# --- Kifu for Windows (HTTP) V6.51d 棋譜ファイル --- 対局ID:1340 開始日時:2012/07/24 09:00 終了日時:2012/07/25 18:45 表題:王位戦 棋戦:第53期王位戦七番勝負 第2局 持ち時間:各8時間 消費時間:115▲467△477 場所:北海道・花びしホテル 図:投了 手合割:平手   先手:藤井 猛 後手:羽生善治 先手省略名:藤井 後手省略名:羽生 手数----指手---------消費時間-- *羽生善治王位に藤井猛九段が挑戦する第53期王位戦七番勝負。第2局は7月24、25日(火、水)に北海道函館市「花びしホテル」で行われる。 *本局の立会人は勝浦修九段、副立会人は屋敷伸之九段。記録係を務めるのは石田直裕三段(23歳、所司和晴七段門下)。 * *(棋譜・コメント入力=烏) *※は感想戦の内容。【】内はリンク先、ブログタイトル。 * *【北海道新聞・主催社特集サイト】 *http://www.hokkaido-np.co.jp/cont/53oui/ * *【Twitter解説1日目=平藤眞吾七段。2日目=糸谷哲郎六段】 *https://twitter.com/shogi_mobile 1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *藤井 猛(ふじい たけし)九段は1970年9月29日生まれ、群馬県沼田市出身、西村一義九段門下。86年、6級で奨励会入会。91年四段。2000年九段。獲得タイトルは竜王3期。棋戦優勝は7回。 * *7月10、11日(火、水)に長野県松本市で行われた第1局は、羽生の先手番で千日手。指し直し局は藤井が先手番となった。第2局は千日手指し直しの先後をカウントせず、藤井が先手番となる。 * *【Twitter解説】 *平藤眞吾>戦型予想はズバリ先手番藤井九段はエースの四間飛車。対する羽生王位は……やはり居飛車穴熊でしょうか。予想というよりそうあってほしい希望?(笑) 2 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) *羽生 善治(はぶ よしはる)王位(棋聖)は1970年9月27日生まれ、埼玉県所沢市出身、二上達也九段門下。82年12月6級で奨励会入会。85年12月18日、四段昇段。94年4月、九段昇段。獲得タイトルは81期、棋戦優勝は40回。 * *【Twitter解説】 *平藤眞吾>近代将棋では振り飛車には居飛車穴熊が最有力とされています。もっといえば他に選択肢あるのかな?というくらいの勢いですね。 3 6八飛(28) ( 0:00/00:00:00) *藤井は四間飛車のスペシャリスト。目を閉じていても、6八の地点にピタリと飛車を止めることができるはず。 4 6二銀(71) ( 0:00/00:00:00) *過去の対戦成績は羽生34勝、藤井14勝。藤井は2006年4月以来、11戦勝ち星がない。 *王位挑戦が決まって2ヶ月弱。記者は藤井が「どうせいいようにやられちゃうんだ」と弱気になる姿も、「俺が負けるとでも?」と胸を張る姿も目にした。いざ盤の前に座れば思うことはひとつだろう。 * *【Twitter解説】 *平藤眞吾>藤井九段は予想通り四間飛車ですが、羽生王位の4手目△6二銀には、まだ色々な可能性があります。 5 4八玉(59) ( 0:00/00:00:00) *羽生の通算成績は1195勝457敗(0.723) *藤井の通算成績は521勝368敗(0.586) * *藤井システムは居玉で駒組みを進める戦法。この▲4八玉は「今日の将棋は藤井システムにしない」という意思表示になっている。 6 4二玉(51) ( 0:00/00:00:00) *羽生の今年度成績は18勝5敗(0.782) *藤井の今年度成績は8勝7敗(0.533) * *【戦型は先手四間飛車】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-af20.html 7 3八玉(48) ( 0:00/00:00:00) *角交換振り飛車では、△3二玉と寄られる前に▲2二角成と交換するのがセオリー。これは△3二玉▲2二角成△同玉と手順に玉を移動させないためだ。 *藤井の▲3八玉は、どうぞ△3二玉と指してくださいという手。角交換型にするつもりがないのか、それとも新機軸を打ち出そうとしているのか。 * *【対局者入室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-592f.html 8 3二玉(42) ( 0:00/00:00:00) *【対局開始前】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-cda0.html 9 2八玉(38) ( 0:00/00:00:00) *この局面は16局の前例があり、▲10勝△5勝(千日手1局)。次の一手は△8四歩と△5四歩が8局ずつ指されている。 * *【対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-75cb-1.html 10 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *10時過ぎ、△8四歩までの消費時間は▲藤井23分、△羽生26分。 * *「ひと昔前はですね、駒組みを淡々と進めて、それから戦おうという将棋が多かったような気がします。しかし最近の現代将棋は序盤から一手一手緻密な作戦を立てて進めますので、緊迫した展開になります。対局者のお二人はどちらも妥協せず、男らしい将棋を指しますので、非常に楽しみにしております」(前夜祭での勝浦修九段のあいさつ) * *【前夜祭〜立会人あいさつ〜】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-210c.html * *【Twitter解説】 *平藤眞吾>斬新な出だしになりました。お互い角をいつでも交換できるので模様取りに神経を使います。△8四歩に▲6六歩なら馴染みの形に戻るのですが。 * *【斬新な出だし】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-3cfc.html 11 3八銀(39) ( 0:00/00:00:00) *【Twitter解説】 *平藤眞吾>私も昔、この局面を後手で指したことがありますが、次の手が全然わからなかったことを思い出しました。△5四歩だと角交換のときキズになるかもとか、△5二金右は石田流で困るかもとか悩ましいのです。△8五歩が少し強い態度といった感じでしょうか。 * *【羽田から函館へ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-dc74.html 12 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00) *【函館奉行所】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-cb0b.html 13 7五歩(76) ( 0:00/00:00:00) *1日目の午前中、ゆったりとした流れで進行している。現局面の実戦例は4局(▲1勝△3勝)あり、そのうち2局は神谷広志七段が先手番で指している。 * *【Twitter解説】 *平藤眞吾>石田流含みの力戦形になりました。ちょっと気になるのは△4四歩ですが、▲4六歩から▲4八飛といった展開の実戦例があります。 * *【石田流への変化】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-1762.html 14 1四歩(13) ( 0:00/00:00:00) *11時過ぎ、△1四歩までの消費時間は▲藤井1時間2分、△羽生53分。 15 1六歩(17) ( 0:00/00:00:00) *バランスをとって端を受ける。ここで△8六歩▲同歩△同飛と来る順には、▲7八金と▲2二角成〜▲8八飛の対策が考えられそうだ。 16 9四歩(93) ( 0:00/00:00:00) *【函館戦争】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-79fc.html * *【記念撮影】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-0c05.html 17 9六歩(97) ( 0:00/00:00:00) *羽生はこれまで王位のタイトルを13期保持し、永世王位の称号資格を得ている。永世王位は連続5期、または通算10期での獲得となり、羽生のほかには大山康晴十五世名人と中原誠十六世名人がいる。 * *【Twitter解説】 * 平藤眞吾>両端の突き合いの後、ここで居飛車側の次の指し手には様子見以上の何かがありそうです。羽生王位の方針がうかがえると思います。 18 8四飛(82) ( 0:00/00:00:00) *後手は歩を突くと隙が出来やすいため、一手一手が難しい。この△8四飛は▲7八飛〜▲7四歩の筋を先受けしながら、場合によっては逆に△7四歩と突く手を見せている。 * *【北海道のお菓子】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-9339.html 19 2二角成(88) ( 0:00/00:00:00) *藤井はこのタイミングで角を交換した。後手の8四飛型は立石流のような駒組みには対応しているが、先手がそうしない場合は当たりが強くなっている意味もある。 * *【角交換のタイミング】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-ec87.html 20 同 銀(31) ( 0:00/00:00:00) *△2二同玉は▲7四歩と突かれる手が嫌味。対して△同歩や放置は▲6六角の王手飛車だし、△同飛も▲8三角の両取りがある。 21 8八銀(79) ( 0:00/00:00:00) *この局面で1日目の昼食休憩に入った。消費時間は▲藤井1時間14分、△羽生2時間5分。昼食は、羽生が天ざるそばとオレンジジュース。藤井は鴨せいろそばとオレンジジュース。対局は13時30分に再開される。 *「後手は駒組みを進めるか、8筋の歩交換をするかで時間を使っていると思います。△3三銀や△5四歩は駒組みの手で穏やかです。問題は△8六歩▲同歩△同飛です。飛車を浮いてから歩を交換するのは手損になりますが、後手は8四飛型で当たりが強いので、じっとしていると▲7七銀〜▲8八飛〜▲8六歩と反撃される恐れもあります。判断の難しいところです」(屋敷伸之九段) * *【昼食休憩に入る】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-97d2.html * *【Twitter解説】 *平藤眞吾>△8四飛をみて角交換から▲8八銀。なるほどこれで後手の飛車を目標にする作戦ですか。流石のうまさを感じさせられますね。 22 8六歩(85) ( 0:00/00:00:00) *再開の一手は△8六歩。 *昼食時の関係者の雑談でも候補に挙がっていたが、一度△8四飛と浮いているだけに指しにくいかと見られていた。先手から▲同歩△同飛▲8八飛と反撃する筋が消えたから決行したのかもしれない。 * *【Twitter解説】 *平藤眞吾>△8六歩から飛車先交換。意外でしたが、これは▲7七銀から▲8八飛を積極策で防いだ意味だと思います。これに対し藤井九段の切り返しが見物ですね。 23 同 歩(87) ( 0:00/00:00:00) *【休憩中の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-eb76.html 24 同 飛(84) ( 0:00/00:00:00) *ここで▲8七歩と受けるのも自然だが、振り飛車は相手の動きに乗じてさばいていく戦法。何か手立てを講じたいところだ。 * *【Twitter解説】 *平藤眞吾>飛車先交換を意外に思ったのは、まだ後手の陣形が不十分な状態で本格的戦いに入ると、振り飛車ペースになってしまうからです。1日目から結構厳しい選択で緊迫感があります。 * *【対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-2985-2.html 25 7九金(69) ( 0:00/00:00:00) *やはり。この手は次に▲7七銀〜▲8八飛のぶつけを狙っている。飛車交換になれば先手陣のほうが隙が少ない。 26 5二金(61) ( 0:00/00:00:00) *一段目にいる金は隙がなく、飛車の打ち込みに強いとされる。この△5二金右はそのセオリーの逆を行く手。▲7七銀から飛車ぶつけの筋には、どう応じるつもりなのだろう。 * *【Twitter解説】 *平藤眞吾>▲7九金はいかにも決戦を狙う一手。対して堂々と△5二金右。どちらの見解が正しいのか、こういうのはセンスがものを言いますが、どちらも抜群の棋士ですからね。 * *【決戦の予感】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-095e.html 27 7七銀(88) ( 0:00/00:00:00) *1日目の午後早くから激しくなった。△8七飛成は▲8六歩で竜が捕獲されてしまうので、まずは飛車を引く一手。 28 8四飛(86) ( 0:00/00:00:00) *8四へ。△8二飛は▲5六角(▲8三歩〜▲8八飛の狙い)と打たれる手を気にしたのだろうか。 * *【Twitter解説】 *平藤眞吾>一手一手が難しい場面に見えるのですが、定跡のようにスラスラと進んでいきますね(笑)。いっぺんに有利になるとしたら振り飛車側だと思います。リスクが小さく、アマの方にお勧めな作戦かもしれませんね。穴熊にされてませんし。 29 7六角打 ( 0:00/00:00:00) *なんとも味わい深い角打ち。次は▲8八飛から飛車を交換し、桂を入手して▲4四桂を目指す。 *そこまで実現すれば先手優勢。後手は△3三銀と上がって形を整えるか、それとも飛車交換を拒否する方法を考えるか。 * *15時過ぎ、▲7六角までの消費時間は▲藤井1時間52分、△羽生2時間35分。 * *【午後のおやつ(1日目)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-ecc5.html 30 8五歩打 ( 0:00/00:00:00) *先回りして歩を打ち、飛車交換を回避。ただこの歩は狙われやすく、たとえば単純に▲8八飛とされたらどうするのだろう? * *【Twitter解説】 *平藤眞吾>この展開になってみると、細かなところで9筋の端歩の交換は後手が得しているような気もします。なんとなくですが桂香が軽いです。▲7六角に△8五歩ですか。これもその効果が少し出てます。▲8八飛には△9三桂です。 * *※感想戦※ *「変な手ですが、飛車交換になってしまうと陣形の差が出てしまうので」(羽生) 31 8八飛(68) ( 0:00/00:00:00) *【函館の観光名所(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-4ed6.html 32 9三桂(81) ( 0:00/00:00:00) *Twitter解説の平藤七段がコメントした通りの展開。 *ここは▲9七桂と跳ねる手が自然だろうか。思い切りよく行くなら▲9五歩△同歩▲9二歩△同香▲6五角という手もある。以下△8二飛なら▲9五香と走り、▲9三香成〜▲4四桂を狙う。▲6五角に△8一角も、▲9五香△9四歩▲8二歩△同飛▲9四香という感じで先手がやれそうだ。 *△9三桂までの消費時間は▲藤井2時間16分、△羽生2時間56分。16時半過ぎ、藤井のこの局面での考慮が1時間を超えている。 * *【Twitter解説】 *平藤眞吾>ここで先手に後続手があるのかが肝心なところですが平藤にはまだ何も見えません(苦笑)角を投入してるので▲9七桂では不満でしょう……と現地解説をみるとなるほどという変化が書いてあるよ! *明日は糸谷六段がたっぷりこってり解説してくれるはずです。上級者、とくに玄人筋のヒトはお楽しみに(笑)。今日はなんとなくのふわっとした解説ですみません。力戦形の序盤は答えがあるというわけでないので両人の個性がみどころと思いますが、魅力たっぷりの展開ですね。 * *【構想を練るための長考】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-bcc5.html * *※感想戦※ *「普通は▲6六銀から▲7七桂なのですが、角を手放しているので長い将棋になるのはちょっと」(藤井) 33 9五歩(96) ( 0:00/00:00:00) *16時49分、藤井が決断の▲9五歩を着手した。 * *【Twitter解説】 *平藤眞吾>▲9五歩△同歩▲9二歩△同香▲6五角△8一角▲9五香△6四歩▲5六角△9四歩▲8二歩△同飛▲9四香△8四飛▲8二歩△5四角は先手成功とはいえません。▲9五歩△同歩に単に▲6五角など研究してたら……。 * *【続・北海道のお菓子】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-da29.html 34 同 歩(94) ( 0:00/00:00:00) *【箭子涼太3級が来訪】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-d01f.html * *※感想戦※ *「ここで▲9二歩△同香▲9五香でしたか?」(藤井) *「△9四歩で……あ、そうか。それで▲6五角なら37手目に△同香と取った変化になるんですね」(羽生) *「本譜は△9五歩を許してしまったので、余計な変化を与えてしまったかなと」(藤井) 35 同 香(99) ( 0:00/00:00:00) *シンプルに香を走る。なるほど、△9四歩と打たせてから▲9二歩△同香▲6五角のほうが変化される余地がなさそうだ。 *「ははは、平藤さんのTwitter解説は棋風通りでかろやかですね」(パソコンをのぞきこんだ屋敷伸之九段) * *【Twitter解説】 *平藤眞吾>単に▲9五同香!なるほど先の手順(△9五同歩のときに▲9二歩△同香▲6五角△8一角▲9五香△6四歩▲5六角△9四歩▲8二歩△同飛▲9四香△8四飛▲8二歩△5四角)で△6四歩を突く暇を与えない手順でしょうか……と思ったら△6四歩には▲9二角成△同角▲9三香成は大変が平藤の見解でした!?……ん?まだ理解できてません。 *糸谷風?を気取って手順を掘り下げてみたら訂正したいことばかりになりました(-_-;) *くどくなりすぎるのでやめときます。負けました。……ということで改めて△6四歩を突く暇を与えない手順ということだと思います。 * *【藤井九段、決断】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-58b9.html * *【封じ手迫る】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-eebf.html 36 9四歩打 ( 0:00/00:00:00) *先手の狙い筋は▲9二歩〜▲6五角と、桂を入手しての▲4四桂。後手はどこかで△8六歩と突いて反撃したい。 *この局面で定刻となり、藤井が次の手を封じた。1日目の消費時間は▲藤井3時間59分、△羽生3時間43分。このあとは関係者の夕食会が行われる。 * *【Twitter解説(1日目)】 *平藤眞吾>ちょっと考えすぎてオーバーヒートしてしまいました(笑)。考えはまとまりませんでしたが、印象として難局というのが平藤の見解です。先手がリードするのかなと思っていたのですが……封じ手予想は▲9二歩です。 *藤井システムの対決もみたかったですが、本局もすごくわくわくさせられる将棋だと思います。羽生王位の受けて立つ姿勢が挑戦者の個性も引き出してそうさせているのかなというのが個人的な印象です。今日はありがとうございました。 * *【Twitter解説(2日目)】 *糸谷哲郎>お早うございます。本日の解説を務めさせて頂きます糸谷です。よろしくお願いいたします。封じ手ですが、▲9二歩と予想致します。 * *【夕食会】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-1a67.html 37 9二歩打 ( 0:00/00:00:00) *25日9時、立会人の勝浦修九段が封じ手を開封した。読み上げられたのは、大方の予想通りの▲9二歩だった。 *9時半過ぎ、まだ羽生の着手はない。パッと目に映るには△同香▲6五角△8一角▲8二歩△同飛▲9四香△8四飛▲8二歩△7二角▲9二角成△9四飛▲8一歩成△6四歩のような順。先手が▲8二とからと金を活用するのが早いか、後手が飛車の成り込みや△2四香の筋で攻める手が早いかの勝負になりそうだ。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>封じ手は▲9二歩でした。△同香▲6五角と進みまして、次の手が難しいですね。△7四歩などが候補でしょうか。おそらく△7四歩か△8六歩かの選択になります。△8一角は▲8二歩と叩かれてしまいつらそうですね。 *▲9二歩には△同香か△9五歩が候補手ですが、△9五歩には▲9一歩成△7四歩▲6五角のような進行が一例でしょうか。 * *【封じ手は▲9二歩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-1a67.html * *【Twitter解説は糸谷六段】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/twitter-3dea.html * *※感想戦※ *△9二同香は▲6五角△8六歩▲8五歩△6四飛▲9二角成△9五歩▲9三馬△6七飛成▲6八金△6四竜▲8六飛の進行が考えられる。 *「封じ手のあたりはこんな感じになるかと思っていました。桂得ながら、目的がはっきりしないなと」(藤井) *「本譜も自信がないですが、これをやりたいかと言われると……1枚損なので」(羽生) 38 9五歩(94) ( 0:00/00:00:00) *10時4分、およそ1時間の考慮で羽生が△9五歩と香を取った。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>△9五歩でした。▲9一歩成△7四歩まではすらすらと進みそうです。その局面の候補手は▲6六銀、▲6五角、▲9四歩あたりでしょうか。 * *【意外な一手】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-bcbf.html 39 9一歩成(92) ( 0:00/00:00:00) *先手は▲9二と〜▲9三とが間に合えば勝ち。後手は動いていくしかないが、筋とばかりに△8六歩は▲同銀で何も起こらない。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>▲9一歩成△7四歩▲6六銀△6四香が一番自然な進行でしょうか。 * *【動画公開中】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-1a67.html 40 7四歩(73) ( 0:00/00:00:00) *「封じ手の▲9二歩には、こう指すものなんだろうね。△同香は▲6五角で早くなっちゃうものね」(勝浦修九段) * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>△7四歩まで進みました。▲9二とは△7五歩▲6五角のとき、▲9二角成の狙いが消えていて味が悪いので指しにくいですね。桂を取りに行くなら▲9四歩ですが、歩切れになりますので、▲6六銀か▲6五角から考えたいです。 *▲6六銀に気になる手は△6四香でしょうか。△8六歩には▲8五歩△9四飛▲9二と、△9六歩には▲9八飛で良さそうですので、△6四香のときにどうするかですね。▲9二とか▲7四歩が利けば▲6六銀が本命なのですが。 *▲6六銀に△6四香が厳しそうなので、▲6五角が最有力候補と思われます。△8六歩は▲同銀、△6四歩は▲7四角が厳しそうなので、△7三銀▲9二と△6四銀▲5六角あたりが自然な進行でしょうか。 * *【藤井九段、長考の気配】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-a024.html * *【2日目朝、対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-1a67.html 41 6五角(76) ( 0:00/00:00:00) *10時50分、藤井が▲6五角を着手。全体の消費時間は5時間弱で、ほぼ並んでいると思われる。 *控え室では立会人の勝浦九段と副立会人の屋敷九段が継ぎ盤を挟んでいるが、後手を持った勝浦九段が終始「いそがしい、いそがしいね」とぼやいている。 *勝浦九段は北海道紋別市出身。王位戦では第17期(1976年度)に挑戦者となったが、当時の中原誠王位に敗れている。そのシリーズで勝浦九段は、四間飛車、中飛車、角換わり、雁木からの右玉とバリエーションに富んだ作戦選択をしていた。 *屋敷九段も第42期(2001年度)に王位戦七番勝負に登場している。そのときの王位は羽生で、戦型は急戦矢倉、横歩取り、四間飛車、相振り飛車とやはり多彩な戦型が指されていた。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>▲6五角ということで、前述の手順のように進むのが自然かと思われます。後手は▲9二とを間に合わせてはいけませんので、少々忙しい局面ですね。 *6五角がこの位置にある間は、▲4四桂の筋がありますので、後手から決戦をしかけるのは厳しいと思われます。よって角を追い払わなければならないのですが、△6四歩▲7四角△8六歩▲8五歩のような展開では不満ですので、遅いようでも△7三銀が本命です。△7三銀には▲9二とが自然なのですが、△6四銀に角を引かされる展開を嫌えば▲9四歩もあるかもしれません。ただ、やはり歩切れになりますので▲9二と△6四銀にどちらに角を引くかで悩みたいところです。 *他の候補としては△5四歩として△6四香を狙う手などでしょうけれども、▲7四角とされ△8六歩など強く戦いを挑むのは先手陣の隙のなさもあり微妙です。 * *【控え室の検討(41手目の局面)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/41-ef55.html 42 3三銀(22) ( 0:00/00:00:00) *このタイミングで、じっと△3三銀。壁形を解消しながら▲4四桂の筋を消す大きな一手だ。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>△3三銀は意外な一手です。▲9二とには△8六歩▲同銀と進め、そこで△9九角か△8五香から勝負することによって桂取りを甘くさせようということでしょう。しかし、▲7四角では△8六歩▲同銀△9九角で自信がありませんので、▲9二とから決戦になると思われます。 * *【函館朝市】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-38d1.html * *※感想戦※ *「しょうがないですね」(羽生) 43 9二と(91) ( 0:00/00:00:00) *▲4四桂の筋は消えたが、やはりこのと金引きが厳しい。 * *【函館の観光名所(3)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-5619.html * *【ご当地バーガー】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-8b53.html * *※感想戦※ *「と金が残って忙しいですね」(羽生) 44 8六歩(85) ( 0:00/00:00:00) *綱渡りの攻めだが、「駒は取られる直前が一番働く」という言葉もある。 *控え室の見解は先手持ち。ここ数手が勝負どころとなり、藤井がうまく立ち回れば優勢を確立できそうだ。後手側を持つ勝浦九段のぼやきが間断なく聞こえてくる。 *12時半を回り、2日目の昼食休憩に入った。消費時間は▲藤井5時間36分、△羽生5時間29分。両者の昼食メニューは、羽生が松花堂弁当(帆立ご飯)とオレンジジュース。藤井が洋食風弁当(道産牛ステーキ)とオレンジジュース。対局は13時30分に再開される。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>▲同銀△9九角▲8五歩△同桂▲9五銀△8八角成▲同金△6八飛▲8四銀△8八飛成が自然な流れでしょうか。先手の方が玉は薄いのですが、恐らく8四の飛車を取りきれるので駒得が出来そうです。 *現局面は難解ですが、強いて言えばと金をつくり駒得が見えている先手の方が多少模様がいいように思えます。ただし攻め合いになってしまうと、いかんせん玉が薄いのが難点です。 * *【昼食休憩に入る(2日目)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-89f2.html * *※感想戦※ *「最初は▲8六同飛以外を考えていました。しかし▲9三とは△6四香で自信がないし、▲8六同銀も△8五香▲8七香△9九角でまずい。消去法で▲8六同飛を選んだ感じです」(藤井) 45 同 飛(88) ( 0:00/00:00:00) *なんと再開後の一手は▲8六同飛。これは検討されていなかった。屋敷九段はモニターを見つめながら「ええ、そうですね。飛車を交換しようとしています」。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>▲同飛は意外です。△8五香が見えているだけに指しにくい一手ですが……△8五香▲4六飛△8九香成▲6八金のように進むのでしょうか?△同飛▲同銀△8三香なども嫌味に見えます。 *△8五香▲4六飛△8九香成のとき▲8六香には△8五桂が味の良い一手ですので、▲6八金かと思うのですが、その局面は美濃が固くなっているというのが先手の主張でしょうか。△同飛▲同銀△8三香はもう▲8七歩くらい打ってしまうのでしょうね。 * *【本局初の飛車ぶつけ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-7c95.html * *【休憩中の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-eb76-1.html 46 同 飛(84) ( 0:00/00:00:00) *【函館の観光名所(4)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-2b4a.html 47 同 銀(77) ( 0:00/00:00:00) *【対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-2985-3.html 48 6四香打 ( 0:00/00:00:00) *△8六同飛からここまで、ほぼ間を置かず進んだ。好位置にいる角の動向を聞き、それに合わせて手を選ぼうとしている。 *「▲7六角は一回△7五歩が気になるので、▲5六角かなと思います」(屋敷伸之九段) *14時15分、モニターから「藤井先生、残り2時間です」と告げる声が聞こえた。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>△6四香まで早かったですね。▲5六角が第一感です。△7六角の追撃に▲6九香を打ってみたいですね。 *▲7四角は△6七香成で先手玉が薄いですし、▲7六角は△7五歩から手順に歩切れを解消されるのが悔しいですので、▲5六角が第一候補です。後手の追撃としては△7六角や△7六飛が挙げられます。△7六角には▲6九香、△7六飛には▲7七銀と受けるのでしょうか。 * *【羽生の早指し】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-d3ce.html 49 5六角(65) ( 0:00/00:00:00) *ていねいに時間を使い、▲5六角と引いた。余裕を持って▲9三とと取る順番が回ってくれば先手優勢になる。 * *【飛車か角か】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-f3af.html * *※感想戦※ *△7六飛は▲7七銀△5六飛▲同歩△6七香成▲6八銀で先手よし。以下△3五角は▲4六香で、△7六角も▲8一飛△5一銀▲9三ととなって優勢。 50 7六角打 ( 0:00/00:00:00) *急ぎ足の△7六角。△6七香成から△5八成香となれば厳しい。しかし攻め駒が少なく単調な印象もあり、先手としてはここさえ凌げばというところだろう。 *△7六角までの消費時間は▲藤井6時間2分、△羽生5時間50分。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>△7六角には▲6九香を打ちたいですね。△8五桂に▲8八歩と打って▲8一飛を楽しみに指してみたいです。 * 51 6九香打 ( 0:00/00:00:00) *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>△8七角成ならば▲8一飛、△8五桂ならば▲8八歩と打って先手が固く見えます。 * *【函館の観光名所(5)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-b53f.html * *※感想戦※ *ここで△8五桂なら、まだ難しい戦いが続いていたようだ。 *以下▲7四歩は△8七飛▲7三歩成△同銀▲7五飛△8六飛成▲7三飛成△9八角成で、次に△8八歩があるので後手相当だ。 *「そうか、△8五桂ですね。苦しいと思っていましたが、難しくなる順があったんですね」(羽生) 52 7五歩(74) ( 0:00/00:00:00) *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>△7五歩でしたね。▲9三とと取りそうに思えます。そののちは△8八歩▲同金△7九飛▲5九飛のような展開でしょうか。 * *【午後のおやつ(2日目)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-b7c2.html * *※感想戦※ *「△7五歩▲9三とで切れてしまいました。△8五桂と逃げるのが急所だったのかぁ」(羽生) *△8五桂が難解だったとすると、先手は35手目▲9五同香のところで▲9二歩△同香▲9五香△9四歩▲6五角の順を選ばなければいけなかったかもしれない。 53 9三と(92) ( 0:00/00:00:00) *いよいよ▲9三とが実現した。これで先手桂得。さあ後手からどんな攻めが来るのか。ここまでの消費時間は▲藤井6時間42分、△羽生6時間2分。 *控え室では△8八歩▲同金△7九飛の順を調べている。そこで6九の香をどう受けるかだが、▲5九飛と打つ手があるようだ。この手はTwitter解説の糸谷六段も挙げていた。先手は先に駒得しているので、自陣飛車を打たされてもくやしくない。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>後手の攻めがいまだに分かりません。△8七角成なら▲7七銀、△9八角成なら▲8八歩が固い受けに見えます。 * *【大盤解説会情報】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-1cd6.html 54 8八歩打 ( 0:00/00:00:00) *最後の歩を8八へ。羽生の攻めは滅多に切れないが、本局はその心配が出てきたか。 55 同 金(79) ( 0:00/00:00:00) *【控え室の検討】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/53-cefc.html 56 7九飛打 ( 0:00/00:00:00) *△8八歩から△7九飛も、パタパタと進められた。 *対して▲5九金は△6七香成でまずい。6九香が動くと5九金が取られてしまう。 57 5九飛打 ( 0:00/00:00:00) *そして▲5九飛もノータイム。羽生も藤井も早い。 *「先ほど控え室で、△5四歩▲7七銀△5五歩▲8三角成△6七香不成▲6八歩の順を調べていました。しかしそこで△8七歩と打たれると先手が嫌かもしれません。ですので、△5五歩のときに▲4五角△4四歩▲6八銀といった順でどうでしょうか」(箭子3級) * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>▲5九飛まで進みました。後手の手のつなぎ方が難しいですが、△6七香成や△1五歩などで8筋に打つ歩を入手しに行くくらいでしょうか。 *△5四歩は▲7七歩△5五歩▲4五角で後手困っているように思います。 58 6五角(76) ( 0:00/00:00:00) *これはまた浮かびにくい手が出た。角交換から△9九角という狙いなのかもしれないが、それがいかほど厳しいのか。 *ひとまず▲7七銀と引く筋を指してみたいが……。 * *【Twitter解説】 *△6五角でした。狙いは角を入手しての△9九角でしょうか。▲7七銀にも△5六角▲同歩△9九角と指すつもりかもしれません。 59 同 角(56) ( 0:00/00:00:00) *一回は角を取った。△同香の形は6五の地点に壁ができるため、後手の飛車が狭くなっている。 *▲6五同角までの消費時間は▲藤井6時間55分、△羽生6時間46分。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>▲同角△同香▲6八角△7六飛成▲7七金△6七香成▲7六金△同歩▲8三とでどうでしょうか。先手陣の堅さが際立つ展開にも思えます。 60 同 香(64) ( 0:00/00:00:00) *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>▲7七銀△9九角▲6八銀△8八角成▲7九銀△同馬▲7七桂もありそうですね。 61 6八香(69) ( 0:00/00:00:00) *歩を突くように、スッと香が上がった。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>▲6八香でしたか。一度受けに回ったので指しにくいと思いましたが、桂得を丁寧に生かしていく方針ですね。△5九飛成▲同金△7九飛▲6九飛では受けきりですので、▲同金に△6七香成から△8七歩と叩いていくくらいでしょうか。 * *※感想戦※ *「ええ、そうですよねぇ」(羽生) 62 5九飛成(79) ( 0:00/00:00:00) *【現地大盤解説会】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-693c.html 63 同 金(49) ( 0:00/00:00:00) *駒台の角を右にずらし、ゆったりとした手つきで飛車を取る。先手陣は金銀がバラバラだが隙がない。 64 7九飛打 ( 0:00/00:00:00) *糸谷六段が受け切りと言っていた局面に進んでいく。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>△7九飛でしたね。▲6九飛と打って次の攻めが難しいように思ったのですが。 65 6九飛打 ( 0:00/00:00:00) *△7六飛成は▲7七金なので、△同飛成の一手だろう。そこでどんな継続手があるのか。先手はと金を寄せていくだけで攻めになるからわかりやすい。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>△6九飛成▲同金の後△3五歩くらいしか手が見えません。先手はっきりよしに見えます。 66 同 飛成(79) ( 0:00/00:00:00) 67 同 金(59) ( 0:00/00:00:00) *金を6九に呼んだため、4八の地点が薄くなった。しかし△9九角▲9八飛△8八角成▲同飛△4八金の単純な攻めは、▲3九桂くらいでも続きそうにない。 * *【先手優勢】 *http://kifulog.shogi.or.jp/oui/2012/07/post-05e5.html * *※感想戦※ *「△9九角▲7八金寄△5五角成には、▲1五歩と攻めるつもりでした。優勢なほうは端をいじっちゃいけないと聞いたことがあるんですけれど」(藤井) *「それはまったく気がつかなかった。そうか、▲1五歩に△同歩▲1二歩△同香▲1三歩で応手がありません」(羽生) 68 3五歩(34) ( 0:00/00:00:00) *糸谷六段の予想が当たっている。この局面は先手よしという形勢判断も合っているのかどうか。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>△3五歩でした。▲7八金寄くらいが自然でしょうか。固く受けるなら▲4八桂もありそうですが、少々指しにくいですね。 69 7八金(88) ( 0:00/00:00:00) *△3五歩は△3六歩▲同歩△5五角の両取り狙いだった。その筋を事前に避ける▲7八金寄。 *17時少し前、消費時間は▲藤井6時間59分、△羽生7時間13分。羽生は残り1時間を切っている。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>△5五角と単に打つのが筋でしょうか。△3六歩▲同歩を入れてから△5五角と打つと、▲3七桂と幸便に活用されてしまいますので、黙って△5五角と打ち次の△3六歩を狙った方がいやらしいのではないかと思います。 70 3六歩(35) ( 0:00/00:00:00) 71 同 歩(37) ( 0:00/00:00:00) *見る聞くなしという感じで、時間を使わずに▲同歩。 72 5五角打 ( 0:00/00:00:00) *この手順は▲3七桂と活用できるというのが、糸谷六段の見解。 *解説会場から戻ってきた屋敷九段は「王手ですね。応手はいくつかありますが、どれも良さそうに見えます」。 73 3七角打 ( 0:00/00:00:00) *角で。△同角成は▲同桂と使うことができる。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>▲3七角でした。固く受ける方針のようですね。つらいですが△9九角成くらいでしょうか。 74 9九角成(55) ( 0:00/00:00:00) *ここで▲7七桂が成立すれば幸便だ。以下△8九飛の金銀両取りに▲7九飛と合わせ、△8六飛成▲9九飛△7六歩▲6五桂△7七歩成。さすがにちょっと指しにくい順かもしれない。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>▲7九金引くらいでしょうか。▲7七桂は多少△8九飛が気になります。 75 7九金(69) ( 0:00/00:00:00) *四間飛車の達人、森安秀光九段を思い出させる金の動き。3六歩・3七角の形になって、先手陣はますます隙がなくなってきた。 76 4四馬(99) ( 0:00/00:00:00) *敵陣では手が作れないと判断し、馬を作って粘りに出る。 77 8三と(93) ( 0:00/00:00:00) *いよいよ、そして堂々の進軍。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>▲8三とでと金が間に合ってしまってはつらい展開ですね。先手はもうと金を寄せていくだけで攻めになります。 78 6四歩(63) ( 0:00/00:00:00) *もう大丈夫だろうと思ったところに、こういう怪しげな手が飛んでくる。羽生に11連敗中の藤井は、過去の呪縛とも戦わなければいけない。 79 7二と(83) ( 0:00/00:00:00) 80 6三銀(62) ( 0:00/00:00:00) *常識的には▲9二飛と打って▲6二とを狙えばよさそうだが……。△5四歩の受けは▲7三とで攻めが早くなる。 *△6三銀までの消費時間は▲藤井7時間13分、△羽生7時間28分。 81 9二飛打 ( 0:00/00:00:00) 82 5四銀(63) ( 0:00/00:00:00) 83 6二と(72) ( 0:00/00:00:00) 84 4二金(52) ( 0:00/00:00:00) *▲9二飛からここまで、またノータイムの連続。 85 5六桂打 ( 0:00/00:00:00) *これもノータイム。△5五馬に▲6四桂と跳ね、5二の地点を狙う手が厳しい。 86 5五馬(44) ( 0:00/00:00:00) *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>▲5六桂は△5五馬に構わず▲6四桂と跳ねだそうという手ですね。△5五馬▲6四桂△3七馬▲同桂△5九飛が嫌味ですが▲3九角で受かっているように見えます。 87 6九金(79) ( 0:00/00:00:00) *▲6四桂は、糸谷六段が指摘した△3七馬から△5九飛の順が気になったのかもしれない。 *万にひとつも負けのない形にしたい。藤井の心の声が聞こえてくるようだ。 * *※感想戦※ *「終盤で隙間なく。手堅いです」(羽生) 88 3七馬(55) ( 0:00/00:00:00) 89 同 桂(29) ( 0:00/00:00:00) 90 1五歩(14) ( 0:00/00:00:00) *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>▲6九金は手堅い手でした。△1五歩は嫌らしい手で、おそらく▲同歩△同香▲同香には△1七角と打ち込む予定でしょう。 91 6四桂(56) ( 0:00/00:00:00) *端歩を取る手もあったかもしれないが、藤井は▲6四桂を選んだ。△1六歩に▲1八歩と低く受けたほうがいいと見た。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>▲6四桂でした。△1六歩に一回▲1八歩と受けて、あとは▲5二とだけで勝てるという読みだと思います。▲1八歩△3五歩▲5二との進行は先手勝ちです。 92 1六歩(15) ( 0:00/00:00:00) 93 1八歩打 ( 0:00/00:00:00) *▲5二と〜▲4一ととなれば後手玉は受けなし。△1七角の打ち込みも▲同歩△同歩成▲3九玉と逃げれば響きが薄い。 *棋譜を取りにいった関係者は、「羽生さんはまだまだ頑張る雰囲気でした」。 *▲1八歩までの消費時間は▲藤井7時間32分、△羽生7時間30分。 94 9六角打 ( 0:00/00:00:00) *▲8七歩と受けられて、その次はどうするのだろう? *5二には利いているが、もう受けだけの手では足りない。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>△9六角は凄い粘りですね。▲8五角で勝っていそうですが、▲8七歩が安全でしょうか。 95 8五角打 ( 0:00/00:00:00) *敢然と決めに出た。△7八角成▲同金△4八金の攻めは見えているが、おそらく読み切っての着手だろう。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>▲8五角でしたね。△7八角成▲同金△4八金▲5二とで先手勝ちと思います。以下△3九飛などの攻めに対しては▲4二と△同金▲2九金と受けて、詰めろがかからないので先手勝ちですね。 * *※感想戦※ *「△7八角成は▲同金△4八金▲5二と△5九飛に、▲4二と△同金▲2九金で詰めろが来ないので」(藤井) *「ええ、全然届かないです」(羽生) 96 同 角(96) ( 0:00/00:00:00) *△7八角成以下の順には踏み込まず。羽生は残り3分まで考えて△同角を選んだ。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>△同角でしたね、踏み込む順は明快な負けとみたのでしょうか。しかし粘る手も思いつきません。 97 同 銀(86) ( 0:00/00:00:00) *席を立っていた藤井に「残り20分です」の声。席につくとすぐに▲同銀を着手。 98 8六飛打 ( 0:00/00:00:00) *△8六飛までの局面、残りは▲藤井20分、△羽生3分。 *着手後、羽生は急ぎ足で手洗いに向かった。 99 5二と(62) ( 0:00/00:00:00) *羽生が戻ってくるのを待ってから▲5二と。藤井、余裕がある。 100 8九飛成(86) ( 0:00/00:00:00) 101 4一と(52) ( 0:00/00:00:00) *先手玉は詰まない。後手玉は▲4二とからの詰めろ。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>▲4一とが詰めろですので明確に先手一手勝ちです。 102 同 玉(32) ( 0:00/00:00:00) *先手玉に詰みはないので、駒を渡さずに必至をかければ勝ち。しかし▲5二金の王手も相当に追えるため、詰むかどうかも精査したい。 *モニターから藤井の悩ましげなため息がもれ聞こえる。 103 5二金打 ( 0:00/00:00:00) *「えっ……。これ、詰まないと思うんだけど」(勝浦修九段) 104 3二玉(41) ( 0:00/00:00:00) *▲4二金△同銀▲4一角△同玉▲5二桂成△3二玉▲4二成桂△3三玉……詰まないように見える。 105 4二金(52) ( 0:00/00:00:00) *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>▲4二金に△同銀なら▲4一角から即詰み、△2二玉なら▲3一角△1二玉▲4三金で勝ちでしょうか。 * *※感想戦※ *△2二玉なら詰まないが、玉を1筋に追い込めば先手玉が安全になる。 106 同 銀(33) ( 0:00/00:00:00) * 107 4一角打 ( 0:00/00:00:00) 108 同 玉(32) ( 0:00/00:00:00) 109 5二桂成(64) ( 0:00/00:00:00) *「詰むの?」 *「詰んだ?」 *「どうやって?」 *控え室は状況を把握しきれず、混乱している。 110 3二玉(41) ( 0:00/00:00:00) 111 4二成桂(52) ( 0:00/00:00:00) *「そうか、さっきの変化と違って銀が8五にいるから」 *「詰みだ」 *カメラマンが一斉に立ち上がった。 112 3三玉(32) ( 0:00/00:00:00) 113 3二成桂(42) ( 0:00/00:00:00) 114 4四玉(33) ( 0:00/00:00:00) 115 3五銀打 ( 0:00/00:00:00) *この手を見て羽生が投了を告げた。以下は△5五玉▲4六銀△6四玉▲7四金まで。8五に移動した銀がよく利いている。 *終局は18時45分、消費時間は▲藤井7時間47分、△羽生7時間57分。 *これで七番勝負は1勝1敗。第3局は8月1、2日に長崎県長崎市「ホテルニュー長崎」で行われる。 * *【Twitter解説】 *糸谷哲郎>25手目の▲7九金からの構想が素晴らしく、藤井挑戦者が一局を通じてずっと優位に立っておられました。中盤難しいところはありましたが、藤井挑戦者の会心譜ではないでしょうか。皆さまお疲れ様でした。 116 投了 ( 0:00/00:00:00) まで115手で先手の勝ち