# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.07 棋譜ファイル --- 対局ID:6722 記録ID:59b8ed8a3a75dd00046dc01f 開始日時:2017/09/19 09:00 終了日時:2017/09/19 22:14 表題:王座戦 棋戦:第65期王座戦五番勝負 第2局 戦型:相掛かり 持ち時間:各5時間 消費時間:156▲295△299 場所:大阪・ウェスティンホテル大阪 備考:昼休前32手目10分・夕休前72手目15分\n 図:投了 振り駒:なし 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:10〜13:00 夕食休憩:18:10〜19:00 昼休前消費時間:32手10分 夕休前消費時間:72手15分 手合割:平手   先手:羽生善治王座 後手:中村太地六段 先手省略名:羽生 後手省略名:中村太 手数----指手---------消費時間-- *羽生善治王座に中村太地六段が挑戦する第65期王座戦五番勝負(日本新聞経済社主催)は、中村が開幕戦を制し、奪取に向けて幸先よいスタートを切った。 *続く第2局は9月19日(火)、大阪府大阪市「ウェスティンホテル大阪」で行われる。対局開始は9時。先手は羽生。持ち時間は各5時間。昼食休憩は12時10分から13時、夕食休憩は18時10分から19時である。 *立会人は福崎文吾九段、記録係は神内行人初段(井上慶太九段門下)。日本経済新聞観戦記は若島正さんが執筆し、新聞解説は豊島将之八段が担当する。 *現地では関西所属棋士による大盤解説会と指導対局が行われ、対局の模様は動画サイト「ニコニコ生放送」、「AbemaTV」でも配信される。ニコニコ生放送の解説は阿久津主税八段、聞き手は中村桃子女流初段。AbemaTVの解説は北島忠雄七段、戸辺誠七段、石田直裕五段。聞き手は香川愛生女流三段、鈴木環那女流二段がそれぞれ担当する。 *8時30分、記録係の神内初段がひとり対局室で盤駒を磨いている。 *8時39分、立会人の福崎九段が入室。棋譜入力のタブレット端末を見ながら、神内初段と対局開始の流れを確認する。 *8時44分、中村が入室。茶色の袴、黒地に白線が入った羽織姿。下座に着き、しばらく下を向いたあと、顔を上げて瞑想に入った。 *8時53分、深緑色の袴に白の羽織姿の羽生が入室。中村の背後から上座側に回ると、着席後、信玄袋から扇子を取り出し、膝元に置く。 *8時57分、40枚の駒が初形の配置に並べられた。両者とも目を閉じ、羽生が腕を組む。 * *【日本経済新聞社】 *https://www.nikkei.com/ *【第2局 現地大盤解説会情報】 *https://www.shogi.or.jp/event/2017/08/65_11.html#65-02 *【ニコニコ生放送】 *http://live.nicovideo.jp/watch/lv304154245 *【AbemaTV】 *https://abema.tv/channels/shogi/slots/E9JY4MRumdVQ8F *【第2局は大阪府大阪市「ウェスティンホテル大阪」】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-f956.html *【対局日スケジュール】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-154b.html *【対局準備の様子(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-d827.html *【対局準備の様子(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-250d.html * *(棋譜・コメント入力=夏芽) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手] 1 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *定刻の9時、立会人の福崎九段から開始の声がかかる。 *両対局者が「お願いします」と頭を下げ、羽生の初手▲2六歩で第2局の幕は開けた。 * *【対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-75cb-1.html 2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *互いに飛車先を突き、第1局に続いての相居飛車が確定。 *2手目△8四歩の着手を終え、関係者が一斉に対局室をあとにした。 *羽生は信玄袋から腕時計を取り出し、中村はおしぼりで両手を拭く。 3 2五歩(26) ( 2:00/00:02:00) *◆羽生 善治(はぶ よしはる)王座(棋聖)◆ *1970年9月27日生まれの46歳。埼玉県所沢市出身。(故)二上達也九段門下。1982年、6級で奨励会入会。1985年、四段(プロ入り)。1994年、九段。棋士番号は175。 *タイトル戦登場は132回。獲得は王座24期(名誉王座)、竜王6期、名人9期(十九世名人)、王位18期(永世王位)、棋王13期(永世棋王)、王将12期(永世王将)、棋聖16期(永世棋聖)の計98期。棋戦優勝は44回。 4 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00) *◆中村 太地(なかむら たいち)六段◆ *1988年6月1日生まれの29歳。東京都府中市出身。(故)米長邦雄永世棋聖門下。2000年、6級で奨励会入会。2006年、四段(プロ入り)。2012年、六段。棋士番号は261。 *タイトル戦登場は3回。 5 7八金(69) ( 1:00/00:03:00) *羽生の通算成績は1381勝555敗(勝率0.713)。 *今年度成績は15勝12敗(0.556)で、対局数ランキング4位タイ、勝数ランキング8位タイ。 6 3二金(41) ( 0:00/00:00:00) *中村の通算成績は290勝156敗(勝率0.650)。 *今年度成績は14勝4敗(0.778)で、勝率ランキング7位、連勝ランキング7位(8連勝)。 7 3八銀(39) ( 1:00/00:04:00) *控室では関係者がモニターを見ながら「相掛かりですか」の声。戦型予想は福崎九段が角換わり、豊島八段が横歩取りだった。 *羽生は1分の考慮で▲3八銀。すぐに▲2四歩△同歩▲同飛と交換をしないのが、最近増えている指し方である。 8 7二銀(71) ( 0:00/00:00:00) *両者の対戦成績は羽生8勝、中村3勝(千日手1)。星の並びは羽生から見て、初手合いから順に○○○○○●○●千○○●である。 *この内5戦目以降がすべて王座戦の対局。順に第60期(2012年)の挑戦者決定戦、第61期(2013年)の五番勝負、そして直近が先日行われた今シリーズの第1局である。 9 1六歩(17) ( 1:00/00:05:00) *1筋の端歩で間合いをはかる。対局室では早くも両者、前傾姿勢で集中している。 10 9四歩(93) ( 6:00/00:06:00) *9時17分、中村は6分の考慮で△9四歩と突いた。 *先手の▲2四歩同様、代えて△8六歩▲同歩△同飛は▲8七歩と受けられた局面で、飛車の引き場所を決めなければならない。 *本譜▲1六歩△9四歩は、飛車の態度を保留し、先に相手の作戦を決めさせようという駆け引きである。 11 9六歩(97) ( 2:00/00:07:00) *▲9六歩の局面でデータベースの前例は3局。ここで後手が△1四歩と受ければ、さらに7局の将棋が合流する。 *9時24分、羽生がいったん席を外す。 12 1四歩(13) ( 6:00/00:12:00) *中村は相手の離席中に△1四歩を着手。 *しばらくして羽生が戻り、記録係の「指されました」の声に「はい」と返す。 13 6八玉(59) ( 9:00/00:16:00) *▲6八玉で前例は2局に減り、いずれもこのあと△8六歩▲同歩△同飛と進んでいる。 *控室の豊島八段は「どちらも手待ちのような感じで、狙いがはっきり見えにくい将棋ですね。1筋の交換が入っていない形で竜王戦の▲佐々木勇気五段(現六段)−△藤井聡太四段戦がありますが、ここで△8六歩、△3四歩、△4二玉のほかに、△6四歩や△7四歩という手も考えられます」と解説する。 *1筋の突き合いがない形で△6四歩を突くと、▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩に▲6四飛と横歩を取る手があり、本譜のように△1四歩が突いてあれば、△6四歩▲2四歩△同歩▲同飛には△6三銀と受けることができる。 *対局開始から30分が過ぎ、控室には船江恒平六段と竹内貴浩指導棋士四段が来訪している。 *対局室では中村が口元を押さえ、盤上に鋭い視線を送っている。そして考慮時間が25分を超え、時刻は10時を回った。 * *【戦型は相掛かり】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-0f38.html 14 8六歩(85) (33:00/00:45:00) *10時8分、中村が33分の考慮で飛車先交換を決行した。△8六歩までの消費時間は▲羽生16分、△中村45分。 15 同 歩(87) ( 1:00/00:17:00) *本日の対局場「ウェスティンホテル大阪」は、スターウッドホテル&リゾートのトップラグジュアリーブランドのひとつ「Westin」の日本第1号ホテルとして1993年にオープンした。 *地下3階、地上30階建てで最頂部の高さは111メートル。場所はJR大阪駅の北西に位置し、関西将棋会館から徒歩10分という近い距離にある。 *隣には空中庭園展望台で有名な「梅田スカイビル」があり、ふたつの建物を中心とした複合施設は「新梅田シティ」と呼ばれている。 * *【ウェスティンホテル大阪 - ホームページ】 *https://www.westin-osaka.co.jp/ *【ウェスティンホテル大阪 - 王座戦中継Blog】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-e622.html 16 同 飛(82) ( 0:00/00:45:00) *ウェスティンホテル大阪で王座戦が行われるのは、2014年の第62期王座戦五番勝負第1局▲羽生善治王座−△豊島将之七段(現八段)戦、そして翌年の第63期王座戦五番勝負第2局▲佐藤天彦八段(現名人)−△羽生善治王座戦に続いて3回目。 *羽生は過去ウェスティンホテルで1勝1敗。対する中村は、対局者としては初だが、昨年の第6期リコー杯女流王座戦五番勝負第2局の前夜祭にゲスト出演した際、このホテルに訪れている。 * *【リコー杯女流王座戦中継ブログ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryu_ouza/2016/11/post-381a.html 17 8七歩打 ( 0:00/00:17:00) *前日の18日(月)には、本局で使用する盤駒や対局室の検分が行われた。 *検分開始は18時の予定だったが、中村が17時43分、羽生が17時53分に入室したあと、立会人の福崎九段が「それでは少し早いですけど始めましょうか」と声をかけ、羽生の手によって駒箱が開けられた。 *用意された駒は児玉龍兒師作の錦旗書。両者とも玉と金銀4枚、まるでそのまま対局が始まるかのような雰囲気で丁寧に駒を並べていた。 * *【検分(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-a556.html *【検分(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-bd89.html 18 8四飛(86) ( 0:00/00:45:00) *中村は四段目に飛車を引く。前例2局はいずれも△8二飛だったため、ここで新しい局面を迎えたことになる。 *ただし、端歩の位置が異なる類型はいくつかあり、端歩をまったく突き合っていない将棋が3局。それとは別に9筋の端歩だけを突き合った将棋が3局ある。 19 3六歩(37) ( 8:00/00:25:00) *▲3六歩は次に▲3七銀や▲3七桂と活用する狙い。 *中村は今年7月の横山泰明六段戦(順位戦)で似た局面を指しており、その将棋は1筋の交換がない形で横山六段が▲3六歩と突いた。以下△5二玉▲7六歩△7四飛▲7七金△8四飛▲4六歩と進み、結果は後手の中村勝ち。 *10時35分、記録係から「中村先生、1時間を使われました」の声。 *10時44分、控室に大橋貴洸四段が来訪。このあと船江六段とともに現地大盤解説会、指導対局を担当する。 * *【現地イベント情報】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-1cde.html *【近年の相掛かり】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-c235.html 20 5二玉(51) (28:00/01:13:00) *10時48分、中村は28分の考慮で中住まいに構えた。▲横山−△中村太戦同様、ここで(1)▲7六歩なら△7四飛と寄るのだろうか。 *一方、控室の継ぎ盤では(2)▲3七銀△3四歩▲4六銀△7四歩▲3五歩△7五歩という順が並べられており、福崎九段は「これはなんとも言えない将棋ですね」と話す。 21 7六歩(77) (15:00/00:40:00) *11時4分の着手。▲7六歩までの消費時間は▲羽生40分、△中村1時間13分。 22 7四飛(84) ( 1:00/01:14:00) *中村は、わずか1分の考慮で飛車を寄る。 23 7七金(78) ( 0:00/00:40:00) *羽生はノータイムで金を上がり、7六の歩を守る。 24 8四飛(74) ( 0:00/01:14:00) *中村は対横山六段戦と同じように進める。△8四飛に▲7八金なら再度△7四飛で千日手を狙うのだろう。 *羽生は考慮の途中で一度体を起こし、記録係から棋譜を受け取った。 25 4六歩(47) ( 5:00/00:45:00) *5分の考慮で▲4六歩。果たしてどこまで前例を踏襲するのか、そして1筋の交換はどちらにプラスに働くのか。 *類型の▲横山−△中村太戦は、▲4六歩以下△3四歩▲4七銀△7四歩と進んでいる。 26 3四歩(33) ( 4:00/01:18:00) *△3四歩で飛車の横利きが止まったため、ここで先手が▲2四歩△同歩▲同飛と変化する手はある。ただし△2三歩と打たれた局面でどこに飛車を引くかがまた悩ましい。 *対局室では羽生が足を崩し、口元に手を添えながら考えている。中村は正座で腕組みをし、窓の外に視線を向ける。 * *【午前中の控室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-3d89.html 27 4七銀(38) (13:00/00:58:00) *13分の考慮で▲4七銀。そして羽生が着手後、再び席を外した。 28 7四歩(73) ( 2:00/01:20:00) *時刻は11時30分を回り、控室には糸谷哲郎八段が来訪している。 *そして現局面を見て「△3三角も考えてみたかったですが、△7四歩は早かったですね」とコメント。類型の▲横山−△中村太戦は、△7四歩以下(1)▲5八金△3三角▲7八玉△7三桂▲6八金と進んでいる。 *また控室の継ぎ盤では△7四歩に(2)▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2八飛△7三桂▲7八金という順が並べられている。以下△8六歩▲同歩△同飛には▲2二角成△同銀に▲8八銀と上がっておいてどうか。 *その後、糸谷八段は大橋四段とともにホテル4階の大盤解説会場(花梨の間)に移動。船江六段、里見咲紀女流初段、藤井奈々女流3級らとイベントの打ち合わせを行っている。 * *【大盤解説会の準備】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-0ba2.html *【序盤の陣形整備】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-7c0b.html 29 5八金(49) (21:00/01:19:00) *11時55分、羽生が21分の考慮で▲5八金を着手。 30 7三桂(81) ( 2:00/01:22:00) *ここで中村が△3三角ではなく、先に△7三桂と跳ねて別の形を選んだ。 31 7八金(77) ( 1:00/01:20:00) *羽生は金を引いて角筋を通す。この▲7八金は△6五桂の当たりを避けた意味もある。 *控室の豊島八段は「先手が金を引いて備えたので、ここで(1)△7五歩▲同歩△9五歩▲同歩△6五桂と跳ねていくような攻めは、ちょっと無理だと思います」とコメント。代えて(2)△6二金と上がり、▲2四歩△同歩▲同飛△8一飛という順を一例に挙げている。 *12時10分、中村の考慮時間が10分を記録して昼食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲羽生1時間20分、△中村1時間32分。昼食の注文は羽生が天ざるうどんと紅茶(ホット)、中村がオムライスとフレッシュジュース(グレープフルーツ)。対局は13時から再開される。 *12時49分、先に中村が対局室に戻る。そして席に着くと、すぐに両腕を支えに考慮を再開した。 *13時、記録係の神内初段が「時間になりました」と告げる。そこから30秒ほどして羽生が対局室に入った。 *再開から15分が経過したが、まだ着手の気配はない。 *控室では豊島八段と大橋四段が、継ぎ盤で(3)△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△7六飛▲7七金△7五飛▲8六金という変化を並べている。 * *【昼食休憩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-bc24-1.html *【両対局者の昼食メニュー】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-89ed.html 32 6二金(61) (32:00/01:54:00) *13時21分、中村が昼食休憩を挟む32分の長考で△6二金を着手。 *ウェスティンホテル4階の「花梨の間」では、13時から大盤解説会が始まっており、すでに180人を超える将棋ファンが来場しているという。 * *【現地大盤解説会開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-f30a.html 33 2四歩(25) ( 7:00/01:27:00) *飛車先交換。 34 同 歩(23) ( 0:00/01:54:00) *午後になり、外の景色はさらに明るさを増している。 *大阪は今日一日天気の崩れがなく、予想最高気温は29度と言われている。 35 同 飛(28) ( 0:00/01:27:00) *【梅田スカイビル】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-ade6.html 36 2三歩打 ( 0:00/01:54:00) *おとなしく2筋を受ける。 37 2八飛(24) ( 0:00/01:27:00) *自陣に飛車を引き揚げる。▲2四歩(33手目)と突けば、ここまではほぼワンセットの手順だ。 *▲2八飛のところ、代えて▲3四飛は△8八角成▲同銀△3三歩▲3五飛に△2八角と打つ手がある。 38 6四歩(63) ( 1:00/01:55:00) *△6四歩は、次に△6三銀と上がって自陣を整備する狙い。 39 5六銀(47) ( 8:00/01:35:00) *羽生は5筋に銀を腰掛け、次に▲4五銀〜▲3四銀の進撃を狙う。 *ただし▲5六銀△6三銀のあと、すぐに(1)▲4五銀と出るのは△8六歩▲同歩△同飛▲3四銀△7六飛▲2三銀成に、△8八角成▲同銀△2七歩▲同飛△4九角という切り返しがあって簡単ではないようだ。 *また△6三銀に(2)▲3七桂は△3五歩の桂頭攻めがあり、(3)▲2二角成の交換は先手が1手損する計算になる。 *控室では△6三銀に(4)▲6六角△8一飛▲8八銀という順が示されている。 * *【指す手が悩ましい】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-9b8b.html 40 6五歩(64) ( 9:00/02:04:00) *13時52分、中村は9分の考慮で6筋の歩を伸ばした。▲6六歩や▲6六角を防ぎ、場合によっては△6四角で先手陣を牽制する狙いを含んでいる。 *控室の豊島八段は「先手はゆっくり指す手もありますが、積極的にいくなら3四や、6五の歩を狙いたい」と話す。具体的には(1)▲4五銀や(2)▲2二角成△同銀▲7七桂のような手が考えられる。 *この局面で羽生の考慮が30分を超えた。そして「そうかあ」とため息にも似た声が漏れる。 *△6五歩までの消費時間は▲羽生1時間35分、△中村2時間4分。 41 4五歩(46) (42:00/02:17:00) *14時35分、羽生が42分の長考で▲4五歩を着手。 *この手に控室の福崎九段は「謎の手ですねえ」とポツリ。先手は4筋を伸ばすと▲4五銀や▲3七桂〜▲4五桂という使い道が消える。 *豊島八段は「▲4五歩はゆっくり指そうということでしょうね」とコメントし、このあと(1)▲4八飛と転回して▲4四歩△同歩▲同角(または▲同飛)と交換する順や、(2)▲2二角成△同銀▲8八銀として自陣を整備する順を例に挙げている。 * *【指導対局】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-cc07.html *【先手はじっくり指す方針か】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-14e6.html * *※局後の感想※ *代えて▲4五銀は△7五歩▲同歩△6三銀▲5六銀△5四歩で、 *「(7筋の)突き捨てがとがめられなければ」(中村) *「こちらからやっていくのが難しく、手損しているので」(羽生) 42 6三銀(72) (11:00/02:15:00) *△6三銀は自玉のコビンと7筋の桂頭を守った一手。次に△7五歩と突きやすくした意味がある。 43 4八飛(28) ( 3:00/02:20:00) *3分の考慮で飛車を4筋へ。 44 5四歩(53) ( 4:00/02:19:00) *△5四歩は「歩越し銀には歩で対抗」の格言にならった手で、具体的には▲5五銀と出られる手を防いでいる。 *時刻は15時を回り、控室には新たに山口絵美菜女流1級が来訪している。 45 2二角成(88) ( 6:00/02:26:00) *15時2分の着手。▲2二角成までの消費時間は▲羽生2時間26分、△中村2時間19分。 46 同 銀(31) ( 0:00/02:19:00) 47 4六角打 ( 0:00/02:26:00) *「へええ、すぐに▲4六角と打つんですか」(船江六段) *「逆に△6四角と打たれるのが嫌だったのかもしれませんね」(豊島八段) *先手は▲2二角成で1手損し、そのうえ一方的に角を盤上に手放して、やや苦心している印象を受けるという。 48 3三銀(22) ( 6:00/02:25:00) *壁銀の解消。 49 8八銀(79) ( 0:00/02:26:00) *15時6分、両対局者におやつが運ばれた。羽生のおやつはフルーツの盛り合わせ。中村のおやつはドゥショコラ(チョコレートケーキ)。飲み物はふたりともホットコーヒーだった。 *その後も中村の考慮が続いており、羽生が先にフルーツの皿に手をつける。 *控室では豊島八段と山口絵女流1級が△4二銀と引く手を調べている。この手は△5三銀〜△6四角▲同角△同銀左として「銀多伝」の形に組む狙い。継ぎ盤には△4二銀以下(1)▲7七桂△6四角▲6五桂という順が並んでおり、途中▲7七桂に△5三銀でも▲6五桂と跳ねる手がある。 *また別の継ぎ盤では△4二銀に(2)▲6六歩△同歩▲6四歩△7二銀▲7七銀△5三銀▲6六銀△6三歩という順が並べられている。 *15時30分、控室に山崎隆之八段が来訪した。 * *【おやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-6c0a-1.html 50 6四角打 (24:00/02:49:00) *15時34分、中村は単に△6四角と打つ。 *控室では福崎九段が「あっ、すぐに合わせましたか」と反応し、継ぎ盤に▲同角△同銀▲3七角△7五歩▲7七銀△6三金という順が並ぶ。 *羽生の考慮中、今度は中村が足を崩し、おやつのケーキに着手。ゆっくりと丁寧に周囲のセロハンをはがしている。 * *※局後の感想※ *代えて△4二銀は▲7七桂△7五歩▲同歩で「ちょっと微妙ですね」と中村の感想。 51 同 角(46) (12:00/02:38:00) *12分の考慮で交換に応じる。 *羽生は着手後、右手の扇子をしなやかな動きで広げ、一気にザッと音を立てて閉じる仕草を繰り返している。 52 同 銀(63) ( 0:00/02:49:00) *【大盤解説会のミニイベント】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-d6fb.html 53 4六角打 ( 0:00/02:38:00) *羽生は再度4六の地点から角を打った。 *▲3七角と比べて飛車先は重いが、こちらは▲3五歩の攻めや、5七の地点の受けに利かせた意味がある。 *「しかし角の打ち場所ひとつで運命が変わることもあるからねえ」と控室の福崎九段。 *15時58分、記録係から「中村先生、残り2時間です」の声がかかる。 * *※局後の感想※ *代えて▲7七銀は、△4二銀▲3五歩△同歩▲4四歩△同歩▲同飛△5三金▲4八飛△4四歩が感想戦で並べられた変化。 *「終始怖いですけど、こんな感じで頑張るしかない」(中村) *「単に銀を上がったほうが手広かったですね」(羽生) 54 6三金(62) (13:00/03:02:00) *金上がりで銀にヒモをつける。代えて△7五歩と飛車の横利きで受ける手も考えられた。 *時刻は16時を回った。△6三金までの消費時間は▲羽生2時間38分、△中村3時間2分。 55 7七銀(88) ( 1:00/02:39:00) *先手も同じく壁銀を解消し、次に▲6六歩から位への反発を狙う。 56 4二銀(33) ( 1:00/03:03:00) *銀を引いて繰り替えを図る。ここで▲4四歩と突く手がないのも、▲4六角(53手目)と▲3七角の違いのひとつである。 *控室の継ぎ盤には△4二銀以下▲6六歩△同歩▲6五歩△5三銀引▲6六銀△9五歩という順が並んでいる。 *16時13分、羽生が席を外したあと、しばらくして中村が立ち上がる。そして上座に回り、相手側から盤上を見る、いわゆる「ひふみんアイ」で現局面を確認した。 57 6六歩(67) (20:00/02:59:00) *羽生の▲6六歩に「おっ! いった、いった」と福崎九段が声を上げる。 * *【局面が動く】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-eec7.html 58 同 歩(65) ( 2:00/03:05:00) *【棋士、続々来訪】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-3d62.html *【ゲスト解説】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-e4e6.html 59 6五歩打 ( 4:00/03:03:00) *4分の考慮。▲6五歩と先着するのが手筋で、代えて▲6六同銀は△6五歩と受けられて後手を引いてしまう。 60 5三銀(64) ( 1:00/03:06:00) *【中自然の森】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-3fd8.html 61 6六銀(77) ( 0:00/03:03:00) *羽生は手持ちの1歩を生かし、6筋の位を奪還した。 *控室では「ここでケンカ殺法なら△9五歩、玄人好みは△4一玉。どっちがお好みでしょうね?」と福崎九段。前者の△9五歩を選べば、いよいよ本格的な開戦に突入しそうだ。 62 9五歩(94) ( 7:00/03:13:00) *16時41分、中村が9筋から仕掛ける。 *控室の検討陣は▲9五同歩に(1)△9八歩、(2)△9七歩、(3)△9六歩のどれも有力と話しており、一例として△9八歩▲同香△9七歩▲同香△9八角▲7七桂△8九角成▲4九飛△9八馬▲9六香の変化を並べている。 * 63 同 歩(96) ( 8:00/03:11:00) *夕方になり、外の西日が強くなってきた。対局室にも明るい光が差し込み、窓ガラスの形が対面の壁にくっきりと映し出されている。 64 9七歩打 ( 0:00/03:13:00) *中村はノータイムで9七の地点に打った。▲9七同香には△9八角のほか、△9八歩と垂らす手もある。 65 7七銀(66) ( 5:00/03:16:00) *羽生は5分の考慮で▲7七銀。 *控室では「今度こそ玄人好みの△4一玉かも」との声があり、△4一玉に▲8六銀は△2二角▲7七桂△8五歩▲9七銀△7五歩の攻めが厳しいという。 *時刻は17時を回り、控室に千田翔太六段が来訪している。福崎九段に「現局面の評価値ってどうなの?」と問われると「いや、今日持ってきたノートパソコンには原稿しか入ってないんですよ」と笑って返した。本日持参したパソコンには検討用ソフトを入れていないという。 *さらに控室には北浜健介八段、長谷川優貴女流二段が来訪し、継ぎ盤の検討が活性化している。 * *【17時頃の現地棋士たち】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/17-5aa8.html 66 4一玉(52) ( 9:00/03:22:00) *17時5分の着手。△4一玉は戦場から遠ざける実戦的な一手で、次に△9五香▲8六銀△9四飛として、9筋の攻めを狙っている。 *ここまでの消費時間は▲羽生3時間16分、△中村3時間22分。 * *※局後の感想※ *代えて△6二金は▲9七香△9八歩▲8八銀△7五歩▲同歩が感想戦で並べられた順。 *「△6二金もあるかと思っていました」(羽生) *「どうせ(△6二金と)引かないといけないなら、先に引いておくべきだったかも」(中村) 67 3七桂(29) (11:00/03:27:00) *羽生は右桂を跳ね、反撃態勢を整える。 *現局面、控室の豊島八段は「後手持ち」の見解。次の一手は(1)△6二金が有力と見られており、金を引くことで▲6四香の筋に△6三歩、▲8一飛の筋に△6一歩の受けを用意している。 *ほかには(2)△9五香と走って勝負する手もあり、(3)△3一玉は▲1五歩の端攻めに近づき、指しづらいという。 * *【後手持ちの声】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-5ec6.html 68 9五香(91) (20:00/03:42:00) *17時37分、中村は20分の考慮で△9五香と走った。 * *※局後の感想※ *ここで△6二金と引く手も有力で「確かに先手のやる手が難しいかもしれない」と羽生の感想。 69 2二歩打 ( 5:00/03:32:00) *▲2二歩は手筋。(1)△同金は2筋が壁形になり、(2)△3三桂なら▲2一歩成でと金ができる。 *控室では、ふたつの継ぎ盤に分かれて(A)△2二同金▲8六銀△9四飛▲9五銀△同飛▲6四香という変化と、(B)△9八歩成▲2一歩成△8九と▲9五香△8五桂という変化を調べている。 70 同 金(32) ( 3:00/03:45:00) *中村は3分の考慮で歩を取る。着手の際に手が滑ったか、盤上から2一の桂がポトリと落ちた。 71 4四歩(45) ( 7:00/03:39:00) *今度は4筋。直前に▲2二歩△同金を入れたことで、この突き出しがより厳しくなっている。 *(1)△4四同歩は▲4五歩の継ぎ歩が生じ、(2)△4四同銀は▲6四歩△6二金に▲4五銀とぶつけてどうか。 *控室の山崎八段は「僕は△4四同歩と取りたいタイプですけど、とがめにいくなら△4四同銀かもしれませんね」とコメント。銀で取れば5三の地点にスペースができ、▲8六銀〜▲9五銀〜▲6四香の攻めに△5三金とかわすことができる。 *18時9分、記録係から「中村先生、残り1時間です」の声。 *そして18時10分、中村の考慮時間が15分を記録して夕食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲羽生3時間39分、△中村4時間0分。 *夕食の注文は、羽生がクラブハウスサンドウィッチとオレンジジュース、中村がホテル特製野菜カレーライスとウーロン茶。対局は19時から再開される。 * *【夕食休憩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-d57e-1.html *【両対局者の夕食メニュー】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-d818.html 72 同 歩(43) (15:00/04:00:00) *19時、中村は対局再開の合図を聞くと、すぐに△4四同歩と取った。 *その着手後に羽生が対局室に戻る。夕食休憩が終わり、このあとは終局まで休みなく指し継がれる。 * *【夕食休憩明け】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-9029.html 73 8六銀(77) ( 8:00/03:47:00) *羽生は4筋の突き捨てを入れてから▲8六銀と出た。 *9五の香取りだが、後手は△9四飛と△9六香、ふたつの受け方がある。 * *※局後の感想※ *代えて▲4五歩は△9八歩成▲4四歩△3二金▲2二歩△3三桂▲2一歩成△4五歩▲同桂△同桂▲同銀△4七歩▲同飛△6七歩▲同金右△5五桂で「やっぱり反動がきついですね」と羽生の感想。 74 9六香(95) ( 0:00/04:00:00) *中村は香を浮いてかわした。 75 9七香(99) ( 1:00/03:48:00) *△9八歩成を許すわけにはいかない。ここはいったん歩を払う。 76 同 香成(96) ( 0:00/04:00:00) *【福崎文吾ワールド】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-a984.html 77 同 桂(89) ( 0:00/03:48:00) *夜になって控室には長沼洋七段が来訪しており、▲9七同桂を見て「桂で取ったほうが、攻めに使えるということでしょうね」とコメント。 *ここは代えて▲9七同銀という取り方もあっただろう。 78 6二金(63) ( 0:00/04:00:00) *じっと金を引き、▲6四香に備えた。次に△9六歩と桂頭を攻める狙いがある。 79 4五歩打 ( 3:00/03:51:00) *羽生は3分の考慮で4筋を攻める。△4五同歩なら▲同桂や▲同銀で先手の攻めが勢いづく。 80 3二金(22) ( 0:00/04:00:00) *中村は離れ駒の金を寄せ、壁形を直した。 *控室では山崎八段と長沼七段が継ぎ盤を動かしており、△3二金に▲4四歩△同銀▲4五香は、△同銀▲同桂△6六香の反撃が厳しいという。 *19時25分、羽生も残り1時間を切った。両者の消費時間はほどんど変わらない。 81 4四歩(45) (11:00/04:02:00) *11分の考慮で歩を取り込む。 82 同 銀(53) ( 0:00/04:00:00) 83 2二歩打 ( 1:00/04:03:00) *再度の▲2二歩。取ると△3二金(80手目)の一手が無効化するため、控室では△3三桂とかわす手を検討している。以下(1)▲2一歩成なら△4五歩が手厚い。 *よって△3三桂には(2)▲7三角成△同金▲4四飛や、先に(3)▲4五歩と打つ手が有力とのこと。 84 3三桂(21) (12:00/04:12:00) *対局室では、両者とも脇息に体をのせ、前傾姿勢で考えている。 *ここで羽生が▲7三角成と踏み込むかどうか。 85 7三角成(46) ( 4:00/04:07:00) *「ああ、切りましたね」と山崎八段。 *そして継ぎ盤の局面を▲7三角成△同金▲4四飛△2六角まで進めた。 86 同 金(62) ( 0:00/04:12:00) 87 4四飛(48) ( 0:00/04:07:00) *▲4四同飛で、駒割は▲銀桂△角の2枚換え。 88 2六角打 ( 1:00/04:13:00) *控室では△2六角に対し、(1)▲3四飛△4三銀▲3三飛成△同金▲4五桂という順と(2)▲4九飛△3七角成▲4四桂という順が示されている。 89 4九飛(44) ( 3:00/04:10:00) *最下段まで飛車を引く。 *次に▲4四桂の攻めが厳しいため、控室では、ここで△4三香と打つ手が予想されている。 * *【大橋四段の見解】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-5b07.html 90 3七角成(26) ( 7:00/04:20:00) *20時ちょうど、中村の△3七角成に控室の検討陣が驚きの反応を見せる。 *「▲4四桂を打たせて大丈夫なんてことがあるんでしょうか」(糸谷八段) *残り時間は▲羽生50分、△中村40分。 91 4四桂打 ( 0:00/04:10:00) *羽生はノータイムで桂を打つ。金取りと▲5二銀の両狙い。 92 2二金(32) ( 3:00/04:23:00) *金取りをかわしつつ、目障りな歩を払う。次に△4三歩から桂を外せば、先手の攻めを切らせそうだ。 93 8五桂(97) ( 0:00/04:10:00) *端桂を攻めに活用。 *控室では新たに星野良生四段が検討に加わり、▲8五桂△4三歩▲7三桂成△4四歩の変化を並べている。後手は手番が回れば、△6六桂や△6六香の反撃が厳しい。 94 7二金(73) ( 2:00/04:25:00) *中村は2分の考慮で△7二金。 *ここで検討陣の第一感は(1)▲2四歩だが、代えて(2)▲7三銀の打ち込みもありそうだという。 95 2四歩打 ( 4:00/04:14:00) *羽生は4分の考慮で2筋から迫る。 * *※局後の感想※ *代えて▲7三銀は△同金▲同桂成△4三歩で、先手の継続手が難しい。 96 同 歩(23) ( 2:00/04:27:00) *堂々と取った。中村は先手の攻めを余せると見ているのだろう。 *控室の継ぎ盤には△2四同歩以下▲2三香△1二金▲2一香成△4三銀▲5三銀という順が並んでいる。 *途中△1二金に▲2一銀と絡む手も示されたが、△4六桂が攻防の一手になりそうだ。 97 2三香打 ( 6:00/04:20:00) *20時21分、羽生は空いた2三のスペースに香を打ち込んでいく。△2三同金は▲3二銀。 *先手の持ち駒に歩があれば▲2三歩と打ちたいところだが、現状は歩切れのため、香で代用するしかない。 98 1二金(22) ( 0:00/04:27:00) *控室では「△1二金で後手が余していそう」という意見が多くなってきた。 * *【「後手が余している」】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post.html 99 7三銀打 ( 8:00/04:28:00) *20時31分、羽生は虎の子の銀を7三の地点に打ち込んだ。 *ここで飛車を見捨てて△4三歩▲8四銀成△4四歩と桂を取るのが分かりやすいという。 * *※局後の感想※ *代えて(1)▲2一銀が有力だった。以下△4三香には▲3二桂成△5二玉▲3九飛△2八馬▲9九飛△2三金▲9三飛成として、(A)△8二飛は▲4二成桂△同玉▲7三銀。(B)△8一飛は▲4二成桂△同玉▲3二銀打で先手の攻めが続く。 *途中▲9九飛に△9四歩は▲1二銀不成△同香▲2二香成があり、「本譜の順は攻め損なったので、こちらを選ぶしかなかった」と羽生の感想。 *また▲7三銀に代えて(2)▲2一香成は△4三銀▲3二銀△同銀▲同桂成△同玉▲4一銀△2一玉▲4二飛成△2三銀▲7二竜△2二金で「先手の攻めが切れ模様」と両者の感想。 100 4三歩打 ( 6:00/04:33:00) *「やっぱり大局観が正確やね」と福崎九段。 *▲4四桂(91手目)を打たせても余せると見た中村の判断力を称賛している。 101 8四銀成(73) ( 3:00/04:31:00) 102 4四歩(43) ( 0:00/04:33:00) *桂を取り、自玉を安全にする。 103 2一飛打 ( 0:00/04:31:00) *羽生は2筋から飛車で王手をかける。 *この▲2一飛に控室の北浜八段は「なるほど。△3二玉に▲6一飛成ということですか」とつぶやく。以下△6六桂に▲4四飛と走ってどうなるか。 * *※局後の感想※ *代えて▲7三桂成は△3二玉▲7二成桂△6六桂▲6七金右△7八桂成▲同玉△2三玉で後手が指せる。 104 3二玉(41) ( 2:00/04:35:00) 105 6一飛成(21) ( 0:00/04:31:00) *6筋に飛車を成る。次に▲7二竜と金を取る手が、後手玉をにらんで厳しい位置だ。 * *【最後の反撃】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-f3b3.html * *※局後の感想※ *代えて▲4四飛は△4三歩▲5四飛△5一歩▲7三桂成△6六桂▲7二成桂△5八桂成▲同玉△3一金で、後手が指せる。 106 6六桂打 ( 1:00/04:36:00) *中村は金取りを放置し、攻めに転じる。△6六桂に(1)▲4四飛は△4一歩の底歩が堅い。 *よって先手は飛車を走らず(2)▲7二竜と取りたいが、△5八桂成▲同玉に△6六香と打つ挟撃が厳しそうだ。 107 4四飛(49) ( 6:00/04:37:00) *控室では▲4四飛に代えて▲6七金右という手も検討され、以下△7八桂成▲同玉△2三玉で後手が指せると言われていた。 * *※局後の感想※ *代えて▲7二竜は△5八桂成▲同玉△6六桂▲6七玉△5八角▲6六玉△4九角成▲2二金△4三玉▲7四成銀△4五桂▲6四成銀△5七桂成として、(1)▲5四成銀は△同玉▲5二竜△5三銀打▲5五歩△同馬▲同銀△4五玉▲6三角△5四歩▲同銀△4六玉▲5三銀不成△8四金。(2)▲1二金は△5六成桂▲7五玉△7一香▲同竜△8三金で、いずれの変化も後手よし。 *また途中の▲7四成銀には△7一歩と打つ手もあり、以下▲8三竜△5三香▲6四桂に△5四歩と突いて「後手玉が上に抜けてしまう」と羽生の感想。 108 5八桂成(66) ( 1:00/04:37:00) 109 同 玉(68) ( 1:00/04:38:00) *時刻は21時を回った。残り時間は▲羽生22分、△中村23分。 110 5一金打 ( 5:00/04:42:00) *△5一金に検討陣がやや意外そうな反応。代えて△4一歩を本命視していた。 111 7二竜(61) ( 1:00/04:39:00) *金を取り、▲2二金△同金▲同香成△同玉▲4二飛成以下の詰めろ。 112 6二歩打 ( 4:00/04:46:00) *21時8分、中村は4分の考慮で△6二歩。控室では代えて△5二桂という受けが示されていた。 *「これは▲6七玉で第2ラウンドになるかもしれないね」と福崎九段。 * *【第2ラウンド】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-041d.html 113 6七玉(58) ( 5:00/04:44:00) *上部脱出。これは第1局に続いて、入玉を巡る争いになるかもしれない。 *21時19分、中村の持ち時間が残り10分を切り、記録係の秒読みが始まった。 114 4三歩打 ( 4:00/04:50:00) 115 4九飛(44) ( 3:00/04:47:00) *自陣に飛車を引き揚げる。控室では代えて▲5四飛や▲2二金が検討されていた。 116 2三玉(32) ( 1:00/04:51:00) *中村は秒読みの中、香を取り、滑らせるように玉を上がる。 *「これは長期戦ですね。2三の香はすぐに取る必要なかったと思いますが」(豊島八段) *「2三の駒が歩だったら、おそらく取ってなかったと思いますね」(千田六段) 117 7七玉(67) ( 2:00/04:49:00) *玉を寄り、先手は次に▲9五銀と上がれば脱出ルートが開く。 *残り時間は▲羽生11分、△中村9分。 118 5五香打 ( 2:00/04:53:00) *天王山の香打ち。 119 7三桂成(85) ( 1:00/04:50:00) *羽生は桂を成り、上部を開拓しながら▲6二成桂の攻めを狙う。 * *※局後の感想※ *代えて▲9五銀は△5六香▲8六玉△5八角▲7九飛△7六角成▲9六玉△5七香成▲7四竜△6六馬で「悪いですね」と羽生の感想。 120 5六香(55) ( 0:00/04:53:00) 121 同 歩(57) ( 0:00/04:50:00) *「▲5六同歩に△3八馬が痛そうですね」と北浜八段。 122 3八馬(37) ( 0:00/04:53:00) *この△3八馬が次の△5六馬を見て厳しい一手。▲9九飛には△4四角のラインがある。 123 9九飛(49) ( 2:00/04:52:00) *飛車を端までかわし、次に敵陣への侵入を図る。 124 5六馬(38) ( 0:00/04:53:00) *単に馬を引き、△6六角▲6八玉△5七馬▲6九玉△5八銀までの詰めろ。 125 7五銀(86) ( 0:00/04:52:00) *歩頭への銀出。まだ簡単には終わらない。 126 同 歩(74) ( 2:00/04:55:00) *中村は残り少ない時間から、3分を削って銀を取る。 127 8六玉(77) ( 0:00/04:52:00) *羽生は玉の早逃げで入玉を目指す。しかし7八の金まで取られるのは痛そうだ。 *仮にこのあと相入玉になった場合、先手は24点に足りるのかという心配もある。 128 7八馬(56) ( 2:00/04:57:00) *控室の継ぎ盤がどれも動かなくなった。大勢が決したということだろうか。中村は残り3分。 129 9一飛成(99) ( 0:00/04:52:00) *いちばん奥の位置で飛車を成る。 130 8三歩打 ( 0:00/04:57:00) *【21時40分の大盤解説会】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/2140-0f27.html 131 同 成桂(73) ( 1:00/04:53:00) 132 6三銀打 ( 1:00/04:58:00) *竜取り、そして入玉阻止の足がかりとなる銀打ち。中村は残り2分。 133 7一竜(72) ( 1:00/04:54:00) *【捕まえたか】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-7281.html 134 8二歩打 ( 0:00/04:58:00) *焦点の歩。 135 同 成桂(83) ( 0:00/04:54:00) 136 8一歩打 ( 0:00/04:58:00) *△8一歩に(1)▲同成桂は△7二金。(2)▲8一同竜左は△7七角▲8五玉に△9五金と打つ手がある。 137 同 竜(71) ( 0:00/04:54:00) *よって取るなら▲8一同竜右の一手。 *そして21時58分、記録係から「中村先生、これより一分将棋でお願いします」と声がかかった。 138 9四歩打 ( 1:00/04:59:00) *△9四歩に▲同成銀なら△7七角▲7五玉に△7四金と打つ手がある。 139 同 竜(91) ( 0:00/04:54:00) *どうやら▲9四同竜に△7七角と打てば寄っていそうだ。 140 6八角打 ( 0:00/04:59:00) 141 7五玉(86) ( 0:00/04:54:00) 142 8七馬(78) ( 0:00/04:59:00) *秒読みぎりぎりまで考えて△8七馬。代えて△7七馬と引く手もあったようだ。 * 143 7三成銀(84) ( 0:00/04:54:00) *羽生は、すぐに成銀を入って逃げ道を作る。 144 9三歩打 ( 0:00/04:59:00) 145 同 竜(94) ( 0:00/04:54:00) *羽生は姿勢を正し、頭を押さえる。中村は頭を低くし、ほとんど動かない。 146 5七角成(68) ( 0:00/04:59:00) *角を成る。▲8五玉は△9三馬がある。 147 6六香打 ( 0:00/04:54:00) 148 同 馬(57) ( 0:00/04:59:00) *馬を切って、決めにいった。 149 同 玉(75) ( 0:00/04:54:00) 150 8六馬(87) ( 0:00/04:59:00) *手数が150手に到達。上部脱出を防ぐのが、いちばん分かりやすい。 151 5六歩打 ( 1:00/04:55:00) 152 4五桂(33) ( 0:00/04:59:00) *中村が着実に羽生玉を追い詰めている。 153 6七金打 ( 0:00/04:55:00) 154 7四桂打 ( 0:00/04:59:00) 155 同 成銀(73) ( 0:00/04:55:00) 156 同 銀(63) ( 0:00/04:59:00) *△7四同銀までで羽生の投了となった。以下▲5五歩には△7七銀と打ち、(1)▲同金なら△5七銀▲6七玉△6六金▲同金△6八馬▲5六玉△4六銀成まで。(2)▲5六玉なら△5五歩▲4七玉△4六香▲同玉△3七銀▲5五玉△5四歩▲4五玉△5五金までの詰みである。 *終局時刻は22時14分。消費時間は▲羽生4時間55分、△中村4時間59分。これで五番勝負は挑戦者の中村が2連勝。初のタイトル獲得にあと1勝と迫った。続く第3局は10月3日(火)、新潟県南魚沼市「温泉御宿 龍言」で行われれる。 * *【中村太地六段が2連勝】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-1195.html *【局後インタビュー】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-72c5.html *【対局者、大盤解説会場へ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-b990.html *【感想戦】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-10da.html * *※局後の感想※ *感想戦は23時36分に終了。本局のポイントは99手目で、▲7三銀では代えて▲2一銀が有力という結論だった。 157 投了 ( 0:00/04:55:00) まで156手で後手の勝ち