# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.62 棋譜ファイル --- 対局ID:14822 記録ID:63aa2b377cb835586b7eb48c 開始日時:2023/02/05 09:00 終了日時:2023/02/05 19:01 棋戦:第48期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第1局 戦型:角換わり腰掛け銀 持ち時間:4時間 秒読み:60秒 消費時間:125▲230△237 場所:長野県長野市「長野ホテル犀北館」 備考:昼休前75手目32分\n 振り駒:1,0,渡 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:00〜13:00 昼休前消費時間:75手32分 手合割:平手   先手:藤井聡太竜王 後手:渡辺明棋王 先手省略名:藤井聡 後手省略名:渡辺明 手数----指手---------消費時間-- *渡辺明棋王に藤井聡太竜王が挑戦する第48期棋王戦コナミグループ杯五番勝負が開幕する。渡辺が防衛して11連覇を達成するのか、それとも初挑戦の藤井が奪取して自身初の六冠となるのか。第1局は2月5日(日)9時から長野県長野市「長野ホテル犀北館」で行われる。持ち時間は各4時間。昼食休憩は12時〜13時。本局の先後は振り駒で決定する。立会人は青野照市九段、記録係は岡部怜央四段。現地大盤解説会の解説は行方尚史九段、聞き手は長沢千和子女流四段が務める(事前申込は終了)。 *8時47分、渡辺が入室。あいさつをしながら足早に上座に向かう。 *1分後、藤井竜王が姿を見せた。下座に着くと関係者にあいさつをする。信玄袋から扇子や除菌シートを取り出す。 *両者、気息を整えてから駒を並べ始める。 *記録係の岡部四段が絹布を広げて歩を5枚振る。2度の振り直しの末、と金が4枚出て、藤井の先手番に決まった。 * *(棋譜・コメント入力=琵琶) *[棋譜表示の*はコメント入りの指し手。#は局後の感想が追記された指し手。【】は各種リンク・お知らせ] * 1 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *青野九段が定刻を告げて対局が始まった。藤井はお茶を飲んでから▲2六歩と突く。対局室にシャッター音が響く。 * *【対局開始前の様子】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-1bd0.html 2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *渡辺の2手目は△8四歩だった。関係者が退出する。 3 2五歩(26) ( 0:00/00:00:00) *◆藤井 聡太(ふじい そうた)竜王(王位・叡王・王将・棋聖)◆ *2002年7月19日生まれ、愛知県瀬戸市出身。杉本昌隆八段門下。2016年、四段。2021年、九段。棋士番号は307。 *タイトル戦登場は13回。獲得は竜王2期、王位3期、叡王2期、王将1期、棋聖3期の計11期。棋戦優勝は7回。 4 8五歩(84) ( 1:00/00:01:00) *◆渡辺 明(わたなべ あきら)棋王(名人)◆ *1984年4月23日生まれ、東京都葛飾区出身。所司和晴七段門下。2000年、四段。2005年、九段。棋士番号は235。 *タイトル戦登場は43回。獲得は竜王11期(永世竜王)、名人3期、王座1期、棋王10期(永世棋王)、王将5期、棋聖1期の計31期。棋戦優勝は11回。 5 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *【藤井の公式戦成績】 *通 算=306勝61敗(0.834) *昨年度=52勝12敗(0.813) *今年度=41勝9敗(0.820) 6 3二金(41) ( 0:00/00:01:00) *【渡辺の公式戦成績】 *通 算=724勝378敗(0.657) *昨年度=23勝18敗(0.561) *今年度=18勝14敗(0.563) 7 7七角(88) ( 0:00/00:00:00) *両者の対戦成績は藤井12勝、渡辺2勝。2022年2月に行われた第71期ALSOK杯王将戦七番勝負第4局以来の顔合わせとなる。タイトル戦での対戦は第91、92期棋聖戦、第71期ALSOK杯王将戦と3回あり、いずれも藤井が制している。 8 3四歩(33) ( 0:00/00:01:00) *棋王戦コナミグループ杯は共同通信社が主催、コナミグループが特別協賛、カロリーメイトが協賛する棋戦。全棋士と女流棋士1人、アマチュア名人が参加する。予選を勝ち抜いた棋士とシード棋士で挑戦者決定トーナメントが行われる。挑戦者決定トーナメントのベスト4以上は2敗失格制で、1敗すると敗者復活戦に回る。挑戦者決定戦は変則二番勝負で行われ、勝者組優勝者は2局のうち1局勝てば挑戦権を得るが、敗者復活戦優勝者は2連勝が挑戦の条件となる。棋王と挑戦者は毎年2月から3月にかけて五番勝負を行う。前期は渡辺明棋王が挑戦者の永瀬拓矢王座を3勝1敗で破って防衛。10連覇を達成した。 * *【関連リンク】 *・共同通信社(主催) *https://www.kyodo.co.jp/ *【特別協賛:コナミグループ】 *https://www.konami.com/ja/ *【協賛:カロリーメイト】 *https://www.otsuka.co.jp/cmt/ * 9 8八銀(79) ( 0:00/00:00:00) *藤井の棋王戦成績は20勝6敗(0.769)。第43期から参加し、今期が6期目となる。今期は挑戦者決定トーナメントからの出場で、中川大輔八段、久保利明九段、豊島将之九段に勝ち、勝者組準決勝で佐藤天彦九段に敗れた。敗者復活戦に回って伊藤匠五段、羽生善治九段に勝って挑戦者決定二番勝負に進出。勝者組を勝ち抜いた佐藤天九段に連勝して挑戦権を獲得した。五番勝負は今回が初登場となる。 10 7七角成(22) ( 0:00/00:01:00) *渡辺の棋王戦成績は54勝25敗(0.684)。第27期からの参加で、今期が21期目となる。第38期、郷田真驫王(当時)に挑戦し、3勝1敗で棋王位を獲得した。現在10連覇中。永世棋王の有資格者。 11 同 銀(88) ( 0:00/00:00:00) *戦型は角換わりになった。予想された作戦のひとつである。 12 2二銀(31) ( 0:00/00:01:00) *本局はABEMAで8時30分から動画中継されている。解説者は広瀬章人八段、藤森哲也五段、聞き手は村田智穂女流二段、武富礼衣女流初段が担当する。 * *【番組ページ】 *https://abema.tv/now-on-air/shogi 13 4八銀(39) ( 0:00/00:00:00) *第1局の主催は信濃毎日新聞社が担当する。主な関係者は以下のとおり。 * *【主催】第48期棋王戦第1局実行委員会(長野市、長野商工会議所、ながの観光コンベンションビューロー、信濃毎日新聞社、(公財)信毎文化事業財団) *【特別協力】THE SAIHOKUKAN HOTEL *【協力】日本将棋連盟長野県支部連合会 *【後援】長野県、長野県教育委員会、長野市教育委員会、長野市文化芸術振興財団、信越放送、長野放送、テレビ信州、長野朝日放送 *【地元協賛】北信濃Bunzooいいやまショコラの森、かどの大丸、長野ヤナセ、信毎ふれあいネット、堀会計事務所、ゼスト、戸隠神社 14 3三銀(22) ( 0:00/00:01:00) *本局の観戦記は鈴木宏彦さんが担当する。 *観戦記は河北新報、下野新聞、千葉日報、新潟日報、信濃毎日新聞、山梨日日新聞、静岡新聞、北日本新聞、北國新聞、京都新聞、日本海新聞、山陰中央新報、山陽新聞、中国新聞、愛媛新聞、高知新聞、佐賀新聞、長崎新聞、熊本日日新聞、南日本新聞、沖縄タイムスの各紙に掲載される。 15 4六歩(47) ( 0:00/00:00:00) *先手は▲4六歩と突いた。▲4七銀から腰掛け銀を目指しているようだ。代えて▲3六歩なら▲3七銀〜▲4六銀の早繰り銀が考えられた。 16 6二銀(71) ( 1:00/00:02:00) *渡辺は第38期から棋王位を10連覇してきた。成績は下記のとおり(肩書きは当時)。 *第38期 郷田真隆棋王1−3渡辺 明竜王(奪取) *第39期 渡辺 明棋王3−0三浦弘行九段 *第40期 渡辺 明棋王3−0羽生善治名人 *第41期 渡辺 明棋王3−1佐藤天彦八段 *第42期 渡辺 明棋王3−2千田翔太六段 *第43期 渡辺 明棋王3−2永瀬拓矢七段 *第44期 渡辺 明棋王3−1広瀬章人竜王 *第45期 渡辺 明棋王3−1本田 奎五段 *第46期 渡辺 明棋王3−1糸谷哲郎八段 *第47期 渡辺 明棋王3−1永瀬拓矢王座 17 7八金(69) ( 0:00/00:00:00) *対局場の「長野ホテル犀北館」は創業1890年(明治23年)の老舗ホテル。現在の正式名称は「THE SAIHOKUKAN HOTEL」ではあるが、地元では創業時の犀北館と呼ばれている。1998年に開催された長野オリンピックの際は皇族の宿泊をはじめ、当時のサマランチ国際オリンピック委員会会長などの重要来賓が来館したことで知られる。 18 6四歩(63) ( 0:00/00:02:00) *長野市は長野県の県庁所在地であり、人口が367,000人と県内最多の都市で、中核市の指定を受けている。県庁は標高371.3メートルに位置し、47都道府県の県庁舎で最も高い位置にある。長野駅は北陸新幹線の停車駅で、善光寺をはじめとした観光の玄関口として賑わっている。1998年、第18回冬季オリンピック長野大会、第7回冬季パラリンピック長野大会のメイン会場地として知られる。 * *【善光寺】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-dd59.html * *【善光寺界隈】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-51c6.html 19 3六歩(37) ( 0:00/00:00:00) *互いに駒組みが進む。 20 6三銀(62) ( 0:00/00:02:00) *昨日は渡辺が東京から、藤井が愛知から別々に長野入りした。気温は10度と例年より温かく、残雪もわずかだった。マイクロバスで犀北館に移動して、すぐに検分が行われた。将棋盤と駒は将棋連盟所有のものが用意され、特に問題はなかったが、座布団が厚手のもので渡辺から変更の要望があった。両者の合意で対局場の座布団が使われることに。青野九段は「棋士は座布団をすごく気にするんですよ」といい、事前に用意されたものに座ると「確かにちょっと厚いね」と話していた。 * *【検分】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-42ac.html 21 3七桂(29) ( 1:00/00:01:00) *先手の指し手は▲3七桂。右桂を早めに活用するのが最近のトレンドになった。隙あらば▲4五桂と銀取りに跳ねる手を見ている。 22 4二玉(51) ( 0:00/00:02:00) *玉を4二に上がる。最近は玉も守備駒のひとつといった認識がされるようになった。 23 6八玉(59) ( 0:00/00:01:00) *先手も玉を6八に上がる。 24 7四歩(73) ( 0:00/00:02:00) *△7四歩は先手の▲3六歩と同様に桂の活用を可能にする一手となる。 25 4七銀(48) ( 0:00/00:01:00) *右銀を活用する。 26 7三桂(81) ( 0:00/00:02:00) *後手も右桂を跳ねる。互いに駒組みが進む。 27 9六歩(97) ( 0:00/00:01:00) *ここでようやく端歩を突く。まずは9筋から。 28 1四歩(13) ( 0:00/00:02:00) *渡辺は1筋の歩を突いた。 29 1六歩(17) ( 0:00/00:01:00) *藤井は1筋を受けた。 30 8一飛(82) ( 0:00/00:02:00) *渡辺の指し手は△8一飛。9筋の歩を受けない方針のようだ。行方九段は「藤井さんの先手だと角換わりになると思っていました。9筋を受けずに指すのは渡辺さんがよく見せる作戦で、どこまで研究しているか。午前中のうちにのっぴきならない局面になる可能性もあります」と解説する。 31 4八金(49) ( 2:00/00:03:00) *藤井の指し手は▲4八金。▲9五歩と突き越す指し方も有力だったが、端に2手を費やすと中央での戦いに後れを取る危険も考えなくてはならない。 32 6二金(61) ( 1:00/00:03:00) *渡辺は右金を6二に上がる。8一飛−6一金型は互いの弱点をカバーし合っていて好形のひとつとされる。 33 2九飛(28) ( 0:00/00:03:00) *先手も同じように2九飛−4八金型に構える。 34 5四銀(63) ( 0:00/00:03:00) *後手は△5四銀と腰掛け銀に。攻守のバランスが取れた構えである。 35 9五歩(96) ( 0:00/00:03:00) *藤井はここで▲9五歩と9筋を突き越した。9筋がどちらにどう影響するのか。先手の利は▲7九玉〜▲8八玉と囲ったときに玉の懐が広い点。後手としては端の2手を中央に使っていく方針かもしれない。 36 4四歩(43) ( 0:00/00:03:00) *「挑戦者決定トーナメントの▲藤井聡−△伊藤匠戦のように進んでいますね」と行方九段。昨年11月29日に行われた将棋で、午前中に83手も進んだ。「怖くて指せないですけど、両者の共通認識なんですね」と話す。 37 5六銀(47) ( 1:00/00:04:00) *先手も▲5六銀と上がって腰掛け銀に。 38 3一玉(42) ( 3:00/00:06:00) *振り駒が大きな話題になった。1度目は歩2枚、と金2枚、1枚がタテに立って振り直し。2度目は歩2枚、と金2枚、1枚が横に立って振り直しとなった。3度目はと金が4枚で藤井の先手に決まった。 * *【振り駒で珍しい結果】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-5729.html 39 7九玉(68) ( 0:00/00:04:00) *9筋の位を取ったので先手は玉の懐が広い。 40 7五歩(74) ( 1:00/00:07:00) *「これは最近あまり見かけなくなった指し方ですね」と行方九段。「藤井さんが七段のときに指された将棋でしたよね」と続けた。2019年2月12日に行われた第69期大阪王将杯王将戦一次予選の▲藤井聡七段−△池永天志四段戦(肩書きはいずれも当時)で指された。1号局は2018年8月9日の第77期順位戦B級1組の斎藤慎太郎七段−松尾歩八段戦で、後手の松尾八段が見せた仕掛けである。 41 同 歩(76) ( 2:00/00:06:00) *【記者会見】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-1155.html 42 6五桂(73) ( 0:00/00:07:00) *歩を突き捨ててから桂を跳ねる。積極的な指し回しである。 43 6八銀(77) ( 0:00/00:06:00) *銀を6八に引く。次に▲6六歩を見せる。 44 8六歩(85) ( 0:00/00:07:00) *【開幕式(1)】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-ffea.html * *【開幕式(2)】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-a505.html 45 同 歩(87) ( 0:00/00:06:00) 46 同 飛(81) ( 0:00/00:07:00) *銀を移動させて8筋の歩を交換する。 47 8七歩打 ( 0:00/00:06:00) 48 8一飛(86) ( 0:00/00:07:00) 49 6六歩(67) ( 1:00/00:07:00) *▲6八銀からの継続手。歩を突いて「桂の高飛び歩の餌食」を狙う。 50 3五歩(34) ( 1:00/00:08:00) *歩を持ったので先手の桂頭を狙う。▲3五同歩は△3六歩と打って桂を取ることができる。 51 5八角打 ( 0:00/00:07:00) *自陣角で桂頭をカバーする。 52 7七歩打 ( 0:00/00:08:00) *桂が取られる前に△7七歩とたたく。 53 同 桂(89) ( 0:00/00:07:00) 54 同 桂成(65) ( 0:00/00:08:00) 55 同 銀(68) ( 0:00/00:07:00) *桂交換になった。 56 3六歩(35) ( 0:00/00:08:00) *歩を取り込んで歩切れを解消する。 57 同 角(58) ( 0:00/00:07:00) *「ここで後手は△9四歩と突いて9筋を逆用しにいきます」と行方九段。▲9四同歩は△9七歩と垂らす狙い。以下▲9七同香は△8五桂が厳しい。 58 9四歩(93) ( 0:00/00:08:00) *渡辺の指し手は△9四歩。行方九段は「後手は先手の3六角が不安定ですよねという指し方です」という。 59 同 歩(95) ( 3:00/00:10:00) *「歩が取れるんですか」と行方九段は驚く。「渡辺さんはちょっと意外だったんじゃないですかね」と続けた。両対局者が映るモニター画面を見て「変化を思い出している感じがしますよね」と行方九段。 * *【対局開始 戦型は角換わりに】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-127d.html 60 9六歩打 ( 1:00/00:09:00) *渡辺の指し手は△9六歩。「しかも9六から垂らすんですか。ついていけません」と苦笑する行方九段。「△9七歩は▲5八角と引かれて9四歩にヒモをつけられて続かないということですか。△9六歩だと▲5八角に△9七歩成▲同香△8五桂があるということなんですね」と解説する。 61 同 香(99) ( 1:00/00:11:00) *「馬を作られるのは怖くはないということですか」と行方九段。2021年3月に指された第92期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメントの▲出口若武五段−△渡辺明戦で、渡辺が経験している形である。「ああ、あの将棋ですか。渡辺さんが快勝したことはよく覚えています」と話す。 62 9七角打 ( 0:00/00:09:00) *▲9六同香には△9七角が後手の狙い筋。 63 6八玉(79) ( 0:00/00:11:00) *玉を6八に上がって王手をかわす。 64 7五角成(97) ( 0:00/00:09:00) *後手が仕掛けたのは馬を作る狙いである。渡辺としては馬と角の差を主張していきたい。 65 9三歩成(94) ( 1:00/00:12:00) *先手はと金を作って9筋を逆用しにいく。前述した▲出口−△渡辺明戦と同一の進行である。 * *※局後の感想※ *ここまでは前例があり「定跡です」と渡辺。 66 6五歩(64) ( 1:00/00:10:00) *10時1分の着手。 *ここで渡辺が手を変えた。前例は△7六歩▲8六銀△7四馬▲9九飛△6一飛▲7五歩△5二馬▲7四桂△7二金▲8三と△同金▲9一香成だったが、渡辺は△6五歩と突いた。前例に別れを告げる。 *10時、午前のおやつは藤井が白玉ぜんざい(温)、アイスコーヒー。渡辺が信州リンゴのザクザクタルト、信州リンゴジュース、アイスコーヒー。 *「さすがにここで止まりますよね」と行方九段。続けて「△6五歩は前例の△7六歩と比べて善悪は難しいところですが、互角の範疇ということでしょう」と話す。前例で手を代える場合、基本的には負けた側が修正案として新しい手を指すことが多い。渡辺は予想外の候補手をどこまで掘り下げているのだろうか。 *青野九段は「前例は後手の馬が自陣に押し込められたので少しイヤなのかもしれませんね」という。 * *【午前のおやつ】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-02c9.html * *【10時過ぎに前例を離れる】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/10-1958.html 67 7六歩打 (51:00/01:03:00) *藤井は51分の考慮で▲7六歩と打った。馬に働きかける。 68 7四馬(75) ( 2:00/00:12:00) *馬の移動先は7四だった。9六の香取りになっている。 69 2四歩(25) (18:00/01:21:00) *11時14分の着手。▲2四歩までの消費時間は、▲藤井1時間21分、△渡辺12分。 *藤井の指し手は▲2四歩だった。△2四同歩は▲2五歩の継ぎ歩攻めが生じる。 70 同 歩(23) ( 1:00/00:13:00) *「ここで▲2五歩は間に合いません」と行方九段。△3五歩と打たれて▲4七角に△9六馬▲2四歩に△2八歩▲同飛△3六桂の切り返しがある。行方九段は▲2二歩を予想している。△2二同銀や△同金は利かしのため、後手は△2二同玉と取ることになるだろう。そこで▲2三歩とたたいてどうか。 71 2五桂打 ( 2:00/01:23:00) *「えっ、▲2五歩。いや▲2五桂打ですか。すごい手が出ましたね」と行方九段。継ぎ歩ならぬ継ぎ桂が出た。△2五同歩は▲同桂で先手の攻めが加速する。▲2五歩との違いは3三の銀取りになっていること。後手は手を抜けない。渡辺は天を見上げた。 * *※局後の感想※ *珍しい継ぎ桂の攻め。「▲2五桂打だと空振ってしまうリスクもあるのですが、速い攻めが必要な局面なのかなと思っていました」と藤井。渡辺はこのあたりまでが想定だったようだ。 72 3四銀(33) ( 4:00/00:17:00) *渡辺は4分で△3四銀とかわす。 73 3三歩打 ( 0:00/01:23:00) *空いた空間に▲3三歩とたたく。▲2五桂打からの継続手である。「△3三同桂▲同桂成△同金で、先手がどう指すか。私は△3三同金の局面はさっぱりしているので後手を持ってみたいですが、先手はどこかで▲6五銀とぶつけていくのでしょう」と行方九段。 74 同 桂(21) ( 4:00/00:21:00) *11時27分の着手。 *渡辺は4分で△3三同桂と応じる。藤井の1時間23分に対して、渡辺はここまで21分しか使っていない。かなり激しい順に進んでいるが、まだ研究範囲なのかもしれない。 *12時、この局面で藤井が32分使って昼食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲藤井1時間55分、△渡辺21分。昼食の注文は藤井が信州そば定食、渡辺が季節の会席弁当。対局は13時から再開される。 *昼食休憩再開時に地元の小学生が対局を見学した。藤井は脇息を引き寄せて前傾姿勢で盤上を見つめている。渡辺は姿勢を正して高い位置から局面を見ている。 *13時、地元の大盤解説会が始まった。 *13時5分、藤井の消費時間が2時間に。渡辺との差が1時間39分と大きく開いている。 * *【昼食休憩】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-bc24.html * *【昼食休憩時の対局室】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-e82f.html * *【現地大盤解説会】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-403b.html 75 9二歩打 (39:00/02:02:00) *13時07分の着手。 *対局再開。昼食休憩後の指し手。 *藤井の指し手は▲9二歩だった。桂を取らず香取りに歩を打つ。難しい手順である。青野九段は「▲9二歩に代えて▲3五歩もあったと思います。△3五同銀に▲5四角△同歩▲3四歩が狙いです」と話している。先手が▲3三同桂成と取らなかったのは、青野九段の解説にあるような順で桂取りに▲3四歩と打つ構想を描いているからといった見方もできる。△2五桂と桂を取りながら逃げられてしまうが、それ以上に3四の拠点が大きいといった判断だ。 *青野九段がモニターを見つめている。藤井の▲9二歩について「普通は2五の桂を取られるのがイヤな感じもしますが、▲9二歩はプロらしい味わいのある手でしたね。後手は香を取られてしまう形なので2筋を解消するしかないでしょう。△2五歩では▲3五歩△同銀▲5四角△同歩▲3四歩がひどいので、後手は△2五桂と取ることになるでしょうか。ただ、以下▲同桂△同歩に▲3三歩や▲6五銀でバリバリやってこられそうな気もします。実際はいい勝負ですが、対応次第では急に差がつくかもしれません。ここ数手は後手が一手一手、意表を突かれている印象を受けます」と解説する。 *14時7分、渡辺が手を止めて1時間が経過した。ここにきて初めてまとまった時間を投入している。 * *【対局再開】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-2985.html * *※局後の感想※ *感想戦ではこのあと先手が歩の枚数を気にしていた趣旨のコメントが出た。歩を節約する意味で▲9二歩に代えて▲9二とが考えられるが、△8三飛と浮かれると本譜のように飛車を封じ込める展開にはならない。また、先手が▲3三同桂成と取らなかったのが好判断だった。代えて▲3三同桂成は△同金で、以下▲9二歩は△4二玉となって「その形は後手が受けやすくなる」と渡辺。 * 76 2五桂(33) (66:00/01:27:00) *14時13分の着手。△2五桂までの消費時間は、▲藤井2時間2分、△渡辺1時間27分。 *渡辺の指し手は△2五桂だった。1時間6分の考慮で指された。青野九段が解説していた手である。「やはり桂で取りますよね。歩で桂を取るのは香を取られてきついですから」と青野九段。 *藤井が手を止めている。▲2五同桂と桂を取り返すのか、▲9一歩成と飛車取りの先手で香を取るのか。もしくは▲3三歩を利かすことも考えられる。 77 同 桂(37) (18:00/02:20:00) *藤井の指し手は▲2五同桂。単に桂を取り返した。次に▲3三歩のタタキがあるので後手は手を抜きにくい。△2五同銀が角取りの先手になるが、▲同角△同歩に▲9一歩成△同飛▲2四桂が厳しそうだ。「先手はどこかで▲6五銀が切り札として残っているので後手がどう応じるか」と青野九段。△6五同銀は角筋が通って▲8一角成と飛車を取られるので、後手は銀を取ることができない。「▲6五銀は△6七歩を与えるけど、銀を手に入れるのが大きい」と話す。肝心の形勢については「後手を持って勝つのは大変そうですが、実際の形勢はそう離れていないようです」と青野九段は語る。 78 同 歩(24) (23:00/01:50:00) *渡辺は23分の考慮で桂を取った。 79 9一歩成(92) ( 0:00/02:20:00) *藤井はすぐに香を取る。 80 同 飛(81) ( 0:00/01:50:00) *飛車に当たっているので応じるしかない。「ここで▲6五銀は後手の飛車が移動したので△同銀と取られてしまいます」と青野九段はいう。先手はどう手をつないでいくのか。 *15時、午後のおやつは藤井が信州リンゴジュース、アイスティー(ダージリン)、渡辺がほうじ茶ティラミス、信州リンゴジュース、アイスコーヒー。 * *【午後のおやつ】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-ecc5.html 81 9二と(93) ( 9:00/02:29:00) *と金を使って飛車を追う。藤井は飛車の移動先が難しいと見ているのだろうか。 *大盤解説会場から帰ってきた行方九段は▲9二とについて「玉飛接近にさせる狙いです。△7一飛には▲8二とがあります。△6一飛には▲3三歩△同金▲3五歩△同銀▲2五角が飛車取りになるので、後手は△5一飛か△4一飛と逃げることになりますが、いい形とはいえませんからね」と説明する。今後について「先手が駒損せずに桂香を手にすることができたので、戦果が上がっていると思います。ただ、その持ち駒を使ってどう攻めを組み立てていくのかが今後の注目です」と語った。 82 6一飛(91) (31:00/02:21:00) *飛車の逃げ場は6一だった。6二金と飛車が互いを支え合っている。「▲3五歩△同銀▲2五角の筋で当たってきますが、5一や4一では玉と近すぎて将来、王手飛車が掛かるかもしれません。やむを得ないといったところでしょう」(行方九段) *したがって▲3五歩に後手は△4三銀左と引くことになるかもしれない。以下▲2五角で先手の攻めが続くかどうか。▲2五桂と金取りに打つ手もあり、先手がどういった順を描いているのだろうか。 *16時8分、藤井の残り時間が1時間になった。渡辺の残りは1時間39分。 * *【先手好調】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-fdf5.html 83 3五歩打 (46:00/03:15:00) *藤井の指し手は▲3五歩だった。46分の考慮で指された。青野九段は「▲3五歩は妥協した感があります。▲3三歩△同金▲3五歩は△同銀▲2五角に△3四歩で攻め方が難しく自信が持てなかったということでしょう。単に▲3五歩は▲3三歩に比べて攻めが確実になる半面、遅くなりますから」と解説する。▲3五歩には△4三銀左と引くことになりそうだ。行方九段は「そこで先手に二の矢があるかどうか」と話す。 84 4三銀(34) (25:00/02:46:00) *渡辺は25分の考慮で△4三銀左と銀を引いた。 85 2三歩打 ( 4:00/03:19:00) *藤井は▲2三歩と打つ。▲3三歩と打たずに温存した1歩を2筋に使った。次に▲2四香を狙っているようだ。後手は歩が2五にいる格好なので受けが難しい。△2三同金は守備金が上ずってしまうので、▲4五歩と突く手が厳しい。次に▲4四歩△同銀▲2五角が飛車に当たってくる。 *後手としてはどのタイミングで反撃に転じるべきか。▲2四香には△4一玉と逃げて▲2二歩成△4二金として耐えているかどうか。後手は△8五桂と銀取りに打つ手、△6六歩の取り込みや△6四桂など、手番が回ってくれば指したい手が多くある。 *17時9分、渡辺の残り時間が1時間になった。 86 8五桂打 (14:00/03:00:00) *渡辺は△8五桂と銀取りに打った。▲8六銀には△7七歩の追撃がある。 * *※局後の感想※ *△8五桂と攻め合ったことで形勢が傾いた。代えて△2三同金が検討された。以下▲2七香に当初は△3三桂が調べられた。が、以下▲2五角が強手で△2五同桂▲同香は先手の攻めが続く。代案として△3二桂と2四の地点を受けるのがいいとされたが、以下▲6五歩でどうか。歩を取った手が▲6六桂と▲2四歩を見た冷静な好手となるものの、形勢自体は難しい。「桂が3枚になったので△8五桂からおかわり攻めをしていけばいいと思ってしまって。本譜が一直線で負けなら、△2三同金から受けまくるしかなかったですかね」と渡辺。棋王が△8五桂を選んだのは次の手を軽視していたからである。 87 2四香打 ( 1:00/03:20:00) *藤井は銀を逃げず▲2四香と打つ。▲2三歩からの継続の攻めだ。次は▲2二歩成で後手の守備金をはがす狙いである。相手の歩の裏から忍び寄る高度なテクニックといえる。 * *【先手がリード】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-5878.html * *※局後の感想※ *歩の裏に打つ香が厳しかった。渡辺は▲2四香に代えて▲2五飛に△2一歩と受ける順を読んでいた。本譜はこのあとのと金攻めが後手玉を狭めることになる。先手の攻めがつながった。 88 4一玉(31) ( 3:00/03:03:00) *渡辺は3分で△4一玉と寄る。▲2二歩成に△4二金で耐える構想だ。先手のと金は大きいが、後手としては2筋が重いといった見方をしているのかもしれない。 89 2二歩成(23) ( 0:00/03:20:00) *先手は当然ながらと金を作る。 90 4二金(32) ( 0:00/03:03:00) *後手は大事な守備金を簡単に取らせるわけにはいかない。 *先手はどう攻めを続けるか。▲3四桂と金取りに打って△5二金左に▲2三香成が攻めとしては確実だが、先手も銀を削られる状況なのでより細やかな速度計算が必要になってくる。 91 3四桂打 ( 5:00/03:25:00) *藤井は金取りに桂を打つ。守備金を狙うのは寄せの基本である。先手が手にした桂香を有効に使う展開になっているようだ。ここにきて先手が優勢になりつつあるかもしれない。 92 7七桂成(85) ( 2:00/03:05:00) *銀取りに打ったからには守備駒を削りたい。 93 同 金(78) ( 0:00/03:25:00) 94 8五桂打 ( 0:00/03:05:00) *おかわりの桂打ち。次に△7七桂成と金を取ることができれば先手玉を一気に薄くさせることができる。 *藤井の残り時間が30分になった。 95 4二桂成(34) ( 6:00/03:31:00) *打った桂で金をはがす。寄せの基本である。 96 同 玉(41) ( 0:00/03:05:00) *後手は左金が盤上からいなくなって守備力が低下した。 *先手は▲8六金と逃げる手があるようだ。△6六歩には▲7五金と馬取りに出て、相手の攻めを逆用する順があるかもしれない。 97 8六金(77) ( 1:00/03:32:00) *藤井は金を逃げた。▲7五金から▲6四桂と今度は左辺から攻めることで挟撃態勢を築くことができる。△7七銀と打たれるとその筋はなくなるが、以下▲5八玉△8六銀成▲同歩△7七桂成には▲3一銀△5二玉に▲5五桂が退路封鎖の桂打ちで厳しそうだ。▲5五桂に△同銀は3六角の利きが6三まで通るのが厄介だ。 * *※局後の感想※ *▲8六金が決め手。次の▲7五金が馬を攻めながら後手玉を左辺から追い詰める絶品の構想だった。後手玉は7四馬の守備力が生命線である。この後は「入玉を見せられるような形になって、ずっとよくわからないまま指していました」と藤井は振り返ったが、本譜は細やかな攻めをつなぐ展開になって勝ち切った。 98 6六歩(65) ( 4:00/03:09:00) *渡辺は△6六歩と取り込む。6一飛の潜在能力によって先手玉を射程に入れる。 99 7五金(86) ( 0:00/03:32:00) *やはりこの金上がりが厳しいようだ。藤井が相手の攻めを逆用した格好である。守備金をも寄せに使っていく。恐るべし構想だ。 *渡辺の残り時間が30分になった。一時は1時間以上も残り時間で差をつけていた渡辺だが、ここにきてついに逆転した。 * *【相手の手を逆用して先手優勢に】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-5e19.html 100 同 馬(74) (32:00/03:41:00) *この手で100手に達した。△7五同馬までの消費時間は、▲藤井3時間32分、△渡辺3時間41分。 *渡辺は32分の考慮で△7五同馬と馬を切った。 101 同 歩(76) ( 0:00/03:32:00) *藤井はすぐに馬を取る。8五桂と6六歩は脅威だが、後手の攻めを見切っているのかもしれない。 102 7三金(62) ( 1:00/03:42:00) *△7三金と上がって飛車先を通す。ここにきて後手の飛車がようやく働いてきた。 103 3一角打 ( 4:00/03:36:00) *藤井の指し手は▲3一角。△5二玉なら▲4二金△6二玉で飛車先を止めることができる。▲3一角に△同飛は▲同とで、次に▲6二飛〜▲3四桂の寄せが視野に入る。 *渡辺の残り時間が10分になった。記録係の秒読みが始まる。 104 5二玉(42) ( 8:00/03:50:00) *△5二玉と逃げた。やはり△3一同飛は▲同とが▲6二飛以下の詰めろになるため、取り切れないようだ。藤井が勝勢になっている。青野九段は「▲4二金△6二玉に▲4三金と銀を取れば先手が勝ちそうです。以下△4三同銀は▲7四桂が厳しく、△5二玉に▲6二銀とかぶせていけばわかりやすいと思います」という。 * *【先手勝勢】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-f178.html 105 4二金打 ( 5:00/03:41:00) *藤井は▲4二金と打つ。青野九段が示した寄せを目指しているのだろう。先手玉は3六角が受けに利いていて、すぐに寄る筋がないようだ。 106 6三玉(52) ( 2:00/03:52:00) *渡辺は玉を6三に上がった。「▲4三金に△3一飛▲同と△7六角が勝負手で、ちょっとイヤな格好ですね」と青野九段。△7六角は△6七銀以下の詰めろになっている。 107 4三金(42) ( 0:00/03:41:00) *3六角の利きがあるので後手は△4三同銀とは取れない。「なるほど△3一飛▲同と△7六角は▲6一飛から後手玉が詰んでいるようです」と青野九段。▲6一飛に△6二桂は▲5五桂が角筋を生かした王手で、後手玉が詰む。 108 3一飛(61) ( 1:00/03:53:00) *渡辺は角を取った。 109 同 と(22) ( 0:00/03:41:00) *藤井はすぐに飛車を取る。勝ちを読み切っているのかもしれない。 110 6七銀打 ( 2:00/03:55:00) *渡辺は△6七銀と打つ。「▲5九玉に△6四玉で粘る意味です」と青野九段。 111 5九玉(68) ( 0:00/03:41:00) *藤井は玉を5九に引く。 112 6四玉(63) ( 0:00/03:55:00) *「これがいちばん粘りがありそうですね」(青野九段)。△7五玉〜△7六玉となれば簡単には捕まらなくなる。 *先手にうまい寄せがあるかどうか。▲5三金と歩を取るのがよさそうだ。次に▲6五銀と捨てるのが好手で、△同玉に▲5四角を見ている。▲5三金に△同玉は▲6五桂が痛打になる。先手は根元の歩を削れば、いい形で5四の銀を取ることができるようだ。 113 5五銀打 ( 6:00/03:47:00) *藤井の指し手は▲5五銀打だった。△5五同銀は▲6五飛で後手玉が詰む。△7五玉には▲6六銀△同玉▲6七銀と王手で銀を外す構想のようだ。 114 7五玉(64) ( 0:00/03:55:00) 115 6六銀(55) ( 0:00/03:47:00) *根元の歩を外す。 116 同 玉(75) ( 0:00/03:55:00) 117 6七銀(56) ( 0:00/03:47:00) *王手で銀を外す。藤井は自玉の憂いを取り除く。 118 同 玉(66) ( 0:00/03:55:00) *後手玉と先手玉が急接近した。 119 6八銀打 ( 0:00/03:47:00) *銀を打って後手玉を追う。△7八玉には▲7九飛△8八玉▲7三飛成と金を補充しながら飛車を成り込む順が厳しいか。 120 7六玉(67) ( 2:00/03:57:00) *渡辺の指し手は△7六玉。しかし▲5四角と王手で銀を取られるので、後手玉が捕まっていてもおかしくはない。とはいえ明快な順がすぐには見えず、渡辺がうまくプレッシャーを掛けている。 *藤井の残り時間が10分を切った。 121 8六飛打 ( 3:00/03:50:00) *藤井の指し手は▲8六飛。後手玉を押し返す。 122 7五玉(76) ( 0:00/03:57:00) *先手は自玉が安全とはいえ、攻めが細くなってきた。 123 5四角(36) ( 0:00/03:50:00) *藤井はここで銀を取った。△5四同歩に▲7六銀と王手桂取りに打つ手が見える。 124 同 歩(53) ( 0:00/03:57:00) *先手は銀桂の持ち駒で後手玉を仕留めることができるか。 125 6七桂打 ( 0:00/03:50:00) *桂を打って追いかける。 *この局面で渡辺が投了した。終局時刻は19時1分。消費時間は▲藤井3時間50分、△渡辺3時間57分。藤井が初戦を制して好スタートを切った。第2局は2月18日(土)に石川県金沢市「北國新聞会館」で行われる。 *投了以下、△7四玉に▲7六飛の王手が厳しく、△6五玉には▲7五飛△6四玉▲6五歩△6三玉▲6四銀△同金▲同歩△同玉▲7四金で後手玉が詰む。 * *【終局直後】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-bb10.html * *【大盤解説会場へ】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-8e33.html * *【感想戦】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2023/02/post-10da.html 126 投了 ( 0:00/03:57:00) まで125手で先手の勝ち