# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.04 棋譜ファイル --- 対局ID:6676 記録ID:59a8fc42ec4c5a0004d13878 開始日時:2017/09/05 09:00 終了日時:2017/09/05 22:53 表題:王座戦 棋戦:第65期王座戦五番勝負 第1局 戦型:その他の戦型 持ち時間:各5時間 消費時間:185▲299△299 場所:宮城・仙台ロイヤルパークホテル 備考:昼休前34手目12分・夕休前76手目49分\n 振り駒:1,0,羽 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:10〜13:00 夕食休憩:18:10〜19:00 昼休前消費時間:34手12分 夕休前消費時間:76手49分 手合割:平手   先手:中村太地六段 後手:羽生善治王座 先手省略名:中村太 手数----指手---------消費時間-- *羽生善治王座に中村太地六段が挑戦する第65期王座戦五番勝負(主催:日本経済新聞社)がいよいよ開幕する。羽生にとっては王座6連覇(通算25期)が懸かったシリーズ。中村は2013年の第61期以来、4期ぶり2度目の王座挑戦となる。初挑戦時は第3局までで2勝1敗と羽生をカド番に追い詰めながらも、最後は第一人者の底力の前に屈した。再びの大舞台で雪辱を果たせるか。第1局は9月5日(火)に、宮城県仙台市「仙台ロイヤルパークホテル」で戦われる。対局は9時開始で、持ち時間は各5時間。昼食休憩は12時10分から13時、夕食休憩は18時10分から19時。おやつは15時に出される。立会人は塚田泰明九段、日本経済新聞観戦記の解説は行方尚史八段、記録係は三浦孝介三段(島朗九段門下)がそれぞれ務める。なお、本局は第1局のため、先後は振り駒によって決定される。 *当日は、現地並びに東京都千代田区の日本経済新聞社本社ビル2階「SPACE NIO」で大盤解説会が開催される。現地は解説が木村一基九段、聞き手が宮宗紫野女流初段。日経本社は解説が渡辺明竜王、聞き手が加藤桃子女王。詳細は下記リンク先をご確認いただきたい。 * *【日本経済新聞社】 *https://www.nikkei.com/ *【NIKKEI STYLE 囲碁・将棋】 *https://style.nikkei.com/DF_SEC9_C7____/DF130120166061 *【第65期王座戦 現地大盤解説会】 *https://www.shogi.or.jp/event/2017/08/65_11.html *【第65期王座戦第1局 日経本社大盤解説会】 *https://www.shogi.or.jp/event/2017/08/65_10.html * *(棋譜・コメント入力=睡蓮) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。♯は局後の感想が追記された指し手] 1 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *◆中村 太地(なかむら たいち)六段◆ *1988年6月1日生まれ、東京都府中市出身。(故)米長邦雄永世棋聖門下。2006年、四段。2012年、六段。棋士番号は261。 *タイトル戦登場は3回。 * *両対局者の入室時刻は、中村が8時41分、羽生が8時46分。羽生は上座に腰を落ち着けるとすぐに駒箱に手をかけ、対局準備が始まった。両者、控えめな駒音でゆっくりと駒を並べていく。8時52分、立会人の塚田九段の合図で記録係の三浦三段が絹布を畳の上に広げ、羽生の歩を5枚取って振り駒を行う。結果はと金が4枚。中村の先手と決まった。 *対局は定刻通りに開始。中村はしばらく目をつむってからおもむろに飛車先を突いた。 * *【対局開始直前の様子】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-1bd0.html *【対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-75cb.html 2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *◆羽生 善治(はぶ よしはる)王座(棋聖)◆ *1970年9月27日生まれ、埼玉県所沢市出身。(故)二上達也九段門下。1985年、四段。1994年、九段。棋士番号は175。 *タイトル戦登場は132回。獲得は竜王6期、名人9期(十九世名人)、王位18期(永世王位)、王座24期(名誉王座)、棋王13期(永世棋王)、王将12期(永世王将)、棋聖16期(永世棋聖)の計98期。棋戦優勝は44回。 * *羽生もしばらく瞑想してから飛車先を突いて返す。 3 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *過去の対戦成績は羽生8勝、中村2勝。タイトル戦で顔を合わせるのは、第83期棋聖戦五番勝負(2012年)、第61期王座戦五番勝負(2013年)に続いて3度目だ。両者の対戦は、そのほどんどがタイトル戦において行われていることになる。本局は第61期王座戦五番勝負の第5局以来、約4年ぶりの対戦。 *これまでの戦型の内訳は、横歩取り5局(千日手局も含めると6局)、通常の角換わりと後手一手損角換わりが2局ずつ、先手矢倉対後手雁木が1局。 4 3二金(41) ( 2:00/00:02:00) *3手目の▲7六歩を見届けて、関係者が退室する。周りが落ち着くまでの間、羽生は眼鏡を拭き、中村はペットボトルの水をグラスに注いで間を取った。 5 7八金(69) ( 0:00/00:00:00) *NIKKEI STYLEでは、本シリーズの直前特集記事が9月3日に公開された。両対局者へのインタビュー、藤井猛九段と広瀬章人八段によるシリーズ展望、本戦トーナメントの振り返りという構成になっている。 * *【羽生王座VS.中村六段 将棋王座戦五番勝負・直前特集】 *https://style.nikkei.com/article/DGXMZO20549570Q7A830C1970M00?channel=DF280120166618&style=1 6 8五歩(84) ( 2:00/00:04:00) *両対局者の横に置かれた盆には、冷水の入ったステンレスポット、ペットボトル(500ミリリットル)の水2本、グラス、湯呑みが用意されている。ペットボトルの水は羽生が「ボルヴィック」、中村が「南アルプスの天然水」と、それぞれで種類が違う。中村の盆には、本人の希望でグリーンスムージーと栄養ドリンクも追加されている。 7 7七角(88) ( 0:00/00:00:00) *【中村の公式戦成績】 *通算成績は288勝156敗(0.649) *昨年度成績は26勝14敗(0.650) *今年度成績は12勝4敗(0.750) * *今年度連勝ランキング6位タイ(8連勝)。 8 3四歩(33) ( 0:00/00:04:00) *【羽生の公式戦成績】 *通算成績は1379勝553敗(0.714) *昨年度成績は27勝22敗(0.551) *今年度成績は13勝10敗(0.565) * *今年度対局数ランキング5位タイ、勝数ランキング9位タイ。 9 8八銀(79) ( 0:00/00:00:00) *中村の直近10局の成績は、古い対局から順に○○○(千)○○○○○●●の8勝2敗。 10 4四歩(43) ( 3:00/00:07:00) *羽生の直近10局の成績は、古い対局から順に●○●○●○○●●●の4勝6敗。 * *代えて△7七角成なら角換わりの将棋だったが、△4四歩と突いて角道を止めた。このあとは△4二銀〜△4三銀から雁木やツノ銀の形に組むのが最近の流行になっている。 *「(シリーズの)どこかで出ると思っていましたが、ここで出ましたね」(木村九段) 11 2五歩(26) ( 1:00/00:01:00) *中村の本棋戦成績は28勝12敗(0.700)。今期は二次予選からの出場で、戸辺誠七段、丸山忠久九段を破って本戦入りすると、以降も阿久津主税八段、広瀬章人八段、菅井竜也七段(現王位)、青嶋未来五段と強敵を連破。4期ぶり2度目となる王座挑戦を決めた。 12 3三角(22) ( 0:00/00:07:00) *羽生の本棋戦成績は95勝25敗(0.792)。王座在位は通算24期で、名誉王座の有資格者だ。第40期(1992年)に初めて王座を獲得し、そのまま19連覇を達成した。これは同一タイトルの最多連覇記録。第59期(2011年)の五番勝負に敗れて一度失冠したが、次の第60期には返り咲きに成功。そこから5連覇を果たして今期に至っている。また、本シリーズで同一タイトル戦連続出場記録を26回に更新したことになる。 13 4八銀(39) ( 0:00/00:01:00) *本局の日本経済新聞観戦記は、大崎善生さんが担当する。 * *【観戦記は大崎善生さん】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-de4d.html 14 4二銀(31) ( 0:00/00:07:00) *本局は、下記の各動画サービスでもライブ配信されている。 * *【ニコニコ生放送】(要会員登録) *http://live.nicovideo.jp/gate/lv304154180 * *解説者:屋敷伸之九段 *聞き手:本田小百合女流三段 * *【AbemaTV 将棋チャンネル】 *https://abema.tv/now-on-air/shogi * *解説者:中田功七段、井出隼平四段、杉本和陽四段 *聞き手:中村桃子女流初段、飯野愛女流1級 15 3六歩(37) ( 5:00/00:06:00) *仙台市は宮城県の中部に位置する同県の県庁所在地かつ政令指定都市で、人口は約108万5千人。江戸時代には伊達家の仙台城の城下町として発展した。緑豊かな街並みから「杜の都」とも呼ばれる。仙台城跡や瑞鳳殿、大崎八幡宮をはじめとした伊達家ゆかりの史跡、市民の台所である仙台朝市、秋保温泉など、人気の観光名所が数多く点在している。 * *【仙台市公式サイト】 *https://www.city.sendai.jp/ *【せんだい旅日和−仙台観光情報公式サイト−】 *http://www.sentabi.jp/ 16 4三銀(42) ( 2:00/00:09:00) *対局場の仙台ロイヤルパークホテルは、仙台駅から北に車で約30分の距離にある。ヨーロッパ貴族の館を思わせる瀟洒な建物に、広々とした美しい庭園。敷地内に足を踏み入れると、中世の異国の地を訪れたような非日常感を覚える。また、ホテルには二つの大型商業施設、テニスクラブ、乗馬クラブ、ゴルフ場が隣接しており、周辺一帯が高級感あふれるリゾート地になっている。 * *【仙台ロイヤルパークホテル(公式サイト)】 *https://www.srph.co.jp/ *【仙台ロイヤルパークホテル(中継ブログ記事)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-5b08.html *【泉パークタウン】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-1aed.html 17 5六歩(57) ( 3:00/00:09:00) *中村が羽生の持つ王座に初めて挑戦した第61期(2013年)五番勝負の第1局も、この仙台ロイヤルパークホテルで指された。その将棋は羽生の後手一手損角換わりから形勢が細かく揺れ動く大熱戦になり、最後は中村が攻めきって対羽生戦初勝利及びタイトル戦初勝利を挙げた。 *時刻は9時30分。控室の継ぎ盤では行方尚史八段が上記の対局を記憶だけで再現しようとしており、日本将棋連盟会長の佐藤康光九段と木村九段がそれを見守っている。 *「(仕掛けの局面は)こうでしたよね、佐藤先生?」(行方八段) *「私も昨日並べたんですが……。先手は早めに▲1六歩〜▲1五歩と突き越して、後手は5四銀の形でしたね」(佐藤康九段) *「あ、そうか。全然覚えてないなあ(笑)」(行方八段) * *【第61期王座戦五番勝負第1局 ▲中村太地六段−△羽生善治王座戦】 *http://live.shogi.or.jp/ouza/kifu/61/ouza201309040101.html 18 5二金(61) ( 5:00/00:14:00) *対局前日の4日、両対局者を含めた関係者一行は14時頃に新幹線で仙台入りした。羽生、中村ともに仙台には何度も訪れている。特に中村にとって仙台は、小学校1年生までの幼い時期を過ごした思い出深い地だという。仙台駅からはバスで仙台ロイヤルパークホテルに移動。到着後の両対局者はしばし休息を取り、17時から中村、羽生の順でニコニコ生放送並びにAvemaTVの事前インタビューに応じた。以下にインタビューの要旨を記す。 *「(菅井竜也新王位をはじめ、)同じ20代の棋士たちの活躍に刺激は受けているが、その点はあまり意識しすぎずに自分の力を出しきりたい。羽生には過去2度挑戦している(王座1回、棋聖1回)。その経験で学んだことを生かして結果を残したい」(中村) *「今期の中村は充実した内容で勝ち上がってきた印象。(4期前の五番勝負以来、)久しぶりに対戦するので、以前よりも内容のよい将棋が指せればと思っている。一局一局を新たな気持ちで臨むことが大事だと考えており、明日の開幕局も新たな出発という気持ちで迎えたい」(羽生) * *【仙台へ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-0156.html 19 6八角(77) ( 1:00/00:10:00) *対局前日の検分は18時に開始された。盤と駒、駒台は将棋連盟所蔵の品が使われることが事前に決まっており、室内環境も問題なし。留意点として運営側から伝えられたのは光の具合で、部屋には外の庭園を望める南向きの大きな窓があるが、天候によっては昼頃になるとそちらからまばゆい陽光が射し込んでくるとのこと。対局中に光が入り過ぎる場合は、両者合意の上で適宜カーテンを閉めることとなった。検分は滞りなく5分ほどで終了した。 * *【検分】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-42ac.html 20 6二銀(71) ( 0:00/00:14:00) 21 3七銀(48) ( 1:00/00:11:00) *先手はいつでも▲2四歩△同歩▲同角△同角▲同飛△2三歩▲2八飛と飛車先の歩を切れる形だが、すぐにいっても得になっているかは微妙なところ。むしろ角交換になると先手陣のほうが隙が多く、損な面もある。 22 5四歩(53) (10:00/00:24:00) 23 6九玉(59) ( 0:00/00:11:00) 24 7四歩(73) ( 5:00/00:29:00) *中村は右手を頬に当てながら盤上を見つめ、考慮に沈む。羽生は眼鏡を外して目をつむり、座禅をしているような姿勢で静止している。 25 5八金(49) (15:00/00:26:00) *10時10分頃の着手。15分の考慮だった。▲5八金までの消費時間は▲中村26分、△羽生29分。 *まだあまり指されていない形ということで局面の急所が捉えづらく、この辺りから一手一手が難しくなってくる。 *「お互いに時間を使って、こってりした感じになるんじゃないですかね」(木村九段) 26 7三桂(81) (12:00/00:41:00) *しばらく席を外していた羽生。戻ってきてすぐに盤上に手を伸ばす。控室では、先手が▲7七銀を保留しているので後手もすぐに右桂は跳ねにくいかもしれないともいわれていた。 27 7七銀(88) ( 5:00/00:31:00) *少考で左銀を7七に。7三桂の目標になりやすい位置だが、問題ないと判断したようだ。 *10時35分、関係者が対局室に入り、昼食の注文を取った。 28 4一玉(51) (13:00/00:54:00) *後手は居玉で待機して右玉の含みも残していたが、ここで玉を自陣左辺に。13分の考慮だった。中村は扇子を開いて風を送りながら考える。 29 2六銀(37) (28:00/00:59:00) *11時11分の着手。28分の考慮だった。▲2六銀までの消費時間は▲中村59分、△羽生54分。 *攻めの銀を前に。代えて▲7九玉や▲6六歩で玉形の整備を進める選択もあった。次はいきなり▲3五歩と仕掛ける順も考えられそうだ。控室では塚田九段がニコニコ生放送に電話出演しており、「昼食休憩まであと1時間ほどありますが、その前に駒がぶつかることになるかもしれませんね」と話している。 *継ぎ盤では木村九段と行方八段が検討中。木村九段が先手を持っている。現局面から△4二角に(1)▲2四歩△同角▲同角△同歩▲1五銀△5五歩という順がまず示された。「これは(先手が)やばいね」と木村九段。(2)▲6六歩と突いて様子を見るのも△6四角とされて、「ムムム、(先手が)何か変かな」とのコメント。「では、残された道はこんな感じ?」ということで、(3)▲3五歩が調べられている。 * *【棒銀】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-6d8d.html 30 5五歩(54) (16:00/01:10:00) *11時27分、16分の考慮で後手から仕掛けた。行方八段がすぐに▲5五同歩△4五歩という順を示す。羽生は攻め将棋の中村に攻め込まれる前に自分から動いていくつもりのようだ。 *「先手の人はああ見えて乱暴者ですからね(笑)」(行方八段) * *※局後の感想※ *「こっちもこうやらないとしょうがないので」(羽生) *「そうですね。こっちもやられて困っているようでは」(中村) *△5五歩は機敏な仕掛けだったようだ。前手の▲2六銀では▲6六歩としたほうがよかった、と中村。 * *【開戦】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-75ae.html 31 同 歩(56) (13:00/01:12:00) *13分の考慮。 32 4五歩(44) ( 5:00/01:15:00) *3三の角筋を通して△5五角を見る。現局面から▲4六歩△5五角▲3七銀でどうかと、木村九段を中心とした検討陣。 33 3七桂(29) (11:00/01:23:00) *右桂も前に使っていく。「全然、違いましたあー。私たちの検討は、ザルだったなあ」と木村九段がおどけた。現局面から△5五角▲6六銀に(1)△2二角は、以下▲2四歩△同歩▲1五銀で先手の棒銀が生きる。(2)△6四角と、先手の攻め駒をにらむ位置をキープするのが自然なようだ。 *12時10分、この局面で羽生が12分使って昼食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲中村1時間23分、△羽生1時間27分。昼食の注文は、羽生が「シーフードピラフ、アップルジュース」、中村が「牛たん弁当、グレープフルーツジュース」。対局は13時に再開される。 *12時54分、中村が戻った。座ると下を向き、顔の半分を隠すように右手を当てて考え込むようなポーズに。しばらくたって顔を上げ、グラスに水を入れてから盤上に視線を向けた。 *12時59分、羽生も戻る。 * *※局後の感想※ *代えて▲4六歩とし、以下△5五角に▲3七銀の順のほうが先手としてはまさった。 * *【昼食休憩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-bc24.html *【休憩中の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-eb76.html 34 5五角(33) (13:00/01:28:00) *対局再開。すぐに△5五角が指された。 * *【対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-2985.html 35 6六歩(67) ( 0:00/01:23:00) *ノータイムで▲6六歩。これは▲6七金右から囲いを進める展開を志向したものか。 36 8六歩(85) ( 5:00/01:33:00) *羽生は一瞬、左上を見てからあごに右手を当てて数秒盤上を眺め、軽い手つきで8筋の歩を突き出した。 37 同 歩(87) ( 0:00/01:23:00) *代えて▲8六同銀は△6六角があるので、歩で取るしかないところ。 38 8五歩打 ( 0:00/01:33:00) *すぐに歩を合わせる。控室で「早いですねえ」という声が上がった。この△8五歩に▲同歩と取ると、以下△8五同桂▲8八銀△6六角で先手がまずそうだ。 * *※局後の感想※ *中村はこの継ぎ歩攻めを軽視していた。 39 5六歩打 ( 3:00/01:26:00) *天王山で威張っている角に働きかけた。角がどちらの方向に引いても、先手陣への脅威は少し弱まる。 40 4四角(55) ( 4:00/01:37:00) *6六への利きを重視した引き場所。昼食休憩が明けてからパタパタと手が進んでいる。 41 6七金(58) ( 8:00/01:34:00) *上部を厚くして受け止める態勢を作った。△8六歩の取り込みには▲8八歩で我慢するということだろう。局面が落ち着けば、先手からも(1)▲4六歩や(2)▲2四歩△同歩▲1五銀といった反撃筋がある。 42 8六歩(85) ( 1:00/01:38:00) *ニコニコ生放送の屋敷伸之九段は、後手の成功例として現局面から▲8六同銀△6四歩▲8八歩△6五歩▲同歩△6六歩▲7七金寄△6五桂▲8七金寄△6七歩成▲同金△6六歩という順を解説している。 43 8八歩打 (10:00/01:44:00) 44 6四歩(63) (12:00/01:50:00) *▲8六銀に△6五歩を用意。後手はいいタイミングで△6五歩と突き、4四角と7三桂に改めて活を入れたい。 45 2四歩(25) ( 7:00/01:51:00) *先手も攻め手を作りにいく。代えて▲7九玉と落ち着こうとしても、やはり△6五歩からどんどん攻められてしまったか。 46 同 歩(23) ( 1:00/01:51:00) *14時ちょうどの着手。△2四同歩までの消費時間は▲中村1時間51分、△羽生1時間51分。 *関係者がおやつの注文取りに対局室に入った。 47 4六歩(47) ( 0:00/01:51:00) *4四角を目標にしながら戦線を広げる。 48 同 歩(45) ( 3:00/01:54:00) 49 同 角(68) ( 0:00/01:51:00) *控室で検討中の塚田九段と木村九段は、現局面で(1)△6三銀は▲4五歩と押さえられて後手が芳しくないと話している。(2)△4五歩と先着するのがよいようだ。 50 4五歩打 ( 0:00/01:54:00) *この△4五歩に▲同桂は、△5四銀で桂が助からない。 51 2四角(46) ( 0:00/01:51:00) *控室の継ぎ盤は、現局面から△2三歩▲6八角△6三銀と進められたところで止まっている。先手を持っている木村九段は、組んでいた腕をほどいて「指す手が分かりません」と開いた手をひらひら。「こちらに座りたくないよね」と、木村九段の隣の行方八段。後手を持っている塚田九段は、「羽生さんはいいと思っているでしょうね」と口にした。 52 2三歩打 ( 8:00/02:02:00) 53 6八角(24) ( 0:00/01:51:00) *先手はひとまず2枚の持ち歩を得た。 * *【控室は後手持ちに】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-f389.html 54 6五歩(64) ( 1:00/02:03:00) *単刀直入に6筋に手をつける。「▲6五同歩には△同桂▲6六銀△5七歩(次に△2六角〜△5八銀の狙い)がありますね。これはけっこうきついですよ」と行方八段。 *中村がまとまった時間を使って考えている。普通の手では先手が押し潰されてしまいそうな局面。何とか勝負順を見いださなければならない。 * *※局後の感想※ *「ちょっとつらいですね」(中村) 55 5五歩(56) (28:00/02:19:00) *28分の考慮。対して△5五同角なら6七金を5六にぐいっと出て、後手の攻め駒を押さえにいくつもりだろうか。 * *【控室の検討例】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-85fb.html 56 6三銀(62) (12:00/02:15:00) *力をためた。仮にこの右銀が5五まで進めば、相当に手厚い攻めになる。 *15時、両対局者におやつが出された。注文は、羽生が「プリンアラモード、ホットレモンティー」、中村が「苺のショートケーキとフルーツ、ホットコーヒー」。 *ホテル1階の大ホールでは、木村九段と宮宗女流初段による現地大盤解説会が始まった。開始の時点で、すでに100人以上のファンの皆さんが詰めかけている。 * *【おやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-6c0a.html 57 5六金(67) (12:00/02:31:00) *5五歩を支える。この金上がりは、△6六歩の取り込みが金当たりになるのをあらかじめかわしている意味もある。 *15時10分の着手。▲5六金までの消費時間は▲中村2時間31分、△羽生2時間20分。 58 6六歩(65) (16:00/02:31:00) *16分の考慮。放置すれば次は△8七歩成▲同歩△6七歩成▲同金△8七飛成という筋がある。 59 同 銀(77) ( 0:00/02:31:00) *【現地大盤解説会】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-403b.html 60 6七歩打 ( 0:00/02:31:00) *▲6六同銀に対してほとんど間を置かずに△6七歩。 *「これが痛いんですよね」(塚田九段) *現局面で▲6七同金は△8七歩成▲同歩△同飛成。かといって、6七歩が盤上に残れば大きなクサビになる。 61 7九角(68) ( 8:00/02:39:00) *引いて耐える。この手を見て、羽生は小さく何度もうなずいた。 *「7九に引くのがいちばん当たりが弱いということだと思いますが、△6四銀と出られて先手の指す手が分かりませんね」(行方八段) * *※局後の感想※ *「辛抱されて簡単ではないですか」(羽生) 62 6四銀(63) ( 6:00/02:37:00) *ニコニコ生放送の屋敷九段は、現局面で(1)▲4五金なら△2六角▲同飛△6五銀という筋があると解説している。もう受けの利かない先手は、そこで▲4四歩などと攻め合ってどうなるか。△2六角と切られる手を先手が嫌うなら(2)▲3五歩が考えられるが、それには以下△6五銀▲同銀△同桂▲同金△6八銀という強襲が怖い。 63 7七桂(89) ( 9:00/02:48:00) *とにかく△6五銀を防ぐ。ただ、桂を跳ねると今度は△7五歩▲6五歩△7六歩の攻めが気になるところ。 *着手後しばらくして、中村が席を外した。羽生は記録係から棋譜用紙をもらい、さっと目を通してすぐに返す。盤に向き直りながら、「はあー、分からん」とつぶやいた。 *16時、関係者が対局室に入って夕食の注文を取った。 *16時5分、現地大盤解説会が休憩に入り、「道に迷っちゃった」といいながら木村九段が控室に帰ってきた。往路はホテルの方に連れられて従業員用通路を通ったのだが、帰り方が分からなくなってしまったという。 *「どういったか分からなくなっちゃって。厨房に一升瓶がごろごろしてて、どうしようかと思っちゃった(笑)」(木村九段) 64 7五歩(74) (18:00/02:55:00) *16時12分の着手。18分の考慮だった。△7五歩までの消費時間は▲中村2時間48分、△羽生2時間55分。 65 6五歩打 ( 0:00/02:48:00) *代えて▲7五同歩は△7六歩があった。 66 7六歩(75) ( 0:00/02:55:00) *6四銀を引いているのでは何をやっているのか分からない。激しい順に入った。 67 6四歩(65) ( 0:00/02:48:00) *「どんどん進みますね」(木村九段) 68 7七歩成(76) ( 0:00/02:55:00) *現局面で▲7七同銀には(1)△6五桂打が厳しいようだ。ほかには(2)△5七歩と垂らしておく手もある。 69 同 銀(66) ( 5:00/02:53:00) *代えて▲7七同金も、△7六歩(▲同金なら△8七歩成)のタタキがきつかったか。 70 6五桂打 ( 5:00/03:00:00) *控室では、現局面で▲7六銀と逃げる手に(1)△2六角▲同飛△5七歩と迫って後手がいけるのではないかと検討されている。単に(2)△5七歩では、▲3五歩と4四の角筋を止めて頑張られるようだ。(1)の△5七歩以下の進行例として、行方八段が▲6七金△8七歩成▲同銀(▲同歩は△7五歩)△6六歩▲同金寄△7七銀▲2八飛△4六歩という順を挙げた。 *「△4六歩はいい手だねえ」(木村九段) * *※局後の感想※ *代えて△5七歩とし、以下▲3五歩に△4六歩と進めたほうがよかった。 *「そうか、△6五桂打がおかしかったのか。ちょっと単調だったですかねえ」(羽生) 71 7六銀(77) (10:00/03:03:00) 72 2六角(44) ( 9:00/03:09:00) *時刻は16時45分。控室では行方八段がニコニコ生放送に電話出演し、屋敷九段と意見交換をしている。と、ここで羽生の手が盤上に伸びた。控室で本命視されていた角切りだ。 *「羽生王座が決めに出たということですね。(後手からは)あちこちに歩が利きますから、波状攻撃が止まらないんじゃないかという気がします」(行方八段) * *【決めに出る】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-d7b5.html 73 同 飛(28) ( 0:00/03:03:00) 74 5七歩打 ( 0:00/03:09:00) *△5八銀までの詰めろ。対して(1)▲6七銀なら△7七歩▲6八金△8七歩成▲同歩△同飛成だ。(2)▲5七同金なら、△同桂成▲同角に(2−ア)△5六歩や(2−イ)△5六銀が厳しい。 *中村はほとんど動くことなく、盤面をじっと見つめて考えている。比較して羽生は動きが多く、何かひらめいたのか、驚いたような表情で何度もうなずいたり、読みを確認するように首を左右に振る仕草が見られる。 *17時15分を過ぎた頃、ややうつむき気味の姿勢で考えていた羽生が、急に非常な力強さでうなずいた。そして横を向いてしばし止まったあと、グラスに水を注いで口に運ぶ。重要な変化を読みきったような雰囲気だ。中村は微動だにせず、考え続ける。 75 6七金(78) (33:00/03:36:00) *17時20分の着手。33分の考慮だった。▲6七金までの消費時間は▲中村3時間36分、△羽生3時間9分。 *羽生がいったん席を外し、10分ほどたってから戻ってきた。 *18時、羽生の考慮が続いている。70手目△6五桂打のコメント欄で触れた(1)△8七歩成以外に、(2)△7五歩や(3)△5八銀なども有力なようだ。控室の塚田九段と行方八段は、このまま夕食休憩に入りそうだと話している。 *18時10分、この局面で羽生が49分考えて夕食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲中村3時間36分、△羽生3時間42分。夕食の注文は、羽生王座が「おにぎり(梅・鮭・おかか、小鉢・味噌椀・香の物付)、オレンジジュース」、中村が「仙台牛ハンバーグ(ライスなし、スープ・サラダ・フルーツ付)」。対局は19時に再開される。 *18時38分、中村が戻る。席に着くと、まず栄養ドリンクのふたを開けて中身を一気に飲み干してから考慮を再開した。 *18時53分、羽生も戻る。 * *【夕食休憩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-d57e.html 76 5八銀打 (49:00/03:58:00) *対局再開。すぐに△5八銀が指された。 * *※局後の感想※ *代えて△7五歩が調べられた。以下▲6五銀△同桂▲同金△8七歩成▲6三歩成△同金▲4四歩という順が盤に並べられ、「これで寄せられたら仕方ないと思っていました」と中村。そして実際のところ、最後の▲4四歩に△5八銀▲6八玉△6七銀成▲同玉△8六飛と進めれば後手の手勝ちだったようだ。 *「そうでしたか。なるほど、そうでしたね」(羽生) * *【対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-2985-1.html 77 6八玉(69) ( 0:00/03:36:00) 78 6七銀成(58) ( 0:00/03:58:00) 79 同 玉(68) ( 0:00/03:36:00) *代えて▲6七同銀は△7七金があった。 80 8七歩成(86) ( 0:00/03:58:00) *金をはがしてから飛車先の歩を成る。対して(1)▲8七同歩は△7七金▲6六玉△7六金▲同玉△6七銀▲7五玉(▲同玉は△8七飛成)△5六銀成で後手が勝つようだ。(2)▲8七同銀が正しい応手で、後手は以下△7七金▲6六玉△8七金と先手の玉周りの駒を着実に消していくことになる。 *「いろいろな手段が考えられるところで、あえて素朴な順を選ぶのが羽生さんらしいですね」(行方八段) 81 同 銀(76) ( 2:00/03:38:00) *形勢は依然後手がよいものの、すぐには終わりそうにない、と控室の棋士たち。 82 7七金打 ( 0:00/03:58:00) 83 6六玉(67) ( 0:00/03:38:00) *果たしてこの中段玉の生命力はいかほどか。 84 8七金(77) ( 0:00/03:58:00) *現局面で▲8七同歩は△同飛成で先手がはっきり駄目。ニコニコ生放送の屋敷九段は、▲7五玉とさらに上に逃げ出す手を検討している。 85 4四歩打 (14:00/03:52:00) *なんと、攻め合いにいった。この▲4四歩は14分の考慮。対して(1)△4四同銀なら▲4二歩の王手が嫌らしいか。(2)△8六飛にはやはり▲7五玉と泳いで頑張るつもりだろう。塚田九段と行方八段は、すでに混戦模様になっているという見解。現局面で△7四歩(△7五銀以下の詰めろ)には、▲6五金△同桂▲4三歩成と踏み込む。流れとしてはそこで先手玉が詰まないとおかしいが、どうやら詰みはないようだ。 * *【混戦模様】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-7dd1.html 86 8六飛(82) (23:00/04:21:00) *23分の考慮。後手がここまでしなければいけなかったのか(もっと堅実に寄せる順があったのではないか)という疑問は残るが、以下▲7五玉に△6二金(△8五飛以下の詰めろ)で何とか後手が寄せきれそう、と行方八段。なお、現局面で▲7六歩には△6七銀が厳しいという。 * *※局後の感想※ *代えて△4四同銀は、以下(1)▲6三銀や(2)▲6一銀なら△7四歩で後手がやれるが、(3)▲4二歩△3一玉(△4二同玉は▲4三歩)▲4一銀△4二金右▲3二銀成△同金▲6三歩成と進むと先手玉が捕まらなさそう。 87 7五玉(66) ( 0:00/03:52:00) 88 7二歩打 ( 7:00/04:28:00) *「え、違う……。これは難しくなったはずですよ」(行方八段) *この△7二歩も△8五飛以下の詰めろだが、▲9六角と受けて先手玉は簡単には捕まらないようだ。行方八段は▲9六角以下△7七桂成▲6三歩成△7六成桂▲7四玉という順を継ぎ盤に並べている。難解だが、こうなると先手勝ちになっている可能性もあるとのこと。 * *※局後の感想※ *代えて△6二金がよかった。以下▲6七角△5二銀に(1)▲9五銀は、△7四歩▲同玉△6三銀打▲同歩成△同銀▲7五玉△5六飛が行方八段指摘の順で後手が勝つ。最後の△5六飛に▲同角なら、△7四歩▲8四玉△8五金▲8三玉△7二金まででぴったり詰みだ。(2)▲4三歩成も△同銀▲6三銀△7四歩▲同銀成△7七桂成▲6三歩成△6七成桂▲6二と△4二角▲6四成銀△8三銀が予想される進行で先手玉が捕まっていそう。本譜の△7二歩は、どこかで△7四歩と打つ手がなくなったマイナスが大きかったようだ。 89 6七角打 ( 9:00/04:01:00) *6七から角。詰めろを防ぎつつ、5六金にヒモをつけている。指されてみると、▲9六角よりもこの▲6七角のほうが感触がいい、と行方八段。 *「事件です」(行方八段) *20時2分の着手。▲6七角までの消費時間は▲中村4時間1分、△羽生4時間29分。 90 4四銀(43) ( 3:00/04:31:00) *自玉周りに手を戻した。やはりすぐに先手玉を寄せる順はなかったようだ。中村にチャンスがきているか。 91 8七歩(88) (19:00/04:20:00) *19分の考慮で8七の金を取った。 *「▲6三銀とかぶせてもみたかったですが、△7七桂成とされたときにはっきりしないところがありましたかね」(行方八段) *現局面からは△8七同飛成▲7六銀△8三竜▲8四歩△7四銀▲6六玉△8四竜▲8五歩が進行の一例で、そこまで進むと先手がやれる。 92 同 飛成(86) ( 0:00/04:31:00) 93 7六銀打 ( 0:00/04:20:00) *竜取りの先手ではじく。 94 8一竜(87) ( 4:00/04:35:00) *最下段に引き揚げる。次は△7七桂成が狙いだ。控室では、▲8二歩△同竜▲8三歩で竜の利きを止める順が予想されている。 *20時46分、現局面での中村の考慮時間が15分に届き、両者の消費時間が4時間35分で並んだ。中村はなおも考え続ける。 95 6三銀打 (20:00/04:40:00) *20時52分の着手。20分の考慮だった。先手玉はまだ不安定な形だが、危険を恐れず突っ込んだ。現局面で(1)△8六銀や(2)△8四銀には、いずれも▲7四玉で耐えるつもりのようだ。 *「すさまじいですね。(本局の中村は)力強い手が多いですね」(ニコニコ生放送の屋敷九段) * *※局後の感想※ *代えて▲8二歩とするべきだった。以下△8二同竜▲8三歩△同竜▲8四歩△7四銀▲6六玉△8四竜▲8五歩に(1)△同桂なら▲7五銀打で分かりやすく先手が勝ちそう。対局中の中村は(2)△8一竜と応じられたときが分からなかったが、それも▲5四金△5三金▲4五金という順の味がよく、先手がやれるようだ。 96 7七桂成(65) ( 9:00/04:44:00) *21時1分の着手。9分の考慮だった。△7七桂成までの消費時間は▲中村4時間40分、△羽生4時間44分。 *先手玉も正しく指さないとすぐに流れ弾に当たってしまう形なので、まだまだ難しい、と屋敷九段。 97 5二銀成(63) ( 0:00/04:40:00) *時間を使わずに5二金を取った。 98 同 玉(41) ( 0:00/04:44:00) 99 6三歩成(64) ( 0:00/04:40:00) *軽手で手を繋げる。 100 同 玉(52) ( 1:00/04:45:00) *と金は残せない。例えば代えて△4一玉には、▲5二金△3一玉▲4三歩の追撃があった。 101 5四金打 ( 0:00/04:40:00) *王手銀取りで中段を厚くする。ただ、現局面で△5二玉に▲4四金とすることはできないのでは、と控室の検討陣。以下△6四銀と打たれ、▲6四同玉は△8四竜▲7四歩△6三銀までで先手玉が詰む。 *「4四銀は毒まんじゅうですね」(行方八段) 102 5二玉(63) ( 0:00/04:45:00) *仮にここで中村からすぐに手が出ないようではおかしい、と検討陣。 *羽生がゆったりとした動作で席を立ち、数分後、またゆったりとした動作で戻ってくる。中村はまだ指していない。 103 6三金打 ( 9:00/04:49:00) *9分の考慮。さらに盤上の味方を増やした。 104 4一玉(52) ( 0:00/04:45:00) 105 8二歩打 ( 1:00/04:50:00) 106 同 竜(81) ( 0:00/04:45:00) *※局後の感想※ *ここでの▲8二歩△同竜というやり取りは、先手の損だった可能性がある。詳しくは112手目△8五桂のコメント欄を参照のこと。 107 4四金(54) ( 0:00/04:50:00) *一段竜の利きを消して後手玉の守備力を弱めてから銀を取った。 108 6七成桂(77) ( 0:00/04:45:00) *後手は角を取る。△8六角▲7四玉△8三銀までの詰めろだ。 109 6四玉(75) ( 0:00/04:50:00) *現局面は再逆転で後手よしになっている、と検討陣。 *「でも読まなきゃいけないことがいっぱいあるから、まだ何が起こるか分からないです」(行方八段) 110 6二歩打 ( 5:00/04:50:00) 111 同 金(63) ( 0:00/04:50:00) 112 8五桂(73) ( 0:00/04:50:00) *7三の地点を空けて△7三竜を作った。この手が好手なようだ。控室では、代えて△6一歩くらいかといわれていた。 *「なるほど、目がいいなあ。さすがです」(行方八段) *「▲8二歩(105手目)をとがめているという意味でも、素晴らしいですね」(塚田九段) * *※局後の感想※ *105手目から▲8二歩△同竜の交換が入ったことにより、この△8五桂が幸便になった。仮に後手が8一竜型なら代えて(1)△5一銀▲6三歩や(2)△6一歩▲6三金△6二銀▲5二銀△3一玉という順が予想され、難しい戦い。 113 5四玉(64) ( 2:00/04:52:00) *控室は、すでに後手の勝ちが決まったという雰囲気になっている。報道陣も終局に備えて準備を始めた。 *「いや、これを勝っちゃうんだなあ。すごいなあ。諦めないからな」(塚田九段) 114 4三銀打 ( 4:00/04:54:00) *これは決めにいった手か。 115 同 金(44) ( 0:00/04:52:00) 116 同 金(32) ( 0:00/04:54:00) 117 同 玉(54) ( 1:00/04:53:00) *最終盤で玉と玉が向かい合う。手番を握っている後手に手段がありそうだ。 118 7三竜(82) ( 0:00/04:54:00) *待望の竜の活用。ここで6三に何を合駒するのかが大きな分かれ目、と行方八段。先手玉に即詰みはなさそうだが、王手の連続で盤上の駒を増やして手厚くし、最後に△7六竜と取るつもりだろうと話している。 119 6三銀打 ( 1:00/04:54:00) 120 3二金打 ( 3:00/04:57:00) *残り6分から3分使っての着手。羽生の手は震えていた。玉を逃げる手に△4三銀と打って、囲いを再構築するつもりのようだ。 * *※局後の感想※ *代えて△3三金▲5四玉△5三銀は、以下▲4五玉(▲5三同玉は△4二角から詰み)△6二銀▲4三歩△3二玉▲7四金で後手も大変。 121 5四玉(43) ( 1:00/04:55:00) 122 4三銀打 ( 0:00/04:57:00) 123 6五玉(54) ( 2:00/04:57:00) *7六銀を守った。代えて▲4五玉は、△7六竜で駄目と読んだか。現局面で△6四歩は、打ち歩詰めの反則なのでできない。この手に2分使い、中村は残り3分になった。羽生も残り3分だ。 * *※局後の感想※ *代えて▲4五玉には、△3八角が羽生の予定。6二金という質駒もあり、それは後手が勝っているようだ。 124 7七桂成(85) ( 0:00/04:57:00) *△7六竜▲6四玉△8六角以下の詰めろで迫る。 125 5二銀打 ( 2:00/04:59:00) *一分将棋なるまで考えての着手。この▲5二銀打に△同銀は、以下▲同金△3一玉▲4二金打△同金▲同金△同玉▲4三銀で、後手がトン死していてもおかしくない、と塚田九段。 126 3一玉(41) ( 0:00/04:57:00) *また羽生の手が震えた。 127 7四金打 ( 0:00/04:59:00) 128 9二角打 ( 0:00/04:57:00) *この手は△7四角▲同銀成△6四金以下の詰めろになっている。 129 8三歩打 ( 0:00/04:59:00) 130 同 角(92) ( 0:00/04:57:00) 131 6七銀(76) ( 0:00/04:59:00) *代えて▲8三同金は、△7六竜▲6四玉△7三銀以下の詰みがあった。 132 5二銀(43) ( 0:00/04:57:00) *銀を補充。▲5二同金には△6三竜がある。 * *※局後の感想※ *代えて△6七同成桂で明快に後手勝ちだった。以下▲4三銀不成には△同金でよい。 133 8三金(74) ( 0:00/04:59:00) 134 6四歩打 ( 0:00/04:57:00) *熱戦に終止符が打たれようとしている。現局面で(1)▲6六玉には△6七成桂▲同玉△7九竜がある。(2)▲5四玉には△6三銀▲同金△4三銀▲4五玉△6三竜だ。 135 5四玉(65) ( 0:00/04:59:00) 136 6三銀(52) ( 0:00/04:57:00) 137 同 金(62) ( 0:00/04:59:00) 138 4三銀打 ( 0:00/04:57:00) *すでに後手玉がまったく安全になっており、あとはゆっくり先手玉を捕まえればよい。 139 4五玉(54) ( 0:00/04:59:00) 140 6三竜(73) ( 0:00/04:57:00) *ここ数手、中村はぎりぎりまで秒を読まれてから盤上に手を伸ばしているが、羽生はノータイム指しを続けている。 141 4六玉(45) ( 0:00/04:59:00) 142 6七成桂(77) ( 0:00/04:57:00) 143 2二歩打 ( 0:00/04:59:00) *折れずに指し続ける。 * *※局後の感想※ *「よく分からなかったですねー」(羽生) 144 8三竜(63) ( 1:00/04:58:00) *残り3分から1分使った。 145 2一歩成(22) ( 0:00/04:59:00) *まだ先手玉はすぐに寄せられる形ではなさそう。懸命に相手玉に迫る。 146 同 玉(31) ( 0:00/04:58:00) 147 4一銀打 ( 0:00/04:59:00) *銀を引っかけて手を渡した。 *「中村太地流ですね。直接手はあまり指さないんです」(行方八段) 148 4四銀打 ( 1:00/04:59:00) *攻防の銀打ち。△3五銀打を見ながら3三の地点にも利かせている。この手で羽生も一分将棋に入った。 149 3二銀(41) ( 0:00/04:59:00) *「まだ20手くらいは続きそうですね」(行方八段) 150 同 銀(43) ( 0:00/04:59:00) 151 7一角打 ( 0:00/04:59:00) *嫌らしく追いかける。 *「一分将棋でこれはしびれますよ」(行方八段) 152 3三銀打 ( 0:00/04:59:00) *秒に追われ、迷ったような素振りを見せて△3三銀打。 *「優勢のほう(羽生)が粘っているような感じですから、まだ終わらないですよね。万が一にも間違えないように。どうしても勝ちたいという気持ちが伝わります」(塚田九段) * *※局後の感想※ *代えて△5三銀打も、▲4五金打ではっきりしない。 153 2二歩打 ( 0:00/04:59:00) 154 同 玉(21) ( 0:00/04:59:00) 155 2四歩打 ( 0:00/04:59:00) *「△2四同歩▲2三歩△同銀▲1五桂のところでまた山がありますね」(行方八段) 156 3八銀打 ( 0:00/04:59:00) *ここで勝ちにいった。▲4八金の受けに対する寄せを読みきったか。 * *※局後の感想※ *「やっぱり1回(△2四同歩と)取ったほうがよかったですか」(羽生) *以下は▲2三歩△同銀▲1五桂△3八銀が予想される進行だ。 *「(上記変化の△3八銀の局面は)ちょっと(先手が)きついですね」(中村) *「そうですね。△2四同歩と取らなかったのは相当悪い手だった気がします」(羽生) 157 2三歩成(24) ( 0:00/04:59:00) *いったんは王手をかける。 158 同 銀(32) ( 0:00/04:59:00) *控室の棋士たちは、まだ後手の正確な勝ち方をつかみきれていない。 159 4八歩打 ( 0:00/04:59:00) *持ち駒の金は節約。 * *※局後の感想※ *「これがいい粘りだったですねえ」(羽生) 160 6六成桂(67) ( 0:00/04:59:00) *タダのところに成桂を引いた。 *「そのこころは!?」(行方八段) * *※局後の感想※ *「△6六成桂じゃあ負けになっちゃったかと思ったんですけど」(羽生) 161 同 金(56) ( 0:00/04:59:00) 162 4五歩打 ( 0:00/04:59:00) *現局面から▲4五同桂△同銀▲同玉で、後手がどうするのか分からない、と控室の棋士たち。 163 同 桂(37) ( 0:00/04:59:00) 164 同 銀(44) ( 0:00/04:59:00) 165 同 玉(46) ( 0:00/04:59:00) 166 2五歩打 ( 0:00/04:59:00) *羽生の手は2筋に伸びた。▲2五同飛に△2四歩で、まずは自玉の安全を確保するつもりか。 167 同 飛(26) ( 0:00/04:59:00) 168 2四歩打 ( 0:00/04:59:00) *「もう羽生さんは自分がいいとは思っていないですよ」(塚田九段) *「でも、ここで(飛車を引いて)後手を引くのもひどいですよね」(行方八段) 169 1五桂打 ( 0:00/04:59:00) *踏み込む。代えて▲2六飛には△4三竜が厳しかったか。 170 4四歩打 ( 0:00/04:59:00) 171 5六玉(45) ( 0:00/04:59:00) 172 2五歩(24) ( 0:00/04:59:00) *飛車を取る。次は△4五金から先手玉が詰んでもおかしくない。 173 2三桂成(15) ( 0:00/04:59:00) 174 同 玉(22) ( 0:00/04:59:00) *現局面で▲1五桂には、△1四玉で後手玉が寄せにくい形になりそうだ。以下▲2三銀には△1五玉でよい。 175 2四歩打 ( 0:00/04:59:00) *安い駒で王手して対応を問う。 176 1四玉(23) ( 0:00/04:59:00) *取らずにかわした。代えて△2四同銀は▲4四角成が嫌だったか。 * *※局後の感想※ *代えて△2四同玉とし、以下▲5七角に△3五桂という順は後手にとって有力だったかもしれない。 177 2六桂打 ( 0:00/04:59:00) *ハッとさせる歩頭桂で、最後まで相手を楽にさせない。△2六同歩には▲3七桂が、△4五金を受けつつの詰めろになるということのようだ。 178 同 歩(25) ( 0:00/04:59:00) 179 3七桂打 ( 0:00/04:59:00) *▲2五金までの詰めろ。 * *※局後の感想※ *「▲3七桂を打たれて負けかなと」(羽生) 180 2四銀(33) ( 0:00/04:59:00) *「これは▲4四角成で、まだまだ終わらないですね」(行方八段) 181 4四角成(71) ( 0:00/04:59:00) *▲1五銀△同玉▲1六歩△1四玉▲1五歩△同銀▲2五銀△2三玉▲2二金までの詰めろ。 182 3三金打 ( 0:00/04:59:00) *「これは▲2二金(▲1五銀以下の詰めろ)でどうするんですか? 受け方が分かりません」(行方八段) 183 2二金打 ( 0:00/04:59:00) *中村は押さえつけるような手つきで▲2二金と打ち、頭を抱える。妖しい雰囲気になってきた。 184 2五金打 ( 0:00/04:59:00) *「これは▲1六銀で受けなしだと思います。引っくり返りましたね」(行方八段) 185 1六銀打 ( 0:00/04:59:00) *この局面で羽生が投了した。終局時刻は22時53分。消費時間は▲中村4時間59分、△羽生4時間59分。王座戦五番勝負は中村が先勝。タイトル奪取に向けて幸先のよいスタートを切った。第2局は9月19日(火)に大阪府大阪市「ウェスティンホテル大阪」で行われる。 * *※局後の感想※ *最終手の▲1六銀に△2三桂と受けていれば、勝敗の帰趨は分からなかった。以下(1)▲2五銀△同銀▲2三金△同玉▲2四歩△同金▲2二金△1四玉▲1六歩には、再度の△2三桂で先手も大変。 *「そうなんですねー、寄っちゃったかと思ったんですけど。そうか、全然そうじゃなかったんですか。いやー、驚きますねえ」(羽生) *また、(2)▲2五銀△同銀▲1六銀△2四銀打▲2六馬△2九飛▲2七歩には、△4四桂で後手に負けがないようだ。(2−ア)▲6七玉や(2−イ)▲5七玉には2九飛を一段目に成っての王手や△8七竜をからめて追っていき、最後に2五銀で質駒の1六銀を取る組み立てにすれば先手玉は寄っていそう。(2−ウ)▲4五玉には△5三桂▲4六玉△4五歩▲同桂△2六銀だ。残された手段は(2−エ)▲4四同馬だが、そこで△2七銀成で後手玉は奇跡的に受かっており、先手は▲2五銀△同銀▲1六銀△2四銀打(△3七成銀は▲2六桂で後手負けになる)▲2五銀△同銀▲1六銀……という順で千日手に逃げ込むしかなくなっている。 *後手の2筋の飛車を二段目にずらせば先手玉の安全度を上げられるのではないかという意図で(3)▲2五銀△同銀▲1六銀△2四銀打▲2六馬△2九飛▲2八歩△同飛成▲2七歩という順も中村から提案されたが、それは最後の▲2七歩にやはり△4四桂で、今度は先手に適当な応手がないようだ。(3−ア)▲4四同馬は△3七竜(▲2八歩△同飛成の交換を入れたことで生じた手)で後手玉が安全になり、(3−イ)▲4五玉は△5三桂▲4六玉△4五歩▲5七玉△8七竜▲6七歩に△1六銀が△6五桂▲同金△5六銀以下の詰めろになる。(3−ウ)▲6七玉も△8七竜▲7七歩△2七竜▲同銀△同銀成▲同馬の局面は後手玉が絶対に詰まない形になっており、△7八銀▲5七玉△7七竜▲6七歩△7九銀不成▲1六歩(次に▲1五銀としても△同銀▲同歩△2四玉という対応があるので、まだ詰めろではない)△6八銀不成まで進むと後手が勝ちになっている。 *「そうかー、△2九飛と打った形が意外と粘りがあるんですね。そうかー、そうなんですね。いや、驚きました」(羽生) *以上から、先手は勝ちを狙いにいくことなく(4)▲2五銀△同銀▲1六銀△2四銀打▲2五銀△同銀▲1六銀……という順で真っ直ぐに千日手に持ち込むのが最善というのが感想戦での結論となった。感想戦終了は0時31分。 * *【終局直後】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-bb10.html *【大盤解説会場へ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-8e33.html *【感想戦(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-8297.html *【感想戦(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2017/09/post-6398.html 186 投了 ( 0:00/04:59:00) まで185手で先手の勝ち