# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.02 棋譜ファイル --- 対局ID:6336 記録ID:593a052c70e24c00048761f6 開始日時:2017/06/17 09:00 終了日時:2017/06/17 19:14 表題:棋聖戦 棋戦:第88期棋聖戦五番勝負 第2局 戦型:角換わり腰掛け銀 持ち時間:各4時間 消費時間:125▲235△239 場所:愛知・ホテルフォレスタ 備考:昼休前50手目12分\n 振り駒:なし 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:00〜13:00 昼休前消費時間:50手12分 手合割:平手   先手:羽生善治棋聖 後手:斎藤慎太郎七段 手数----指手---------消費時間-- *羽生善治棋聖に斎藤慎太郎七段が挑む第88期棋聖戦五番勝負は、棋聖先勝でスタート。羽生が連勝で10連覇にあと1勝と迫るか、斎藤が勝ってタイにするか。第2局は6月17日(土)、愛知県豊田市「ホテルフォレスタ」で行われる。持ち時間は各4時間、対局開始は9時。先手番は羽生。 *立会人は木村一基八段、副立会人は豊島将之八段、記録係は柵木幹太三段(増田裕司六段門下)。同時開催される「第13回とよたふれあい将棋フェスティバル」には杉本昌隆七段、澤田真吾六段、村田顕弘五段、竹内貴浩指導棋士四段、室田伊緒女流二段、中澤沙耶女流初段が出演する。 *8時45分、斎藤入室。下座に腰を下ろし、信玄袋から扇子を取り出す。8時51分、羽生入室。上座に着くと、お盆の位置を後ろに下げる。羽生が駒箱を開け、2人が駒を並べていく。 * *※局後の感想※ *39手目、50手目、53〜54手目、63手目、66手目、71手目、74手目、80手目、84〜85手目、87手目、125手目に記載。 * *(棋譜・コメント入力=文) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手] 1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *9時、木村八段が「定刻になりました」と告げて対局開始。両対局者が深々と頭を下げる。羽生は口元に手をやってうつむいてから、盤上に手を伸ばした。 * *【開始直前の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/2017/06/post-86dd.html 2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *斎藤の着手を見て、対局室から関係者が退室する。羽生は湯呑みのお茶を飲む。 * *【対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/2017/06/post-75cb-1.html 3 2六歩(27) ( 3:00/00:03:00) *羽生は飛車先を突いて角換わり志向。前夜祭では木村八段が予想していた。控室では「余り歩がありませんでしたね」と関係者。今回使われている駒は木村文俊作、菱湖書の盛上駒。2枚の歩は漆が飛んでいたため、あらかじめ除いておいたという。駒師の木村文俊は木村義雄十四世名人の弟だ。 4 3二金(41) ( 0:00/00:00:00) *棋聖戦は産経新聞社が主催する棋戦。1962年に始まり、1994年まで1年に前期と後期の2期が開催されていた。1995年、第66期からは1年1期の開催になる。一次予選、二次予選の勝ち上がり者とシード棋士で決勝トーナメントを行い、挑戦者を決める。棋聖と挑戦者は五番勝負でタイトルを争う。 * *【将棋 - 産経ニュース】 *http://www.sankei.com/life/newslist/shogi-n1.html 5 7八金(69) ( 1:00/00:04:00) *◆羽生 善治(はぶ よしはる)棋聖(王位・王座)◆ *1970年9月27日生まれ、埼玉県所沢市出身。(故)二上達也九段門下。1985年、四段。1994年、九段。棋士番号は175。 *タイトル戦登場は130回。獲得は棋聖15期(永世棋聖)、竜王6期、名人9期(十九世名人)、王位18期(永世王位)、王座24期(名誉王座)、棋王13期(永世棋王)、王将12期(永世王将)の計97期。棋戦優勝は44回。 6 8五歩(84) ( 1:00/00:01:00) *◆斎藤 慎太郎(さいとう しんたろう)七段◆ *1993年4月21日生まれ、奈良県奈良市出身。畠山鎮七段門下。2012年、四段。2017年、七段。棋士番号は286。 *タイトル戦登場は1回。 7 7七角(88) ( 0:00/00:04:00) *豊田市は愛知県のほぼ中央に位置する市。人口は約42万人で名古屋市に次いで県内2位、面積は県内で最大。江戸時代に挙母(ころも)藩の城下町となり、現在の市の母体を作った。昭和に入ってトヨタ自動車が市内に進出すると、乗用車の生産で発展を遂げ、次々と工場を設立して「東洋のデトロイト」とうたわれるまでに成長した。デトロイトと豊田市は姉妹都市。 * *【豊田市公式ホームページ】 *http://www.city.toyota.aichi.jp/ 8 3四歩(33) ( 0:00/00:01:00) *対局場のホテルフォレスタヒルズは、広大な敷地を有する森に囲まれた緑豊かな総合リゾート施設。レストランやスポーツ施設を備え、結婚式場としても利用されている。棋聖戦の開催は2年連続12回目。女流タイトル戦も行われている。 * *【ホテルフォレスタヒルズ公式サイト/豊田市の緑豊かなリゾートホテル/岡崎市 ブライダル 結婚式場】 *http://www.forestahills.jp/ 9 8八銀(79) ( 0:00/00:04:00) *控室で木村八段と豊島八段が談笑している。「千日手の大御所がいないね」と木村八段が部屋を見回すと、豊島八段が笑った。澤田六段は千日手が多い棋士として知られる。 *木村八段は第80期の挑戦者。ホテルフォレスタで行われた第3局で2勝目をあげ、羽生をカド番に追い込んだものの奪取は成らず。副立会人の豊島八段は第86期に挑戦したが、やはり羽生の厚い壁に阻まれた。今日の木村八段の和服は、ホテルフォレスタで対局した際に着ていたものだ。 * *【第80期棋聖戦五番勝負第3局 ▲木村一基八段−△羽生善治棋聖】 *http://live.shogi.or.jp/kisei/kifu/80-03.html * *【棋聖戦中継 plus: 第80期棋聖戦五番勝負第3局】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/803/ 10 7七角成(22) ( 1:00/00:02:00) *戦型は角換わりに。「昨日、横歩取りって予想した人がいたね」と木村八段が横を見る。豊島八段は苦笑い。 * *【前夜祭 戦型予想】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/2017/06/post-4d31.html 11 同 銀(88) ( 0:00/00:04:00) *本局にはトヨタ自動車株式会社、豊田共栄サービス株式会社が協賛している。今年はトヨタグループの創始者、豊田佐吉の生誕150周年。2月には出身地の静岡県湖西市で式典が開かれた。 * *【トヨタ自動車WEBサイト】 *http://toyota.jp/ * *【豊田共栄サービス株式会社】 *http://www.toyota-kyoei.co.jp/ 12 2二銀(31) ( 0:00/00:02:00) *対戦成績は2戦して羽生の2勝。今月1日に行われた第1局は、急戦矢倉の立ち上がりから同型の持久戦に移行した。有望と見られていた斎藤だが、難解な局面を前に勝利をつかめず。終盤は詰むや詰まざるやの息詰まる攻防が繰り広げられた。 * *【第88期棋聖戦五番勝負第1局 ▲斎藤慎太郎七段−△羽生善治棋聖】 *http://live.shogi.or.jp/kisei/kifu/88/kisei201706010101.html 13 4八銀(39) ( 1:00/00:05:00) *羽生の今年度成績は3勝1敗(0.750)。 *勝率はランキング19位タイ。 *通算成績は1369勝544敗(0.716)。 *棋聖戦成績は115勝48敗(0.706)。初参加は第49期。第62期に谷川浩司棋聖(当時)を破り、22歳で初めて棋聖を獲得。棋聖獲得は15期で、永世棋聖の資格を持つ。前期は永瀬拓矢六段の挑戦を受け、フルセットの末に防衛。継続中の9連覇は歴代最多記録。 14 6二銀(71) ( 0:00/00:02:00) *斎藤の今年度成績は7勝2敗(0.778)。 *対局数はランキング8位タイ、勝数は6位タイ、勝率は18位。 *通算成績は150勝61敗(0.711)。 *棋聖戦成績は16勝5敗(0.762)。初参加は第84期。今期初めて決勝トーナメントに進出すると、糸谷哲郎八段との挑戦者決定戦を制してタイトル初挑戦を決めた。 15 3六歩(37) ( 2:00/00:07:00) *「斎藤君の和服、涼しげでいいですね」と木村八段の声。斎藤の羽織は薄い水色、紫、黄色の縞模様。見た目にも華やかだ。 16 6四歩(63) ( 3:00/00:05:00) *本局はニコニコ生放送とAbemaTVで動画中継がある。ニコニコ生放送の解説は松尾歩八段、聞き手は貞升南女流初段。AbemaTVの解説は横山泰明六段、佐々木慎六段。聞き手は山口恵梨子女流二段、中村桃子女流初段。 * *【ニコニコ生放送】 *http://live.nicovideo.jp/watch/lv296742142 * *【AbemaTV】 *https://abema.tv/now-on-air/shogi 17 4六歩(47) ( 2:00/00:09:00) *現地では9時30分から第13回とよたふれあい将棋フェスティバルが開かれている。現地大盤解説会は15時30分開始。申し込みは締め切り済み。 *大盤解説会は関西将棋会館でも開かれる。開始は17時。解説は久保利明王将、聞き手は石本さくら女流初段。 * *【ふれあい将棋フェスティバル】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/2017/06/post-8c44.html * *【関西将棋会館大盤解説会詳細】 *https://www.shogi.or.jp/kansai/entry_images/8bb75a984fb23900c8a18cd47429191b.pdf 18 6三銀(62) ( 3:00/00:08:00) *後手は角交換してから△4二銀ではなく△2二銀と上がるのが最近の主流。▲5五角の筋に備える、4二玉型で戦うといった含みがある。 19 4七銀(48) ( 2:00/00:11:00) *角換わりでは右銀の使い方で作戦の性格が決まる。大まかに分けて棒銀と早繰り銀は攻撃重視、腰掛け銀はバランス重視。腰掛け銀は次に▲5六銀と歩の上に出た形を指すが、最近はすぐには腰掛けず、銀が三段目のまま駒組みが進むことも増えている。 20 7四歩(73) ( 1:00/00:09:00) *斎藤がホテルフォレスタを訪れるのは初めて。前夜祭では「多くの名勝負が行われている場所で、とても光栄に思う」と話していた。 * *【前夜祭 対局者あいさつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/2017/06/post-cf1b.html 21 6八玉(59) ( 4:00/00:15:00) *羽生のホテルフォレスタでの棋聖戦戦績は下記のとおり(肩書は当時)。現在6連勝中だ。 * *2005年 第1局 ○佐藤康光棋聖 *2008年 第2局 ●佐藤康光棋聖 *2009年 第3局 ●木村一基八段 *2010年 第3局 ○深浦康市王位 *2011年 第2局 ○深浦康市九段 *2012年 第2局 ○中村太地六段 *2013年 第2局 ○渡辺明竜王 *2014年 第2局 ○森内俊之竜王 *2016年 第2局 ○永瀬拓矢六段 22 7三桂(81) ( 0:00/00:09:00) *早めに桂を活用して△6二金〜△8一飛と構えるのが流行の布陣。一段飛車で角の打ち込みに強いのが自慢だ。先手も同じように▲3七桂〜▲4八金〜▲2九飛と組むことが増えている。 23 9六歩(97) ( 4:00/00:19:00) *本局の観戦記は田中幸道指導棋士五段が担当する。 24 9四歩(93) ( 1:00/00:10:00) 25 3七桂(29) ( 4:00/00:23:00) *「どうせ千日手ですよ。それで千日手になったらまた角換わりになってこの形になるから……」と木村八段。展開によって後手は右玉に構え、先手に打開の義務を突きつけることも多い。先手が打開を難しいと見れば、千日手もやむなしというわけだ。 26 4二玉(51) ( 2:00/00:12:00) *例年、ホテルフォレスタでの対局には愛知県出身の棋士が多くそろう。豊島八段と中澤女流初段は一宮市、杉本昌七段と竹内指導棋士四段は名古屋市、室田女流二段は春日井市出身。現在26連勝中で世間をにぎわせている藤井聡太四段は瀬戸市出身。前夜祭では太田稔彦・豊田市長が藤井聡四段の話題に触れ、「彼が小学生のとき、ここで行われている『とよたふれあい将棋フェスティバル』に出ていたんです」と話していた。 * *【前夜祭 乾杯】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/2017/06/post-0982.html 27 2九飛(28) ( 2:00/00:25:00) *10時、対局室におやつが運ばれた。両者とも飲み物だけの注文で、羽生がホットコーヒー、斎藤がミックスジュース。 * *【午前のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/2017/06/post-02c9-1.html 28 8一飛(82) ( 7:00/00:19:00) 29 4八金(49) ( 1:00/00:26:00) 30 6二金(61) ( 0:00/00:19:00) *両者とも右辺はほぼ同じ配置になった。一段飛車と金が互いの死角をカバーしてバランスのいい形だ。角の打ち込みに強く、桂を跳ねても自陣に隙ができない。 31 5六銀(47) ( 2:00/00:28:00) 32 3三銀(22) ( 2:00/00:21:00) 33 6六歩(67) ( 3:00/00:31:00) 34 1四歩(13) ( 1:00/00:22:00) 35 1六歩(17) ( 1:00/00:32:00) 36 5四銀(63) ( 0:00/00:22:00) 37 7九玉(68) ( 1:00/00:33:00) *淡々と駒組みが進む。同一局面の実戦例は9局。最新のサンプルは▲藤井聡太四段−△澤田真吾六段戦(2017年6月、棋王戦予選)。 38 5二玉(42) ( 8:00/00:30:00) *10時25分、斎藤が着手。手待ちで先手の動きをうかがう。実戦例は2局あり、結果はどちらも後手勝ち。 39 8八玉(79) ( 2:00/00:35:00) *前例2局はいずれも▲2五歩と突いていた。この玉上がりで同一局面の実戦例はなくなっている。 * *※局後の感想※ *「早めに▲2五歩と突くのもありますが、あんまり1手の価値がないので」(羽生) 40 6三銀(54) ( 1:00/00:31:00) *じっと息を潜める後手。先手からどう打開するかがポイントだ。角の使い方は▲4五歩と位を取ってから▲4六角と据えるか、手持ちにしたまま戦うか。 *羽生が席を立つ。斎藤はジュースを飲み、棋譜用紙を受け取って目を通した。扇子であおぎながら「ふう」を息を吐く。対局室に戻った羽生は顔をしかめて「うーん」とうなった。 *控室では豊島八段と澤田六段が継ぎ盤を挟んでいる。調べているのはここから▲2五歩△4二玉▲6七銀△5四銀▲5六歩△4四歩▲5九飛△3一玉▲5五歩△4三銀▲5六銀△2二玉▲6九飛という順。「ここでパスしたいんですよね」と澤田六段。先手は▲4五歩の仕掛けがある。後手がそれをどう迎え撃つかという戦いになる。 41 4五歩(46) (18:00/00:53:00) *10時48分、羽生の手が動いた。 42 5四歩(53) ( 3:00/00:34:00) 43 6九飛(29) ( 1:00/00:54:00) *飛車を6筋に転回して戦機をうかがう。先手は▲4六角、▲4七銀〜▲4六銀と構えて仕掛けを狙うのが一例だが、うまくいくかはわからない。現局面から▲2五歩と△4二玉の交換が入っている形では、▲遠山雄亮五段−△渡辺大夢五段戦(2017年4月、竜王戦4組昇級者決定戦)という実戦例がある。遠山五段は▲4七銀〜▲5六歩〜▲4六銀〜▲4七角〜▲5五歩と攻めていた。対して渡辺大五段は△1三角という筋で切り返している。本局では先手が2筋の歩を保留しているので、▲2五桂があって△1三角とは打ちにくいかもしれない。 44 4二銀(33) (25:00/00:59:00) *11時18分の着手。銀を繰り替えて中央に使う。次は△5三銀〜△6一玉〜△7二玉と囲えばバランスのいい形だ。 45 4七銀(56) ( 5:00/00:59:00) *先手も銀を立て直す。次に▲5六歩〜▲4六銀と進めれば5筋で歩を交換できる形になる。歩を手持ちにすれば手が作りやすい。 *控室で「あと1勝で九段」という声が出ると、「誰のことかな」と木村八段がおどける。木村八段は15日の対局に勝ち、昇段まであと1勝としている。 * *【午前の控室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/2017/06/post-785b.html 46 6一玉(52) (15:00/01:14:00) 47 5六歩(57) ( 3:00/01:02:00) 48 7二玉(61) ( 0:00/01:14:00) *右玉に組み替えるのは後手の常套手段。先手の攻め駒から離れるように動くので理にかなっている。自分から攻めることはなかなか難しいが、後手番なのでその点は問題ない。 49 4六銀(47) ( 3:00/01:05:00) *先手はじりじりと後手陣との距離を詰める。継ぎ盤には△5一飛が示されている。5筋の歩交換を防ぐ手だ。後手は先手を手詰まりに追い込めればうまい。「先手は5筋で1歩持ってから▲4七角〜▲7五歩とできればかなり攻め込めそうですが、△5一飛と受けられるとどうするかは難しいです」と豊島八段。 *11時56分、羽生が席を立った。斎藤が腕時計を手にして記録係に話しかける。早めに昼食休憩に入れたようだ。12時、斎藤が12分使って昼食休憩に入った。消費時間は▲羽生1時間5分、△斎藤1時間26分。昼食は羽生がにぎり寿司、オレンジジュース。斎藤が牛ヒレカツカレー、ウーロン茶。対局は13時に再開される。 * *【昼食休憩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/2017/06/post-bc24-1.html 50 5一飛(81) (14:00/01:28:00) *13時、対局再開。1分ほどしてから本命と見られていた△5一飛が指された。先手は応援を送るなら▲5九飛だが、6筋の飛車は△6五歩▲同歩△同桂の筋を防ぐ受けの駒でもある。悩ましいところだ。 *羽生は扇子であおぐ。しきりに首をかしげる。「いやー」とぼやいた。扇子を開閉するたびにジャッと音が鳴る。羽生、ゆっくりと席を立つ。斎藤が「いやー」とつぶやく。対局室に戻った羽生は前傾姿勢になった。 * *【対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/2017/06/post-2985-1.html * *※局後の感想※ *「飛車を回るかどうかで迷って時間を使いました」(斎藤) 51 9八香(99) (31:00/01:36:00) *13時33分、羽生が着手。穴熊への組み替えが視野に入った。次に▲9九玉〜▲8八金とすれば自玉は堅くなるが、駒が偏って角の打ち込みに弱くなるデメリットもある。 52 5三銀(42) ( 5:00/01:33:00) *二枚銀の好形を築く自然な一着。飛車の利きが止まったからと喜んで▲5五歩△同歩▲同銀は、△3五歩と突かれて「先手はまとめるのが難しそうな気がします」と豊島八段。先手の▲9八香について「苦心している印象です」と話す。 *13時45分、羽生は席を立っている。しばらくして斎藤も立ち上がって部屋を出た。 53 4七角打 (12:00/01:48:00) *決断の自陣角。先手は5筋の歩を手持ちにして▲4七角と打つ形が理想形だった。先に角を打っても、次に▲5五歩△同歩▲同銀と進めば同じようだが、▲5五歩のときに△2四角の反撃があるという。単純な銀取りだが、妙に受けにくい。▲3五歩は△同歩で次に△3六歩がある。「先手は角だけ打って、次は▲5八金ということかもしれません」と豊島八段。先手の▲9八香〜▲4七角という手順は凝った印象を受ける。 *後手は角の打ち込みを心配する必要がなくなったので、△4二金と活用するのは自然だ。そこで▲3五歩△同歩▲同銀は△3一飛で逆用されそうなので、▲2五歩〜▲2九飛でどうか。ただ、これも▲2四歩△同歩▲同飛には△1三角があるのですぐには踏み込めない。先手はどんな形を目指せばいいのか、理想形が見えてこないのは不安だ。豊島八段は「先手は攻めると悪くなりそうな気がします」と話している。 * *【指導対局(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/2017/06/post-e768.html * *※局後の感想※ *▲9八香と上がらず、単に▲4七角と打つ選択も十分に考えられた。「1手もわからない」と斎藤がいうと、羽生は「こっちも自分の手番が来たときに何をするか」と苦笑い。最後に羽生は「ちょっと香車はおかしかったですか」と話していた。 54 4四歩(43) (29:00/02:02:00) *14時21分、斎藤が着手。先に動いたのは先手ではなく後手だった。▲4四同歩△同銀▲4五歩△5三銀とすんなり歩を手持ちにすれば、もちろん後手のポイント。しかし打開に苦労していた先手からすれば、争点ができるのは渡りに船の状況ではないのか。斎藤の狙いはどこにあるのか。「普通がわからないですが、意外は意外ですね」と木村八段。豊島八段は「角頭を狙われているので嫌なところです」と話す。 * *【指導対局(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/2017/06/post-220c.html * *※局後の感想※ *「△8四角と打てば本譜の攻めを受ける手になるんですが、積極的にいこうと思いました。(本譜の先手の攻めは)お互いにキズなので勝負かなと」(斎藤) 55 5五歩(56) ( 7:00/01:55:00) *角筋を通して反発。歩を手に入れて▲7五歩と突けば一人前の形になる。継ぎ盤では△5五同歩▲同銀△5四銀直▲同銀△同飛が並んで「全然わからん」と、先手側に座る木村八段がつぶやく。ニコニコ生放送に電話出演している豊島八段は、その順について「後手の勢いがありますね」と話している。 *14時43分、斎藤は首を突き出すようにして盤面を見つめる。羽生は脇息にもたれてうつむいている。 56 同 歩(54) (16:00/02:18:00) *14時45分の着手。斎藤の指先に力がこもっていた。しばらくして羽生が戻る。腕組みをしてゆっくりと上座に向かった。 57 7五歩(76) ( 5:00/02:00:00) *14時50分、残り2時間を告げられた羽生は「はいー」と答え、額を押さえてうんうんとうなずく。そして手を伸ばした。どんどん歩を突いて戦火を広げる。 *パッと見える進行は△7五同歩▲5五銀、△5六角▲同角△同歩▲7四歩△同銀▲4四歩。「どの変化でも先手が少し自信がない気がします」と豊島八段。 *15時前、対局室におやつが運ばれた。両者ともクレームブリュレ、パウンドケーキ、フルーツ。飲み物は羽生がホットレモンティー、斎藤がアイスコーヒー。 * *【午後のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/2017/06/post-ecc5-1.html 58 5六角打 ( 9:00/02:27:00) *角を使って相手の角筋を止めた。▲5六同角△同歩で手順に歩が逃げられて幸便なようだが、角と手番を渡す点がどうか。 *「考えると難しい気がしてきました。▲5六同角△同歩▲7四歩△同銀までは進みそうな気がします。そこで▲5五銀か▲4四歩か」(豊島八段) *上記の▲5五銀は次に▲5四歩△同銀▲同銀△同飛▲4一角、▲4四歩は△同銀なら▲5二歩△3一飛▲5四角△6三銀▲3二角成△同飛▲4三金、といった調子で両取りをかける筋がある。後手は▲7四歩△同銀で守り駒が上ずると、そこかしこに嫌なラインが生じる。 59 同 角(47) (15:00/02:15:00) 60 同 歩(55) ( 0:00/02:27:00) 61 7四歩(75) ( 0:00/02:15:00) 62 同 銀(63) ( 0:00/02:27:00) 63 4四歩(45) ( 0:00/02:15:00) *羽生は歩を取り込む。斎藤は眼鏡を外すと、信玄袋から眼鏡ケースを取り出し、中にある眼鏡拭きで丁寧に眼鏡を拭いた。 *△4四同銀には▲5二歩が急所のたたきで、△5二同飛は▲4一角、△3一飛は▲5四角とそれぞれ角を使った攻めがある。豊島八段と中澤女流初段の継ぎ盤では、△4四同銀▲5二歩△3一飛▲5四角△6三金▲3二角成△同飛▲4三金△4七歩▲5八金△7六歩▲6八銀△3一飛▲4四金△8一飛を一例として調べていた。先手は角と金銀の2枚換えで駒得だが、後手も歩のクサビと駒の効率で対抗している。 * *※局後の感想※ *「ここからわからなかったです。取りにくいですね」(斎藤) 64 5四銀(53) (12:00/02:39:00) *斎藤は歩を取らずに銀を立った。△4四同銀は▲5二歩のたたきが気になったか。豊島八段は▲5五歩△6三銀左▲4三角△同金▲同歩成を並べて、「筋が悪いので先手もやりづらいですが、後手からすると気になる順です」と話す。最初の▲5五歩に△同銀はやはり▲5二歩がある。また、ここで▲5三歩の垂らしを示して「筋は圧倒的にこちらのほうがいいです」と豊島八段。 * *【ホテルフォレスタ(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/2017/06/post-c0c0.html 65 5九飛(69) (10:00/02:25:00) *素朴に飛車を活用。大魚がゆっくりと泳ぐような、悠然とした印象がある。澤田六段は「▲5三歩と垂らすのもわかりませんでした。難解です」とうなる。 *「▲5六飛と払う手を見せて後手を焦らせています。後手は△6三銀左と引けば陣形はまとまるのですが、▲4三角と打たれる手が気になります」と豊島八段。継ぎ盤では△6五歩を調べている。以下▲5六飛△5五歩▲5二歩△同飛▲5九飛△4二金と進んでどうか。 *現地大盤解説会ではここで次の一手が出されたそうだ。これは難問になるだろう。 * *【現地大盤解説会始まる】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/2017/06/post-0024.html 66 6三銀(54) (31:00/03:10:00) *16時13分、斎藤の手が動いた。2枚の銀を連結させて陣形を引き締める。飛車の利きも通して味がよさそうに見えるが、豊島八段は▲4三角の強手が気になると話していた。澤田六段と村田顕五段が囲む継ぎ盤では、ここで▲5二歩△8一飛▲5六飛を調べている。「後手は飛車を走られたときにうまい手があるかどうか。まだわかっていません」と澤田六段。 *16時28分、羽生は扇子であおぎながら盤面を見つめている。斎藤が席を立つと、額を押さえてため息をついた。 * *※局後の感想※ *「そっか、銀引かれてなんかあんまり……。なんか5筋に細工できればいいんですけど」と羽生。だが、▲5二歩は△8一飛と回られてうまくいかない。▲5四歩は△同飛▲4三歩成△同金▲3二角△4二歩▲2一角成で、羽生は「これをやるかどうか。向こうが手厚い」と渋い顔をした。斎藤は「ここ(▲2一角成)でどう攻めるかわからない」と話したが、羽生がそこで△6五桂を指摘。以下▲同歩△7六歩▲6六銀△8四角▲7五歩△同銀▲5五銀左△5一飛▲2二馬△6五歩で先手自信なし。「桂2枚得してるけど、向こうがすごい手厚い。あまり自信ないですね。▲5四歩ができないんじゃつまらない」(羽生) 67 7五歩打 (26:00/02:51:00) *16時39分の着手。「あれ、全然違った」と木村八段。 68 同 銀(74) ( 0:00/03:10:00) 69 7六歩打 ( 0:00/02:51:00) 70 8四銀(75) ( 0:00/03:10:00) 71 4五角打 ( 0:00/02:51:00) *玉頭を補強してからの角打ち。まったく検討されていない手順が飛び出した。先手は▲3四角〜▲4三歩成、▲5六角〜▲8三角成、▲5六飛と狙い筋が多くある。控室ではここで△9五歩を検討中。▲5六角には△7四角の切り返しがあるので▲9五同歩だが、△9七歩▲同香△9六歩▲同香△7四角のときにどうするか。 * *※局後の感想※ *斎藤は「▲5六角と払われるのが嫌だったので、本譜は受けました」と話した。ここで△9五歩▲同歩△7四角は、以下▲5二歩△8一飛▲5六角△同角▲同飛△9七歩▲同香△9六歩▲同香△8六歩▲同銀ではっきりしない。本譜との比較は難しそうだ。 *感想戦の終わり際には羽生が「ここで△4三歩がどうか」と話したが、明確な結論は出されなかった。 72 7四角打 (14:00/03:24:00) *検討でも出ていた急所の角だが、検討と違って9筋に手がついていない。これがどう影響するか。 73 3四角(45) ( 0:00/02:51:00) 74 9五歩(94) ( 0:00/03:24:00) *打った角を生かして端を攻める。▲4三歩成〜▲3二とは駒がそっぽ。△9六歩〜△9七歩成は先手玉に直接響く。 *控室では▲4三歩成△3三歩▲2五角△2四歩▲3二と△2五歩▲7五金で先手が指せそうという評判。「▲7五金はいい手ですね。端が間に合いそうにない」と澤田六段。村田顕五段は「△9六歩〜△9七歩成だけでは先手玉は致命傷にはならないです」と話す。 * *※局後の感想※ *ここで▲9五同歩△9七歩▲同香△9六歩▲同香△8六歩▲同銀△3三金▲4三角成△同金▲同歩成△9六角▲4五桂△8五香▲9七金という順が調べられた。「本譜はと金がそっぽなので。これもありましたか」(羽生) 75 4三歩成(44) (22:00/03:13:00) 76 3三歩打 ( 4:00/03:28:00) 77 3二と(43) ( 0:00/03:13:00) 78 3四歩(33) ( 0:00/03:28:00) 79 7五金打 ( 0:00/03:13:00) *ズシッと金で玉頭を押さえる。ここから△8一飛▲7四金△同銀▲4五角△6三角▲5六角△9六歩▲2一とは、次に▲7五桂や▲5五桂が残って先手ペース。手順中△6三角では△6三金打でどうか。「そこで▲2一とと桂を取るか、▲9五歩と手を戻すか。と、村田顕五段がいっていました」と木村八段。難しい形勢のようだ。 80 8一飛(51) ( 5:00/03:33:00) *飛車を活用して銀取りを受けた。先手玉に狙いを定めつつ、▲4二との当たりも避けて攻防だ。 *控室では▲7四金△同銀▲4五角△6三金打▲2一と△9六歩▲5五桂△9七歩成▲同香△同香成▲同玉△4四香▲5六角を調べて、「少し先手乗りという気がします」と木村八段。 *17時38分、羽生が頭に手をやる。両手で頬を押さえた。 * *※局後の感想※ *ここで▲8四金は有力だったようだ。以下△同飛▲7五銀△8一飛▲2一と△8六歩▲同銀上で「さっぱりわからなかった」と斎藤。羽生は「厚みのプレッシャーがきつい。いいわけではないですけど、これのほうが手広かったですか」と話した。 81 7四金(75) ( 8:00/03:21:00) 82 同 銀(63) ( 0:00/03:33:00) 83 4五角打 ( 0:00/03:21:00) *玉と飛車を射程に入れる急所の角。検討どおりの進行が続く。「お、優秀な」と木村八段がつぶやく。 84 6三金打 ( 1:00/03:34:00) *羽生は「ひえー」とつぶやき、天井を見上げた。 * *※局後の感想※ *代えて△6三角は▲5六角△9六歩▲2一と△9七歩成▲同香△同香成▲同玉で先手指せそう。最後の▲9七同玉は木村八段が指摘したものだが、羽生は「そっか、角がなければすぐひどい目には遭わないですね」とうなずいていた。 85 9五歩(96) ( 2:00/03:23:00) *桂を取るか手を戻すか、といわれていたところ。「これで時間を使え、ということだね」と木村八段。後手は△9六歩や△8六歩で先手玉に嫌みをつける手段がある。継ぎ盤に並んでいるのは△9六歩▲同香△8六歩▲同歩△8五歩▲2一と△8六歩▲8二歩△同飛▲8六銀△8七歩。木村八段は「▲8二歩は取る一手じゃないし、△8七歩のたたきも嫌か」と話す。 * *※局後の感想※ *代えて▲2一ともあった。以下△9六歩▲5五桂△9七歩成▲同香△同香成▲同玉△9一飛▲8八玉△9九角▲7九玉△9八飛成▲6三桂成△同金▲8八金打でどうか。羽生は「△6七桂は大丈夫ですか」と驚いていたが、しばらくして「これも考えないといけなかったですか」と話した。 86 9六歩打 ( 6:00/03:40:00) *先手玉の弱みを狙う。先手は面倒を見るか、攻め合うか。ここから▲2一と△9五香▲5五桂△9一飛▲6三桂成△同金▲5三金と進めば激しい。 87 2一と(32) (10:00/03:33:00) *羽生は攻め合いを選択。後手玉の周囲は金銀4枚が守っているが、先手は角の利きが強力だ。 * *※局後の感想※ *ここで△9五香が調べられた。以下▲5五桂△9七歩成▲同香△同香成▲同玉△9一飛のとき、(A)▲8八玉は△8六歩で「どう応接してもちょっと。自信ないですか」と羽生。 *羽生が示したのは(B)▲9六歩△同飛▲8八玉。以下△9七歩▲7五香△9八歩成▲7九玉△8九と▲6八玉△4四香▲7四香△4五香▲6三桂成△同金▲4五桂のときがどうか。そこで△9八飛成には▲9九歩が利くが、後手に何か手段がありそうと両者の意見が一致した。 *こうして再び(A)▲8八玉に戻り、△8六歩に強く▲同歩と取る。以下△9九角は▲7九玉△9八飛成▲5六角で先手玉に耐久力がある。▲8六同歩に△8七歩は▲同金△9九角▲7八玉△9八飛成▲8八香で後手にうまい手段があるかどうか。 88 8六歩(85) ( 0:00/03:40:00) 89 同 歩(87) ( 2:00/03:35:00) *継ぎ盤に△9五銀▲5五桂△8七歩が並び、「嫌ですか」と木村八段。飛車が働いてくるのでかなりの迫力がある。 90 9五銀(84) ( 1:00/03:41:00) *眠っていた飛車を使いながら銀をさばく大きな一着。▲5五桂△8七歩▲7九玉△8六銀▲同銀△同飛▲7七銀△8四飛が予想される進行。どちらも怖い。 91 5五桂打 ( 1:00/03:36:00) *先手は得した桂で金を取れることが確定した。決めに出るときは▲7五歩△同銀▲6三桂成でより厳しく迫ることができる。後手からも強烈な攻めはあるが、「しのげれば先手がよくなりそうですね」と澤田六段。 *18時17分、斎藤の残り時間が10分になった。直後に両手で頭を抱える仕草。 92 8六銀(95) ( 9:00/03:50:00) *クサビを入れずに突進。これなら先手は▲8六同銀△同飛▲8七歩と8筋にキズを残すことなく受けられる。 93 同 銀(77) ( 1:00/03:37:00) 94 同 飛(81) ( 0:00/03:50:00) 95 8七歩打 ( 0:00/03:37:00) *斎藤が手を止めた。ここで△7六飛ということか。検討陣は▲7七銀の受けを予想する。木村八段は「▲7七歩もあるんじゃない」と話す。 *18時25分、「残り何分ですか」と斎藤。「残り6分です」と柵木三段。 96 9七歩成(96) ( 4:00/03:54:00) *木村八段と澤田六段が検討する継ぎ盤には▲9七同香△同香成▲同桂△9六飛▲6三桂成△同金▲8四金が並んでいる。「普通は負けですよね」と、後手側に座る澤田六段。手順中△9六飛で△7六飛は▲7七香が生じているので指しづらい。△9六飛で△8一飛と引いても、▲8六香△8五歩▲同桂△同桂▲同香△同飛▲7五桂で決めに出る順がある。 *18時30分、羽生が顔をしかめて「いやー」とぼやいた。 97 同 香(98) ( 5:00/03:42:00) 98 同 香成(91) ( 0:00/03:54:00) 99 同 桂(89) ( 0:00/03:42:00) 100 9六飛(86) ( 0:00/03:54:00) *9筋に逃げる。これは▲6三桂成△同金▲8四金が有力といわれていた。 101 7五香打 ( 2:00/03:44:00) *守りの銀に働きかけた。△7五同銀には▲6三桂成△同金▲6一銀で下に落とす寄せがある。 102 7七歩打 ( 1:00/03:55:00) *軽手。▲7七同金は△6八角がある。 103 7四香(75) ( 1:00/03:45:00) *相手をしないのが明快だ。後手玉は▲7三香成△同金上▲6三桂成△同金▲同角成△同玉▲7五桂から危ない。 104 7八歩成(77) ( 1:00/03:56:00) 105 同 玉(88) ( 0:00/03:45:00) *ここで△9七飛成と桂を取られたときに後手玉が詰むかどうか。「詰まなくても、竜を取って勝つ順がありそうです。先手勝勢といっていいでしょう」と木村八段。 106 5四香打 ( 2:00/03:58:00) *角の利きを遮って抵抗。羽生は脇息にもたれて盤面を見つめている。「いくつか勝ちがありそうですね」と木村八段。 107 6三桂成(55) ( 5:00/03:50:00) 108 同 金(62) ( 0:00/03:58:00) *▲7三香成△同玉▲8五桂打でバラバラにできそうだ。詰みがなくても、飛車を取ってしまえば先手玉は安全になる。 109 7三香成(74) ( 1:00/03:51:00) *桂を取る羽生の指が少し震えた。斎藤が水を飲む。 110 同 玉(72) ( 0:00/03:58:00) 111 8五桂打 ( 2:00/03:53:00) 112 6二玉(73) ( 0:00/03:58:00) 113 7三金打 ( 1:00/03:54:00) 114 同 金(63) ( 0:00/03:58:00) 115 5四角(45) ( 0:00/03:54:00) *金を捨ててから角を活用して包囲網を狭める。斎藤は一分将棋に入った。 116 7七歩打 ( 1:00/03:59:00) 117 6八玉(78) ( 0:00/03:54:00) *先手は下段飛車と4筋の金銀が受けによく利いている。 118 9七飛成(96) ( 0:00/03:59:00) 119 7三桂成(85) ( 0:00/03:54:00) *斎藤、ふっと上を見て水を飲んだ。 120 同 玉(62) ( 0:00/03:59:00) 121 7四香打 ( 0:00/03:54:00) *香の接射。これなら7五の地点に駒を打つスペースがある。 122 8四玉(73) ( 0:00/03:59:00) 123 7五銀打 ( 0:00/03:54:00) 124 9四玉(84) ( 0:00/03:59:00) *斎藤は肩を落としてうつむく。 125 8三銀打 ( 1:00/03:55:00) *△8三同玉は▲7二角成以下の詰み。△9五玉も▲8六金△同竜▲同銀△8四玉▲8五飛以下詰む。この手を見て斎藤が投了した。終局時刻は19時14分。消費時間は▲羽生3時間55分、△斎藤3時間59分。羽生が連勝で防衛まであと1勝に迫った。第3局は7月1日(土)、静岡県沼津市「沼津倶楽部」で行われる。 * *※局後の感想※ *全体を通して明快に後手よしという変化は出なかったが、はっきりした結論が出ないまま終わった検討もいくつかあった。感想戦は20時20分ごろに終了した。 126 投了 ( 0:00/03:59:00) まで125手で先手の勝ち