# --- Kifu for Windows (HTTP) V6.52 棋譜ファイル --- 対局ID:1533 開始日時:2012/10/15 09:00 終了日時:2012/10/16 13:58 表題:竜王戦 棋戦:第25期竜王戦七番勝負 第1局 持ち時間:各8時間 消費時間:106▲392△270 場所:山形・ほほえみの宿 滝の湯 図:投了 手合割:平手   先手:丸山忠久 後手:渡辺明 先手省略名:丸山 後手省略名:渡辺明 手数----指手---------消費時間-- *8連覇中の渡辺明竜王に丸山忠久九段が挑む第25期竜王戦七番勝負が開幕。第1局は10月15・16日(月・火)に、山形県天童市「ほほえみの宿 滝の湯」で行われる。対局開始は9時。昼食休憩は両日とも12時30分〜13時30分。封じ手は1日目18時。 *立会人は勝浦修九段、新聞解説は鈴木大介八段、記録係は黒沢怜生三段(20歳、高橋道雄九段門下)。 *現地大盤解説は15日14時。16日10時〜12時30分、14時〜終局まで。解説は戸辺誠六段、聞き手は藤田綾女流初段。 *ニコニコ生放送は、1日目9時〜封じ手までが三浦弘行八段と山口恵梨子女流初段。2日目13時〜終局は加藤一二三九段、安食総子女流初段が担当する。 *振り駒は渡辺の振り歩先でと金が3枚。開幕局は丸山の先手番となった。 * *(棋譜・コメント入力=烏) *※は感想戦の内容。【】内はブログ記事タイトル、またはリンク先。 * *【ニコニコ生放送】 *http://live.nicovideo.jp/watch/lv108023086 * *■ニコニコ生放送■ *三浦弘行八段>おはようございます。戦型予想ですが、渡辺先手の場合は後手一手損角換わりが70%、その他の相居飛車が30%。丸山先手の場合は手損しない角換わりが90%、相掛かりが10%。いずれにしても相居飛車になると予想します。 * * 1 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *第1局、丸山の初手は▲2六歩。 * *■ニコニコ生放送■ *三浦弘行八段>細かいところですが、丸山さんは初手▲2六歩が多いんです。2手目△3二飛戦法を避ける意味です。 2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *渡辺は、相掛かりでも角換わりでも受けて立つ。 3 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *丸山 忠久(まるやま ただひさ)九段は1970年9月5日生まれ、千葉県木更津市出身。(故)佐瀬勇次名誉九段門下。棋士番号194。タイトル戦登場8回。獲得は名人2期、棋王1期。棋戦優勝は12回。 4 3二金(41) ( 0:00/00:00:00) *渡辺 明(わたなべ あきら)竜王は1984年4月23日生まれ、東京都葛飾区出身。所司和晴七段門下。棋士番号235番。 *94年、6級で奨励会入会。2000年、四段。2005年、九段。タイトル戦登場13回、獲得は竜王8期、王座1期の計9期。棋戦優勝は5回。 5 7八金(69) ( 0:00/00:00:00) *本局の観戦記者は小暮克洋さん。 6 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00) *どうやら開幕局は角換わりになりそうだ。 7 7七角(88) ( 0:00/00:00:00) *渡辺の今年度成績は11勝8敗(0.579) *丸山の今年度成績は14勝10敗(0.583) 8 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) *渡辺の通算成績は413勝195敗(0.679) *丸山の通算成績は738勝396敗(0.651) 9 8八銀(79) ( 0:00/00:00:00) *【関係者が天童入り】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-6cdc.html * *■ニコニコ生放送■ *三浦弘行八段>ここで角交換を避けようと△4四歩とすれば、▲2五歩△3三角▲5六歩△2二銀▲6八角とされます。これは次に▲2四歩△同歩▲同角△同角▲同飛となって角を交換しながら飛車先の歩を交換されます。これは無理が生じて後手が不利になります。 10 7七角成(22) ( 0:00/00:00:00) *「▲2六歩からの出だしは意外でしたが、こう進んでみると予想通りの角換わりですね」(谷川浩司九段) 11 同 銀(88) ( 0:00/00:00:00) *【検分】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-42ac.html 12 4二銀(31) ( 0:00/00:00:00) *【控え室にて(前日)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-01ea.html 13 9六歩(97) ( 0:00/00:00:00) *過去の対戦成績は渡辺10勝、丸山7勝。戦型はやはり角換わりが大半で、渡辺が先手なら丸山の後手番一手損角換わり。渡辺が後手なら、丸山の腰掛け銀を受けて立つパターンが多かった。 14 9四歩(93) ( 0:00/00:00:00) 15 3八銀(39) ( 0:00/00:00:00) *「相掛かり含みの出だしでしたが、お二人は最初から角換わりを意識していたでしょう。前期も角換わりシリーズでしたが、1年たって水面下の研究が進みましたので、お互いに緊張感を持っていると思います」(鈴木大介八段) 16 7二銀(71) ( 0:00/00:00:00) *「渡辺さんは後手番で手待ちの形、または△6五歩と位を取る形を得意にしています。先手側に決定版の対策はまだ無いので、そうなるかどうか。1時間くらいで想定局面まで進む可能性が高そうです」(鈴木八段) 17 4六歩(47) ( 0:00/00:00:00) *「渡辺竜王と丸山九段は、普段一緒に研究しているメンバーが違うので、そのあたりがどうなるかも注目ですね」(鈴木八段) 18 6四歩(63) ( 0:00/00:00:00) * 19 6八玉(59) ( 0:00/00:00:00) *前期第1局に続き、今期も「ほほえみの宿 滝の湯」で第1局が行われている。 *「ほほえみの宿 滝の湯」は今年、長年の将棋界への貢献を賞賛され、第19回大山康晴賞を受賞した。 * *【第19回大山康晴賞受賞式の模様】 *http://www.shogi.or.jp/topics/2012/09/19-6.html * *【滝の湯支配人の「おもてなし奮闘記」】 *http://ameblo.jp/takinoyuji/ 20 6三銀(72) ( 0:00/00:00:00) *今日は対局開始から、三浦弘行八段と山口恵梨子女流初段によるニコニコ生放送での大盤解説が行われている。 * *■ニコニコ生放送■ *三浦弘行八段>将棋会館ではあまり『みうみう』と呼ばれません。ニコ生では『みうみう』と呼んでいただいても、ええ、はい。 21 4七銀(38) ( 0:00/00:00:00) *【前夜祭 1】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-b625.html 22 5四銀(63) ( 0:00/00:00:00) *【前夜祭 2】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-1070.html 23 1六歩(17) ( 0:00/00:00:00) *【前夜祭 3】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-3925.html 24 1四歩(13) ( 0:00/00:00:00) *【前夜祭 4】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-0130.html 25 5六銀(47) ( 0:00/00:00:00) *「やあやあ、我こそは」と名乗り合う、相腰掛け銀。 26 4四歩(43) ( 0:00/00:00:00) *【対局開始前の様子 1】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-1bd0.html 27 7九玉(68) ( 0:00/00:00:00) *【対局開始前の様子 2】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-3111.html 28 5二金(61) ( 0:00/00:00:00) *控え室では新聞解説の鈴木八段、現地大盤解説担当の戸辺誠六段、藤田綾女流初段が角換わりの駒組みをおさらいしている。3人とも振り飛車党。今日、明日は居飛車党には思いつかないような斬新な発想の解説が見られるかもしれない。 *10時、午前のおやつが対局室に運ばれた。渡辺はホットコーヒー。丸山がアイスコーヒーとまんじゅう。 *△5二金までの消費時間は、▲丸山20分、△渡辺10分。 * *【午前のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-02c9.html 29 5八金(49) ( 0:00/00:00:00) *ここは▲6六歩と突くかどうかの分岐点だった。すぐに突く必然性はないが、渡辺得意の△6五歩型を警戒するなら、早めに突く可能性もあった。 * *【対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-75cb.html 30 4一玉(51) ( 0:00/00:00:00) *鈴木、戸辺、藤田トリオは、前期の第4局を並べている。渡辺が桂の中合いで勝ったこの将棋は、2011年度将棋大賞の名局賞に選ばれている。 *△4一玉までの消費時間は▲丸山51分、△渡辺11分。 * *【第24期竜王戦第4局▲丸山−△渡辺戦】 *http://live.shogi.or.jp/ryuou/kifu/ryuou20111124-25.html * *■ニコニコ生放送■ *三浦弘行八段>これで△6五歩と突く筋ではなく△3一玉から囲いを整備するゆっくりとした手順に進むと思います。 31 3六歩(37) ( 0:00/00:00:00) *先後同型に自信があるなら、先手は奇をてらう必要がない。後手の駒組みを見てから、対応を見ればいい。 32 3一玉(41) ( 0:00/00:00:00) 33 6六歩(67) ( 0:00/00:00:00) *このタイミングで▲6六歩。 34 7四歩(73) ( 0:00/00:00:00) *「うわ、これは同型になるかもしれない」(鈴木八段) *「村山さん(慈明六段)の定跡本を部屋にとってきます」(戸辺六段) *ここから▲3七桂△7三桂▲2五歩△3三銀と進むと、かの有名な先後同型の仕掛けの形になる。現在は先手指せるというのが定説だが、もしかしたら渡辺の新研究が見られるかもしれない。 * *■ニコニコ生放送■ *三浦弘行八段>この後は▲3七桂△7三桂▲2五歩△3三銀と進む手順が予想されます。 35 8八玉(79) ( 0:00/00:00:00) *丸山はひらりと同型を避けた。この手は珍しく、データベース上での過去の前例は3局。 *1号局は昭和63年の▲丸田祐三九段−△日浦市郎五段戦(当時)の竜王戦。2局目は▲丸山−△深浦康市三段の新人王戦。 * *■ニコニコ生放送■ *三浦弘行八段>この手は相手を考えさせる手ですね。ここで▲8八玉と上がるメリットがないからです。私も竜王戦で丸山さんにこういう感じの手を指されて、時間をたくさん使い終盤で時間がなくなって負かされました。 36 3三銀(42) ( 0:00/00:00:00) *ここから▲3七桂△7三桂▲2五歩△2二玉と無理やり進めれば、木村義雄十四世名人が編み出した「木村定跡」の形になる。 37 4八飛(28) ( 0:00/00:00:00) *ここで前例がなくなった。 *ただ△4三金右と上がれば平成16年の▲東和男七段−△神崎健二七段のC級1組順位戦。 38 2二玉(31) ( 0:00/00:00:00) *後手は△7三桂と跳ねていないため、▲7五歩から桂頭を狙われる筋がない。 *先手はどういった攻撃形を目指すのか。2六歩型を生かすには、やはり▲3七桂と跳ねる形が妥当だろう。 39 3七桂(29) ( 0:00/00:00:00) 40 4二金(52) ( 0:00/00:00:00) *前例がほとんどない形から数手進んで、この局面は67局に増えた。 *渡辺は先手番で3局指して2勝1千日手。後手で2勝1敗2千日手。丸山は先手でのみ5局指し、4勝1敗。 * *■ニコニコ生放送■ *三浦弘行八段>結局、定跡手順の局面と一緒になりました。先手は▲8八玉と工夫して後手に選択肢を与えましたが、渡辺竜王は定跡の局面と合流する手順を選択しました。 41 2五桂(37) ( 0:00/00:00:00) *いよいよ戦いが始まった。△2四銀に▲2八角と打つのが定跡で、タイトル戦などの大舞台でも多く指されている。 * *【定跡の進行】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-5e35.html 42 2四銀(33) ( 0:00/00:00:00) 43 2八角打 ( 0:00/00:00:00) *控え室では鈴木八段が村山六段の定跡本を音読している。 44 7五歩(74) ( 0:00/00:00:00) 45 4五歩(46) ( 0:00/00:00:00) *▲2五桂からここまで、パタパタと進んだ。「早いね」と勝浦修九段。 46 7六歩(75) ( 0:00/00:00:00) 47 同 銀(77) ( 0:00/00:00:00) *まだまだ進む。「さあ、ここだね」(勝浦九段) 48 4五歩(44) ( 0:00/00:00:00) *【ほほえみの宿 滝の湯 1】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-f2f6.html 49 6四角(28) ( 0:00/00:00:00) 50 7三歩打 ( 0:00/00:00:00) 51 7四歩打 ( 0:00/00:00:00) *まだまだ、まだ進む。 52 6二飛(82) ( 0:00/00:00:00) 53 3七角(64) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *三浦弘行八段>私が立会人をした第70期名人戦七番勝負第6局と同じ将棋になりました。 54 6六飛(62) ( 0:00/00:00:00) *【ほほえみの宿 滝の湯 2】  *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-96dd.html 55 6七金(58) ( 0:00/00:00:00) *【ほほえみの宿 滝の湯 3】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-26f6.html 56 4四角打 ( 0:00/00:00:00) *▲6六金なら、△同角▲7七桂△5七角成で後手優勢。 * *【ほほえみの宿 滝の湯 4】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-1b1a.html 57 7七桂(89) ( 0:00/00:00:00) *ということで、先に桂を跳ねて王手になる筋を消しておく。次はもちろん▲6六金と飛車を取れる。 58 6七飛成(66) ( 0:00/00:00:00) *「一日制みたいだよね」(勝浦九段) *定跡形とはいえ、このスピードは尋常ではない。 * *※ *「定跡の形なので、こう指すと決めてしまえば早くなります」(渡辺) 59 同 銀(56) ( 0:00/00:00:00) 60 6六歩打 ( 0:00/00:00:00) 61 5八銀(67) ( 0:00/00:00:00) 62 4六金打 ( 0:00/00:00:00) *後手は飛車を切ったが、一気に先手玉に迫る構想ではなく、飛車角をいじめながら玉頭を手厚くしていこうとしている。 63 2八角(37) ( 0:00/00:00:00) *この局面は過去に8局あり、▲4勝△3勝、1千日手。次の手は△7四歩と△2六角のいずれかだが……。 64 7四歩(73) ( 0:00/00:00:00) *まだ前例の通り。この戦型は終盤の詰むや詰まざるやまで研究できるため、どちらも自信を持っていると、行き着くところまで行ってしまう可能性もあるかもしれない。 65 7一飛打 ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *三浦弘行八段>前例通りの▲7一飛で、△7五歩を防いでいます。そろそろ時間を使って考えて、研究で温めている手を出すかもしれません。温存した研究手を封じ手にする可能性がありますね。 66 7五歩(74) ( 0:00/00:00:00) *軽く歩を突く。▲同銀は△7六歩で、▲8五銀は△9三桂で後手良し。 67 同 飛成(71) ( 0:00/00:00:00) *したがって▲同飛成と引き付ける。後手は歩を犠牲にして、8一桂を助けた格好。 68 2六角(44) ( 0:00/00:00:00) *もう68手。角換わり腰掛け銀は組み上がるまで手数がかかるため一概には言えないが、それでも早すぎる。 69 4九飛(48) ( 0:00/00:00:00) 70 2五銀(24) ( 0:00/00:00:00) *これで飛車と金桂の二枚換え。ただ先手は後で8一桂や9一香を拾う楽しみがあり、そうなればはっきりと駒得になる。 *後手は2八角、4九飛を攻めながらポイントを稼ぎたい。 * *■ニコニコ生放送■ *三浦弘行八段>ここでは(1)▲4六角か(2)▲2四歩だと思います。 *(1)▲4六角は△同歩▲2五竜として駒損を回復する順です。 *(2)▲2四歩は△同歩に▲7一竜と入って、次の▲2三歩を狙います。 71 2四歩打 ( 0:00/00:00:00) *早い早い。 *「止まってくれませんね」(勝浦九段) 72 同 歩(23) ( 0:00/00:00:00) *前例は▲豊島将之七段−△渡辺明(平成24年・王将リーグ)の1局のみになった。その将棋の結末は千日手。両者とも意識しながら進めているはずだ。 73 7一龍(75) ( 0:00/00:00:00) *▲2三歩のたたきを狙い、▲7一竜と入る。4六金が質駒になっているため、後手は安穏としていられない。 74 7五歩打 ( 0:00/00:00:00) *再び歩を犠牲にして手を稼ぎにいく。 *ここで▲2三歩は、△同玉▲2一竜△2二金▲5一竜△7六歩で後手戦える。 75 同 銀(76) ( 0:00/00:00:00) *▲豊島−△渡辺戦は▲8五銀だった。やはり千日手は先手が避けるのが自然だろう。「ここまでやりあって、現局面が互角とは思えません。次は△7六歩と攻め合うのでしょうか。もう終盤戦と言ってもいいと思います」と鈴木八段。 *ここで1日目の昼食休憩に入った。新手が出た場面だけに、再開後はしばらく手が進まないかもしれない。消費時間は▲丸山2時間1分、△渡辺46分。食事の注文は、渡辺がカツカレー。丸山は和風御膳。 * *【昼食休憩に入る】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-97d2.html * *■ニコニコ生放送■ *三浦弘行八段>次の一手は△7六歩が本命、△4四角が対抗ですね。形勢は不明ですが、丸山さんは▲7五同銀を研究していたと思われますので、自信がある局面と推測されます。 * *※新手だったが、感想戦では以降先手が指せそうな順が出なかった。 76 7六歩打 ( 0:00/00:00:00) *13時34分、渡辺が△7六歩を着手した。先に△4四角と引く手もありそうだったが、それには▲1七角のぶつけが気になるところ。単純な角交換に持ち込まれては、▲2三歩のたたきがより厳しくなってしまう。 * *【1日目の昼食】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-bc1d.html 77 2三歩打 ( 0:00/00:00:00) *△7六歩は予想しやすい手だけに、両者とも先の先まで見通していることだろう。特に新手を出した丸山には、どのくらい事前準備があるのか。怖くもあり、楽しみでもあり。 *「△同玉▲2一竜△2二金▲1一竜なら△7七歩成▲同金△6五桂▲6六金△7四歩で、それは後手がやれそうです。なので△2二金のときに▲5一竜と金取りに逃げ、△3二金右▲4一竜でどうか。△4四角と引く筋が消えるので、先手玉に迫る手が難しいかもしれません」(鈴木八段) * *【対局室の様子】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-5719.html * *■ニコニコ生放送■ *三浦弘行八段>形は(1)△同玉ですが、▲2一竜△2二金▲1一竜△4四角▲1七角となってどうか。あるいは(2)△3三玉とかわす手も考えられます。 78 同 金(32) ( 0:00/00:00:00) *「金で。金はさすがにと思っていたのですが、こういうものですか。私はだいたい、すぐ反省する羽目になるんです」(鈴木八段) *よく考えれば桂を取らせない△2三同金も当然の一手。ただこの瞬間は非常に危険で、3一に角か銀を打たれるとすぐに寄ってしまいそうだ。 * *■ニコニコ生放送■ *三浦弘行八段>△同金でしたか。角を持たれたら▲3一角が厳しいので、強い戦いが出来ない。したがって角交換を挑む▲1七角が最有力です。△同角成▲同香にじっと△3二金と寄って受けますか。 * *【昼食休憩時の盤面】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-fed3.html * *※ *「△2三同玉は▲2一竜で桂をさらわれてしまうので」(渡辺) *「ここでは先に▲8一竜でした。以下△3二金▲1七角△同角成▲同香で本譜に戻りますが、△3二金の瞬間は他にも手があるかもしれません」(丸山) 79 1七角(28) ( 0:00/00:00:00) *角を手持ちにしにいく▲1七角。「△3七角成は▲6二竜が厳しいので、ここは取る一手だと思います」(鈴木八段) *進行の一例は、△同角成▲同香△4四角。そこで▲3一角が気になるが、△3三玉と上がった形は見た目よりも安全なようだ。以下▲5一竜は△4三金で大丈夫。 *1日目午後のおやつは、渡辺がアイスコーヒーとフルーツトルテ。丸山はアイスコーヒーとまんじゅう(4つ)。 * *■ニコニコ生放送■ *三浦弘行八段>△同角成▲同香△3二金▲8一竜△3三角▲4四歩△同角▲4一竜△4三銀と進んでどうか。 * *【1日目午後のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-59ae.html 80 同 角成(26) ( 0:00/00:00:00) *15時45分、渡辺が角を取る。 * *【1日目対局再開 1】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-7cc6.html 81 同 香(19) ( 0:00/00:00:00) *この局面で、「渡辺先生、2時間使われました」と黒沢三段。 *金にヒモをつけて△3三角と打つのは、▲3一角△3二玉▲4四歩△同角▲5一竜の攻めがある。先に角を打って3二玉に限定させるのがうまく、先に▲4四歩△同角▲3一角は△3三玉で寄せにくい。 * *【1日目対局再開 2】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-e659.html 82 3二金(42) ( 0:00/00:00:00) *これは三浦八段が述べていた進行だ。丸山が足を崩す。 *16時前、現地の大盤解説会は82手目を次の一手問題にして休憩に入ったようだ。戸辺六段と藤田女流初段は控え室に戻り、鈴木八段と検討を始める。候補手は△3三角と△7七歩成で、本譜の△3二金はその他だったとのこと。 *ここで▲4四角には、△3三角と打ち返してどうか。以下▲5三角成に△7七歩成で角の利きを生かした攻めを見込めそうだ。 * *■ニコニコ生放送■ *三浦弘行八段>一目はちょっと2三金と3二金の形に違和感があるので、4四に先手から桂とか角とかが良いタイミングで打つことが出来れば先手持ちです。 * *【1日目にして終盤戦間近】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-5a74.html * *※ *「ここで▲4四角と打つ予定だったのですが、△3三角▲5三角成△6五桂でまずそう。角を打てないのであれば、ここまでの指し手に問題があったということになりそうです」(丸山) *△6五桂以下、▲5四馬△6七歩成▲3二馬△同玉▲7二竜△4二角打で、「少し(後手が)厚そうですか」(渡辺) 83 8一龍(71) ( 0:00/00:00:00) *17時前、丸山は▲8一竜と桂を補充した。狙いはもちろん▲4四桂。これを打たれてはたまらない。 *ここまでの消費時間は▲丸山4時間10分、△渡辺2時間。 *「このあたりで封じるかな」(勝浦九段) 84 7七歩成(76) ( 0:00/00:00:00) *「指した。(封じ手の)気配がないねぇ」(勝浦九段) * *【大盤解説会の様子】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-d7aa.html * *※ *控え室では、▲同玉△7六歩▲同玉△6五銀▲同玉△5四角▲7四玉△8一角▲5五角△3三金寄▲9一角成△5四角で難解と見られていた。 *渡辺は「入られてしまいますよね。そこで何をやられるかわからなかった」と話した。一方の丸山は「この順は考えませんでしたが、入玉できても自陣の駒をたくさん取られてしまいそうなので……。突然粘りにいくような指し方なので、選びにくいですね。本譜を選んだのは、どのくらいまずいのか判断がつかなかったからです」と語った。 *なお▲同玉△7六歩には▲6六玉とかわす手もある。ひらひらと玉を泳がせ、▲4四桂の猶予を得られるかどうかの勝負。ただ丸山は「▲4四桂と打っても、すぐに寄せきれるわけではなさそう」と、気の無い返事だった。 85 同 金(78) ( 0:00/00:00:00) *17時から始まったBSプレミアムの放送は、森内俊之名人と野月浩貴七段が解説を担当している。勝浦九段門下の二人の見解は、後手持ちで一致しているようだ。 * *【BSプレミアム放送予定】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-3a61.html 86 3三角打 ( 0:00/00:00:00) *やはりこの角が急所。4四に桂や角を打たれる筋を消しながら、遠く先手玉をにらんでいる。 * *【攻防の角打ち】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-bffe.html * *【17時30分の控え室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/1730-70f3.html 87 4四歩打 ( 0:00/00:00:00) *手筋の垂らし。△同角と取らせることにより、▲4一竜と角に当てる手が生じる。 *この局面で定刻の18時となり、渡辺が封じ手の意思表示をした。1日目の消費時間は▲丸山4時間17分、△渡辺2時間57分。明日は9時から対局再開となる。 * *■ニコニコ生放送■ *三浦弘行八段>△同角とした後、次の一手が注目ですね。▲4一竜△4三銀と進めば後手の守りが厚くなっています。△4三銀の後、先手としては▲6六銀から▲5五桂を狙いにする感じでしょうか。 *次の一手は△4四同角でしょう。形勢判断ですが私は後手持ちです。△同角に▲4一竜で後手が悪いと思えば△7六歩や△6五桂も考えられますが、そう進めば渡辺竜王は大変と見ているとも言えます。明日は午前中から勝負どころになると思います。 * *【渡辺竜王が88手目を封じる】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/1730-70f3.html * *【街中の詰将棋 1】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-0566.html 88 6五桂打 ( 0:00/00:00:00) *渡辺が駒箱を開いたのが8時50分頃。その後に1日目の指し手が再現されたが、87手も進んだため開封は9時を過ぎていた。 *封じ手は△6五桂。先に桂を打ち、形を乱してから△4四角と歩を払うつもりだろう。 * *【封じ手は△6五桂】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-ddd9.html * 89 6六金(77) ( 0:00/00:00:00) *丸山はすぐに▲6六金と応じた。控え室の封じ手予想は△4四同角だったが、もちろんこの順も候補のひとつとして挙げられていた。 *ここは△7四歩と打ち、金銀の連携を乱しにいく手が有力と見られている。 * * *【鈴木八段の見る1日目の進行と封じ手予想】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-fee9.html * *【戸辺六段の見る1日目の進行】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-6510.html 90 7四歩打 ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *加藤一二三九段>6六の金を浮き駒にする好手です。 * *【封じ手の様子 1】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-bfc0.html 91 同 銀(75) ( 0:00/00:00:00) *「はやっ」(鈴木八段) * *【封じ手の様子 2】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-9b38.html 92 4四角(33) ( 0:00/00:00:00) *「どっちが自信ありですか」(勝浦九段) *「普通は攻めている方(後手)を持ちたいという人が多いような気がします」(鈴木八段) * *【ニコニコ生放送】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-33a3-1.html 93 6七歩打 ( 0:00/00:00:00) *「はややっ。もうどちらかが斬られているとしか……。先手が勝つとしたら、上部脱出しかないですが」(鈴木八段) *後手が平凡に△7六桂▲9七玉△7七桂成と追うのは、▲8五銀と押さえになっている歩を取られて容易ではない。 *渡辺は足を崩した。ここは長考になりそうだ。 * *【1日目の夕食】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-84e1.html 94 5七金(46) ( 0:00/00:00:00) *9時45分、渡辺が△5七金を着手。控え室でも本命視されていた手で、現在は攻めが繋がっているという見立てが多い。 *△5七金に(1)▲同銀は平凡に△同桂成とされ、次の△6五歩や△6七成桂が厳しい。 *(2)▲6五銀は△5八金▲5六桂△6六角▲同歩△6五銀▲同歩△7六桂▲7七玉△7五銀で寄り筋。 *(3)▲5五歩は△5八金▲1九飛△5五銀▲6五金△6四銀で、変化はあるものの後手ペース。 *△5七金までの消費時間は▲丸山4時間18分、△渡辺3時間36分。 * *【厳しく攻め立てる渡辺竜王】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-c1de.html * *【対局再開前の様子 1】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-6d40.html * *※ *▲6五銀は△5八金▲5六桂△6六角▲同歩△6五銀▲4四角△1三玉▲6五歩△7六桂で後手勝ち筋。 *「いろいろな変化で△1三玉と逃げてしのぐ形があります。△5七金と入ったところは、どうやら良くなっているみたいですね」(渡辺) 95 同 銀(58) ( 0:00/00:00:00) *50分ほどの考慮で▲5七同銀。駒を取られながら攻められるのはジリ貧になるとの判断か。 *控え室でも、最終的にはこれしかないのではと言われていた。 * *【対局再開前の様子 2】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-0311.html * *【2日目午前のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-e7b3.html 96 同 桂成(65) ( 0:00/00:00:00) *間を置かずに。 *勝浦九段と鈴木八段の検討では、▲9七玉が最有力と見られている。以下△6五歩▲4一竜△6六歩▲4四竜△9五歩の進行で、後手が寄せきれるかどうか。 *現在は▲9七玉△6五歩▲4一竜△6六歩▲4四竜のときに、△4三金打で竜を捕獲する順が調べられている。そこで▲同竜△同金▲4一角は、△4二金▲3一角△同玉▲2三角成△2二銀となって後手優勢。そこで▲2四馬と取るしかないが瞬間的に甘い。 * *【午前10時の大盤解説会】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-d7aa-1.html * *【封じ手開封】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-91fc.html 97 9七玉(88) ( 0:00/00:00:00) *鈴木八段が「どの変化も先手がまずそうです。ここは検討を休憩して、その間に丸山さんに何かひねり出してもらいましょう」と話していたところに▲9七玉。 *検討では△6五歩で後手優勢。地道に歩で金を取る手が間に合ってしまうとつらい。 98 6五歩打 ( 0:00/00:00:00) *渡辺は△6五歩と打ち、おしぼりでワシワシと顔をぬぐう。丸山は足を崩し、背を丸めている。 * *■ニコニコ生放送■ *加藤一二三九段>▲6五同銀と取れば△同銀▲同金△8八銀▲9八玉△9七銀打で即詰みです。ですからこの歩は取れません。 99 5六桂打 ( 0:00/00:00:00) *直前に勝浦九段が挙げていた手。しかし鈴木八段はすでに検討済みだったようで、「先生、△同成桂▲同金△8八銀▲9八玉△7六桂で、その変化は受けが難しいようです」。 *このまま定刻となり、2日目の昼食休憩に入った。消費時間は▲丸山6時間11分、△渡辺4時間26分。食事の注文は、渡辺がざるそば。丸山は和風御膳。対局は13時30分に再開される。 * *【2日目の昼食】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-e1b6.html 100 同 成桂(57) ( 0:00/00:00:00) *再開後すぐに△5六同成桂。代えて△3三角という案もあったが、単純に桂を取って勝ちならこのほうがはっきりしている。 *▲5六同金△8八銀▲9八玉△7六桂まで進めば、先手玉は一手一手の寄り。そこで▲8五銀(竜)と粘りに出ても、△8六桂の捨て駒から詰まされてしまう。 101 同 金(66) ( 0:00/00:00:00) *【昼食休憩時の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-e82f.html 102 9五歩(94) ( 0:00/00:00:00) *大方の予想は△8八銀だったが、渡辺の選択は△9五歩。端玉には端歩の格言通り、この手も厳しい。 *▲同歩は△同香▲9六歩△8八銀の筋で詰み。▲8五銀は△7七角成▲8八金△9六歩から金銀をぼろぼろと取られてしまう。 *消費時間は▲丸山6時間17分、△渡辺4時間30分。 103 5五歩打 ( 0:00/00:00:00) 104 9六歩(95) ( 0:00/00:00:00) 105 8八玉(97) ( 0:00/00:00:00) *下段に押し込まれて、上部脱出の望みが薄くなってきた。 106 6四桂打 ( 0:00/00:00:00) *この手を見て丸山が投了を告げた。先手玉は一手一手の寄り。後手玉はまだ堅く、遠い。 *終局は13時58分、消費時間は▲丸山6時間32分、△渡辺4時間30分。感想戦は20分強。75手目▲7五同銀の新手以降が調べられたが、先手にとって思わしい変化は出なかったようだ。 *勝った渡辺は竜王9連覇に向けて幸先のよいスタート。第2局は10月30・31日(水・木)に石川県金沢市「金沢エクセルホテル東急」で行われる。 * *【終局直後の様子】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-97fc.html * *【終局後のインタビュー】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/2012/10/post-c0b4.html * *■ニコニコ生放送■ *加藤一二三九段>▲6五金と逃げても△同銀▲同銀△5五角▲6六銀△6八銀として、後手の攻めが途切れません。 107 投了 ( 0:00/00:00:00) まで106手で後手の勝ち