# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.05 棋譜ファイル --- 対局ID:6809 記録ID:59d5eff24746f60004673dfb 開始日時:2017/10/11 09:00 終了日時:2017/10/11 20:36 表題:王座戦 棋戦:第65期王座戦五番勝負 第4局 戦型:角換わりその他 持ち時間:各5時間 消費時間:80▲299△252 場所:神奈川・横浜ロイヤルパークホテル 備考:昼休前45手目59分・夕休前63手目39分\n 振り駒:なし 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:10〜13:00 夕食休憩:18:10〜19:00 昼休前消費時間:45手59分 夕休前消費時間:63手39分 手合割:平手   先手:羽生善治王座 後手:中村太地六段 後手省略名:中村太 手数----指手---------消費時間-- *羽生善治王座に中村太地六段が挑む第65期王座戦(主催・日本経済新聞社)五番勝負は第4局を迎える。挑戦者の中村が2勝、羽生が1勝。中村が勝てばタイトル初戴冠。羽生が勝てば決着は第5局に持ち越される。 *注目の第4局は10月11日(水)神奈川県横浜市「横浜ロイヤルパークホテル」で9時開始。立会人は藤井猛九段、新聞解説は村山慈明七段、記録係は岡井良樹三段(大野八一雄七段門下)。 *持ち時間は各5時間。第4局の先手番は羽生。 *ニコニコ生放送の解説は永瀬拓矢六段、聞き手は貞升南女流初段。 *AbemaTVの解説は福崎文吾九段、杉本昌隆七段、田村康介七段、聞き手は竹部さゆり女流三段、安食総子女流初段。 *【日本経済新聞】 *https://www.nikkei.com/ *【ニコニコ生放送】 *http://live.nicovideo.jp/watch/lv306133437 *【AbemaTV】 *https://abema.tv/channels/shogi/slots/8JWAYad6TvLPvX *(棋譜コメント入力=吟) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手] *【】内は中継ブログタイトルならびにリンク 1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *立会人の藤井猛九段が対局開始を告げる。羽生は7筋の歩を手に持って、右からスライドさせるように▲7六歩を着手した。 *【対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-75cb-1.html 2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *8時46分、中村が対局室入り。羽生の入室は53分。羽生が駒袋を開けるとサラサラと乾いた駒音が対局室に響く。羽生が王将をつかみ、駒が並べ始められた。 *△8四歩が指されると、報道陣は退室。羽生は少し微笑みながら、その様子を見ている。 *【対局者入室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-592f.html 3 2六歩(27) ( 2:00/00:02:00) *◆羽生 善治(はぶ よしはる)王座(棋聖)◆ *1970年9月27日生まれ、埼玉県所沢市出身。(故)二上達也九段門下。1985年、四段。1994年、九段。棋士番号は175。 *タイトル戦登場は132回。獲得は竜王6期、名人9期(十九世名人)、王位18期(永世王位)、王座24期(名誉王座)、棋王13期(永世棋王)、王将12期(永世王将)、棋聖16期(永世棋聖)の計98期。棋戦優勝は44回。 4 3二金(41) ( 1:00/00:01:00) *◆中村 太地(なかむら たいち)六段◆ *1988年6月1日生まれ、東京都府中市出身。(故)米長邦雄永世棋聖門下。2006年、四段。2012年、六段。棋士番号は261。 *タイトル戦登場は3回。 5 7八金(69) ( 1:00/00:03:00) *羽生の通算成績は1384勝557敗(0.713)、今年度成績は18勝14敗(0.563)。 6 8五歩(84) ( 0:00/00:01:00) *中村の通算成績は292勝157敗(0.650)、今年度成績は16勝5敗(0.762)。 7 7七角(88) ( 0:00/00:03:00) *昨日、対局検分は18時から予定されていた。中村は10分以上前に対局室に入っていた。羽生は17時54分に対局室に。羽生が腰を落ち着けると、立会人の藤井猛九段が「それでは検分を始めたいと思います。まずは駒から」と声を掛ける。盤駒は問題なし。「何か気になることは」と藤井猛九段が聞くと両対局者、「特にないです」と答えた。検分は5分ほどで終わった。 *【検分】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-42ac-1.html 8 3四歩(33) ( 0:00/00:01:00) *羽生と中村が「横浜ロイヤルパークホテル」で対局するのは、本局が2度目。1度目は第61期王座戦五番勝負第3局で、中村が129手で制して、シリーズ2勝目を挙げた。このシリーズは第4局、第5局と羽生が制して、逆転防衛した。 *【第61期王座戦五番勝負第3局】 *http://live.shogi.or.jp/ouza/kifu/61/ouza201310020101.html 9 8八銀(79) ( 0:00/00:03:00) *対戦成績は羽生9勝、中村4勝。両者は第61期王座戦でも戦っており、3勝2敗で羽生が王座を防衛している。 * * 10 7七角成(22) ( 1:00/00:02:00) *ほかの駒に触れないないように、注意しながら△7七角成と角を換えた。戦型は角換わりに決まった。 11 同 銀(88) ( 0:00/00:03:00) *本局が行われている「横浜ロイヤルパークホテル」は、みなとみらい21のシンボル的存在として知られている。横浜ランドマークタワー内上層階部にある同ホテル。横浜ランドマークタワーは70階建て、高さ296mの超高層ビルだ。1993年に開業し、横浜市内で有数の高級ホテルとして知られている。徒歩圏内には日本丸メモリアルパークや横浜美術館、横浜赤レンガ倉庫がある。 *【横浜ロイヤルパークホテル】 *https://www.yrph.com/concept/index.html 12 2二銀(31) ( 0:00/00:02:00) *NIKKEI STYLEでは、今シリーズの直前特集記事が掲載されている。両対局者のインタビューあり、本局の立会人の藤井猛九段と広瀬章人八段の戦型予想や勝敗予想など興味深い記事だ。 *【羽生王座VS.中村六段 将棋王座戦五番勝負・直前特集】 *https://style.nikkei.com/article/DGXMZO20549570Q7A830C1970M00?channel=DF280120166618&style=1 13 3八銀(39) ( 2:00/00:05:00) *本局の大盤解説会は東京・将棋会館と関西将棋会館で行われる。東京の解説は上村亘四段、聞き手は和田あき女流初段、ゲストは森下卓九段。大阪の解説は北浜健介八段、聞き手は山口絵美菜女流1級。 *【大盤解説会情報】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-50f8.html 14 6二銀(71) ( 0:00/00:02:00) *今期の王座戦五番勝負は第1局が185手、第2局が156手、第3局が134手と熱戦が繰り広げられている。 15 4六歩(47) ( 1:00/00:06:00) *本日のスケジュールは下記の通り。 *09:00 対局開始 *12:10 昼食休憩 *13:00 対局再開 *15:00 おやつ *18:10 夕食休憩 *19:00 対局再開 16 4二玉(51) ( 1:00/00:03:00) *中村が△4二玉を着手すると、羽生は大きなくしゃみをする。やがて信玄袋から眼鏡拭きを取り出して、眼鏡を拭く。それを見て中村は席を外す。 17 3六歩(37) ( 4:00/00:10:00) *「おっ、積極的に▲3六歩ですね」と村山七段。 *横浜ロイヤルパークホテルでは囲碁の第65期王座戦第1局が10月20日(金)に行われる。井山裕太王座に一力遼七段が挑むシリーズだ。 *【日本棋院 第65期王座戦】 *http://www.nihonkiin.or.jp/match/oza/065.html 18 7四歩(73) ( 2:00/00:05:00) *△7四歩を見た田村七段「これは棒銀があるのかな。含みにしていますね」と話している。 19 3七桂(29) ( 1:00/00:11:00) *■AbemaTV■ *田村康介七段>▲3七桂に△7三銀とは出にくいですね。▲2五歩△3三銀に▲6八玉としてから、▲4五桂と跳ねられてしまいそうです。 20 7三銀(62) ( 2:00/00:07:00) *出にくいと田村七段が話していた銀だが、中村は2分の考慮で銀を出る。 21 2五歩(26) ( 0:00/00:11:00) *本局の日本経済新聞観戦記を担当するのは野月浩貴八段。本日の朝刊には若島正さんによる五番勝負第2局の観戦記が掲載されている。 22 3三銀(22) ( 0:00/00:07:00) *▲2五歩と突かれた手には、△3三銀がワンセット。先手の飛車先の歩交換を防ぐ。 *本局の立会人の藤井猛九段は第48期と第58期の挑戦者。第48期は2勝3敗、第58期は3連敗で王座奪取とはならなかった。いずれも王座を保持していたのは羽生だ。 23 4七銀(38) ( 1:00/00:12:00) *【朝の表情】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-1711.html 24 6四銀(73) ( 0:00/00:07:00) *△6四銀を着手して、中村は窓のほうに目を向ける。今日の横浜は晴れ。最高気温は28度と予想されている。 25 4八金(49) ( 0:00/00:12:00) *▲4八金を着手して、羽生は席を立つ。中村はじっと盤上に視線を送る。 26 5二金(61) ( 2:00/00:09:00) *「▲2九飛か▲5六銀だと思うのですが、どちらかによって、景色が違ってきます。▲2九飛ならば穏やかです。▲5六銀は▲6六歩〜▲6五歩が見えています。ということで、▲5六銀には△7五歩▲同歩△同銀▲2四歩△同歩▲2五歩と先手は十字飛車を狙います。▲5六銀なら激しくなります」と村山七段。 27 5六銀(47) ( 5:00/00:17:00) *「時間を使うのでは」と村山七段が話していたが、羽生は5分で▲5六銀。これは激しく戦う順だ。 *▲5六銀に羽生は着物の襟を触る。 *前手の村山七段のコメント通り、△7五歩と突っかけることになるのか。 28 7五歩(74) ( 5:00/00:14:00) *9時47分、中村が仕掛けた。 *△7五歩に▲同歩△同銀▲2四歩△同歩▲2五歩の十字飛車を狙った前例は2局。▲佐藤天彦名人−△佐々木勇気五段(現六段)戦(王位戦挑戦者決定リーグ・今年5月対局)と▲豊島将之八段−△富岡英作八段戦(叡王戦八段予選・今年8月対局)がある。いずれも先手番が制している。 *▲2五歩と継ぎ歩した瞬間に、後手は△8六歩と攻め合いが考えられる。 29 同 歩(76) ( 7:00/00:24:00) *【横浜ロイヤルパークホテル】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-3898.html 30 同 銀(64) ( 1:00/00:15:00) *「▲2四歩△同歩▲2五歩△8六歩▲2四歩に後手が△2二歩と妥協すれば別ですが、▲2四歩には△8七歩成といくと思います」と村山七段。前例の2局では敗れた側の後手を中村が持っている。中村がどこかで手を代えると見られている。 *「タイトル戦の大きな舞台で、この将棋を見られるのは興味深いです」と村山七段は続ける。 31 2四歩(25) ( 4:00/00:28:00) *▲2四歩までの消費時間は▲羽生28分、△中村15分。 *10時ちょうど、羽生の手が動いた。 32 同 歩(23) ( 0:00/00:15:00) *両者の指し手は止まらない。まだ開始から1時間ほどだ。 33 2五歩打 ( 1:00/00:29:00) *▲2五歩に△同歩は▲同飛で十字飛車が決まる。銀と桂の両取り。▲2五歩には△8六歩と攻め合うだろう。 *控室では△8六歩▲2四歩に△2二歩と受ける順を藤井猛九段と村山七段が検討している。 34 3五歩(34) ( 4:00/00:19:00) *△3五歩が着手されると「これが用意の一手だったか」と村山七段。△3五歩で前例はなくなった。△3五歩が中村の趣向ということになる。 *すぐに継ぎ盤には▲2四歩△2二歩▲3五歩△8六歩▲同歩△3六歩▲4五桂△4四銀が並ぶ。 35 2四歩(25) ( 3:00/00:32:00) *まずは▲2三歩成を狙って、2筋を取り込む。 *【横浜市】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-991a.html 36 2二歩打 ( 0:00/00:19:00) *ここは受けるしかない。△2二歩に羽生は足を崩して、首を小さく左右に振る。 *△2二歩に藤井猛九段と村山七段は▲3五歩△8六歩▲同歩△同銀の順を調べ始めた。 *「△2二歩には▲3五歩か▲4五桂だと思います。ここは考えますね」と野月八段。ただし▲4五桂は△4四銀で継続手が悩ましいようだ。 *しばらくモニターを見ていた野月八段。「▲3五歩と取る手から考えたいですね。何があるのかと。ただ先手は3九の割り打ちのキズと桂頭のキズ。ここをうまく対処できれば先手もまずまず。後手は2筋が壁というマイナスがあります」と話す。 *10時43分、羽生は着手をせずに席を立つ。羽生が部屋を出ると中村は記録係から棋譜を受け取り、30秒ほど眺める。47分、羽生が対局室に戻る。 37 4五桂(37) (37:00/01:09:00) *10時49分、羽生は▲4五桂。跳ねた桂は戻れない。決断の桂跳ねだ。 38 4四銀(33) ( 1:00/00:20:00) 39 3五歩(36) ( 1:00/01:10:00) *継ぎ盤では△4四銀に▲2五飛と浮く手が有力と話されていた。「違うよ」と藤井猛九段はモニターを見る。 *▲2五飛に△8六歩は▲同歩△同銀▲同銀△同飛▲8七歩△8四飛に▲2三銀がある。また▲2五飛に△3六歩なら▲5三桂成から▲7五飛と銀を抜ける。 *しかし羽生の指し手は△4四銀にじっと▲3五歩と歩を取った。 40 8六歩(85) ( 2:00/00:22:00) *後手は△8六歩から銀をさばく。 41 同 歩(87) ( 1:00/01:11:00) *▲8六同歩を着手して、羽生は眼鏡を外して目を休ませる。 42 同 銀(75) ( 4:00/00:26:00) *11時の着手。△8六同銀までの消費時間は▲羽生1時間11分、△中村26分。 43 同 銀(77) ( 3:00/01:14:00) *控室では△4五銀を検討している。▲同銀は△8六飛から△4六飛がある。▲同歩には△3六桂と打つ。「うん。これは思う存分、攻めてるね」と藤井猛九段。 *中村が下を向いて時間を使う。△4五銀と桂を取る手を考えているのだろうか。 44 4五銀(44) ( 6:00/00:32:00) *11時10分、△4五銀が着手された。野月八段が対局室に入る。まだ午前中、局面はすでに終盤の入り口だ。「桂を取ったので、局面が収まらないと思います。一息で駆け抜ける感じになるでしょう」と村山七段。 *△4五銀に▲1五角が検討されている。狙いは▲2三歩成の開き王手。 *▲1五角に△1四歩は強い手だが、▲2三歩成△1五歩▲2二とがいい手で、この順は先手よし。しかし▲1五角に△3三歩▲4五銀△8六飛▲8七歩△4六飛で難しいようだ。 *羽生の手が止まった45分が経過している。持ち時間に1時間以上差がついている。11時59分、羽生が信玄袋を手に対局室を出る。2分後、中村も対局室から退室した。少し早いが昼食休憩に入れたようだ。12時10分までの時間は手番の羽生に加算される。 *△4五銀に羽生が59分使って昼食休憩。消費時間は▲羽生2時間13分、△中村32分。対局は13時に再開される。昼食の注文は羽生が五目ビーフンとオレンジジュース。中村がステーキ御膳とウーロン茶。 *羽生、中村の順に対局室に戻る。中村が戻ってきたのは、再開の13時を4分ほど回ってから。 *【激しい戦いに】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-a3b2.html *【昼食休憩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-bc24.html *※局後の感想※ *「△4五銀と桂を取られて困ってますね。▲4五同銀だと飛車を回られて(△8六飛〜△7六飛〜△4六飛)しまうし」と羽生。△4五銀に▲同銀△8六飛▲8七歩△7六飛▲7七歩△4六飛▲2三銀△3一金▲3二銀△同金▲同銀成△同玉で「余されてちゃうかな。でも△3二同玉に▲5五角と打つ順をやるんだったか」と羽生。 45 同 歩(46) (75:00/02:29:00) *対局再開。昼食休憩後の指し手。 *舞うような手つきで、▲4五同歩が指された。▲4五同歩は1時間15分の長考だった。 *「これは△3六桂と打つんでしょうね。▲2九飛に△8六飛と走るか、△4八桂成と金を取ってしまうか」と野月八段。 *「▲4五同歩は比較的穏やかですね。▲1五角だと激しい変化が含んでいましたが。▲4五同歩に△3六桂▲2九飛△8六飛▲8七歩△7六飛▲7七歩△4八桂成▲同玉が考えられます。主導権を握っているのは後手ですが、簡単ではないように思います」と村山七段。 *【対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-2985-1.html 46 3六桂打 ( 8:00/00:40:00) *「ここからはバシバシ進むように思います」と村山七段。 47 2九飛(28) ( 0:00/02:29:00) 48 8六飛(82) ( 0:00/00:40:00) *【横浜の歴史を訪ねる】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-7c5d.html 49 8七歩打 ( 0:00/02:29:00) *村山七段が話していたように手が進みだした。ここで△7六飛だけでなく、△8四飛と引いておくのもあるようだ。 50 7六飛(86) ( 1:00/00:41:00) *△7六飛を見た村山七段。「うん。寄りますよね。1回」と話す。 51 7七歩打 ( 0:00/02:29:00) *「先手は金を逃げにくいです。▲3八金は△3七歩、▲4九金は△2八銀で飛車を取られてしまいます。ということで、△4八桂成を入れずに△7四飛と引くのも考えられますね」と村山七段。 *▲7七歩に中村は厳しい表情で盤面を見る。 *「△5六飛▲同歩△4八桂成▲同玉△4六銀でどうなっているのか。後手としては考えてみたい順ですね。これがダメなら△7四飛と引くということになるでしょう」と藤井猛九段。最後の△4六銀に対して、▲3四桂の切り返しがあり、難解な順であることは間違いがない。 52 5六飛(76) (22:00/01:03:00) *13時50分、藤井猛九段が指摘していた激しい順に踏み込んだ。△5六飛は22分の考慮。決断の一着だ。 *※局後の感想※ *「こっちもやっていくしかないかと」(中村) 53 同 歩(57) ( 1:00/02:30:00) 54 4八桂成(36) ( 0:00/01:03:00) *「これは指し手が、(先手玉が)『寄ってます』といってますね」と藤井猛九段。 55 同 玉(59) ( 0:00/02:30:00) 56 4六銀打 ( 0:00/01:03:00) *「まだ13時台ですよ」と野月八段。 *羽生は▲3四桂と打つか。受けに回るか。先手玉には△4七銀打からの詰めろが掛かっている。 *加藤桃子女王が「勉強にきました」と控室に姿を見せた。 *控室では▲3四桂△5一玉▲8四角△7三歩に▲3六銀と受けに回る手が調べられている。 *14時8分、両対局者は15時のおやつを選んでいる。対局室が暑く、扇風機が運ばれることになった。 *【加藤桃子女王が来訪】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-e419.html 57 3四桂打 (20:00/02:50:00) *14時13分の着手。▲3四桂までの消費時間は▲羽生2時間50分、△中村1時間3分。 *14時14分、対局室に扇風機が運ばれた。野月八段によると、対局室はけっこうな室温になっているようだ。 *【詰めろがかかる】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-f848.html 58 5一玉(42) ( 3:00/01:06:00) *先手玉には詰めろが掛かったままなので、どこかで手を戻す必要がある。どこまで決めて、どこで戻すのか。 *控室では▲8四角△7三歩に▲5九玉と逃げる手が検討され始めた。また▲8四角△7三歩▲3六銀△7一金という順は優劣不明のようだ。 *14時29分、鈴木大介九段・日本将棋連盟常務理事が控室を訪れた。 *羽生は髪をかきむしり前傾姿勢。自玉に詰めろが掛かった状態で考え込んでいる。 *※局後の感想※ *△5一玉に▲5八玉△4七角▲6八玉△2九角成▲7一飛△6一飛▲7二飛成△5六馬▲7九玉△6二金打が検討され、「これはまずいですね」と羽生。 59 6八金(78) (31:00/03:21:00) *14時48分の着手。 *羽生は▲6八金と寄って詰めろを消した。「大丈夫かな。足し算は……どうやって受けるのだろう」と野月八段。足し算とは△3六角と攻め駒を足す手だ。△3六角は△4七角成からの詰めろになっている。 *鈴木九段は△8四角と打つのではないかと話している。 *14時59分、対局室におやつが運ばれた。おやつは羽生がモンブラン、ホットコーヒー、中村がどら焼き、抹茶、ホットコーヒー。 *羽生がモンブランに手を伸ばす。中村はおしぼりで手を拭いて、深い前傾姿勢で盤に向かう。 *中原誠名誉王座が控室を来訪。名誉王座を名乗ることができるのは、連続5期または通算10期獲得。現役では羽生しか資格を持っていない。羽生は通算24期、王座を保持している。引退棋士では中原名誉王座がいる。中原名誉王座は通算16期(タイトル戦昇格後は6期)獲得した。 *現地から村山七段がニコニコ生放送に電話出演している。「最善を尽くせば、7−3で中村六段が指せるのかな」と話している。 *中村の考慮が1時間30分を超えた。大長考になっている。後手は△4七銀打▲5九玉に△7八歩と打つ手段もあるようだ。寄せはあるのか。局面はクライマックスを迎えようとしている。 *【中原 誠 永世十段・名誉王座"誕生へ】 *https://www.shogi.or.jp/news/2007/08/post_131.html *【おやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-6c0a-1.html *【中原誠名誉王座】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-cf05.html 60 7一歩打 (99:00/02:45:00) *1時間39分使って自陣に歩を打った。△7一歩までの消費時間は▲羽生3時間21分、△中村2時間45分。 *△7一歩が着手されると控室では「カライ」の声が飛んだ。大長考の末に自陣のキズを消した手だ。 *△7一歩に「ビックリしました」と鈴木九段。「そりゃあ、ビックリするよね。これなら先手が面白くなったんじゃないの」と中原名誉王座。 *藤井九段は△7一歩に▲9五角を指摘する。以下△7三角▲同角成△同桂▲8三角(▲6一飛までの詰めろ)が調べられている。 *【検討風景】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-dffe-1.html *※局後の感想※ *「△7一歩の局面はわからなかった。△8四角をやりたかったのですが」と中村。「何をやられるかわからなかった」と羽生。 61 9五角打 (31:00/03:52:00) *▲9五角に「後手の応手が注目ですね」と村山七段。「この▲9五角が厳しいと思うんだけどなぁ」と鈴木九段。 *▲9五角に△7三銀は▲8二銀があると見られている。 *△8四歩▲同角△7三銀は▲7五角と引いて、後手は歩切れになってしまう。 *控室では△6二銀▲2三歩成△同歩▲4四歩という順を検討している。 *【横浜中華街】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-71b6.html 62 7三銀打 (30:00/03:15:00) *17時30分の着手。 *△7三銀には▲8二銀と打つ手があるといわれていた。次の▲7一銀成が▲6一飛までの詰めろ。 *検討が進み▲8二銀には△9四歩と催促する手が発見された。▲7一銀成は△4一玉で容易ではない。以下▲2二桂成△同金▲2三歩成(▲3二銀からの詰めろ)に△3七角と打診する手がある。そこで▲3八玉なら△2六桂の王手で先手の飛車筋を止める。 *中村真梨花女流三段が控室に姿を見せた。 *「▲8二飛で先手が勝ちかと思ったけど、△9四歩と端を突く手があって大変だね」と中原名誉王座。中原名誉王座は、8二は銀ではなく、飛車を考えていたようだった。 *18時5分、少し早いが羽生が休憩に入れたようだ。羽生、中村の順で対局室を出る。△7三銀に羽生が39分使って夕食休憩。消費時間は▲羽生4時間31分、△中村3時間15分。対局は19時に再開される。夕食の注文は羽生がホールウィートブレッドのクラブハウスサンドウィッチ、オレンジジュース。中村が葉山牛のスペシャルハンバーグステーキ、グレープフルーツジュース。 *【夕食休憩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-d57e-1.html *※局後の感想※ *△7三銀に対して、▲5九玉が検討される。(1)△3六角▲8二飛△9四歩で「催促されて困ってますか」と羽生。(2)△4七角▲4九飛△9四歩▲7三角成△同桂▲8一飛△9三角で「受けにくいですね」と羽生。 63 8二銀打 (40:00/04:32:00) *対局再開。夕食休憩後の指し手。ここから対局はノンストップで終局まで続く。 *羽生の残りは28分。△9四歩と突かれたときにどう指すか。 *△9四歩▲7一銀成△4一玉▲8六角は△4七角が厳しい。 64 9四歩(93) (11:00/03:26:00) *やってこいの催促。 65 7一銀成(82) ( 0:00/04:32:00) *▲6一飛までの詰めろ。 66 4一玉(51) ( 0:00/03:26:00) *玉を逃げて詰めろを消した。控室の検討通りに進んでいる。ここでうまい手がないと先手は苦しい。控室の継ぎ盤は△4一玉の局面で止まっている。 *羽生は左腕を脇息に置き、額に右手を当てる。残り10分、残り9分、残り8分と羽生の時間が削られていく。髪をかき上げ、首を左右させる。羽生の動きが多くなる。 *【王座の旗色悪し】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-114b.html *※局後の感想※ *「△4一玉に手がないです。ここからはダメですね。序盤の作戦が危険だったかもしれない」と羽生が話して、感想戦は21時21分に終了した。 67 2三銀打 (27:00/04:59:00) *羽生はここから一分将棋。いきなり▲2三銀と放り込んで勝負にいった。 *中村は扇子を広げて、盤をジロリとにらむ。終盤に入って視線が鋭くなる。 *藤井九段は腕組みをして、継ぎ盤とモニターを交互に見る。どちらも同じ局面だ。 *控室は△2三同歩▲同歩成△3七角▲5八玉△2三金で、後手が優勢と見ている。最後の△2三金に▲同飛成は△5九金まで。 *検討が進み△2三金以下▲7三角成△5九金▲同飛(1)△4七銀打▲6九玉△5九角成▲同玉△2九飛▲4九角△7三桂▲2四歩で難解。▲2四歩が▲3二銀からの詰めろになっている。(2)△7三桂▲6一飛△5一銀で後手が残しているという結論だ。 *後手の△3七角がポイントで▲5八玉△2三金▲6九玉のときに、△2八歩と飛車先を押さえる手を見ている。 68 同 歩(22) (38:00/04:04:00) *38分使って△2三同歩。中村の残りは56分。 69 同 歩成(24) ( 0:00/04:59:00) 70 3七角打 ( 0:00/04:04:00) *△3七角がモニターに映ると「おおっ」と声が挙がる。控室で検討されていた順だ。 71 5八玉(48) ( 0:00/04:59:00) 72 2三金(32) ( 0:00/04:04:00) *△2三金に羽生は何を指すか。 73 7三角成(95) ( 0:00/04:59:00) *▲7三角成を△同桂は▲3二銀から後手玉が詰む。▲7三角成に△5九金と金を捨てて、▲同飛と取らせて、先手の飛車を2筋から動かすのが重要だ。 74 5九金打 ( 2:00/04:06:00) *もう継ぎ盤は動いていない。 75 同 飛(29) ( 0:00/04:59:00) 76 7三桂(81) ( 0:00/04:06:00) *中村が初タイトルに近づいている。 77 6一飛打 ( 0:00/04:59:00) *△5一銀と打てば、後手が残していると検討されていた局面だ。 78 5一銀打 ( 0:00/04:06:00) *控室は終局近しの雰囲気だ。 79 2四歩打 ( 0:00/04:59:00) *やや力のない手つきに見えた。▲2四歩は▲4二銀からの詰めろだが、△1四角▲4九玉△3四金で後手の勝ち筋といわれている。 80 3六角打 ( 6:00/04:12:00) *中村は3六から角を打った。これも厳しい。 *この局面で羽生が投了した。終局時刻は20時36分。消費時間は、▲羽生4時間59分、△中村4時間12分。中村が初タイトルの王座を手にした。同時にタイトル獲得で七段昇段を決めた。 *第5局が予定されていた10月17日(火)、東京・大手町の日経本社「SPACE NIO」では、当初予定していた大盤解説会に代わって、中村新王座を迎えたイベントが開催される。新王座が登場する、このイベントについては、事前に両対局者の出演の了解を得ていました。詳細は下記リンク、王座戦イベント情報でご確認ください。 *【終局直後】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-bb10-1.html *【感想戦】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-10da-1.html *【共同インタビュー】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-e93e.html *【王座戦イベント情報】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/10/post-2a4c.html 81 投了 ( 0:00/04:59:00) まで80手で後手の勝ち