# --- Kifu for Windows (Pro) V6.63.21 棋譜ファイル --- 対局ID:4302 記録ID:55b97e3832f1880300e778fa 開始日時:2015/09/24 09:00 終了日時:2015/09/24 21:07 表題:王座戦 棋戦:第63期王座戦五番勝負 第3局 持ち時間:各5時間 消費時間:87▲263△295 場所:新潟・龍言 備考:昼休前40手目21分・夕休前53手目35分\n 記録係:三段川崎直人 振り駒:なし 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:00〜13:00 夕食休憩:18:00〜19:00 昼休前消費時間:40手21分 夕休前消費時間:53手35分 封じ手手数:0 手合割:平手   先手:羽生善治王座 後手:佐藤天彦八段 先手省略名:羽生 後手省略名:佐藤天 手数----指手---------消費時間-- *羽生善治王座に佐藤天彦八段が挑戦する第63期王座戦五番勝負は、第2局を終えて1勝1敗のタイに。王座22期の圧倒的実績を持つ羽生、恐るべき充実ぶりで初の五番勝負に挑む佐藤、勝って先にタイトルへ手をかけるのはどちらか。第3局は9月24日(木)、新潟県南魚沼市「龍言」で行われる。 *立会人は大内延介九段、記録係は川崎直人三段(勝浦修九段門下)。観戦記は近藤正和六段、新聞解説は佐藤紳哉六段、現地大盤解説は先崎学九段と本田小百合女流三段が担当。ニコニコ生放送では村山慈明七段、山口恵梨子女流初段による解説が行われる。 *8時48分、佐藤入室。下座に着き、扇子を取り出して手元に置く。8時53分、羽生入室。上座に腰を下ろして扇子を置く。互いに一礼して対局の準備が始まった。両者大橋流で駒を並べていく。 * *【ニコニコ生放送】 *http://live.nicovideo.jp/watch/lv232383046 * *※局後の感想※ *38手目、42手目、46手目、50手目、54手目、86手目に記載。 * *(棋譜・コメント入力=文) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手] 1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *9時、定刻になったことを立会人の大内九段が告げ、両者一礼して対局が始まった。羽生は盤側をちらりと見てから盤に手を伸ばす。佐藤はペットボトルのミネラルウォーターをグラスに注いだ。佐藤の手元には2種類のミネラルウォーターが用意されている。 * *【対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-75cb-1.html 2 3四歩(33) ( 1:00/00:01:00) *佐藤はすっと手を伸ばして角道を開ける。第1局同様、得意の横歩取りに誘導する流れになりそうだ。 3 2六歩(27) ( 1:00/00:01:00) *羽生の着手を見て関係者が退室する。羽生はお茶の入った湯のみに手を伸ばした。 4 8四歩(83) ( 1:00/00:02:00) *王座戦は日本経済新聞社主催の棋戦。1953年に優勝棋戦として創設され、1983年の第31期からタイトル戦になった。第1回の優勝者は大山康晴十五世名人。タイトルとしての初代王座は中原誠名誉王座。現在のタイトル保持者は羽生で、連続19期、通算22期という歴代1位の記録を持つ。 * *【囲碁・将棋 :くらし :ライフ :日本経済新聞】 *http://www.nikkei.com/life/living/page/?uah=DF060120151332 5 2五歩(26) ( 1:00/00:02:00) *◆羽生 善治(はぶ よしはる)王座(名人・王位・棋聖)◆ *1970年9月27日生まれ、埼玉県所沢市出身。二上達也九段門下。1985年、四段。1994年、九段。棋士番号は175。 *タイトル戦登場は124回。獲得は王座22期(名誉王座)、竜王6期、名人9期(十九世名人)、王位17期(永世王位)、棋王13期(永世棋王)、王将12期(永世王将)、棋聖14期(永世棋聖)の計93期。棋戦優勝は43回。 6 8五歩(84) ( 1:00/00:03:00) *◆佐藤 天彦(さとう あまひこ)八段◆ *1988年1月16日生まれ、福岡県福岡市出身。中田功七段門下。2006年、四段。2015年、八段。棋士番号は263。 *タイトル戦登場は1回。棋戦優勝は2回。 7 7八金(69) ( 1:00/00:03:00) *今日の南魚沼市は曇り。昨日は秋分ながら日差しが暖かく汗ばむ陽気だったが、今日は秋の訪れを感じる涼しさだ。対局室、控室から見える庭園の池ではのんびりと鴨が泳いでいる。 8 3二金(41) ( 0:00/00:03:00) *今日の日本経済新聞朝刊には柳瀬尚紀さんによる五番勝負第1局の観戦記が掲載されている。本局の観戦記を担当するのは近藤六段。これまで東西で王座戦の観戦記を多く手がけているが、番勝負の観戦記は今回が初めてとのことで「どんなことでも10年修行ですよ」と笑っていた。2年前の龍言対局では新聞解説を務めている。 9 2四歩(25) ( 2:00/00:05:00) *9時12分、佐藤が席を立った後に指された。羽生はしばらく盤側のほうをじっと見てから、お茶を一口。現地には佐藤の和服の着付けに白瀧呉服店の白瀧幹夫さんが訪れている。今回の五番勝負で初めて和服を着る佐藤だが、そのこだわりは他の棋士と比べても「抜群に強い」とのこと。第4局では佐藤が「自分がファンに抱かれているイメージ」を念頭に置いて選んだ和服を着るという。勝敗ももちろんだが、装いも楽しみだ。 * *【佐藤八段の和服】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-c425.html 10 同 歩(23) ( 3:00/00:06:00) *【お知らせ】 *本局はタブレット端末を利用した自動棋譜更新システムを使用して中継しております。消費時間が一手ごとに更新されるため、臨場感のある中継をお楽しみ頂けます。 * *なお、使用しているタブレットは富士通製「ARROWS Tab F-03G」で、最高クラスの高精細画面と、わずか400g弱の軽さが特徴です。長時間の将棋中継に耐えうる頑丈さと電池持ちの良さを兼ね備えた信頼できる確かな逸品となっています。もちろん、将棋連盟モバイルの利用も可能です。 * *https://www.nttdocomo.co.jp/product/tablet/f03g/ 11 同 飛(28) ( 1:00/00:06:00) *今月2日に開幕した五番勝負は、第1局で羽生が、第2局で佐藤が勝ち1勝1敗のタイになった。開幕特集記事では佐藤と親しい間柄の渡辺明棋王と村山慈明七段の二人が対談し、渡辺明棋王は3勝2敗で佐藤が奪取、村山七段は3勝2敗で羽生の防衛と予想している。 * *【第63期将棋王座戦五番勝負 9月2日開幕  :日本経済新聞】 *http://www.nikkei.com/article/DGXMZO90982060W5A820C1970M00/ 12 8六歩(85) ( 0:00/00:06:00) *南魚沼市は新潟県の南東部に位置する市。2004年に六日町と大和町が合併して誕生した。翌年には塩沢町も編入され、現在の規模を形成している。市の花はカタクリ、市の木はコブシ。魚沼産コシヒカリで知られる米のほか、野菜の生産や畜産が盛ん。冬はスキー場を訪れる観光客でにぎわう。 * *【南魚沼市公式ウェブサイト トップページ】 *http://www.city.minamiuonuma.niigata.jp/ * *【南魚沼市】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-70d9.html 13 同 歩(87) ( 1:00/00:07:00) *対局場となる「龍言」は昭和44年創業、六日町温泉の湯街をなす旅館のひとつ。客室の多くが文化文政時代(1804〜1829年)の建物を移築したもので、四千坪の庭園とあわせ風情のある景色を作り出している。「龍言」の名は、長尾政景の菩提寺「龍言寺」の跡地に建てられたことに由来する。政景は坂戸山にあった坂戸城の戦国期当主。現在も坂戸山一帯には城跡が残り、国の指定史跡になっている。 * *【越後六日町温泉『温泉御宿 龍言』】 *http://www.ryugon.co.jp/ 14 同 飛(82) ( 0:00/00:06:00) *龍言では数々のタイトル戦が行われてきた。初めてのタイトル戦が、1997年の第45期王座戦五番勝負第3局である。王座5連覇中の羽生に、島朗八段(当時)が2期連続挑戦したシリーズだった。結果は羽生が3−0で勝ち防衛。今回は4度目の開催となる。 * *1997年9月26日 第45期王座戦五番勝負第3局 * 羽生善治王座○−●島朗八段 *2008年9月30日 第56期王座戦五番勝負第3局 * 羽生善治王座○−●木村一基八段 *2013年10月8日 第61期王座戦五番勝負第4局 * 羽生善治王座○−●中村太地六段 * *【龍言】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-ffd7.html 15 3四飛(24) ( 1:00/00:08:00) *9時21分、羽生、横歩を取る。佐藤の得意戦法に臆せず飛び込んでいく。第1局では見事な指し回しで佐藤を破った。佐藤はリベンジに闘志を燃やしていることだろう。 16 3三角(22) ( 0:00/00:06:00) *対局前日の23日、両対局者は関係者とともに東京から新幹線で新潟へ。越後湯沢駅からバスに乗り換え、田園風景を望みながら対局場の龍言へ向かった。現在はちょうど稲刈りの時期で、黄金色の稲穂がずっしりと頭を垂れていた。宿の食事にはさっそく新米が使われている。 * *【新潟へ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-1857.html 17 3六飛(34) ( 1:00/00:09:00) *龍言に到着してから検分までには3時間ほど時間があった。羽生はロビーでにこやかにくつろぎ、佐藤は池の鯉と鴨にえさをやって楽しみ、両者ともリラックスした様子だった。対局室は1996年に建てられた圓通の間。「圓通」とは「一斉(いっさい)のものに通じる」という意味だ。検分は予定の18時前に始まり、和やかな雰囲気で数分のうちに終了した。 * *【現地到着】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-8e57.html * *【自由時間】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-2b7b.html * *【検分】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-42ac.html 18 8四飛(86) ( 0:00/00:06:00) *今回の対局で使われている駒は日本将棋連盟から持ち込んだもの。掬水作、水無瀬書の盛上駒だ。盤は龍言が所有するもので、前述した1997年の五番勝負で使われた。桐蓋の裏には「王座 羽生善治」、「八段 島朗」、「立会人 勝浦修」の揮毫が入っている。この盤は龍言でタイトル戦を行うにあたり大内九段が見繕ったとのことで、検分の後に大内九段はしげしげと盤を見て「いい盤だね」とにっこり。その様子を見た羽生は思わず相好を崩していた。 * *【棋具】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-db23.html 19 2六飛(36) ( 0:00/00:09:00) *羽生の今年度成績は15勝8敗(0.652)。 *対局数はランキング10位タイ、勝数は8位タイ。 *通算成績は1324勝512敗(0.721)。 *今月12日に行われた日本シリーズJTプロ公式戦では豊島将之七段に敗れ、連勝が4で止まった。17日の五番勝負第2局では佐藤に敗れて現在2連敗。本局に勝てば防衛に向けてはもちろん、悪い流れを断ち切る意味でも大きな1勝になる。 20 2二銀(31) ( 0:00/00:06:00) *佐藤の今年度成績は23勝6敗(0.793)。 *対局数はランキング2位、勝数は1位、勝率は4位、連勝数は15で1位。 *通算成績は253勝104敗(0.709)。 *爆発的な勢いで勝ち星を積み重ねる佐藤。先に記した開幕特集記事では、渡辺明棋王をして「今の佐藤は2〜3年前と完全に人が違っている。A級に上がって相手が厳しい中で8割勝つのは、四段、五段の若手の勝率8割とは訳が違う」と言わしめている。 21 8七歩打 ( 0:00/00:09:00) *羽生の王座戦成績は90勝24敗(0.789)。1992年の第40期五番勝負で福崎文吾王座から王座を奪取すると、2011年の第59期に渡辺明竜王に奪われるまで19連覇を果たした(肩書はいずれも当時)。第61期には中村太地六段、第62期には豊島将之七段と若手棋士の挑戦を受け、いずれもフルセットにもつれこんだが、羽生の防衛で決着している。 22 5二玉(51) ( 1:00/00:07:00) *佐藤の王座戦成績は21勝8敗(0.724)。挑戦者決定トーナメント進出は今期で2回目。前期は1回戦敗退だったが、今期は阿久津主税八段、丸山忠久九段、渡辺明棋王を破って挑戦者決定戦に進出。豊島将之七段に勝ち、挑戦権を獲得した。今回の五番勝負が初のタイトル戦登場であり、17日の第2局ではタイトル戦初勝利をあげた。 23 4八銀(39) ( 2:00/00:11:00) *羽生、着手して席を立ち、ゆっくりと部屋の外へ出て行く。佐藤が扇子であおぎながら、その動きをちらりと目で追った。控室で「銀でしたか」と片上大輔六段。日本将棋連盟常務理事として前日から現地入りしている。ここは先手にとって指し手の岐路だった。第1局では▲5八玉〜▲3八銀という駒組みだった。 *控室では近藤六段が白瀧さんに和服について取材を行っている。佐藤は水色がグラデーションで入った和服に、淡い緑の羽織を着ている。白瀧さんによると、グラデーションの入れ方にも佐藤がこだわったとのことだ。 24 7二銀(71) ( 5:00/00:12:00) *大盤解説会は現地と関西将棋会館で開かれる。現地は先崎九段と本田女流三段が担当。14時開始、入場料2,000円。コーヒーとほうじ茶をセルフサービスで用意する。別途500円で入浴も可。 *関西将棋会館は稲葉陽七段と長谷川優貴女流二段が担当する。詳細は下記リンク先を参照していただきたい。 * *【第63期王座戦 王座「羽生善治」対 八段「佐藤天彦」 - 龍言ブログ】 *http://ryugon.co.jp/blog/2015/09/63.html * *【関西将棋会館道場 大盤解説会】 *http://www.shogi.or.jp/kansai/club/kaisetsukai.html 25 3八金(49) ( 0:00/00:11:00) *先手は金銀を活用して陣形整備を進める。横歩取りは先手の一方的な歩得が序盤に組み込まれている珍しい定跡。ゆっくりした流れになれば、その得を生かしやすい。対する後手は早い段階で戦いを起こす方針で指すことになる。 * *【横歩取り】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-7f29.html 26 1四歩(13) ( 3:00/00:15:00) *端をじわりと突く。後手のひとつの狙いは△2四飛のぶつけ。最近の横歩取りはこのぶつけをどこで決行するか、それを焦点にした戦いが多い。飛車交換になったときに1筋が伸びていれば、△1六歩▲同歩△1八歩▲同香△1九飛と手を作ることができる。佐藤紳六段は「天彦くんはすぐに△2三銀〜△2四飛と指して連戦連勝していたんですけど、最近は心境の変化があったのか、△9四歩や△1四歩と指すことが増えていますよね」と話す。 27 5八玉(59) ( 2:00/00:13:00) *互いに中住まいに構えたが、金銀の配置が微妙に異なる。「後手は先手に比べて飛車の打ち込みに強いわけではないですね。だから飛車交換するのは今まであんまり考えられていなかったんですけど、交換してみると、後手のほうが歩の使える筋が多いので、先手に苦労が多いんじゃないかとわかってきた。それでとりあえず飛車交換、というのが流行になっています」(佐藤紳六段) 28 1五歩(14) (15:00/00:30:00) *じりじりと端を伸ばす。決戦に向けた準備が静かに進む。佐藤はひざを抱えてぼんやりと右上のほうを見る。羽生は前傾姿勢になって佐藤の様子をちらりとうかがう。 *先手はここで▲3六歩と突いて右辺の発展を目指す実戦が多い。そこで後手が△2四飛とぶつけるかどうかがひとつのポイント。今年8月に行われた▲渡辺明棋王−△稲葉陽七段戦(竜王戦決勝トーナメント)、▲佐藤天彦八段−△船江恒平五段戦(棋王戦挑戦者決定トーナメント)では後手が△2四飛を決行、結果はいずれも先手勝ち。 29 3六歩(37) (12:00/00:25:00) *銀桂の活用を目指す。実戦例を追うと、後手は先に述べた△2四飛で2局続けて負けたことで、ここでは次に△2三銀が試されているという時系列になっている。▲斎藤慎太郎六段−△村田顕弘五段戦(棋聖戦一次予選)、▲横山泰明六段−△村田顕弘五段戦(順位戦C級1組)の2局は1勝1敗の結果が残っている。 30 2三銀(22) ( 1:00/00:31:00) *銀を立って金銀を連結させる。部分的な好形だが、飛車の正面に進むだけにひと目当たりが強い。しかし逆に先手の飛車を攻める含みもあり、最近はよく指されるようになった。今では定番の形、の感が強い。 31 3七銀(48) ( 3:00/00:28:00) *控室では近藤六段が「昔は南魚沼市がなくて町でさ。このあたりは蜂の子とかイナゴとかあるんだよ」と佐藤紳六段に話している。近藤六段は師匠の原田泰夫九段とともに新潟県出身。龍言には原田九段の手による「名局の宿」の揮毫が残されている。「そうだ、佐藤くんイナゴ食べない。俺がそれ記事に書くからさ」と近藤六段。佐藤紳六段は苦笑い。 32 9四歩(93) ( 1:00/00:32:00) *「村田流ですか」と佐藤紳六段。先に挙げた実戦で村田顕五段が指していた手だ。その2例の進行を見ると(1)▲4六銀△8六歩▲同歩△同飛、(2)▲7七角△9五歩▲4六銀△2四飛。先手の態度を見て動く狙いを持っている。 33 9六歩(97) ( 7:00/00:35:00) *羽生、少考で端を受けた。データベースからは同一局面の実戦例が消えている。「前例は端を手抜いて中央に手をかける方針でした。これは後手の出方をうかがっています。後手のほうが構想力を問われる形だと思います」と佐藤紳六段。 34 6二玉(52) ( 5:00/00:37:00) *玉の囲い直し。7二銀型の大事なオプションで、美濃囲いに収まってひねり飛車のように戦う。「うーん、こうなると後手の方針がわかりやすいか。でも▲4六銀のときにどうするんだろう」と佐藤紳六段。先手は▲4六銀〜▲3七桂〜▲2九飛と駒を活用しながら陣形整備を進めたい。7二銀型は中央が薄いので、桂を中央へ持っていくことが急所の活用になる。後手はそうした駒組みを阻むために、△2四飛の切り札を出す。「それから後手の飛車は7筋とかに行くんでしょ。それで銀が3四に出てさ」と近藤六段。△2四飛のぶつけに▲2五歩で拒否した後の展開について佐藤紳六段と話している。 *10時48分、羽生はグラスの水を飲む。脇息にもたれてじっと盤面を見つめる。しばらくしてゆっくり立ち上がり、部屋を出た。佐藤も席を立つ。 35 4六銀(37) (37:00/01:12:00) *11時9分、羽生の手が動いた。指してから銀に触れてちょんちょんと向きを直す。対局室に佐藤の姿はない。11時16分、佐藤が戻ってくる。記録係の手元をのぞいてから、下座に向かう。 *控室では「ぶつけますよね。取れないですよね」と佐藤紳六段。ここで△2四飛のぶつけについて話している。先手は▲同飛と交換に応じると、△同銀▲9五歩△1六歩で後手の攻めのほうが速い。そこで▲2五歩と拒否するのが自然な流れだ。 * *【館内を歩く】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-e973.html 36 8八角成(33) (26:00/01:03:00) *11時36分の着手。舞うような手つきだった。 37 同 銀(79) ( 0:00/01:12:00) 38 3三桂(21) ( 0:00/01:03:00) *角交換から桂を活用。動きとしては手損だが、低い陣形を維持できるという見方もある。 * *【龍言の風呂】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-3687.html * *※局後の感想※ *羽生は「さすがにここで桂跳ねるのは……」と▲7七桂を示した。以下△1六歩▲同歩△1八歩▲同香△2四飛▲同飛△同銀▲2一飛△1九飛▲2八金△2二角の進行がどうか。「これができるかどうか微妙なところですね」と羽生。 39 2八飛(26) ( 1:00/01:13:00) *当たりを避けて引いておく。佐藤はうんうんとうなずき、棋譜用紙を求めて目を通した。先手は▲5六角が左右両翼をにらむ狙いの角打ち。▲2三角成の2筋突破と、▲9五歩△同歩▲9二歩の香取りを見ている。 *控室では後手の△8八角成〜△3三桂という動きが「先手の得」という見解。「角を換えてくれて先手が楽になった気がするけどなあ」と佐藤紳六段。片上六段は「後手は△2五歩と打つ形があんまりでかしてない」と話している。△2五歩は2筋を押さえつつ▲5六角の筋を緩和する手だが、先手陣への響きはやや弱い。「後手は△2五歩で収めて、△7一玉と囲ってから戦ってどうか。先手は駒は使えるけど、玉は堅くならないです」と佐藤紳六段。互いに主張のある戦いというわけだ。 *この局面で佐藤が21分使って12時になり、昼食休憩に入った。消費時間は▲羽生1時間13分、△佐藤1時間24分。昼食の注文は両者とも和牛カレー、飲み物は羽生がオレンジジュース、佐藤がりんごジュース。対局は13時に再開される。 *13時、対局再開。佐藤は前傾姿勢で盤に向かっている。しばらくして羽生が戻ってきた。 * *■ニコニコ生放送■ *村山慈明七段>午後から解説を務める村山です。今日はよろしくお願いします。局面は後手が何かしていくのか、陣形整備をするかというところです。私は陣形整備をすると思っています。紳哉さんは△2五歩〜△7一玉を予想ですか。では私は単に△7一玉を予想します。 * *【昼食休憩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-bc24-1.html * *【休憩中の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-eb76.html 40 1六歩(15) (26:00/01:29:00) *13時5分、佐藤の手が思わぬところに伸びた。「長い戦いになる、と解説しませんでしたっけ」と佐藤紳六段がつぶやく。休憩前に、関係者に今後の展望を解説していたようだ。いきなりの開戦に検討陣の間に動揺が広がっている。 * *【午後の対局】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-b6f6.html 41 同 歩(17) ( 2:00/01:15:00) *羽生、少し手を止めていたが歩を取った。この仕掛けは予想していただろうか。 42 1七歩打 ( 0:00/01:29:00) *歩の裏に垂れ歩。この手は佐藤紳六段が予想していた。後手は仕掛けた以上後には引けない。攻めが続くかの勝負になる。「どう手を作るか、難しいですね。(1)▲1七同香に△1八歩では弱いか。▲同飛で辛抱されたり、▲5六角も気になります」と佐藤紳六段。続いて▲1七同香に△2四飛を検討する。以下▲同飛△同銀▲2一飛には、△1八飛▲2八歩△1九飛成が巧妙な手順。歩の裏をついて▲2四飛成が攻防にならないようにしている。そこで▲1七同香△2四飛▲2六歩△1八歩を進行の一例として予想している。 *しばらくして、「(2)▲5六角が優秀な気がしてきました」と佐藤紳六段。△2五歩は歩切れになるので▲1七香で手が止まる。△2四銀には▲3七桂が「力をためて、とにかく感触がいいんです」。以下△1六香には▲2六飛でよい。▲3七桂と跳ねた局面、先手には▲1七香、▲9五歩など有力な手が多い。「▲5六角〜▲3七桂で一本取っているような気がします。何をやられるかわからないですが、十分という気がするんですけどね」(佐藤紳六段) *13時56分、羽生は眼鏡を外し目元を押さえてうつむいている。時折いぶかしげに眉根にしわを寄せ、首を振る。佐藤紳六段は「▲5六角には△2四飛を気にしているのかもしれませんね」。以下▲同飛△同銀▲2一飛△1八歩成▲2四飛成△1九とが予想の進行。「後手は緩い攻めですけど、玉が安定しているので」と佐藤紳六段。羽生が窓のほうを向くと、険しい表情がモニターに映る。外では雨がぽつぽつと降り出している。 * *■ニコニコ生放送■ *村山慈明七段>△1七歩はすごい手つきでした。気合が入っています。いつもの天彦さんはあまりそういうタイプではなく「気合より貴族」といった感じで、穏やかな手つきなんですけどね。 *△1七歩は部分的にはある筋です。先手は中住まいでまだ壁銀も直せていない状態なので、嫌なタイミングでの仕掛けではあります。ここはしっかりと応対したいところです。△1七歩には▲同香で、そこで何をするか。△1七歩を放っておくのは△1六香と走られてしまいます。ただ羽生王座は▲7七銀として△1七歩を完全に否定するような手も非常に得意にしていますので、ないとは言えないですね。 * *※局後の感想※ *ここで(A)▲5六角は△2四飛▲同飛△同銀▲2一飛△1八歩成▲2四飛成△1九と▲3七桂で「あっちは底歩(△3一歩)が堅いのでちょっとまずいと思った」と羽生。 *次に(B)▲7七桂が検討され、△1六香▲2六飛△1四飛▲2四歩△同飛▲同飛△同銀▲1二飛△3一歩▲1六飛成△2五銀▲1二竜△2八歩▲2四歩が示された。明快な結論は示されなかったが、羽生は「こうやったほうがよかったかもしれないですね」と話していた。 43 2一角打 (73:00/02:28:00) *14時22分、羽生が着手。このマス目には飛車を打つ変化ばかりを検討していただけに、角は相当に意外な景色だ。黙っていれば▲3二角成△同銀▲2二飛成。△2四飛は▲同飛△同銀▲3二角成で金を取られて失敗。明確な狙いは見えているが、とにかく狭い。「柔軟ですね。新しい」と佐藤紳六段。「この角はいずれ取られるんですけど、取りに来ると形が歪みます。その瞬間に切れば角金交換でも、歩もたくさんあってバランスが取れているということですか」と話す。片上六段は「確かに新しい。しかし△2四歩と打たれて、先手が面白いとも思えないけど」。「うーん、苦肉の策なんですかね」と佐藤紳六段。この角打ちの評価は定まっていない。 *現地では14時から大盤解説会が始まっている。解説を担当する先崎九段は羽海野チカさん作の将棋漫画『3月のライオン』を監修している。11巻の新刊発売に合わせて11人の棋士が登場するポスターが発表、掲出された。 * *■ニコニコ生放送■ *村山慈明七段>▲2一角はひねり出した手という感じです。自然に指していては厳しいと判断したのではないでしょうか。羽生王座の強さは自然な手を重ねて優位を積み上げていくところにあるので、こういう手は珍しい気がします。 * *【現地大盤解説会】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-403b.html * *【大内延介九段】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-3f4a.html * *【『3月のライオン』羽海野チカ | 白泉社】 *http://3lion.younganimal.com/vol11/ 44 2四歩打 (24:00/01:53:00) *2筋を受けておく。先手の角は△5二金〜△2二金で捕まってしまう形。その前に暴れる手段を考える必要がある。 45 3七桂(29) ( 6:00/02:34:00) *桂を活用して力をためた。△5二金には▲3二角成△同銀▲2二金が検討されている。銀取りを受ければ▲1一金と香を取る。打った金がそっぽにいく感触に拒絶反応が起きそうだが、「意外に難しい」の声。後手は歩切れで細かい技が利かない。 46 4二金(32) ( 2:00/01:55:00) *14時56分、佐藤が着手して席を立つ。▲3二角成と切られる筋を避けた。この手を予想していた片上六段は「これは先手も嫌でしょう」。次は△3二銀と引いて、銀で角を取りに行ける。控室では大内九段が「▲2一角はすごい手だったね。△4二金がいい手なんだ。ここでは▲3五銀と出てどうかな」と話し、解説会から戻った先崎九段が「▲2一角という手はリスクとリターンが合わない気がするけどなあ」と話している。佐藤の仕掛けに羽生の角打ち、予想外の手が次々に飛び出して興奮状態にあるような状況だ。 *15時、対局室におやつが運ばれた。羽生はバウムクーヘン、ホットレモンティー。佐藤はいちごのショートケーキ、アイスカフェオレ。 * *■ニコニコ生放送■ *村山慈明七段>次に△3二銀か△1二銀で角が取られてしまうので、その間にどう手を作っていくかですね。パッと見えるのは▲3五銀△3二銀▲2四銀△2一銀▲3三銀成△同金▲2一飛成で、この進行は先手駒損ですが金がうわずったのと竜ができたのが大きいです。ただなんというか▲3五銀の感触があまり良くないんです。4六の銀は守りの要なので、棒銀のように繰り出していくのは少しこわいです。できれば4六銀を動かさずに手を作りたい気はします。 * *【おやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-6c0a.html * *※局後の感想※ *ここで▲1七香は「(1筋が)間に合えばいいんですけど」と羽生。以下△5二金上▲1五歩△4一金▲1四歩△3一金▲1三歩成△2一金で後手指せる。 47 7七銀(88) (13:00/02:47:00) *15時9分の着手。羽生はあぐらに崩しておやつに手を伸ばす。羽生の注文したバウムクーヘンは「魚沼の里」にある「菓子処さとや」のもの。酒粕が使われているとのこと。 *羽生は今にも角が取られそうな状況で、ゆうゆうと壁銀を解消した。すぐに大内九段が「金を寄ったらどうなるの」。△3二銀ではなく、△5一金〜△4一金寄〜△3一金で角をタダ取りしようというわけだ。 48 5二金(61) ( 8:00/02:03:00) *佐藤、少考でぐいっと金を上がった。これも狙いは△5一金と同じ。次は△4一金〜△3一金で角を仕留めにいく。先手は見返りなく角損になってはそれまでだ。どこに代償を求めるか。 * *【大盤解説第二陣】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-9fbd.html 49 6六銀(77) ( 2:00/02:49:00) *自然に駒を活用していく。△4一金と引かれて角取りのカウントダウンが進んだときにどう手を作るか。控室では(1)▲7五銀と出て、△8二飛なら▲2五歩、△5四飛なら▲4五桂から桂を入手して飛車を目標にする順が調べられている。大盤解説会から戻った佐藤紳六段は(2)▲4五桂△同桂▲同銀△3一金▲3五桂で難しいとの見解。検討が進むにつれ、直前の△5二金上では△3二銀で角を取りに行くほうがよかったか、と言われている。 *15時38分、先崎九段がニコニコ生放送に電話出演した。羽生の打った▲2一角に触れ、「先にすごく借金して、その割に成功した場合の報酬が少ない気がするんですが」と話している。 *16時20分、佐藤の考慮時間は1時間ほどになった。△5二金上で示した方針を貫くなら△4一金だが、「金を引くのは勇気がいる」と控室では言われている。軌道修正も含めて検討しているのかもしれない。 *16時46分、佐藤紳六段がニコニコ生放送に電話出演した。 * *■ニコニコ生放送■ *村山慈明七段>△4一金▲7五銀△5四飛▲4五桂△同桂▲同銀に△5五飛▲5六銀△5四飛▲4五銀△5五飛と進めば…これは千日手になりそうです。ただ羽生王座が先手なのでやらないとは思うんですけどね。△4一金の他に、△9三桂という手があるかもしれません。思い浮かびづらい手ですねえ。次は△8一飛から角を取りにいく狙いで、▲2二歩と打つしかないんですが、角を助けるためだけなので打ちにくい歩です。 * *【先崎九段の見解】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-cc9b.html 50 4一金(42) (87:00/03:30:00) *16時47分、佐藤は考慮時間と残り時間を尋ねた後に盤上に手を伸ばした。1時間27分の長考。選んだのは初志貫徹の△4一金だった。指し手を見て、羽生が席を立つ。しばらくして対局室に戻り、前傾姿勢で盤に向かう。首をかしげ、頭をかく。佐藤は口元に手を当てて盤面を見つめている。 * *【1時間27分の考慮】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-0dfa.html * *※局後の感想※ *佐藤が「ここで▲7五銀は」と示した。以下△4四飛▲3五銀△5四飛▲2五歩△同歩▲同桂△同桂▲同飛△2四歩▲2九飛△3一金▲4六桂△5五飛▲2四銀△2一金に(A)▲2三銀不成と(B)▲2三銀成が考えられる。 *(A)▲2三銀不成は以下△1六香▲3四銀不成△2五歩▲6六銀△1八歩成の進行が並び、「こうなっちゃったらまずそう」と羽生。 *(B)▲2三銀成はどうか。以下△1六香▲2二成銀△4四角▲2一成銀△2六歩▲3七金△1八歩成▲7九飛△2八とは後手指せる、との結論。手順中▲2二成銀でいったん▲2四飛と浮くのも、△1五角▲1四飛に△2六角打や△2五飛で後手指せる。羽生は「あれが成銀じゃあなあ……。そうですね、やっぱりちょっと悪い気がします」と話した。 51 4五桂(37) (15:00/03:04:00) *検討に挙がっていた跳ね出し。ここから(1)△4五同桂▲同銀△3一金▲3五桂で「難しい」と言われていたルートだ。以下△3二銀は、▲同角成△同金▲7五銀△8二飛▲2四飛で歩切れの後手は2筋を受けにくい。そこで銀を逃げず△2一金▲2三桂成と駒を取り合ってどうか。やはり後手は歩切れなので、先手は▲2四成桂から飛車の利きを通していく順が狙いになる。先崎九段は(2)△2二角もあると予想する。△3一金からの捕獲の方針を貫く一手だ。△4四角に比べ▲3五銀の変化を消してより堅実な意味がある。 *17時18分、佐藤は脇息にもたれて盤に向かっている。羽生は眉根にしわを寄せて厳しい表情。額を押さえる。 52 2二角打 (21:00/03:51:00) *17時24分、佐藤が駒台の角を手に取る。「お、打つよ」と控室で声が上がった。あくまで角のタダ取りを狙った手だ。(1)▲3三桂成△同角▲3五桂には△3四銀で、このとき角が2筋の歩を支えている。「(代えて)△4五同桂▲同銀△3一金▲3五桂△2一金▲2三桂成という順は、欲張った後手としては妥協している意味があるんですよね。だからこれで角の丸取りを狙うと」と先崎九段。 *再び先手に手ができるかどうかの危機が訪れている。この角は▲7五銀を牽制している点もポイント。たとえばここで(2)▲7五銀には△8二飛と引き、▲3三桂成△同角▲7七桂△3一金▲3五桂△3四銀▲4五銀△同銀▲4三角成△4二金上という順も継ぎ盤で示されたが、さすがに先手の攻めが心細い。「これはもうひとひねり足りていないという感じですね」と片上六段。後手は飛車を横に逃げると目標にされやすいが、引けばその心配はない。検討陣から「困ったか」の声。「ここで困ると深刻ですね」と佐藤紳六段がつぶやく。 *検討が進み、(1)▲3三桂成△同角▲3五桂とシンプルに攻めてどうか、と言われている。以下△3四銀には▲4五銀とぶつけて、△同銀なら▲4三桂成と強引に突破を狙う。△3二銀と下に引くなら▲同角成△同金▲7五銀で、△8二飛▲7七桂と進めば次の▲3四銀が楽しみ。少なくとも先手からまったく手が出ない、という状況ではない。「大変だ」という声。 *対局室では羽生がひとり盤に向かっている。17時44分、駒台に手を伸ばしかけて引っ込め、顔を歪めて頭をかいた。額を押さえて眉間にしわを寄せる。17時55分、羽生が記録係に話しかけて席を立った。早めに休憩に入れたようだ。18時までの羽生の考慮時間は35分。通計の消費時間は▲羽生3時間39分、△佐藤3時間51分。夕食は両者ともサンドイッチ(フルーツ、デザート、コーヒーのセット)。佐藤は追加でりんごジュースを注文した。対局は19時に再開される。 * *■ニコニコ生放送■ *村山慈明七段>こういう風に丁寧に受けるのが天彦さんの得意な指し方です。▲3三桂成△同角▲3五桂と打つくらいしか手段が見えません。このあと10手ぐらいで形勢がはっきりすると思います。 * *【激戦】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-193c.html * *【夕食休憩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-d57e-2.html 53 3三桂成(45) (37:00/03:41:00) *羽生が対局室に戻ってすぐに、記録係から対局再開が告げられた。羽生は険しい顔で額に手をやり、ふっと天井を見上げてから盤上に手を伸ばした。19時3分、佐藤が対局室に戻る。 54 同 角(22) ( 1:00/03:52:00) *佐藤は腰を下ろすとすぐに成桂を取った。おしぼりで手をぬぐう。盤側には大内九段、近藤六段が観戦に入っている。 * *※局後の感想※ *ここで▲3五桂はどうだったか。以下△3二銀▲同角成△同金▲7五銀△8二飛▲7七桂△1六香▲2六飛△3四角▲1四歩△1八歩成▲1三歩成△1七香成▲2三桂成△同金▲3五歩△1六角▲2三と△3八角成▲3三と△2五金が示され、そこで(A)▲4一銀と(B)▲3四角が調べられた。 *しかし、(A)▲4一銀は△6一銀▲5二銀成△同銀▲4二と△2六金▲5一角△7二玉▲5二と、(B)▲3四角は△2六金▲4三と△6一銀▲5二と△同銀▲4二金△4三歩で、「んん? なんかちょっと大変そう」と羽生。佐藤も「ええ」とうなずく。 *さかのぼって上記手順中▲2三桂成に△2五歩を佐藤が示した。以下▲3二成桂は△1五角、▲3三成桂は△同金で後手指せる。 55 7五銀(66) ( 4:00/03:45:00) *19時8分、羽生は盤上の銀を手に取った。「先に銀ですか」と佐藤紳六段。本線の▲3五桂ではなかった。これで後手の角の利きが通ってくるので、△8二飛▲3五桂△3四銀▲4五銀△同銀▲4三桂成は△9九角成とダイレクトに香を取られてしまう。手順中△8二飛にいったん▲7七桂と受けるのは、△3一金▲3五桂△3四銀▲4五銀△同銀▲4三角成△4二金上で、これは「攻めが心細い」と言われていた変化(52手目コメント参照)に合流する。 *19時17分、長机の下座側に残り時間の早見表が出た。佐藤の残り時間が1時間を切った合図だ。 56 8二飛(84) (10:00/04:02:00) *19時18分の着手。引いて目標にされないようにした。代えて△5四飛は▲4五銀△5五飛▲5六銀△5四飛▲4五銀……で千日手の懸念があった。 57 7七桂(89) ( 2:00/03:47:00) *桂を活用して角の利きをブロック。△3一金と寄られると角は助からないので、大決戦になることは避けられない。だが、控室では先手にとって思わしい順が出てきていない。 58 3一金(41) ( 4:00/04:06:00) *くるくると金が動いて、ついに角を捕まえた。これで先手に何も手がなければ、▲2一角と打ち込んだ判断がどうだったか、ということになる。 59 3五桂打 ( 1:00/03:48:00) *羽生、ゆっくりと桂を打つ。 60 3四銀(23) ( 0:00/04:06:00) *佐藤はすぐに銀を上がる。「淡々と進んでいきますね」の声。 61 4五銀(46) ( 0:00/03:48:00) *銀を捨てての猛攻。先手が手を作るにはこれしかないと言われていた。ここは△4五同銀、△3五銀のどちらもあり、いずれも後手がよさそう、という検討だった。 62 3五銀(34) ( 2:00/04:08:00) *すれ違って桂を外した。銀よりも桂のほうが急所に利いているとの判断だ。継ぎ盤には▲3五同歩△2一金▲3四歩△5一角▲2六飛が示され、「駒損が大きくて先手自信ないです」の声。駒割は▲銀△角桂で後手の駒得だ。 *19時42分、羽生にも残り時間を示す早見表が出された。「残り1時間です」の声に、「あー、はい」と羽生。 * *■ニコニコ生放送■ *村山慈明七段>夕食休憩明けからテンポ良く進みました。▲3五同歩△2一金▲3四歩に普通は△5五角と出たくなるんですけど、△5一角と引いて2四の歩を取らせない方が天彦さんは好きそうな気がします。 63 同 歩(36) (12:00/04:00:00) *羽生が銀を取る。残り時間は1時間。 64 2一金(31) ( 0:00/04:08:00) *佐藤、角を取る。ぐっと力がこもっていた。 65 3四歩(35) ( 0:00/04:00:00) 66 5一角(33) ( 0:00/04:08:00) *後手陣はひどい形だが、駒得が何よりの強み。「先手は駒損以外は悪いところがないんだけどなあ」と佐藤紳六段。駒の働きは先手が大きくまさる。 67 3三銀打 ( 1:00/04:01:00) *銀を投入。盤上の勢力の大きさを主張しにかかった。控室で本線と見られているのは飛車をブロックする△2五桂。対して▲2四銀成△同角▲2五飛△1三角打、▲2六飛の2通りが候補として調べられているが、いずれも先手が苦しいと見られている。後手は窮屈な陣形で歩切れ。つけ入る隙はありそうだが、なかなか手段が見つからない。先手は銀を前線に送り込んではいるが、駒不足からうまく活用するすべがないようだ。検討陣は継ぎ盤の駒を動かしては、「やっぱり駒損が大きいのか」と言って首をかしげる。 68 2五歩(24) (12:00/04:20:00) *19時59分、パチッと駒音が響いた。軽い突き出し。▲2五同飛には△4六桂を狙っている。取れば△1四角で間接王手飛車。▲6八玉は△3八桂成▲2一飛成△4八成桂で、次に△5九角▲7九玉△5八成桂が速い。「さわやかですね」と佐藤紳六段。継ぎ盤でさまざまな順が調べられたが、一直線の変化は先手にとって厳しい結果が待っているようだ。「しかし(△2五歩を)取れないのはつらいなあ」と先崎九段。黙って△2六桂と高い位置で押さえられるのもつらい。 69 同 飛(28) (14:00/04:15:00) *20時13分、羽生、歩を取った。 70 4六桂打 ( 0:00/04:20:00) *佐藤はすぐに桂を打つ。 71 6八玉(58) ( 0:00/04:15:00) *羽生、玉を寄ってあごに手をやる。「銀が質だもんな」と大内九段のつぶやき。後手はいざとなれば△3三角で寄せに使う駒が補充できる。 72 3八桂成(46) ( 0:00/04:20:00) 73 2一飛成(25) ( 0:00/04:15:00) *金を取っての成り込み。部分的には大きな戦果だが、後手玉に迫るにはまだ足りない。 74 4八成桂(38) ( 0:00/04:20:00) *「こうなると一本道だ」と大内九段。 * *■ニコニコ生放送■ *村山慈明七段>天彦さんは恐らく自信を持っていると思います。先手は普通の手ではちょっと追いつけない感じです。 75 1一龍(21) ( 1:00/04:16:00) *後手は歩切れ。香を取った先手は▲8五香を狙っている。しかしここから△5九角▲7九玉△5八成桂▲8五香には、△6八金▲8八玉△7八金▲同玉△6八角成▲8八玉△7八金▲9七玉△7七馬と平凡に追って先手玉は寄り筋。飛車を取っている余裕がない。 *佐藤はグラスの水を飲み、盤に顔を近づける。羽生もグラスの水を飲み、口をへの字に曲げた。腕を組み、厳しい表情。佐藤は前傾姿勢になったり、体を引いて頭に手をやったり。20時25分、控室では関係者が終局に備えて動き始めた。一方、継ぎ盤では上記手順中▲8五香に代えて▲8八玉と早逃げした場合の寄せが調べられている。以下△6八成桂▲同金△同角成▲7八金のときに決め手があるか。「いい手があると思うんですが」と佐藤紳六段。しばらく局面をにらみ、「結構やっかいかもしれないな」と大内九段がぽつり。「手を変えたほうがいいかもしれないですね。焦りますね、これ」と佐藤紳六段も答えた。 76 5九角打 (33:00/04:53:00) *20時51分の着手。佐藤の残り時間は7分。 77 7九玉(68) ( 0:00/04:16:00) *控室では後手の明快な決め手を発見できていない。 * *■ニコニコ生放送■ *村山慈明七段>▲7九玉に△6八金▲同金△8七飛成▲7八金打△6八角成に▲同金は△8九金から寄りそうです。なので△6八角成に▲同玉△8九竜▲6五桂と逃げ道をあける手はどうでしょう。△8五桂としばる手には▲5三桂成で結構こわいですよ、これ。 78 6八金打 ( 2:00/04:55:00) *金で王手。残り時間は5分。継ぎ盤に▲6八同金△同角成▲同玉△8七飛成がさっと並ぶ。これが受けなしかどうか。 79 同 金(78) ( 0:00/04:16:00) 80 8七飛成(82) ( 0:00/04:55:00) *金を取り返さずに単に飛車を成る。▲7八金(打)のときに決め手があるか。 81 7八金打 ( 1:00/04:17:00) *代えて▲7八金は△7七竜で寄り筋だったようだ。 82 3三角(51) ( 0:00/04:55:00) *「これが冷静か」と声が上がった。▲3三同歩成は△6八角成から詰みなので▲8七金と竜を外すしかないが、それには△1一角と後手も竜を外す。そうなると玉の安全度が大差だ。「一番いいタイミングで銀を取れました。きれいです」と佐藤紳六段。 *羽生が水を飲み、席を立つ。佐藤は「うーん」とうなる。21時4分、佐藤は栄養ドリンクを一口飲んだ。 * *■ニコニコ生放送■ *村山慈明七段>なるほど、その銀を取るのか。これを狙っていたんですね。先手に斜め駒があれば後手玉が寄ってしまうんですが、あいにく斜め駒がありません。これが決め手かもしれません。 83 同 歩成(34) ( 6:00/04:23:00) *羽生、ゆっくりと角を取った。形作りだ。佐藤はおしぼりで手を拭き、天井を見上げる。 84 6八角成(59) ( 0:00/04:55:00) 85 同 玉(79) ( 0:00/04:23:00) 86 5九銀打 ( 0:00/04:55:00) *「30秒」と読まれて佐藤は駒台の銀を手に取る。銀を打たれると、羽生はすぐに「負けました」と頭を下げた。▲7九玉は△6八金以下、▲6九玉は△8九竜以下の詰み。終局時刻は21時7分、消費時間は▲羽生4時間23分、△佐藤4時間55分。佐藤が第3局を制してシリーズ成績を2勝1敗とし、王座奪取に王手をかけた。第4局は10月6日(火)、宮城県仙台市「仙台ロイヤルパークホテル」で行われる。 * *■ニコニコ生放送■ *村山慈明七段>天彦さんの終盤の勝ちまでへの道筋が素晴らしかったです。充実した勝ち方で、ほとんど完勝と言っていいと思います。▲2一角に空を切らせる対応が見事だったと思います。最後の△3三角は勝ち将棋鬼のごとしで、全ての駒がうまく働きましたね。 * *【終局直後】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-bb10-2.html * *【感想戦】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2015/09/post-10da-1.html * *※局後の感想※ *感想戦では▲2一角(43手目)以降、先手よしの線は見当たらなかった。だが、代案の▲7七桂が明快な改善策というわけでもないようだ。羽生は「やっぱり▲2一角が問題でしたか。でも桂跳んでも(▲7七桂)いいというわけじゃないから、作戦的に消極的になっているかもしれないですね」と締めくくった。感想戦は22時14分ごろに終了した。 87 投了 ( 0:00/04:23:00) まで86手で後手の勝ち