# --- Kifu for Windows (HTTP) V6.53.2 棋譜ファイル --- 対局ID:2249 開始日時:2013/09/18 09:00 終了日時:2013/09/18 23:21 表題:王座戦 棋戦:第61期王座戦五番勝負 第2局 持ち時間:各5時間 消費時間:203▲299△299 場所:兵庫・中の坊瑞苑 図:投了 手合割:平手   先手:羽生善治 後手:中村太地 手数----指手---------消費時間-- *羽生善治王座に中村太地六段が挑戦する第61期王座戦(日本経済新聞社主催)五番勝負は中村の先勝で始まった。中村が一気に連勝するか、羽生がタイに戻すか、注目の第2局は9月18日(水)に兵庫県神戸市・有馬温泉「中の坊瑞苑」で行われる。 *立会人は桐山清澄九段。新聞解説は久保利明九段。記録係は古森悠太初段(18歳。小林健二九段門下)。観戦記は作家の貴志祐介さんが担当する。 *中村は8時49分ごろ、羽生は52分ごろに対局室入り。両者、大橋流で駒を並べる。 *本局はニコニコ生放送によるストリーミング中継が行われる。18日13時から行われる解説は佐藤康光九段が、聞き手を藤田綾女流初段が担当する。 *【ニコニコ生放送】 *http://live.nicovideo.jp/watch/lv147848221 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>本日の王座戦第2局のニコニコ生放送の解説を務めます。よろしくお願いいたします。羽生王座相手に挑戦者の中村六段が第1局の勢いに乗れるかどうか楽しみな一戦です。どうぞお楽しみください。 *(棋譜・コメント入力=銀杏) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手。【】はブログやリンク先のタイトル] 1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *9時になり、立会人の桐山九段が「定刻になりましたので、羽生王座の先手番でお願いします」と告げて対局が開始された。羽生の初手は▲7六歩。 * *◆羽生 善治(はぶ よしはる)王座◆ *1970年9月27日生まれ、埼玉県所沢市出身。二上達也九段門下。1985年、四段。1994年、九段。棋士番号は175。 *タイトル戦登場は114回。獲得は王座20期(名誉王座)、竜王6期、名人7期(十九世名人)、王位15期(永世王位)、棋王13期(永世棋王)、王将12期(永世王将)、棋聖12期(永世棋聖)の計85期。棋戦優勝は41回。 *五番勝負は22期連続、22回目の登場。と書いて頭がクラクラしそうになる。 2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *普通の2手目だが、中村が指すのは珍しい。棋士になってから中村が△8四歩と指したのはこれが3回目だ。圧倒的な2手目△3四歩派で、棋士デビュー当時は振り飛車、居飛車党に転向してからは横歩取りを得意にしている。中村の2手目△8四歩は2戦2敗。何かを用意しているのは明らかだ。羽生は意外だったか脇息にもたれて考える。 * *◆中村 太地(なかむら たいち)六段◆ *1988年6月1日生まれ、東京都府中市出身。(故)米長邦雄永世棋聖門下。2006年、四段。2012年、六段。棋士番号は261。 *タイトル戦登場は昨年の第84期棋聖戦に続いて2回目。 3 6八銀(79) ( 0:00/00:00:00) *9時6分、羽生は4分使って▲6八銀を指した。これは矢倉模様の出だし。 * *羽生の通算成績は1242勝479敗(0.722)。本年度成績は14勝10敗(0.583)。本年度の対局数ランキング1位。非公式戦では達人戦を2局指している。 *王座戦での成績は83勝20敗(0.806)。先手では43勝9敗(0.826)。五番勝負の先手番の成績は32勝6敗(0.842)。 4 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) *中村の通算成績は187勝104敗(0.643)。本年度成績は14勝4敗(0.778)。本年度の勝率ランキング3位、勝数ランキング6位、対局数ランキング15位。 *王座戦での成績は16勝6敗(0.727)。挑戦者決定トーナメント以上では8勝1敗。前期が初めての挑戦者決定トーナメント進出。そこで挑戦者決定戦まで勝ち進むも、羽生に敗れて挑戦権を逃した。 *今期は森下卓九段、佐藤康光九段、森内俊之名人、郷田真隆九段と40代の強豪棋士を破って挑戦者に。「絶対王座」というべき羽生に挑む。羽生も40代だ。五番勝負の第1局は一手損角換わりの激戦を制した。 5 6六歩(67) ( 0:00/00:00:00) *【王座戦第2局は9月18日(水)に開催】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/18-afa4.html *【現地到着】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-8e57.html *【検分】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-42ac-1.html *【次の一手は?】  *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-545f.html 6 6二銀(71) ( 0:00/00:00:00) *【間もなく対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-0d19.html *【対局者入室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-592f.html *【対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-75cb-1.html *【盤側】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-b892.html *【飲料水】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-aa6d.html 7 5六歩(57) ( 0:00/00:00:00) *日本経済新聞社が主催する王座戦は1953年に創設された。当時はタイトル戦ではなく一般棋戦だった。タイトル戦に格上げされたのは83年の第31期から。今年でちょうど30年になる。その間の獲得期数は *羽生善治王座    20期 *中原誠十六世名人 6期 *塚田泰明九段    1期 *谷川浩司九段    1期 *福崎文吾九段    1期 *渡辺明竜王     1期 *と、羽生の成績が突出している(獲得1期者は獲得順とした)。 *なお、中原十六世名人はタイトル6期の他に優勝棋戦時に10回優勝。それらの実績で名誉王座の資格を持ち、現役時代に名誉王座を名乗った。 *【"中原 誠 永世十段・名誉王座"誕生へ】 *http://www.shogi.or.jp/topics/2007/08/post-131.html 8 5四歩(53) ( 0:00/00:00:00) *現在、日本経済新聞、または日経Wプランの新規購読申し込みをすると、先着20人に羽生王座サイン入りの『捨てる力』をプレゼントするキャンペーン中。 *棋譜中継ページや王座戦中継サイトの上部にあるバナーから購読申し込みできる。 *【新規購読申し込みページ】 *https://tr.nikkei4946.com/r/formOrder.asp?c=0VD9OZ1 9 4八銀(39) ( 0:00/00:00:00) *本局の観戦記は作家の貴志祐介さんが担当する。観戦記は10月7日から掲載。 *貴志さんはホラー、ミステリー、SFとさまざまなジャンルを手掛け、2008年から10年に雑誌へ連載し、11年に刊行された『ダークゾーン』で第23回将棋ペンクラブ大賞特別賞受賞した。他の代表作に『黒い家』、『硝子のハンマー』、『悪の教典』などがある。 *貴志さんは昨年の第60期王座就位式の祝辞で「アマチュアの目から見た羽生将棋は、非常に良くできたミステリー小説のような印象を受ける」と述べている。 *貴志さんは控室で桐山九段に矢倉の戦略を尋ねて取材している。しばらくして、コンピュータ将棋の話題に。貴志さんは『ドキュメント電王戦』で船江恒平五段と対談した。 *【第60期王座就位式の模様】 *http://www.shogi.or.jp/topics/2012/12/60-6.html *【将棋ペンクラブ】 *http://www.shogi-penclub.com/ *【貴志祐介氏】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-8414.html 10 4二銀(31) ( 0:00/00:00:00) *中村は現在、『週刊将棋』紙に「後手番の有力戦法 爽快!急戦矢倉」を連載している。現在は△5三銀右型から5筋の歩を交換する指し方を紹介しており、それが出てくる可能性は十分に考えられる。 11 5八金(49) ( 0:00/00:00:00) *有馬温泉は「関西の奥座敷」とも呼ばれる。日本三古湯の一つで、約1400年前から皇族・貴族らに愛されてきた。炭酸せんべいが有馬温泉の名産品として知られる。湯泉神社や温泉寺など名所も多い。六甲有馬ロープウェーが神戸のシンボルである有馬温泉と六甲山の山頂を結ぶ。片道約12分。 *【有馬の街】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-5e14.html *【行基像】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-a8bf.html 12 3二金(41) ( 0:00/00:00:00) *「中の坊瑞苑」は有馬温泉でも有数の老舗旅館。江戸時代から宿屋を営み、明治元年(1868年)に「中の坊旅館」として創業した。2年前にリニューアルオープンされたことで、控室の雰囲気が少し変わったようだ。対局者としてや新聞解説などでよく訪れている日本将棋連盟会長の谷川浩司九段も「前と少し変わりましたね」と話していた。ここでは王座戦の他に、王位戦もタイトル戦を行っている。 *有馬温泉内では、1963年から姉妹店の有馬グランドホテルも運営している。ちょうど50周年にあたる。 *【中の坊瑞苑ホームページ】 *http://www.zuien.jp/ *【中継ブログ記事の「中の坊瑞苑」】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-afbc.html 13 7八金(69) ( 0:00/00:00:00) *羽生が初めて「中の坊瑞苑」で対局したのは、1992年9月の第40期王座戦第2局▲福崎文吾王座−△羽生棋王戦(肩書は当時)。中村が4歳のときだ。相矢倉戦の激闘が展開され、終盤で華麗な寄せを決めた羽生が制勝。19連覇の足がかりを築いた。 *王座戦における羽生の「中の坊瑞苑」対局は8戦全勝と無敗を誇る。 *前回の対局は、第58期第2局の対藤井猛九段戦。藤井九段の「藤井矢倉」を撃破した。前々回の対局は第56期第2局の対木村一基八段戦。こちらも相矢倉戦。木村八段が局後に勝負手を聞かされてショックを受けたシーンが印象深い。 *【第58期王座戦五番勝負第2局▲藤井猛九段−△羽生善治王座の棋譜とブログ】 *http://live.shogi.or.jp/ouza/kifu/ouza20100922.html *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/582/ *【第56期王座戦五番勝負第2局▲木村一基八段−△羽生善治王座の棋譜とブログ】 *http://live.shogi.or.jp/ouza/archive_kifu/080917.html *http://shogi.weblogs.jp/oza/56_2/ *【羽生王座と中の坊瑞苑】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-bb96.html 14 4一玉(51) ( 0:00/00:00:00) *「中の坊瑞苑」は、モナコの(故)グレース・ケリー公妃が来日し、神戸ポートアイランド博覧会を訪れた際に宿泊したことで知られる。 *公妃は本局の対局室として使われている「有明」という部屋に泊まった。 15 6九玉(59) ( 0:00/00:00:00) *五番勝負のタイムスケジュールは以下の通り。 *9時   対局開始 *12時 昼食休憩 *13時 対局再開 *15時 午後のおやつ *18時 夕食休憩 *19時 対局再開〜終局まで * *ここで(1)△5二金ならじっくりした将棋に進みやすい。(2)△7四歩なら急戦含み。後手の大きな分岐点だ。 16 7四歩(73) ( 0:00/00:00:00) *時間を使わずに突いた。これは△5三銀右から5筋の歩交換を目指す可能性が高い。 *先手もここは分岐点。(1)▲7七銀か(2)▲6七金右か。(1)▲7七銀は△5二金なら▲7九角〜▲3六歩〜▲3五歩と早く動けるが、△5三銀右から△5五歩と攻められたときに中央を薄くする弱点も。7月に行われた第54期王位戦七番勝負第2局▲行方尚史八段−△羽生戦がこの展開だった。(2)▲6七金右なら中央が厚く、急戦に備えている。 17 6七金(58) ( 0:00/00:00:00) *本局の立会人である桐山清澄九段は、1975年に行われた第23回王座戦の優勝者。中原十六世名人の優勝連覇記録を6で止めた。 *タイトル戦になってからは第34期で五番勝負に登場したが、中原王座に3連敗で敗れた。第34期第2局は中の坊瑞苑での対局だった。 *【桐山清澄九段】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-87c8.html 18 5三銀(62) ( 0:00/00:00:00) *「あっ、やっぱり出ましたね。後手でリードしていこうとしたら、このように動くことになるんですよね」と桐山九段。羽生はめがねを外し、うつむいて熟考している。 *10手目コメントで紹介した週刊将棋の講座で中村が解説している戦型だ。次に△8五歩▲7七銀△5五歩と動く狙い。昨年の五番勝負でテーマになり、第1局と第3局で現れた。いずれも▲2六歩△8五歩▲2五歩(▲7七銀が多い)と羽生が工夫した指し方を見せた。また、8月に行われた第15回京急将棋まつりの席上対局の▲中村−△佐藤天彦七段戦と▲佐藤天−△羽生戦でも現れた(モバイル中継局)。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>△5三銀右の急戦矢倉は最近流行している指し方です。初期は郷田九段が指し、次に阿久津七段が指し、現在は阿部健治郎五段が良く指しています。 *【第60期王座戦五番勝負第1局▲羽生善治二冠−△渡辺明王座】 *http://live.shogi.or.jp/ouza/kifu/60/ouza201208290101.html *【第60期王座戦五番勝負第3局▲羽生善治二冠−△渡辺明王座】 *http://live.shogi.or.jp/ouza/kifu/60/ouza201209190101.html *【中村六段が中央から動く構え】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-4418.html 19 5七銀(48) ( 0:00/00:00:00) *9時52分、羽生が23分使って着手。中央を厚くして△5五歩に備えている。ただし、▲7七銀から▲7九角としても▲4八銀型よりは角が使いにくい面はある。比較的珍しい手で、▲2六歩が圧倒的に多い。同一局面の公式戦の実戦例は先手の10勝11敗。「これは珍しいですね。解説が難しい」と新聞解説の久保九段。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>この急戦矢倉に対する▲5七銀右は3番目くらいに指される対策です。中央に手厚い面がありますが、反面作戦を決めすぎで角を使いにくいところもあります。 20 5二金(61) ( 0:00/00:00:00) *古森初段はタイトル戦の記録係が初めて。昨日の検分前に、桐山九段が「対局開始のときは私が宣言するから」、「昼食休憩の時間が違うから気をつけて」などと古森初段に説明していた。 21 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *15・16日は台風18号が日本各地で猛威を振るった。17日の神戸は台風一過の青空が広がるも、最低気温は18度と肌寒かった。駆け抜けて通り過ぎた夏。季節は動いている。有馬温泉は市街地よりも標高が高いため2度ほど低い。 * *△5三銀右▲5七銀右の2手が入ったことでよくある定跡形の矢倉戦とは趣が違う。 *「後手はまさかの雁木(△4四歩から△4三銀の形)はやらないでしょうかね。そういえば、雁木でガンガンってフレーズがありましたね」と久保九段。『雁木でガンガン』は王座戦で観戦記を書いている小暮克洋さんの著書。挑戦者決定戦▲中村−△郷田九段戦の観戦記を担当された。昨日の日本経済新聞夕刊はその観戦記の第9譜。今日の夕刊が最終譜となる。明日からは五番勝負第1局の観戦記が始まる。 *雁木の他に△4四歩▲7七銀△4三金右から先後似た形の矢倉戦も考えられる。 22 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00) *日本経済新聞は囲碁も王座戦を主催している。9月12日に囲碁の第61期王座戦挑戦者決定戦の結城聡十段−張栩九段戦が行われ、張栩九段が黒番2目半勝ちで井山裕太王座への挑戦を決めた。囲碁の五番勝負は10月24日に開幕する。 *囲碁の王座戦でも「中の坊瑞苑」で対局が行われたことがある。 *【日経囲碁サイト -第61期 王座戦 挑戦者決定戦】 *http://igooza.nikkei.co.jp/61st/league.htm 23 7七銀(68) ( 0:00/00:00:00) *「△8五歩と突いた意味はどのようなところにあるのでしょうか。形を決めてしまったように思うのですが」と貴志さん。 *「そうですよね。まだ突かないかなと思ったのですが」と久保九段。 24 4四歩(43) ( 0:00/00:00:00) *10時17分、11分使って中村も角道を止めた。じっくりした展開に進むかもしれない。羽生は席を外している。 25 7九角(88) ( 0:00/00:00:00) *羽生は手を舞わせて角を引く。もう1回角を動かせば、玉を矢倉城へ移動できる。ここまでの消費時間は▲羽生45分、△中村24分。中村は左銀を3三と4三のどちらへ動くかで方針が変わってくる。 *10時28分ごろ、担当記者が昼食のメニューを持って、対局室に入る。羽生、中村の順でメニューを見る。対局者の昼食は、羽生はうどん膳(こんぶ)、オレンジジュース。中村はうな重膳、ウーロン茶。 *【対局者の昼食】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-7632.html 26 4三銀(42) ( 0:00/00:00:00) *10時50分前、24分使った中村は銀をつまみ4三へ移動させた。雁木だ。前期五番勝負第3局▲羽生−△渡辺王座戦でも現れた囲い。ただ、そのときは互いに飛車先の歩を交換していたので意味合いが異なる。これからの戦い方は変わってくるだろう。 *「僕も雁木を使って勝ったことがあるんです。藤井さん(猛九段)との対局でかなりうまくいきました。振り飛車党同士だと意地の張り合いみたいなところがあって、相居飛車になることもあるんです」と久保九段。「雁木はもう指さないのですか」と質問には久保九段苦笑い。振り飛車党だから飛車を振りたいに決まっている。 *久保九段は先手が右銀を5七に構えたので後手は雁木にしやすいという。後手が普通に雁木を目指すと、先手は▲4八銀型で駒組みができた。すると、▲2五歩から▲2四歩△同歩▲同角とスムーズに歩交換できる。本局では、先手の歩を飛車で交換しにいかねばならないし、▲2五歩に後手は△3三角と2筋を受けることもできる。雁木は矢倉よりも2筋が薄いが、先手は2筋を攻める布陣になっていない。 *手順は違うが、同一局面は1局あった。1986年の名将戦▲松浦隆一五段−△真部一男七段戦(肩書はいずれも当時)。その対局は▲2五歩△3三角から持久戦に進み、先手は▲4八銀と引いて2筋の歩交換を狙った。 *11時10分過ぎ、対局室の和室以外の部屋についている内線の電話が鳴ってしまったらしい。記録係の古森初段が席を外して控室へ。それを聞いて桐山九段が対局室に入る。旅館のスタッフが受話器を外して対応した。 *【第60期王座戦五番勝負第3局▲羽生−△渡辺戦(再掲)】 *http://live.shogi.or.jp/ouza/kifu/60/ouza201209190101.html 27 2五歩(26) ( 0:00/00:00:00) *11時22分、羽生は32分の長考で2筋の歩を伸ばした。後手は△3三角と受けるか、攻めの形を優先させるかの岐路。 28 6四歩(63) ( 0:00/00:00:00) *中村は指し手を決めていたようだ。すぐに△6四歩と伸ばす。2筋を受けなかった。飛車で歩交換をさせるのは構わないと見ている。 *「藤井さんの対局のときは、たしか△6二飛から△7三桂の形に▲7五歩とされたのを△6四飛と受けたんだったと思います」と久保九段。調べてみると、その対局は2002年3月の棋聖戦▲藤井−△久保戦。10年以上前の対局を覚えているのはさすがだ。 29 6八角(79) ( 0:00/00:00:00) *「歩交換していいですよ」の△6四歩に「歩交換は後回しにしよう」の▲6八角。複雑な指し回しだ。ただし、前にも触れたが、先手は▲4八銀型なら▲2四歩△同歩▲同角△2三歩▲6八角と角を動かしながら歩交換できた。先手の駒組みはややぎこちない面があるわけで、中村が23手目▲5七銀右を見て雁木を選んだ理由でもある。後手が5筋歩交換策を目指そう(グー)としたなら、それを▲5七銀右と備える(パー)。ならば、後手は雁木で先手の駒組みを突こう(チョキ)という流れといえようか。 *中村が31分使ったところで12時となり、昼食休憩に入った。羽生、中村の順で退室する。消費時間は▲羽生1時間21分、△中村1時間20分。13時に対局は再開される。「構想力が問われる将棋なので、午後も時間を使う将棋に進みそうです」と久保九段が今後の展望を話す。 *12時50分前、中村が対局室に戻ってきた。13時、対局再開。羽生は対局室に戻っていない。同じころ、ニコニコ生放送の解説が始まった。再開の様子を撮っていた牛蒡記者が控室に戻ってきた。長い時間、対局室にいるわけにはいかない。羽生は4分ほどたっても戻ってこなかったとのこと。13時5分過ぎ、羽生が対局室へ。 *直前の△6四歩で△3三角▲3六歩という展開なら、第59期王座戦挑戦者決定トーナメントの▲渡辺竜王−△森内俊之九段(現名人)戦に合流するところだった。 30 3三角(22) ( 0:00/00:00:00) *昼食休憩を挟み47分の長考で指された。13時20分過ぎ、中村が席を立つ。羽生は棋譜用紙を見て考え込む。後手の狙いは角を8四に移動させて△7三桂〜△6五歩。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>次に▲4八銀と引いて角交換を狙う手があります。このまま角交換(▲2四歩△同歩▲同角△同角▲同飛△2三歩▲2八飛)して局面が落ち着くと後手がまずいので、▲4八銀には△5一角で▲2四歩△同歩▲同角に△8四角と角交換を避けるでしょう。△8四角のあと先手は▲5一角成や▲4二角成、▲1三角成など候補手が多いです。本命は▲2三歩と垂らす手で、放っておくと▲2二歩成〜▲4二角成〜▲2二飛成があります。 * *佐藤九段の解説からすると、後手は▲6八角を見て△3三角と上がったと分かる。△6四歩のところで△3三角は▲4八銀△5一角▲2四歩△同歩▲同角と7九にいた角で歩交換できるので動きに無駄がなく、後手が損している。 31 7九玉(69) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>▲7九玉と寄りましたね。先ほどの展開▲2四角には△3三桂を嫌ったのでしょう。▲2三歩には△2五歩と打てば受かります。また△3三桂に▲同角成は△同角で先手指し過ぎです。 *【対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-2985-1.html 32 5一角(33) ( 0:00/00:00:00) 33 8八銀(77) ( 0:00/00:00:00) *壁銀を作った、のではない。▲7七桂から▲8九玉の菊水矢倉(あるいはしゃがみ矢倉と呼ぶ)を目指す。△8四角〜△7三桂〜△6五歩▲同歩△同桂が両銀取りにならないようにしただけでなく、▲7七桂と跳ねて△6五歩の仕掛け自体を消すこともできる。先手は後手の攻めを封じてじっくり組むつもりだ。 *戦型はさまざまながら、羽生の矢倉からの▲8八銀(△2二銀)は、時折指している。柔らかい駒の繰り替え。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>ほー、▲8八銀ですか! 普通は8八に玉が入るところですが。▲8八銀は羽生王座が指してみたかった作戦なのでしょう。これはおそらくやらないでしょうけど、△3一玉▲7七桂△4二金右▲2四歩△同歩▲同飛△3三金右▲2八飛△2四歩〜△2三金寄で金冠の完成です。この形を良いと思うのは私だけでしょうか(笑) *【桐山九段の解説】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-270d.html 34 3一玉(41) ( 0:00/00:00:00) *「先手はしゃがみ矢倉に組めれば不満がなさそうです。怖いところがなくなりますので」と久保九段。後手はこれで玉形が完成なのか、さらに発展させていくのか。 *羽生の考慮中に14時を回った。消費時間は▲羽生1時間38分、△中村1時間51分。ここで控室に対局者のおやつ情報が入った。羽生はベイクドチーズケーキとホットコーヒー。中村はガトーショコラ。 35 3六歩(37) ( 0:00/00:00:00) *攻め駒の活用を見る。佐藤九段は「後手が△8四角と出ないと、▲7七桂は跳ねにくい」と話していた。貴志さんが「ここで△7三角はいかがでしょう」と継ぎ盤を動かす。▲3六歩に反応して先手の飛車を狙う。 *控室に藤原結樹三段が訪れた。藤原三段は3年前の第58期五番勝負第2局▲藤井−△羽生戦の記録係を務めた。 *【ニコニコ生放送を見る】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-946e.html *【検討陣】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-4910.html 36 7二飛(82) ( 0:00/00:00:00) *後手は△8四角などと動くと、先手に2筋の歩交換を許す。先手も▲7七桂と形を決めると、この△7二飛から7筋を狙われたときに桂頭が気になる。 *双方、形をはっきりさせずにプラスの指し手を積み重ねている。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>△7二飛と飛車を寄りました。▲7七桂は△7五歩▲同歩△同飛▲7六歩△7二飛の後、△6三金〜△7四金〜△7五歩の攻め筋があります。この間に先手も切り返しの反撃がないと▲7七桂とは跳ねにくいでしょう。 37 1六歩(17) ( 0:00/00:00:00) *14時46分、羽生が指したのは一番形を決めない手。先に、相手に狙いのはっきりした手を指してほしい思惑が見える。 38 1四歩(13) ( 0:00/00:00:00) *中村は時間を使わずに端を受けた。雁木は金銀を利かしにくい端が弱点の一つでニコニコ生放送で解説を務める佐藤康九段著の『佐藤康光の実戦で使える囲いの急所』でも雁木を1筋から攻める手筋が紹介されている。中村はどうまとめるのか。 39 5九角(68) ( 0:00/00:00:00) *「互いに引き角なのは珍しいですね。後手が角を動かせば▲2四歩や▲1五歩があるので指し手を牽制しています」と久保九段。△8四角から△6五歩の攻めが見えているので、▲4六銀から▲3五歩を狙う将棋の作りにはならない。そこで先手も角を引いて右辺への転換を目指す。仮に双方が似たような攻撃形(▲2六角・▲3七桂型対△8四角・△7三桂型)に組むと、2筋の歩交換できる分だけ先手十分の序盤戦となる。 *中村の考慮中に15時。対局室におやつが運ばれた。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>先手が3手損(角の動きが後手より1手損。左銀を3手かけて8八へ移動させて2手損)にもかかわらず、後手の指し手が難しいのは面白いですね。 *【おやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-6c0a-1.html 40 3三桂(21) ( 0:00/00:00:00) *15時過ぎに着手。ここまでの消費時間は▲羽生2時間10分、△中村2時間30分。控室で「ほぉー」の声が上がった。桂を跳ねると陣形が薄くなる。この場合、▲1五歩の争点もあるだけになおさら度胸のいる手だ。 *桐山九段、久保九段、藤原三段がさっそく▲1五歩△同歩▲同香の変化を調べる。 *久保九段は「普通にやっていると大変と見た手だと思います。△7五歩▲同歩△同飛から△2五飛を見せています。ただ、先手から▲6八角〜▲4八銀などと1筋を狙われるのも気になりますね。先手の模様が良いと思います」と話す。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>△3三桂と跳ねました。後手は端が薄くなるので、思いつきにくい手ですね。何気ないように見えて、△7五歩▲同歩△同飛▲7七銀に△2五飛の飛交換が狙いです。飛交換した形は先手は角にヒモがついていないので後手良しです。 *【久保九段の見解】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-e63b.html 41 7七銀(88) ( 0:00/00:00:00) *先手の駒は7七に戻れる。後手の駒は2一には戻れない。先手が手損をしているが、後手は陣形が薄く狙われやすい。あまりのんびりできない。 *先手は後手が△7五歩▲同歩△同飛から△2五飛を狙いにしていたので、1手で壁形を解消する▲7七銀とした。しゃがみ矢倉をちらつかせて後手に動きをうながした。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>▲7七銀は△7五歩からの飛交換の狙いを消した手です。先ほどの変化と異なり、△7五歩▲同歩△同飛▲7六銀△2五飛に▲2六歩と打つことができます。▲7六銀と上がっているので、△7五飛と戻れませんし、△2四飛は飛車が窮屈です。 42 7三角(51) ( 0:00/00:00:00) *中村は工夫して動く。しかし、控室では先手十分の評価。先手は左銀の動きで手損したが、無駄な手を指しておらず、陣形はしっかりしている。後手は手得したが、それを具体的に生かせているとはいえないようだ。「やはり、雁木はガンガンいかないといけないのかもしれませんね」と久保九段はいう。 43 4六歩(47) ( 0:00/00:00:00) *控室で検討されているのは(1)△6五歩と(2)△6二飛。(1)は▲同歩△4五桂▲6八銀右△4六角▲1八飛△1五歩が進行の一例。「振り飛車党の攻め方ですね」と久保九段。(2)△6二飛は▲1五歩△同歩▲同香△1三歩▲1八飛△2二金と辛抱。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>例えば△6二飛とためる手は、▲1五歩△同歩▲同香△1三歩▲1八飛△2二金の形がしゃくなので、ここは後手も△6五歩と仕掛けるでしょう。 44 6二飛(72) ( 0:00/00:00:00) *15時35分ごろに指された。力をためて△6五歩を狙う。しかし、手番が先手に渡るので▲1五歩△同歩▲同香や▲2四歩△同歩▲同飛の歩交換が予想される。また、△6五歩▲同歩△4五桂▲6六銀右△4六角が王手飛車取りにならないように▲8八玉も有力。 *15時55分、中村が扇子であおぐ。朝よりも体が盤に近づいているように見える。羽生は席を外している。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>ここで▲1五歩、▲3七角、▲2四歩など、候補手があります。▲1五歩で先手が悪くなければ▲1五歩を指したいです。視聴者アンケートでも▲1五歩(49%)が人気ですね。 45 1五歩(16) ( 0:00/00:00:00) *16時直前。席に戻った羽生が端歩を突っかけた。控室でも、ニコニコ生放送のアンケートでも人気の高かった指し手だ。 46 同 歩(14) ( 0:00/00:00:00) 47 同 香(19) ( 0:00/00:00:00) 48 1三歩打 ( 0:00/00:00:00) *△1五同香は▲同角〜▲2四歩△同歩▲同飛(または▲同角)と攻められて後手不利。相手の攻め駒を代償なくさばかせてはいけない。 49 1八飛(28) ( 0:00/00:00:00) *羽生は端に戦力を足す。△3三桂の弱点を突く。また、1筋が主戦場になると後手の5筋の金銀が遊ぶ。 *16時、担当記者が対局室に入り、夕食注文を取る。夕食の注文は、羽生が白身魚の唐揚げ膳とホットレモンティー。中村はきつねうどん膳とジンジャーエール。ここまでの消費時間は▲羽生2時間50分、△中村2時間45分。 *16時10分過ぎ、羽生は棋譜用紙を借り、額に手を当てて考え込んでいる。 50 2二金(32) ( 0:00/00:00:00) *16時15分、中村は金で端を守った。 51 2六角(59) ( 0:00/00:00:00) *「指されてみると、味のいい手ですね。△6五歩▲同歩△同飛ならそこで▲3七桂です。差し手争いでしたけど、先手の方がいい形になりましたね」と桐山九段。 *「後手は歩を持って△1四歩▲同香△1三歩で香を取る狙いはあります」と久保九段。その1歩は△6五歩で入手できる。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>やはり▲1五歩から攻めましたね。次に▲3七桂で全軍躍動です。なかなか後手は6筋で得は見込めなさそうで、現局面は先手を持ちたいです。 52 3二玉(31) ( 0:00/00:00:00) *形を整える。控室では△6五歩▲同歩△同飛▲3七桂に△1四歩が調べられていたが、▲同香△1七歩(▲同飛は△2五桂)▲6八飛△1四香▲1五歩でうまくいかないようだ。 *先手はうまく1筋を攻めたい。▲3五歩△同歩▲同角が1筋に駒を足す有力手段だ。ただ、後手は▲3五歩を取る一手ではない。▲3七桂と力をためるのも自然で有力だ。 53 3七桂(29) ( 0:00/00:00:00) 54 6一飛(62) ( 0:00/00:00:00) *△1二香から△1一飛とすれば△1四歩の大逆襲を狙える。その筋は貴志さんが指摘されていた。△6五歩としたくなるだけになかなか気づかない発想だ。 55 8八玉(79) ( 0:00/00:00:00) *入城。王手がかからない形になり、思う存分攻められるようになった。先手は金銀3枚で守り、飛角桂香で攻める布陣。5七銀を攻めに使うかどうか。このまま置けば守りに働く。 *後手は9一香と8一桂が働かず攻める展開にできない。しばらくは受ける展開だろうか。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>次に△1二香と上がっておけば、▲3五歩△同歩▲同角には△1一飛で受かります。ただ、△1二香に▲5五歩〜▲4五歩と攻める筋があり、やはり先手の攻めが厳しいです。具体的には▲5五歩△同歩▲4五歩△同歩▲4六歩△同歩▲同銀△4四歩▲4五歩△同歩▲5五銀です。次に▲4四歩が厳しく受けるのが困難です。例えば先手が歩切れの瞬間に△1四歩など、どこかで後手は変化しなければなりません。 56 6二角(73) ( 0:00/00:00:00) *「▲5五歩△同歩▲4五歩(△同歩は▲4六歩△同歩▲同銀と銀を攻めに使っていく)のような攻めに備えたものです。しかし……」と久保九段。中村は挑戦者決定戦のように、激しい勢いで攻め込んでいく「攻める青年」だが、形勢容易ならずとみて辛抱した。なお、「受ける青春」と呼ばれたのは中村修九段。 *ここで▲5五歩△同歩▲4五歩△同歩▲4六歩には△4二銀と角交換を迫ってどうか。羽生の考慮中に17時を過ぎた。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>▲3五歩に後手は動かす駒が難しい。△同歩だと▲同角で1筋が受からないので、放っておくしかありません。先手が次に▲3四歩から攻めるのは△同銀▲1三香成△同金で先手無理筋です。▲3五歩以外にも先手はひとつ穴熊を目指すのも有力です。 *【全力で受ける】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-ede5.html 57 1九飛(18) ( 0:00/00:00:00) *23分使って引く。ここまでの消費時間は▲羽生3時間23分、△中村3時間12分。 *ジリッ、ジリッ。羽生は間合いを詰めていく。△7三桂は▲7五歩を与えて損だ。後手が得になりそうなのは△9四歩。先手は▲9六歩とは受けないと予想される。端歩を受けるなら▲1九飛よりも先に突く方が自然に映るからだ。 *17時15分、日本将棋連盟会長の谷川九段が控室へ。神戸は谷川九段の地元だ。昨日は検分に立ち会い、自宅に帰宅されたという。第58期五番勝負第2局や第56期五番勝負で行われた「中の坊瑞苑」対局では新聞解説を務めた。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>いろいろ候補がありましたが、▲1九飛は当たりませんね。何かのときの△2七銀が嫌だったのでしょうか。しかし、やはり後手も指す手が難しい。後手の飛車は8二の地点がいいのですが、7一飛や7二飛の形が怖すぎて指しきれません。 *【指したい手がない】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-33dc.html 58 4一飛(61) ( 0:00/00:00:00) 59 4九飛(19) ( 0:00/00:00:00) *主導権は先手がガッチリ握っている。いつどこで、どのように攻めていくかが課題だ。後手から動けないとみれば穴熊への組み替えも考えられる。 *17時25分過ぎ、中村は和服の右そでをまくって考えている。 60 4二銀(53) ( 0:00/00:00:00) *17時35分ごろ、中村は飛角金金銀銀で固めた。全力で駒を集めた囲い。角道を通して将来の△4五歩を見せた意味もある。席を外していて、控室に戻ってきた久保九段が「ひょえ、銀を引いたんですか」と驚く。久保九段は「さばきのアーティスト」に加え、粘り強い棋風としてしられるが、その久保九段としてもなかなか指せない手のようだ。盤面を後手側を手前におけば、そのインパクトも分かりやすいだろう夕食休憩まで二十数分。羽生は次の手を指すか休憩に入れるか。微妙なタイミングだ。 *「神経戦が続いていますね。戦いが起こりそうで起こりません。後手が仕掛けを封じようと対応しています。どこで戦いになるか予測がつきません」と桐山九段はいう。 *ここで羽生が25分使ったところで18時になり夕食休憩に入った。残り時間は▲羽生1時間9分、△中村1時間25分。19時に対局は再開される。中村は早い時間に対局室へ戻って局面を考え続けている。羽生も18時55分に対局室へ。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>▲4五歩はひと目ですが、△同歩▲6二角成△同金▲4五桂△4四歩▲3三桂成△同銀の局面はう〜ん。先手の攻め駒がさばけていて後手が勝ちにくい気がします。しかし△4一飛から△4二銀はなかなかの手順ですよ。 *読んでいくと、▲4五歩△同歩▲6二角成△同金▲4五桂に△2七角がありますね。以下▲3三桂成△同銀▲4五飛△7三桂で難しい形勢です。次に△1四歩から1五香取りをせかす手も見えます。なるほど△4二銀は立派な手ですね。 61 6八金(67) ( 0:00/00:00:00) *19時に対局が再開されると、羽生はすぐに金を引いた。 62 9四歩(93) ( 0:00/00:00:00) 63 9八香(99) ( 0:00/00:00:00) *「あー」と声が上がった。夜戦に入った直後に穴熊を目指す羽生。超持久戦か。本格的な戦いは遠そうだ。先手の囲いの理想は▲9九玉から2枚の金を8八と7八にさせること。穴熊は嫌だと後手から動いてくれば、それをとがめていけばいい。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>▲9八香から穴熊を目指しました。△1四歩は突くとしたらここしかないです。 *【持久戦へ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-63ce.html 64 9五歩(94) ( 0:00/00:00:00) 65 9九玉(88) ( 0:00/00:00:00) 66 9三桂(81) ( 0:00/00:00:00) *後手から動くことはできない。中村は可能な範囲で駒を前に出して少しでも厳しい反撃を繰り出せるようにしている。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>後手は先手の穴熊を見送りましたね。通常△9三桂には▲9六歩が有力ですが、先手玉は穴熊なので反動がキツいです。一例ですが、▲8八金△8一飛▲7八金右と穴熊を急ぐ手は△1四歩▲同香△同香▲1五歩△同香▲同角に△8六歩の反撃が厳しい一手となります。先手はここで攻めたいところです。 67 1九飛(49) ( 0:00/00:00:00) *19時30分過ぎに指された。残り時間は▲羽生55分、△中村1時間10分。神経戦が続く。後手は△1四歩から無理やり香を取る指し方がある。そして、1筋で調達した香を使って8筋を攻める。▲1九飛はそういう指し方に備えている。「後手はどういう形で待つか。何か指して、▲3五歩を突かれたときにもう1手指すんですけど」と谷川九段。中村は考慮中に残り1時間を切った。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>4一飛は形が悪いので、次は△8一飛でしょう。しかし常に▲3五歩の危険があるので後手は注意しなければなりません。△同歩は▲同角で次に▲1三角成の1筋突破が受かりません。3五歩を取れないので、後手はいよいよ指し手に困ります。 68 1二香(11) ( 0:00/00:00:00) *19時48分、中村は香を浮いて△1一飛を作る。本格的な戦いが始まっていないが、すでに不動駒は5枚しかない(1三の歩は打ったものなのでカウントしない)。総力戦といえる。羽生は残り1時間を切っている。 *これだけ進行の遅い王座戦の番勝負は第57期第1局の▲山崎隆之七段(現八段)−△羽生戦以来のようだ。それだけ珍しい展開といえる。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>ずっと前に解説していた夢の構想(△1二香〜△1一飛〜△1四歩)が実現しそうです。具体的に▲8八金△1一飛▲7八金右△1四歩は▲同香△同香▲1五歩△同香▲同角△1二香で後手の調子がいいように見えますが、▲1六香△1五香▲同香△1三歩▲1六香で部分的には端が受からず逆に1筋を逆襲されてしまいます。お互いに神経を使う展開になりましたね。 *【第57期王座戦五番勝負第1局▲山崎−△羽生戦】 *http://live.shogi.or.jp/ouza/archive_kifu/ouza20090904.html 69 8八金(78) ( 0:00/00:00:00) *時刻は20時になろうとしている。先手陣は現在が本局で一番堅い。▲7八金右とすればさらに堅くなる。 *序盤で間合いを計る将棋といえば、8月末に行われた王位戦七番勝負第5局▲羽生−△行方尚史八段戦もそうだった。本格的な戦いが始まったときには2日制の対局にもかかわらず双方残り1時間を切っていた。羽生はその将棋を制して王位防衛した。 70 1一飛(41) ( 0:00/00:00:00) *中村陣も堅い陣形。後手は自分から攻めるのが難しいので、できるだけ仕掛けられないように隙なく組む必要がある。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>△1一飛と夢が実現しました(笑)。しかし、△1四歩と突いても成立しないので難しいところです。ただ4一飛よりは形がいいです。 *【地下鉄飛車】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-5178.html 71 7八金(68) ( 0:00/00:00:00) *「じーっとされたら何も言えないね」と桐山九段が笑う。継ぎ盤の駒はあまり動かない。 *中村も残り1時間を切っている。局面は膠着しているが、「(先手は)千日手にしたくないですね」という声。ちなみに、千日手になった場合は、双方が残り時間が1時間以上になるように持ち時間を足し、千日手から30分後に指し直すという。 *中村は袖をまくり、右手を頬に当てて考えている。羽生は扇子をころころ転がす。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>やはり、ここは玉を固めるのがいいと思います。互いに手を出しづらい雰囲気がありますね。駒がぶつかる前に持ち時間が残り10分ということもありえますよ。 72 1四歩(13) ( 0:00/00:00:00) *20時12分、中村決断。駒がぶつかったため、「やっと検討しがいのある局面になりました」と久保九段が笑う。 *【歓声】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-4a82.html 73 同 香(15) ( 0:00/00:00:00) 74 同 香(12) ( 0:00/00:00:00) 75 1五歩打 ( 0:00/00:00:00) 76 同 香(14) ( 0:00/00:00:00) 77 同 角(26) ( 0:00/00:00:00) *△1二香が飛車角を狙うおいしい田楽刺し。しかし、▲1八香と切り返す手がある。以下△1五香▲同香△1三歩▲1六香で1筋を突破されてしまう。攻め合いは難しいので、少しでも網が破れるパターンを後手は避けたい。 78 1二香打 ( 0:00/00:00:00) *△1六歩も言われていた(▲同飛はそこで△1二香)が、▲2六角とされて効果が薄い。 79 1八香打 ( 0:00/00:00:00) *20時20分ごろの局面。残り時間は▲羽生45分、△中村38分。 *この局面は、▲1五歩△同歩▲同角という棒銀ならぬ「棒角」の攻めに出たのと同じだ。 *継ぎ盤に並べられているのは△4五歩▲同桂△1七歩の変化。 *※局後の感想※ *▲1六香△4五歩▲同桂△1七歩という進行も検討された。 80 4五歩(44) ( 0:00/00:00:00) *検討されていた△4五歩。次に△1七歩▲同香△同角成▲同飛△1五香の狙いだ。 *「▲1四歩と打っても△1七歩なんですかね」と谷川九段。(1)▲1四歩△1七歩以下▲同香△同角成▲同飛△1四香までの局面を谷川九段と久保九段で進める。これは攻め切るのも簡単ではないようだ。そこで次に(2)▲3三角成△同銀▲1二香成△同金▲4五桂を調べる。また、久保九段説の(3)▲3五歩(後手が取れば利かし)も有力。以下△1五香▲同香△1三歩でどうか。後手は△4五歩▲3五歩の交換でいつでも△3五角と出られるようになる。しかし、3筋に嫌みがついている意味もある。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>△4五歩と突きましたね。▲同桂は△1七歩が嫌なので、▲3三角成△同銀▲1二香成△同金▲4五桂△4二銀で先手がどう攻めるかというところですが、先に▲1四歩△同香を入れてから▲3三角成から攻めるほうがいいですね。 *▲1四歩、▲3三角成、▲3五歩、その他で視聴者アンケートをとりましたが、結果がばらけましたね。それだけ難しいのでしょう。 *【好手順】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-2e67.html 81 3三角成(15) ( 0:00/00:00:00) *バサッと。時刻は20時40分になろうとしている。 *「後からでも▲3五歩が入るんですね」と谷川九段。つまり、▲3三角成△同銀▲1二香成△同金▲4五桂△4二銀に▲3五歩と突く。後手はそこで△4四歩から桂を取りたいが、▲1六香の飛車と金の田楽刺しを食ったときに△1三歩と受ける歩がない。 82 同 銀(42) ( 0:00/00:00:00) 83 1二香成(18) ( 0:00/00:00:00) 84 同 金(22) ( 0:00/00:00:00) 85 4五桂(37) ( 0:00/00:00:00) *しなやかな手つきで。駒の損得は後手の角桂交換で駒得だ。しかし、先手はある意味「玉落ち」なので攻め放題。攻めが途切れなければいい。逆にいうと、後手は先手を穴熊の姿焼きにできなければだめだ。 86 4二銀(33) ( 0:00/00:00:00) 87 3五歩(36) ( 0:00/00:00:00) *筋。△同歩も△同角も▲3三歩がある。▲3三歩に△2二玉なら▲1四歩とためて▲1三香を狙う。後手陣に嫌みが多い。 *中村は前傾姿勢。対局再開前よりも体が盤に近づいている。 *【右辺の戦い】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-12ac.html *【21時ごろのモニター映像】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/21-765f.html 88 同 角(62) ( 0:00/00:00:00) *ゆらーっとした手つきで指された。時刻は20時45分。羽生は一瞬上体を起こして額に左手を当てた。羽生は考慮中に残り30分を切った。 *▲3三歩と打って態度を見たいが、△2二玉のときにどう攻め続けるか。▲1四桂とさらに王手すれば、△1三玉の「桂頭玉寄せにくし」で頑張る。「結構大変ですね」と谷川九段。「攻め切るのは大変ですね」と久保九段。中村はすべての駒を受けに使ったのでまだ守り駒が多い。金銀4枚に飛車角つきだ。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>▲3三歩に(1)△4一玉は▲1三歩△同金▲5三桂打△3一玉(△5一玉は▲1三飛成)▲3八香△4四角▲3四香△1八歩▲同飛△1七歩▲3八飛△3五歩▲3二歩成△同銀▲同香成で先手の攻めが続きそうです。なので(2)△2二玉でどうか。 89 3八香打 ( 0:00/00:00:00) *ここで△7一角とされたときにどう攻めるのか。継ぎ盤の駒は動かない。(1)▲3九飛と滑り込ませる手は考えられる。以下△2二金なら▲3三歩△4一玉▲3四香△3一歩▲3二歩成△同歩▲3三歩と攻める。しかし、▲3九飛に△1七角成で大変か。 *21時ごろ、控室で桐山九段が△7一角に(2)▲5五歩の新説を発表した。△4四歩は桂取りだが、角道を止めてしまい▲3三歩△2二玉に▲2六桂と攻められて後手は受け方が難しい。しかし、放置して▲5四歩と取り込まれるのも後手は嫌らしい。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>単に▲3八香でした。▲3三歩を先に入れなかったということは△6二角に▲3九飛を狙っているのでしょうか。以下、△2二金に▲3三歩△同金▲同桂成△同銀▲4五桂△1八飛成▲3四香△同銀直▲同飛△同銀▲3三金△4一玉で攻め切れるかどうか。 90 7一角(35) ( 0:00/00:00:00) *飛車角や香は遠くから利かすのが良いことが多い。しかし、桐山九段説の▲5五歩がある。「きつすぎるんじゃないですか、▲5五歩は。見た瞬間は薄いと思ったんですけど」と久保九段。歩が攻めに使える場所が増えると、その分だけ受けなければならない場所が増えることになる。受ける側の負担が増すのだ。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>△7一角は▲3三歩△2二玉▲1四飛△1三金▲3四飛△同銀▲同香△3一歩▲4一銀のときに▲5二銀成が角に当たらないということですね。△6二角よりいい手ですね。 *【先手有望】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-78ca.html 91 5五歩(56) ( 0:00/00:00:00) *21時16分ごろに羽生が▲5五歩と指したのと、桐山九段が控室に戻られたタイミングが同じだった。「▲5五歩をいま指されましたよ」の声に、「ははは、そうでしたか」と桐山九段。残り時間は▲羽生16分、△中村19分。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>▲5五歩ですか。関西の控え室の検討は優秀ですね(笑)。△4四歩には▲3三歩△2二玉▲2六桂が厳しいですね。 *※局後の感想※ *「▲3三歩△2二玉に▲1四飛のつもりだった」と羽生。以下(1)△4七角は▲3四香△3一歩▲3二歩成で先手の攻めが続く。(2)△1三金は▲3二歩成△同玉▲3四香△2二玉▲3三香成△同銀▲同桂成△同玉▲4五桂△2二玉▲3三銀△1二玉▲1五歩△2一香▲3二歩で、この変化も攻めが続く。「こうやって勝負しなければいけなかった」と羽生は振り返った。 92 1八歩打 ( 0:00/00:00:00) *▲同飛なら△1七歩で飛車筋が止まる。しかし、▲2九飛や▲3九飛と逃げられたときがどうか。 93 3九飛(19) ( 0:00/00:00:00) *当たりを打たせてかわす。羽生の名著『羽生善治の終盤術(1)』でも紹介されていたテクニックだ。90手目△7一角にすぐ▲3九飛よりも先手が得している。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>ここで△3三香という受けは▲3五歩△同歩▲5四歩の味がいいです。 94 1七角成(71) ( 0:00/00:00:00) *「▲3四香に△4一玉で耐えようということですか」と久保九段。中村は72手目に△1四歩と突いてから一貫して攻めを引っ張り込んでいる。 95 3四香(38) ( 0:00/00:00:00) 96 2二玉(32) ( 0:00/00:00:00) *「入玉にかけようということですね」と久保九段。「中段玉寄せにくし」や「玉は下段に落とせ」は終盤戦のセオリー。 *継ぎ盤に▲3三香成△1三玉▲4三成香が並ぶ。△同金も△同銀も飛車が成れる。 97 3三香成(34) ( 0:00/00:00:00) 98 1三玉(22) ( 0:00/00:00:00) 99 4三成香(33) ( 0:00/00:00:00) 100 同 銀(42) ( 0:00/00:00:00) *△3九馬▲5二成香の展開は銀取りと▲1五歩の狙いが厳しく先手良し。成香を外して応手をみるところだ。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>パタパタと手が進みます。▲3三飛成に△1四玉と逃げた形がどうか。▲1三歩△同金▲2二銀という手が見えます。 *※局後の感想※ *実は△4三同銀は危険で、先手にチャンスが訪れていた。ここでは△4三同金は有力だった。以下▲3二飛成△3一香▲4一竜△1四玉▲2九桂△2七馬▲5三桂成△1九歩成▲4三成桂△2九と▲4二成桂△2五玉▲3一成桂△2二金▲4二竜△1八飛成▲2二竜△2六玉▲1九歩△同竜▲2三竜△2五歩▲4八銀△3六歩▲4七銀打という進行が検討された。入玉できるかどうかの勝負だ。 101 3三飛成(39) ( 0:00/00:00:00) *※局後の感想※ *自然なようだが、▲1五歩と押さえるのが好手だった。△3九馬と飛車を取らせている間に▲3三桂成と包囲する。後手は▲1四銀の詰みが受けにくい。△1四香と埋めても▲2六桂があるし、△1四角は▲1六銀として振りほどくのが難しい。これは先手がよかった。なので、後手は直前の△4三同銀では、△同金と取るべきだった。 *控室では、△4三同銀に▲3三飛成△3二香▲1五歩△3三香▲同桂成△1四香が検討されていた。この順は馬が1七にいて後手玉の上部が厚い(上記の▲2六桂が打てない)。香得より、馬をソッポに行かせるのが巧妙な手順だった。▲1五歩を逃して先手大変になった。 102 1四玉(13) ( 0:00/00:00:00) *継ぎ盤では△3二香▲1五歩△3三香▲同桂成(詰めろ)△1四香(敵の打ちたいところへ打て)が検討されていた。その変化も容易に結論が出ない。 *中村が狙うは入玉一直線。羽生は険しい表情を浮かべて髪をかき上げた。 103 2九桂打 ( 0:00/00:00:00) *攻めの拠点を作った羽生は席を外す。時刻は21時30分になった。 *先手は後手に入玉を許しては穴熊の堅さが生きない。攻め切らねばならない。 *※局後の感想※ *▲1三歩は△同金▲2二銀△3二歩▲1三銀成△同飛▲2二竜△1一香と受けて、そこで▲2九桂は△3五馬▲3六歩△2五馬▲5四歩△同銀▲2六歩△同馬▲2七歩△同馬▲3二竜△4三金▲3三桂成が検討された。「▲3三桂成で分からない」と中村。「そうか、なんともいえない。常になんともいえないのか」と羽生。 *【入玉をめぐる戦い】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-26e3.html 104 2七馬(17) ( 0:00/00:00:00) *中村は右手を頭に当てた後、スッと馬を寄せた。羽生が席に戻る。 *控室で調べられている順は▲1三歩△同金▲2二銀に△1九歩成。飛車を犠牲に上部を厚くする。次いで▲1一銀不成△2九と▲2二銀不成と追いかけてどうか。難しいが、この変化は92手目△1八歩が生かしている。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>▲2九桂に△2七馬と逃げました。▲1三歩と打ちますかね。△同金とさせておけば、何かの△3二香に▲2二竜と逃げられます。 105 1三歩打 ( 0:00/00:00:00) *羽生は放り込むという感じで1三に歩を打った。 106 同 金(12) ( 0:00/00:00:00) 107 1七歩打 ( 0:00/00:00:00) *逃げ道封鎖や▲1六銀と打つ拠点作り。例えば、次に▲1六銀△2八馬▲4三竜△同金▲1五銀打となれば勝ち。後手は△3二歩▲2二竜△1二飛と催促してどうか。以下▲同竜△同金▲1六銀△2六馬▲5四歩と進む。2六の馬がいなければ▲1五飛の1手詰だが。先手は▲1六銀と打つタイミングも難しい。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>ほぉー! ▲1七歩ですか。これは思いつきません。とにかく1六に打ちたいと。しかし、△3二歩▲2二竜△1二飛▲同竜△同金の形は寄せ切る自信がありませんよ。後手チャンスではないでしょうか。激戦ですね。△3二歩、△3一香、その他の手があるかどうか。しかし△3一香に▲2二竜△1二金▲1一竜△同金▲1六銀△2六馬▲5四歩で、その形は後手も嫌か。1六銀を取り切れないですからね。 *【チャンス到来か】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-28a4.html 108 1九歩成(18) ( 0:00/00:00:00) *強く成った。やってこいやってこいと催促する中村。攻めっ気の強さが際立つ棋風だが、本局は受けも強気だ。絶対王者に物おじしない若者。盤に近づいて考えている姿と相まって、隅にと金を作っただけなのに迫力を感じる。 *残り時間は▲羽生10分、△中村5分。△1九歩成は8分で指された。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>△1九歩成はこの手もすごい。度胸がありますね。▲5四歩に△3二香ということですか。 109 1六銀打 ( 0:00/00:00:00) *後手玉の上部を押さえる。ただ、△2六馬から△1五歩で催促されてしまうので忙しい。 110 2六馬(27) ( 0:00/00:00:00) 111 2四歩(25) ( 0:00/00:00:00) *控室の面々が予想していない手が出てきた。「うー」とうなる声が上がる羽生の次の狙いは何か。中村は考慮中に残り3分を告げられた。時刻は21時50分を過ぎた。 *控室では△2九とに▲2三歩成△同金▲2七歩が調べられている。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>△1九歩成に▲2四歩かと思いましたが、ここで▲2四歩ですか。狙いは歩を切らせてからの▲2七歩です。 *※局後の感想※ *▲5四歩を示されると、「えっ、ここで取り込むの?」と羽生が驚く。あまり考えていなかったようだ。▲5四歩以下(1)△3二歩▲2二竜△1二飛▲同竜△同金▲5三歩成△1五歩▲4三と△1六歩▲3七銀△同馬▲同桂△1七歩成▲5二と△1五玉▲5三角△2七飛▲2四歩△同歩▲3八金が検討された。▲5四歩に(2)すぐ△1五歩は▲5三歩成△1六歩▲4三と△2九と▲3七銀で上部を押さえて先手がやれる。 112 1五歩打 ( 0:00/00:00:00) *攻めを催促し続ける中村。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>△2九とは▲2三歩成△同金▲2七歩△6二馬に▲1五銀〜▲2三竜があるので△1五歩でした。 *【最終盤】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-654a.html 113 2三歩成(24) ( 0:00/00:00:00) 114 同 金(13) ( 0:00/00:00:00) 115 2七歩打 ( 0:00/00:00:00) 116 3三金(23) ( 0:00/00:00:00) *控室では先手が攻め切れているのか、後手がしのいでいるのか結論は出ていない。 *羽生は▲2六歩と▲3三同桂成のどちらを選ぶのか。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>▲2六歩に△3四金と逃げる手が利けば後手がいいですね。▲2五銀△同金▲同歩△同玉▲2六歩△同玉▲3七金△3五玉▲3三桂成の局面は普通は攻めが切れてる気がします。 117 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *馬の方を取った。△2四金と逃げたときに攻めをどう続けていくか。 *※局後の感想※ *「▲3三同桂成はダメですよね」と羽生。 118 2四金(33) ( 0:00/00:00:00) *「後手が逃げ切れるかもしれません」と久保九段。▲2五銀は△同金▲同歩△同玉。羽生の考慮中に22時となった。残り時間は▲羽生7分、△中村2分。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>△2四金でした。▲3三角が見えますが△2一飛▲2四角成△同玉▲2五銀△3五玉の局面は攻めが切れています。 *【熱戦続く】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-3be8.html 119 3三角打 ( 0:00/00:00:00) *中村は考慮中に1分将棋に入った。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>▲3三角と打ちましたか。何か見落としがあったかな。この局面で1分将棋になりました。大変ですね。もちろん△1六歩▲1一角成もありますよ。 *※局後の感想※ *▲4七角は△2三玉▲2五銀が予想される。「分からなかったが、先手の攻めは切れそうと思った」と中村。 *「ここはちょっと……」と羽生。 120 3一飛(11) ( 0:00/00:00:00) *△2一飛▲2四角成△同玉▲2五金△2三玉▲1五銀が調べられていた。しかし、中村は△3一飛。羽生は残り5分。 121 5四歩(55) ( 0:00/00:00:00) *ジッと歩。△3一飛と▲5四歩の応酬に「ひえー」と桐山九段、谷川九段、久保九段の3人も驚きを隠せない。ニコニコ生放送で佐藤康九段も驚いていた。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>ひえぇ。じっと▲5四歩ですか。これは△1六歩ととりますよ。 122 1六歩(15) ( 0:00/00:00:00) 123 5三歩成(54) ( 0:00/00:00:00) *「△3三飛▲同桂成△1七歩成でしのぎ切ったのでは」と久保九段。 124 3三飛(31) ( 0:00/00:00:00) 125 同 桂成(45) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>△1五玉か△1七歩成ですね。△1五玉に▲5二と△2九との局面は後手寄らないですね。 126 1七歩成(16) ( 0:00/00:00:00) *検討通りの指し手が続く。谷川九段は120手目△3一飛にも▲2四角成から上部を押さえるしかなかったかと話す。 *※局後の感想※ *普通に見えたが、△1五玉がより良かった。以下▲1六歩△2六玉▲2八歩なら△2七歩▲4三と△2九とと根本を取って入玉確実だ。 *【入玉濃厚】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-ea3b.html 127 1一飛打 ( 0:00/00:00:00) 128 1三歩打 ( 0:00/00:00:00) 129 4三と(53) ( 0:00/00:00:00) 130 2九と(19) ( 0:00/00:00:00) *後手の入玉を阻止する駒がなくなった。 131 5二と(43) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>△1五玉には▲1三飛成のとき金以外の合駒しかないんですよね。銀合が利くかどうか。 132 1五玉(14) ( 0:00/00:00:00) *入玉を目指す。ただ、これには▲1三竜がある。以下△1四飛と打てば入玉は確実だが、飛車を取られる。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>ここで△1四飛は▲2二竜として1四に打った飛車を全力で取りにいきますよ。そうなったら相入玉の戦いも見えてきますね。 133 1三飛成(11) ( 0:00/00:00:00) 134 1四銀打 ( 0:00/00:00:00) *強気を通す。谷川九段と久保九段が△1四銀を見て驚く。先手を取る受けではないのでこの瞬間は後手も怖いからだ。「むちゃくちゃ怖いんですけど」と久保九段。 *△1四飛なら手番を握れるが、飛車を渡すので持将棋の可能性がある。△1四銀から大駒3枚を持ったまま入玉できれば、相入玉は後手勝ちの可能性が高い。中村は勝負勝負と指し進めている。 *※局後の感想※ *△1四飛を指摘された中村は「どこで見切るのか分からなかった」と振り返った。 135 3六銀打 ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>これは正しい手を指さないと負けますよ。△2三歩は▲同成桂があります。△2一香が第一感です。 *※局後の感想※ *▲1八歩も考えられた。以下△1九飛▲1七歩△同飛成▲3六銀△1八角▲2四竜△同玉▲1六歩△同竜▲2五金△同銀▲同銀△1五玉▲1九歩が検討された。▲1八歩から△1七同飛成までの手順で先手は1七の駒をと金から竜に変換でき、攻めの目標にできる。先手としては有力な変化だった。「そうでしたよね、当然先に(歩を)打たないといけなかった。どうかは分からないけど、本譜よりはきっとよかった」と羽生。 136 2一香打 ( 0:00/00:00:00) *2三から2五に利かしている。▲1八歩や▲2五金などの攻めに備えている。 *ずっと観戦されていた貴志さんが控室に戻ってきた。コップに冷水をついで飲む。熱戦を観戦し続けて、顔が上気している。ひと息ついて検討の様子を取材する。 137 1八歩打 ( 0:00/00:00:00) *羽生は時間を使って▲1八歩と打った。羽生の残り時間は2分。(1)△同となら▲1六歩△同玉▲2四竜△同香▲2七金△1五玉▲1六金打の詰みを狙っている。(2)△2六玉には▲2二歩が予想されている。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>▲1八歩は△2六玉と歩をとったときに▲2二歩でひと勝負しようという狙いだと思います。 138 2六玉(15) ( 0:00/00:00:00) *※局後の感想※ *△3七飛は▲3四成桂△同金▲1七歩が好手順で後手まずい。 139 4八銀(57) ( 0:00/00:00:00) *ずっと活用したかった銀。ここで登場。 140 3七歩打 ( 0:00/00:00:00) *マス目を埋める。▲3七金は打たせない。△3六玉だと▲3七金と押さえられて入玉は難しい。 141 2二歩打 ( 0:00/00:00:00) *△2三歩は▲1四竜△同金▲3五銀打で頓死する。では、2四金をどう受けるのだろう。 *※局後の感想※ *▲4七銀上が有力だったようだ。以下△4四桂なら▲2七歩△同と▲2二歩△3六桂▲2四竜△2五銀打▲3五金で寄り筋。 *【再逆転か】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-f1ac.html 142 2三香打 ( 0:00/00:00:00) *▲1四竜△同金▲3五銀打△3六玉▲2六金の攻めを△同香と取れるように受けた。しかし、これには▲2三同成桂があるのではといわれている。(1)△同金なら▲1四竜△同金▲3五銀打△3六玉▲2六金と先手の狙いが実現してしまうし、(2)△同銀も▲同竜△同金▲3五銀打からやはり後手玉が詰まされてしまう。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>そうかぁ。これは受けになっていないですね。▲2三成桂△同金▲1四竜で。△同金は▲3五銀△3六玉▲2六金で詰みです。 *※局後の感想※ *「すぐ△3六玉ならダメでした」と羽生。以下▲2四竜に△2五銀打と受ければ本譜よりも明らかに得。「そうか、△2三香はひどかった」と中村。 *△3六玉で悪いならば、先手は▲2二歩で▲4七銀上とするべきだった。 143 同 成桂(33) ( 0:00/00:00:00) *△同金に▲1四竜で必至級といわれている。 144 3六玉(26) ( 0:00/00:00:00) *そこで△3六玉。▲2四竜と追撃されたときに△2五銀打と抵抗するつもりだ。 *後手が入玉できそうな雰囲気だったが、簡単ではなくなってきたか。羽生は考慮中に1分将棋に入った。 *※局後の感想※ *142手目ですぐ△3六玉とするより香1枚後手は損している。 145 2四龍(13) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>△2五銀打で羽生王座の次の一手も悩ましいです。勝ちに行くなら▲3五竜△同玉▲3七銀がありますが△2七玉▲3七竜△1八玉と逃げられて難しいです。 146 2五銀打 ( 0:00/00:00:00) *△2七玉から△1八玉を見る。「寄る気がしない」と谷川九段。 147 1七歩(18) ( 0:00/00:00:00) *▲3五竜の鬼手も考えられた。△同玉なら▲3七銀で押し返せそう。しかし、竜に目もくれず△2七玉から△1八玉と入られて先手がまずいようだ。 *そこでと金を払う。 148 2七玉(36) ( 0:00/00:00:00) *ついに入玉に成功。このまま空中庭園を築き上げれば不敗の態勢だ。 149 1三成桂(23) ( 0:00/00:00:00) *後手の持ち駒は受けに適していないものばかりなのでまだ簡単ではない。 150 2三歩打 ( 0:00/00:00:00) *「▲3五竜が怖いですが」と久保九段。「▲3五竜に△2六角ですか。しかし、これはやりにくいですか」と谷川九段。 *自陣に歩を打ってしまったため、中村はと金を作るのが難しくなった。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>△3八歩成が見えますが、▲1四成桂△1八玉▲2五竜△2七歩に▲同竜△同玉▲1六銀△2八玉▲1八金△同玉▲2七銀で頓死します。この筋があるので△3八歩成とは成れませんでした。 151 3五龍(24) ( 0:00/00:00:00) *時刻は22時30分を過ぎている。第1局の終局時刻はもう過ぎた。 152 2六角打 ( 0:00/00:00:00) *谷川九段指摘の一手。しかし、▲同竜△同銀に▲6三角と背中を狙う攻めにどう受けるのか。 153 同 龍(35) ( 0:00/00:00:00) 154 同 銀(25) ( 0:00/00:00:00) *▲6三角△3六桂▲1四成桂△3八歩成が調べられている。 155 6三角打 ( 0:00/00:00:00) 156 3八玉(27) ( 0:00/00:00:00) *△3六桂は後で取られてしまいそうだ。銀取りにアタックした。 157 1八角成(63) ( 0:00/00:00:00) *これは左右挟撃を狙うために▲6八銀や▲6八金などと穴熊を崩して攻め駒を調達する手が出てくるかもしれない。 158 4八玉(38) ( 0:00/00:00:00) *玉の一人旅。どこまで行くのだろう。 *▲2九馬に後手はどう手を入れるのか。 159 2九馬(18) ( 0:00/00:00:00) *「これは捕まったようです」と久保九段。 160 3八銀打 ( 0:00/00:00:00) *時間に追われて銀を打った。 *しかし、この手も▲3九金△同銀成▲5九金の攻めがある。 161 5九金打 ( 0:00/00:00:00) *先に5九。羽生は控室の検討とは違う順を読んでいるのだろう。 *※局後の感想※ *▲3九金の方が分かりやすかった。以下△同銀成▲5九金△同玉▲3九馬△4八金なら▲6八銀△5八玉▲4九銀(△同金は▲5七馬で詰み)で攻めが続く。 162 同 玉(48) ( 0:00/00:00:00) *▲6八銀△5八玉に▲4九香を谷川九段が示す。さらに△4八歩▲5九金△4七玉▲4八金と検討は続く。 *【総力戦】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-a964.html 163 6八銀(77) ( 0:00/00:00:00) *羽生が頭を抱えた。 164 5八玉(59) ( 0:00/00:00:00) 165 4九香打 ( 0:00/00:00:00) *羽生の手がぶるぶると震えていた。控室でも示されていたが、左右からの挟み撃ちで受けにくい。 *△4八歩に▲5九金△4七玉▲4八金△3六玉▲3八金△同歩成▲4七銀と進めば、入玉した玉を押し返すことができそうだ。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>ここは△4八歩と打ってしのぐしかありません。△同銀成は▲6七銀があります。 166 4八歩打 ( 0:00/00:00:00) 167 5九金打 ( 0:00/00:00:00) 168 4七玉(58) ( 0:00/00:00:00) *この将棋、中村が攻めた局面がない。責めた局面はあったが。受けて受けて受け続けている。 169 4八金(59) ( 0:00/00:00:00) *入玉を押し返した羽生。 170 3六玉(47) ( 0:00/00:00:00) 171 3八金(48) ( 0:00/00:00:00) *22時50分、手数は170手を超えた。それだけ指したにもかかわらず、この将棋の果ては見えない。 172 同 歩成(37) ( 0:00/00:00:00) *入玉を押し返してみると、羽生は1四銀や2一香の質駒が心強い。これらを取って攻めれば、攻めが途切れる可能性は低い。 173 4七銀打 ( 0:00/00:00:00) *局面は再び羽生良しになったようだ。 *飛車損でも攻めが途切れないし、やはり穴熊が堅い。 174 2五玉(36) ( 0:00/00:00:00) *5九までいた玉がここまで押し戻された。珍しい玉の動きだ。 175 3八馬(29) ( 0:00/00:00:00) *消耗戦の序盤からこのような展開になるとは誰が想像したか。予想できないシナリオこそ将棋の醍醐味なのだろう。 176 1五銀(14) ( 0:00/00:00:00) 177 2一歩成(22) ( 0:00/00:00:00) *中村、袖をまくる。 *控室で「△3七金はどうですか」と谷川九段。しかし、▲2九香が厳しいか。 178 3七金打 ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>あぁ、なるほど。▲2七歩打ってから▲2九香ですか。これは痛いですね。 179 2九香打 ( 0:00/00:00:00) *力を込めていた。 *※局後の感想※ *▲2七歩を指摘されると、羽生は「はぁー、歩を打っちゃうんですか」、中村も「歩を打って香ですか。へぇ」と、ともに驚いていた。 *以下△2七同金▲2九香△3八金▲同銀が並べられ「そうか、▲2七歩かぁ。あー、なるほどですね。いい手ですね。ちょっと気が付かなかったですね」と羽生は感心していた。▲2七歩は後手の駒を2七に呼ぶことで、▲2九香に△2七桂と受けられないようにしている。 180 2七桂打 ( 0:00/00:00:00) *時刻は23時になろうとしている。タイトル戦の記録係は初めてという古森初段。実に貴重な経験と言えるだろう。これだけの激戦はそうはない。 181 3七馬(38) ( 0:00/00:00:00) *切った。△同銀成▲2七香△同成銀▲3六金か。しかし、△2四玉と催促されたときにどうするのか。 182 同 銀成(26) ( 0:00/00:00:00) *次に△2六玉から△1七玉の筋があるので先手は攻め続けるしかない。しかし、小駒だけでは攻めが途切れてしまう不安も。慎重に指す必要がある。 183 3八歩打 ( 0:00/00:00:00) 184 4七成銀(37) ( 0:00/00:00:00) *「これ全部、貴志さんに解説していたら大変だね」の声。この一局を初手からものすごく詳細に解説していたら、1冊の本が出来上がってしまうことだろう。 185 同 香(49) ( 0:00/00:00:00) 186 3六銀打 ( 0:00/00:00:00) *入玉に再挑戦したい中村。上部を厚くしていく。 *※局後の感想※ *外から△1八銀は▲3七金と打たれる。以下△2九銀成▲2六歩△3四玉▲5三成桂△4四玉▲5四歩△5五玉▲4五歩△6五歩▲4六金△6四玉▲6五歩△7三玉▲5五金と後手玉の大脱走と大捕り物が演じられた。この変化は「こちらがちょっと……」と中村。しのぎ切るのは大変なようだ。 187 3七銀打 ( 0:00/00:00:00) *「優劣不明です」と久保九段。あまりの大熱戦に控室も冷静ではない。 188 同 銀成(36) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>この見切りは受かっていたらすごいです。大丈夫でしょうか。 *※局後の感想※ *△2六金と受けても▲2八金と駒を足せば、先手の攻めはなかなか途切れないようだ。 189 同 歩(38) ( 0:00/00:00:00) 190 3六銀打 ( 0:00/00:00:00) *「うわぁ」。控室に悲鳴が上がった。ギョッとする歩頭の銀。1分将棋でよくこのような手が思い浮かぶものだ。▲同歩なら△3七金。歩頭の銀といえば、昨年の五番勝負第4局で羽生が指した△6六銀は大きな話題になった。 *【歩頭銀】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-e814.html 191 同 歩(37) ( 0:00/00:00:00) *23時8分、ニコニコ生放送では終局時刻予想のアンケートが取られた。 *「日付が変わるまで」や「1時」を予想する人が多かった。 192 3七金打 ( 0:00/00:00:00) *王座戦五番勝負史上最長手数局は第32期第4局の▲森安秀光八段−△中原誠王座戦の172手。記録を大幅に更新中。 *▲4八銀(取れば▲3七銀)が予想されている。 193 1八銀打 ( 0:00/00:00:00) *後手の持ち駒は飛車と角だけ。こんなことがあるのか。しかし、これが現実だ。すごい将棋になった。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>△3六玉には▲3八歩がいかにもピッタリ。 194 4九角打 ( 0:00/00:00:00) 195 2八銀打 ( 0:00/00:00:00) *金をけずり取ればだいぶ攻めやすくなる。寄せの基本は金を攻めるところから。 196 同 金(37) ( 0:00/00:00:00) 197 同 香(29) ( 0:00/00:00:00) *後手は金がなく受けにくい。「金なし将棋に受け手なし」といわれる。中村はどうする。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>次に▲4八金もあり、しのぐのは至難の業です。角を渡すと▲1四角があります。 198 2六銀打 ( 0:00/00:00:00) *▲4八金が痛打。これは後手玉が寄り筋に入ったようだ。 199 4八金打 ( 0:00/00:00:00) *△7六角成は▲2七香で寄り筋。 200 3六玉(25) ( 0:00/00:00:00) *角を見捨てるが、執念の頑張り。手数はついに200手。 *【後手玉の軌跡】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-0c4a.html 201 4九金(48) ( 0:00/00:00:00) *震え気味の手つきだった。 202 1九桂成(27) ( 0:00/00:00:00) 203 2七銀(18) ( 0:00/00:00:00) *△同銀成は▲6三角が厳しい。これまで前傾姿勢だった中村は背筋を伸ばして目を閉じる。しばらくして頭を下げて投了の意志を示した。羽生は一礼してコップの水を飲んだ。羽生の右手の甲と中村の左手の甲は赤くなっていた。 *終局時刻は23時21分。消費時間はともに4時間59分。五番勝負は1勝1敗のタイに。第3局は10月2日(水)横浜市「横浜ロイヤルパークホテル」で行われる。 *※局後の感想※ *感想戦は中盤以降を中心に0時50分過ぎまで行われた。先手の模様はよかったが、具体的によくしていくのはなかなか難しかった。終盤は双方にチャンスがあった。しかし、142手目△2三香で香1枚損したのが中村にとって痛かった。 *■ニコニコ生放送■ *佐藤康光九段>▲2七銀の局面で中村六段が投了しました。△2七同銀成は▲6三角が厳しく、以下(1)△4七玉▲5七金△3七玉▲2七角成で詰みます。また▲6三角に(2)△2五玉は入玉ができないので投了やむなしです。本日はニコニコ生放送をご視聴頂きありがとうございました。これにて失礼いたします。 *【終局直後】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-bb10-1.html *【感想戦(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-10da-1.html *【感想戦(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-6398.html *【感想戦(3)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-13ec.html *【惜福】 *http://kifulog.shogi.or.jp/ouza/2013/09/post-658f.html 204 投了 ( 0:00/00:00:00) まで203手で先手の勝ち