# --- Kifu for Windows (HTTP) V6.54 棋譜ファイル --- 対局ID:2339 開始日時:2013/10/28 09:00 終了日時:2013/10/29 17:48 表題:竜王戦 棋戦:第26期竜王戦七番勝負 第2局 持ち時間:各8時間 消費時間:102▲448△446 場所:北海道・新富良野プリンスホテル 図:投了 手合割:平手   先手:渡辺明 後手:森内俊之 先手省略名:渡辺明 後手省略名:森内 手数----指手---------消費時間-- *十連覇を目指す渡辺明竜王に森内俊之名人が挑戦する、第26期竜王戦七番勝負。第1局の挑戦者先勝を受けて行われる第2局は、10月28、29日(月・火)に北海道富良野市「新富良野プリンスホテル」で行われる。 *立会人は大内延介九段、新聞解説は中座真七段、記録係は伊藤和夫三段(24歳、劒持松二九段門下)。 *ニコニコ生放送での解説は、1日目が豊川孝弘七段と中村桃子女流初段(9時から封じ手まで)。2日目は鈴木大介八段と藤田綾女流初段(9時から終局まで)。 *8時52分、先に入室したのは森内。直後に渡辺が姿を見せる。渡辺が駒袋を開ける間、森内は静かに目を伏せていた。 * *(棋譜・コメント入力=烏) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手。【】内はブログ記事、リンク先] * *【第2局イベント情報】 *http://www.shogi.or.jp/topics/2013/09/post-834.html * *【ニコニコ生放送】 *http://live.nicovideo.jp/watch/lv152236701 * *■ニコニコ生放送■ *豊川孝弘七段>おはようございます。戦型予想ですが、初手▲2六歩からの相掛かりになると予想します。 1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *◆渡辺 明(わたなべ あきら)竜王(竜王・棋王・王将)◆ *1984年4月23日生まれ、東京都葛飾区出身。所司和晴七段門下。2000年、四段。2005年、九段。棋士番号は235。 *タイトル戦登場は18回。獲得は竜王9期(永世竜王)、王座1期、棋王1期、王将1期の計12期。棋戦優勝は7回。 * *【東京から富良野へ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-459b.html 2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *◆森内 俊之(もりうち としゆき)名人◆ *1970年10月10日生まれ、神奈川県横浜市出身。勝浦修九段門下。1987年、四段。2002年、九段。棋士番号は183。 *タイトル戦登場は22回。獲得は竜王1期、名人8期(十八世名人)、棋王1期、王将1期の計11期。棋戦優勝は12回。 * *森内は時間を使わずに、スッと飛車先を突いた。矢倉か角換わりか、渡辺の次の一手で作戦が見えてくる。 3 6八銀(79) ( 0:00/00:00:00) *3手目は▲6八銀。第2局は矢倉模様の出だしとなった。 * *■ニコニコ生放送■ *豊川孝弘七段>これで戦型は、ほぼ相矢倉になりますね。 * *【新富良野プリンスホテル】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-f808.html 4 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) *渡辺の通算成績は458勝215敗(0.680)。今年度成績は11勝12敗(0.478)。 *森内の通算成績は837勝471敗(0.640)。今年度成績は16勝8敗(0.667)。 * *【プロ棋士に聞いてみよう】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-dbe7.html 5 6六歩(67) ( 0:00/00:00:00) *過去の対戦成績は渡辺17勝、森内11勝。途中に渡辺が7連勝しており、そのなかに第22期竜王戦七番勝負が含まれている。 6 6二銀(71) ( 0:00/00:00:00) *両者の対戦でこの局面(▲渡辺△森内)は8局あり、渡辺の5勝2敗1千日手。 7 5六歩(57) ( 0:00/00:00:00) * 8 5四歩(53) ( 0:00/00:00:00) *富良野市は北海道の中心あたりにあるため、「北海道のへそ」と呼ばれている。テレビドラマ『北の国から』の舞台としても知られ、前夜祭のあいさつで森内が「来たかった場所」と話していた。 * *【ドラマ館】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-b0c0.html 9 4八銀(39) ( 0:00/00:00:00) *【検分】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-42ac.html 10 4二銀(31) ( 0:00/00:00:00) *矢倉の駒組みは、ひとつずつ土台から組み立てていく感じがあり美しい。 * *【前夜祭開幕】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-837a.html 11 5八金(49) ( 0:00/00:00:00) *一行は28日昼頃に旭川空港に降り立った。旭川といえば「旭山動物園」。ここ富良野も旭川と同じ道北(北海道の地域区分)であるためか、売店には動物のぬいぐるみがたくさん並べられていた。 *前日の食事会のあとに立ち寄った渡辺は「ここ、いいね」とにっこり。 12 3二金(41) ( 0:00/00:00:00) *富良野といえばラベンダー。残念ながら開花は7月から8月で過ぎてしまったが、ホテルへ向かう道々では紅葉が見受けられた。関係者からは「これだけ雄大な自然にふれられるのは北海道ならではですね」という声。 * *【富良野市】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-fc40.html 13 7八金(69) ( 0:00/00:00:00) *富良野市は全国で唯一、自治体でワインを作っている。前日の食事会でも振舞われ、森内は明るい表情で赤ワインを楽しんでいた。 14 4一玉(51) ( 0:00/00:00:00) *【前夜祭を彩る料理】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-ea1e.html 15 6九玉(59) ( 0:00/00:00:00) *【記念品贈呈、対局者挨拶】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-5ba5.html 16 7四歩(73) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *豊川孝弘七段>これはまだ急戦矢倉の含みを残しています。△5二金でしたら持久戦になるところです。 17 6七金(58) ( 0:00/00:00:00) *【見どころ紹介、詰将棋、抽選会】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-8cd5.html 18 5三銀(62) ( 0:00/00:00:00) *急戦策を明示する△5三銀右。先後は変わったが、第1局と同じ展開となった。これで森内が勝てば、俗にいう往復ビンタ。先後関わらず自分が強いと誇示することができる。 *森内がこの作戦を採ったのは過去5回(1勝4敗)。渡辺とも2局指しており、渡辺の次の一手は▲5七銀右と▲2六歩だった。 * *■ニコニコ生放送■ *豊川孝弘七段>来ましたよ、いやいやいや、急戦矢倉ですよ。名人がリニューアルしました。渡辺竜王も意表を突かれたと思います。扇子をパタパタしていますよ。 * *【同じ形の表裏】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-59da.html 19 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *この手で▲5七銀右なら、まだ定跡が整備されていない力戦模様の将棋になる。最近では王座戦第2局の▲羽生善治王座−△中村太地六段戦が▲5七銀右だった。 20 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00) *後手は飛車を中央に転回することも多く、出来るならば△8五歩とは突かずに進めたい。 *しかしすぐに△5五歩は▲6五歩のカウンターで先手よし。以下△5六歩なら▲2二角成△同金▲5五角の飛車金両取りが決まる。 * *■ニコニコ生放送■ *豊川孝弘七段>ここは作戦の岐路ですね。▲7七銀と▲2五歩があります。 21 7七銀(68) ( 0:00/00:00:00) *ここは▲7七銀と上がるのが形。▲7七角でも飛車先を受けることができるが、あとの発展性に乏しく面白くない。 * *【朝の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-5cf3.html 22 5五歩(54) ( 0:00/00:00:00) *8八角の利きを重くさせてから△5五歩。これに▲6五歩なら、△5六歩▲同金△5四銀で後手十分となる。 * *豊川孝弘七段>これは第1局とまったく同じ形になりました。先後を変えて同じ局面に進めるのは、よっぽど自信がないと出来ませんね。 * *【駒を並べる】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-83bb.html 23 同 歩(56) ( 0:00/00:00:00) *【対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-75cb-1.html 24 同 角(22) ( 0:00/00:00:00) *ここは序盤の大きな分岐点だ。 *@▲2五歩△5四銀▲2四歩から飛車で2筋を交換する順。以下先手は▲5七銀から中央を盛り上がっていく。 *A▲2五歩△5四銀▲7九角から、角で2筋を交換する順。この展開はしばらく玉を囲い合うことが多い。 *B▲7九角と引き、△7三角に▲4六角のぶつけを用意する順。3つの手段のなかで最も激しい戦いになりやすい。 25 7九角(88) ( 0:00/00:00:00) *渡辺の選択は▲7九角だった。角交換は陣形の差で先手十分になるため、△7三角と引くのが定跡手順。以前は△2二角と引いて6筋を狙う将棋もあったが、現在は▲3六歩で先手がやれると見られている。 26 7三角(55) ( 0:00/00:00:00) *△5三銀右急戦の長所は、2二の角を2手で角を7三に(しかも5筋の歩を交換しながら)転換できるところ。 *三手角(△3三角から△5一角と引き、△7三角と上がる)や四手角(△3一角から△4二角と上がり、△5一角と引いて△7三角と上がる)という指し方もあるのだから、比較するとかなりスムーズな駒組みといえるだろう。 27 4六角(79) ( 0:00/00:00:00) *角交換を目指す。△同角▲同歩とするのは、▲5五角の飛香両取りが残るため後手不満。交換を避けながら△6四銀と上がるのが率のよい手となる。 28 6四銀(53) ( 0:00/00:00:00) *10時15分、消費時間は▲渡辺31分、△森内21分。 29 7五歩(76) ( 0:00/00:00:00) *ここで第1局(▲6八角)に別れを告げた。 *この▲7五歩は一気に決着をつけにいく手で、対応によってはすぐに先手が優勢になる。 * *【第26期竜王戦第1局▲森内−△渡辺】 *http://live.shogi.or.jp/ryuou/kifu/26/ryuou201310170101.html * *■ニコニコ生放送■ *豊川孝弘七段>第1局では▲6八角でしたが、渡辺竜王は▲7五歩と指しました。(1)△同銀は▲7三角成△同桂▲5五角で桂香の両取り。(2)△同歩は▲7四歩△8四角▲6五歩で6四銀が動けません(△同銀は▲8二角成)。定跡は(3)△8四飛と浮きます。 * *【激しい流れに】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-f5ab.html 30 8四飛(82) ( 0:00/00:00:00) *思い出されるのは、渡辺と羽生が初代永世竜王を懸けて戦った第21期の竜王戦七番勝負。羽生3連勝のあと渡辺が2番返して迎えた第6局でこの戦型が登場した。 * *【第21期竜王戦第6局▲羽生−△渡辺】 *http://live.shogi.or.jp/ryuou/21/kifu/081210-h.html 31 7四歩(75) ( 0:00/00:00:00) 32 同 飛(84) ( 0:00/00:00:00) *初期はここで▲7六銀という手もあった。以下△5五銀▲6八角△5六銀でどうかだが、▲同金は△7六飛。▲7五歩は△6七銀不成▲同金△5四飛▲5六歩△8八金でいずれも後手が指しやすくなる。 *最近は▲5六歩が主流で、そこで△3一玉と寄ったのが第21期竜王戦第6局の渡辺新手。すぐに△5五歩と合わせていく実戦例も多く指されている。 * * *■ニコニコ生放送■ *豊川孝弘七段>ここまで定跡通りの進行です。渡辺竜王も後手を持って指したことがあります。そのときに△3一玉と指してからは、いまでは△3一玉と寄る手が最も多いとと思います。 33 5六歩打 ( 0:00/00:00:00) *ここで△5五歩は、▲6五歩△同銀▲5五角△同角▲同歩△8六歩▲同歩△8八歩▲同金△4五角の進展が一例で、一気に激しい終盤戦である。こういった戦いになったときに一手△3一玉もしくは△5一金と寄っておく手が大きくなる。 *10時、対局室におやつが運ばれた。注文は渡辺がアイスコーヒーのみ、森内の注文はなし。 * *【1日目午前のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-62f1.html 34 3一玉(41) ( 0:00/00:00:00) *△3一玉の渡辺新手を、森内が採用した。もちろん手に特許はなく、良いと思えば誰が採用しても構わない。 * *【渡辺新手】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-f643.html 35 2五歩(26) ( 0:00/00:00:00) *10時57分、渡辺はゆったりとした手つきで▲2五歩を着手。前例は7局、いずれも次の手は△5一金だった。渡辺は前述の第21期第6局の羽生戦で後手を持って、森内も第70期名人戦第3局の羽生戦(△5一金▲7六歩△3三銀▲6五歩の進行)で先手を持って経験している。 * *■ニコニコ生放送■ *豊川孝弘七段>この▲2五歩に代えて▲6五歩ならば△同銀▲7三角成△同桂▲8三角△7二角▲7四角成△同銀が変化の一例ですが、後手陣には飛車打ちの隙がなくて後手側には次に△6四歩と突く手の味が良く(△4九角〜△2七角引成がある)後手良しです。 36 5一金(61) ( 0:00/00:00:00) *離れ駒を消しながら玉を堅くする△5一金。▲6五歩△同銀▲7三角成△同桂▲8三角の筋も消しており、一石二鳥といえるだろう。 *ここで▲2四歩と突いたのが▲羽生−△渡辺戦だが、△同歩▲同角△6二角が反撃の好手で先手指しすぎの結論が出されている。 * *■ニコニコ生放送■ *豊川孝弘七段>極めて自然な指し手です。ここで昨年の名人戦では森内名人が▲7六歩と打ちましたが、私の直感では▲7六歩と打ってくれるのなら後手も悪くならないはずと考えたいところです。 37 7六歩打 ( 0:00/00:00:00) *ここに歩を打っておけば、後手からの攻めを緩和できる。代えて▲7九玉は△5五歩と打たれ、飛車の利きが直射しており危険。 * *【ドラマ館】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-b0c0.html 38 3三桂(21) ( 0:00/00:00:00) *△3三桂は平成24年5月に行方尚史八段が指した新手(▲真田圭一七段−△行方尚史八段戦・王将戦)。以下▲3六歩△5五歩▲6五歩△5三銀引▲5五歩△4四銀▲6六銀△4五銀▲6八角△4四飛と進み、結果は後手の行方勝ち。 *その将棋の2ヶ月後に指された▲佐藤紳哉六段−△村山慈明六段戦(銀河戦)は、▲7九玉△5五歩▲6五歩△同銀▲5五歩△4四飛の進展。こちらもやはり後手の村山が勝っている。 * *ここで定刻となり、1日目の昼食休憩に入った。消費時間は▲渡辺1時間21分、△森内1時間46分。食事の注文は、渡辺はいくらと鮭の親子丼(味噌椀つき)。森内はステーキ丼(スープ、サラダつき)。対局は13時30分に再開される。 * *■ニコニコ生放送■ *豊川孝弘七段>ここで▲6五歩ですと△同銀▲7三角成△同桂▲8二角で先手が良くなるように見えます。しかし△8六歩▲同歩△8八歩▲同金△4九角▲7八金△8八歩▲同銀△7六銀で後手良しです。森内名人は経験があって、▲6五歩とは突かせない意味でしょう。 * *【1日目、昼食休憩に入る】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-b0c0.html 39 7九玉(69) ( 0:00/00:00:00) *13時33分、先に対局室に戻ってきた渡辺が▲7九玉を着手。直後に森内が入室した。 *これで前例は▲佐藤紳−△村山戦の1局のみになった。その将棋は△5五歩▲6五歩の進展だったが、後日に村山六段に聞いたところ「△5五歩はよくなかった。△7五歩と合わせて△3三桂を生かす順がまさったと思う」と教えてくれた。つまり、△7五歩以下、▲同歩なら△同飛▲8八玉△2五飛ということ。形勢は難解ながら、後手を持ちたいという感想だった。 * *【昼食休憩時の対局室(1日目)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-f7c5.html 40 7五歩打 ( 0:00/00:00:00) *13時49分、森内は5筋ではなく7筋に歩を合わせた。公式戦では初登場だが、水面下では研究が進められている手だ。ここで先手は@▲5七銀、A▲8八玉、B▲7五同歩が有力。 *@▲5七銀には△7六歩と取り込み、▲同銀は△8六歩▲同歩△7五銀。▲同金は△5三銀引として次の△4四飛を見せる。 *A▲8八玉にも△7六歩として、▲同銀は△8六歩▲同歩△7五銀。▲同金には△6二角▲6五歩△4四角という狙い筋がある。 *B▲7五同歩は△同飛▲8八玉△2五飛▲同飛△同桂▲7一飛△2八飛でどうか。 * *■ニコニコ生放送■ *豊川孝弘七段>この△7五歩が森内名人の指したかった手だと思います。▲同歩には△同銀ではなく△同飛と取って、次に△2五飛から飛交換を狙う順があります。そうなれば先手陣の方が飛車の打ち込みに弱いので、後手が良くなります。 * *※局後の感想※ *「この歩は取れないですね」(渡辺) 41 8八玉(79) ( 0:00/00:00:00) *14時半頃、渡辺は7筋の歩を放置したまま玉を入城した。 * *【1日目対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-4672.html 42 7六歩(75) ( 0:00/00:00:00) *ここで▲同銀と取るか、それとも▲同金と取るか。やはり駒がぶつかると目が輝き出すのが棋士というもの。控室の森下卓九段、中川大輔八段、中座真七段、石田直裕四段がバシバシと駒音を響かせて検討をしている。 * *【現地大盤解説会始まる】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-0024.html * *※局後の感想※ *「▲同銀は△7五銀とぶつける筋で。▲同金の形で△7五銀は▲8五金はあります」(渡辺) 43 同 金(67) ( 0:00/00:00:00) *渡辺が選んだのは▲同金。森下九段はポツリと「(金が上ずるので)渡辺流ではない気がするけどなぁ」。 *検討陣は△5三銀引と△6二角を調べている。 * *■ニコニコ生放送■ *豊川孝弘七段>普通は▲同銀と取るところですが、▲同金と取ったのは△7五銀と出られた時に▲8五金と出て、飛車が逃げたら▲7五金と銀が取れるからです。8五の駒が銀ですと7五銀が取れません。 * *※局後の感想※ *「うーん……。この金は戻れないので、見た目以上にきつい形だったかもしれません」(渡辺) 44 5三銀(64) ( 0:00/00:00:00) *森内は銀をキュッと引きつけた。この手は直接的には▲8五金を防ぐ意味。ゆくゆくは△4四飛や△5四飛を視野に入れている。消費時間は▲渡辺2時間13分、森内2時間19分。 *15時、対局室に午後のおやつが運ばれた。渡辺はクレームブリュレとコーヒー。森内は栗のモンブランとレモンティー。控室の検討陣もこれを見て甘み(プリン)を補給する。 *「いけね、強引に開けようとして手についちゃったよ」(大内九段) *「はっはっは、さすが豪腕の大内先生ですね」(森下九段) * *【1日目午後のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-59ae.html * *【重要な局面】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-a595.html * *■ニコニコ生放送■ *豊川孝弘七段>私はこの局面は後手の方が模様が良いと思います。 45 6八角(46) ( 0:00/00:00:00) *中座七段は▲2四歩△同歩▲同角や、▲7五歩△5四飛▲5七銀の順も調べていた。しかしいずれも先手芳しくない。 *渡辺は交換を避けてじっくりと指す▲6八角を選択。ただこの手にも△5四飛で、やはり先手が指せそうな変化は見つかっていない。 * *【主導権は後手にあり】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-15ae.html * *※局後の感想※ *ここで△3五歩もあった。「▲同角は△3四飛▲4六角△同角▲同歩△3五飛で、その展開は自信ないですね」と渡辺。本譜は手堅い順だった。 46 4四飛(74) ( 0:00/00:00:00) *森内の飛車は5筋を通り越して4筋へ。△5四飛から突破を目指すよりも、こうやって先手陣を圧迫するほうがよいと判断した。 *もちろん▲3六歩とは突けないし、▲5七銀も上がれない。渡辺は動かす駒が難しい。 * *■ニコニコ生放送■ *豊川孝弘七段>△4四飛はパッと見、いい手ですね。先手の攻撃陣の理想は4六歩、4七銀、3六歩の形ですが、あらかじめ△4四飛と回っておけば▲4六歩や▲5七銀と上がるのを防げます。また、攻めては△4五飛〜△2五飛と飛交換を狙う手も見逃せません。 47 1六歩(17) ( 0:00/00:00:00) *「じっと、歩ですか。はー、なるほど」(森下九段) *「そうか。これは『らしい手』だなぁ」(中川八段) *下手に形をほぐしにいくよりも、1筋端攻め一点突破。たしかに右辺だけの戦いに持ち込めば先手陣は相対的に堅くなる。 *△4五飛なら▲1五歩△2五飛▲同飛△同桂▲1四歩。こういった展開になれば△3一玉と寄った手が相手の攻めに近く、嫌な形になっているか。 *この手までの消費時間は▲渡辺3時間6分、△森内2時間48分。 * *【NHK中継】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/nhk-05c4.html * *【一点集中】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-2587.html * *■ニコニコ生放送■ *豊川孝弘七段>▲1六歩は1五まで伸びると後手も相当に端が怖いです。仮に△4五飛とすると(1)▲2四歩△同歩▲1五歩△2五飛▲2六歩△4五飛▲2四角や(2)▲1五歩△2五飛▲2六歩△4五飛▲1四歩△同歩▲同香△同香▲1三角成で後手もやれそうです。 *ここで将棋プログラムの『Ponanza』は△8四角を推奨していますか。いい手ですね。▲8五金なら△7六歩▲同銀△6六角▲7七歩△7三桂で先手陣をまとめるのが難しそうに見えます。しかし『Ponanza』はこの読み筋で若干先手持ちなのは不思議ですね。 48 3五歩(34) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *豊川孝弘七段>△3五歩でしたね。『Ponanza』も読み直して△3五歩を推奨していたようです。△8四角には▲1五歩からの端攻めが早いと見たのでしょう。△3五歩に▲1五歩は△3四飛▲2六飛で次こそ△8四角があるので、△3五歩には▲同角と取ると思います。 * *【ふらのチーズ工房】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-8bc7.html 49 1五歩(16) ( 0:00/00:00:00) *グッと1筋を伸ばす。ニコニコ生放送の豊川七段は△3四飛▲2六飛△8四角が有力と話していたが…。 * *■ニコニコ生放送■ *豊川孝弘七段>堅くて攻めて行けそうな、渡辺竜王の好きそうな展開になってきましたか。桂が3三に跳ねているので1筋の端攻めが厳しいのです。このまま封じ手になる可能性が高いと思います。 * *【夜のニングルテラス】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-3e5d.html 50 3四飛(44) ( 0:00/00:00:00) *17時42分の着手。封じ手の手番を決める定刻は18時なので、このあたりは対局者ならではの駆け引きかもしれない。 *後手からの△3六歩の攻めが見えている。受けるなら▲2六飛や▲4六歩だが、先手としては右辺を攻めさせて形をほぐしたい意味もあるか。「豊川さんの次の一手予想は▲7五歩ですか。それは昭和を超えて大正の手という感じですね(笑)」と森下九段。 *このまま定刻となり、渡辺はすぐに封じ手の意思表示をした。1日目の消費時間は▲渡辺3時間37分、△森内3時間53分。このあとは関係者の食事会となる。 * *■ニコニコ生放送(1日目)■ *豊川孝弘七段>△3四飛を指しましたね。次は△3六歩を狙っています。(1)▲2六飛は△8四角があります。(2)▲4六歩で後手の角筋を遮断すれば先手の角筋も止まるので、△8四角と出たいです。形勢は難解ですが、私は若干先手を持ちたくなってきました。 *ここで封じ手になりました。私の一推しは(1)▲7五歩です。この手に勝負を懸けたいです。△8四角と出られた時に角筋を遮断しています。ちなみに中村桃子女流は(2)▲2六飛です。Ponanzaは(3)▲1四歩(4)▲9六歩を推してます。 * *■ニコニコ生放送(2日目)■ *鈴木大介八段>おはようございます。封じ手ですが、私は昭和の人間なので▲9六歩と指すと思います。豊川さんの▲7五歩もコテコテの昭和の手ですね。皆さんにお勧めするのは▲5七銀と上がって△3六歩に▲4六銀と上がる指し方です。駒が前へ出ていますからね。 * *【渡辺竜王が封じる】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-8a64.html * *※局後の感想※ *「3四飛は良い形ではないし、一手損しているんですけどね。▲9六歩とかなかったですか?」(森内) *「うーん、▲9六歩ではちょっと。そういう手しかないのでは失敗している気がします。あちらは歩を2枚持っていますし、△9四歩と突かれても……。指しにくいかったです」(渡辺) 51 1八飛(28) ( 0:00/00:00:00) *立会人の大内九段が「封じ手は、▲1八飛」と読み上げ、対局が再開された。 *控室のモニターでこれを見ていた森下九段は「ひええ、こんな手があるんですか! 昭和どころか平成を超えた手ですよ!」と声を上げる。 *戻ってきた大内九段も「▲1八飛は驚いたね。誰も言わなかった手じゃないか」と驚きの表情を浮かべている。 *久津知子女流初段が「チラッと考えたんですが、△2四歩でダメかなと思って言えませんでした」と明かすと、周囲は「とりあえず言っておけばよかったのに」。 * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>封じ手はかなり意外な手でした。渡辺竜王は封じ手で意表を突くことが多いですね。18分でこの手を封じたところに渡辺竜王の勝負術を見た感じがします。この手を見て森内名人は長考するでしょう。 * *※局後の感想※ *「本譜のことを考えると、この▲1八飛は疑問でしたね」(渡辺) 52 8四角(73) ( 0:00/00:00:00) *この△8四角の筋は豊川七段が挙げていた。狙いは△7三桂から△7五歩。ただ▲7五歩と打っておき、△7三桂の瞬間に▲8六歩と反撃する筋は有力。それを踏まえて△9四歩と様子を見るような展開もあるかもしれない。 *森下九段、中座七段、石田四段の継ぎ盤では▲1四歩△同歩▲1三歩△7三桂▲1四飛△同飛▲同香△7五歩▲1二歩成△4一玉の順が並べられている。「後手玉が中座さんの好きな形で堅いです」と森下九段。 * *【大盤解説会のお知らせ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-9553.html * *【ニコニコ生放送(2日目)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-22e3.html * *【飛角の細かい動き】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-2716.html * *鈴木大介八段>飛車が角筋から逃げて7三に角がいるメリットが消えたので、△8四角と上がって▲1四歩△同歩▲1三歩には受けずに攻め合う方針ですね。私の師匠の大内九段は「端攻め全集」の本を出していて重要性を説いていますし、私も端攻めマニアで好きです。 * *※局後の感想※ *「△8四角はびっくりしました。次に△7三桂があるので、▲8五金はしかたない」(渡辺) 53 8五金(76) ( 0:00/00:00:00) *力強い手つきで▲8五金と歩を取った。いかにも後手が待ち受けているところで指しにくい手。金が玉から離れていくのは、堅さを重視する渡辺将棋らしくない印象もあるが…。 *先手は歩を2枚持ったので、▲1四歩△同歩▲3六歩△同歩▲1二歩△同香▲1三歩の攻めを見込める。反面、△7三桂が金に当たること、△7六歩と打たれる筋が生じることなどデメリットも少なくない。 *ここまでの消費時間は▲渡辺4時間19分、△森内4時間9分。 * *【2日目朝】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-06c9.html * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>ひぇぇー。じぇじぇじぇ〜。おののきました。これはどういうことなんでしょう? △7六歩と打って来い! という手ですね。「あしたのジョー」の矢吹丈が得意な、打たせてカウンターパンチ狙いですが・・・。信ジラレナ〜イです。 54 7六歩打 ( 0:00/00:00:00) *▲8五金は予想していた手だったのだろう。森内はさして時間を使わずに△7六歩とたたいた。 *これに対して▲8四金と角を取るのは、△7七歩成▲同金△8四飛で角と金銀の二枚換えになってしまう。 * *【指し手再現】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-d8a9.html 55 同 銀(77) ( 0:00/00:00:00) *【封じ手開封】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-91fc-1.html 56 6六角(84) ( 0:00/00:00:00) *【封じ手用紙と封筒】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-685b.html 57 7七歩打 ( 0:00/00:00:00) *がっちりと歩を打って受ける。△7三桂には▲5七銀と応じ、以下△同角成▲同角△8五桂▲同銀でどうか。▲角桂△金銀の交換は、どちらが得か微妙なところ。4八銀が取られることによって飛車の横利きが通ったため、先手としては悪くない取り引きかもしれない。 * *【2日目午前のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-ee89.html * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>これじゃ、つらくないですか? △7三桂▲7五金△7四歩は金さんの行き場がないです。△7三桂には金を逃げないということでしょう。△7三桂▲5七銀△同角成▲同角△8五桂▲同銀に△5八歩と垂らしてどうか。▲8五同銀までは行くでしょう。 * *※局後の感想※ *「△7三桂は▲5七銀で、余せるかなと。こちらにとってはこの二枚換えはありがたい」(渡辺) 58 4五桂(33) ( 0:00/00:00:00) *桂は桂でも△4五桂。中川八段、中座七段が「当たらないねぇ」と顔を見合わせた。 *「8五の金に狙いをつけるのは筋が悪いということですね。指されてみれば自然。後手ペースになったと思います」(中川八段) *一例は▲1四歩△同歩▲1二歩△同香▲1三歩△同香▲3六歩。後手から△4八角成▲同飛△5七銀の速い攻めがあるため、先手も悠長にしていられない。 * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>こちらの桂を跳ねましたか。 *(1)▲4六歩△7三桂▲4五歩△8五桂▲同銀△2七金と進んだ時に先手は桂2枚を取れるけれど、飛車が取れれば後手良しでしょう。この△4五桂は(2)▲6七銀ならば△4八角成▲同飛△5七銀も見ています。 59 4六角(68) ( 0:00/00:00:00) *角切りから△5七銀の筋が見えているところで、堂々と▲4六角と出た。これには、踏み込むか△6四歩と受けておくか悩ましいところ。 *たとえば△4八角成▲同飛△5七銀は、▲1八飛△4六銀成▲同歩△5七桂成▲6六角。1一香は玉に近い急所の駒なので、その変化は先手やれるか。 *しかし、しばらくして「▲6六角に△4七角でいかがでしょうか」と森下九段。なるほど、この角も相当にいい味だ。 * *【「北の国から」パネルコーナー】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-25cf.html * *※局後の感想※ *「次に△7三桂と跳ねられてはいけないので、一回は出るしかない」(渡辺) 60 6四銀(53) ( 0:00/00:00:00) *「何も当たらない。ギブアップです」(中座七段) *「そうか、△6四歩は6三に空間が出来るから陣形が弱体化するのか。あとで▲6三角のような筋が生じて、詰めろがかかりやすくなる。だから銀なのか」(中川八段) *11時過ぎ、検討が進んだ控室では、じっと▲9六歩が有力視されている。この歩を突くことによって上部の金銀の価値を高める意味で、滋味あふれる手という感じだ。 * *鈴木大介八段>後手は金銀4枚で自玉を守る必要はないので、1枚銀が前に出ても良いということで自然な進行です。問題は▲6五歩の時に(1)△7三桂と激しく戦うか、(2)△7三銀とおとなしく引くのか。 * *【一手も当たらない】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-b055.html * *※局後の感想※ *「ここで▲3六歩も考えたのですが、次に▲3五歩と取る格好が冴えないかと思ったので」(渡辺) 61 1四歩(15) ( 0:00/00:00:00) *11時14分、渡辺が踏み込んだ。これに△同歩なら▲1二歩△同香▲1三歩△同香▲3六歩で調子がいいが、検討陣は△同飛を心配していた。以下▲同飛△同歩と進んだときに、4八の銀取りが残ってしまう。 * *■ニコニコ生放送■ * 鈴木大介八段>端攻めに行きました。やっぱり後手陣は1筋の端が薄いですね。▲1四歩に(1)△同歩は▲1二歩△同香▲1三歩△同香に▲3六歩か、単に▲3六歩です。ただし(2)△同飛も有力です。▲同飛△同歩のあとで△4八角成の銀取りが残ります。 * *【お盆の上には】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-8c24.html * *※局後の感想※ *「△同飛をうっかりしていました。昨日からこういう展開を考えていたのに、1秒も思い浮かばなかった。でも2日制なんだから、夜に気付きそうなものなんだけど。1筋の突き合いは権利だと思っていたので。この手があるなら封じ手の▲1八飛自体、疑問だったですね」(渡辺) 62 同 飛(34) ( 0:00/00:00:00) *11時43分、森内の手が盤上に伸びて△1四同飛。こう取れば一気に激しい終盤戦に突入する。 * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>飛車で取りました。▲同飛△同歩までは進みます。 63 同 飛(18) ( 0:00/00:00:00) 64 同 歩(13) ( 0:00/00:00:00) *ここで▲6五歩は、△4八角成▲6四歩△6九銀の攻めが速そうだ。 * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>ここでどれだけ先手から攻めがあるかどうかですね。 65 1二歩打 ( 0:00/00:00:00) *ノータイムで。控室では△同香▲1三歩△同香▲3五角△2二玉の局面を調べている。最後の力強い玉上がりが「いかにも森内流」だという。 66 同 香(11) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>(1)▲1三歩△同香に▲3五角と取るか、黙って(2)▲3五角と取るか。(1)▲1三歩△同香▲3五角には△2二金で先手の攻めが続くかどうか。(2)▲3五角は△3四歩で大丈夫か。▲6八角と引くようでは利かされているので先手が悪いです。 67 1三歩打 ( 0:00/00:00:00) 68 同 香(12) ( 0:00/00:00:00) 69 3五角(46) ( 0:00/00:00:00) *強く受けるなら△2二玉。手堅くいくなら△2二金。いずれも先手からの有効な攻めが見つかっていない。 *一番迫れそうなのは、△2二玉に▲3四飛△3三金▲1三角成△同玉▲1四飛△2二玉。そこでうまく攻めを繋ぐ手があるかどうか。先手玉は△4八角成から△6九銀と迫られると受けが利かなくなる形だ。 * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>△2二金に▲1一飛△3二玉▲1三角成△同金▲同飛成△4八角成の瞬間に先手からうまい攻めがあるかどうか。後手からは次の△5七馬がほぼ詰めろなので、先手の攻めが続かない場合は後手が勝ちそうです。 70 2二玉(31) ( 0:00/00:00:00) *森内印の玉上がり。やはり棋風的にはこちらだろう。 *控室では▲3四飛△3三金▲1三角成△同玉▲1四飛△2二玉▲3六香△3四歩▲同香△同金▲同飛の進行が調べられている。その局面は▲3二金までの詰めろ。△3三香(歩)▲1四飛△3二玉には、じっと▲7四金と活用する手の味がよい。 *しかしその後に検討が進み、▲3四飛には△2四歩の受けが発見された。以下▲同角に△2三金▲4二角成△同金▲3一銀△1二玉▲6四飛△同歩▲4二銀成△2八飛となって、これは後手がよい。 *このまま定刻となり2日目の昼食休憩に入った。消費時間は▲渡辺5時間29分、△森内5時間24分。食事の注文は、渡辺がステーキ丼(スープ、サラダ付き)。森内はカツカレー(サラダ付き)。対局は13時30分に再開される。 * *鈴木大介八段>△2二玉ですか。ちょっと自分はぐらぐら来ています。ぱっと見は▲3四飛ですが……。これは展開が早くなるので、昼食休憩明けから一気に終局へ向かうかもしれません。 * *【2日目昼食休憩に入る】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-a4e0-1.html * *※局後の感想※ *「手がありません。もう収拾つかないので行くしかない」(渡辺) 71 1三角成(35) ( 0:00/00:00:00) *大内九段が「▲1三角成はないのか?」と話していたところで、盤上も角成り。以下△同玉に▲1八飛△2二玉▲1四飛と進めて、次の▲3四香を狙う意図だ。 * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>この手は意外でしたが、強烈ですね。 * *【渡辺竜王、踏み込む】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-7f28.html 72 同 玉(22) ( 0:00/00:00:00) *【昼食休憩時の対局室(2日目)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-17eb.html 73 1四香(19) ( 0:00/00:00:00) *渡辺は飛車打ちではなく、ビュッと香を走った。△同玉は▲1二飛の飛金両取りで決まる。 * *【2日目対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-cbd8-1.html 74 2二玉(13) ( 0:00/00:00:00) *森内は△1三同玉も△2二玉も時間を使わずに指した。みんな読み筋だと誇示しているかのようだ。 75 3六香打 ( 0:00/00:00:00) *渡辺はこの香打ちに期待した。次に▲1二飛からの詰めろで、△3四歩▲同香△3三歩の受けには、▲1二飛△3一玉▲1一飛成と迫って後手の合駒が悪いという主張だ。 *ただここで△1一歩という受けがあるか。▲同香成にはそこで△3三歩と受けて、▲1二飛△3一玉でしのぐ。しかしうまい手があれば一発で終ってしまう形。相当に打ちにくい歩だ。 76 3四歩打 ( 0:00/00:00:00) *中合いの歩。▲同香のときに△3一玉と引くか、それとも異筋の△1一歩か。 * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>△3四歩に代えて△3三歩ですと▲1二飛△3一玉▲1一飛成△2一角▲1二香成と進みますが、攻めが続きそうです。△3四歩と中合いしてから▲同香に△3三銀と上がって受けるのでしょうか。そこで▲1一飛には△3四銀とすれば後手が良いでしょう。 77 同 香(36) ( 0:00/00:00:00) *「私は△3三銀と上がる手が本線です」と森下九段。なるほど、4二銀が動けば玉の逃げ道も広がるということのようだ。 * *【2日目大盤解説会始まる】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-b476.html 78 3三銀(42) ( 0:00/00:00:00) *「銀ですね。そうですね。これには一回▲6七銀と引く手が入るかどうかの勝負です」(森下九段) *▲6七銀には△4八角成と踏み込む手が利くようだ。以下▲1二飛△3一玉▲3三香成△同金▲1三香成△4一玉で、際どく後手が残している。あとで△6九銀と打たれる筋が厳しい。 * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>ここで▲1三香成△同玉▲1一飛△2二玉▲3三香成△同角▲2一銀△1一玉▲3二銀成の局面がポイントですね。△4二金▲1三歩△2一角で受かっているかどうか。ちなみに最初の▲1三香成に玉が逃げるとまずいことになると思います。 * *※局後の感想※ *「▲1二飛と打ち込んでも足りません。こちらが薄いので、攻め合いで負けてしまうんです」(渡辺) 79 1三香成(14) ( 0:00/00:00:00) *「こうですか! あれ、これはさっき検討してダメだったような……」(森下九段) *△同玉に▲1一飛で王手金取りだが、それは△2二玉と引かれ、▲5一飛成に△3四銀で上部が広い。先に▲3三香成を決めようとしても、△同角で5一の金にヒモがついてしまう形でうまくいかない。 * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>私の予想が当たるとだいたい「終局近し」なんですけれどね。 * *【過激に】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-4a13.html 80 同 玉(22) ( 0:00/00:00:00) *渡辺はどう後手に迫るのか。検討陣は▲3三香成△同角▲2一銀の順を調べている。 * *【ニングルテラス】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-2b9a.html 81 3三香成(34) ( 0:00/00:00:00) *△同金は▲1一飛の王手金取りがあるため、ここは△同角の一手。 *以下▲2一銀△2二玉▲1一飛と進め、△同玉は▲3二銀成で相当に危ない。▲1一飛には△3一玉と引き、▲3二銀成△同玉▲1二飛成△2二香▲2四歩△同角▲3四金と迫ってどうか。 *「そこで△7九銀と打って後手勝ちですね。▲同金△5八飛▲6八歩に△同角成で受けなし。後手玉に詰みはありません」(森下九段) 82 同 角(66) ( 0:00/00:00:00) *【2日目午後のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-4a35.html * *※局後の感想※ *「▲2一銀も△2二玉▲1一飛△3一玉で、駒を渡すので寄せ合いに持ち込まれて勝てません」(渡辺) 83 1四歩打 ( 0:00/00:00:00) *▲2一銀ではなく▲1四歩だった。△同玉は▲1二飛の両取り。 * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>これは△2二玉と引かれて、どうなんでしょうか。自分の見立てでは(1)▲3四銀ぐらいしか浮かばない……。それとも(2)▲8二飛と逆サイドから攻めるのでしょうか。 * *※局後の感想※ *「先に▲3四銀は?」(森内) *「△4二角▲1四歩△1二玉で足りないと思いました」(渡辺) 84 2二玉(13) ( 0:00/00:00:00) *森内のほうはこのあたり絶対手の連続。ここも少考で△2二玉と引いた。 * *※局後の感想※ *「こちらは相手の手に対応しているだけだったのですが……」(森内) 85 3四銀打 ( 0:00/00:00:00) *控室は▲8二飛を予想していたが、渡辺は直接後手玉に迫る▲3四銀を選んだ。次は▲1三歩成△同玉▲3三銀不成△同金▲1一飛の王手金取り。 *先に△1二香と受けるのも、▲3三銀成から▲8二飛と、このタイミングで逆から攻められてしまう。 * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>ここでは(1)△5八飛と打ちたいです。▲3三銀成△同金▲1三歩成△同玉▲1一飛△1二歩▲1四歩△同玉▲1二飛成△1三歩▲2二角には△3五角がピッタリです。また(2)△1八飛と打って▲1三歩成に△同飛成は有力です。 86 1八飛打 ( 0:00/00:00:00) *攻防の飛車打ち。▲3三銀成には△同玉と応じて、1四歩の脅威から遠ざかることができる。 *「▲6八歩の先受けでどうだろう。△4八飛成は▲3三銀成△同玉▲6六角の王手飛車取り。いずれ打つ歩だからね」(中川八段) *▲6八歩に△4二角は、▲4五銀△3三歩▲2四歩くらいでも嫌な形。△同歩なら▲1七飛△4八飛成▲1三歩成△3一玉▲2三歩という攻めがある。 *この手までの消費時間は▲渡辺6時間13分、△森内6時間20分。 * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>▲1三歩成は△同飛成で後手陣が万全になるので、▲1七飛で勝負すると思います。 * *【どう攻めをつなぐか】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-e02f.html 87 1三歩成(14) ( 0:00/00:00:00) *▲1七飛でも▲6八歩でもなかった。 *▲1三歩成は最初のほうに検討されており、△同飛成で後手が手厚いという評判だったが……。 * *鈴木大介八段>▲1三歩成は△同飛成で局面を長引かせようということですね。以下、▲3三銀成△同金▲8二飛△4二銀▲8一飛成までは行くと思います。そこで攻めるなら△1八竜と入って勝負しますか。 88 同 飛成(18) ( 0:00/00:00:00) *問題はこのあと。細そうに見えるが、繋がるのだろうか。 89 3三銀成(34) ( 0:00/00:00:00) *シンプルに。△同金▲8二飛△4二銀の進行か、それとも強く△同玉か。 90 同 玉(22) ( 0:00/00:00:00) *「ここですよ、ここ」(中川八段) *「ここしかない」(中座七段) * 91 6五歩打 ( 0:00/00:00:00) *右かと思えば左へ。△7三銀には▲4六歩と突いていくということだろう。後手は△1八竜から△4八竜が狙い筋だが、すぐに実行すると▲6六角の王手竜取りがある。 * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>▲6五歩は△5三銀に▲3五角の両取りが狙いです。しかし△1八竜▲5三角成△4八竜で先手玉に詰みがあるかどうか。筋は△7九銀〜△5七角ですが少し駒が足りないようです。 * *【逃げるか、それとも】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-95f3.html * *※局後の感想※ *「単に▲4六歩でしたか。しかし△1八竜▲4五歩△2九竜で、次の△6六桂がきついですね。6四銀型だと▲5五角が利かないので」(渡辺) 92 6九銀打 ( 0:00/00:00:00) *「手抜いた、手抜いた!」(中座七段) *これも検討のなかで、もしかしたらあるかと言われていた。▲6四歩には、そこで△1八竜と入る狙い。銀を取らせている間に先手玉に迫ろうとしている。 *「▲1七歩と止める手には、△7八銀成▲同玉△6六香が厳しいですね。なるほど」(中座七段) * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>△6九銀も相当有力ですね。▲6四歩△1八竜▲6六角△4四角▲5五銀△同角▲同歩△7八銀成(△5七歩は▲9六歩)▲同玉△5七歩で先手受けが厳しいです。 * *【手抜いて急所に銀】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-2412.html 93 6四歩(65) ( 0:00/00:00:00) *渡辺は堂々と銀を取り、やおら席を立った。これには△1八竜と入るか、すぐに△7八銀成▲同玉△6六香と迫るか。 * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>▲6四歩に△7八銀成▲同玉△6六香も筋です。以下▲5五角△4四角▲同角△同歩▲5三飛△4三香▲5一飛成には△6八金▲8八玉△7九角▲9八玉△7八金で必至です。 94 7八銀成(69) ( 0:00/00:00:00) 95 同 玉(88) ( 0:00/00:00:00) *現地大盤解説会場の中川八段は、「森内さん、読み切っているのでしょう」と話しているという。 96 1八龍(13) ( 0:00/00:00:00) *△6六香も有力だったようだが、森内は△1八竜のコースを選択。▲6六角には△4四角▲5五銀△同角で、▲同歩は△5七銀。▲同角は△4四銀。いずれも後手が厚い。 * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>△7八銀成〜△1八竜の手順で迫りました。先に△7八銀成を入れておけば、▲9六歩を入れる暇がありません。先手は▲6六角と打つと思いますが△4四角の合い駒で後手厚いですね。 97 8四角打 ( 0:00/00:00:00) *やはり▲6六角の筋は△4四角で足りないようだ。▲8四角も意味は似ているが、こちらは王手ではなく次の▲5一角成を見せている。 *「△7三香と打ってどうだ。結局先手は、受けたが受けにならずという形になると思うんだ」(大内九段) * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>▲8四角に△7三香で手堅いですね。次の△7五歩がすこぶる厳しいです。 * *【厳しい攻めが入る】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-56d4.html 98 7三香打 ( 0:00/00:00:00) *【受けが難しい形】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2013/10/post-9483.html 99 6六角(84) ( 0:00/00:00:00) *これは凝った手順。香を打たせて得という判断なのだろうか。 *この場合も△4四角と合わせる手が受けの形。「角には角」の格言もある。 *消費時間は▲渡辺7時間19分、△森内7時間6分。 * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>私なら△4四角と合わせて、以下▲5五銀△同角▲同角△4四金▲6六角△5七銀としてみたいです。他にも△5五歩、△4四香は有りそうです。森内名人は今回の竜王戦は持時間の使い方が上手いですね。この局面でも時間に余裕があります。 100 4四香打 ( 0:00/00:00:00) *角ではなく香で。相手に手番を渡すため指しにくいが、後手玉もまだ遠い。次の△5七歩が厳しいため、これで十分ということのようだ。 *「どこかで▲8六歩と突いて上部に行きたい。負けは濃厚だが、8五金を生かしてやりたいんだ」(中川八段) 101 2一飛打 ( 0:00/00:00:00) *駒音高く▲2一飛。この手が詰めろではないが、少しでもプレッシャーをかけていこうということだろう。 *後手からの△5七歩は△4八竜からの詰めろ。したがってしばらく受けに回るしかない。受けながら、どこかで▲8六歩と突いて手を延ばしたい。 *強く決めにいくなら△5七角もある。角を渡しても後手玉が詰まないのであれば成立している手だ。 *「△5七歩▲5九銀打△4八飛成▲同銀△5八歩成でどうだ。先手玉は受けなしだ」(中川八段) *「先生、それは後手玉が相当に危ないですよ」(中座七段) *▲4四角と切って、△同歩は▲5三飛△4三角▲3六香△3四歩▲2四銀△同歩▲3四香。▲4四角に△同玉も▲5四飛と捨てて詰む。 *「ぎゃっ。トン死か」と中川八段。これはトン死ではなく純死だ。 102 5七角打 ( 0:00/00:00:00) *森内はしっかりと時間を使い、最も強い手を選んだ。渡辺はお茶を口に含んだあと、膝に両手を乗せて深く礼をする。投了だ。 *終局は17時48分。消費時間は▲渡辺7時間28分、△森内7時間26分。指すなら▲同角△同桂成だが、後手玉に詰みがないため、はっきりしている。 *七番勝負はこれで森内の2連勝。十連覇を目指す渡辺は次局以降に巻き返すことができるだろうか。 * *■ニコニコ生放送■ *鈴木大介八段>ここで渡辺竜王が投了しました。本局も森内名人が「安定の強さ」を発揮して、封じ手後の△8四角からペースを握って勝ちきりました。渡辺竜王は良い所が出ませんでした。相矢倉の最新形でしたが、この形で後手を持って指す棋士が増えるでしょう。 103 投了 ( 0:00/00:00:00) まで102手で後手の勝ち