# --- Kifu for Windows (Pro) V6.60 棋譜ファイル --- 対局ID:2573 記録ID: 開始日時:2014/02/02 09:00 終了日時:2014/02/02 19:30 表題:棋王戦 棋戦:第39期棋王戦五番勝負 第1局 持ち時間:各4時間 消費時間:131▲239△239 場所:新潟・新潟グランドホテル 図:投了 手合割:平手   先手:渡辺明 後手:三浦弘行 先手省略名:渡辺明 後手省略名:三浦 手数----指手---------消費時間-- *渡辺明棋王に三浦弘行九段が挑戦する第39期五番勝負が開幕。第1局(主催・新潟日報社)は2月2日(日)9時から、新潟県新潟市「新潟グランドホテル」で行われる。 *本局の立会人・大盤解説は木村一基八段、記録係は上村亘四段、現地解説会の聞き手は上田初美女流三段。 *ニコニコ生放送での解説は9時〜終局まで。北浜健介八段と竹部さゆり女流三段が務める。 *8時46分、まず三浦が対局室に姿を見せた。そして1分ほど後に渡辺。両者が揃った。そういえば渡辺は、対局室と宿泊室の棟が違うため、前日に最短の動線を研究していた。エレベーターに頼らず、途中で階段を使うのが好手とのことだった。 *駒が並んだところで、立会人の木村八段が「第1局なので振り駒をお願いいたします」と声をかける。協賛および盤駒を提供した小飯田氏の振り駒は、渡辺の振り歩先で歩が3枚。開幕局は渡辺が先手番を握った。 * *(棋譜・コメント入力=烏) * *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。【】内はブログ記事、リンク先] * *【イベント情報(新潟日報社のページ)】 *http://www.niigata-nippo.co.jp/life/event/seminar/20140117089673.html * *【ニコニコ生放送】 *http://live.nicovideo.jp/watch/lv164056340 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>おはようございます。戦型予想ですが、第1局は振り駒で先後が決まるので、まだどちらが先手になるかは分かりません。渡辺棋王が先手の場合は横歩取り、三浦九段が先手の場合は角換わり腰掛け銀になると予想します。 1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *定刻となり、木村八段が開始を告げる。渡辺は1分ほど時間を使ったのち、7筋の歩に手を伸ばした。 2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *三浦の2手目は△8四歩。前日の戦型予想では、渡辺が先手の場合は横歩取りになるという見解が多かったが……。この五番勝負は、これまでとちょっと違う三浦が見られるかもしれない。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>これは矢倉か角換わりになりそうです。 3 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *渡辺の3手目は▲2六歩。これは角換わりの出だしだ。△3四歩なら横歩取りだが、横歩取りを指したいなら2手目は△3四歩だったはず。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>ここで△3四歩と突けば横歩取り、△3二金と上がれば角換わりの戦型になるでしょう。 4 3二金(41) ( 0:00/00:00:00) *過去の対戦成績は渡辺10勝、三浦3勝。星の並びは渡辺から見て4連勝、3連敗、6連勝となっている。 5 7八金(69) ( 0:00/00:00:00) *◆渡辺 明(わたなべ あきら)二冠(棋王・王将)◆ *1984年4月23日生まれ、東京都葛飾区出身。所司和晴七段門下。2000年、四段。2005年、九段。棋士番号は235。 *タイトル戦登場は20回。獲得は竜王9期(永世竜王)、王座1期、棋王1期、王将1期の計12期。棋戦優勝は7回。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>これは角換わりが濃厚です。序盤は指し手が早く進むと思いますが、中盤から長考が入って終盤のねじり合いが期待されます。角換わりは後手番が大変なので、渡辺棋王としては三浦九段の後手番での角換わり対策を見てみようという作戦ですね。 6 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) *◆三浦 弘行(みうら ひろゆき)九段◆ *1974年2月13日生まれ、群馬県出身。西村一義九段門下。1992年、四段。2013年、九段。棋士番号は204。 *タイトル戦登場は5回。獲得は棋聖1期。棋戦優勝は2回。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>△3四歩と突いたので、一転して横歩取りになりそうです。代えて△8五歩▲7七角△3四歩から角換わりの展開になることが多いです。この出だしで横歩取りになるのは珍しいです。 7 2五歩(26) ( 0:00/00:00:00) *紆余曲折あって、結局は横歩取りに。渡辺が3手目に▲6八銀と指していれば矢倉になっていたため、三浦の出だしの数手は矢倉を誘う意味があったようだ。 8 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00) *渡辺自身も先手番になれば、2手目△3四歩からの横歩取りを予想していたはず。どりらも事前準備を十全に生かそうとするタイプだから、渡辺は矢倉ではなくこちらのルートを選んだのだろう。 *気になるのは、矢倉になったときに三浦が何を用意していたか。これは次局以降のお楽しみである。 9 2四歩(25) ( 0:00/00:00:00) *【対局開始直前】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-34e7.html 10 同 歩(23) ( 0:00/00:00:00) *【対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-75cb.html 11 同 飛(28) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>三浦九段は一番得意な戦法(横歩取り)を第1局でぶつけてきました。 12 8六歩(85) ( 0:00/00:00:00) *【本局の使用駒】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-698e.html 13 同 歩(87) ( 0:00/00:00:00) *渡辺の通算成績は468勝220敗(0.680)。 *今年度成績は21勝17敗(0.553)。対局数ランキング7位タイ、勝数ランキング18位タイ。 14 同 飛(82) ( 0:00/00:00:00) *三浦の通算成績は501勝347敗(0.591)。今年度成績は14勝15敗(0.483)。 15 3四飛(24) ( 0:00/00:00:00) *渡辺の棋王戦通算成績は27勝16敗。第36期には久保利明棋王(当時)に挑戦したが、1勝3敗で敗退。第38期に再び挑戦権を得て、郷田真隆棋王(当時)を3勝1敗で破った。 16 3三角(22) ( 0:00/00:00:00) *三浦の棋王戦通算成績は28勝21敗。今期は本戦で金井恒太五段、阿久津主税七段、佐藤康光九段、郷田真隆九段、永瀬拓矢六段に勝って挑戦者決定二番勝負に進出。第2局で敗者戦から勝ち上がった永瀬六段を破り、初めての棋王挑戦を果たした。 17 3六飛(34) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>▲3六飛でしたが、ここで▲5八玉から▲3六歩〜▲3五歩の青野流で進む可能性もありました。その展開は激しくなりますが、▲3六飛と引きましたので比較的おとなしい展開になるでしょう。 18 8四飛(86) ( 0:00/00:00:00) *三浦のタイトル挑戦は、2010年の第68期名人戦以来4回目。そのときは羽生に4連敗してしまったので、今回は早い段階で勝ち星を挙げたいところだろう。 19 2六飛(36) ( 0:00/00:00:00) 20 2二銀(31) ( 0:00/00:00:00) *対局前日、関係者一行は14時過ぎに新潟駅に到着。新潟日報社の新社屋を見学したあと、15時頃に「新潟グランドホテル」に入った。 * *【第39期棋王戦五番勝負 明日開幕】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/39-b501.html 21 8七歩打 ( 0:00/00:00:00) *前日の対局検分は立会人の木村八段を中心に行われた。今回は地元愛棋家の小飯田氏が盤駒を提供。用意された3つの駒から、渡辺と木村八段が小飯田氏におすすめを聞き、盤上に2枚、3枚と散らす。両対局者とも異存はなかったようで、そのまま対局に使用することとなった。 * *【対局検分】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-1734.html 22 5二玉(51) ( 0:00/00:00:00) *検分終了後は、新潟日報紙による個別取材の時間が設けられた。隣室で渡辺が話をする間、三浦は記録係の上村四段、解説会聞き手の上田女流三段と、選ばれなかった駒を丹念に見ていた。 * *【検分後】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-870d.html 23 5八玉(59) ( 0:00/00:00:00) *【前夜祭 開会】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-dfd5.html 24 1四歩(13) ( 0:00/00:00:00) *打診の端歩。ここは▲1六歩と受けるか、▲3八銀もしくは▲3八金と陣形を整備するか。 *この端歩を受けると、あとで1筋から手を作られやすい。しかし手抜きして△1五歩と伸ばされるのも、手詰まり模様になることが多いこの戦型では面白くない。その場で考えれば無尽蔵に時間を使ってしまいそうだが、ここは事前に想定できる局面。おそらく渡辺はサッと次の手を指すだろう。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>なるべく後手は形を早く決めたくありません。後手の陣形は(1)△4一玉〜△5一金〜△6二銀、(2)△5二玉〜△5一金〜△6二銀、(3)△5二玉から△7二金や△7二銀の中住まいのなかで、先手の攻めの形を見てから決めたいのです。 25 3八銀(39) ( 0:00/00:00:00) *サッと▲3八銀。自然な手に見えるが、前例はわずかに2局(平成23年2月▲山崎隆之八段−△野田敬三六段戦、平成16年2月▲内藤國雄九段−△中田章道六段戦)。この戦型で内藤九段の名前が出ると胸が熱くなる。 * *【珍しい手】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-716f.html 26 2三銀(22) ( 0:00/00:00:00) *この△2三銀は現代的な感覚の手。これで完全に前例のない局面になった。 * *【前夜祭 お楽しみ抽選会】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-40b5.html 27 3六歩(37) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>次に▲3五歩と伸ばせると、飛車の横利きが通って▲3七桂から桂馬を攻めに使えて調子が良いです。 *渡辺棋王が時間を使って考えていますね。ここは(1)▲3七桂、(2)▲3五歩、(3)▲3七銀といった手があります。(4)▲1六歩もある手なのですが、▲3六歩と突くところで出来たので、端歩を受けずに戦おうという作戦なのかもしれません。 * *【前夜祭 両対局者挨拶(写真)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-15b3.html * *渡辺棋王 *「みなさま、改めまして、こんばんは。本日はこのような盛大な前夜祭を催していただき、また多数の皆様に参加いただきまして、ありがとうございます。 *この棋王戦は昨年2回目の挑戦だったのですが、タイトルを取ることができました。昨年の新潟対局は第3局でしたが、途中で私のほうに結構良い手が出まして、2勝目を挙げて棋王位獲得の大きな原動力になりました。 *もともと両親が上越市の出身ということもあり、新潟には縁がありました。その後も新潟では数多く対局させていただきまして、はじめてタイトルを取ったのもここ新潟でしたので、個人的には非常に縁起のよい場所だと思っています。明日も縁起のよさを生かして、なんとか頑張りたいと思っています。 *今回ははじめての防衛戦になります。1回で無くなってしまうと、そもそも自分が棋王をとったことを忘れられてしまいそうなので、2回3回と実績を重ねていきたいと思います。 *明日は日曜日ということもありまして、多くのお客様にご来場いただけるのではと思います。今週は王将戦第3局を指しまして、そこで負けてここに来ているのですが、早い時間に終らせてしまったのでお客様には不評だったかもしれません。ですので明日は、結果はともかくとして満足していただける将棋を指したいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします」(渡辺棋王) * *「みなさん、こんばんは。実は私の父も佐渡の出身でして……ええと、みなさん、こんばんは。 *すみません、言おうとしていたことを渡辺さんに先に言われてしまいまして、渡辺さんは上越市ということで。はい。 *ちなみにですね、去年は棋聖戦で立会いをしまして、そのときの対局者が渡辺さんでした。そういった渡辺さんとタイトル戦を戦えるというのがうれしいです。棋聖戦といえば、私が棋聖のタイトルを獲得したのが、ここ新潟でした。非常に思い出深い場所です。 *新潟の印象としては、まず食べ物がおいしい。あと美人が多い……あ、いまのは忘れてください。明日はよい将棋を指したいと思っています。新潟日報さまをはじめ、皆様にはお世話になります。よろしくお願いいたします」(三浦九段) 28 5一金(61) ( 0:00/00:00:00) *前夜祭のあいさつで多くの棋士が「新潟のお料理とお酒を楽しみに来ました」と話していた。米どころは酒どころ。海の幸も豊富だ。 *この手までの消費時間は▲渡辺17分、△三浦15分。 * *【前夜祭 お料理】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-c332.html 29 3七銀(38) ( 0:00/00:00:00) *10時16分、渡辺が▲3七銀を着手。2、3筋の勢力圏を確保しにいく手で、後手の2三銀も同じような意味合いがある。ここからは双方の銀の動きに注目していただきたい。 * *【前夜祭 明日の見どころ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-1352.html 30 6二銀(71) ( 0:00/00:00:00) *午前のおやつは両者とも焼き菓子(マドレーヌ)とホットコーヒー。 * *【午前のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-02c9.html 31 4六銀(37) ( 0:00/00:00:00) *「おっ、銀が出た」(木村八段) *後手の狙い筋のひとつに、△2四飛と交換を挑む手がある。▲4六銀と出ると2八の地点に飛車を打ち込まれる隙ができるため、思い切った手といえるだろう。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>▲3七銀(29手目)と▲4六銀はほぼセットと言える手で、先手としては▲3八金と▲3七桂の2手が指せれば攻撃態勢が整います。 32 8八角成(33) ( 0:00/00:00:00) *11時になろうかというところで、三浦が△8八角成と取った。 *そろそろ現地の大盤解説会が始まる時間だ。担当者が控室の棋士たちに「すでに会場入りしているお客様から、解説会の写真などをご自身のブログで紹介したいという問い合わせがあるのですが」と相談に来た。最近は断りなくそういった行為をする人もいて、棋界内部でも「やりすぎではないか」と問題視されている。 *そこで急遽話し合いが行われ、写真は構わないが話していることをそのまま掲載されるのは困る、さらに言えば動画は非常に困るという結論になった。足を運んでくださった方に楽しんでもらうのが現地解説会の目的。サービス精神からたまに口がすべることもあるが、その場だけだから安心できるということのようだ。 33 同 銀(79) ( 0:00/00:00:00) *【萬代橋】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-2f80.html 34 3三桂(21) ( 0:00/00:00:00) *ここまでの消費時間は▲渡辺45分、△三浦54分。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>角交換をすると▲6六角(飛香両取り)が生じますので、△3三桂と跳ねるまではセットの手順ですね。次に△2五歩と打って▲2八飛△2四飛▲2七歩△8四飛(▲8二角を防ぐ)と進めば後手がポイントを挙げます。ですので自然な手は▲3七桂です。 35 3八金(49) ( 0:00/00:00:00) *【午前の控室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-785b.html * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>▲3八金と上がって右側の守りをカバーしました。しかし5九の地点の守りが薄いので、△2四飛▲同飛△同銀に▲8四飛とは打てなくなりました。△9五角▲8一飛成△5九飛▲4八玉△6九飛成の変化は後手勝勢だからです。私は何となく後手持ちです。 36 1五歩(14) ( 0:00/00:00:00) *すぐに飛車をぶつける手もあったが、楽しみは後回し。三浦はじっと端を伸ばして、攻め味をさらに広げた。 * *【午前の大盤解説会場】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-a76f.html * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>解説者は気楽なので△2四飛とぶつける手を検討しますが、対局者となると一気に終盤戦になる可能性を含みますので指しにくいですね。この△1五歩は本筋の手です。この手は端攻めを見せつつ、後で▲2四歩に△1四銀の余地を作った意味です。 37 2八飛(26) ( 0:00/00:00:00) *△1五歩に代えて△2四飛なら、▲同飛の一手だった。しかしここで△2四飛には、手損になるため▲同飛とは取りにくい。▲2六歩から▲3七桂として、2筋から押し戻していく形になるのだろう。 *「おや、早いですね」と谷川九段。見れば対局室を映すモニターに両者の姿がない。昼食休憩は12時から。時計を見れば11時53分である。 *ここまでの消費時間は▲渡辺1時間10分、△三浦1時間27分。食事の注文は渡辺が和定食、三浦は美食チャイニーズランチと紅茶。 * *【昼食休憩に入る】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-97d2.html * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>▲3七桂とは跳ねづらいのでしょうか。▲3七桂には△2四飛▲同飛△同銀で先手陣には2九に飛車を打ち込まれる手が厳しいです。渡辺棋王は▲2八飛と引いて慎重に進めようという意図ですね。 38 9四歩(93) ( 0:00/00:00:00) *三浦は再開後すぐに△9四歩と突いた。これも考えられるところだが、大盤解説会で出題された次の一手は、△2四飛を予想する人が多かったようだ。観戦する側はすぐに戦いになる順を考えがち。しかし対局者は念には念を入れて、慎重に手を選んでいく。 * *【休憩時の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-cbf4.html 39 3七桂(29) ( 0:00/00:00:00) *これで先手右辺の陣構えが整った。後手は安全に指すなら△2四歩だが、ここに歩を打ってしまうと飛車をぶつける楽しみがなくなるのが難点。手広く指すなら△9五歩だろうか。 * *【対局再開(渡辺棋王)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-cbef.html 40 9五歩(94) ( 0:00/00:00:00) *1筋と9筋、三浦は鶴のように大きく翼を広げた。 * *【対局再開(三浦九段)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-0e8f.html 41 7七銀(88) ( 0:00/00:00:00) *壁銀を解消する▲7七銀。ただ後手から△9六歩▲同歩△9七歩▲同香△9八角、もしくは△9三桂から△8五桂といった攻め筋も生じている。 * *【新潟日報メディアシップへ(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-e0e7.html 42 2五歩打 ( 0:00/00:00:00) *これはまた大胆な。1筋と9筋だけでなく、2筋にも後手の歩が出張ってきた。 *「▲同桂には、△同桂▲同飛△2四飛でしょうか。その順だと間違いなく飛車交換になりますね。先手は飛車を打ちこまれるキズが多いので、ちょっと選びにくいかと思います」(関浩六段) *14時過ぎ、消費時間は▲渡辺1時間26分、△三浦1時間46分。 * *【新潟日報メディアシップへ(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-d526.html * *※局後の感想※ *「欲張った手なのですが」(三浦) *「次に△2四銀と上がられたら安定してしまいますね」(渡辺) 43 6六角打 ( 0:00/00:00:00) *「▲6六角と打ったら△1四飛ですね。そこで▲2五桂△同桂▲同飛は、その瞬間に△5四桂がある。ただあえて桂を打たせて対応するということもあるかもしれない。△1四飛と回ったときに、じっと力をためるのかなぁ。▲3五銀というような感じで」(木村八段) * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>これは決断の一手ですね。(1)△2四飛▲3五銀△5四飛▲2五桂△同桂▲同飛が考えられます。また単に(2)△5四飛には▲2五桂△同桂▲1一角成の変化もあります。 *また(3)△1四飛には▲2二歩△同金▲2五桂△3二歩(△同桂は▲2二角成で先手良し)▲3三桂成△同歩▲3五銀で先手の調子が良さそうです。この手順のなかで▲2二歩の局面で後手に何か手段がないと後手が悪くなりそうです。 * *【新潟メディアシップへ(3)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-9e23.html * *※局後の感想※ *「▲6八玉みたいに手を入れる展開は避けたかったです。こう打てば右辺の戦いになるので」(渡辺) 44 1四飛(84) ( 0:00/00:00:00) *14時50分、三浦は飛車を1筋に回った。この手は1一香にヒモをつける意味がある。 * *【木村八段、ニコニコ生放送に出演中】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-c017.html 45 2二歩打 ( 0:00/00:00:00) *これはニコニコ生放送の北浜八段が挙げていた手だ。 *「△同金▲2五桂△3二歩で、どうかな。どちらかといえば先手を持って指してみたい局面です」(木村八段) * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>この▲6六角から▲2二歩が好手順で、これで渡辺棋王は指せると見ていると思います。私も先手のほうを持って指してみたい局面です。次に▲2一歩成と無条件でと金を作られてはまずいので△2二同金と取ると思いますが、▲2五桂で攻めが続きます。 * *※局後の感想※ *「平凡に▲2五桂のほうがよかったですか。▲2二歩は欲張りだったかもしれません」(渡辺) 46 同 金(32) ( 0:00/00:00:00) *▲2二歩は両者とも読み筋だったのだろう。この2手はさほど間を置かずに指された。 47 2五桂(37) ( 0:00/00:00:00) *この手を指した渡辺は、ゆったりとした所作で足を崩した。 *「△3二歩▲3三桂成△同歩▲3五桂△2四銀に、▲1六歩と突きますか」(木村八段) *▲1六歩に△同歩なら▲1五歩が痛打になる。後手はせっかく位を取った1筋から逆襲されてはつらい。 *午後のおやつは渡辺がホットコーヒーとオレンジジュース、三浦がカロリーメイト8本(フルーツ味4本、チョコレート味4本)とホットコーヒー。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>(1)△3二歩と受ける手が本線ですが、怖いですが(2)△4四歩もありますか。▲3三桂成△同金▲3五銀に△6一玉と早逃げして、△3七歩を打てるようにする狙いです。 * *【午後のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-ecc5.html * *※局後の感想※ *「△3二歩では元気出ないですよね」(三浦) *「その場合はどこかで▲6八玉と手を入れる展開になるかと思いました」(渡辺) 48 4四歩(43) ( 0:00/00:00:00) *木村八段は△3二歩を候補に挙げていたが、三浦は△4四歩で角筋を止めた。すでに角を手放してもらっているので、玉のコビンが開いても問題ないという判断だ。 *後手は桂を入手しての△5四桂が狙い。△4四歩に対しては、▲3三桂成△同金▲3五銀か、単に▲3五銀と出ておくか。 49 3五銀(46) ( 0:00/00:00:00) *渡辺は、じっと出る▲3五銀を選択。次に▲4四銀と出ればかなりの迫力だ。 *後手からの反撃筋としては、△6四角という手がある。対して▲4六歩は味が悪いため、▲4六銀△2五桂▲5五銀でどうか。後手がその順を嫌うのであれば、△6四角▲4六銀に△5四歩という感じになる。 *15時過ぎ、消費時間は▲渡辺2時間10分、△三浦2時間28分。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>▲3三桂成△同金の交換を入れずに単に▲3五銀と出ました。一回△6四角みたいな手が利けば良いのですが……。 *(1)▲2九飛には△2八歩があるので(2)▲4六歩としますが、△2五桂▲同飛△5四桂で角取りと次の△4六桂を見せて有力ですね。 50 6四角打 ( 0:00/00:00:00) *やはりこの筋で反撃。相手が技をかけてきたところを技で返す、合気道のような角打ちだ。 * *※局後の感想※ *「△6四角はしょうがないですね」(三浦) 51 4六歩(47) ( 0:00/00:00:00) *この手はニコニコ生放送の北浜八段が挙げていた。以下△2五桂▲同飛△5四桂というのが予想手順。 52 2五桂(33) ( 0:00/00:00:00) *【新潟グランドホテル周辺を歩く】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-b412.html 53 同 飛(28) ( 0:00/00:00:00) *15時40分、控室に伊藤真吾五段が訪れた。 *午前中からその情報をキャッチしていた木村八段や上田女流三段は、「イトシンはまだかな、もう来るかな」と話していた。人気者である。 * *【伊藤真吾五段が来訪】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-d0b0.html 54 5四桂打 ( 0:00/00:00:00) *ここで▲2四歩が利くかどうかが問題。△6六桂と王手で角を取られるが、▲同銀△3二銀▲5六桂で角を取り返すことができる。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>解説通りの手順に進みました。ここでは▲5六桂と打つと思います。(1)△6六桂は▲同銀と取っておいて、後手の角は逃げ場がありません。(2)△4六桂は▲同銀△同角▲4四桂△6一玉▲5二桂成△同玉▲2二角成と進めば先手が優勢だと思います。 * *※局後の感想※ *「次の▲2四歩が危険でした。単に▲5六桂と打ち、△4六桂▲同銀△同角▲4四桂△6一玉▲5二桂成△同玉▲2二角成でした。こちらは△5四桂の前に△2四歩と打たれるかと思っていて、▲2九飛△5四桂▲5六桂のつもりでした。本譜は単に桂だったので▲2四歩と打つチャンスが生じたと思ってしまった」(渡辺) *「△2四歩と打つと飛車が使いにくくなるので、打つつもりはありませんでした」(三浦) 55 2四歩打 ( 0:00/00:00:00) *この地点が急所。△3二銀と逃げると飛車の横利きが止まるため、▲4四角と出ることができる。 *三浦としては、この攻めを逆用して反撃したいところ。たとえば△2四同銀▲同銀△4六桂のような筋だが、▲6八玉△3八桂成のときに手番が先手に渡るのが怖いところ。 *16時3分、三浦が残り1時間を告げられた。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>渡辺棋王は優勢であると見て、▲2四歩と打って踏み込みました。強気な一手です。(1)△6六桂▲同銀△3二銀▲5六桂と進めば、単に▲5六桂と打つよりも△2四歩と後手から打つ手を消して得をしています。したがって(2)△同銀で勝負ですか。 * *【渡辺棋王の切り返し】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-56e7.html 56 4六桂(54) ( 0:00/00:00:00) *16時20分、三浦は角を取らずに桂をこちらに跳ねた。消費時間は▲渡辺2時間30分、△三浦3時間16分。 *「これには▲同銀と玉を逃げる手と、どちらもありますね。▲同銀△2四銀▲8五飛……その局面は先手がやれそうな感じです」(木村八段) * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>(1)▲同銀と取れば△3四銀とかわしておいてから△4六角で銀を取る狙いでしょう。(2)▲6八玉△3八桂成▲2三歩成△3七角成▲2二とと進むと△3六馬が詰めろ飛車取りで後手良しなので、どこかで▲6八玉のあとに▲7九玉とするのでしょう。 * *※局後の感想※ *「このタイミングで△4六桂を利かされたのは誤算でした。冷静に見ると、▲6八玉△3八桂成▲2三歩成△3七角成▲7九玉△3六馬▲2四とという展開もありましたか。そうか、それはこちらの玉が安定しますね。さっきの▲2四歩に代えて▲5六桂の変化よりは劣りますが、こちらが指せそうな気がします」(渡辺) 57 同 銀(35) ( 0:00/00:00:00) *代えて▲6八玉は△3八桂成▲2三歩成△3七角成で、次に△3六馬が詰めろ飛車取りになっていた。 * *【16時35分の控室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/1635-96e3.html * *※局後の感想※ *「▲同銀はまずかったです」(渡辺) 58 3四銀(23) ( 0:00/00:00:00) *歩を取らずにこちらへ。▲8五飛には「一度△9三桂と逃げて、飛車を成らせてから△2四飛、ということでしょう。ううん、かなりあやしいぞ……」(木村八段) * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>ここは飛車取りなので飛車を逃げると思いますが、(1)▲8五飛と(2)▲5五飛の2通りが考えられます。ただ(2)▲5五飛は△同角▲同角△2四飛が嫌ですか。この戦型は玉が薄いので、飛車を取る手の価値が高いのです。 59 8五飛(25) ( 0:00/00:00:00) *ここで△2四飛は▲2五歩が嫌み。すぐに銀を取るほうがよいようだ。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>ここで△4六角▲8一飛成△2四飛と進めば次の△2九飛成がいきなり「ほぼ受けなし」になるので受ける必要があります。 60 4六角(64) ( 0:00/00:00:00) *これで駒割りは▲桂△銀の交換。先手玉は▲6八玉から▲7九玉、後手玉は4三へ逃げていくルートがある。「そう簡単に終わる将棋ではなくなっていますね」と木村八段。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>一回▲5六桂と打ってみたいです。利かすだけ利かせておいて、一番良いタイミングで▲8一飛成と桂を取りたいところです。 61 5六桂打 ( 0:00/00:00:00) *この手は観戦記担当の鈴木宏彦氏が挙げていた。狙いは▲4四桂△4三玉▲5二桂成で金を抜く筋。 *木村八段は△9三桂▲8一飛成△5五銀という展開を予想している。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>後手が差を縮めている印象ですが、まだ先手がリードしている感じですね。直接、次の▲4四桂を受ける手が難しいです。 62 9三桂(81) ( 0:00/00:00:00) *木村説の△9三桂が出た。三浦と木村と同学年。気が合うのだろう。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>これは際どいタイミングで入れましたね。この手の意味は、ダイレクトに▲8一飛成で桂を取らせないことと、先手の飛車を5段目から動かして△2四飛に▲2五歩で止められないようにしています。 63 8一飛成(85) ( 0:00/00:00:00) 64 2四飛(14) ( 0:00/00:00:00) *三浦は1筋にいた飛車を世に出した。この手は2二金にヒモをつける意味があり、▲4四桂△4二玉▲5二桂成といった筋を防いでいる。 65 2七歩打 ( 0:00/00:00:00) *先手は金駒がないため、△2九飛成と飛び込まれたらひとたまりもない。一回は受けておき、▲9一竜から▲9三角成を間に合わせることができるかどうか。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>渡辺棋王が▲2四歩(55手目)とした手に対して、三浦九段がうまく交わした印象があります。ここでは(1)△1九角成(香を取りつつ桂を入手したら△4六桂がある)と(2)△5五銀が候補手ですね。 * *※局後の感想※ *「これではもう互角か、ちょっと苦しい感じかと思っていました」(渡辺) 66 1九角成(46) ( 0:00/00:00:00) 67 9一龍(81) ( 0:00/00:00:00) *互いに香を拾う。一見は△8五桂が幸便のようだが、▲8六銀から▲8五銀と取り返す形は先手の上部が厚い。損得は難しいかもしれない。 *伊藤五段は△8五桂▲8六銀△3七歩▲2六香△2五歩▲4四桂△4三玉▲3五桂△同銀▲同歩△3八歩成▲2五香△5六桂といった順を並べている。以下▲同歩なら△5六馬、▲2四香と飛車を取れば△4八と▲6九玉△8八銀。この変化はいずれも後手が勝ちそうだ。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>ここでは次に▲4四桂が厳しいので、その手を消して△4二香と打ちたいです。 * *※局後の感想※ *「△3七歩と打たれてまずいかと思っていましたが、▲2六香△2五歩▲4七金△3八歩成▲6八玉で結構大変ですか。香を取られる感触が悪いので、苦しくしたのかなと」(渡辺) *この順は、三浦九段のほうも自信なさげだった。 68 2九馬(19) ( 0:00/00:00:00) *「これは怖い手です。馬の利きが(5五や4六の筋から)それましたし、次に△3八馬と取っても詰めろになりません」(伊藤五段) * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>「もう▲4四桂は怖くないですよ」という手で、後手も強い手で来ました。▲4四桂には△4三玉でしょうか。そこで▲3五桂と攻め合いに行く手が有力です。 *(1)△5四玉には▲5一竜があり、(2)△3三玉には▲5二桂成の王手が厳しいです。 69 3七金(38) ( 0:00/00:00:00) *渡辺は落ち着いて金をかわす。△2八馬なら▲2六金と活用するイメージだろうか。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>▲3七金と逃げました。ギリギリまで▲4四桂を残しておこうということでしょう。△2八馬には▲2六金で、あくまで後手の飛車をさばかせない方針です。そこで△3七馬には▲6八玉として、次に▲7九玉とすれば先手玉はかなり安全になります。 70 2八馬(29) ( 0:00/00:00:00) 71 2六金(37) ( 0:00/00:00:00) *この金が質駒になるのか、それとも後手玉を寄せるのに役立つのか。 *△2七馬▲同金△同飛成と強引に突破してくる順は、▲4八香が攻防手になりそうだ。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>やはり▲4四桂が厳しいので、△4二香とかその桂跳ねを防ぐ手を指したくなるところです。 * *※局後の感想※ *「金を使える展開になったので、(△2九馬に代えて)△3七歩と打たれる変化と比べてマシかと思いました」(渡辺) *△2七馬は、その瞬間に▲4四桂と跳ねて一歩補充する手がある。以下△4二玉▲2五香△2六馬▲2四香△3六馬に、▲4七歩と受けることができる。 72 5五銀打 ( 0:00/00:00:00) *ここまで利かしてから△5五銀。▲9三角成なら後手玉が安全になるため、ゆっくりした攻めで間に合いそうだ。 *ただ次に△6六銀と角を取っても、▲同銀で先手玉を広くしてしまう意味がある。逃げない手も考えてみたい局面だ。 *17時20分過ぎ、消費時間は▲渡辺2時間55分、△三浦3時間44分。三浦は残り16分。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>このタイミングで△5五銀と打ちました。▲9三角成とすると後手陣への脅威が減るので、△2七馬▲同金△同飛成で先手玉のほうが危険な状態になります。 * *【終盤の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2014/02/post-ce56.html * *※局後の感想※ *「▲同角△同馬▲6六銀も考えましたが、ちょっと素直すぎるかなと思って」(渡辺) 73 2五香打 ( 0:00/00:00:00) *単打の香。やはり▲9三角成は△2七馬から突破されて勝てないと見たようだ。 *▲2五香には△同銀の一手。以下▲3五金△2三飛と進んだ局面がどうなっているかだ。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>これは(△同銀と)取りますね。 74 同 銀(34) ( 0:00/00:00:00) 75 3五金(26) ( 0:00/00:00:00) *「うーん、後手玉が寄るのかどうか。怖いね」(関六段) *17時41分、三浦が残り10分を告げられた。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>先手は持ち駒の香を犠牲にして、金が急所の位置へ出ることが出来ました。△2三飛と逃げると思いますが、後手の飛車先が重くなったので▲2五香〜▲3五金は好手順でした。この金が攻めに使えたのは大きいです。 76 6六銀(55) ( 0:00/00:00:00) *「50秒、55秒……」と読まれ、三浦はあわてた様子で▲6六銀。一分未満で指せば時間は減らない。 77 同 銀(77) ( 0:00/00:00:00) *自玉を広くしながら、後手玉の上部脱出を押さえる絶好の位置に。どうやら先手に傾いてきたようだ。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>部分的には駒損しましたが、先手にとっては7七にも脱出ルートが出来たことはとても大きいです。 78 4六馬(28) ( 0:00/00:00:00) *馬を急所に引きつけ、2四の飛車にもヒモをつける。先手が▲4四桂と決めにくれば、△同飛▲同金△4一香という具合だろう。 *また▲2五金△同飛▲3四銀(詰めろ)という手も目につくが、▲2五金の瞬間に△3六馬と王手されてそれは逆転。油断ならない。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>この手は次に△4七角と打って、▲6八玉に△5六角成で桂を取る含みがあります。残り時間が三浦九段の10分に対して渡辺棋王が50分ですか。ここで50分残しているのは心強いですね。 79 5五桂打 ( 0:00/00:00:00) *4三への逃げ道をふさぐ▲5五桂。この手は詰めろではないが、▲4三銀と上から押さえればまず負けがない格好になる。 *8分、7分、6分、5分……三浦の時間がなくなっていく。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>これは次に▲4三銀から押さえつけていこうという手ですね。(1)△5四歩▲4三銀に△5三玉と頑張る手順も浮かびますが、▲2五金で銀を取って△同飛は後手玉が詰みます。(2)△7一香と受ける手も考えられます。 80 3五馬(46) ( 0:00/00:00:00) *▲4三銀と押さえるか、含みをもたせて▲同歩と取るか。先手玉は左辺が広く、飛車さえ渡さなければ詰めろが掛かりにくい形だ。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>ここは(1)▲4三銀△4一玉の交換を入れてから▲3五歩と馬を取る手順と、単に(2)▲3五同歩と馬を取る手、どちらもありそうです。 * *※局後の感想※ *「▲4三銀を決めるほうがよかったですか? △4一玉▲3五歩△7一香▲9三竜のような感じで」(渡辺) *「△7一香には▲6八玉で自信がありません。△6一香と打ってどうかと思っていましたが」(三浦) *「うーん、簡単には寄りませんか。しかし長い目で見れば、その順のほうがよかったような気がします」(渡辺) 81 同 歩(36) ( 0:00/00:00:00) *時間を残している渡辺は、形を決めずに馬を取った。三浦は額に手をやった。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>単に▲3五同歩と取りました。次に▲4三銀△4一玉▲4二角の厳しい狙いがあります。 82 3六角打 ( 0:00/00:00:00) *※局後の感想※ *攻防の角打ち。ここに角を打たないと、▲6四桂の筋で後手玉が寄ってしまう。 83 6八玉(58) ( 0:00/00:00:00) *△8五桂が一回詰めろ。しかし▲7九玉で続かない。 84 3三金(22) ( 0:00/00:00:00) *離れていた金を使って、▲4三銀以下の筋をふせぐ。 *「さあ、これはしっかり決めないと」(木村八段) *スマートにやるなら、▲2六歩△同銀▲3四銀のような筋。多少長引いてもいいと考えれば、▲9三竜と桂を取っておく手になる。 * *北浜健介八段>やはり▲4三銀を決められるのが嫌なんでしょう。ここで(1)▲3四銀は△同銀▲同歩に△2七飛成(詰めろ)を与えて危険です。(2)▲9三竜とするのは渡辺棋王の棋風ではないと思います。後手玉への明快な寄せは私にはパッと見は分かりません。 85 9三龍(91) ( 0:00/00:00:00) *渡辺はしっかりと時間を使って桂を取った。渡辺が席を離れる際に「いやぁ」というつぶやきが聞こえたが、これはどちらが発したものだろうか。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>残り20分まで考えて▲9三竜でした。これは「負けない手」という感じですね。先手玉への寄せがないので、ゆっくりした手でも間に合うという読みでしょう。 86 7四香打 ( 0:00/00:00:00) *歩切れをつく香打ち。次に△7六香と走った手が△6九金までの詰めろになる。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>△7四香ですか。(1)▲7五歩には△7六香と打たれて、これは逆転するかもしれません。(2)▲6五銀で受かればそう指したいです。(3)▲7七玉は△6九角成があって後手の攻めが続きます。 87 6五銀(66) ( 0:00/00:00:00) *7六の地点を守りつつ、後手玉の脱出路をふさぐ。一石二鳥の銀立ちだ。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>ここで(1)△6四香と打つ手か、(2)△5四香と打つ手が有力です。 88 8八歩打 ( 0:00/00:00:00) *次に△8九歩成とされても先手玉は詰めろにならない。この手を見た渡辺は、グッと右腕の袖をまくりあげた。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>この手は次に△8九歩成から△8五桂でようやく先手玉への詰めろが掛かるので、「この手で間に合うのか?」という感じがします。(1)▲8二竜として△8五桂を消しながら急所に利かせる手が有力です。また歩切れなので(2)▲8八同金もあります。 89 同 金(78) ( 0:00/00:00:00) *壁になるので部分的には利かされなのだが、歩切れを解消できるのも大きい。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>▲8八同金で歩を取りました。やはり持ち駒に歩が欲しいんですよ。大激戦になっています。 90 5四香打 ( 0:00/00:00:00) *三浦は現状の持ち駒で先手玉を攻略することができない。まずは受けにまわって、駒を補充しにいく。 *18時42分、渡辺の残りが10分になった。筋だけなら▲3四歩という手に目がいくが、△同飛▲4六桂に△5八角成▲同玉△3八飛成でどうか。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>先手としては嫌な感じが漂っていますね。次に△5五香と桂を取られると、後手玉が寄らなくなってしまう恐れがあります。この局面での先手の5五桂は攻めの生命線でもあるので、この桂を無条件で取られるのは避けたいところです。 * *※局後の感想※ *「△8八歩から△5四香が良い手順でしたね」(渡辺) *「解説会で上田さんが▲8五桂と打ちたいといっていましたが」(木村八段) *「△5五香▲7三桂成で、竜が三段竜のままなので……。ちょっと指しにくいですかね」(渡辺) 91 8四桂打 ( 0:00/00:00:00) *「渡辺棋王はいろいろな筋を考えたはずです。それでこの手にたどり着いたということですが……。どうなっているのか、ちょっとわかりません」(伊藤五段) * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>これは「ひねり出してきた手」ですね。次の▲7二桂成が一番早い寄せと見ています。現状では形勢はともかく展開が後手のほうが楽なんですね。先手は候補手が分からない状況で次の手を選ぶ必要があるが、後手は方針が分かりやすいです。 92 5五香(54) ( 0:00/00:00:00) 93 7二桂成(84) ( 0:00/00:00:00) *急所の5五桂を取らせている間に、7二に成桂を作った。次は▲8二竜と横から攻めるつもり。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>ここで△8五桂と打てば、もうのっぴきならない局面になりますね。しかし▲8四桂〜▲7二桂成はさすが渡辺棋王といった手順でしたね。 * *※局後の感想※ *渡辺はここで△6四桂を気にしたが、▲同桂△同歩▲8二竜で「次の△6五歩が詰めろにならないんですね。じゃあ勝ちですか」。 94 5六香(55) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>ここで(1)▲同銀は△6四桂があります。(2)▲同歩には△6四歩(銀と成桂の両取り)▲6二成桂△同玉と進んだ後、▲9一竜に△8一歩を用意しています。 95 9一龍(93) ( 0:00/00:00:00) *奥まで。先手玉に迫るのは△8五桂が一番早いが、まだ詰めろにならない。 *18時54分、三浦が一分将棋に入った。 96 5七香成(56) ( 0:00/00:00:00) *取るか逃げるか。▲7七玉と逃げるほうが安全だが、香を取るのも大きい。 * *※局後の感想※ *「▲7七玉でした。あとで▲6六玉と逃げているくらいだし、読み切れてないなら▲7七玉ですね」(渡辺) 97 同 玉(68) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>これは△6九角成で先手玉はかなり危ないですよ。 * *※局後の感想※ *「▲5七同玉と取ったので、いっぺんに危なくなりました」(渡辺) 98 6九角成(36) ( 0:00/00:00:00) *「▲6二成桂を△同金と取ることができるか。桂を渡すことが致命傷になりかねないので、先手も踏み込めるかどうか。怖いところです」(伊藤五段) *19時、渡辺の一分将棋に。大熱戦だ。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>行きましたね。どうなってしまうのでしょうか。これは▲6二成桂△同金としないと後手玉には詰めろが掛からないと思いますが、その後で△7九馬と王手する手があって、金と桂3枚で先手玉はかなり危ないです。 * *※局後の感想※ *「この手がこんなに厳しいと思っていなくて」(渡辺) 99 6六玉(57) ( 0:00/00:00:00) *玉を5六から横滑りさせるようにして▲6六玉。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>ここは勝負どころです。(1)△5四桂か(2)△6八馬か、ひねって(3)△7九馬か。 100 6八馬(69) ( 0:00/00:00:00) *「この手が詰めろになっているかどうかですが……。どちらかといえば、詰まないような」(伊藤五段) * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>退路を開いて▲7五歩と突くかもしれません。 * *※局後の感想※ *「この手では△7九馬と指したかったのですが」(三浦) *「それは▲7七玉△8五桂▲8六玉で」(渡辺) *「そうですよね。△8八馬は上部に逃げられてしまいますし、△8四金はなんでもないので」(三浦) 101 7五歩(76) ( 0:00/00:00:00) *「先手は一手しのごう、ということです。△8四桂でしょうか」(伊藤五段) * *※局後の感想※ *「△8五金は?」(木村八段) *「▲6二成桂△同金▲4一銀で……。△4二玉に▲4三歩とたたけるので、どうにかなりそうです」(渡辺) 102 6四桂打 ( 0:00/00:00:00) *この手は△5四桂からの詰めろ。後手玉は4三への逃げ道があり、すぐには詰まない。 * *※局後の感想※ *「こちらはしょうがないですね」(三浦) 103 7四歩(75) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>次に7五へ玉が逃げられれば捕まらないので、△7四同歩と取るでしょう。 104 同 歩(73) ( 0:00/00:00:00) *これも△7五金▲5五玉△4三桂までの詰めろ。先手はどこで▲6二成桂の切り札を出すか。 * *※局後の感想※ *「このタイミングで▲6二成桂と取らなければいけませんでした。△同金なら本譜のように進んで得になります」(渡辺) 105 同 銀(65) ( 0:00/00:00:00) 106 7六金打 ( 0:00/00:00:00) *先手玉は7五に行けば捕まらない形。三浦は金を打って玉を押し戻しにいく。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>この△7六金では先手玉は捕まらない気がします。▲6五玉に(1)△6七馬が部分的に先手玉は受けなしなのですが、▲6二成桂△同玉▲6三銀成で上部が抜けます。しかし(2)△5七馬がありますね。 107 6五玉(66) ( 0:00/00:00:00) *▲5五玉は△5四歩で詰み形。ここは▲6五玉の一手。 108 5七馬(68) ( 0:00/00:00:00) *さあ、これでどうなっているか。後手玉が詰むかどうかの勝負になった。 109 6二成桂(72) ( 0:00/00:00:00) *まずはここから。△同玉は▲7三角からの詰み。△同金は▲6三銀不成からの筋で相当に危ない。 * *※局後の感想※ *「ここで△同金のときに、▲6三銀不成でほとんど詰み。仮に助かっていても、先手玉の上部が抜けています。だから105手目の▲7四同銀では先に▲6二成桂でなければいけなかったんです」(渡辺) 110 4三玉(52) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>ここは(1)▲6三銀不成ですか。それとも(2)▲5四銀という凄い手が出るのでしょうか。 111 6三銀(74) ( 0:00/00:00:00) *もう一手、しのぎにいく。△7五馬に▲5五玉で、天王山の仁王立ち。銀不成の効果で△5四歩が利かない。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>△7五馬▲5五玉△4五歩で後手が勝ちになっている気がします。いまは▲6三銀不成ではなくて▲5四銀でどうでしたか。 112 7五馬(57) ( 0:00/00:00:00) *「▲5五玉に△4五歩と突いて……どうなってるんですか」(伊藤五段) 113 5五玉(65) ( 0:00/00:00:00) *△4五歩は△4四金までの詰めろ。「ただ▲5二角という手もあります。△同金は▲4一竜で詰みです」(伊藤五段) 114 4五歩(44) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>ここで受けが私には見えません。眠っていた飛車が最後に働きました。 115 5二銀打 ( 0:00/00:00:00) *「角かと思ったら銀でした。わからない」(伊藤五段) *△同金はやはり▲4一竜で詰み。したがって△3二玉の一手。 116 3二玉(43) ( 0:00/00:00:00) *後手玉が3二に落ちたので、先手玉がいくらか安全になった。それでも△4四金までの詰めろは消えていない。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>ここでは最低でも先手玉への詰めろをほどかないといけません。 117 3四香打 ( 0:00/00:00:00) *△4四金までの詰めろを消す。「わずかに先手が残しているような気がします」(伊藤五段) * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>△同銀▲同歩△同飛には▲4三銀打から後手の飛車をはずしに行く狙いでしょう。 118 同 銀(25) ( 0:00/00:00:00) 119 同 歩(35) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>ここで先に△4三桂の王手を入れたほうが良いかどうか。 * *※局後の感想※ *「△同金は▲4三銀△2二玉▲3一角△2三玉▲5三角成で、上に抜けられてしまいます」(三浦) 120 同 飛(24) ( 0:00/00:00:00) *ここで▲4三銀打と打って、飛車を抜きにいく手がある。ただそれでどうなっているか、わからない。 121 4三銀打 ( 0:00/00:00:00) *「△同金は▲同銀不成で、後手がまずそうです。△2三玉とかわして勝負するしかありません」(伊藤五段) * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>ここで(1)△2二玉は▲3四銀成で先手が勝つので、怖いですが(2)△同金▲同銀不成△同玉で勝負しますか。 * *※局後の感想※ *「△同金は▲同銀不成から詰みですかね。それなら勝ち筋だったということになりますか」(渡辺) 122 2三玉(32) ( 0:00/00:00:00) *光り輝く2七の歩。この歩は65手目に打たれたものだ。 123 3四銀(43) ( 0:00/00:00:00) *※局後の感想※ *手数はかかるが、ここからは即詰みだったようだ。 124 同 金(33) ( 0:00/00:00:00) *これは▲3二角と打って、どうやら……。渡辺はぐいっと茶を飲む。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>これは▲3二角と打って後手玉は詰みです。 125 3二角打 ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>△2三玉は仕方なかったのでしょうか。しかし▲3四銀成と飛車を取った手が王手で入ります。これは先手の勝ち筋に入りました。 126 同 玉(23) ( 0:00/00:00:00) *△同玉と取って、三浦が水を飲む。 127 4三銀打 ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>▲4三銀打△2二玉▲3二飛以下、持ち駒に香があるのでピッタリ詰みです。 128 2三玉(32) ( 0:00/00:00:00) *これも▲3四銀成から▲4四飛で詰み。最終盤、三浦にチャンスはなかったのか。 129 3四銀(43) ( 0:00/00:00:00) 130 同 玉(23) ( 0:00/00:00:00) 131 4四飛打 ( 0:00/00:00:00) *この手を見た三浦が「負けました」と投了を告げた。最後の詰みに利いた5五玉と2七歩。勝ち将棋鬼のごとしという言葉があるが、本局の終盤は本当に先手勝ちだったのか。 *終局は19時30分、消費時間は▲渡辺3時間59分、△三浦3時間59分。主催紙のインタビューに答えた両者は、ファンの待つ大盤解説会場に向かった。 * *■ニコニコ生放送■ *北浜健介八段>この局面で三浦九段が投了しました。名局でした。以下は(1)△3五玉は▲2六金まで。(2)△2三玉には▲2六香以下で後手玉は即詰みです。 *途中までは渡辺棋王がリードしていましたが、三浦九段が決め手を与えずに頑張ってここまで追い込んだのは渡辺棋王にとっても予想外だったのではないでしょうか。しかし△4五歩(114手目)で後手が勝ちになったと思いましたが、▲5二銀打(115手目)から▲3四香の手順で先手が勝ったのには驚きました。第1局から大熱戦でしたので、三浦九段が先手番になる第2局も好局が大いに期待できると思います。 132 投了 ( 0:00/00:00:00) まで131手で先手の勝ち