# --- Kifu for Windows (HTTP) V6.53.2 棋譜ファイル --- 対局ID:1815 開始日時:2013/02/23 09:00 終了日時:2013/02/23 17:48 表題:棋王戦 棋戦:第38期棋王戦五番勝負 第2局 持ち時間:各4時間 消費時間:83▲194△232 場所:石川・北國新聞会館 図:投了 手合割:平手   先手:渡辺明 後手:郷田真隆 先手省略名:渡辺明 後手省略名:郷田 手数----指手---------消費時間-- *第38期棋王戦五番勝負第2局▲渡辺明竜王−△郷田真隆棋王(北國新聞主催)が、2月23日(土)に石川県金沢市で行われる。長野での第1局はタイトル保持者の郷田が勝った。挑戦者の渡辺が巻き返すのか、それとも郷田が勝利を重ねて防衛まであとひとつに迫るのか。 *本局の立会人は橋本崇載八段。記録係は香川愛生女流初段。現地大盤解説は山崎隆之七段、聞き手は甲斐智美女流四段。 *おなじみとなったニコニコ生放送でのライブストリーミング解説は、午前9時から畠山鎮七段と安食総子女流初段が務める。 * *(棋譜・コメント入力=烏) * *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手。【】内はブログ記事、リンク先] * *【ニコニコ生放送】 *http://live.nicovideo.jp/watch/lv123793557 1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>おはようございます。戦型予想ですが、先手の渡辺竜王が初手▲7六歩、後手の郷田棋王が2手目△8四歩、この出だしになると思います。3手目に▲6八銀ですと相矢倉、▲2六歩ですと角換わりで、戦型は渡辺竜王の3手目の指し手次第だと思います。 2 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) *郷田の2手目は△3四歩。大方の予想は△8四歩だった。第1局は力戦になりやすい相掛かり。本局がどうなるかはまだわからないが、今シリーズの郷田は定型ではなく間口の広い戦い方を選ぼうとしているのかもしれない。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>私の予想はすでに外れてしまいました。郷田棋王は2手目△8四歩で先手の注文を受けて戦うことが多かったのですが、この2手目は予想外でした。 3 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *渡辺は秋口から王座戦、竜王戦、王将戦、そして棋王戦とタイトル戦に連続出場している。移動や他棋戦の対局も含めると、文字通り休む間もない多忙ぶりだ。 *しかし対局数の多さは活躍のバロメーターともいえる。過去の大棋士たちが通ってきた、誉れある苦難の道を渡辺もいま歩いている。 4 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *◆郷田 真隆(ごうだ まさたか)棋王◆ *1971年3月17日生まれ、東京都出身。(故)大友昇九段門下。1990年、四段。2001年、九段。棋士番号は195。 *タイトル戦登場は15回。獲得は王位1期、棋王1期、棋聖2期の計4期。棋戦優勝は6回。 5 2五歩(26) ( 0:00/00:00:00) *◆渡辺 明(わたなべ あきら)竜王◆ *1984年4月23日生まれ、東京都葛飾区出身。所司和晴七段門下。2000年、四段。2005年、九段。棋士番号は235。 *タイトル戦登場は16回。獲得は竜王9期(永世竜王)、王座1期の計10期。棋戦優勝は6回。 6 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00) *郷田の通算成績は735勝414敗(0.640) *渡辺の通算成績は440勝202敗(0.685) * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>これで戦型は横歩取りに進むことでほぼ決まりですね。 7 7八金(69) ( 0:00/00:00:00) *郷田の今年度成績は23勝15敗(0.605) *渡辺の今年度成績は38勝15敗(0.717) * *【対局検分(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2013/02/post-920c-1.html 8 3二金(41) ( 0:00/00:00:00) *両者の対戦成績は郷田7勝、渡辺10勝。渡辺が先手の場合は▲7六歩△8四歩の出だしが9局中8局。戦型は矢倉、角換わりになることが多かった。 * *【対局検分(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2013/02/2-cad0.html 9 2四歩(25) ( 0:00/00:00:00) *ちなみに渡辺は後手のときには横歩取りが3局あり、▲郷田1勝△渡辺2勝。 10 同 歩(23) ( 0:00/00:00:00) *【前夜祭 両対局者の意気込み】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2013/02/post-c6dc.html 11 同 飛(28) ( 0:00/00:00:00) *【前夜祭 見どころを語る 】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2013/02/post-76bd.html 12 8六歩(85) ( 0:00/00:00:00) *【対局開始直前】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2013/02/post-34e7.html 13 同 歩(87) ( 0:00/00:00:00) *【9時対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2013/02/post-e669.html 14 同 飛(82) ( 0:00/00:00:00) *渡辺はこの局面で手を止めている。▲3四飛と横歩を取るか、取らずに▲2六飛と引くか。方針を決めるべき場面だが、特段迷うところでもないだろう。 *かつて加藤一二三九段が序盤の長考について聞かれたとき、「気迫がわいてくるのを待っているんです」と答えたことがあった。気持ちと指し手をつなぐ作業も、将棋を指すうえで大切なことのひとつだ。 15 3四飛(24) ( 0:00/00:00:00) *渡辺は数分の考慮で横歩を取った。 16 3三角(22) ( 0:00/00:00:00) *「郷田棋王は第3局で渡辺竜王が横歩取りで来ると見て、先に自分でやって対策を聞こうとしているのかもしれませんね」(橋本崇載八段) 17 5八玉(59) ( 0:00/00:00:00) *この玉上がりでは▲3六飛の実戦例が多い。▲5八玉以下よく見る形に戻ることもあるが、最近は飛車を3四に置いたまま▲3六歩〜▲3七桂とする指し方がひそかに流行している。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>これは珍しいタイミングで▲5八玉と玉がまっすぐ上がりました。よくある進行は、7六歩を後手の飛車で取られないように▲3六飛と引く手が多いところでした。 18 5二玉(51) ( 0:00/00:00:00) *ここで▲3八金なら比較的穏やか。▲3六歩と突くと一気に激しくなる。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>この手に代えて△7六飛と後手も横歩を取っていれば、先手は▲8四飛と回って次に▲8一飛成と桂を取りながら飛車が成りこむ狙いを見せます。そこで△8八角成には▲同飛と取って大丈夫です。 * *※局後の感想※ *「ここはいろいろあるところです」(郷田) 19 3六歩(37) ( 0:00/00:00:00) *渡辺は好戦的な▲3六歩を選んだ。この形を最初に指したのが青野照市九段だったため、青野流と呼ばれている。 *ここまでの消費時間は▲渡辺14分△郷田11分。午前のおやつは郷田が木苺のケーキとホットコーヒー、渡辺がフルーツの盛り合わせとホットコーヒー。 *「△7六飛と取れば激しくなります。ほかに△5一金と寄って駒組みを進める順もあるので悩んでいるんですね。郷田さんの棋風としては、△7六飛が本線でしょうか」(山崎隆之七段) * *【午前のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2013/02/post-02c9-1.html 20 7六飛(86) ( 0:00/00:00:00) *10時26分、郷田はふんわりとした手つきで歩を取った。次に△8八角成▲同銀△7八飛成の筋があるため、▲7七角が受けの形。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>郷田棋王らしい手です。▲8四飛には△8二歩と受けて、次に後手が△3六飛でもう一歩取る狙いが残ります。そこで▲3五歩は歩が伸びすぎの感じがします。したがって飛車回り以外の手を考えたいです。 21 7七角(88) ( 0:00/00:00:00) *今月指された来期棋王戦予選▲西尾明六段−△佐藤天彦七段戦は、ここから△2六歩▲2八歩△7七角成▲同金△7四飛▲同飛と大駒総交換になっている。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>△8八角成▲同銀△7八飛成の筋を避けるため、角を一つ上がる手は横歩取りではよくある指し方です。 22 7四飛(76) ( 0:00/00:00:00) *いきなりぶつけた。「これで先手が飛車を逃げたら損しか残りません。当然▲同飛でしょう」(山崎隆之七段) *▲同飛△同歩の局面はまったくの先後同型。手番を握った先手がそれを生かせるかどうかが焦点となる。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>これは怖い手なのですが、郷田棋王は先ほどの長考でこの先の順も読んで飛車をぶつける手を決断しました。飛車角が総交換したときに形勢はどうなのか、▲3五歩△4四歩と進んだときの形勢はどうなのか、いろいろな組み合わせを考えなければいけません。 * *※局後の感想※ *「△7四飛はよくなかったです。本譜は味が悪い形になってしまいました」(郷田) *「ほかに△2六歩▲3七桂のような実戦例がありましたね」(渡辺) 23 同 飛(34) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>ここは渡辺竜王が長考すると思って「次の一手」アンケートを出しましたが、答えを出してもらう前に指してしまいました。渡辺竜王は決断が早いですね。 24 同 歩(73) ( 0:00/00:00:00) *【華麗と力強さ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2013/02/post-a8ff.html 25 3七桂(29) ( 0:00/00:00:00) *軽く▲3七桂。理想は▲4五桂△7七角成▲同桂から▲6五桂と跳ねる形だろうか。4五や6五に桂を活用すると「天使の跳躍」といわれるが、上記の順が実現したら左右からの天使登場で、大変なことになる。 *ここまでの消費時間は▲渡辺22分△郷田1時間7分。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>横歩取りの戦型では桂馬が活躍すれば優勢になることが多いです。仮に△7七角成▲同桂と進んで、左右の桂馬が▲4五桂、▲6五桂と跳ねて後手の玉頭に殺到する順が一つの狙いです。これが成功する展開は、検討などで「天使の跳躍」と言われています。 * *※局後の感想※ *「代えて▲8三飛は△7二銀で、お互いに竜を作る展開になります。そう進めてしまうと先手の得を生かしにくいかと思って」(渡辺) 26 7七角成(33) ( 0:00/00:00:00) *11時37分、ようやく郷田の手が盤上に伸びた。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>手順に▲7七同桂と桂馬を使われますので、後手からは角交換をしにくいと思っていましたが、長考して△7七角成でした。 27 同 桂(89) ( 0:00/00:00:00) *左右の桂が跳ねられる形になった。郷田の意図は? * *【ミニ棋士が聞く】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2013/02/post-4213.html 28 3三桂(21) ( 0:00/00:00:00) *まずは右辺で桂を見合いにする。ゆっくりした展開になれば3七の桂が負担になるという考え方だろうか。 *次に後手から△3五歩の桂頭攻めがある。以下▲同歩△3六歩▲3四歩のような攻め合いになった場合、7七桂が壁になっており先手玉が狭い。26手目の△7七角成にはそういう意味合いがあったのかもしれない。 *この局面で定刻の12時となり、昼食休憩に入った。消費時間は▲渡辺43分、△郷田2時間3分。食事は両者とも松花堂弁当。対局は13時に再開される。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>ここで▲4八銀は△2九飛があります。▲8三飛は△8二歩▲8五飛成で竜が出来ますが、五段目の竜が働いているのかどうかは難しいところだと思います。 *次の一手は非常に難しいところで、全然当てる自信がありません。私は▲5五角で、安食さんは▲2一飛と予想します。現地の山崎七段は▲4六角ですか?(次の一手アンケートの結果が出て)▲4六角が一番人気ですか。さすが! 王子山崎。 * *【昼食休憩に入る】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2013/02/post-97d2-1.html 29 4六角打 ( 0:00/00:00:00) *再開から4分で▲4六角。控室ではこの手以外はほぼ検討されていなかった。 *「これに対しては△8二歩と受けるか、△3五歩と攻め合うかですね。角を合わせる手もあるかもしれません。どちらを持つかといわれれば、先手という人が多いと思います」(山崎隆之七段) * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>またしても予想が外れました。奇をてらって▲5五角と予想しましたが、山崎七段の予想が正解でした 30 6四角打 ( 0:00/00:00:00) *代えて△8二歩は▲8三歩△7二金▲7三歩△同桂▲8一飛で先手よし。△3五歩は▲9一角成△3六歩▲3四歩△3七歩成▲3三歩成で、これも香得が大きく先手がやれそうだ。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>▲6四同角△同歩に(1)▲8三角という順が考えられます。そこで△6三角と打って、しのげることが出来るかどうかです。また(2)▲8三飛もあります。△8二歩は▲6三角△4二玉▲8五飛成で先手が良さそうなので、後手はもっと工夫が必要です。 * *※局後の感想※ *「△7三角は▲同角成△同桂となり、さすがにその同型はやる気がしません。△6四角は仕方ないですが、コビンが開いてしまうので少しずつ苦しいですね」(郷田) 31 同 角(46) ( 0:00/00:00:00) *取材で来ている内田晶記者が、△6四同歩に▲9六角を指摘。以下△6三角なら▲7五歩と合わせていく手が厳しい。橋本八段も「▲9六角はよさそうな手です。後手の対応がわからない」と話している。 * *【対局再開(郷田棋王)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2013/02/post-107e-1.html 32 同 歩(63) ( 0:00/00:00:00) *△6四同歩までの消費時間は▲渡辺1時間、△郷田2時間32分。 * *【対局再開(渡辺竜王)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2013/02/post-6032-1.html 33 2四歩打 ( 0:00/00:00:00) *渡辺は角ではなく歩の攻めを選んだ。次は▲2三歩成△同金と形を乱してから▲2一飛の狙い。 *「これは痛そうです。ここをしのげなければ一気に、という可能性もあります」(橋本崇載八段) *「うーん、受けが見えないなぁ。しかし△2二歩と打つのではちょっとね」(東和男七段) * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>これには△2二歩と受けることになると思います。そこで▲2一飛には△3五歩で反撃してどうか。 * *※局後の感想※ *「単に▲7五歩は、あとで▲7四歩のときに△7二歩と受ける余地を与えます」(渡辺) 34 2二歩打 ( 0:00/00:00:00) *じっと辛抱。「郷田さんは不本意でしょうね」と東七段。この状態でもやはり▲9六角が有力なようだ。 * *【休憩時の対局室 】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2013/02/post-cbf4-1.html 35 7五歩打 ( 0:00/00:00:00) *ここも歩で。△同歩ならそこで▲9六角がより厳しい。 *「単に▲9六角も有力だったと思いますが、▲7五歩でした。△3五歩なら、たとえば▲7四歩△3六歩▲7三歩成△同桂▲7四歩△3七歩成▲7三歩成で後手玉が▲6三角からの詰めろ。先手玉は詰まない。後手は6四歩型が痛いんです」(橋本崇載八段) *「△3五歩には▲9六角が激痛かと思います。次の▲7四歩が詰めろになるので」(山崎隆之七段) * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>▲7五歩でした。△3五歩▲7四歩△3六歩とお互いに主張を通していくかもしれません。「あなたはあなた、わたしはわたし」ですね。将棋の場合は、まず一直線に激しく行く順を読んでみることが大事です。それでダメならば、かわす順も考えます。 * *【一直線は……】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2013/02/post-641e.html 36 3五歩打 ( 0:00/00:00:00) *14時52分、郷田の選択は攻め合いの△3五歩。控室では早い終局を予想する声も出ている。 *ここまでの消費時間は▲渡辺1時間19分、△郷田3時間16分。郷田は残り44分。 * *15時が過ぎ、対局室に午後のおやつが運ばれた。郷田がフルーツの盛り合わせとホットコーヒー。渡辺はチョコレートケーキとアイスコーヒー。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>ここで▲9六角が間接的に後手玉をにらんで厳しいです。△3六歩には▲7四角△5一玉▲6三角成として、▲4一飛までの詰めろなので△5二金と受ければ▲3六馬で先手良しです。この△3五歩は先手に決められても仕方がないという覚悟の一手ですね。 * *【午後のおやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2013/02/post-ecc5-1.html 37 7四歩(75) ( 0:00/00:00:00) *渡辺はしっかりと時間を使い、▲7四歩を着手。単に▲9六角は△3六歩で、(1)▲7四歩は△4四歩。(2)▲7四角は△6三角▲同角成△同玉で頑張る順が気になったのかもしれない。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>一直線で行く手順ですね。△3六歩▲7三歩成△同桂▲7四歩△3七歩成▲7三歩成で後手のほうが一手早く迫っているのですが、後手玉のコビンが開いているので後手玉のほうだけ詰めろです。簡単ではないですが、私は渡辺竜王のほうが優勢だと思います。 * *※局後の感想※ *▲2四歩△2二歩の交換が入っているため、後手の持ち歩が少ない。ここで△7二歩は▲3五歩と取られて、3六に打つ歩がなくなってしまう。 38 3六歩(35) ( 0:00/00:00:00) *※局後の感想※ *「先に▲9六角と打つ筋は、△6三角で逆にこちらがまずいと思いました」(渡辺) 39 7三歩成(74) ( 0:00/00:00:00) 40 同 桂(81) ( 0:00/00:00:00) *△3六歩からここまで、あっという間に進んだ。▲7四歩で勝てれば話が早いが……。 41 7四歩打 ( 0:00/00:00:00) *こうなるともう止まらない。△3七歩成▲7三歩成のときにうまい切り返しがあるかどうか。 * *※局後の感想※ *「△3七歩成は▲7三歩成と、先に詰めろをかけられて勝てません」(郷田) 42 7二歩打 ( 0:00/00:00:00) *突っ込んで行っては負けを早めると見て、郷田は△7二歩の鬼辛抱を選んだ。しかしこれには▲9六角がきつそうだ。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>やはり▲9六角と打ちたいですね。角を手放してしまうと戻れないので、渡辺竜王は慎重に考えていますね。△6三角▲7三歩成△9六角▲同歩△7三歩の局面で、先手が良くなる手順を読んでいるということでしょう。▲9六角を後に残すという意味で、単に▲7三歩成もありますか。 * *※局後の感想※ *「ここで▲9六角も、やはり△6三角でまずいです」(渡辺) 43 7三歩成(74) ( 0:00/00:00:00) *単に桂を取って……。 44 同 歩(72) ( 0:00/00:00:00) 45 9六角打 ( 0:00/00:00:00) *このタイミングで端角。やはり急所はここ。控室の内田記者もうれしそうだ。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>渡辺竜王は「これで決まるはずだ」と、このタイミングで角を打ちました。 * *※局後の感想※ *いかにも味のいい角打ちだが、この手は疑問だった。 *「単に▲8五桂と跳ねられるかと思っていました」(郷田) *△6二銀は▲8一飛△7二角と角を使わせて先手十分。 *「そうでしたね。本譜はこちらがまずいと思って指していました」(渡辺) 46 7四角打 ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>後手としては△7四角と打つしかないところです。 47 8五桂(77) ( 0:00/00:00:00) *手順に桂をさばいて7七への逃げ道を作る。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>42手目の局面で▲7三歩成△同歩▲9六角としましたが、単に▲9六角は△6三角が嫌だったのでしょう。この局面で▲7三桂成を受けようと△6二銀ならば、▲7五歩△6三角▲5五桂で決まります。ここでポンと8五へ桂馬を跳ねられたのは大きいです。 48 3七歩成(36) ( 0:00/00:00:00) 49 7三桂成(85) ( 0:00/00:00:00) 50 4七と(37) ( 0:00/00:00:00) *すでに終盤、47手目▲8五桂からここまでは選択肢が少なく、両者とも指し手が早い。 *しかしここは玉の逃げ場所が3ヵ所あり、どれも考えられそうだ。たとえば▲6九玉は△9六角▲同歩△4五桂▲6三角△4二玉▲4五角成に△5八角▲同金△4九飛で馬を抜かれてしまう。これが先手まずいなら、△5八角が王手にならないよう6八か5九へ逃げることになる。 *△4七とまでの消費時間は▲渡辺2時間18分△郷田3時間17分。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>普通寄せ合いのときは玉が下段に行きにくいのですが、▲6八玉には△5七と▲同玉△4五桂の筋があるので▲6九玉と逃げると思います。 * *※局後の感想※ *「ここで▲6九玉と逃げて勝ちという読みでした。しかし△9六角▲同歩△4五桂▲6三角△4二玉▲4五角成△5八角の筋で馬を抜かれてしまうんですね。桂を抜いたあとに続きがあるとは思わなかった。本譜は予定変更です」(渡辺) 51 5九玉(58) ( 0:00/00:00:00) *▲5九玉を見た橋本八段と山崎七段は、「えっ! ほんとに?」と声をあげた。大盤解説会で、この手はないと断言してきてしまったという。 *すぐに「解説会場に行ってあやまってこなきゃ」と席を立つ山崎七段。「私の分までお願いします」と橋本八段。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>△9六角▲同歩に△4五桂が攻めながら自玉の逃げ道を作る攻防手です。▲5九玉に代えて▲6九玉だと、△9六角▲同歩△4五桂▲6三角△4二玉▲4五角成に△5八角▲同金△4九飛▲6八玉△5八と▲7七玉△4五飛成で馬を抜かれて後手良しでした。 * *※局後の感想※ *「▲6八玉と逃げてもらえれば△5七とから攻めが続くのですが」(郷田) 52 9六角(74) ( 0:00/00:00:00) 53 同 歩(97) ( 0:00/00:00:00) *※局後の感想※ *「次の△4一玉はひどかったですね。いっぺんにダメになってしまった」(郷田) *ここは△4五桂がまさり、以下(1)▲6三角は△4二玉▲2五桂△5一金▲4五角成△3七桂▲3四桂△4一玉▲6三馬△5二角で、「その局面はこちらが悪い」と渡辺。 *(2)▲7四角△4二玉▲3四歩△5二桂▲3三桂の順でどうかだが、△同金▲同歩成△同玉でまだまだ大変な将棋だった。 *「勝負形でした。その順しかなかった」(郷田) 54 4一玉(52) ( 0:00/00:00:00) *角を取ってから玉の早逃げ。一見▲8三角がピッタリだが、その瞬間に△5七とがある。以下▲6一角成は△4七桂で詰んでしまうため、結局はと金を取りきることができない。 *とはいえ▲7四角から生角でと金を抜くのでは不安。終始先手優勢の雰囲気が漂っていたが、実際はずっと大変な将棋だったのかもしれない。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>▲7四角△5二桂▲4七角△7七歩▲8三角成△7八歩成▲6一馬の攻め合いは先手玉も危険です。先ほどまでは渡辺竜王が気持ちよく攻めていた印象がありましたが、現局面は郷田棋王も先手玉を攻める展開に出来ていますので、形勢に差はないですね。 55 7四角打 ( 0:00/00:00:00) *それでも、と金を抜きにいった。 56 5二桂打 ( 0:00/00:00:00) 57 4七角(74) ( 0:00/00:00:00) *この局面の形勢をどう見るか。歩以外の駒の損得はなく、それぞれ角と桂を盤上に使っている。 *筋は△7七歩のたたき。ほかに玉を広くする△4五桂が考えられそうだ。 *橋本八段は「と金を取れたのは大きいと思います。△7七歩には▲8八金で、続く攻めが難しそうです」との見解。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>△7七歩と打ちたいです。▲8八金とすれば△6五歩ぐらいですか。ゆっくりしているような感じがしますが、▲8三角成を防ぎつつ△3七角▲4八歩△7三角成で成桂を抜く手を見ています。 * *【16時40分の控室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2013/02/1640-5416.html 58 4五桂(33) ( 0:00/00:00:00) *これも天使の跳躍。この将棋は桂がよく活躍する。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>一回▲3四歩と打つ手を考えたいです。次に▲3三桂を狙っています。 59 3四歩打 ( 0:00/00:00:00) *「これは決め手のような気がしますね」(橋本崇載八段) *次は▲3三桂△同金△同歩成の狙い。△5七桂成は入らないため、一度受けるしかないか。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>▲3三歩とたたく手も見えましたが、ボンヤリと歩を垂らしたほうが良いですね。△4二金で「ナナメ駒は入りませんよ(▲3三桂△3二玉に▲2一角や▲2一銀とは打たせないように頑張る)」としますか。 * *※局後の感想※ *「この手が見えていなかった。▲3三桂の筋が厳しすぎますね。全然ダメになっているのでビックリしました」(郷田) 60 4四角打 ( 0:00/00:00:00) *3三の地点を守りながら、7七をにらむ角打ち。この攻防手がどれだけ利いてくるか。 *△4四角までの消費時間は▲渡辺2時間52分、△郷田3時間40分。郷田の残りは20分。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>角は本来ならば先手玉への寄せに使いたいところでしたが。ここは安食さん推薦の▲7二歩で銀を取りに行く手が間に合うのではないでしょうか。 61 7二歩打 ( 0:00/00:00:00) *一番シンプルな攻め合い。▲7一歩成の瞬間は後手玉が絶対に詰まない形だが、それでも手勝ちできると判断したようだ。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>後手が△4四角と角を受けに使ってくれるなら、▲7二歩〜▲7一歩成でこちら側から駒得をしながら攻めようということですね。この手に後手は相手をしていられないので、△7七歩▲8八金△5七桂成▲7一歩成に△7八飛から攻め合いでしょうか。 * *【渡辺竜王勝勢】 *http://kifulog.shogi.or.jp/kiou/2013/02/post-77a4.html 62 7七歩打 ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>ここで一直線に(1)▲7一歩成△7八歩成▲6一とと進めれば、△7七角成▲6八桂△同と▲同銀△7九飛▲6九金△6八馬▲同玉△7六桂▲7九玉△8八金で先手玉は詰みます。(2)▲8八金と逃げますね。 63 8八金(78) ( 0:00/00:00:00) 64 7二銀(71) ( 0:00/00:00:00) *ここで手を戻した。攻めたり受けたり、曲線的な順でアヤを求めていく。 65 同 成桂(73) ( 0:00/00:00:00) 66 同 金(61) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>▲7三歩か▲6一飛のどちらかで攻めたいです。 67 6一飛打 ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>実戦心理としては飛車で王手を掛けたいところです。後手に合駒を使わせて、より手堅く行こうという手ですね。 68 5一桂打 ( 0:00/00:00:00) 69 7三歩打 ( 0:00/00:00:00) *「以下△7三同金▲6二銀△4二銀▲7三銀成△5七桂成▲7四角△2六角▲4八桂△8四飛が一例ですが、そこで▲5二角成△同玉▲6二成銀△4一玉▲3三桂と追えば後手玉が詰んでいますね」(橋本崇載八段) 70 同 金(72) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>▲6二銀と打って△4二銀▲7三銀成△5七桂成のときに自陣の角が▲7四角と急所へ行けるのが大きいです。 71 6二銀打 ( 0:00/00:00:00) *▲5一飛成までの詰めろ。壁形を直しながら△4二銀と受ける手の味はよいが、現実的な金損は痛い。 72 4二銀(31) ( 0:00/00:00:00) 73 7三銀成(62) ( 0:00/00:00:00) 74 5七桂成(45) ( 0:00/00:00:00) *両者とも手が早い。 75 7四角(47) ( 0:00/00:00:00) 76 2六角(44) ( 0:00/00:00:00) 77 4八桂打 ( 0:00/00:00:00) *この瞬間に後手玉が詰めろになっている。角の利きを3三に残しておけば状況は違ったが、郷田はきれいに斬られる順を選んだようだ。 78 5四飛打 ( 0:00/00:00:00) *この手にも▲5二角成から詰みがある。△同玉は▲6二成銀△4一玉▲3三桂以下。△3一玉は▲4二馬△同金▲5一飛成で、合駒が角しかないので詰む。 79 5二角成(74) ( 0:00/00:00:00) 80 同 玉(41) ( 0:00/00:00:00) 81 6二飛成(61) ( 0:00/00:00:00) *こちらでも△4一玉に▲3三桂で、やはり即詰み。 82 4一玉(52) ( 0:00/00:00:00) 83 3三桂打 ( 0:00/00:00:00) *郷田はこの局面で投了を告げた。以下△同銀は▲5二金△3一玉▲5一竜まで。△同金も▲5二金△3一玉▲4二金△2一玉▲5一竜△1二玉▲2一銀まで。終局は17時48分、消費時間は▲渡辺3時間14分、△郷田3時間52分。 *終了直後の談話のあと、両者はファンの待つ大盤解説会場に向かった。 * *■ニコニコ生放送■ *畠山鎮七段>ここで郷田棋王が投了して、渡辺竜王が1勝1敗のタイスコアに戻しました。桂馬が活躍する将棋で、途中までは渡辺竜王がリードを取っていたと思います。しかし郷田棋王も終盤で追い込みを見せて難解な局面になったところもあったと思います。 *改めて三番勝負になったわけですが、次局では先手番の郷田棋王が横歩取りのような激しい戦型を選ぶのか、相矢倉のようなじっくりした戦型を選ぶのか、戦型にも注目したいと思います。最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。 84 投了 ( 0:00/00:00:00) まで83手で先手の勝ち