を合わせた。 *15時になり、おやつが出された。両者とも同じで、純米団子(みたらし2本、こし餡2本)と紅茶。 * *【永作芳也さん来訪】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-0904.html *【2日目 午後のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-b560.html 83 5四桂(46) (20:00/06:49:00) *15時2分の着手。▲5四桂までの消費時間は、▲羽生6時間49分、△広瀬5時間33分。 * *※局後の感想※ *「7二桂がいろいろな変化で受けに利いているんですよね。本譜は一気に寄せにいったのですが……」(羽生) 84 同 歩(53) ( 0:00/05:33:00) 85 4五桂打 ( 0:00/06:49:00) *△4四銀や△3二銀以外では△2四銀打も示されている。 * *※局後の感想※ *▲4三銀は△3二銀▲同銀成△同玉▲4三銀△同金▲同歩成△同玉▲4五桂△4四銀打で「何ともいえない」と羽生。 86 4四銀(33) (13:00/05:46:00) *△4四銀を敢行。この受けは綱渡りといわれていた。広瀬はそれを渡りきろうとしている。 87 4三歩打 ( 0:00/06:49:00) 88 同 金(42) ( 0:00/05:46:00) 89 2二竜(25) ( 0:00/06:49:00) 90 3二銀打 ( 0:00/05:46:00) *検討どおりの手順。▲2一銀が予想される攻めの継続手だ。 91 2一銀打 (10:00/06:59:00) *現地大盤解説会は現在、飯塚七段、西尾六段、小高女流2級の3人で進められている。「形勢は攻めている先手がいいと思うのですが、はっきりとした順は検討で見つからなかったです」と小高女流2級は話していた。 * *【2日目午後 現地大盤会場】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-4c88.html * *※局後の感想※ *広瀬は▲4二歩を気にしていた。 92 同 銀(32) ( 1:00/05:47:00) 93 同 竜(22) ( 0:00/06:59:00) 94 3一桂打 ( 0:00/05:47:00) *▲3二銀は△5二玉で8一飛が受けに利いてくる。 95 3二銀打 ( 6:00/07:05:00) *6分の考慮。羽生は残り1時間を切った。 96 5二玉(41) ( 1:00/05:48:00) *4五桂のさばきは桂先の銀で防がれている。▲3一銀不成は少し重い形だ。▲4三銀成△同玉▲2二竜は△3二銀。すっきりした順とはいえない。 97 4三銀成(32) ( 6:00/07:11:00) *「かなり続く攻めなんですけど、細いんでねえ」と中村修九段。羽生の成算はいかに。 98 同 玉(52) ( 1:00/05:49:00) *△4三同桂は▲8一竜。ここは玉で取るしかない。 99 2二竜(21) ( 0:00/07:11:00) *△3二銀▲3三金△同銀引▲同桂成△同銀に(1)▲6二竜は△5二金▲7三竜△6三銀。これは竜が捕まる恐れがある。中村修九段は(2)▲5二銀△5三玉▲3三竜△4三歩▲同銀成△同桂▲4四歩の変化を追っている。詰む詰まないの変化まで継ぎ盤に並べられた。いよいよ終盤戦である。 100 4五銀(44) (13:00/06:02:00) *16時5分、100手に達した。△4五銀までの消費時間は、▲羽生7時間11分、△広瀬6時間2分。予想されていない手だ。羽生は「いやあ」と声を漏らす。 * *【ギリギリの攻め】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-1a90.html * *■ニコニコ生放送■ *高見泰地叡王>(1)▲4四歩には△5三玉です。(2)▲4六歩には△5五角がいい手で、以下▲6二竜△5三銀は後手よしです。もう16時を過ぎましたが、まだ形勢はどちらかに大きく振れてはいないと思います。 101 4二金打 (11:00/07:22:00) *「そこですか、打ちにくい金ですが」と中村修九段。控室の予想が当たらなくなってきた。 * *【鹿島スタジアム】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-7adc.html * *※局後の感想※ *▲4四歩が検討された。▲4四歩△5三玉▲3三竜△6二玉に(1)▲5二金は△同玉▲7三竜△6二金▲5三金△同金▲7二竜△6二銀▲8一竜△7一金で先手大変。しかし(2)▲4三歩成△同桂▲4二竜△7一玉▲4三竜は有力。そこで△6三歩と金取りを受けてくれば▲6五桂から攻めが続く。「これが正しい手順でしたか」と羽生。 102 5三玉(43) ( 1:00/06:03:00) 103 5二金(42) ( 0:00/07:22:00) *後手玉に上部脱出される心配はまだないが、王手は追う手という言葉もある。貴重な金も手放した。果たして後手玉は捕まるのか。 104 6四玉(53) ( 0:00/06:03:00) 105 4二竜(22) ( 1:00/07:23:00) *▲6五歩△同玉▲4五竜△5五合▲5六金△6四玉▲6五銀△6三玉▲5四竜までの詰めろ。4五の銀取りでもある。広瀬は肩を張り、盤上に視線を送る。 *現地控室の見解は「△2六角▲3五歩△同角▲4五竜△6三金で耐えているかどうか。後手が少し苦しい」というもの。動画中継の各解説者の見解は割れているようだ。難解な戦いである。 * *■将棋プレミアム■ *木村一基九段>先手の寄せは明快とはいえないと思います。△2六角でどうするか。あとは何とかして△6三金をいいタイミングで入れたい。後手は1回しのいでしまえば、勝ちになってもおかしくありません。 * *※局後の感想※ *▲6五歩はうまくいかない。▲6五歩△5五玉に(1)▲6七金は△3八角が好手。▲5六金左以下の攻めを受けている。△3八角に▲5六歩は△4四玉で後手玉が寄らない。(2)▲4二竜△4三歩を入れてから▲6七金△3八角▲5六金左△同銀▲同歩△4四玉▲4六歩と工夫した順も検討されたが、そこで先手玉が詰まされそうだ。 106 7五歩(74) (33:00/06:36:00) *後手は8筋に逃げ込みたい。しかし、△7五歩はかなり怖い手だ。7四に玉がくると▲7五歩が王手になる。▲4五竜から▲7五竜というルートもできている。▲4五竜△5五桂▲5六金△6三金▲6五銀△7三玉▲5四銀は先手が押し切れそう。 * *※局後の感想※ *「(1)△2六角は▲3五歩と突かれてしまうのが痛い。(2)△6三金が予定でしたが、▲6二金があまりにも厳しい。それに気づいて(3)△7五歩と予定変更しました」(広瀬) 107 同 歩(76) (11:00/07:34:00) *「▲7五同歩は強すぎます」と飯塚七段。▲7五同歩に代えて▲4五竜は、銀を取りながら▲6五銀△6三玉▲5四竜までの詰めろになった。その魅力的な手を見送り、じっと▲7五同歩はそうそう選べない。 * *※局後の感想※ *▲4五竜△7四玉▲7五歩△8三玉▲7四歩△同金▲6三銀を選ぶべきだった。「それで先手勝ちというわけではありませんが、難しそうです」と羽生。「その形は後手が先にミスをしそうです」と広瀬。 108 5八角打 (17:00/06:53:00) *17時26分の着手。△5八角までの消費時間は、▲羽生7時間34分、△広瀬6時間53分。△5八角は攻めの手。先手の寄せはしのげると見切らなければ指せない。▲4五竜に△6九銀や△6九角が予想される。 109 4五竜(42) ( 2:00/07:36:00) *※局後の感想※ *▲4八金は△6七桂▲8八玉△8七歩▲同玉と進む。以下△6五角▲7六銀△同角は後手玉が危なくなるが、さらに王手を続けて最後に△3六角成とし、自玉を安全にする手段はありそうだ。具体的な順までは示されなかったが、「後手にいろいろ選択肢があるので、これは(先手が)やられてしまいそう」と羽生。 110 6九銀打 ( 4:00/06:57:00) *△7八銀成▲同玉△6九角打▲6八玉△6七歩▲5九玉△4九金までの詰めろ。あっという間に寄せの形ができた。 *(1)▲5三銀は△6三玉▲6五竜△6四金で先手の寄せが見えない。(2)▲6五銀は△7五玉。これは数手前の△7五歩▲同歩が後手の得になる。4五竜の利きも止めてしまうのも先手不満だ。控室の雰囲気がにわかに変わってきた。17時42分、「羽生先生、残り15分です」と記録係が声をかけた。 * *【広瀬八段が寄せ合いに】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-01ef.html * *■AbemaTV■ *村田智弘六段>これは先手がどうするのでしょう。私もずっと考えているのですが、うまい順が見つかりません。▲7五同歩(107手目)が緩手だったかもしれません。 111 5三銀打 (14:00/07:50:00) *羽生は残り10分。秒読みが始まった。 112 6三玉(64) ( 0:00/06:57:00) 113 6五竜(45) ( 2:00/07:52:00) 114 6四金(73) ( 0:00/06:57:00) *ここでうまい手がないと先手負けだ。記録係が羽生の秒を読む。羽生の手は盤上に伸びない。▲6二銀成△7三玉▲7二成銀△同玉▲6四竜は、△7八銀成▲同玉△6七銀▲同竜△同角成▲同玉△5五桂から先手玉が詰む。17時59分、羽生は一分将棋に入った。 115 6九竜(65) ( 7:00/07:59:00) *▲6九竜は粘りにいく手だ。先手は寄せにいっていたはずなので、これは明らかに変調である。 116 同 角成(58) ( 0:00/06:57:00) *広瀬は1時間以上残している。しかし、△6九同角成はノータイムで指された。 117 同 玉(79) ( 0:00/07:59:00) *△2九飛が妥当な線か。△4九飛の王手金取りは▲5八玉が怖い。 118 2九飛打 ( 2:00/06:59:00) *▲6八玉は△6七歩とたたかれる。▲5八玉は△6九銀がある。▲5九銀と受けるしかないが、△2六角が詰めろだ。 119 5九銀打 ( 0:00/07:59:00) *先手に駒を使わせることで、後手玉が安全になっていく。 120 6八歩打 ( 0:00/06:59:00) *▲6八同銀引には△6六桂が「おしゃれな手」と飯塚七段。▲6八同金は△8七角でまた駒を使わされる。広瀬の攻めが勢いを増してきた。 121 同 玉(69) ( 0:00/07:59:00) *玉で取るくらいだが△6七歩が待っている。 122 6七歩打 ( 1:00/07:00:00) 123 同 金(78) ( 0:00/07:59:00) 124 5五桂打 ( 2:00/07:02:00) *4七金と6七金のどちらを取られても先手は厳しい。 125 6四銀(53) ( 0:00/07:59:00) 126 同 桂(72) ( 0:00/07:02:00) *5二金が浮いたので、先手はもはや受けにも回れない。攻防手があればいいのだが。 127 7四角打 ( 0:00/07:59:00) *△7三玉に▲6三金△8二玉▲6四金は△8七角で後手勝ちと見られている。 128 7三玉(63) ( 3:00/07:05:00) 129 4六金(47) ( 0:00/07:59:00) *7四角の利きを通して2九の飛車取り。読みにない手だと焦りそうだが、広瀬には残り時間が55分もある。 130 7九銀打 ( 4:00/07:09:00) *この局面で羽生が投了した。終局時刻は18時24分。消費時間は、▲羽生7時間59分、△広瀬7時間9分(持ち時間は各8時間)。広瀬がシリーズ初勝利を挙げた。第4局は11月24、25日(土、日)に京都府福知山市「福知山城」で行われる。 *投了以下は(1)▲7八玉に△5九飛成で一手一手の寄り。(2)▲7九同玉は△5九飛成▲6九歩△7八銀▲同玉△6七桂成▲同玉△7六銀▲同銀△5八角▲7八玉△6九角成▲8八玉△6八竜▲9七玉△7九馬▲8七玉△7八竜が一例で詰む。 * *【終局直後】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-bb10.html *【感想戦1〜2】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-8297.html *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2018/11/post-6398.html * *※局後の感想※ *終局後は大盤解説会場に移動。羽生と広瀬は25分ほどかけて、仕掛けから終盤まで振り返った。棋譜コメントに記載した「※局後の感想※」には、そこで示された変化や感想も含まれている。対局室に戻ってからも感想戦は50分ほど行われた。広瀬は一方的に攻め込まれる展開だったが、ギリギリのしのぎを続けて逆転につなげた。 131 投了 ( 0:00/07:59:00) まで130手で後手の勝ち