# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.66 棋譜ファイル --- 対局ID:15900 記録ID:650118db2e6868d8fb42d4d6 開始日時:2023/10/11 09:00 終了日時:2023/10/11 20:59 棋戦:第71期王座戦五番勝負第4局 戦型:角換わりその他 持ち時間:5時間 秒読み:60秒 消費時間:138▲300△300 場所:京都府京都市「ウェスティン都ホテル京都」 備考:昼休前41手目▲21分△168分\n夕休前55手目▲178分△250分\n 振り駒:なし 計時方式:チェスクロック 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:10〜13:00 夕食休憩:17:00〜17:30 昼休前消費時間:41手▲21分△168分 夕休前消費時間:55手▲178分△250分 手合割:平手   先手:永瀬拓矢王座 後手:藤井聡太竜王・名人 先手省略名:永瀬 後手省略名:藤井聡 手数----指手---------消費時間-- *永瀬拓矢王座に藤井聡太竜王・名人が挑戦中の第71期王座戦五番勝負は、藤井2勝、永瀬1勝のスコアで第4局を迎える。 *藤井は勝てば王座奪取とともに、前人未到の「八冠」を達成。5連覇を目指す永瀬は、残り2戦で逆転防衛なるか。 *第4局は10月11日(水)、京都府京都市「ウェスティン都ホテル京都」で行われる。立会人は淡路仁茂九段、新聞解説は村田顕弘六段、記録係は戸川悠二郎二段(久保利明九段門下)、観戦記の執筆は池田将之指導棋士五段が務める。 *対局は9時に始まり、本局の先手は永瀬。持ち時間は各5時間(チェスクロック使用)で、使いきると1手60秒未満の着手。昼食休憩は12時10分から13時まで、夕食休憩は17時から17時30分までである。 *対局当日、京都市の朝はうっすらと曇っていたが、少しずつ明るい太陽が顔を出してきた。今日一日は晴れの予報である。 *8時30分、対局室では戸川二段がひとり黙々と駒を磨いている。やがて立会人の淡路九段、日本将棋連盟常務理事の井上慶太九段らが入室。 *8時38分、永瀬が先に対局室に入り、上座の席に着いた。荷物の整理を終えると、両手を膝の上でそろえて姿勢を正す。途中、身を乗り出して戸川二段の手元をのぞき込む場面もあった。 *8時44分、藤井が部屋の前で一礼して入室。着席後、信玄袋から扇子、ハンカチ、電波時計、ウエットティッシュを取り出していく。 *藤井の準備が済むと、永瀬はスプレーの除菌液を手に吹きかけて一礼。そして盤上の駒箱に手を伸ばす。両者交互に1枚ずつ駒を並べ始めた。 * *【主催:日本経済新聞社】 *https://www.nikkei.com/ *【特別協賛:東海東京証券株式会社】 *https://www.tokaitokyo.co.jp/ *【対局場:ウェスティン都ホテル京都】 *https://www.miyakohotels.ne.jp/westinkyoto/ *【王座戦中継サイト】 *http://live.shogi.or.jp/ouza/ *【第4局の舞台は京都】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-a1ba.html *【第4局当日スケジュール】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-6a56.html * *(棋譜コメント入力=夏芽) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手] 1 2六歩(27) ( 0:10/00:00:10) *9時、立会人の淡路九段から「定刻になりました。それでは第71期王座戦第4局の対局を始めてください」と告げられた。 *両対局者、関係者が一斉に一礼。第4局が始まった。 2 8四歩(83) ( 0:29/00:00:29) *藤井は湯飲みの茶を飲み、8筋の歩を突く。相居飛車の出だしになった。 * *【対局開始】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-75cb.html 3 2五歩(26) ( 0:11/00:00:21) *◆永瀬 拓矢(ながせ たくや)王座◆ *1992年9月5日生まれの31歳。神奈川県横浜市出身。安恵照剛八段門下。2004年、6級で奨励会入会。2009年、四段(プロ入り)。2020年、九段。棋士番号は276。 *タイトル戦登場は12回。獲得は叡王1期、王座4期の計5期。棋戦優勝は2回。 4 8五歩(84) ( 0:13/00:00:42) *◆藤井 聡太(ふじい そうた)竜王・名人(王位・叡王・棋王・王将・棋聖)◆ *2002年7月19日生まれの21歳。愛知県瀬戸市出身。杉本昌隆八段門下。2012年、6級で奨励会入会。2016年、四段(プロ入り)。2021年、九段。棋士番号は307。 *タイトル戦登場は19回。獲得は竜王2期、名人1期、王位4期、叡王3期、棋王1期、王将2期、棋聖4期の計17期。棋戦優勝は9回。 5 7六歩(77) ( 0:09/00:00:30) *永瀬の通算成績は480勝207敗(勝率0.699)。 *今年度の成績は14勝9敗(0.609)で、対局数ランキング11位、勝数ランキング12位タイ。 6 3二金(41) ( 0:12/00:00:54) *藤井の通算成績は341勝68敗(勝率0.834)。 *今年度の成績は23勝5敗(0.821)で、対局数ランキング3位、勝数ランキング3位、勝率ランキング1位(10月デビューの新四段を除く) *、連勝ランキング7位タイ(8連勝)。 7 7七角(88) ( 0:07/00:00:37) *▲7七角の局面で、報道陣が対局室をあとにした。 * *【開始前の対局室(1)】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-8da1.html *【開始前の対局室(2)】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-3e04.html 8 3四歩(33) ( 0:32/00:01:26) *王座戦は日本経済新聞社が主催のタイトル棋戦。特別協賛は東海東京証券株式会社。1952年に一般棋戦として創設し、第31期(1983年)からタイトル戦に昇格した。 *一次予選、二次予選、本戦の3段階のトーナメントで構成されており、優勝者が五番勝負への挑戦権を獲得。 *今期の藤井はタイトル保持者のシードで本戦から出場。中川大輔八段、村田顕弘六段、羽生善治九段、豊島将之九段に勝ち、6年目で初めて挑戦権をつかんだ。 * *【日本経済新聞】 *https://www.nikkei.com/ *【東海東京証券】 *https://www.tokaitokyo.co.jp/ 9 8八銀(79) ( 0:14/00:00:51) *両者の対戦成績は藤井13勝、永瀬6勝(千日手2)。 *タイトル戦で争うのは2022年の棋聖戦以来2度目。そのシリーズは藤井が3勝1敗(千日手2)でタイトルを防衛した。 *王座戦で当たるのは、この五番勝負が初である。 10 7七角成(22) ( 0:33/00:01:59) *開始3分、藤井が角交換に持ち込む。第4局の戦型は角換わりになった。 11 同 銀(88) ( 0:09/00:01:00) *本局の模様は「ABEMA」と「囲碁将棋プラス」で動画配信されている。 *ABEMAの解説は中村修九段、木村一基九段、松尾歩八段。聞き手は貞升南女流二段、野原未蘭女流初段。 *囲碁将棋プラスは、8時45分から15時までが佐々木大地七段と観戦記者の内田晶さん、15時30分以降は佐藤康光九段と本田小百合女流三段が出演する。 * *【ABEMA】 *https://abema.tv/channels/shogi/slots/97uTNUdJSZuuCs *【囲碁将棋プラス】 *https://www.youtube.com/@igoshogiplus 12 2二銀(31) ( 0:14/00:02:13) *2筋に銀を上がり、▲2四歩△同歩▲同飛には△3五角〜△5七角成で馬を作ることができる。 13 1六歩(17) ( 0:11/00:01:11) *タイトル保持者の永瀬は2019年の第67期、斎藤慎太郎王座を3連勝でくだし、初めて王座のタイトルを獲得。以降、久保利明九段、木村一基九段、豊島将之九段の挑戦を退け、現在4連覇中である。 *王座は連続5期、または通算10期獲得で「名誉王座」の永世称号が与えられる。これまでに中原誠十六世名人と羽生善治九段の2人が名誉王座の資格を得ており、今期、永瀬が防衛すれば3人目の誕生である。 14 1四歩(13) ( 1:09/00:03:22) *藤井は1分を消費し、端歩を受ける。 15 3八銀(39) ( 0:15/00:01:26) *角換わりは腰掛け銀、早繰り銀、棒銀の3つが主流の戦法。 *先手は▲3八銀のあと、どの道を進むかで戦い方が変わってくる。 16 3三銀(22) ( 0:35/00:03:57) *日本経済新聞サイト「NIKKEI LIVE」では、16時30分からオンラインの大盤解説会があり、解説は中村太地八段、聞き手は中村真梨花女流四段。中村女流四段は昨日、日本将棋連盟の公式サイトを通して千田翔太七段との入籍を発表したばかりだ。 *また、東京都渋谷区「駒テラス西参道」では17時30分から藤井猛九段と塚田恵梨花女流二段による解説会が、大阪市福島区「関西将棋会館」では16時から大橋貴洸七段と池永天志五段による大盤解説会が予定されている。 * *【NIKKEI LIVE - 日本経済新聞】 *https://www.nikkei.com/live/event/EVT230919005 *【駒テラス西参道】 *https://www.shogi.or.jp/nishisandou/ *【関西将棋会館道場にて第71期王座戦大盤解説会開催!】 *https://www.shogi.or.jp/event/2023/10/101171.html *【千田翔太七段と中村真梨花女流四段が結婚】 *https://www.shogi.or.jp/news/2023/10/post_2363.html 17 3六歩(37) ( 0:10/00:01:36) *第4局の開催地である京都市は、かつての日本の首都で「古都」と呼ばれる。歴史的な社寺や史跡、名勝、重要文化財が多く存在し、1994年には宇治市、滋賀県大津市とともに「古都京都の文化財」が世界遺産に登録された。 *対局場がある東山区においても、清水寺や八坂神社のほか、一級河川の鴨川や代表的な花街の祇園など、伝統や文化を感じられる名所がたくさんある。 18 6二銀(71) ( 0:12/00:04:09) *「ウェスティン都ホテル京都」は東山の高台にある宿泊施設。1890年、京都の油商人の西村仁兵衛らがホテルの前身となる遊園地「吉水園」を開業し、10年後に18室からなる全館洋式の「都ホテル」に改築された。 *その後、アメリカの大手ホテルチェーン・ウェスティンホテルズと業務提携し、2002年に現在の「ウェスティン都ホテル京都」に改称している。ホテルは地下鉄東西線の蹴上(けあげ)駅から徒歩2分。外観は洋風だが、中には緑鮮やかな庭園があり、京都市の文化財に指定されている。 *将棋のタイトル戦は王座戦のほか、王将戦、棋王戦を開催したことがあり、永瀬は3度目、藤井は初めての来訪になる。 * *【ウェスティン都ホテル京都】 *https://www.miyakohotels.ne.jp/westinkyoto/ 19 3七桂(29) ( 0:11/00:01:47) *▲3七桂の局面で、藤井が時間を使っている。 *控室では井上九段がモニターを見ながら「なんか、怖いねえ」とポツリ。 *藤井の指し手によっては、次にいきなり▲4五桂と跳んでいくことも考えられる。 20 7四歩(73) (11:11/00:15:20) *△7四歩は11分の考慮。 *公式戦のデータベースでは、現局面と同じ将棋が6局(▲1勝△5勝)見つかっており、このあとの駒組み、手順次第で別の前例が合流することもある。 21 4六歩(47) ( 0:11/00:01:58) *両対局者は昨日、対局場のホテルに到着。夕方の検分前に個別でインタビューが行われた。 *藤井は「スコアは意識せず、いい状態で迎えられたら。これまで内容は押されているところが多いので、これまでよりもいい内容の将棋が指せるように頑張りたい」、永瀬は「ここまで一局一局、全力は尽くせている。一生懸命、いつも通り、集中して頑張るしかない」と回答。 *その後、対局室の検分は5分ほどで終了した。盤、駒、脇息などの一式は将棋連盟関西本部のものが使われている。 22 7三桂(81) ( 2:17/00:17:37) *先述の通り、藤井は本局に勝てば、八大タイトルすべてを独占し、八冠を達成する。 *1996年、まだ叡王のタイトルがなかった時代に羽生善治九段が七冠独占を果たしているが、当時の年齢は25歳、プロ入りから10年1ヵ月での達成だった。 *ほかに全冠独占は1957年に升田幸三実力制第四代名人(当時39歳で三冠)が、1959年に大山康晴十五世名人(当時36歳で三冠、その後、四冠から五冠へ)が成し遂げている。 *現在の藤井は21歳で、今月プロ8年目に入ったばかり。年齢、獲得ペースを大幅に上回っており、過去17回のタイトル戦で一度も負けていない、という圧巻の強さを見せている。 23 4五桂(37) ( 0:17/00:02:15) *9時20分、永瀬が▲4五桂と前に出る。静かな控室に井上九段の「あっ! いった」の声が響いた。 *直前の△7三桂の局面は4局の前例があったが、次の一手はどれも▲6六歩と突いていた。 *「▲4五桂に(1)△4四銀と出て▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲3四飛△4一玉という順もあるかと思いますが、普通は▲4五桂に(2)△2二銀でしょうか。そこで先手は▲2四歩のほかに、▲7五歩も考えられます」(村田顕六段) * *【角換わりから早くも「怖い」手】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-5046.html 24 4四銀(33) (19:22/00:36:59) *藤井は19分を費やし、△4四銀と上がった。 25 2四歩(25) ( 0:12/00:02:27) *控室の村田顕六段は▲2四歩△同歩▲同飛に△2二歩と控えて打つ受けもあると話す。 26 同 歩(23) ( 0:10/00:37:09) *現地、ウェスティン都ホテル京都では14時から大盤解説会が行われる。 *解説は大石直嗣七段、西田拓也五段、井田明宏四段、宮嶋健太四段。聞き手は北村桂香女流二段が担当(事前申込制)で、2人ずつ交代で登壇する。 27 同 飛(28) ( 0:06/00:02:33) *先手は1歩を持ち駒に換えたため、次に▲7五歩△同歩▲7四歩と桂頭を攻める狙いができている。 28 2二歩打 ( 0:22/00:37:31) *藤井は、低く二段の位置に歩を打つ。 *代えて△2三歩と違い、飛車取りになっていないが、2二の地点を埋めておくことで▲3四飛〜▲2二歩という攻め筋をなくしている。 29 3七銀(38) ( 0:08/00:02:41) *▲3七銀を指し、永瀬がいったん席を外す。この銀立ちは△6四角と打たれる筋に備えている。 *一方、控室に大盤解説を担当する宮嶋健太四段が姿を見せた。今月1日付でプロ入りした、24歳の新人棋士である。 *立会人の淡路九段から「宇奈月温泉で会ったね」と声をかけられる宮嶋四段。12年前、富山県黒部市で行われた第24期竜王戦第3局のことで、そのときも淡路九段が立会人を務め、当時、小学生だった宮嶋5級と継ぎ盤を挟んだという。 *10時10分、藤井の考慮が30分を超えた。 *後手は手が広い局面。△4一玉、△4二玉、△5二金などが考えられ、△8六歩▲同歩に△6五桂と跳ぶようだと一気に激しくなりそうだ。 *対局室では、藤井が前傾姿勢で集中。永瀬の脇息には、黄色地に緑の亀が描かれたタオルが置かれている。 *その後、控室に大盤解説の棋士が続々と到着。糸谷哲郎八段や西川和宏六段も来訪し、賑わいを見せている。 30 8六歩(85) (71:21/01:48:52) *10時52分、藤井は1時間11分の長考で8筋の歩を突き出した。 * *※局後の感想※ *代えて△6四角なら、永瀬は▲4八玉と上がる予定だったという。 31 同 銀(77) ( 0:09/00:02:50) *永瀬はすぐに銀で応じる。 *代えて▲8六同歩は△6五桂と跳ねられ、▲6六銀や▲6八銀に△8六飛と走る手が速い。 32 4五銀(44) ( 0:14/01:49:06) *桂を食いちぎり、▲4五同歩に△5五角が銀香の両取りになる。 33 同 歩(46) ( 0:09/00:02:59) *【神宮寺道周辺の景色(1)】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-d203.html *【神宮寺道周辺の景色(2)】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-cda0.html *【神宮寺道周辺の景色(3)】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-3188.html *【神宮寺道周辺の景色(4)】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-7beb.html 34 5五角打 ( 0:04/01:49:10) *天王山の角打ち。 *現状の駒割りは銀桂交換だが、後手は銀か香かを取れば2枚換えになる。 35 2七飛(24) ( 1:48/00:04:47) *藤井の離席中に永瀬が飛車を引く。 *控室では、モニター前の大石七段が「どこまでが永瀬王座の研究なのでしょう」とコメント。 * *【藤井竜王・名人、午前から長考】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-76b4.html 36 9九角成(55) ( 3:32/01:52:42) *席に戻った藤井は白の羽織を脱ぎ、着物姿に変わっている。 37 7七角打 ( 0:08/00:04:55) *永瀬は角を合わせて馬を消しにいく。 *△8九馬なら▲2二角成△同金▲同飛成で、6筋が壁になっている後手玉は逃げ場が狭い。 38 同 馬(99) ( 2:20/01:55:02) *控室に取材で訪れている勝又清和七段は「お互い想定内の進行だと思いますが、藤井竜王・名人が時間を使いすぎているのが気になります」とコメント。 *△7七同馬までの消費時間は▲永瀬4分、△藤井1時間55分(チェスクロック使用)。午前中から大きな時間差がついている。 39 同 桂(89) ( 0:05/00:05:00) *「▲7七同桂の局面で後手のパッとした手が思い浮かばないですねえ」(井上九段) *その横で糸谷八段は△5五角や△5四香を候補に挙げ、△8三香のような攻めは間に合いそうにないという。 *京都市出身の井田四段は、現局面「先手を持ちたい」との見解。先手は次に▲7五歩のほか、▲4四歩△同歩に▲4三銀と打ち込む攻めが厳しいと話す。以下△同金に▲2二飛成で竜を作れば居玉の後手は持たない。 *正座のまま両膝を開いて前のめりの藤井。考慮中は握った扇子を親指で開閉し、時折、湯飲みの茶で喉を潤している。永瀬はあぐらに崩し、悩まし気に下を向いている。 * *【周辺散策】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-8d74.html 40 5二金(61) (53:17/02:48:19) *11時53分、藤井が5筋の玉頭に金を上がった。 *△5二金は53分の長考で、藤井はトータル2時間48分を消費。王座戦の持ち時間は5時間なので、すでに残りは半分より少なくなっている。 *「△5二金は一番指したい手なのですが、検討では▲7五歩の桂頭攻めが厳しく、間に合わないのではないか、と言われていました。おそらく永瀬王座は▲7五歩と突くと思いますが、その次の一手が注目ですね」(村田顕六段) *時刻は12時を回り、立会人の淡路九段が対局室に入った。記録係の戸川二段にとって淡路九段は師匠(久保利明九段)の師匠、いわゆる「大師匠」に当たる。 *△5二金の局面で12時10分になり、昼食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲永瀬21分、△藤井2時間48分(チェスクロック使用)。 *昼食は、永瀬が「ビーフカレー温野菜添え(サラダ付き)」で、飲み物はアイスカフェラテとグレープフルーツジュース。藤井が「寿司盛り合わせ(お吸い物付き)」で、飲み物は緑茶。 *藤井は13時の再開より、10分以上早く対局室に戻った。そして前傾になって考え始める。休憩中はいくら考えても持ち時間が減ることはない。 *手番の永瀬は12時56分に戻った。腕時計を座布団の前に置き、盤に近づくように首を前に出す。 * *【昼食休憩】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-bc24.html *【昼食休憩中の対局室】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-44b1.html *【対局者の昼食】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-7632.html * *※局後の感想※ *代えて△5五角には「▲4六角が冷静ですか」と藤井。感想戦では以下△同角▲同銀△6四角に▲5五銀打△8六角▲同歩△同飛▲4四歩△同歩▲同銀の変化が並び、永瀬は「こちらが怖いですか」とコメント。 41 7五歩(76) (17:54/00:22:54) *13時、戸川二段が「再開の時刻になりました」と告げたあと、永瀬が7筋の桂頭攻めに出た。 *▲7五歩に△同歩なら▲7四歩と打って桂が取れる。 *控室では(1)△6五桂打▲7四歩に△7七桂不成の順でどうかと検討されていた。最後、桂を不成で入るのが重要で▲7三歩成に△6九桂成が王手になる。 *ほかに(2)△8四飛と浮く受けも考えられるが、それには▲9五銀打と露骨に追い返し、△8一飛に▲7四歩の取り込みが大きいという。 *右手で口元を押さえる藤井。残り時間は2時間を切った。 *現地では大盤解説会の入場が始まっており、本日の出演棋士たちが受付に立って対応している。 * *【昼の対局再開】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-906d.html 42 8四飛(82) (42:04/03:30:23) *藤井は42分考え、飛車を浮いた。 *控室では淡路九段と勝又七段が継ぎ盤を動かし、(1)▲9五銀打△8一飛▲7四歩には△9四歩でどうかと話している。 *ほかには(2)▲6六角や(3)▲7四歩△同飛▲8三角といった順が挙がっており、永瀬にとっては選択肢が多い局面のようだ。 *一方、控室にはノンフィクション作家の後藤正治さんが来訪している。後藤さんは京都市の出身で『空白の軌跡』『遠いリング』『リターンマッチ』『清冽 詩人茨木のり子の肖像』など多数の著書がある。本局は、後藤さんによる観戦記エッセーが後日、日本経済新聞紙上に掲載される。 *14時13分、永瀬の考慮が30分を超えた。扇子を持ちながらあぐらになり、鋭い視線を盤上に向けている。 *その後の検討で、新たに(4)▲3八角と(5)▲7四歩△同飛に▲5六角と打つ順が示された。 *角の打ち場所が微妙に異なるが、単に▲5六角だと△5四香があり、▲7四歩△同飛▲3八角は△5四飛とかわされ、次に△5七飛成の狙いを与えてしまう。 *永瀬の長考が1時間になった。立会席には淡路九段と後藤さんが座っており、朝、和服だった淡路九段はスーツに着替えている。 *時刻は15時を回り、両対局者のおやつが用意された。 *永瀬のおやつは「シャインマスカットのパフェ」で、飲み物はアイスカフェラテとグレープフルーツジュースとパイナップルジュース。藤井のおやつは「丹波栗とラズベリーのケーキ」で、飲み物はアイスティーとパイナップルジュース。 *先に藤井が席を外し、やがて永瀬も離席。対局室には一部の飲み物だけが運ばれており、食べ物などは別室に用意されているからだ。しばらくして両者がそれぞれの席に戻る。 *控室は(4)▲3八角を中心に検討が進み、以下△5四香▲7四歩△5七香成に▲4八銀と引く順が並んでいる。途中の△5四香にすぐ▲4八銀と引くほうが堅く見えるが、それだと後手が△3三桂〜△4五桂と跳ねやすくなるという。 * *【長考を重ねる挑戦者】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-8ada.html *【大盤解説会(1)】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-bb6b.html *【午後の控室】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-2058.html *【おやつ】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-6c0a.html * *※局後の感想※ *感想戦では代えて△6五桂打の変化に触れられ、以下▲7四歩△7七桂不成▲5八金左△6五桂▲7三銀△9二飛▲7七銀で永瀬は「なんとか、なりそうな」とコメント。 43 7四歩(75) (124:08/02:27:02) *15時48分、永瀬の手が動いた。 *シンプルに歩を取る▲7四歩。2時間4分の大長考だった。 * *※局後の感想※ *「第一感▲9五銀打だったのですが、うまくいかないですか?」(永瀬) *「いや、打たれて悪いかなと思っていました」(藤井) *感想戦では代えて▲9五銀打△8一飛▲7四歩△9四歩▲4四歩△同歩▲7三歩成△同銀▲6五桂という変化が並べられた。 44 同 飛(84) ( 0:18/03:30:41) *△7四同飛までの消費時間は▲永瀬2時間27分、△藤井3時間30分(チェスクロック使用)。 * *【大盤解説会(2)】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-4f6e.html 45 3八角打 ( 0:18/02:27:20) *7筋に呼び込んだ飛車を狙って自陣角を放つ。 *▲7四歩△同飛▲3八角の順は42手目(△8四飛)のコメントで触れたが、△5四飛の逃げ場があるため、打つなら▲5六角がよいと見られていた。 *控室は淡路九段と井上九段は継ぎ盤を動かし、△5四飛▲7四歩△5七飛成▲5八金右△3七竜▲同飛△2六角▲4八銀△3七角成▲同銀△3九飛▲4九角打まで並べて「後手が攻めきるのも大変か」と話す。 *16時18分、藤井の残り時間が1時間を切った。 *その後、淡路九段がモニター前に移動し、対局室の様子を注意深く見ている。外は西日になっており、窓の隙間からさし込む光が永瀬の羽織に当たっているという。 * *【永瀬王座の長考返し】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-99b9.html 46 5四飛(74) (38:30/04:09:11) *16時27分、藤井は30分以上考え、5筋に飛車を回った。残りは51分。 * *【大盤解説会(3)】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-ce72.html 47 7四歩打 ( 1:05/02:28:25) *永瀬は△5七飛成を王手を恐れず、桂取りに歩を打った。 48 5七飛成(54) ( 0:37/04:09:48) *玉頭から竜の王手。 49 5八銀打 ( 1:23/02:29:48) *永瀬は持ち駒の銀を使って王手を防ぐ。控室の検討に出なかった受けだ。 50 5五竜(57) ( 0:48/04:10:36) *相手が銀を使ったため、おとなしく竜を下がっておく。 *代えて△5四竜だと▲4六銀の前進がプレッシャーになりそうだ。 51 7三歩成(74) ( 2:13/02:32:01) *「これは▲7三歩成△同銀で激戦になってきたんじゃないかなあ」(淡路九段) 52 同 銀(62) ( 0:08/04:10:44) *△7三同銀の局面で駒割りは銀香交換。 * *【藤井竜王・名人、残り時間が1時間を切る】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-208e.html 53 8三角成(38) ( 7:42/02:39:43) *角を成って銀取り。 *控室では▲8三角成以下△6四銀▲8四馬△4二玉▲6六馬の変化が並んでいる。 54 6四銀(73) ( 0:14/04:10:58) *「段々と力のこもった、ねじり合いの感じになってきましたね。この局面で夕食休憩に入ってもおかしくない思います。永瀬王座としては、藤井竜王・名人の時間を削りたいところでもありますが、焦って指してもよくないので」(村田顕六段) *現地の大盤解説会も17時から休憩を取り、18時に再開する予定とのこと。 *永瀬がおやつに頼んだジュースのストローに口をつける。どうやら休憩まで動く気配はなさそうだ。 *△6四銀の局面で17時になり、夕食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲永瀬2時間58分、△藤井4時間10分(チェスクロック使用)。 *夕食は、永瀬が「ビーフカレー温野菜添え(サラダ付き)」とアイスカフェラテ。藤井が「海老天丼(お吸い物付き)」と緑茶。永瀬は昼食、夕食と続けてカレーを頼んでいる。 *17時30分、戸川二段から「(再開の)時間になりました」の声。藤井は17時19分、永瀬はそれより少し遅く対局に戻った。 *永瀬は、左側の脇息に手を置いて前傾姿勢。そして正座を崩し、眉間にシワを寄せている。外は日が落ち、徐々に薄暗くなってきた。 * *【夕食休憩】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-d57e.html *【夕食休憩中の対局室】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-48fb.html *【対局者の夕食】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-b7c9.html 55 7六桂打 (30:56/03:10:39) *17時42分、永瀬が持ち駒の桂を盤上に打つ。銀取りで駒得を広げにいった。 *後手は6四の銀の逃げ場がなく、△8二歩は▲8四馬が王手だ。 * *【夕食休憩明けの一着】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-ba61.html * *※局後の感想※ *「本譜は▲7六桂がぴったりすぎて」と藤井。以下△8一香には▲5六歩と受けて先手が指せる。 56 4二玉(51) ( 3:56/04:14:54) *本局、56手目で初めて玉が動いた。 *△4二玉は控室でも本命視されていた一手。安全な場所に移動する実戦的な玉上がりである。 *対局室から戻った淡路九段は和服に着替え直しており、継ぎ盤に▲6四桂△同歩▲5六歩の順を並べる。 57 6四桂(76) (10:02/03:20:41) *「▲6四桂に△同歩と△同竜がありますが、△6四同竜は▲6五馬と引かれる手が気になるので、私は△6四同歩かなと思います」(村田顕六段) 58 同 歩(63) ( 2:52/04:17:46) *藤井は取った桂を駒台に置き、軽く押し出すように歩を進める。 *銀と桂の交換だが、次に△5七桂と打てれば駒損は取り戻せる。 59 4六銀打 ( 4:19/03:25:00) *そうはさせまいと、永瀬は銀を手厚く投入。 *竜に当てながら△5七桂の両取りを防いでいる。 60 5四竜(55) ( 0:11/04:17:57) *竜を取られずに済む場所は、5四の地点しかない。 *永瀬が腕組みをしながら体を揺らす。 61 7四馬(83) ( 0:18/03:25:18) *じっと馬を引き、力をためる。 *先手は次に▲5五歩と打てば竜が取れる形。状況次第では▲5二馬と切る寄せを見ている。 62 6五歩(64) ( 0:13/04:18:10) *6筋の歩を突き、竜の横利きを通す。 *控室の淡路九段は▲6五同馬△6三竜▲5五銀まで並べて「次に▲5四歩と合わせられたら、先手が指せそうな感じに見えますね」と話す。 63 同 馬(74) (14:12/03:39:30) *馬で歩を払い、相手の竜に当て返す。△6五同竜は▲同桂の活用が大きそうだ。 64 6三竜(54) ( 0:08/04:18:18) *「△6三竜が逃げ場所としては一番いいでしょうね。6五の馬を質駒にできる位置ですし、代えて△8四竜だと▲2三歩△同歩に▲6六馬と引くような順があるので。△6三竜の局面で先手が何を指すか。▲7五銀は△8八角と打たれる手があって、以下(1)▲7八金は△7七角成▲同金△6五竜、(2)▲6四銀も△7七角成▲6八金△6四竜▲同馬△5六桂で先手が危ないです」(西田五段) * *※局後の感想※ *「△6三竜と引かれて、すでによさは感じていなかったのですが」(永瀬) 65 5五銀(46) (14:57/03:54:27) *4筋の銀を前に出し、中央の圧迫を図る。 *「先手が指せそうな局面に見えますが、藤井竜王・名人もうまく持ちこたえているので、これは永瀬王座も焦ると思いますよ」(井上九段) *▲5五銀の着手後、永瀬が羽織を脱いで横に置く。そしてあぐらになり、盆に置いてあったゼリー飲料を1つ開けた。 *手番の藤井は、この局面で残り30分を切っている。 * *【大盤解説会(4)】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-d4b9.html 66 6二竜(63) (15:26/04:33:44) *竜を1マス引き、▲6四銀の当たりを避ける。 *代えて△6一竜のほうが遠ざけてはいるが、二段目に引くことで5三の地点への利きを残している。 *18時54分、永瀬も残り1時間を切った。午前中は大差だった消費時間もジワジワと縮まりつつある。 * *【夕食休憩後に相居玉を解消】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-cb26.html 67 4六銀(37) (12:33/04:07:00) *永瀬は12分を費やし、▲4六銀上と力をためた。 *控室の大石七段は「2七の飛車の横利きを通していますし、感触のよさそうな一手です」とコメント。 *先手は持ち駒が歩しかないため、「攻める」よりは「力をためる」方針がよいという。 * *※局後の感想※ *感想戦では代えて▲4四歩△同歩▲5四歩△同歩▲5三歩△同金▲5四銀△同金▲同馬の変化が検討され、△4三銀▲6三金△5四銀▲6二金△6八歩▲5二飛△4三玉に▲7九金とかわすようでは先手の味が悪いという。 68 5四桂打 ( 2:45/04:36:29) *「なるほど。△5四桂ですか」と井上九段。 *▲5七銀引には△2六香と打ち、▲同飛に△3七角の王手飛車がある。 *継ぎ盤では▲5四同銀と取って△同歩に▲7五馬と寄る変化が調べられている。 *以下△6四銀なら▲8四角△7三銀に▲6六馬と時間差で引き戻してどうか。 69 同 銀(55) ( 6:55/04:13:55) *7分近く考え、貴重な手番を取りにいく。 *外はすっかり夜になっており、庭園の緑もほとんど見えなくなっている。 70 同 歩(53) ( 0:05/04:36:34) *残り時間は▲永瀬47分、△藤井24分。 71 7四歩打 ( 0:04/04:13:59) *軽く7筋に歩を垂らす。 *この歩を打っておけば、次に▲7五馬△6四銀▲8四馬と動いた際に△7三銀と引くことができない。 72 7二歩打 ( 6:40/04:43:14) *歩の攻めには歩で対応。 *後手は角、銀、桂、香とたくさん攻め駒を持っているため、反撃に回れる手番がほしい。 73 5四馬(65) ( 2:17/04:16:16) *控室のモニター前は大石七段と西川六段が横並びで座っており、▲5四馬は次に▲5五馬と引き、▲5四桂と▲2二馬のふたつの筋を狙っているという。 *▲5四馬に△5三香の田楽刺しはあるが、▲7六馬△5八香成▲同金左と収めておけば、次に▲5四桂の反撃を楽しみにできる。 74 3一玉(42) ( 1:19/04:44:33) *「▲5四馬と△3一玉は難しい応酬ですけど、なんとなく、ふたりの波長が合っているように見えますね」(大石七段) *△3一玉は先ほど記した▲5五馬〜▲5四桂の両取りと、▲5五馬〜▲2二馬の侵入を同時に受けている。 * *【ともに4時間以上を消費する】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-4124.html 75 5五馬(54) ( 5:42/04:21:58) *馬を真下に引き、△5三香の筋を避ける。 76 6四銀打 ( 0:40/04:45:13) *「これは銀を打って、だいぶ後手陣が堅くなったように見えますね」(井上九段) 77 5六馬(55) ( 0:13/04:22:11) *淡路九段は継ぎ盤を動かしながら▲5六馬に△8五歩を示す。 *以下▲同銀なら7七の桂が浮き、▲8五同桂なら6五の地点で馬を追いやすくなるという。 78 5四桂打 ( 3:18/04:48:31) *「△5四桂に▲5五銀と出られないようだと、先手の指し手が変調ですね」(淡路九段) * *【先手の厚みが消える】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-d379.html 79 5五銀(46) ( 7:28/04:29:39) *7分の考慮で前に出た。 *△5五同銀▲同馬で交換し、今度△6四銀なら▲5四馬で桂が取れる。 80 同 銀(64) ( 3:00/04:51:31) *藤井は残り10分を切った。 81 同 馬(56) ( 0:02/04:29:41) *控室の村田顕六段は「▲5五同馬に△4六角か△4六銀かを打って、▲5四馬に△5三香と打つ攻めが痛そうに見えます」と話す。 82 4六角打 ( 2:34/04:54:05) *△4六角に▲同馬なら△同桂の跳躍が気持ちよい。 83 5四馬(55) ( 2:27/04:32:08) *2分を使い、桂を取った。 *先手はずっと居玉だが、後手陣も2筋が壁で安心できない玉形だ。 84 5三香打 ( 0:02/04:54:07) *藤井は間髪入れずに香を設置。 85 7六馬(54) ( 0:03/04:32:11) *永瀬もすぐに馬を下がった。 *そして19時53分、藤井が先に持ち時間(5時間)を使い切る。戸川二段による秒読みが始まった。 * *【藤井竜王・名人、持ち時間を使いきる】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-13cc.html 86 5七歩打 ( 5:53/05:00:00) *香の利きを生かして歩を放つ。▲4七銀には△5八銀か。 87 5四歩打 ( 0:04/04:32:15) *永瀬は銀を犠牲に目障りな香先を止める。 88 5八歩成(57) ( 0:00/05:00:00) 89 同 金(69) ( 0:05/04:32:20) *まだ永瀬は20分以上残しているが、時間を使わずに指し進めている。 90 5七歩打 ( 0:00/05:00:00) 91 同 金(58) ( 0:27/04:32:47) 92 5四香(53) ( 0:00/05:00:00) *控室の継ぎ盤には△5四香▲同馬△5七角成▲同飛に△5六歩と打つ変化が並んでいる。 93 同 馬(76) ( 0:09/04:32:56) 94 5七角成(46) ( 0:00/05:00:00) *両者の火花が散る、華々しい攻め合い。 95 同 飛(27) ( 0:02/04:32:58) 96 5六歩打 ( 0:00/05:00:00) *△5六歩に(1)▲同飛は△6七竜があり、(2)▲2七飛なら△5七銀と上から被せていける。 *あぐらの永瀬が扇子で顔をあおぐ。 *非常に難解な局面なのだろう。控室では「難しい」「分からない」といった声が聞こえる。 *時刻は20時を回った。 97 7五角打 ( 9:56/04:42:54) *永瀬は10分近く考え、角の王手を放った。 *控室では△6七竜を阻止する意味で、代えて▲6四角も候補に挙がっていた。 * *【20時過ぎの控室】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/20-92d3.html * *※局後の感想※ *代えて▲6四角と打ち、△5三銀に▲5六飛△6四銀に▲2四桂と打つ変化も難しかった。 98 4二金(52) ( 0:00/05:00:00) *持ち駒を節約し、金寄りでしのぐ。前傾姿勢の永瀬が再び体を揺らす。 *▲5六飛は△6七竜が詰めろになるため、飛車を逃げるとすれば▲5八飛か。 *手番の永瀬がいったん席を立った。 99 5八飛(57) ( 9:46/04:52:40) *永瀬は飛車を引き、着手後、顔を上げて視線を上に飛ばす。 *これは▲5八飛に△6七竜なら▲6八香と受ける考えだろう。 * *※局後の感想※ *代えて▲2七飛と横にかわし、△5七銀に▲6八銀と受ける順もあった。 100 5七銀打 ( 0:00/05:00:00) *20時21分、藤井は5筋の拠点を生かし、銀を打ち込んでいく。 101 6三銀打 ( 4:38/04:57:18) *控室では▲6五香や▲6三香の変化が調べられていたが、永瀬の指し手は▲6三銀。 *「銀かあ。銀では先手がつらいですかねえ」(井上九段) 102 5八銀(57) ( 0:00/05:00:00) *不成で入って飛車を入手。 *▲5八同金には△5七銀の追い込みが厳しい。 103 同 玉(59) ( 0:16/04:57:34) 104 5七銀打 ( 0:00/05:00:00) *一気に先手玉に迫っていく藤井。 * *※局後の感想※ *△5七銀では、代えて△2七飛や△4六飛が有力とされた。 105 同 角(75) ( 0:06/04:57:40) *▲5七同角△同歩成▲同玉と清算し、まだ簡単には決まらなそうに見えるが。 106 同 歩成(56) ( 0:00/05:00:00) 107 同 玉(58) ( 0:01/04:57:41) 108 5一竜(62) ( 0:00/05:00:00) *いったん自陣に手を戻す。 *持ち駒の飛車、角、金だけで寄せきるのは難しかった。 109 5二歩打 ( 0:16/04:57:57) *対局室の藤井は右手で口を押さえたまま前傾を保っている。 *まだ勝ちを読みきっている、という雰囲気ではない。 110 8一竜(51) ( 0:00/05:00:00) *20時34分、△8一竜の局面で永瀬も持ち時間を使いきった。 * *【両者秒読みに】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-4459.html 111 8五香打 ( 2:03/05:00:00) *歩切れの相手には厳しい香打ち。 112 6一竜(81) ( 0:00/05:00:00) *「△6一竜には、もう▲6二銀打とやっていきますか」(井上九段) 113 6二銀打 ( 0:00/05:00:00) *永瀬は銀を重ね打ち、飛車を取りにいく。 *控室の淡路九段は△6二同竜▲同銀成△2三歩に▲4六桂を一例に挙げた。次に▲3四桂と跳ねれば2二の地点に利く。 114 同 竜(61) ( 0:00/05:00:00) 115 同 銀成(63) ( 0:00/05:00:00) 116 2三歩(22) ( 0:00/05:00:00) *2筋への逃げ道を作る歩突き。 117 5一歩成(52) ( 0:00/05:00:00) *永瀬はと金を作り、勢いよく扇子で顔をあおぐ。 *次の▲5二成銀や▲5二とが確実な攻めで厳しい。 118 3七角打 ( 0:00/05:00:00) *△3七角は香取りを見せながら、次に△5五銀や△5五金で上部脱出を防ぐ狙いがある。 119 5二と(51) ( 0:00/05:00:00) *軽い手つきでと金を引く。 *と金は相手に渡しても歩にしかならないため、攻め駒としての価値が非常に高い。 120 同 金(42) ( 0:00/05:00:00) *代えて△3三金右で相手の攻めをいなしにいくかと思われたが、藤井はあっさり金を差し出した。 121 同 成銀(62) ( 0:00/05:00:00) 122 5五銀打 ( 0:00/05:00:00) *控室は△5五銀に▲4二金で「永瀬勝ち」と結論付けられている。 123 5三馬(54) ( 0:00/05:00:00) *20時46分、永瀬が▲5三馬と入ると、井上九段と勝又七段が「あれ?!」と大きな声を上げる。 *ちょうど淡路九段らが終局近しと見て対局室に向かった直後だった。 * *※局後の感想※ *▲5三馬が失着。代えて▲4二金と打ち、△同金▲同成銀△同玉▲5二飛の順で先手の勝ちだった。以下(1)△同玉は▲5三銀△4一玉▲4二金まで。(2)△3三玉には▲5五馬と取り、△同角成▲2二銀△2四玉▲2五歩△同玉▲2六歩△同玉▲1七銀と追って後手玉が詰む。 *永瀬は最後の▲5二飛が「エアポケットに入っていた」と話し、▲6二飛を中心に読んでいたという。 124 2二玉(31) ( 0:00/05:00:00) 125 3八桂打 ( 0:00/05:00:00) *控室は▲3八桂に△5六歩と打って「後手勝ち」の見解に変わっている。 *「いやあ、これは、大逆転だ」(井上九段) 126 5六歩打 ( 0:00/05:00:00) *藤井が歩を打ち、永瀬玉を追い込んでいく。 *後手玉は▲3一銀に△1二玉と寄り、▲2二金なら△1三玉、▲2二飛なら△同金▲同銀成△同玉で大丈夫だ。 127 6八玉(57) ( 0:00/05:00:00) *永瀬が▲6八玉と引き、着手後、顔を真上に向けて天を仰ぐ。 128 9八飛打 ( 0:00/05:00:00) *今度は9筋から飛車の王手。先手は合駒を1枚使うしかない。 129 7八桂打 ( 0:00/05:00:00) 130 5七歩成(56) ( 0:00/05:00:00) *「いやあ、将棋って怖すぎない?」と勝又七段。 *▲5七同玉に△7八飛成で先手の受けが難しそうだ。 131 同 玉(68) ( 0:00/05:00:00) *永瀬がと金を払ったあと、左側の脇息にもたれかかる。大きなため息が聞こえた。 132 7八飛成(98) ( 0:00/05:00:00) 133 4七金打 ( 0:00/05:00:00) *▲4七金には△5六桂が決め手になりそうだ。 134 6六桂打 ( 0:00/05:00:00) *美しい桂打ちで決めにいく。 *△6六桂は△5八金以下の詰めろ。▲6六同歩は△6七金まで。▲5九歩も△同角成▲同金△5八金で受けにならない。 135 5八歩打 ( 0:00/05:00:00) *▲5八歩には△同桂成と取って先手玉が詰んでいる。 *着手後、永瀬は置いていた羽織をまとった。 136 同 桂成(66) ( 0:00/05:00:00) 137 同 金(49) ( 0:00/05:00:00) 138 5六歩打 ( 0:00/05:00:00) *△5六歩の局面で永瀬が「負けました」と投了を告げた。 *以下は▲同金△同銀▲同玉△5五金▲4七玉△4六金打▲同桂△同金▲3八玉△5八竜▲2九玉△2八竜までの詰み。 *終局時刻は20時59分。消費時間は▲永瀬5時間0分、△藤井5時間0分(チェスクロック使用)。 *この結果、五番勝負は藤井が3勝1敗で王座のタイトルを奪取。将棋界史上初、八大タイトルをすべて持つ「八冠」が誕生した。 * *【藤井聡太八冠が誕生】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-e69e.html *【終局直後】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-bb10.html *【大盤解説会場で挨拶】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-7e6b.html *【最終盤のポイント】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-8041.html *【感想戦】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-10da.html *【記者会見】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-1155.html *【一夜明け会見】 *https://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2023/10/post-c7ec.html 139 投了 ( 0:00/05:00:00) まで138手で後手の勝ち