# --- Kifu for Windows (Pro) V6.64.06 棋譜ファイル --- 対局ID:5318 記録ID:578f05c00bba5a03000aaca0 開始日時:2016/07/27 10:00 終了日時:2016/07/27 16:35 表題:リコー杯女流王座戦 棋戦:第6期リコー杯女流王座戦本戦トーナメント 持ち時間:各3時間 消費時間:113▲120△176 場所:関西将棋会館 備考:昼休前37手目2分\n 図:投了 振り駒:3,0,里 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:00〜12:40 昼休前消費時間:37手2分 手合割:平手   先手:里見香奈女流四冠 後手:山根ことみ女流初段 先手省略名:里見香 後手省略名:山根 手数----指手---------消費時間-- *第6期リコー杯女流王座戦本戦1回戦より、里見香奈女流四冠と山根ことみ女流初段の一戦をお送りする。対局は関西将棋会館で、7月27日(水)10時開始。持ち時間は各3時間。振り駒の結果、里見の先手となった。なお勝者は2回戦で、山口恵梨子女流二段−貞升南女流初段戦の勝者と対戦する。 * *【主催・株式会社リコー】 *http://www.ricoh.co.jp/ * *【特別協力・日本経済新聞】 *http://www.nikkei.com/ * *【対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryu_ouza/2016/07/post-79d1.html * *(棋譜・コメント入力=虹) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。【】内はブログ記事タイトル、またはリンク先。#は局後の感想が追記された指し手] 1 5六歩(57) ( 0:00/00:00:00) *◆里見 香奈(さとみ かな)女流名人・女流王位・女流王将・倉敷藤花◆ *1992年3月2日生まれ、島根県出雲市出身。森けい二九段門下。2004年、女流2級。2011年、女流五段。女流棋士番号は33。 *タイトル戦登場は26回。獲得は女王1期、女流王座1期、女流名人7期(クイーン名人)、女流王位3期、女流王将4期、倉敷藤花6期(クイーン倉敷藤花)の計22期。 2 3四歩(33) ( 1:00/00:01:00) *◆山根 ことみ(やまね ことみ)女流初段◆ *1998年3月9日生まれ、愛媛県松山市出身。野田敬三六段門下。2013年、女流3級。2015年、女流初段。女流棋士番号は49。 3 5八飛(28) ( 0:00/00:00:00) *里見の今年度成績は3勝0敗(1.000)。 *通算成績は192勝68敗(0.739)。 4 3二銀(31) ( 3:00/00:04:00) *山根の今年度成績は4勝3敗(0.571)。 *通算成績は23勝17敗(0.575)。 5 5五歩(56) ( 1:00/00:01:00) *里見の直近10局の成績は7勝3敗(右が最新:○●●○○●○○○○)。 6 5二飛(82) ( 1:00/00:05:00) *山根の直近10局の成績は5勝5敗(右が最新:●●○○●○○●○●)。 7 7六歩(77) ( 3:00/00:04:00) *里見のリコー杯女流王座戦成績は12勝4敗。第3期では五番勝負を制して栄冠に輝いた。今期は本戦トーナメントから出場。 8 4四歩(43) ( 1:00/00:06:00) *山根のリコー杯女流王座戦成績は7勝3敗。今期は一次予選で塚田恵梨花女流2級に、二次予選で今井絢奨励会6級にそれぞれ勝って、自身初の本戦トーナメント入りを決めた。 9 4八銀(39) ( 1:00/00:05:00) *両者の対戦は本局が初となる。 *戦型は力戦調の相中飛車。ただし山根の6手目△5二飛は、▲5四歩△同歩▲同飛を防ぐための一着で、その役目を終えればほかの筋に飛車を振り直す可能性もある。 10 4三銀(32) ( 1:00/00:07:00) *前例は5手目▲5五歩の時点で2局(どちらも先手勝ち)、6手目△5二飛ですべての前例から離れている。 11 5七銀(48) ( 0:00/00:05:00) *里見は右銀を中央へ。右辺が手薄になったため、▲6八玉〜▲7八玉と左辺に囲う展開が考えられる。 12 6二玉(51) (10:00/00:17:00) *10分の少考。 13 5六銀(57) ( 0:00/00:05:00) 14 7二玉(62) ( 0:00/00:17:00) 15 6八玉(59) ( 0:00/00:05:00) 16 8二玉(72) ( 0:00/00:17:00) 17 7八玉(68) ( 0:00/00:05:00) *両者の指し手のペースが上がる。ともに玉を戦地から離して、戦いに備えている。 18 7二銀(71) ( 0:00/00:17:00) *山根は美濃囲いを採用。攻め形をどうするかが、この先の課題となる。△3三角〜△2二飛や、△3五歩〜△3二飛ならば違和感のない駒組みに収まるが、6手目△5二飛の1手が、いわゆる「途中下車」扱いになってしまう。手損が響く将棋なのかどうかを見極める必要がある。 19 9六歩(97) ( 0:00/00:05:00) 20 9四歩(93) ( 0:00/00:17:00) 21 6八銀(79) ( 0:00/00:05:00) *代えて▲7七角〜▲8八玉で深く囲う変化もあったが、里見は急戦志向だ。 22 3三角(22) ( 3:00/00:20:00) 23 6六歩(67) ( 0:00/00:05:00) 24 2四角(33) ( 2:00/00:22:00) *角を3三に置いたままでは、攻防のどちらにも使えない。△2四角と出て先手陣に利かせる。 25 6五歩(66) ( 3:00/00:08:00) *「何ともいえない戦型ですね。先手は▲6六角〜▲7七桂と組みたいです。後手は△3三桂と跳ねてから△5四歩▲同歩△同銀が一例ですが、以下(1)▲5五歩に(A)△4三銀では面白くありません。しかし(B)△4五銀とぶつけた場合、▲6七銀引のときに後手は3三桂と4五銀の配置が悪いです。なので後手が動くとすれば、▲6七銀上を確認してからですね」(A奨励会三段) *また上記変化では(2)▲4四角と歩を取り払う手も考えられるという。どちらにしても、後手は△5四歩とは仕掛けにくいようだ。 26 3三桂(21) ( 4:00/00:26:00) *11時頃、26手目△3三桂までの消費時間は▲里見8分、△山根26分。 * *11時10分。里見が25分の熟考に沈んでいる。 *「後手は△5四歩と動きにくいですが、先手は▲2六歩△1四歩▲1六歩で、いつでも▲2五歩が権利になります」(A奨励会三段) *上記変化の▲2五歩が実現すれば、以下△1三角(代えて△2五同桂は、▲2八飛で桂が助からない)▲1五歩△同歩▲同香△6八角成▲同金△1五香で、▲角△銀香の2枚替え。そのため先手はこの陣形のまま動くかは難しいところだが、攻め筋としては存在する。 *「角を切る変化があるので、先手は(1)▲6七銀上〜▲6八金よりも、(2)▲6七銀上〜▲5九金右〜▲6八金右と守りを厚くしてから動きたいですね」(A奨励会三段) * *【力戦調の相中飛車へ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryu_ouza/2016/07/post-cd65.html 27 5九飛(58) (37:00/00:45:00) *37分の考慮。 *「飛車を引いたということは、将来的に△5七歩が飛車に当たらなくなりますので、例えば△5四歩を無視することも可能になりました。囲うときは4九金を6七に持っていく感じでしょうか。この場合、▲2六歩〜▲2五歩には△3五角▲3六歩△2六角で5九飛に当たってしまうので、その筋はやりにくくなったと思います。後手は△5一金左〜△6二金左と固めていきたいです。ただし玉の逃げ道がなくなるため、9筋の端攻めが怖くなります」(A奨励会三段) *また先手には▲6六角〜▲7七桂があるため、後手は△8四歩〜△8三銀の銀冠に組みにくいという。 28 4二金(41) (10:00/00:36:00) *10分の少考。 *代えて△5一金左〜△6二金左が棋士室では示されていたが、実戦は△4二金。囲いの強化よりも、△5四歩▲同歩△同銀▲4四角のような展開に備えることを優先した一着だ。 29 5八金(49) ( 1:00/00:46:00) *「やはり△5四歩には放置の姿勢なんでしょうね。△5五歩▲同銀で、先手の攻め駒が前進しますから」(A奨励会三段) 30 5四歩(53) (13:00/00:49:00) *山根は13分考えてから仕掛けた。 31 6七金(58) ( 0:00/00:46:00) 32 5三金(42) ( 1:00/00:50:00) *5筋に戦力をそそぐ。△5五歩▲同銀△5四歩のとき、▲4四銀と出る変化を消している。 *「▲5四歩△同金▲5五歩には△4五金と出るでしょうね。少し前の局面と違って、5六銀は6七に引けませんから。以下▲4五同銀△同桂▲5六飛△5七歩が一例ですが、先手としては少し嫌かもしれません」(A奨励会三段) 33 5四歩(55) ( 2:00/00:48:00) *棋士室では代えて▲7七角も予想されていた。以下△5五歩▲同銀△5四歩▲6六銀と、穏やかな変化になる。 34 同 金(53) ( 2:00/00:52:00) 35 5五歩打 ( 0:00/00:48:00) 36 5三金(54) ( 1:00/00:53:00) *代えて△4五金の決戦策ではなかった。山根は△5三金と引いて、歩を持ち駒にしたことを主張に手を渡す。 *「これも自然ですね。先手は(1)▲6六角〜▲7七桂ですが、後手は動き方が悩ましい。現局面は先手持ちです。後手はやるとすれば▲6六角に△6四歩ですが、以下▲同歩△同金▲6五歩△6三金の局面は6五歩の拠点が大きいように思います。▲7五角〜▲3一角成の筋も生じます。また、先手の待ち方としては(2)▲7九金という手もありますね」(A奨励会三段) * *12時、この局面で里見が2分考えて昼食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲里見50分、△山根53分。昼食の注文は里見がきつねうどん、山根が注文なし。対局は12時40分に再開する。 * *【昼食休憩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryu_ouza/2016/07/post-669d.html 37 6六角(88) ( 3:00/00:51:00) *対局再開の一着は▲6六角。次に▲7七桂で好形に組む狙いだ。 *「先手持ちです。後手の2四角・3三桂は5筋に殺到する陣形なのですが、本譜は先手が中央を押さえ込んでいますので、そういう展開にはならないと思います」(B奨励会員) * *【対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryu_ouza/2016/07/post-6fee.html 38 4五歩(44) ( 6:00/00:59:00) *6分の少考。 *この手を見た里見は、身体を小さく揺すって考える。対する山根は背筋を伸ばして盤を見下ろす姿勢に。 *「先手が5筋を押さえ込んでいるので、後手は4四に駒を移動して戦おうということですね。しかしそう組んだあとも動きにくそうです」(B奨励会員) *進行の一例は▲8八玉△4四銀▲7八金△5四歩▲同歩△同金▲5五歩△同銀▲同銀△5八歩▲同飛△5七歩▲同角△同角成▲同飛△5五金。そこで先手はいろいろと手段があるとのことで、例えば▲5三歩△同飛▲4四銀△5六歩▲5九飛△5一飛▲5五銀△同飛▲4四角で先手よし。つまり後手から動くとカウンターが厳しい。 39 8八玉(78) ( 2:00/00:53:00) 40 4四銀(43) ( 1:00/01:00:00) 41 7八金(69) ( 2:00/00:55:00) *前述した手順どおりに進んだ。△5四歩から仕掛けると、先手の反撃が厳しいといわれていた。 *「しかし後手から動けないとなると、少し物足りないような気はしますね」(B奨励会員) 42 6四歩(63) ( 8:00/01:08:00) *8分の少考。 *△5四歩と合わせるのではなく、△6四歩と突っ掛けていった。代えて△1四歩のような手で待っていると、▲7七桂や▲8六歩で先手陣が盛り上がる。 * *※局後の感想※ *代えて△5四歩▲同歩△同金▲5五歩△同金▲同銀△5八歩▲同飛△5七歩▲同角△5五飛▲5六歩△6九銀を里見は気にしていた。形勢は難解。 43 7五角(66) ( 6:00/01:01:00) 44 5四歩打 ( 9:00/01:17:00) *9分の少考。 *先手の角が天王山のにらみから外れたところで、山根は本格的な仕掛けを敢行した。▲5四同歩△同金は、△5五歩の銀取りが防ぎにくい。 45 6四歩(65) ( 0:00/01:01:00) 46 6二飛(52) ( 6:00/01:23:00) *6筋に飛車を回って△6四金を狙う。出っぱったところを攻めるのがセオリーだ。 *「▲6五銀△5五銀に、流れとしては▲同飛ですね。以下△同歩▲5四歩△5二金引で、▲5三銀や▲4四銀(次に▲5三歩成を狙う)とします」(B奨励会員) 47 8六角(75) (14:00/01:15:00) *14分の少考。 *△6四金と出られたとき、角に当たらないように早逃げした。両者はともに腕組みをして考えている。 48 6四金(53) ( 4:00/01:27:00) *それでも初志貫徹で6四歩を取り払った。 49 5四歩(55) ( 0:00/01:15:00) *(1)△5五歩には▲5三歩成△同銀▲5五銀△同金▲5三角成といった反撃がある。(2)△5四同金ならば、里見は▲3一角成の権利を得る。 50 同 金(64) ( 0:00/01:27:00) *攻めの火種を消す。次に△5五歩の銀取りがあるため、先手もすぐに▲3一角成とはできない。 51 6六歩打 ( 0:00/01:15:00) *△6六歩を防ぎ、△5五歩には▲6五銀と出る手を用意した。以下△6五同金▲同歩△同飛▲6六歩△6二飛▲3一角成が一例だが、その展開は4四銀と3三桂が働かない。 * *※局後の感想※ *「▲6六歩と打ったところは、あまり自信なかったけど……」(里見) *里見は次の△5八歩に代えて、△5五歩を気にしていた。以下▲6五銀△同金▲同歩△5六銀▲7七金寄△4六歩▲同歩△4七歩▲5八飛で難解。 52 5八歩打 ( 3:00/01:30:00) *【iOS版をご利用の皆さまにお詫び】 *10時の対局開始から14時頃まで、「本日の対局一覧」に本局が表示されない不具合が発生しておりました。このたびはご不便をお掛かけしまして、誠に申し訳ございませんでした。 53 4九飛(59) ( 8:00/01:23:00) *14時頃、53手目▲4九飛までの消費時間は▲里見1時間23分、△山根1時間30分。 * *「▲3一角成が残っているので後手が忙しいです。(1)△6四歩とは悔しくて打てません。(2)△6四金でどうか」(C奨励会員) *「先手持ちです。その理由は説明が難しいのですが、やはり▲3一角成があるのと、あとは先手陣は金銀がまとまっているからでしょうか」(D奨励会三段) 54 2五桂(33) (21:00/01:51:00) *21分の考慮。 * *※局後の感想※ *代えて△6四歩には「▲7七桂と跳ねられると思って」と山根。以下△5五銀とぶつける手には、9筋の端攻めを主張にして戦うことができるため、「(△5五銀は)やりにくいか……」と里見。 55 3一角成(86) ( 7:00/01:30:00) *「いろいろと手が選べる局面ですね。(1)△5五銀には、(A)▲5五同銀△同金▲5三馬や(B)▲2一馬です。(2)△3三角には▲2一馬△5五金が一例です。以下▲4三馬△6六金▲同金△同飛▲5五銀(△同銀は▲3三馬がある)は先手よしですね」(D奨励会三段) 56 6五歩打 ( 7:00/01:58:00) 57 同 歩(66) ( 2:00/01:32:00) *△3三角と引いたとき、△6五歩▲同歩の効果で先手玉のコビンが開いている。 *「ただそこで▲7七桂でも、後手が攻め続けるのは大変だと思います」(D奨励会三段) 58 5五銀(44) ( 1:00/01:59:00) *「▲2一馬が厳しいですね。一例は△3三角▲5四馬△5六銀▲7七金寄で、△6五銀には▲6三歩があります」(D奨励会三段) * *【先手ペースの中盤戦】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryu_ouza/2016/07/post-738e.html 59 2一馬(31) ( 9:00/01:41:00) *15時頃、1手目▲2一馬までの消費時間は▲里見1時間41分、△山根1時間59分。 * *9分の少考。 *里見は脇息を自身の近くまで寄せており、いまは両手をヒザの上に置いている。着手の直前までは扇子をパチパチと鳴らしていた。対する山根は前傾姿勢に。 60 3三角(24) (12:00/02:11:00) *12分の少考。 *先手玉のコビンを狙う。しかし前述のとおり、▲5四馬△5六銀▲7七金寄△6五銀▲6三歩は先手よし。以下△同飛▲同馬△同銀▲3二飛に、後手は△4二銀打と辛抱せねばならない。そのため後手は、手順のどこかで変化する必要がある。 * *※局後の感想※ *代えて△5六銀▲同金△5五銀▲5四馬△5六銀▲6四歩に、△5七金も考えられる変化だった。(1)▲7七銀打には△3七桂不成▲同桂△6六歩で後手の攻めに迫力がある。ただし(2)▲7九銀と引いて攻めを余せるため、先手よしという結論だ。 61 7七銀(68) ( 6:00/01:47:00) *「相当、先手がよさそうです」(B奨励会員) *「確かに相当といっても不思議ではない局面ですね。△5六銀▲同金△5五金▲同金△同角が一例ですが、▲5三金△1二飛▲5四馬で5五角を追って、後手は歩切れなので▲6四歩〜▲6三歩成が受けにくいです」(D奨励会三段) 62 5六銀(55) ( 6:00/02:17:00) 63 同 金(67) ( 0:00/01:47:00) 64 5五銀打 ( 0:00/02:17:00) *代えて△5五金で振り飛車らしく駒をさばくのは、前述の進行で先手よし。山根は△5五銀と重量感のある一着で攻めをつなごうとしている。着手後、すぐに席を外した。里見は前傾姿勢で、身体を前後に揺らしている。 * *※局後の感想※ *代えて△3七桂不成▲同桂△5五金▲同金△同角(3七桂に当てる)は、▲4五桂と活用することができるため先手よし。 65 5七金(56) ( 0:00/01:47:00) *里見はノータイムで、スッと金を引き揚げた。△6五金には▲6三歩△同飛▲5四銀が厳しい。しかし5四金をリスクなく助ける手は見当たらないと棋士室ではいわれている。 *「いなしましたね」(D奨励会三段) * *山根は前傾姿勢になって考えることが多くなっている。15時25分、背筋を伸ばして左手を頭の上に置く仕草を見せた。しばらくして里見が離席。 * *※局後の感想※ *感想戦で▲5七金まで並べると、先手よしのニュアンスで両者は首をかしげた。以降の局面は調べられず、中盤戦の検討に戻った。 66 2四角(33) (16:00/02:33:00) *山根は残り時間の半分弱である16分を投入して、△2四角と出た。(1)▲5四馬△5七角成▲5五馬で先手の銀得になる。ただし満足な条件で5四金を助ける手段が後手にはない、と里見が判断すれば(2)▲5八金も十分に考えられる。 67 5八金(57) ( 1:00/01:48:00) 68 5二飛(62) ( 3:00/02:36:00) *▲4三銀には△5一飛が2一馬に当たる。このとき66手目△2四角の効果で、▲3二馬が角当たりの先手にならない。 69 4三馬(21) ( 6:00/01:54:00) *6分の少考。 *里見は後手の攻め駒にじわりと迫る。 70 5三飛(52) ( 1:00/02:37:00) 71 同 馬(43) ( 0:00/01:54:00) 72 同 金(54) ( 0:00/02:37:00) *互いに決断よく、大駒の交換で局面は収まった。 73 2一飛打 ( 0:00/01:54:00) *「後手に指す手がない、という主張だと思います。次に(1)▲2三飛成や、(2)▲1一飛成が厳しいです」(C奨励会員) *後手は歩切れであるため、先手にとって1一香は大きな戦力になりうる。 74 5六銀(55) ( 3:00/02:40:00) 75 1一飛成(21) ( 1:00/01:55:00) *「里見先生は攻めて勝つという棋風ではなく、相手の攻めをいなしてからバンッと決めるイメージがあります。後手はやはり手が難しい局面で、先手は(1)▲6四香もありますが、(2)▲1二竜として角のラインに入らないような手を指すかもしれません」(C奨励会員) 76 4四角打 ( 4:00/02:44:00) 77 4一龍(11) ( 0:00/01:55:00) 78 6五銀(56) ( 0:00/02:44:00) *▲6四香の攻めを消しながら、歩切れを解消した。 *「とりあえずは▲6九飛でしょうね」(C奨励会員) 79 6九飛(49) ( 0:00/01:55:00) *△6四歩の辛抱には▲5七香がある。 80 6八歩打 ( 2:00/02:46:00) *手番を握りながら▲6五飛を防ぐ。△7六銀で食いつくことができるかどうか。 81 同 飛(69) ( 0:00/01:55:00) *しかし里見は強く▲6八同飛。△同角成▲同金右で先手陣は堅い。 82 同 角成(24) ( 1:00/02:47:00) 83 同 金(58) ( 0:00/01:55:00) *16時頃、83手目▲6八同金右までの残り時間は▲里見1時間5分、△山根13分。 * *▲6二銀△同金▲7一角の素早い寄せが生じている。里見は、中盤戦のような前傾姿勢にはならず、腕組みをして盤面に集中している。 84 7六銀(65) ( 4:00/02:51:00) 85 6二銀打 ( 0:00/01:55:00) 86 5一歩打 ( 0:00/02:51:00) 87 6一銀成(62) ( 0:00/01:55:00) 88 同 銀(72) ( 0:00/02:51:00) 89 5一龍(41) ( 0:00/01:55:00) *バタバタと手が進んだ。里見は後手を歩切れに追い込みながら、玉に迫る。 90 7二銀打 ( 0:00/02:51:00) *(1)▲6二歩が自然な攻めだが、以下△5二金▲6一歩成△5一金で、4四角が▲7一角を防いでいるため、後手玉を一気に寄せるには至らない。 *「(2)▲5九香もあると思います。△6三金▲6四歩△同金▲5三角が一例で、4四角さえ何とかすれば先手の攻めが速いです」(A奨励会三段) 91 6六香打 ( 2:00/01:57:00) *攻防に利いた香打ち。△5二金には(1)▲4一竜という姿勢だろうか。 *「(2)▲5二同竜△同銀▲6二金だと、△7一銀で粘られてしまいそうです。攻める展開にするなら、代えて▲6二歩でした。▲6六香は受け棋風の手ですね」(A奨励会三段) 92 7七銀(76) ( 1:00/02:52:00) 93 同 金(68) ( 0:00/01:57:00) 94 5二金(53) ( 2:00/02:54:00) 95 4一龍(51) ( 1:00/01:58:00) *91手目▲6六香を最大限に生かす。この香がなければ△7七角成と切られて、先手陣が大幅に弱体化する。 96 6六角(44) ( 0:00/02:54:00) 97 同 金(77) ( 0:00/01:58:00) *「後手の攻めの面倒を見て、最後に▲4四角と打つつもりでしょう」(A奨励会三段) 98 6九飛打 ( 0:00/02:54:00) 99 4四角打 ( 1:00/01:59:00) 100 5三銀打 ( 0:00/02:54:00) 101 2二角成(44) ( 0:00/01:59:00) *▲4四角〜▲2二角成は棋士室でも示されていた手順で、「馬が絶品ということですね」とA奨励会三段。 102 6二香打 ( 1:00/02:55:00) 103 6五歩打 ( 0:00/01:59:00) 104 2九飛成(69) ( 0:00/02:55:00) *「▲9五歩が本筋ですね。以下△同歩▲9二歩△同香▲9三歩△同香▲9二歩△同玉▲7一銀△8二桂▲5五馬が、流れるような寄せになります。6一銀型の急所を突いています」(A奨励会三段) *手順最後の▲5五馬は、▲8二銀成△同玉▲7四桂△7一玉▲8二金の詰めろ。 105 9五歩(96) ( 1:00/02:00:00) 106 同 歩(94) ( 0:00/02:55:00) 107 9二歩打 ( 0:00/02:00:00) 108 同 香(91) ( 0:00/02:55:00) 109 9三歩打 ( 0:00/02:00:00) 110 同 香(92) ( 0:00/02:55:00) 111 9二歩打 ( 0:00/02:00:00) *着手が早い。「読みきっているのでしょうね」とA奨励会三段。▲9一銀△9二玉▲8二金の詰めろだ。 112 同 玉(82) ( 0:00/02:55:00) 113 7一角打 ( 0:00/02:00:00) *ここで1分考えてから山根が投了した。終局時刻は16時35分。消費時間は▲里見2時間0分、△山根2時間56分。勝った里見は2回戦で、山口恵梨子女流二段−貞升南女流初段戦の勝者と対戦する。 *詰めろを防ぐには△8二桂しかないが、▲5五馬が詰めろで味がよい。△6四歩には▲5四歩で、先手は着実な攻めを続けることができる。対する後手は攻めがない。 * *【里見香女流四冠勝利】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryu_ouza/2016/07/post-3bd1.html * *【感想戦】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryu_ouza/2016/07/post-c1a2.html * *※局後の感想※ *感想戦は17時25分まで行われた。65手目▲5七金の局面で形勢に大きな差がついたということで、そこに至るまでの中盤戦が主に調べられた。 114 投了 ( 1:00/02:56:00) まで113手で先手の勝ち