# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.56 棋譜ファイル --- 対局ID:11720 記録ID:600a839e1aec980003713506 開始日時:2021/02/06 09:00 終了日時:2021/02/06 18:53 表題:棋王戦 棋戦:第46期棋王戦五番勝負 第1局 戦型:雁木 持ち時間:各4時間 消費時間:128▲239△232 場所:東京・将棋会館 備考:昼休前42手目17分\n 振り駒:4,0,渡 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:00〜13:00 昼休前消費時間:42手17分 手合割:平手   先手:渡辺明棋王 後手:糸谷哲郎八段 先手省略名:渡辺明 手数----指手---------消費時間-- *渡辺明棋王に糸谷哲郎八段が挑戦する第46期棋王戦(主催:共同通信社)五番勝負第1局は、2月6日に東京・将棋会館の特別対局室で行われる。立会人は木村一基九段。記録係は齋藤光寿三段(門倉啓太五段門下)。 *持ち時間は各4時間。対局は9時開始。昼食休憩は12時から13時。おやつは15時に出される。開幕局の本局は渡辺の振り歩先(歩が多く出たら渡辺先手による振り駒で先後を決める。 *立会人の木村九段が8時30分過ぎに対局室入りする。8時42分ごろ、糸谷が入室。渡辺は8時46分ごろ特別対局室に入った。振り駒の結果、歩が4枚出て渡辺の先手に決まった。 *駒を並べ終えたあと、渡辺は対局室が寒いため、換気のために開けていた窓を閉めるように頼んだ。 * *【囲碁・将棋 | 株式会社共同通信社】 *https://www.kyodo.co.jp/igo-shogi/ *(棋譜・コメント入力=銀杏) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手。【】はブログやリンクのタイトル] 1 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *定刻9時、対局開始。渡辺はお茶を飲み、和服の襟を直してから▲2六歩を着手した。 * *棋王戦は1974年に設立。翌75年にタイトル戦となった。予選をトーナメントで行い、通過者とシード者で挑戦者決定トーナメントを戦う。 *本棋戦の特徴は、ベスト4以上は敗者復活戦(ダブルエリミネーション方式)を取り入れていること。ベスト4以上は1敗しても挑戦者のチャンスがある。 *挑戦者決定戦は、本戦優勝者と敗者復活戦優勝者による変則二番勝負で、本戦優勝者は2局のうち1勝すれば挑戦権を得るが、敗者復活戦優勝者は2連勝が条件となる。棋王と挑戦者は2月から3月にかけて五番勝負を争う。 *【囲碁・将棋|共同通信社】 *http://www.kyodo.co.jp/igo-shogi/ *【棋王戦中継サイト】 *http://live.shogi.or.jp/kiou/ 2 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) *2手目を見届けて、関係者が退室する。 * *本局はABEMAで動画中継される。解説・聞き手は郷田真隆九段、近藤誠也七段、竹部さゆり女流四段、飯野愛女流初段。 *【第46期棋王戦五番勝負第1局 渡辺明棋王 対 糸谷哲郎八段】 *https://abema.tv/channels/shogi/slots/F9J5GyyM49vMoV 3 7六歩(77) ( 1:00/00:01:00) *◆渡辺 明(わたなべ あきら)棋王(名人・王将)◆ *1984年4月23日生まれ、東京都葛飾区出身。所司和晴七段門下。2000年、四段。2005年、九段。棋士番号は235。 *タイトル戦登場は37回。獲得は棋王8期(永世棋王)、竜王11期(永世竜王)、名人1期、王座1期、王将4期、棋聖1期の計26期。棋戦優勝は11回。 4 4四歩(43) ( 1:00/00:01:00) *1分使って△4四歩。糸谷がこの出だしを用いるのは初めて。雁木を目指すのだろうか。 * *◆糸谷 哲郎(いとだに てつろう)八段◆ *1988年10月5日生まれ、広島県広島市出身。森信雄七段門下。2006年、四段。2014年、八段。棋士番号は260。 *タイトル戦登場は4回。獲得は竜王1期。棋戦優勝は1回。 * *■ABEMA■ *近藤誠也七段>ちょっと珍しいですね。一手損角換わりはなくなりました。 5 4八銀(39) ( 1:00/00:02:00) *渡辺の本年度の成績は20勝10敗(0.667)。 *勝率ランキング18位。公式戦7連勝中。 *通算成績は677勝341敗(0.665)。 6 4二銀(31) ( 0:00/00:01:00) *糸谷の本年度の成績は23勝14敗(0.622)。 *対局数ランキング12位、勝数ランキング13位。 *通算成績は406勝222敗(0.646)。 7 2五歩(26) ( 1:00/00:03:00) *過去の対戦成績は渡辺15勝、糸谷5勝。現在は渡辺が6連勝。タイトル戦では、2015年度の第28期竜王戦七番勝負以来の対戦となる。なお、このとき竜王戦は渡辺が初めて年下と争ったタイトル戦でもある。 8 3三角(22) ( 0:00/00:01:00) *当初、第1局は7日に宇都宮市「宇都宮グランドホテル」で予定されていた。しかし、1月14日に栃木県にも緊急事態宣言が発出され、宇都宮グランドホテルが1月18日から2月28日の休業を発表した。代替会場の確保が難しいため、対局場を将棋会館、対局日を6日に変更して行う。 *【第46期棋王戦五番勝負第1局の日程、会場変更のお知らせ】 *https://www.shogi.or.jp/news/2021/01/461.html 9 6八玉(59) ( 0:00/00:03:00) *渡辺は現在、棋王8連覇中。渡辺は竜王戦で9連覇しており、棋王を防衛すれば自身の連覇記録に並ぶ。また、棋王を防衛すれば、タイトル獲得歴代4位の谷川浩司九段の計27期に並ぶ。 10 8四歩(83) ( 0:00/00:01:00) *△8四歩と突いたため、糸谷の作戦は居飛車とみられる。雁木になりそうだ。糸谷の雁木は珍しい。本局のために用意してきたのだろう。 *「4手目に角をつかむのかと思ったら、歩を持ったのでびっくりした」と木村九段。 * *糸谷は棋王戦の五番勝負に初登場。糸谷のタイトル戦登場は2016年度の第64期王座戦五番勝負以来。2014年度に獲得した竜王以来のタイトルを目指す。 11 4六歩(47) ( 3:00/00:06:00) *▲3六歩から▲3七銀の駒運びも考えられた。 * *渡辺は王将戦とのダブルタイトル戦を戦っている。1月は6戦全勝。第71期王将戦七番勝負は永瀬拓矢王座に3勝0敗で、防衛にあと1勝としている。理想的な形で、棋王防衛戦を迎えることができた。 12 3二金(41) ( 3:00/00:04:00) *4日に糸谷の兄弟子である山崎隆之八段が順位戦でA級昇級を果たした。また、昨年12月には片上大輔七段が王位戦で初のリーグ入り、1月に西田拓也四段が朝日杯ベスト4入りと森信雄七段門下の活躍が目立つ。 13 4七銀(48) ( 0:00/00:06:00) *本局の観戦記は宮本橘さんが担当する。 *棋王戦の観戦記は河北新報、下野新聞、千葉日報、新潟日報、信濃毎日新聞、山梨日日新聞、静岡新聞、北日本新聞、北國新聞、京都新聞、日本海新聞、山陽新聞、中国新聞、愛媛新聞、高知新聞、佐賀新聞、長崎新聞、熊本日日新聞、南日本新聞、沖縄タイムスに掲載される。 14 6二銀(71) ( 1:00/00:05:00) *東京は晴れ。最高気温は15度と予報されている。4日に東京で春一番が吹いたと報じられた。過去最も早い記録とのこと。 15 5六銀(47) ( 1:00/00:07:00) *するするすると腰掛け銀に構える。雁木対策の有力策の一つだ。このあと、▲4八飛と転じるかどうかでわかれる。 16 4三銀(42) ( 0:00/00:05:00) 17 4八飛(28) ( 3:00/00:10:00) *守りの手は▲6八玉だけ。意欲的な駒組みだ。通常、右四間飛車は▲2五歩を決めないことが多い。それなら、右桂を3七から2五に跳ねる含みがある。本局の駒組みは、将来3七に桂を跳ねて▲4五歩△同歩▲同桂と攻めたときに3三角に当たるようにしている。 18 5四歩(53) ( 0:00/00:05:00) *対局者の控室には、お菓子が用意されている。将棋会館近くの「LAITIER」で作られた、駒の形をしたクッキーやバターサンドもある。 *【お菓子】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2021/02/post-dfc4.html 19 7八銀(79) ( 0:00/00:10:00) *左美濃はここ5年ほどで増えてきた囲いだ。コンパクトで堅いのが特徴。 20 5三銀(62) ( 3:00/00:08:00) *中央を厚くするのが雁木の特徴。渡辺の考慮中に9時30分を回った。 21 7九玉(68) ( 4:00/00:14:00) 22 5二金(61) ( 5:00/00:13:00) 23 3六歩(37) ( 1:00/00:15:00) 24 8五歩(84) ( 0:00/00:13:00) *糸谷は居玉のまま進めている。城に入る△4一玉は自然だが、かえって戦場に近づく意味もある。場合によっては△6二玉と右玉にすることも考えられそうだ。 25 5八金(49) ( 4:00/00:19:00) *後手のように▲7七角と上がって受けるのが普通だが、歩交換を許す指し方も多くなった。攻めを優先させるつもりだ。後手も歩交換すると手が遅れる懸念がある。糸谷は席を外している。 *【朝の様子】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2021/02/post-b35b.html *【対局開始】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2021/02/post-75cb.html 26 8六歩(85) (25:00/00:38:00) *25分の考慮だが、席を外していた時間もかなりあった。 27 同 歩(87) ( 2:00/00:21:00) 28 同 飛(82) ( 0:00/00:38:00) 29 8七歩打 ( 0:00/00:21:00) 30 8五飛(86) ( 0:00/00:38:00) *△8二飛もあったが、飛車の横利きを中段に利かしている。 31 3七桂(29) ( 0:00/00:21:00) *攻めを狙うとともに、△2五飛の防ぎでもある。 32 6四銀(53) ( 0:00/00:38:00) *△8五飛と関連した手。△5五歩と突く狙いだ。▲4五歩にも△5五歩と突けば、8八角の利きを止められるため、先手の攻めを緩和できる。 *渡辺が考えている。控室では木村九段が検討している。「何かありそうな感触はありますし、△5五歩に銀を引かされたくないので、ここは考えたい局面ですね。仕掛けたいですが、▲4五歩△5五歩▲4四歩△同銀に△1五角と出られる筋が気になるので▲2四歩(△5六歩は▲2三歩成△同金▲4四角と銀を取り返せる)として、△同歩▲4五銀△同銀▲同桂△4四角という進行は考えられます。そこで▲6六歩△8二飛(▲7七桂の当たりを避ける)▲6五歩△同銀▲5三銀の強攻は少し粗いかもしれません」と木村九段。 * *■ABEMA■ *近藤誠也七段>△5五歩▲4七銀△5四銀から△4三金右となれば手厚くて糸谷八段好みの駒組みです。先手は陣形が整っているので▲4五歩と突く可能性があって早い戦いになりそうです。 33 6六歩(67) (25:00/00:46:00) *10時40分ごろ、渡辺は▲6六歩。▲4五歩も有力だったが、じっくり指すつもりか。ただ、△5五歩に▲6五歩と牙をむくかもしれない。現状でも▲6五歩△同銀▲7七桂の含みがあり、▲6六歩は守り一辺倒の手ではない。 34 5五歩(54) ( 9:00/00:47:00) 35 6七銀(56) ( 0:00/00:46:00) *控室に常務理事の鈴木大介九段が訪れている。木村九段と△5三銀▲6五歩△6四歩の進行を並べている。▲6五歩で角が働いてくるので、後手は攻めを封じ込めたとはいえない。 *ここで△3五歩は▲4七金△3六歩▲同金で金を攻めに使われてまずい。歩を持っての△3五歩は一つの狙い筋だが、条件を整えないとうまくいかない。 *ABEMAでは近藤誠也七段が先手を持ってみたいと話している。郷田真隆九段も「先手のほうが読みやすい感じですね。後手は飛車と銀のバランスがいいといえません」という。後手陣をまとめるには力がいるのだろう。 *【10時30分ごろの控室】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2021/02/1030-db31.html 36 8四飛(85) (14:00/01:01:00) *11時3分の着手。△8四飛までの消費時間は▲渡辺46分、△糸谷1時間1分。 *検討に出ていない手だった。依然▲6五歩の筋はある。先手は▲9六歩も価値が高い。 *※局後の感想※ *糸谷は△8二飛だと▲6五歩△同銀▲5五角を気にしたが、渡辺はやるつもりなく、本譜のように▲4七金△5四銀▲1六歩△7四歩▲5六歩と進めるつもりだったという。「それならば△8二飛のほうが▲9五角の筋がないのでよかった。ひたすら▲6五歩を恐れていた」と糸谷。 *「▲6五歩はよほど決定打にならない限りは突かない」と渡辺。 37 1六歩(17) ( 6:00/00:52:00) *△1五角を防いで価値ある手。攻めの準備を整えている。 38 5四銀(43) ( 2:00/01:03:00) *次に△4三金右とすれば手厚い構えになる。前手△8四飛は▲6五歩△同銀左▲7七桂が飛車銀取りにならないようにしていた。 39 4七金(58) ( 2:00/00:54:00) *「これは、ぽぽーんと攻めるつもりなんだ」と木村九段。△4三金右▲9六歩△8二飛に▲5六歩△同歩▲4五歩と歩を2つ突き捨てるのが「ぽぽーん」だ。次いで△4五同歩に▲5六金△5五歩▲4五金と繰り出していく。ABEMAでも郷田九段が▲9六歩△8二飛の交換がない形で同じ攻め筋を示していた。 *35手目▲6七銀引と引いたからといって、局面が収まっているわけではないようだ。11時20分、対局室では糸谷が前傾姿勢で考えている。どういう形で仕掛けを迎え撃つかが悩ましい。本局、糸谷のほうが消費時間が多い。早指しのイメージも強いが、近年は時間を使うようになった。 40 7四歩(73) (23:00/01:26:00) *大胆。というのは、▲9五角の間接王手飛車取りが生じるから。突くにしても△9四歩から△7四歩とするのが自然だった。また、「△7四歩は攻めの手で、後手の陣形とマッチしていない」と郷田九段がABEMAで話していた。「自由」と揮毫することが多い糸谷。常識にこだわらない指し回しだ。 41 5六歩(57) ( 4:00/00:58:00) *ついに開戦。おうちに入って金銀の守りが暖かい先手玉と、側近が少なく肌寒い居玉のままの後手玉。堅さが違うため、単純な攻め合いは先手がよくなりやすい。糸谷はうまくいなしたいところだ。「待ってましたという感じで攻めましたね。後手を持ちたい人はいないでしょうね」と木村九段。 *△5六同歩なら▲4五歩△同歩▲5六金の要領。後手が放置すれば、▲5五歩△同銀右▲6五歩で銀ばさみになる。 *ここで糸谷が17分使って昼食休憩に入った。消費時間は▲渡辺58分、△糸谷1時間43分。対局は13時再開。対局者の昼食は渡辺が「うな重(藤)、吸物」、糸谷は「うな重(桜)、吸物」。いずれも「渋谷 松川」からの出前。 *【渋谷 松川】 *http://www.unagi-matsukawa.co.jp/ *【昼食メニュー】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2021/02/post-7313.html *【昼食休憩時の対局室】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2021/02/post-e82f.html 42 同 歩(55) (17:00/01:43:00) *13時、対局再開。「時間になりました」という齋藤三段の声を受けて、糸谷はすぐに△5六同歩と歩を取った。 43 4五歩(46) ( 2:00/01:00:00) *「渡辺先生、1時間使われました」と告げられた渡辺は▲4五歩とさらに歩を突っかける。攻めに勢いをつけようとしている。 44 7三桂(81) ( 3:00/01:46:00) *△7四歩と2手一組。ただし、△8五桂と跳ねても攻めにならない。そうではなく、▲6五歩を緩和する意味合いが強い。先手は▲4四歩△同角▲5六金が一案。 *渡辺は前傾姿勢で考えている。 45 5六金(47) (15:00/01:15:00) *単に▲5六金だった。これは△5五歩に▲4六金と寄ってじっくり攻めるつもり。 46 5五歩打 ( 3:00/01:49:00) 47 4六金(56) ( 0:00/01:15:00) *4六金と6七銀を逆にしてみると、先手が申し分ない好形であることがわかる。6七銀型は5七が弱点で、ここに角や金を打たれる嫌みはあるが、それでも先手陣が好形であることには変わりない。 *後手陣を好形にするには何手もかかる。その状況で糸谷は局面をまとめないといけない。 *【対局再開】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2021/02/post-2985.html 48 7五歩(74) ( 7:00/01:56:00) *△4五歩は▲同金△同銀▲同桂から攻めが止まらなかった。先手の右桂が4五に跳ねると▲5三歩が痛烈になる。後手からは4筋の歩を取りにくい。 *△7五歩は△7六歩としてもまだ厳しくない。飛車の利きを通した意味も強そうだ。 *■ABEMA■ *郷田真隆九段>ソフトは▲5八金も示しているんですか。こう。5万年生きていても考えないですね。美しくないですからね。人間が美しいと感じるのはすごく大事なことなんです。 *本譜の▲5六金も自然ですけど、5七が気になるなら(45手目)▲5六金で▲4四歩△同角▲5六金のほうが弱点を補いながら攻められました。▲4四歩に△5五銀右を気にしたのでしょうか。 49 9六歩(97) (30:00/01:45:00) *14時3分の着手。▲9六歩までの消費時間は▲渡辺1時間45分、△糸谷1時間56分。 *▲9六歩はどこかで指したかった手。△9五桂の筋を消しながら▲9七角と活用する含みも作っている。間合いを取ったわけだが、すぐに厳しく攻める手段はなかった、という見方もできるだろう。 *14時過ぎ、木村九段がABEMAにゲスト出演した。「▲9六歩は落ち着いている一手です。急いでよくしようという考えもありますが、力をためるところに自信があるのかなと感じられます。▲3五歩などを考えているのかなと思っていました」と話す。 *控室には『将棋世界』2021年3月号がある。棋王戦の挑戦者決定戦などの記事が掲載されている。 *14時11分ごろ、将棋会館がグラッと揺れた。地震だ。千葉県北西部が震源で、渋谷区の震度は2だった。 *【今月の将棋世界】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2021/02/post-a3c9.html *【気象庁|地震情報】 *https://www.jma.go.jp/jp/quake/3/20210206051359393-06141039.html 50 4三金(32) (16:00/02:12:00) *力強い。本格的な戦いを前にして、もう雁木の面影がない。ただ、控室では39手目▲4七金の局面で△4三金左も予想されていた。戦場である4筋を厚くする。 *【らしい金上がり】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2021/02/post-3f07.html *※局後の感想※ *△9四歩として、▲9七角を牽制しつつ、持ち歩が増えたときに端攻めする手段も考えられた。 *「金銀がバラバラすぎるのでくっつけにいったのですが」と糸谷。△4二角と引く展開を目指して本譜を選んだ。 51 3五歩(36) ( 5:00/01:50:00) *戦線を広げていく。△3五同歩▲同金△3四歩に▲4四歩が金取りになる。こうした展開なら、△4三金左を逆用できる。控室では、木村九段が関係者に「先手は△7六歩〜△7五銀〜△8六歩とくるまでは安全です。なので、いまのうちに先手はわんさか攻めていきたいですね」と解説している。 52 4二角(33) (17:00/02:29:00) *▲3四歩や▲4五桂の当たりをかわしつつ、7筋や8筋に角を利かす。 *14時45分ごろ、渡辺がラムネ菓子を食べてブドウ糖補給。少しして、将棋連盟の職員が対局室に入り、渡辺のポットを交換した。お茶のおかわりをしたようだ。 *最近の渡辺は対局にラムネを持参している。『Sports Graphic Number』1018号の特集で渡辺は池谷裕二・東京大学大学院薬学系研究科教授と対談し、その中でラムネの話も出てきた。ラムネのほかに、栄養ドリンク、チョコレート、フィナンシェ、バナナ…。棋士の栄養補給もさまざまだ。 53 4四歩(45) (12:00/02:02:00) 54 同 金(43) ( 0:00/02:29:00) 55 4五桂(37) ( 0:00/02:02:00) *▲5三歩を狙っている。△7六歩▲同銀△7五銀のような攻めの牽制にもなっている。 *糸谷の考慮中に15時を回り、おやつが出された。渡辺はショートケーキ(LAITIER)、ホットカフェオレ(ドトール)。糸谷はショートケーキ(LAITIER)、ホットカフェオレ(ドトール)。なお、ショートケーキは対局室の控室に出される。また、渡辺からはリクエストがあり、昼食時にケーキを一緒に出したとのこと。 *【おやつ】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2021/02/post-6c0a.html 56 6二玉(51) (18:00/02:47:00) *戦場から遠ざかる右玉だ。あえて居玉のままでいたメリット。早い時期に△4一玉としていたら、こうした手を指せなかった。 *※局後の感想※ *「▲4五桂に△6二玉では苦しいなと思っていた」と糸谷。 57 5三歩打 ( 8:00/02:10:00) 58 4三金(52) ( 0:00/02:47:00) *取れば駒損、逃げれば利かされ、手抜いた姿は必敗形。取るか逃げるか、どちらも味は悪いが、△6二玉に考えていた糸谷はすぐに△4三金上とかわした。後手は玉の守りは薄いものの、中央の厚みがすごい。この厚みをどう破っていくかが渡辺の課題で手強い。「そう簡単につぶれるとは思えないですね」と鈴木九段。 *控室では▲4七飛が示されている。▲6五歩の狙い。事前に5七を守っておくことで、▲6五歩△同桂▲6六歩△5七桂成に備えている。 59 7五歩(76) (12:00/02:22:00) *7筋は金銀が少ない場所だ。ただ、後手の攻めを引っ張り込むのでリスクもある。 *※局後の感想※ *「やっていった割に中途半端だったか。決めにいくなら、いちばん早いと思った」と渡辺。 *(1)▲4七飛は△7六歩▲同銀△7五歩▲6七銀引△9四歩でどうか。 *(2)▲3四歩△同金寄▲3八飛は、△4四歩▲3五金△同金▲同飛△3四歩▲5二金△7一玉で先手大変。 60 同 銀(64) ( 1:00/02:48:00) 61 9七角(88) ( 0:00/02:22:00) 62 8六歩打 ( 0:00/02:48:00) 63 同 歩(87) ( 0:00/02:22:00) *指し手が早くなった。ここで△8六同銀は▲8五歩△同飛▲7四歩がカウンターパンチ。△9七銀成には▲7三歩成△同玉▲9七桂が飛車取りになる。 *糸谷はアイスカフェオレを飲む。 64 7六歩打 ( 9:00/02:57:00) *控室でも示されていた手。自分から崩れない指し方で辛抱強い。先手としても、自分から決めにいく手段は難しい。そこで▲8七銀△7四飛▲7八金と銀冠に組み替える順が示されているが「選びにくい」と木村九段。また、▲7二歩は「二枚落ちみたい」(木村九段)な手筋だが、△9四歩から角を狙われるのも嫌らしい。▲8七銀は角頭を守る意味もある。 65 8七銀(78) ( 8:00/02:30:00) 66 7四飛(84) ( 0:00/02:57:00) *7六歩を守る。現局面は先手が1歩得。得した歩が5三に垂れており、大きなポイントだ。 *16時になった。ABEMAでは郷田九段と近藤誠七段が、▲7八金に△3三桂とぶつける変化を調べていた。遊んでいる2一桂を活用して、4五桂を盤上から消し、5三歩まで除去できればうまい。 67 6八金(69) ( 6:00/02:36:00) *5七と7七の両方を受けている。ただし、△5六桂や△5九銀の筋には注意がいる。 *16時過ぎ、糸谷は残り1時間になった。 *※局後の感想※ *▲7八金も考えられた。「▲8五歩と突いて攻める筋を考えていた。それだと、後に△5七角があるので▲6八金としたが、これも△5六桂を与えるからなぁ」と渡辺。 68 3三桂(21) ( 3:00/03:00:00) *さっそく桂をぶつけていく。▲3三同桂成△同金の局面は、5三歩の除去と△5六桂の楽しみがある。 *【2月初旬の鳩森八幡神社】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2021/02/post-d23e.html *【鳩森八幡神社からLAITIERへ】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2021/02/laitier-b633.html *【15時50分ごろの控室】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2021/02/1550-2d49.html 69 同 桂成(45) ( 0:00/02:36:00) 70 同 金(43) ( 0:00/03:00:00) *木村九段は▲3六桂△4三金引▲5二歩成△同玉▲4四歩△5三金▲5六歩の進行を調べているが「難しい」という。 *ABEMAでは常務理事の鈴木九段がゲスト出演している。 71 4五桂打 (10:00/02:46:00) *5三歩の拠点を大事にしている。 *※局後の感想※ *▲4五歩は△4三金引▲7七歩△同歩成▲同金△5三角▲7六歩△6四銀の進行で、「一時期と比べれば、相当うれしい」と糸谷。 72 4三金(33) ( 0:00/03:00:00) *67手目▲6八金の局面で糸谷が1手かけて2一桂を駒台に載せた勘定。△5六桂が見えており、渡辺にプレッシャーがかかっている。 73 7七歩打 ( 1:00/02:47:00) *▲7七歩に木村九段が驚く。部分的に後手から△7七歩成▲同金△8五桂打と攻める筋があるからだ。それを渡辺が誘っている。△7七同歩成▲同金△8五桂打▲同歩△同桂▲7五角となれば先手が戦えるようだ。 *しかし、現局面で△5六桂もある。以下▲同銀△7七歩成▲同金△5六歩▲7六歩△6四銀▲5六金△5五歩の進行は先手が大変だ。「なんだか、この手順は先手の駒が前に進んでいないですね」と鈴木九段がつぶやく。検討では、△5六桂に先手がはっきりよくなる順は見つかっていない。糸谷が追い上げるチャンスのようだ。 *【位の奪還】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2021/02/post-9fbb.html 74 5六桂打 (17:00/03:17:00) *16時37分、糸谷はあぐらから正座になり、△5六桂と打って席を外す。前傾姿勢の渡辺は扇子であおいでいる。△5六桂は67手目▲6八金で▲7八金なら、たいしたことのない手だった。 *控室では▲7六歩△4八桂成▲7五歩と飛車を取らせて先手陣を安全にする順が検討されている。 *※局後の感想※ *「△5六桂と打てれば元気が出たかなと思った」と糸谷。 *67手目▲6八金で▲7八金なら、△5六桂に▲4七飛とかわせた。ただし、△7七歩成▲同金△6四銀▲7六歩の進行は、渡辺は乗り気ではなかった。「2一桂が5六桂に移動した計算だから、これなら▲7五歩(59手目)としないほうがよかったことになる」と渡辺。 75 同 銀(67) (10:00/02:57:00) 76 同 歩(55) ( 4:00/03:21:00) *△7七歩成を利かす手も有力とみられていた。▲同金なら△5六歩で次に△5七歩成がある。△7七歩成には▲同桂△5六歩▲7六歩△6六銀でどうか。 77 7六歩(77) ( 0:00/02:57:00) 78 6六銀(75) ( 2:00/03:23:00) *後手は入玉も視野に入れている。 79 5六金(46) ( 0:00/02:57:00) 80 5九銀打 ( 0:00/03:23:00) *早い。糸谷は10秒ほどで銀を打った。▲6六金△4八銀不成▲7五金△4五金▲7四金△5三玉が調べられている。また、▲5八飛は△6八銀成▲同飛△4五金の進行も考えられる。これらは後手が入玉含みの展開だ。鈴木九段は「5三歩が抜ける展開になってきました。現在は後手を持ってみたいです」という。十数手前からすると後手が盛り返しているようで、「形勢はなんともいえません」と木村九段。 *渡辺は考慮中に残り1時間を切った。千駄ヶ谷の街に「夕焼け小焼け」のチャイムが鳴り響く。挑戦者決定戦のころからすると、だいぶ日が伸びた。17時21分、渡辺の考慮時間が26分になり、双方の残り時間が並んだ。 *■ABEMA■ *郷田真隆九段>やりたいのは▲6六金ですが、△4八銀不成▲7五歩△6四飛▲7四桂△7二玉の進行は、先手にリスクがありますね。こうした接近戦は糸谷さんの持ち味が出そうです。先手は角が使えていないので、どこかで活用したいです。 81 5八飛(48) (27:00/03:24:00) *17時23分、渡辺の手が動いた。飛車を取らせる▲6六金も有力だったが飛車を大事にした。▲5八飛には△6八銀成▲同飛△4五金が一例として示されていた。 82 6八銀成(59) ( 4:00/03:27:00) 83 同 飛(58) ( 0:00/03:24:00) 84 4五金(44) ( 2:00/03:29:00) 85 6六飛(68) ( 1:00/03:25:00) *「優秀すぎる」と木村九段。控室の予想通りに進んでいる。ただ、この局面は手が広いという。 *※局後の感想※ *▲4五同金は△5七銀成で先手が負けそうとのこと。▲6六金は△5三角で△3五角とさばかれるのが嫌と渡辺。 86 3三角(42) ( 0:00/03:29:00) *糸谷は力を込めて△3三角と指す。強気。5三歩が生きていて後手としては不気味な局面だ。「駒は取られる直前が最も働いている」という言葉もある。 87 7五銀打 ( 1:00/03:26:00) *木村九段は▲8三銀を示していた。△8四飛なら▲4五金が▲5二金以下の詰めろになる。▲7五銀も飛車取りだが、微妙に意味合いは異なる。 *※局後の感想※ *(1)▲8三銀は△6六角▲7四銀不成△5九飛▲6九歩△6七桂▲7八玉△5八飛成▲6八桂△7九金▲同角△同桂成▲同玉△8八角打▲7八玉△5三玉で「読み切れなかった」と渡辺。糸谷も同じ進行を読んでおり、「千日手くらいになってくれ、と祈るしかない」と話した。 *(2)▲4四歩△同角▲5一銀も検討された。△5三玉▲6二銀打△5二玉▲4五金△6六角▲4四桂△同角▲同金△4九飛にどう受けるか。「この辺まで読んで、指さないでやめそう。後手玉に必至がかかっていないので、竜を抜く位出ないと割に合わない」と渡辺。△4九飛からの一例は▲5九歩△4四飛成▲3二金に△6七桂。先手は角を受けに使えないため、ここまでいくと王手攻撃をしのぐのは難しい。 88 同 飛(74) ( 3:00/03:32:00) *▲7五銀は確実に飛車を取る狙いだが、▲8三銀なら、この手はなかった。 89 同 歩(76) ( 0:00/03:26:00) 90 5三玉(62) ( 0:00/03:32:00) *間髪を入れずに△5三玉。▲5二飛以下の詰めろを防いだだけでなく、入玉大作戦の一歩でもある。「中段玉、寄せにくし」といわれる。渡辺はうまく網を絞れるだろうか。 91 3二飛打 ( 2:00/03:28:00) *△6五銀打が示されている。後手の金銀が分厚く、楽しみの多い流れになっていそうだ。 92 6六角(33) ( 4:00/03:36:00) 93 同 金(56) ( 0:00/03:28:00) 94 4四玉(53) ( 0:00/03:36:00) *41手目のコメントで「おうちに入って金銀の守りが暖かい先手玉と、側近が少なく肌寒い居玉のままの後手玉」と書いたが、現局面は後手玉が金銀を身にまとっている。ただ、▲6二角が見えているので思い切った手段でもある。△6六角から△4四玉を短時間で決断したところも含めて「糸谷さんらしい」といわれている。 95 6二角打 ( 1:00/03:29:00) 96 5三歩打 ( 0:00/03:36:00) 97 7三角成(62) ( 0:00/03:29:00) *二人とも前傾姿勢で考えている。ここで△4八飛は△8八銀▲同角△6八金の詰めろで自玉に利かす攻防手だ。 98 6四桂打 ( 1:00/03:37:00) *馬の利きを止めることを優先した。 *※局後の感想※ *「△6四桂でわからなくなった」と渡辺。糸谷も「ここはたしかに、希望は相当出た」という。先手は9七角が働いていないのが痛い。 99 6九歩打 ( 1:00/03:30:00) *転ばぬ先の杖。先に△3九飛や△4九飛を防いでおき、次に▲3七桂などを狙う。 *鈴木九段「いい手だなぁ」 *木村九段「いい手だねぇ」 100 7七歩打 ( 2:00/03:39:00) *この手で100手に達した。時刻は17時52分。△7七歩までの消費時間は▲渡辺3時間30分、△糸谷3時間39分。 *糸谷も歩の手筋だ。▲7七同桂は△7六歩。ただ、歩を残したままなのも嫌らしい。▲8八角から角で歩を取りにいく手段が検討されている。 *※局後の感想※ *▲7七同桂は△2七飛が厳しい。後手は△7七歩で単に△2七飛も有力だった。「▲6九歩と打ったところだから、(底歩に関係しない)三段目に飛車を打たれるのが厳しいのか。ここでは実戦的に先手が厳しくなっている」と渡辺は振り返る。 101 7四馬(73) ( 4:00/03:34:00) *馬の働きをよくしたが、まだ先手から厳しい攻めはない。一方、後手からは△4八飛の攻防手が見えている。現状は後手がよくなっているようだ。 *糸谷の考慮中に18時。糸谷は右手を動かしてリズムを取る。 102 5七飛打 ( 6:00/03:45:00) *△4八飛は△7八金のわかりやすい詰めろなので気づきにくいがこの手も攻防だ。「先手に自陣に駒を打たせてしまうのがいいんですね」と鈴木九段。先手に駒を使わせて受けさせれば、その分だけ後手玉が安全になる。 *ここで▲4七桂は詰めろではなく、△7六桂で先手玉は受けが難しい。以下▲7六同金は、△7八銀▲同銀△同歩成▲同玉△8七銀▲6八玉に△6七金が打てるようになって先手玉は詰む。 *渡辺は扇子であおいでいる。控室は継ぎ盤の動きがいったん止まった。渡辺は考慮中に残り10分を切った。懸命に手段を探している。18時24分、渡辺は残り6分になった。 103 5八歩打 (20:00/03:54:00) *苦心の手。△5八同飛成とすれば、後手は101手目の局面で5八に竜を打った勘定になる。糸谷は時間があるので、もっといい手を探したい。糸谷は脇息を90度傾け、その上に両肘を載せて考えている。 104 7八銀打 ( 4:00/03:49:00) *形を決める銀打ち。糸谷は勝ちに向かっている。棋王戦五番勝負における渡辺の先手番成績は18勝2敗で、現在11連勝中と無類の強さを誇る。そこを切り崩せたら大きい。 105 同 銀(87) ( 0:00/03:54:00) 106 同 歩成(77) ( 1:00/03:50:00) 107 同 玉(79) ( 0:00/03:54:00) 108 5八飛成(57) ( 0:00/03:50:00) 109 6八桂打 ( 0:00/03:54:00) 110 7六金打 ( 0:00/03:50:00) *駒を渡す攻めだが、▲7六同金△同桂の局面で後手玉がいきなり詰まされることはなさそうだ。 *18時35分、残り5分になった渡辺から「いやー」と声が漏れる。 111 同 金(66) ( 2:00/03:56:00) 112 同 桂(64) ( 0:00/03:50:00) *18時40分、渡辺は一分将棋に入った。 *■ABEMA■ *近藤誠也七段>先手玉が詰めろかどうかは微妙ですが、6六金を外したことで後手玉がさらに安全になりました。先手がどこから手をつけるか難しいです。 113 6六金打 ( 3:00/03:59:00) *109手目▲6八桂の局面で後手が無条件で△7六桂を指した勘定。つらいが懸命の粘りだ。▲5六桂打を含みにしつつ、あわよくば上部脱出をもくろむ。 114 6八桂成(76) ( 2:00/03:52:00) *高い駒音だった。▲6八同歩に△5七銀が厳しそうだ。 115 同 歩(69) ( 0:00/03:59:00) 116 5七銀打 ( 0:00/03:52:00) *詰めろではないが、着実な攻め。 117 6九銀打 ( 0:00/03:59:00) 118 7七歩打 ( 0:00/03:52:00) *▲6九銀の瞬間に手筋を放つ。いまなら▲7七同玉と取れない。 119 同 桂(89) ( 0:00/03:59:00) *「△6九竜▲同玉△5八金から追って、最後△6六銀成と取る形が詰めろになりそうです」と木村九段。 120 6九竜(58) ( 0:00/03:52:00) *決めに出た。ラストスパートだ。 121 同 玉(78) ( 0:00/03:59:00) 122 5八金打 ( 0:00/03:52:00) *間髪を入れずに金を打つ。 123 7八玉(69) ( 0:00/03:59:00) 124 6八金(58) ( 0:00/03:52:00) *この手も間髪を入れずに指された。▲8七玉に△6六銀成が詰めろ。 125 8九玉(78) ( 0:00/03:59:00) 126 7八銀打 ( 0:00/03:52:00) *糸谷の金銀が盤上を覆いつくそうとしている。▲9八玉に△6六銀成だ。△7八銀の王手は、▲3六桂△同金▲4八飛のような粘りを阻止している。 127 9八玉(89) ( 0:00/03:59:00) 128 6六銀成(57) ( 0:00/03:52:00) *渡辺は首を傾げながらお茶を飲み、白いマスクをつける。そして、50秒を読まれたところで渡辺が投了した。終局時刻は18時53分。消費時間は▲渡辺3時間59分、△糸谷3時間52分。 *不安定な陣形を腕力でまとめた糸谷が持ち味を発揮して先勝。第2局は2月20日に金沢市「北國新聞会館」で行われる。 *※局後の感想※ *感想戦では59手目▲7五歩から67手目▲6八金の周辺を中心に検討されたが、はっきり先手がよくなる手段は出なかった。「目ぼしい手が出てこないし、何度も局面を戻して調べるのでは大変か」「6七銀と4六金が逆形だから見た目よりも大変なのか」と渡辺は話していた。 *また、87手目▲7五銀で▲4四歩の変化は有力だったが「負けでもおかしくはないが、明確ではない」と糸谷。 *【終局直後】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2021/02/post-bb10.html *【感想戦】 *https://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2021/02/post-10da.html 129 投了 ( 0:00/03:59:00) まで128手で後手の勝ち