# --- Kifu for Windows (Pro) V6.60.8 棋譜ファイル --- 対局ID:3165 記録ID: 開始日時:2014/09/24 09:00 終了日時:2014/09/25 16:31 表題:王位戦 棋戦:第55期王位戦七番勝負 第7局 持ち時間:各8時間 消費時間:119▲368△463 場所:神奈川・陣屋 図:投了 手合割:平手   先手:羽生善治 後手:木村一基 手数----指手---------消費時間-- *羽生善治王位に木村一基八段が挑む第55期王位戦七番勝負。第7局は9月24・25日(水・木)に神奈川県秦野市「元湯 陣屋」で行われる。第7局の主催は西日本新聞社。ここまでの成績は羽生の3勝2敗1分。羽生が勝てば防衛決定、木村は勝てば第8局が行われる。 *本局の先手は羽生。対局開始は両日とも9時。持ち時間は各8時間。封じ手時刻は24日の18時以降。立会人は石田和雄九段、副立会人は飯島栄治七段、記録係は川崎直人三段(23歳、勝浦修九段門下)。Twitter解説1日目は神谷広志八段、2日目は佐々木慎六段。 * *【西日本新聞】 *http://www.nishinippon.co.jp/ *【西日本新聞 特集サイト】 *http://www.nishinippon.co.jp/nlp/shogi/titlesen/ *【Twitter解説 日本将棋連盟モバイル】 *https://twitter.com/shogi_mobile * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>おはようございます。1日目解説担当の神谷です。口から出まかせ嘘八百の解説ですが今日一日お付き合いをよろしくお願いします。戦型予想は矢倉の一点でいきたいです。外れても謝罪はしませんが、もし当たったら大威張りします。 * *(棋譜・コメント入力=牛蒡) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手] 1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *神奈川県秦野市は日差しの暖かい朝を迎えた。ただ、台風16号が日本に接近しており、午後から雨の予報が出ている。8時47分、木村が入室。席に着くと腕を組み、気持ちを高めていた。8時53分、羽生が入室。上座につくと目を閉じ、十数秒後に駒箱を開けた。定刻の9時に石田和九段が対局開始を告げる。羽生の初手は▲7六歩。 *第1局から第6局までの戦型は矢倉と角換わりが3局ずつ。本局は石田和九段が相掛かり、飯島七段が角換わり、川崎三段が矢倉を予想している。神谷八段は矢倉の一点予想。初手▲7六歩で相掛かりの可能性は低くなった。 2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *9時3分、木村の2手目は△8四歩。矢倉と角換わりを受けてたった。3手目が▲6八銀なら矢倉、▲2六歩なら角換わりになりやすい。羽生は時間を使っている。王位戦七番勝負は連続静止画中継があり、対局者の考える様子を見ることができる。 * *【対局カメラ 連続静止画】 *http://live.shogi.or.jp/oui/camera/ * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>▲7六歩△8四歩でここが分岐点。▲6八銀なら当たりです。 3 6八銀(79) ( 0:00/00:00:00) *9時10分、▲6八銀が着手された。矢倉志向の一手。神谷八段と川崎三段の予想が当たりそうだ。今期七番勝負は第1局、第2局、第4局が矢倉で羽生2勝、木村1勝。3局とも後手が勝っている。 *飯島七段は「あたらめて予習します」といって継ぎ盤の前に座った。第6局までの棋譜を並べるとのこと。しばらくして石田和九段も加わった。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>まだ確定はしていませんがどうやら矢倉のようです。ここからしばらくは淡々とした駒組みが続くはずです。 4 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) *【1日目 対局開始1】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-3f29.html *【1日目 対局開始2】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-a150.html 5 6六歩(67) ( 0:00/00:00:00) *◆羽生 善治(はぶ よしはる)王位(名人・王座・棋聖)◆ *1970年9月27日生まれ、埼玉県所沢市出身。二上達也九段門下。1985年、四段。1994年、九段。棋士番号は175。 *タイトル戦登場は119回。獲得は王位15期(永世王位)、竜王6期、名人8期(十九世名人)、王座21期(名誉王座)、棋王13期(永世棋王)、王将12期(永世王将)、棋聖13期(永世棋聖)の計88期。棋戦優勝は42回。 6 6二銀(71) ( 0:00/00:00:00) *◆木村 一基(きむら かずき)八段◆ *1973年6月23日生まれ、千葉県四街道市出身。(故)佐瀬勇次名誉九段門下。1997年、四段。2007年、八段。棋士番号は222。 *タイトル戦登場は5回。棋戦優勝は2回。 7 5六歩(57) ( 0:00/00:00:00) *【羽生の公式戦成績】 *通算成績は1292勝494敗(0.723) *昨年度成績は42勝20敗(0.677) *本年度成績は22勝5敗(0.815) 8 5四歩(53) ( 0:00/00:00:00) *【木村の公式戦成績】 *通算成績は531勝284敗(0.652) *昨年度成績は22勝18敗(0.550) *本年度成績は16勝10敗(0.615) 9 4八銀(39) ( 0:00/00:00:00) *羽生の直近10局は8勝2敗。古い対局から順に○○○○○●●○○○。現在進行中の第62期王座戦五番勝負は豊島将之七段を相手に開幕2連勝。第3局は1週間後の30日(火)に宮城県仙台市「茶寮宗園」で行われる。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>△5四歩に▲5八飛なら中飛車だったのですがこれで矢倉に決まりました。「先手矢倉で勝たないで七番勝負を終えるわけにはいかん」てなところでしょうか。 10 4二銀(31) ( 0:00/00:00:00) *木村の直近10局は4勝6敗。古い対局から順に●○●●●○●●○○。最近は入玉模様が多く、必然的に長手数の将棋が増えている。10局の平均手数は147手。9月1日の豊島七段戦(順位戦B級1組)は238手で勝った。 * *【9時30分過ぎの控室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/30-6eef.html 11 5八金(49) ( 0:00/00:00:00) *羽生の王位戦成績は118勝55敗(0.682)。初参加は第28期。第34期七番勝負に登場して初の王位獲得。以降も連覇を続けて永世王位の資格を得た。七番勝負登場は今期で20回目。王位獲得は連続3期、通算15期。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>先手がなかなか▲2六歩を突かないのが現代矢倉の特徴。飛先不突(つかずと読みます)矢倉です。 12 3二金(41) ( 0:00/00:00:00) *木村の王位戦成績は57勝29敗(0.663)。初参加は第39期。第50期七番勝負で深浦康市王位(当時)に3連勝4連敗で敗れた。今期は予選から参加して第50期以来の挑戦権を獲得。自身初のタイトル獲得を目指す。 * *【1日目twitter解説】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/twitter-e19f.html * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>中継ブログに指名手配みたいな写真がありましたね。総会の時に撮った写真だと思いますがネクタイの一本も締めていけば・・と反省しました。まあ二本締める人はいませんが・・。 13 7八金(69) ( 0:00/00:00:00) *対戦成績は羽生27勝、木村11勝。2012年から13年にかけて羽生が4連勝。今年7月に開幕した七番勝負は、羽生から見て●○持○○●で3勝2敗1分。第3局の持将棋はタイトル戦では22年ぶり、王位戦七番勝負では初めてのことだった。ちなみに22年前の持将棋は第61期棋聖戦第2局の▲郷田真隆王位−△谷川浩司棋聖戦(肩書きは当時)。 *木村の考慮中に10時になった。1日目午前のおやつは羽生がホットコーヒー、木村が和菓子とホットコーヒー(ブラック)。▲7八金までの消費時間は▲羽生29分、△木村22分。 * *【1日目午前のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-62f1-1.html * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>何百回も通ったであろう局面でもお互い時間を使ってじっくりと指していますね。奨励会のころ記録をしていて「なんでこんなところで考えるのだろう」と思っていましたが棋士になってみると自分も同じでした。 14 5二金(61) ( 0:00/00:00:00) *控室には東京新聞の朝刊が置かれている。東京新聞社は第8局を主催する予定だ。本日の一面はアメリカによるシリア空爆開始の記事。「なんで世界は争いが絶えないのかねえ。戦いは将棋くらいにしてほしいよ」と石田和九段が嘆く。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>△5二金は比較的珍しい手です。こう指したことで△4一玉〜△7四歩〜△5三銀から△5五歩を目指す急戦の可能性が消えました。 15 7七銀(68) ( 0:00/00:00:00) *両者とも居玉で駒組みを続けている。現局面の公式戦の前例は5局しかない。ただし、ここから△4一玉と▲6九玉の2手が入ると2000局以上に跳ね上がる。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>▲7七銀もあまり見ない手です。普通は▲6七金右か▲6九玉です。△5二金に対応したのでしょう。右玉警戒かな? 16 3三銀(42) ( 0:00/00:00:00) *本局は振り駒は行われず、第6局で後手だった羽生が先手。第7局が木村勝ちの場合は3勝3敗1分となり、10月10・11日(金・土)に東京・将棋会館で第8局が行われる。第8局の先後は振り駒で決定する。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>6九と4一という、とりあえずの定位置にお互いなかなか玉を移動しません。意味はあるのでしょうが私にはわかりません。 17 7九角(88) ( 0:00/00:00:00) *平成以降の番勝負で第8局が行われたのは、平成元年(1989年)の第2期竜王戦のみ。羽生六段が島朗竜王を破り、初めてタイトルを獲得したシリーズで、星取りは●持●○○○●○だった。それ以前では昭和57年(1982年)の第40期名人戦第8局も有名。加藤一二三十段が千日手指し直しの末に中原誠名人を破り、宿願ともいえる名人獲得を果たした。星取りは持●○●○千○●千○。千日手局は1局としてカウントしないため、公式には第8局で閉幕したのだが、ファンの間では千日手局を含めて「中原加藤の十番勝負」と呼ばれる。 *(文中の段位と肩書きは当時。「十段」も当時のタイトル) 18 3一角(22) ( 0:00/00:00:00) *陣屋では25日(木)の14時から終局まで大盤解説会が行われる。解説は飯島栄治七段。終局後には対局者も登場予定。料金はコーヒー付きで2000円。また、25日は東京・将棋会館と関西将棋会館でも解説会が行われる。詳しくは下記リンク先を参照。 * *【大盤解説会情報】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-50f8.html 19 3六歩(37) ( 0:00/00:00:00) *飯島七段は七番勝負開幕前の特集記事に登場している。木村については「何回くじけても目をそらさず、同じ土俵でくつがえそうという気迫を感じます」と語っていた。木村と飯島七段は東京都江東区在住で研究会仲間でもある。ちなみに木村は羽生とも研究会仲間だが、こちらは挑戦を決めた前後から一時休止にしたり、木村が気をつかって研究会の代打を他の棋士に頼んだりしているそうだ。 * *【第55期王位戦七番勝負 開幕事前特集】 *http://live.shogi.or.jp/oui/feature.html 20 4四歩(43) ( 0:00/00:00:00) *「本譜の相居玉は先手が誘導しています(通常は先手が先に▲6九玉を指す)。▲3五歩△同歩▲同角から▲6八玉と上がり、その形で急戦を仕掛けるのかもしれません。▲6九玉から▲7九玉は飛車の王手が残りますが、6八玉型ならそれがない。とはいえ6八玉型では薄すぎるので、通常形に戻すと思いますが」(飯島七段) 21 3七銀(48) ( 0:00/00:00:00) *▲3五歩も▲6九玉も指さず、態度保留といったところか。「先手は△6四角▲4六角を想定しているのかもしれません」と飯島七段。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>▲3七銀と出ました。△4一玉なら居玉のまま▲3五歩もあるよという手ですね。ここで△6四角なら穏やかです。 22 6四角(31) ( 0:00/00:00:00) *間接的に2八飛をにらみ、先手の3筋攻めを牽制した。ここから▲6九玉△4一玉と進めば、第1局、第2局、第4局と同じ局面になる。第1局は先手の羽生が1筋に戦力を集める作戦を採用した。 * *【第55期王位戦七番勝負 第1局 ▲羽生−△木村】 *http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/55/oui201407080101.html?te=24 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>△6四角としましたが、もしかしてそれでも▲3五歩があるのでしょうか? △同歩▲同角△3六歩▲4六銀△4五歩には▲6五歩で大丈夫。また△3六歩で△3七角成▲同桂△3六歩には▲3八飛。これは居玉が生きそう(△4九銀がない)です。 23 6九玉(59) ( 0:00/00:00:00) *飯島七段の予想どおり、玉を寄って通常形に戻した。石田和九段も「まあ寄るでしょう」と話していた。時刻は11時を過ぎた。昼食休憩は12時30分から13時30分まで。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>▲6九玉。結局妄想でした、ちぇっ。二人で思わせぶりなことしていましたが結局通常形に戻りそうです。 * 24 4一玉(51) ( 0:00/00:00:00) *通常形に戻った。両者は今期第4局以降も公式戦でこの形を指している。羽生は9月4日の王座戦第1局、木村は9月1日の順位戦B級1組。対戦相手はいずれも豊島将之七段だった。当時の羽生は▲6七金右△4三金右▲6八角と駒組みを続けている。 25 6七金(58) ( 0:00/00:00:00) *前日の検分では2種類の駒が用意された。ひとつは2週間前の第6局で使用された影水作の錦旗書の駒、もうひとつは静山作の菱湖書の駒。両対局者は「どちらでもよい」と答えたので、立会人の石田九段が後者の駒を選択した。 * *【検分】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-42ac-1.html 26 4三金(52) ( 0:00/00:00:00) *先手はまだ矢倉に入城できない。▲6八角や▲4六角で7九の地点を開ける必要がある。どちらもある手だが、羽生は▲6八角を採用することが多い。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>最近のタイトル戦は1日目の午前中から戦いが始まるようなこと(定跡形を猛烈な速さで踏襲)も珍しくありませんが、本局はゆったりと時間が流れていますね。 27 6八角(79) ( 0:00/00:00:00) *棋譜並べをしていた飯島七段の話の続き。今期は見慣れない桂の手筋が多かったという。第2局の86手目△6一桂では△8一桂がまさったが、通常は盤中央に近い6一に打つのが自然な感覚である。第6局の94手目△2一桂では△4一桂で後手勝ちとされたが、この場合は玉側の桂なので1筋にも利く△2一桂が当然に思える。本局も桂が勝負の鍵を握ることになるだろうか。 * *【第55期王位戦七番勝負 第2局 ▲木村−△羽生】 *http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/55/oui201407230101.html?te=86 *【第55期王位戦七番勝負 第6局 ▲木村−△羽生】 *http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/55/oui201409100101.html?te=94 28 3一玉(41) ( 0:00/00:00:00) *陣屋は大正7年(1918年)に三井財閥の御寮(別荘)「平塚園」として始まり、昭和に入ってから旅館になった。秦野市では唯一の政府登録旅館。庭園の広さは1万坪を超える。地元の山菜をはじめとした四季折々の料理や、鶴巻温泉の湯が楽しめる。 *将棋や囲碁のタイトル戦の開催数も多く、将棋の七大タイトル戦はすべて開催経験あり。第1期王将戦第6局の「陣屋事件」は特に有名だ。今年は本局、第6局、第63期王将戦第5局、第7期マイナビ女子オープン第2局の計4局が行われている。 * *【元湯 陣屋】 *http://www.jinya-inn.com/ *【陣屋事件】 *http://www.jinya-inn.com/information/taikyoku.html 29 7九玉(69) ( 0:00/00:00:00) *11時30分ごろの局面。▲7九玉までの消費時間は▲羽生1時間3分、△木村1時間11分。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>小学生でまったく玉を囲わずに攻めてくる子がよくいます。終わった後に「攻める手というのは君たちにとって勉強や運動。もちろんそれは大事なんだけど、玉を囲うというのは睡眠をとるとか食事で栄養を採るのといった、自分を健康にする手でこれも同じくらい大事」と教えます。 30 7四歩(73) ( 0:00/00:00:00) *対局場は「松風の間」と呼ばれる和室。明治天皇が宿泊をするために黒田藩が大磯に建てたものを三井家が現在の場所に移築した。100年以上たった今でも威風堂々とした雰囲気があり、床板、柱、窓ガラスなどは明治時代のものが今でも使用されている。普段は一般客の宿泊部屋であり、源泉掛け流しの総檜露天風呂もある。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>△7四歩には▲8八玉でしょうが、そこで1局目のように△9四歩とするか、あるいは前例の多い△2二玉か。一つの分岐点になりそうです。 31 8八玉(79) ( 0:00/00:00:00) *陣屋周辺は鶴巻温泉郷と呼ばれる。鶴巻温泉は弱アルカリ性の塩化物泉で、リウマチ、神経痛、外傷などに効果がある。陣屋には大浴場と露天風呂があり、弘法山のハイキングや丹沢登山の帰りに利用する人も多い。また飲泉も可能で胃腸病に効くといわれる。陣屋の源泉は神奈川県の飲泉許可を得た第一号である。 32 9四歩(93) ( 0:00/00:00:00) *前例は▲122勝△131勝、千日手4、持将棋1。後手が少し勝ち越しているが、ここ1年に限れば▲15勝△10勝で逆の結果になる。次の一手は▲1六歩、▲2六歩、▲4六銀の3手にほぼ限られている。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>△9四歩。1局目と同じ道を行きました。対して▲1六歩からスズメ刺しにして作戦負けだったので今回は▲4六銀と予想します。 33 4六銀(37) ( 0:00/00:00:00) *4六銀・3七桂型を目指した駒組み。右辺の飛角銀桂香を攻めに使いやすく、矢倉戦の中でも特に攻撃力の高い陣形である。対して後手は△5三銀を選ぶことが多い。銀を囲いに近づけて守備重視であり、先手の攻め、後手の受けという展開になりやすい。両者の棋風にも合っている。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>やはり▲4六銀でした。対して△4五歩は悪手の可能性が高いです。△5三銀から受け身で指すか、△9五歩として△7三桂〜△8五桂の先攻策かどちらかでしょう。 34 7三角(64) ( 0:00/00:00:00) *▲6五歩を事前に避けた。△7三銀が消えたので、後手は△5三銀から守備重視で指すことになる。「矢倉の定跡形。じっくりとした展開としか言いようがないね」と石田和九段。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>△7三角でした。△5三銀とほぼ同じ意味ですが▲6五歩から盛り上がられる筋を警戒したのでしょうか。 35 3七桂(29) ( 0:00/00:00:00) *■Twitter解説■ *神谷広志八段>定跡形ですが木村さんはなかなか△2二玉としません。3一のままで戦うか、あるいは後で△2二銀と引く手を含みにしているのかもしれません。 36 5三銀(62) ( 0:00/00:00:00) *【陣屋の庭園1】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-ad64.html *【陣屋の庭園2】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-fb62.html * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>ここから▲1六歩△1四歩▲3八飛△2四銀▲2六歩が進行の一例です。先手の攻め、後手の受けになります。 37 1六歩(17) ( 0:00/00:00:00) *昼食休憩まで十数分ほど。どこで定跡を外れるのか、封じ手は何手目になるのか。控室ではそのような話題が出るようになった。展開次第では1日目で90手近くまで指されることもあり得る。石田和九段が対局室に向かった。昼食休憩入りに備えたものだ。 38 1四歩(13) ( 0:00/00:00:00) *△1四歩を怠って▲1五歩とされると将来の端攻めが厳しくなる。▲1五歩△同歩▲同銀の棒銀がある場合は端を受けないことが多い、本譜は先手の右銀が4六にいるので大丈夫だ。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>△1四歩は大事な一手でほかの手を指して▲1五歩とつめられるのはまずいです。 39 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *今年1月の第63期王将戦第1局、▲渡辺明王将−△羽生戦と同一局面。その将棋は87手目▲6六桂の局面で封じ手時刻になった。本局とは手順が違うが今期王座戦第1局の▲羽生−△豊島戦も▲6六桂の将棋である。 *12時30分、ここで木村が7分使って昼食休憩に入った。消費時間は▲羽生1時間27分、△木村1時間44分(持ち時間、各8時間)。対局者の注文は「冷やし 天 茶そば」。対局は13時30分に再開する。 * *【87手目▲6六桂の参考図】 *http://kifulog.shogi.or.jp/photos/uncategorized/2014/09/24/66k.gif *【1日目昼食休憩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-70fe-1.html *【1日目 昼食休憩時の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-fcc4.html * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>ここで昼休みのようですね。私はスパゲティを茹でてキノコのクリームソースをかけて食べます。皆さんも良い昼食を。 40 9五歩(94) ( 0:00/00:00:00) *対局再開から5分後に着手。ほかには△2四銀で▲2五桂を先受けする手もあった。「先手は▲1八香か▲3八飛か。もう少し駒組みが続きます」と飯島七段。 * *【1日目 対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-8ab6.html * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>佐藤康ー谷川の名人戦では数手前▲1六歩が封じ手(若干局面が違いますが)なんてことがありました。のんびりした時代でした。といっても20年くらい前ですが。ここからは地獄の時間です。誰にとって地獄かというとそれは記録係です。お腹がいっぱいになっているのに手が進まず睡魔と闘うのが大変です。 41 3八飛(28) ( 0:00/00:00:00) *先手は4六銀と3七桂をさばいて攻めていくため、7三角のラインから飛車を逃がしておく必要がある。同じ理由で1九香も浮いておきたい。 *依然として▲渡辺明−△羽生戦と同じ進行だが、飯島七段は違う展開になると予想している。同じ展開にするにしては手の進みが遅いというのがその理由である。ちなみに飯島七段は王将戦第1局1日目のニコニコ生放送解説を担当していた。川崎三段も王将戦第1局の記録係だった。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>△9五歩でした。端の位をとって「さあ攻めてきなさい」という手です。ここから▲3八飛△2四銀▲1八香△2二玉が進行の一例。そこで▲2五桂か▲6五歩かあるいは▲9八香か。と書いているうちに▲3八飛でした。次の▲1八香は外れないでしょう。そこで△2二玉が普通ですが△4二銀も有力です。 42 2四銀(33) ( 0:00/00:00:00) *羽生はメガネを外して考えている。定跡の進行とは思えないほど厳しい表情。木村はときおり窓の外に視線を向ける。自然体で次の一手を待っている印象。14時、羽生が席を外した。その間に木村が棋譜を確認する。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>1八でなく1七に香を上がる手もありますが近年は圧倒的に1八が多いはず。▲2五歩と突くのは桂の進路を無くして筋悪と解説することが多いのですが、田中さん(寅彦九段)はそこからうまく手を作っています。今日は出ないでしょうけど。 43 1八香(19) ( 0:00/00:00:00) *14時7分、羽生は席に戻ると▲1八香を着手した。先手も後手も十分な駒組み。開戦が近い。 * *【陣屋の庭園3】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-88cf.html 44 2二玉(31) ( 0:00/00:00:00) *ここは大きな分岐点。ここ十数年は宮田新手と呼ばれる▲6五歩が主流だったが、最近は後手の対策も進んでおり、宮田新手以前の▲2五桂が見直されるようになった。データベース上の公式戦直近10局の前例は、▲6五歩が5局、▲2五桂が4局、▲9八香が1局。勝敗は先手3勝(3手で1勝ずつ)に対して後手7勝。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>△2二玉でした。次の手は長考になりそうです。手が止まりそうですので、ここで中級者向け解説を。△2二玉に対して▲2五桂もよくある手です。その目的は自分の攻めの銀(4六にある銀)と相手の守りの銀(2四にある銀)を交換することです。▲2五桂に対して例えば△6四歩と突いて▲3五歩△同歩▲1五歩△同歩▲3五銀△同銀▲同角△3四歩▲6八角と進んだとします。その局面は後手の1歩得ですがプロの将棋では先手に形勢が傾いています。 45 6五歩(66) ( 0:00/00:00:00) *宮田新手。先述の▲渡辺明−△羽生戦は▲2五桂の定跡のひとつなので別の道だ。本譜は今期第2局と同じ進行である。▲6五歩は角を6六に設置する含みがあり、▲6四歩の突き捨ても攻めをつなげる有力な手段になる。 *14時30分ごろの局面。▲6五歩までの消費時間は▲羽生2時間5分、△木村2時間2分。▲6五歩は12分の考慮だった。 * *【第55期王位戦七番勝負 第2局 ▲木村−△羽生】 *http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/55/oui201407230101.html?te=45 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>▲2五桂ではなく▲6五歩でしたが、今少し中級講座を続けます。先手は攻めの銀をさばいて駒台に乗せることに成功しました。持ち駒はどこにでも使うことができますから商品がお金にかわったのと似ています。「でもそれは後手も一緒じゃん」とおもったあなた。思ったあなたは鋭い。その通りなのですが、後手の玉は先手の飛車、角、桂、香そして駒台の銀と歩によって、ものすごく危険な状態になっています。たとえるなら真冬のモスクワでコートを売って現金を手にしているようなものなのです。放っておいて▲1三歩から▲1五香とされてはたちまち危篤状態です。それで▲6八角には△2四銀と一度手にした現金ですぐにコートを買いなおさなければ持ちません。攻めの銀と守りの銀を交換することは思っている以上に大きいのです。 * *【神谷八段の中級者向け講座】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-b72e.html 46 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00) *盤上最強の駒である飛車を使うために飛車先を伸ばす。終盤戦で△8六桂や△8六歩を狙いたい。△8六歩▲同歩には△8七歩や△8五歩があり、△8六歩▲同銀は6五歩がキズになるおそれがある。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>さて本譜は▲6五歩でした。先ほどから出ている▲2五桂には△4五歩▲同銀△1九角成▲4六角△同馬▲同歩△5九角という変化になったのですが、▲6五歩△8五歩の形では△1九角成に▲5七角とされ、次の▲6六角が厳しくて先手優勢。ですから後手も手を変えます。 47 2五桂(37) ( 0:00/00:00:00) *桂をさばいた。次は▲3五歩で先手の飛角銀が一気に働く。後手はそれに備えて△4二銀と守りを固めることになる。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>▲2五桂でした。ここで△4五歩がだめですので、おそらく△4二銀と引くでしょう。まだ前例がかなりある形です。先手も▲6五歩と突いていますのでここから穴熊は組みにくい。開戦が近いです。 48 4二銀(53) ( 0:00/00:00:00) *15時、午後のおやつの時間になった。羽生は和菓子と抹茶、木村は和菓子とホットコーヒー(ブラック)。羽生はすぐに和菓子を口にした。 * *【1日目 午後のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-d241.html * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>よく見るとこのシリーズの2局目と同じ局面ですね。それぞれ逆を持っているわけですが・・・互いに用意した手があるはずですので、それが見られるのが楽しみです。第2局ではここから▲3五歩△同銀▲同銀△同歩▲1五歩△同歩▲6四歩△同歩▲3五角△3四歩▲5七角でしたがどこまで踏襲するのでしょうか? 49 3五歩(36) ( 0:00/00:00:00) *定跡の仕掛け。1号局から10年以上の歳月を経て、いまだに結論の出ていない形である。先手勝率も5割3分7厘で初形勝率に近い。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>やはり▲3五歩と開戦しました。△3五同銀▲同銀△同歩▲1五歩まではいきそうです。そこで△1五同歩が普通ですが△3七銀もありそうです。 50 同 銀(24) ( 0:00/00:00:00) *△3五同歩はやや甘く、▲5五歩の突き捨てが入る可能性が高い。△3五同銀は4六銀に当たっているので先手も手抜けない。控室では「1日目だけで70手くらいは進みそう」と言われている。 51 同 銀(46) ( 0:00/00:00:00) *△4六銀▲同歩で飛車のコビンが開く展開は避けたい。 52 同 歩(34) ( 0:00/00:00:00) 53 1五歩(16) ( 0:00/00:00:00) *1筋に歩が立つようになれば先手の攻め筋が広がる。後手がそれを避けるなら歩を取らずに△3七銀。最近の主流は△1五同歩だが、2年ほど前は△3七銀のほうが多かった。 54 同 歩(14) ( 0:00/00:00:00) *■Twitter解説■ *神谷広志八段>堂々と△同歩と取りました。「木村の受け」は定評がありますからね。 55 6四歩(65) ( 0:00/00:00:00) *宮田新手の狙いのひとつ。△6四同歩なら7三角の利きが止まる。△6四同角なら▲3五飛△2四銀▲6五飛で飛車を転換する。その形は6四角が動けば▲6三飛成があり、状況次第では飛角交換も成立する。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>▲6四歩と突きました。この歩が筋で△同歩なら後手の角道が止まりますし、△同角には▲3五飛として△3四歩や△2四銀には▲6五飛と回る手があります。 56 同 歩(63) ( 0:00/00:00:00) *△6四同歩の場合は飛車を転換できないため、先手は3五歩を角で取ることになる。以下△3四歩▲5七角で手順に角の位置を変える狙いだ。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>短時間で△同歩でした。▲3五角△3四歩▲5七角まではいきそうです。 57 3五角(68) ( 0:00/00:00:00) *このまま放置すると▲1三銀が怖い。以下△1三同香▲同桂成△同桂▲同角成△同玉と全清算するのは▲3二飛成で後手陣が崩壊する。定跡手の△3四歩は角取りだけでなく、3八飛の利きを止める効果もある。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>現在▲3五角までですが、この局面は互いに苦い思い出があるはずです。羽生さんは昨年の名人戦でここから△3四歩▲6八角△6五歩▲1三歩に△3七銀と打たれて完敗。森内さんに1−4で防衛を許しました。また木村さんはその1週間後、△3四歩▲5七角と森内さんに指され、終盤で酷い頓死を食いました。棋士はそういうことは忘れない筈です。 58 3四歩打 ( 0:00/00:00:00) *神谷八段の解説にある▲6八角△6五歩▲1三歩に△3七銀はponanza新手と呼ばれる。将棋ソフトのponanzaが将棋倶楽部24(対局サイト)で指した手で、それを当時の森内俊之名人が名人戦で採用して話題になった。 * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>現在はここで▲5七角が主流。前述羽生ー森内戦の△3七銀に対して▲6八飛とできるのが大きいです。 59 5七角(35) ( 0:00/00:00:00) *6八ではなく5七へ。▲6八飛の余地を残しているのが大きい。今期第2局で木村は△2四歩としているが本局はどうか。木村は眉間を指をあてて考えている。長考の気配。 *16時ごろの局面。▲5七角までの消費時間は▲羽生2時間37分、△木村2時間46分。控室では石田和九段が封じ手用の封筒に署名している。 * *【封じ手準備】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-4a00-1.html * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>やはり5七でした。ここで△2四歩なら今期の第2局と同じ進行。他では△2四銀と固く受けるか。あるいは強気に△6五歩もあるでしょうか。ここで長考になりそうですね。先手にはいろいろな攻め筋があり、とても後手を持って全部受け切れる気がしません。どちらを持ちたいかと聞かれれば即先手ですね。 *現局面は先ほど私がでっち上げた進行(下記リンク先参照)と似てますね。しかし(1)後手の歩が8五まで伸びている。(2)後手の銀が4二にいるので守りが(特に3三の地点)が堅い。(3)6筋を突き捨てているので、その分先手玉が薄い。以上の理由で後手も戦えます。(先手やや有利) * *【再掲:神谷八段の中級者向け講座】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-b72e.html 60 6五歩(64) ( 0:00/00:00:00) *16時23分の着手。31分の考慮だった。木村は第2局から手を変えてきた。角筋を通して先手の攻め駒の押さえ込みを狙っている。後手の角筋を止める▲4六歩は先手の角も沈黙する。 *△6五歩の前例は10局。初期は先手が6勝1敗と押していたが、今年6月以降は後手が3連勝中。その中には木村の名前もある(6月13日、棋王戦、▲畠山鎮七段−△木村戦)。 * *【王位戦と石田和雄九段1】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-68db.html *【王位戦と石田和雄九段2】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-bd96.html * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>△6五歩です。木村さんがついに手を変えました。ここから▲1三歩△3七銀▲6八飛△2六銀成▲1四銀が進行の一例です。△6五歩に対して▲1五香△同香▲3三歩もある手で△3三同桂なら▲1三角成でたちまち詰みですが△3三同銀▲同桂成△同金上でいまいちですか。(先手やや有利) 61 1四歩打 ( 0:00/00:00:00) *24分の考慮。▲1四歩は今年6月27日の竜王戦昇級者決定戦4組、▲増田裕司六段−△飯塚祐紀七段戦で指されている。以下△2四銀▲1三銀△同桂▲同歩成△同香▲同桂成△同銀▲1五香△2四銀と進んだ。結果は後手勝ち。 *「よく指されているのは▲1三歩でした。本譜の▲1四歩は1三に駒が成れますが、△2四銀から△1四香があるので先手は忙しい。△2四銀に▲1三銀や▲1五香で手が続くかどうか。1筋攻めの前に▲7五歩はあるかもしれません」(飯島七段) * *■Twitter解説■ *神谷広志八段>それほど時間を使わないで▲1四歩でした。(1)△1四同香には▲1三銀で優勢ですが、もちろんそうは進みません。(2)△2四銀とされたときの手がまだ見えません。▲1三銀と打ちこんでどうなるか、しばらく検討します。(3)△3七銀もありそうですが、▲6八飛△2六銀成▲1三歩成△同桂▲同桂成△同香▲4六角で自信なしです。 *17時を回ってそろそろ封じ手を意識する時間です。この後進んだとしても1手か2手でしょう。このまま封じ手の場合は△2四銀の一点予想です。もし木村さんが△2四銀と指して次が封じ手の場合はすでに決めてあります。違う手を指した場合は一から考え直します。(形勢不明) * *※局後の感想※ *序盤は並べる程度で進められ、ここから本格的な感想戦が始まった。「対応が難しかったですね。△2四銀は▲4六角△同角▲同歩で、どこかで▲4五歩の突き捨てが入ります。ここは強く指すしかないと思いました」と木村。 62 3七銀打 ( 0:00/00:00:00) *17時36分の着手。前例を離れた。攻めの根元を押さえつけながら上部を厚くする展開も見据えている。先手は飛車をどこへ逃がすか。逃げ場所は左に2カ所、下に1カ所ある。 *石田和九段と飯島七段が対局室に向かった。18時を過ぎたが羽生は考え続けている。18時10分、羽生熟考。正座からあぐらになった。18時21分、羽生が封じ手の意思表示をした。63手目に羽生が使った時間は45分。1日目終了時点の消費時間は▲羽生3時間46分、△木村4時間5分(持ち時間、各8時間)。対局再開は25日9時の予定。 * *石田和九段の封じ手予想は(1)▲1三歩成。以下△1三同桂▲同桂成△同香には▲2五桂と攻める。▲2五桂に△2一桂は▲1三桂成△同桂▲1五香△1二歩▲1八飛が幸便だ。「最初は▲3九飛だと思ったけど、対局室で羽生さんと一緒に考えているうちに▲1三歩成のような気がしてきた」と石田和九段。川崎三段も「羽生王位は1筋に視線を向けることが多かったです」と証言する。 *飯島七段の予想手は(2)▲3九飛。以下△2八銀成▲1五香△3九成銀なら、そこで1筋に殺到する。すぐに▲1五香は△3八銀不成から△4七銀成が厳しいが、3九に成銀が残るなら先手十分とみる。ほかには(3)▲6八飛もあるという。飛車を逃がしてから反撃を狙うのは自然な対応だ。 * *検討が進んで(1)▲1三歩成は相当に厳しい攻めだとわかってきた。直線的な変化をひとつ紹介すると、▲1三歩成△同桂▲同桂成△同香▲2五桂△3五桂▲1三桂成△同玉▲1五香△1四歩▲同香△同玉▲1八飛△1五歩▲2五銀△1三玉▲1五飛△2二玉▲1九香△3三玉▲3六歩△4七桂成▲2四角△同歩▲同銀△同玉▲1三飛成で後手玉は詰み。当然、後手は途中で変化しなければならないが、具体的な手段は「明日の宿題にさせてください」と飯島七段。時間をかけて検討する必要がありそうだ。 * *【封じ手】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-4646-1.html *【1日目の流れと封じ手】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-279e.html *【第1局から第6局までのポイント】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-cd1a.html * *■Twitter解説 1日目■ *神谷広志八段>あらら△3七銀でした。△2四銀には▲4六歩として△1四香に▲6三銀というのが秘策だったのですが・・・△3七銀に対する見解は前手コメントの通りです。(先手やや有利) *このまま封じ手になりました。予想は▲6八飛でお願いします。今日の総括としては、ものすごくたくさん前例があり、なおかつ少し前に逆を持って戦った局面をずっと踏襲するという両者のはらの据え方に感心しました。現在勝負所を迎えていますが、ここ数手で形勢がはっきりする可能性もあり、明日は朝から目が離せません。今日は一日出鱈目かつ投げやりな解説にお付き合いいただきありがとうございました。明日は佐々木慎六段のシャープな解説をお楽しみください。私はこれから狸によく顔の似た妻の作った秋刀魚の塩焼き、トン汁、ポテトサラダ、山かけごはんの夕食を採らせていただきます。みなさまお疲れ様でした。大変ですが明日もよろしくお願いします。それでは失礼します。 * *■Twitter解説 2日目■ *佐々木慎六段>おはようございます。2日目を担当させていただく佐々木です。よろしくお願いします。相矢倉から実戦例のある形に進みましたが、▲1三歩成と予想します。▲1四歩が羽生王位の指したかった手なんでしょう。私はデータにはあまり詳しくありませんが、実戦例が少ない手らしいので(笑)(形勢不明) * *※局後の感想※ *(1)▲1三歩成は△同桂▲同桂成△同香▲2五桂△3五桂▲1三桂成△同玉▲1五香△2四玉▲1八飛△2六銀成▲2九香△2七桂打が一例。「次に1筋に歩を打たれると後手の入玉がほぼ確定するので、△2七桂打の場面で困ると思いました」と羽生。▲1三歩成の変化はほかにもあるが、いずれも入玉模様になりやすい。 *(2)▲3九飛は有力手のひとつ。以下△2六銀不成▲4六角△同角▲同歩△5八角▲1三歩成△同桂▲同桂成△同香▲4五歩△5三銀(△4五同歩は▲7一角)▲3六桂△6六桂。「これはやってみないとわからない」が対局者の感想だった。 *「本譜の順は無理でしたね。ここは▲6八飛か、あるいは▲3九飛か。いずれにしても飛車を逃がすべきでした」(羽生) 63 1五香(18) ( 0:00/00:00:00) *25日朝の秦野市は雨。台風16号は温帯低気圧に変わったが、強い風が木々を揺らしている。木村、羽生の順に対局室に入室。8時50分、羽生が駒箱に手をかけた。1日目の指し手が再現され、石田和九段が封じ手を開封した。▲1五香は意表の一手。△3八銀不成から△4七銀成があるため、控室では本命視されていなかった。 * *【2日目 対局開始1】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-022f.html *【2日目 対局開始2】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-4792.html * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>▲1五香でしたか、外れてしまいましたが、相当意表の一手です。昨日他の棋士何人かにも予想を聞いたのですが、▲1五香はゼロでした。 64 3八銀(37) ( 0:00/00:00:00) *▲1五香にはこの一手と決めていたのだろう。木村はすぐに飛車を取った。 *「これは午前中から激しい戦いになります。手数の短い将棋になるかもしれません。それにしても▲1五香はまったく予想していなかったので驚きました」(飯島七段) * *【封じ手用紙】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-ade5.html 65 1三歩成(14) ( 0:00/00:00:00) *△1三同香▲同香成△3一玉▲1二成香△4七銀成▲2一成香△同玉▲1三角成△1二歩。そこまで進むと「後手がいい」と飯島七段。先手は変化する必要がある。 66 同 香(11) ( 0:00/00:00:00) *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>一気に進みましたね。この展開は木村八段得意の入玉する形にはならないと思います(笑)(形勢不明) 67 同 香成(15) ( 0:00/00:00:00) *両者の指し手が早い。風雲急を告げる展開だ。△1三同桂は▲同角成から詰むので△3一玉の一手。「▲1三同桂不成もありましたが、第一感は本譜の▲1三同香成です。しかしなぜ予想が当たるのか自分でも疑問です。この変化は後手が指せると思っているので」と飯島七段。 68 3一玉(22) ( 0:00/00:00:00) *「▲1二成香△4七銀成▲2一成香△同玉▲1三角成は△1二歩で大丈夫のはずです。そこで馬を引くようでは先手がつらい。後手は△4七銀成が大きな手なんです。3八銀が角取りでさばけて、さらに△1八飛が攻防手になるので」(飯島七段) * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>後手としては△4七銀成がとにかく指したい手ですね。 * *※局後の感想※ *羽生は▲3三歩と打つ予定だったが、△3三同桂▲2三成香△同金▲1三桂成△2二歩▲2三成桂△同歩▲1三角成△3二玉▲2一銀△4一玉▲6三金△6一香は「逃がしている感じがする」と話した。 69 1二銀打 ( 0:00/00:00:00) *飯島七段の予想手順から外れた。すぐに継ぎ盤で検討を始める。木村も手を止めて考えている。検討手順は△4七銀成▲6八角△1一歩。角を逃げずに▲8四香は△5二飛で先手の攻めが遅い。他の変化も後手が一手勝ちを狙いやすいようだ。 *「後手は△4七銀成が入れば攻めがわかりやすくなります。迷うとすれば△8六歩をいつ入れるかくらいです。一方、先手は飛車を渡しているので指し手が難しいと思います」(飯島七段) *検討が進んで△4七銀成▲2三成香△8六歩▲同銀△5七成銀▲同金△1八飛▲2四香が示された。「先手は5七角を逃げずに戦ったほうがよさそうです」と飯島七段。 * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>指し手がはやいですね。▲1二銀はこの形での手筋ですが、△4七銀成のときにどうするのでしょう? ▲8四香のような手が先手からは狙い筋になります。飯島七段が▲2一銀成△同玉▲3三歩を検討してるという情報がある筋から入ってきたのですが、有力だと思います。▲3三歩に△同金は▲1二成香の筋があるので△同銀だと思いますが、▲同桂成から▲2五桂とおかわりするような手がうるさそうですね。(形勢不明) 70 6六歩(65) ( 0:00/00:00:00) *58分の考慮。駒の焦点に突きだした。(1)▲6八金引は△4七銀成で角を引けなくなる。(2)▲6六同銀は玉頭が薄く、(3)▲6六同角は△1三桂から△6一香の串刺しが待っている。(4)▲6六同金は△4七銀成▲7九角△6八歩。「これは先手が利かされているね」と石田和九段。「後手の攻めが急所に入っているんじゃないですか」と飯島七段。 *現在の検討の本命は(1)▲6八金引△4七銀成▲2一銀成△同玉▲1二成香△同玉▲1三角成△2一玉▲3三歩。この順は先手の角が生き残る。ただし銀と成香は捨てることになる。 *10時10分ごろの局面。△6六歩までの消費時間は▲羽生3時間48分、△木村5時間12分。2日目午前のおやつは羽生がホットコーヒー、木村が和菓子とホットコーヒー(ブラック)。 * *【2日目 10時過ぎの控室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/10-c077.html *【2日目 午前のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-66ed.html *【雨】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-9543.html * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>△6六歩ですか〜。凝った手ですね。▲同金や▲同銀なら利かしで後手得。▲同角なら△1三桂▲同桂成△6一香ということでしょう。感覚としては▲同銀は取りにくいと思います。取る以外の手としては▲6八金引か▲2一銀成ですね。当たり前のこと言ってますが(笑) *飯島七段が▲6八金引を推奨してるという情報が入ってきました。△4七銀成とさせて▲2一銀成△同玉▲1二成香△同玉▲1三角成△2一玉▲3三歩と攻めこむ順です。歩切れなので若干攻めが細く感じます。木村八段の得意そうな展開に思えます。最後▲3三歩△同銀▲同桂成△同金上▲2五桂に△3二玉くらいでどうですか。(形勢不明) * *※局後の感想※ *「▲8四香が気になるので△8六歩も考えていましたが、△6六歩が筋だと思って。感触はかなりよかったです」と木村。「この歩を取る駒がなかったですね」と羽生。△6六歩は控室を訪れた棋士の多くが絶賛していた。 71 6八金(67) ( 0:00/00:00:00) *45分の考慮。これで後手の6筋の歩が「位」から「拠点」に昇格した。▲6八金引をみて木村は席を立つ。 * *【なぜ飛車を捨てたのか】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-f633.html * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>引きましたね。さすが飯島七段、引き角の使い手です。 72 4七銀成(38) ( 0:00/00:00:00) *70手目に△4七銀成と比べて本譜の攻めはより厳しい。ただし攻防に気をつかうのは後手かもしれない。△8六歩のタイミングだけでも考えるべき変化は無数にある。歩を突き捨てるということは、相手の持ち駒を増やすということでもある。 73 2三成香(13) ( 0:00/00:00:00) *角を逃げずに攻め合いを目指す。▲2一銀成△同玉▲1二成香△同玉▲1三角成は攻め駒が不足するおそれがあった。 *△5七成銀▲同金△1八飛は▲6八歩で先手玉が一瞬堅く、後手は自陣に手を入れる必要に迫られるが、どこに手を付ければいいのか。▲6八歩に△2二歩は▲3二成香△同玉▲2一銀不成△同玉▲2四桂でかなり危ない。受けの技術とセンスが問われる場面だ。 * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>▲2三成香は早かったですね。やはり▲2一銀成では細いと見たんですね。しかしこうなると6六歩が大きいような気がしますが、先手が逆用して▲6五香と打つような展開もあるかもしれません。 74 5七成銀(47) ( 0:00/00:00:00) *この銀は角を取る前に飛車も仕留めている。62手目△3七銀は十分な活躍をした。 75 同 金(68) ( 0:00/00:00:00) 76 8六歩(85) ( 0:00/00:00:00) *△8六歩を決断。先手に歩を渡しても受け切れる見通しがついたか。 *「後手が指せると思うのですが、自陣付近をどうほぐしていくか(先手の駒をどう排除するか)が問題です。それが非常に難しい。互角の形勢を50対50とすれば、現在は45対55くらいで後手持ちです」(飯島七段) * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>角をとって攻めあいになりましたね。△8六歩は突きたいところです。矢倉では△8六歩や△8六桂といった手が好手になりやすいですね。今日は順位戦(B級1組)も行われていて将棋ファンにはたまらない一日ですね。ずっと形勢不明で逃げていましたが、そろそろ覚悟を決めて形勢判断していこうと思います(笑)。とりあえず飯島七段を信用します。(後手有利) 77 同 銀(77) ( 0:00/00:00:00) *▲8六同銀は上部が厚い半面、側面の守備力は落ちる。▲8六同歩はその逆の問題があった。後手は敵陣に飛車を下ろす手が有力。候補手は△1八飛、△2八飛、△1七飛など。 * *※局後の感想※ *△2二歩は▲3二成香△同玉▲8三香△6二飛▲6三歩△6一飛▲5二銀△2四角▲6一銀不成△5七角成▲1一飛△3一金▲6二歩成が一例。「そこで手が止まりますね」と木村。指し手が難しいようだ。たとえば△6七歩成▲同金△同馬は▲2一銀不成△同金▲2四桂の筋で後手玉が詰む。 78 1八飛打 ( 0:00/00:00:00) *△8六歩▲同銀で先手玉の側面は薄くなっている。ここは▲6八歩と打たざると得ない。手抜いて攻め合いは駒を渡すことになり、△7八飛成からいきなり詰む筋も生じる。 * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>▲6八歩と受けたときに後手がどう指すかは難しいところです。 79 6八歩打 ( 0:00/00:00:00) *「ここでどう指すのか、ずっとわからなくて」と飯島七段。控室では1時間以上前から並べられていた局面だが、これが最善と断言できる受けを見つけられずにいる。 * *※局後の感想※ *「△1八飛▲6八歩の交換は得なのか損なのか。どれだけ考えてもわからなかった」と木村。▲6八歩を打たせたことで、77手目感想戦手順の▲6三歩は消えた。しかし、この2手で局面が複雑化した面もあり、必ずしも後手が得をしたわけではないという。 80 2二歩打 ( 0:00/00:00:00) *「木村流ですね」と石田和九段。先手の攻めを催促する強い受けだ。ただ、▲3二成香△同玉▲2一銀不成に(1)△同玉▲2四桂が相当にうるさい。(2)△2三玉は▲3六桂△1四玉▲2七銀で逃げ切れない。後手に受けの妙手があるのだろうか。「形勢は混沌としています。あるいは元から難しかったのか」と飯島七段。 *12時30分、ここで羽生が17分使って昼食休憩に入った。消費時間は▲羽生4時間56分、△木村6時間16分(持ち時間、各8時間)。対局者の昼食は陣屋カレー(ビーフと伊勢エビの2種類)。羽生はアイスレモンティーも注文した。対局は13時30分に再開する。 *13時35分、午後も羽生の考慮が続く。現地の雨は弱まり、空も明るくなってきた。14時開始の大盤解説会のためにファンが陣屋を訪れはじめている。 * *【2日目 昼食休憩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-7748.html *【2日目 昼食休憩時の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-34e2.html * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>▲3二成香△同玉▲2一銀不成△同玉▲2四桂のときに△2三銀は▲1二銀△同銀▲3二金△1一玉▲1三歩で先手勝ちになります。昼食休憩になりましたね。私はこの1時間をつかって仮眠しようと思います。 81 3二成香(23) ( 0:00/00:00:00) *13時39分、▲3二成香を着手。勝又清和六段が控室を訪れた。石田和雄九段門下の一番弟子である。「70手目△6六歩の感触がよすぎるので、これは決まったかと思ったのですが」と勝又六段。 * *【2日目 対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-f312.html 82 同 玉(31) ( 0:00/00:00:00) *先手の攻め駒は2五桂、1二銀、持ち駒に金銀香歩。歩を除いても5枚の攻め駒があり、そう簡単に攻めは切れない。予想手順は▲2一銀不成△同玉▲2四桂△3二銀。 83 8三香打 ( 0:00/00:00:00) *「これは……」と検討陣。そのまま絶句した。△8三同飛で後手の守備力が落ちるとはいえ、僻地に駒を手放すのは相当に指しにくい。▲2一銀不成は△4一玉▲8三香△6二飛を気にしたのだろうか。先に▲8三香△6二飛なら▲8一香成から▲2四桂を狙える。 *13時47分。佐藤紳哉六段が来訪。「栄ちゃんが寂しがっているかと思って」と佐藤紳六段。「どういうことですか」と飯島七段は苦笑いをする。二人は「深夜A時」というコンビ名で活躍している。13時58分、藤倉勇樹五段が来訪。飯島七段は解説会場へ向かった。 * *【2日目 13時50分過ぎの控室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/1350-f587.html * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>午後もよろしくお願いします。▲8三香はすごい手ですね。パッと見には意味がわかりにくいですね。後手は△同飛と△6二飛の両方考えられますね。 * *※局後の感想※ *「▲8三香を打たれて急に元気がなくなった」(木村) 84 6二飛(82) ( 0:00/00:00:00) *14時9分の着手。先手は▲8一香成と▲2一銀不成のどちらもある。進行の一例は▲2一銀不成△同玉▲2四桂△3二銀▲8一香成。 * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>△6二飛と逃げましたね。▲8一香成なら△3五角などが考えられます。先手は▲8三香と打ったので▲2一銀不成とはやりにくいです。 85 2一銀(12) ( 0:00/00:00:00) *(1)△2三玉は▲3六桂。80手目コメントの変化と比べて、先手の持ち駒に香がないが、それでも後手が逃げ切るのは難しそうだ。(2)△2一同玉▲2四桂の変化は難解。勝又六段は「後手玉が寄らないよ」と何度もうめく。 *新聞関係者も続々と控室へ。本局の注目度の高さがうかがえる。現地解説会場はもう少しで席が埋まると情報が入った。 * *【現地大盤解説会】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-403b.html * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>やりにくいといった刹那やりましたね(笑)。終盤の解説が思いやられます。△同玉▲2四桂△3二銀のような展開ですかね。先手有望になったかもしれません。(先手有利) 86 同 玉(32) ( 0:00/00:00:00) *「やってこい」と△2一同玉。羽生は両手で髪をかきあげる。 87 2四桂打 ( 0:00/00:00:00) *桂は今期七番勝負の因縁の駒。本局は先手の攻めの要になった。控室では△3二銀▲8一香成△3五角▲4一銀△2四角が検討されている。 * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>△3二銀には香打ちをいかして▲8一香成ですかね。次に▲4一銀が必殺の一手になります。同銀には▲1三桂打です。(先手有利) * *※局後の感想※ *△3二銀は有力だった。△3二銀に(1)▲3三歩△同銀右▲同桂成△同銀▲1二銀△3一玉、(2)▲8一香成△3五角、(3)▲1三歩△1一歩、(4)▲1三銀△3五角▲4六歩△6三香などが調べられたが、先手自信なしの変化が多い。「△3二銀でちょっと悪い気がします」と羽生。「そうか、そうでしたか。足りないと思っていましたが、△3二銀を打つべきだった可能性はあります」と木村。 88 3三銀(42) ( 0:00/00:00:00) *先手が3三に駒を打って△同銀ではない。後手の意思で△3三銀と上がった。銀桂交換でも盤上から駒を消そうとしている。「木村さんは恐ろしい人だ。5三に駒を打たれたら終わってしまうかもしれないのに」と検討陣。 *14時45分ごろの局面。△3三銀までの消費時間は▲羽生5時間14分、△木村7時間7分。木村は残り1時間を切った。 * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>△3三銀ですか。さすが強気の受けですね。パッと見には▲5三金などがみえます。(先手有利) 89 1二銀打 ( 0:00/00:00:00) *羽生はすぐに王手をかけた。 90 3一玉(21) ( 0:00/00:00:00) 91 3三桂成(25) ( 0:00/00:00:00) 92 同 金(43) ( 0:00/00:00:00) *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>指し手がはやいですね。羽生王位はもう読みきっているんですかね。▲1二銀から直接手でいきました。次は▲5三銀でしょう。4筋にも3筋にも歩がきくのが大きいです。(先手有利) 93 5三銀打 ( 0:00/00:00:00) *羽生の猛ラッシュが続く。飛車を縦に逃がすのは▲4二金まで。検討陣は△6九角を調べている。この角は△7八角成▲同玉△6七銀以下の詰めろ。6二飛と1八飛の利きが強力だ。 *2日目午後のおやつは羽生がチョコレートケーキとホットレモンティー、木村が和菓子とホットコーヒー(ブラック)。 * *【2日目 午後のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-b560.html *【名勝負が生まれる陣屋】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-aed7.html * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>△9二飛には▲4二歩△2四金▲3三歩といった感じでしょうか。△3二銀の粘りには▲同歩成△同玉▲4四銀成で寄せ切れそうです。(先手有利) * *※局後の感想※ *5三に駒を打って飛車を責める。これは83手目▲8三香の狙い筋のひとつ。 94 6九角打 ( 0:00/00:00:00) *勝負をかけた一手。▲7九金△7八銀▲6九金△同銀不成で後手玉に詰みがあるかどうか。なければ▲3二歩△同金▲7九金打の受けも考えなくてはならない。 * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>△6九角ですか。鋭い手ですね。▲7九金には△7八銀ですかね。以下▲3二歩△同金▲6九金△同銀不成でどうなるか。後手勝ちになる変化もありそうです。一直線にいって先手に勝ちがないなら、▲3二歩△同金▲7九金打も考えられます。(先手有利) 95 3二歩打 ( 0:00/00:00:00) *「▲3二歩は損のない手です」と藤倉五段。△4一玉は▲7九金△7八銀▲6九金△同銀不成▲6三角以下の詰み筋があるため、この歩は取るしかない。 96 同 金(33) ( 0:00/00:00:00) *「ここでどうやるか」と石田和九段がモニターをにらむ。検討手順は▲7九金打△7八角成▲同金△6九銀▲3二桂成△同飛▲7九金打。結論は出ていない。 97 7九金打 ( 0:00/00:00:00) 98 7八角成(69) ( 0:00/00:00:00) *▲7八同玉は△6七銀が王手になる。 99 同 金(79) ( 0:00/00:00:00) *15時20分ごろの局面。▲7八同金までの消費時間は▲羽生5時間28分、△木村7時間25分。残り時間では羽生が大きくリードしている。 * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>もう終盤なので有利も不利もなく、どちらかが勝ちなのですが難しくてわかりません。手の流れからいって先手が少し残してそうなのですが。(先手有利) 100 6九銀打 ( 0:00/00:00:00) *今度は銀をかける。△7八銀成▲同玉△6七金▲同金△同歩成▲8八玉△6八飛成の詰めろ。 101 3二桂成(24) ( 0:00/00:00:00) *△3二同玉は危険地帯に誘いだされる。△3二同飛は攻撃力が落ちる。悩ましい二択問題。 102 同 飛(62) ( 0:00/00:00:00) *玉を大事に。神谷八段の表現を借りれば「健康第一」だ。 103 7九金打 ( 0:00/00:00:00) *自陣に手を入れた。激戦。しかし玉が堅い分だけ先手持ちの声が多い。△4三金や△7八銀成▲同金△4三金が予想されている。 * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>なんか先手をもって自信がなくなってきました。将棋は難しいですね。羽生王位が寄せに向かっていると思ったのですが。予想は△7八銀成▲同金△4三金です。(形勢不明) 104 7八銀成(69) ( 0:00/00:00:00) 105 同 金(79) ( 0:00/00:00:00) 106 4三金打 ( 0:00/00:00:00) *継ぎ盤に▲3三歩△同飛▲2四銀△3二飛▲4四銀成△同金▲5三角△4一玉▲4四角成△6九銀▲7九金打が示された。攻めては受けるの力のこもった攻防。長期戦の可能性もある。15時44分、青野照市九段が来訪。 * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>どう攻めるんですかね。▲2一銀打ですかね。しかし銀は渡しにくいです。(形勢不明) 107 3三歩打 ( 0:00/00:00:00) *最後の1歩を投入。先手の攻めも決して厚いわけではない。 * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>なるほど▲3三歩から▲4四銀成ですか。センスがいいですね。▲2一銀打はセンスがなかったです。4四馬ができると大きいですね。△6九銀を緩和してるのと、▲5四馬が飛車にあたるのが大きいですね。(形勢不明) 108 同 飛(32) ( 0:00/00:00:00) *5三の銀取りを残して飛車で取った。羽生は和服のそでをまくり、右のこぶしを膝の横に突き立てる。 109 2四銀打 ( 0:00/00:00:00) *飛車を責めながら銀3枚が後手玉を取り囲む。銀は羽生の好きな駒だ。飯島栄治七段が控室に戻ってきた。「大盤では△3二飛▲4四銀成は先手持ちと解説してきました」という。 110 3二飛(33) ( 0:00/00:00:00) *▲2一角は△5三金で先手駒損の取引になる。 111 4四銀成(53) ( 0:00/00:00:00) *羽生は銀を巧みに使う。△4四同金は▲5三角が王手金取り。 112 4二玉(31) ( 0:00/00:00:00) *玉の顔面受け。形勢は抜きにして木村の持ち味が出ている。「後手は常に△6九銀を狙っています」と藤倉五段。そのためにも4四成銀が欲しい。先手からは▲4三成銀△同玉▲2一角の間接的な王手飛車取りが見える。この角は詰めろになっていてもおかしくない。16時4分、伊藤真吾五段が控室へ。 *16時ごろの局面。△4二玉までの消費時間は▲羽生5時間44分、△木村7時間37分。 * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>△4二玉は木村八段らしい手ですね。なんだかんだで上部にくるんですね(笑)(形勢不明) 113 4三成銀(44) ( 0:00/00:00:00) *羽生はしっかりと時間を使って▲4三成銀を着手。すでに石田和九段と観戦記者の鈴木宏彦さんが対局室に入っている。 114 同 玉(42) ( 0:00/00:00:00) *▲2一角△3一金▲3二角成△同金▲8一香成が予想されている。つぎに▲6三飛の王手角取りが厳しい。「後手の入玉は難しいので、手を稼いで△6九銀を間に合せたいです」と伊藤真五段。 115 2一角打 ( 0:00/00:00:00) *△3一金以外の受けでは先手に好きな手を指されてしまう。 * *※局後の感想※ *△3一金は▲3二角成△同金▲8一香成△6二香▲4一飛△4二歩▲7一飛成。「先手先手で攻めていけるので」と羽生。「△6二香以外になにか手がないか……。ちょっと足りないですか」と木村。この展開は先手よし。 116 6九銀打 ( 0:00/00:00:00) *△6九銀に飯島七段から驚きの声。「これは後手玉が詰みませんか」。▲3二角成△同玉▲5二飛で後手玉は詰む。▲3二角成に玉を逃げれば詰まないかもしれないが、それでは後手に勝ちがない。 *石田和九段が控室に戻ってきた。「形勢に差がついていたのかな。木村さんは斬られにいきましたね」という。関係者が終局に向けて準備を始めた。羽生は一度席を外す。しばらくして席に戻り、盤を見つめる。 * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>△6九銀は驚きましたね。もしかしたら▲5二飛をうっかりしたかもしれません。▲5二飛に△4三玉は▲5三金△4四玉▲4二飛成で詰みです。急転直下ですね。もしかしたらもう苦しかったのかもしれませんが。(先手勝勢) * *※局後の感想※ *「最後はまあ、こんなんじゃだめだったですね」と木村。羽生は別室で行われたインタビューで「先の長い将棋だと思っていたので終局は意識していませんでした」と話している。 117 3二角成(21) ( 0:00/00:00:00) *5分の考慮で決めにいった。関係者がモニターに注目する。 118 同 玉(43) ( 0:00/00:00:00) *4分の考慮。木村はなにを思うか。七番勝負の終わりが近づいている。 119 5二飛打 ( 0:00/00:00:00) *ここで木村が投了。羽生が4勝2敗1分で防衛を果たした。 *終局時刻は16時31分。消費時間は▲羽生6時間8分、△木村7時間43分(持ち時間、各8時間)。羽生の王位獲得は連続4期、通算16期。七大タイトルの総獲得数は89期になった。 *両対局者は感想戦の前に大盤解説会場へ。その後、別室で羽生に対して主催紙のインタビューが始まった。対局室で羽生を待つ木村。そのほほを大粒の汗が流れていく。9月下旬、羽生と木村の長い夏が終わった。 * *本局は北海道新聞・東京新聞・中日新聞・神戸新聞・徳島新聞・西日本新聞の各紙上において、11月14日より鈴木宏彦さんによる観戦記が掲載されます。詳しくはそちらも合わせてご覧ください。 * *【終局直後】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-bb10-1.html *【感想戦1】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-8b5f.html *【感想戦2】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2014/09/post-cc41.html * *■Twitter解説■ *佐々木慎六段>投了以下、4二に合駒は▲3三金、△4三玉は▲5三金で詰みなので投了もやむを得ないですね。 *今期のシリーズを通してなのですが、本局も期待に違わぬ名局だったと思います。羽生王位の攻めがちょっと細いかなと思ったのですが、いつもながらさすがの技術で攻めをつなげてしまいましたね。▲8三香など本譜の進行ではあまり活躍しなかったのですが、たぶん水面下の変化で凄く効いているのでしょう。感想戦を楽しみに待ちたいと思います。終盤はかなり難しくなったような気がしましたが、少しずつ羽生王位が残していたのでしょう。長いシリーズが終わりようやく秋の訪れですね。頼りなくて拙い解説にお付き合いいただいてありがとうございます。それでは失礼します。 * *※局後の感想※ *感想戦は17時45分に終了した。 120 投了 ( 0:00/00:00:00) まで119手で先手の勝ち