# --- Kifu for Windows (HTTP) V6.53.2 棋譜ファイル --- 対局ID:1780 開始日時:2013/02/03 09:00 終了日時:2013/02/03 15:21 表題:女流名人位戦 棋戦:第39期女流名人位戦五番勝負第3局 持ち時間:各3時間 消費時間:111▲105△160 場所:岡山・湯原国際観光ホテル菊之湯 図:投了 手合割:平手   先手:里見香奈 後手:上田初美 手数----指手---------消費時間-- *里見香奈女流名人に上田初美女王が挑戦する、第39期ユニバーサル杯女流名人位戦五番勝負は、1勝1敗と両者譲らず第3局を迎えた。対局は2月3日(日)、岡山県真庭市「湯原国際観光ホテル 菊之湯」で行われる。 *立会人は淡路仁茂九段(現地大盤解説も)、解説会聞き手は村田智穂女流二段、記録係は室谷由紀女流初段、Twitter解説は室岡克彦七段が務める。持ち時間は各3時間、対局開始は9時。12時〜13時まで昼食休憩となっている。 * *【Twitter解説】 *室岡克彦七段の解説は、日本将棋連盟モバイルTwitterアカウント(@shogi_mobile)にてお楽しみください(コメント欄にも随時引用いたします)。 *https://twitter.com/shogi_mobile * *(棋譜・コメント入力=八雲) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手] 1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *定刻の9時、淡路仁茂九段の「定刻になりましたので対局を始めてください」の声で対局が始まった。 *里見は10秒ほど間を置いて初手を着手。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>本日女流名人位戦第3局のネット解説を務めます、室岡克彦です。宜しくお願い致します。戦型予想は里見女流名人の先手なので第1局同様に▲7六歩△3四歩▲7五歩と進むと思います。そこで上田挑戦者が△3五歩の相振り飛車と予想します。 2 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) *上田も10秒ほど間を置いて△3四歩。 * *今朝、対局室へは上田が少し早目に49分頃入室。里見は55分頃の入室だった。 *【両対局者入室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/2013/02/post-b35f.html 3 7五歩(76) ( 0:00/00:00:00) *注目の3手目、里見は▲7五歩と伸ばして石田流を目指した。前日の予想では里見の居飛車を予想する声もあったが、それは外れた。次の注目は上田の作戦。 * *【対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/2013/02/post-75cb.html 4 6二銀(71) ( 0:00/00:00:00) *右の銀を上がる。第3局は上田が居飛車に構えた。 5 6六歩(67) ( 0:00/00:00:00) *◆里見 香奈(さとみ かな)女流名人(女流名人・女流王位・女流王将・倉敷藤花)◆ *1992年3月2日生まれ、島根県出雲市出身。森けい二九段門下。2004年、女流2級。2011年、女流五段。女流棋士番号は33。 *タイトル戦登場は13回。獲得は女流名人3期、女流王位1期、女流王将3期、倉敷藤花5期(クイーン倉敷藤花)の計12期。 6 4二玉(51) ( 0:00/00:00:00) *◆上田 初美(うえだ はつみ)女王◆ *1988年11月16日生まれ、東京都小平市出身。伊藤果七段門下。2001年、女流2級。2011年、女流三段。女流棋士番号は26。 *タイトル戦登場は4回。獲得は女王2期。 7 7八飛(28) ( 0:00/00:00:00) *里見の今年度成績は16勝3敗(0.842) *通算成績は133勝47敗(0.739) 8 6四歩(63) ( 0:00/00:00:00) *上田の今年度成績は18勝7敗(0.720) *通算成績は161勝97敗(0.624) 9 4八玉(59) ( 0:00/00:00:00) *里見の三間飛車、上田の居飛車と戦型が定まり、早いペースで進んでいる。 10 6三銀(62) ( 0:00/00:00:00) *前日の移動日、上田を含む東京組は9時30分に東京駅を新幹線で出発。13時前に岡山駅に到着し関西組と合流した。そこからバスでおよそ2時間で対局場の湯原温泉に到着した。昨年の第3局も同じ対局場で、一面雪に覆われていたが、今年は雪はなく比較的暖かい。 *【岡山駅から湯原温泉へ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/2013/02/post-aefa.html 11 3八銀(39) ( 0:00/00:00:00) *現地到着後は街へ出て記念撮影。カメラマンからの様々な要求に両対局者は快く応え、終始和やかなムード。「スリッパ卓球」で前哨戦が繰り広げられる一幕もあった。 *【湯原温泉ミュージアム見学】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/2013/02/post-51af.html *【温泉スリッパ卓球】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/2013/02/post-0c89.html 12 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *記念撮影後に検分。使用駒は桂山作水無瀬書の盛上駒。珍しい「双玉」の駒だ。検分が滞りなく済むと、恒例のおやつの検分へ。注文内容は午後のおやつの時間にお知らせする。 *【検分】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/2013/02/post-42ac.html *【重要項目】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/2013/02/post-c616.html 13 3九玉(48) ( 0:00/00:00:00) *検分の後は前夜祭で盛大な歓迎を受けた。両者の挨拶で共通していたのは、里見−上田戦は2年ぶりということで、対局そのものをとても楽しみにしていたということだ。 *【対局者あいさつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/2013/02/post-d9ca.html 14 5二金(61) ( 0:00/00:00:00) 15 6八銀(79) ( 0:00/00:00:00) 16 3二銀(31) ( 0:00/00:00:00) *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>4手目の予想が外れましたね。上田挑戦者はこの居飛車左美濃も良く指されています。 17 6七銀(68) ( 0:00/00:00:00) 18 3一玉(42) ( 0:00/00:00:00) 19 9六歩(97) ( 0:00/00:00:00) 20 1四歩(13) ( 0:00/00:00:00) 21 1六歩(17) ( 0:00/00:00:00) 22 3三角(22) ( 0:00/00:00:00) *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>上田挑戦者は△8五歩を決めずに駒組みを進めています。現在男性棋戦でも主流になっています。 23 5八金(69) ( 0:00/00:00:00) 24 2二玉(31) ( 0:00/00:00:00) *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>▲5六銀には△2四歩で▲4五銀に△2三銀を用意します。 25 5六銀(67) ( 0:00/00:00:00) 26 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00) *上田は△2四歩と受けの形を作る前に、飛車先を突いて形を決めた。 27 7六飛(78) ( 0:00/00:00:00) *飛車の横利きで飛車先交換を受けるのが石田流の形。通常の振り飛車と異なり、8八角を自由に使いやすい。 28 2四歩(23) ( 0:00/00:00:00) 29 3六歩(37) ( 0:00/00:00:00) *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>▲3六歩は3九玉のまま玉側で戦端を開く手を視野に入れています。2八王よりも相手の反撃に強い意味があります。 *▲3六歩の狙いの一例は、△2三銀に▲3七桂△3二金に▲2六歩から▲2五歩の開戦です。後手の玉は先手の角の対角線上にいるので、このような攻めに注意が必要です。 30 5四歩(53) ( 0:00/00:00:00) *時刻は9時30分を回ったところ。上田は、少し時間を使って△5四歩と突いた。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>△5四歩は先手の5六銀を移動させるのと、将来△5五歩で8八角の対角線を閉鎖するのが狙いです。 31 4六歩(47) ( 0:00/00:00:00) 32 2三銀(32) ( 0:00/00:00:00) *銀冠への組み替えを目指す。4一金が離れ駒になるので、この瞬間に仕掛けられるのが怖いが、この場合は仕掛けられる恐れはないようだ。 33 3七桂(29) ( 0:00/00:00:00) *先手も着実に駒組みを進める。 34 3二金(41) ( 0:00/00:00:00) *金を締まって一安心。 * *【石田流vs銀冠】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/393/ 35 7七桂(89) ( 0:00/00:00:00) *現局面は、よくありそうな形だが、手元のデータベースではすでに前例がない。先手が▲2八玉を上がらずに▲3六歩〜▲3七桂と早めに組んでいる形が珍しいようだ。 *控室では「先手は速攻の狙いを見せることで、後手に△5四歩と突かせたかったのではないか」と言われている。△5四歩を突かせれば、後に▲9七角と上がったときに角のラインが後手陣に深く届くため▲7七桂〜▲9七角の石田流本組に組みやすいようだ。 *いま▲7七桂と指されたが、こうして形が決まればあとはゆっくりした進行になると見られている。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>里見女流名人はなかなか▲2八玉を指しませんね。将来の▲2六歩から▲2五歩の開戦を狙っていると思います。たとえば▲2五歩△同歩▲同桂△2四角の展開の時に玉の位置は重要です。 *後手の指し手が難しいですね、△5五歩は▲4七銀引で駒組みが難しくなります、角道が止まるので▲9七角から▲6五歩と攻めやすくなります。△1二香からの穴熊も囲うのに手数がかかるので怖すぎますね。 36 5五歩(54) ( 0:00/00:00:00) *室岡七段が、やや指しにくいと見ていた△5五歩が着手された。 37 4七銀(56) ( 0:00/00:00:00) *先手は金銀4枚の美濃囲いに。その堅さとひし形の駒組みから「ダイヤモンド美濃」とも呼ばれる陣形だ。銀を守備に使うので攻撃力がやや不足するが、飛角桂の3枚で軽いさばきを狙う展開になる。 38 4四歩(43) ( 0:00/00:00:00) *陣形の発展を目指す。じっくりとした駒組みが続きそうだ。 39 9七角(88) ( 0:00/00:00:00) *石田流本組に。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>後手はしばらく辛抱の展開です。先手は▲2八玉、▲2六歩と玉側を整備してから今度は飛車側からの開戦です。一例は▲7四歩△同歩▲6五歩△同歩▲5六歩などです。 40 8四飛(82) ( 0:00/00:00:00) *△8四飛は石田流本組に対するひとつの受けの形。将来△5四銀と活用した際の▲7四歩からの仕掛けを緩和している。 *10時頃の局面。△8四飛までの消費時間は▲里見4分、△上田39分。 41 2八玉(39) ( 0:00/00:00:00) 42 4三金(52) ( 0:00/00:00:00) 43 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>先手は△8四飛を指してもらったので、玉側の整備です。銀冠を完成させてから▲5六歩と一歩持つ手を狙います。後手は8四飛を指してしまうと△9四歩から△9二飛-△7二飛の狙いが消滅します。 44 4二角(33) ( 0:00/00:00:00) 45 2七銀(38) ( 0:00/00:00:00) *先手も銀冠へ。 46 5四銀(63) ( 0:00/00:00:00) 47 3八金(49) ( 0:00/00:00:00) *【湯原温泉】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/2013/02/post-3d0d.html 48 3三桂(21) ( 0:00/00:00:00) *そろそろ駒組みが頂点に達しそうだ。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>先手は▲5六歩△同歩▲同銀と一歩を手持ちにして▲5二歩のような手を狙いにするか、いきなり▲8六歩△同歩▲同角で△8五歩なら▲9五角から▲7四歩で飛車交換を狙う手もありそうです。 49 5六歩(57) ( 0:00/00:00:00) *10時24分、49手目で歩がぶつかった。室岡七段が「1歩を持つ狙い」として予想していた仕掛けだ。 50 同 歩(55) ( 0:00/00:00:00) *少し時間を使って歩を取った。後の展開を考えていたのだろう。 51 同 銀(47) ( 0:00/00:00:00) *【名湯「砂湯」】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/2013/02/post-505f.html 52 5五歩打 ( 0:00/00:00:00) 53 4七銀(56) ( 0:00/00:00:00) *パタパタと進んで手番は後手に。待つなら△9四歩が考えられる。控室では、そこで▲5二歩と▲4八金左が並べられている。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>後手には有効な待つ手がありませんね、△4五歩と開戦するかもしれません。以下▲同歩△同桂▲同桂△同銀に▲6五歩が感触のよい手です。 54 4五歩(44) ( 0:00/00:00:00) *10時40分頃の着手。室岡七段の予想通り、上田が仕掛けた。 *△9四歩と待つのは、▲5二歩か▲4八金左で先手の手のほうが一手の価値が高いと判断したものか。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>△4五歩に▲同歩△同桂の時に、少しにひねって▲4六銀△3七桂成▲同銀もありそうです。 *▲4五同歩以外に▲7九角もありそうです。以下△4六歩には▲同角と取って先手は陣形を乱さずに4筋の歩を交換できます。 55 4八金(58) ( 0:00/00:00:00) *じっと金を寄った。 *控室では△4六歩▲同銀の局面で様々な手段が検討されている。 *淡路九段が指摘したのは△4六歩▲同銀に、じっと△4四歩。「△4四歩ですか。これは僕には指せそうにない手です」と継ぎ盤を挟む菅井竜也五段。 *11時過ぎ、▲4八金左までの消費時間は▲里見24分、△上田1時間6分。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>▲4八金左は△4六歩▲同銀△4五歩なら▲5七銀と引いておいて後手陣の4四に弱点が出来ます。将来▲4四歩等が嫌みです。また▲5七銀に△5三角と4四を補強するのは▲6五歩の仕掛けを与えます。 *△4六歩▲同銀に△5六歩には、強く▲5五歩が考えられます。以下△4五歩▲5四歩△4六歩▲4四歩△同金▲5三銀と堅陣を頼りに強行すると、△同角▲同歩成△6七銀▲7四歩△7六銀不成▲6四角△7四飛▲4二と△6四飛▲3二と△同玉です。 *△4六歩▲同銀に△5六歩には、▲4五歩と位を確保するのが有力そうです。次に▲5五歩を狙います。 56 4六歩(45) ( 0:00/00:00:00) *11時30分過ぎ、歩を取り込んだ。 * *※局後の感想※ *代えて△5三角を里見は気にしていたという。 *以下(1)▲5二歩は△2五歩▲同歩△2六歩▲1八銀△1五歩で先手大変。(2)▲7四歩は△同飛▲同飛△同歩▲8三飛△8九飛▲6五桂と進められ、上田は自信はないが本譜よりは良さそうとのことだった。 57 同 銀(47) ( 0:00/00:00:00) *【はんざきセンター】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/2013/02/post-658f.html * *※局後の感想※ *上田はここで△4四歩も考えたが、▲4七金直△4五桂▲5二歩△3七桂成▲同銀で、「最後銀を引いて取られる形でいいので、指しづらかった」とのこと。里見もこの変化なら不満なしと見ていたようだ。 58 5六歩(55) ( 0:00/00:00:00) *室岡七段はここで強く▲5五歩とする激しい変化を踏まえつつ、じっと▲4五歩と位を取る手を有力と見ていた。里見の選択は果たして。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>△5六歩は最強手ですが怖い手でもあります。先手はどこかで▲7四歩を入れたいです、そうすると飛車と角がいっぺんに働いてきます。 *ここで▲7四歩は入るでしょうか。△同歩なら▲5五歩△6三銀▲6五歩は先手のペースです。△4五歩には▲7三歩成△4六歩に▲6二とか▲7四と△8二飛▲6四とです。銀損ですが飛車の活用が大きそうです。 59 7四歩(75) ( 0:00/00:00:00) *「どこかで入れたい」と言われていた▲7四歩をここで。 * *※局後の感想※ *里見はここで△8六歩を気にしていた。以下▲同角に本譜と同様に進めると、▲7九角と引く手がなく、後手が得をしている。 *「そうか、△8六歩は突かないといけなかったですね」(上田) 60 同 歩(73) ( 0:00/00:00:00) *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>先手は▲7四歩が入ったのは大きいですね。△7四同歩で△8六歩は▲7三歩成で、そこで△8七歩成としても不利と判断したのでしょう。 61 5五歩打 ( 0:00/00:00:00) *▲7四歩△同歩を入れてから▲5五歩。昼食休憩を前に激しい変化に踏み込んだ。 * *※局後の感想※ *「▲7四歩△同歩が入っていなければ△4五歩もありえましたが」と上田。本譜で△4五歩は▲5四歩△4六歩▲4四歩△同金▲5三銀△5四金▲4二銀成△同金に▲5一角や▲6三角が厳しく後手敗勢。 62 6三銀(54) ( 0:00/00:00:00) *△4五歩の攻め合いでなく、穏やかに銀を引いた。先手が▲7四歩△同歩と突き捨てを入れたので引く手が有力になったのかもしれない。 *時刻は12時を回り、この局面で里見が12分使って昼食休憩に入った。消費時間は▲里見48分、△上田1時間44分。昼食は両者とも松花堂弁当。対局は13時に再開される。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>先手の継続手は▲6五歩です。△同歩は▲4四歩△9七角成(△4四同金は▲4二角成△同金▲6二角の飛車金両取り)▲4三歩成△3一馬▲4四金は先手が優勢です。 *▲6五歩に後手は△7五歩くらいでしょうか、以下▲同飛(▲同角は△7四飛の時が問題)△7四銀▲7六飛△7五歩。後手の飛車と銀が重たいのがつらいです。 * *【昼食休憩に入る】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/2013/02/post-97d2.html *【昼食休憩時の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/2013/02/post-e82f.html 63 6五歩(66) ( 0:00/00:00:00) *13時を回り対局再開。里見はすぐに▲6五歩と仕掛けた。 *これを△同歩は、先手が好調と見られている。上田はどう応じるか。 * *【対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/2013/02/post-2985.html 64 4四歩打 ( 0:00/00:00:00) *控室には香川愛生女流初段と長谷川優貴女流二段が来ている。 *「△4四歩は辛抱した手ですね。次に▲5六飛と拠点を取られてしまうので、ここ数手の攻防は先手が好調に見えます。後手は▲5五歩に△4五歩の予定だったと思いますが、▲5四歩△4六歩に▲5五銀が厳しいので予定変更したのではないでしょうか」(香川女流初段) * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>△4四歩は先手から後の▲4四歩を消して良い辛抱ですね。すぐに戦う手では陣形の差で悪くなりそうなのでしばらくは忍耐です。 65 5六飛(76) ( 0:00/00:00:00) *拠点の歩を払った。これで歩の損得はなくなっている。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>▲5六飛は自然な継続手です、後手は陣形を良くして待つ手を指すしかありません。△8二飛と待つか△7五歩▲同角△7四飛などです。 66 7五歩(74) ( 0:00/00:00:00) *飛車の動きを狭めている歩を伸ばして活用する。 *里見が時間を使っている。▲7五同角に△7四飛が逆に角取りになる仕組み。そこで▲7六歩と受けるようではちょっと面白くないかもしれない。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>▲同角△7四飛に▲7六歩が自然な応接です。そこで△7三桂と遊んでいる桂馬を活用するか、もう1回△7二飛と待つかです。 67 6六飛(56) ( 0:00/00:00:00) *じっと飛車を寄った。次の狙いがパッと見にはわからないが、間合いを計った意味もあるか。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>▲6六飛は振り飛車らしい軽快な手です。△6五歩▲同飛△6四銀▲6六飛で次の▲6三歩の垂れ歩を狙います。 * *※局後の感想※ *ここで△6五歩▲同飛△6四銀▲6六飛△7三桂を菅井五段が指摘。以下は難解ながら先手が少し良さそうとされたが、後手の銀桂が前に出てさばけるため、本譜より良かったようだ。 68 7四飛(84) ( 0:00/00:00:00) *こちらも飛車を寄る。先手はこのまま飛角を押さえ込まれてはいけない。何か動いていきたいところだ。 69 6四歩(65) ( 0:00/00:00:00) *少し考えて取り込んだ。 70 同 角(42) ( 0:00/00:00:00) *上田は読み筋とばかりにノータイムで△6四同角。 * * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>△同銀は▲6三歩の垂れ歩が痛いです。△同角には▲7六歩と強く戦いたいです。以下△同歩は▲6四角△同飛▲同飛△同銀で▲6一飛と攻め合って先手は固さを生かしたいです。 71 6二歩打 ( 0:00/00:00:00) *それでも垂れ歩で。▲6三歩と垂らした形に比べれば、やや遠回りだが確実な攻めだ。 * *控室に菅井竜也五段が戻ってきた。 *「と金作りが受けづらいですね。△7一飛などでは消極的で勝てない展開です。(64手目の)△4四歩と辛抱したところでは後手も持ち直したように見えたのですが、この局面は後手がつらくなっている感じです。△7四飛のところで△6五歩▲同飛△6四銀としたほうが、自然だった気がします。恐らく上田女王は、作戦を失敗したと思っているので、△7四飛は勝負手気味だったのかもしれません」(菅井五段) 72 5二銀(63) ( 0:00/00:00:00) *辛抱した。 * *※局後の感想※ *△5二銀と引いたのは疑問手で、代えて△7六歩と勝負すべきだった。以下▲6四角△同飛▲同飛△同銀の展開は先手も怖いところ。里見は実戦的に、△7六歩に▲7五歩△7二飛▲7六飛と指すつもりだったようだ。以下△6二飛と歩を取り返して、これは長い勝負になる。模様は先手がいいものの、後手もまだまだ頑張れたようだ。 73 6一歩成(62) ( 0:00/00:00:00) *軽快に成り捨てた。 74 同 銀(52) ( 0:00/00:00:00) *後手は5四まで進出した銀が一段目まで下がってしまった。 75 5四歩(55) ( 0:00/00:00:00) *後手の銀を飛車のラインに呼んでから▲5四歩。△6五歩▲同飛△4六角には▲6一飛成がある。放っておいても▲5五銀が厳しい。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>▲5四歩は味の良いつきだしです。71手目の▲6二歩が効いたのは先手にとって大きな成果です。 76 同 金(43) ( 0:00/00:00:00) *玉の守りは薄くなるが、▲5五銀を許すわけにはいかない。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>後手陣はバラバラですが先手の攻めも軽いので、上田挑戦者はここを凌いで終盤の好勝負を期待したいです。 77 5五歩打 ( 0:00/00:00:00) *もう一度押さえた。 78 5三金(54) ( 0:00/00:00:00) *「ここはいろいろありますね。例えば▲7六歩と合わせる手が考えられます」(菅井五段) 79 3五歩(36) ( 0:00/00:00:00) *里見の手は盤の右側に伸びた。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>▲3五歩は玉側で戦いを起こして△6一銀と△5三金を相手にしない方針です。先手の角は将来▲7九角から使うのでしょう。 80 同 歩(34) ( 0:00/00:00:00) 81 7九角(97) ( 0:00/00:00:00) *▲3五銀〜▲2四銀の突進を狙う。 *14時過ぎ、▲7九角までの消費時間は▲里見1時間26分、△上田2時間1分。 82 7六歩(75) ( 0:00/00:00:00) *後手も反撃へ。▲6五桂と跳ねるのが自然だが、先手の飛車も重い形になる。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>先手は▲3五銀または▲3四歩△同銀▲3五銀と玉頭で戦うか、一旦▲7五歩として△同飛なら▲9七角とするか悩ましいですね。 83 6五桂(77) ( 0:00/00:00:00) 84 4三金(53) ( 0:00/00:00:00) 85 3四歩打 ( 0:00/00:00:00) *△3四同銀と取らせてスピードアップして▲3五銀とぶつける。激しくなってきた。 86 同 銀(23) ( 0:00/00:00:00) 87 3五銀(46) ( 0:00/00:00:00) *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>ここで△7五角は効かないのでしょうか、以下▲7三桂成は△6六角▲7四成桂△6九飛▲3四銀△7九飛成は先手も大変そうですが。 88 同 銀(34) ( 0:00/00:00:00) *【大盤解説会、始まる】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/2013/02/post-5efd.html 89 同 角(79) ( 0:00/00:00:00) *控室では△5二銀▲2四角に△4五銀が示されている。 *「普通の手では勝てそうにないので、勝負手です。▲4五同桂に△5五角の王手飛車取りの狙いで、それが実現してもまだ後手がつらいかもしれませんが、角を使えれば勝負の形になりそうです」(菅井五段) 90 3四歩打 ( 0:00/00:00:00) *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>△3四歩は桂頭のキズを消して自然な手です。▲2四角には△2三銀と厚くして△7七歩成を間に合わせたいところです。 91 2四角(35) ( 0:00/00:00:00) *「ここで△3五銀が見えますが、▲同角△同歩▲3四歩△同金▲5三桂成で先手良しです。なのでじっと△5二銀などでしょうか」(菅井五段) 92 2三歩打 ( 0:00/00:00:00) *ここは平凡に歩で受けた。銀は温存して攻めに使いたいということだろう。 *14時30分、ここで対局室におやつが運ばれた。メニューは里見が苺のショートケーキとシューケーキ、上田がモンブランとマカロン。これにそれぞれフルーツの盛り合わせが付く。飲み物は二人ともピーチティー。 * *【おやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryumeijin/393/ 93 3三角成(24) ( 0:00/00:00:00) *里見は出されたおやつに手を付ける前に、角を切って激しく踏み込んだ。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>▲3三角成は△同金寄なら▲5三桂成、△同金直なら▲2五桂打で3筋の歩を切った効果で後の3三歩が効きます。 * *※局後の感想※ *「角を切ってからは素早く寄せましたね」と立会人の淡路九段。 *「そうですね、ここではもうはっきり負けですね」(上田) 94 同 金(43) ( 0:00/00:00:00) 95 2五桂打 ( 0:00/00:00:00) *里見は△3三同金寄にも桂を打った。なお▲2五桂と跳ねるのは△5五角の王手飛車取りがある。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>△同金寄にも▲2五桂打でした。この方が良い手ですね、▲5三桂成はその瞬間に技が効くかもしれません、例えば△7五角打などです。 *後手は金を逃げる手は▲3三歩が効くので△7五角と攻め合うのは一つの手段ですが先手陣は4九と3九に歩が効くのが強みです。 96 7五角(64) ( 0:00/00:00:00) 97 3三桂成(25) ( 0:00/00:00:00) *△3三同金に飛車を見切って▲5三桂成も考えられると言われている。 *上田が考えている。△同金か△同玉か。さきほど出されたおやつは手を付けた様子がない。すでに緊迫した局面で、食べる余裕はないかもしれない。 98 同 金(32) ( 0:00/00:00:00) *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>▲7三桂成△6六角▲7四成桂で先手陣は▲4九歩が絶品です。 99 2五桂(37) ( 0:00/00:00:00) *おかわりの桂を跳ね出す。もう△5五角の王手飛車取りはない。 100 3二銀打 ( 0:00/00:00:00) *▲4三歩の垂らしが厳しいと言われている。△4三同金は▲5三桂成、△6六角と飛車を取っても▲5三桂成で次の▲4二歩成が早いようだ。少し差がついてしまったか。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>△3二銀で△6六角と飛車を取ると▲3一銀△同王▲3三桂成△7二飛▲4二歩△同飛▲4三歩で決まります。 101 5三桂成(65) ( 0:00/00:00:00) *里見は単に桂を成った。△6六角なら▲4三歩と垂らして、先に歩を垂らしたのと同じことになる。 *15時過ぎ、▲5三桂成までの消費時間は▲里見1時間42分、△上田2時間27分。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>▲5三桂成は最短距離を行く手ですね。△6六角▲4三歩で次の▲4二歩成の詰めろが厳しいです。先手陣は△5五角に▲3七歩があるのでまだ安全です。 102 6六角(75) ( 0:00/00:00:00) 103 4二成桂(53) ( 0:00/00:00:00) *▲4三歩の垂らしではなく、成桂をぐいっと入った。▲3一銀からの分かりやすい詰めろになっている。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>▲4二成桂は△3一桂の受けに▲1五歩で寄せる狙いです。 104 3一桂打 ( 0:00/00:00:00) *ここで▲1五歩が、次に▲1三銀からの詰めろになって厳しいと言われている。 *継ぎ盤では後手側に座った菅井五段が、▲1五歩に指す手がないと困っている。 105 1五歩(16) ( 0:00/00:00:00) *里見は少考で▲1五歩を指して席を立った。勝ち筋を読み切ったか。 *控室では終局近しと見て、関係者の動きが慌ただしくなっている。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>▲1五歩は次に▲1三銀△同香▲同桂成△同王▲1四歩以下の詰めろです。△1五同歩も▲1三銀△同香▲同桂成△同王▲1五香以下詰みます。 106 4六角打 ( 0:00/00:00:00) *ひとまず王手。同時に1三の地点を受けて詰めろを逃れている。 107 3七金(48) ( 0:00/00:00:00) *強く受けて決着をつけにいく。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>▲3七金左は最強手です。「全部読み切っていますよ」と言う手です。 108 5五角(66) ( 0:00/00:00:00) *必死に手をつなぐ。 109 4六金(37) ( 0:00/00:00:00) 110 同 角(55) ( 0:00/00:00:00) 111 3七銀打 ( 0:00/00:00:00) *きっちり受けて余しにいく。ここをしのげば勝利は目前だ。 *ここで上田が頭を下げた。 *終局時刻は15時21分、消費時間は▲里見1時間45分、△上田2時間40分。 *勝った里見は対戦成績を2勝1敗とし、防衛にあと1勝と迫った。 * *■Twitter解説■ *室岡克彦七段>投了以下、△5七角成は▲1四歩△1二歩に▲1三角と打ちこんで詰みです。△3七同角成も▲同金△5八飛▲3八歩で△2四銀と受けても▲1四歩で△1二歩も△1五歩も▲1三角以下詰みです。 *今日の将棋を振り返って見ますと、まず里見女流名人の緻密な序盤戦に感心しました。上田挑戦者の駒組みを制限して、受け身の態勢を取らざる得なくなりました。上田挑戦者も上手く辛抱したので途中は難しくなったと思った局面もありましたが、そこからの手の作り方が素晴らしかったですね。▲6二歩の垂らしから玉頭に殺到して、すきなく寄せきりました。最後の△5三桂成からの手順は完璧です。上田挑戦者は64手目の△4四歩の辛抱に感心しましたが、受け身の展開になったので十分実力が発揮できなかったのは残念です。次局は先手番なので2-2のタイに持ち込んで最終第5局をみたいです。第4局頑張ってください。今日の第3局は里見女流名人の強さが光った将棋でした。 112 投了 ( 0:00/00:00:00) まで111手で先手の勝ち