# --- Kifu for Windows (Pro) V6.60.8 棋譜ファイル --- 対局ID:3080 記録ID:53eb22077bb45302005327a5 開始日時:2014/08/15 10:00 終了日時:2014/08/15 13:30 棋戦:第4期リコー杯女流王座戦本戦 持ち時間:各3時間 場所:東京・将棋会館 図:投了 手合割:平手   先手:西山朋佳 後手:伊藤沙恵 手数----指手---------消費時間-- *2014年8月15日(金)は第4期リコー杯女流王座戦の本戦準決勝、西山朋佳奨励会初段−伊藤沙恵奨励会1級戦を中継する。 *対局場は東京・将棋会館の「銀沙」。対局開始は10時。持ち時間は各3時間。記録係は佐々木大地三段(19歳、深浦康市九段門下)。振り駒は伊藤の振り歩先で行われた。結果はと金が3枚。西山の先手と決まった。 *(棋譜・コメント入力=牛蒡) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手] 1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *リコー杯女流王座戦は株式会社リコー主催。特別協力は日本経済新聞社。アマ東日本・西日本予選、一次予選、二次予選、本戦、五番勝負で構成される。タイトルホルダーは里見香奈女流王座。 2 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) *西山も伊藤も奨励会員であり、女流棋戦では本棋戦とマイナビ女子オープンのみ出場資格がある。どちらもアマチュア女性選手に門戸を開いているオープン棋戦である。 3 7五歩(76) ( 0:00/00:00:00) *両者は初手合い。奨励会の例会でも対戦したことはない。これは西山が昨年まで関西奨励会所属だったことが影響している。現在はともに関東奨励会所属。 4 5四歩(53) ( 0:00/00:00:00) *西山は9時40分に入室。下座で伊藤を待っていた。段位は西山が上だが、年長者である伊藤に上座を譲るつもりのようだ。伊藤は9時53分に入室。西山の姿を見て「上座へどうぞ」とうながしたが西山は動かない。結局は伊藤が上座に着いた。 * *【朝の様子】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryu_ouza/2014/08/post-b35b-1.html *【対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryu_ouza/2014/08/post-79fc.html 5 6六歩(67) ( 1:00/00:01:00) 6 4二銀(31) ( 0:00/00:00:00) *◆伊藤 沙恵(いとう さえ)奨励会1級◆ *1993年10月6日生まれ。東京都出身。屋敷伸之九段門下。2004年、6級で奨励会入会。2013年、奨励会1級へ昇級(再昇級)。 7 7八飛(28) ( 0:00/00:01:00) *◆西山 朋佳(にしやま ともか)奨励会初段◆ *1995年6月27日生まれ、大阪府出身。伊藤博文六段門下。2010年、6級で奨励会入会。2014年、初段。 8 5三銀(42) ( 0:00/00:00:00) *【伊藤の女流棋戦成績】 *通算成績は17勝7敗(0.708) *昨年度成績は8勝2敗(0.800) *本年度成績は2勝0敗(1.000) 9 6八銀(79) ( 0:00/00:01:00) *【西山の女流棋戦成績】 *通算成績は12勝6敗(0.667) *昨年度成績は0勝2敗(0.000) *本年度成績は5勝1敗(0.833) 10 2四歩(23) ( 0:00/00:00:00) *伊藤の本棋戦成績は10勝3敗(0.769)。初参加は第1期。4期連続本戦出場中。過去最高成績は第1期と第3期のベスト4。今期は本戦から出場して鈴木環那女流二段と中井広恵女流六段を破った。本局に勝てば過去最高成績を更新することになる。 11 4八玉(59) ( 0:00/00:01:00) *西山の本棋戦成績は8勝2敗(0.800)。初参加は第2期。本戦出場は第2期に続いて2回目。今期は一次予選から出場。本戦では本田小百合女流三段と清水市代女流六段を破った。第2期はベスト8で敗退しているので、今期が過去最高成績となる。 12 2五歩(24) ( 0:00/00:00:00) 13 6七銀(68) ( 0:00/00:01:00) *盤上は相振り飛車模様。後手が2筋の歩を突き越しているので、先手三間飛車、後手向かい飛車の戦いになりそうだ。 14 3三角(22) ( 0:00/00:00:00) *伊藤は前期の本戦準決勝で里見香奈女流王座(当時は女流二冠)を相手に相振り飛車を指している。その将棋に敗れて伊藤は決勝進出を逃した。因縁の戦型である。 * *【第3期本戦トーナメント▲里見−△伊藤】 *http://live.shogi.or.jp/joryu_ouza/kifu/3/joryu_ouza201308140101.html 15 3八玉(48) ( 0:00/00:01:00) *西山は2期前の本戦1回戦で甲斐智美女流二冠(当時は無冠)を相手に相振り飛車を指している。結果は千日手。指し直し局も相振り飛車だった。 * *【第2期本戦トーナメント▲西山−△甲斐(千日手局)】 *http://live.shogi.or.jp/joryu_ouza/kifu/2/joryu_ouza201207120201.html *【第2期本戦トーナメント▲甲斐−△西山(指し直し局)】 *http://live.shogi.or.jp/joryu_ouza/kifu/2/joryu_ouza201207120202.html 16 2二飛(82) ( 0:00/00:00:00) *互いに飛車先の歩交換が確定している形だ。 17 7四歩(75) ( 0:00/00:01:00) *まずは西山から動いた。 18 同 歩(73) ( 0:00/00:00:00) *本局は記録係がタブレットと棋譜用紙で記録をとっている。以前は2人体制で行っていたが、今回は佐々木三段が1人で作業している。今後はこのスタイルが普通になるかもしれない。 19 同 飛(78) ( 0:00/00:01:00) 20 7二金(61) ( 0:00/00:00:00) 21 9六歩(97) ( 0:00/00:01:00) *先手は石田流に組むだろうか。後手の左銀が5三にいるので、▲9七角や▲7七桂から▲6五桂が銀取りになる。 22 6一玉(51) ( 0:00/00:00:00) *一方、後手は先手が石田流気配なら駒を盛り上げていきたい。相振り飛車では金銀で飛車を責める展開も多い。 23 7六飛(74) ( 1:00/00:02:00) *▲9七角から▲7七桂と組めば石田流本組みの形。飛角桂の配置がよく、攻撃力のある陣形といわれる。ただし▲7七桂と跳ねると飛車が狭くなるというデメリットもある。 24 6二銀(71) ( 0:00/00:00:00) 25 9五歩(96) ( 1:00/00:03:00) 26 7三銀(62) ( 0:00/00:00:00) *ここまで伊藤はノータイムで指している。西山は3分ほど使った。 27 7七桂(89) ( 4:00/00:07:00) *▲6五桂の両銀取りを見せた。△6四歩は▲9七角でもう一度▲6五桂(△同歩は▲5三角成)の対応が必要になる。 * *【相振り飛車へ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryu_ouza/2014/08/post-8578.html 28 8四銀(73) ( 1:00/00:01:00) *▲6五桂を避けながら先手の飛車に圧力をかけた。△7五歩が入れば石田流の好形を崩すことができる。 * *【残暑】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryu_ouza/2014/08/post-6bcf.html * *※局後の感想※ *「△8四銀はちょっとおかしいかなと思っていました」と伊藤。△6四歩▲6五歩△同歩▲3六飛△2四飛▲7八金△6四銀右だったか。以下▲6五桂には△4四銀から△3五銀を狙う。 29 6五歩(66) ( 0:00/00:07:00) *飛車の横利きを確保。△7五歩には▲3六飛が歩取りの先手になる。ただし▲6五桂は消えた。先手は8八角や7七桂の使い方が難しい。すぐに▲9七角は△7五歩が厳しい。 30 5二金(41) ( 2:00/00:03:00) *後手陣はカニ囲いのような形になった。 * *※局後の感想※ *△4四銀▲2八銀△4二角なら後手有望だった。この角は7〜8筋に利いている。ちなみに△4四銀は32手目にも指すチャンスはあった。 31 7四歩打 ( 7:00/00:14:00) *いやみな垂れ歩。▲8六歩から▲8五歩で銀ばさみだ。▲8五歩に△同銀▲同桂△8八角成は▲7三歩成が速い。後手は対応が必要だ。 32 6四歩(63) (14:00/00:17:00) *14分の考慮。▲8六歩には△6三金左だろうか。以下▲8五歩△同銀▲同桂△8八角成で7三の地点に金金桂の3枚が利いている。後手は金銀がバラバラになるが、伊藤好みの乱戦ともいえる。 33 同 歩(65) ( 1:00/00:15:00) 34 同 銀(53) ( 0:00/00:17:00) *7五の地点にどちらかの銀を出れば、△6六歩で拠点をつくることができる。 35 3六飛(76) ( 0:00/00:15:00) *無条件で▲3四飛が実現すれば大きい。 36 2四飛(22) ( 3:00/00:20:00) *飛車浮きで歩を守った。先手は▲5六銀から▲4五銀を狙いたくなるが、▲5六銀の瞬間に△7六歩で桂を取られてしまう。 37 5六歩(57) ( 3:00/00:18:00) *この歩を突くことで▲7九角が飛車に当たる。本局は序盤戦が短く、早々に激しい中盤戦に移行している。 38 7五銀(84) (13:00/00:33:00) *11時7分の着手。△7五銀右までの消費時間は、▲西山18分、△伊藤33分。 39 5五歩(56) ( 8:00/00:26:00) *次に△7六歩があったので飛車の横利きを通した。△5五同角以外なら3三角の利きも止まる。また、5筋の歩が切れれば▲5三歩も生じる。一例として△5五同歩▲7九角△2二飛▲3四飛△7六歩は大決戦だ。 * *※局後の感想※ *(1)△5五同角は▲5六銀を伊藤は気にした。この順は後手自信なし。(2)△6三金右はあったかもしれない。「本局は悪い順ばかり選んでいたような気がします」と伊藤。 40 同 歩(54) (13:00/00:46:00) *13分の考慮。 41 7九角(88) ( 1:00/00:27:00) 42 3五歩(34) ( 0:00/00:46:00) 43 同 飛(36) ( 0:00/00:27:00) 44 5四飛(24) ( 0:00/00:46:00) *▲5五歩を△同歩と取ったのは△5四飛が狙いだった。次は△5六歩が△5七歩成と△7七角成の両狙いになる。▲2五飛△2四歩▲2六飛もやはり△5六歩が受けにくい。西山は両手を膝の横に置き、前傾姿勢で考えている。 45 8五桂(77) ( 7:00/00:34:00) *負担になっていた桂をさばいた。桂を手持ちにすれば▲5三歩(後手が取れば▲4五桂)が厳しくなる。 * *※局後の感想※ *△5六歩は▲5五歩△同銀▲7三歩成△同桂▲同桂成△同金▲4五桂で先手よし。 46 3六歩打 ( 8:00/00:54:00) *あやしげな歩が飛んできた。▲3六同飛になにがあるのか。 47 同 飛(35) ( 0:00/00:34:00) 48 3四歩打 ( 0:00/00:54:00) *伊藤は歩損をしてでも△3四歩が必要と判断した。△3六歩▲同飛を入れずに△3四歩は▲2五飛(△2四歩は▲同角)があった。 49 9七角(79) ( 2:00/00:36:00) *持ち歩が増えて手番も得た先手は積極的に動いていく。次の狙いは▲6五歩。△4二角と受けても▲6六銀や▲7六銀で先手の勢いは止まらない。後手は受けの妙手が必要だが「ちょっと収拾がつかないのではないか」という意見が出ている。 *12時10分、ここで伊藤が17分考えて昼食休憩に入った。消費時間は▲西山36分、△伊藤1時間11分(持ち時間、各3時間)。対局は13時に再開する。 * *【昼食休憩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryu_ouza/2014/08/post-ff2d.html * *※局後の感想※ *「▲9七角でやりようがありませんでした」と伊藤。 50 5六歩(55) (18:00/01:12:00) *対局再開。昼食休憩後の指し手。△5六歩は攻め合いを目指した手。しかし▲6五歩がそれを上回る厳しい攻めだ。6筋は後手玉の玉頭である。 * *【対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryu_ouza/2014/08/post-bead.html 51 6五歩打 ( 0:00/00:36:00) *西山はすぐに歩を打った。 52 5七歩成(56) ( 2:00/01:14:00) 53 6四歩(65) ( 0:00/00:36:00) *銀を取った手がさらに7五銀取り。△6四同銀は▲6六銀で先手の銀が復活する。 * *※局後の感想※ *△7七角成には▲7八金と受けて先手よし。 54 同 飛(54) ( 0:00/01:14:00) *▲7五角には△6七飛成から△4七とで勝負できる。 55 6六銀打 ( 0:00/00:36:00) *▲6六銀打も早かった。勝又清和六段と遠山雄亮五段が中継室を訪れている。「▲6六銀打をノータイムで指せるのはすごい。いいものを見ました」と感心している。好手との評判だ。この銀打ちは受けだけでなく攻めを見ている。△6七とや△7四飛には▲7五銀が厳しい。△6六同角から清算するのも▲5三歩が痛い。 56 6七と(57) (10:00/01:24:00) *後手の選択肢は少ない。銀を取って開き直った。 57 7五銀(66) ( 0:00/00:36:00) *この瞬間、後手は飛車を成り込めない。 58 6五飛(64) ( 0:00/01:24:00) *飛車を逃がして辛抱。 59 5三歩打 ( 0:00/00:36:00) *▲7三歩成も有力だが、西山は迷うことなく▲5三歩を着手。△5三同金は先手の角筋に入るので、▲7三歩成△同桂▲同桂成△同金▲7四銀といった手順で崩壊する。 60 6二金(52) ( 3:00/01:27:00) 61 5四銀打 ( 0:00/00:36:00) *▲5四銀の着手も早い。そして評判のいい手だ。後手が飛車を逃がせば▲6三歩がある。中継室では西山の早見えと切れ味が話題になっている。荒削りながらも五段時代の鈴木大介八段をほうふつさせるという。現在の若手にたとえるなら阿部光瑠四段か。 62 5五飛(65) ( 0:00/01:27:00) *駒を渡さずに対応するなら△5五飛しかない。 63 6三歩打 ( 0:00/00:36:00) *▲3四飛や▲4三銀成もあったが、この歩が最速の攻めだ。 64 5四飛(55) ( 2:00/01:29:00) 65 6二歩成(63) ( 0:00/00:36:00) 66 同 金(72) ( 0:00/01:29:00) 67 6四銀(75) ( 0:00/00:36:00) *着実に後手玉に迫っていく。次は▲7三歩成がある。 68 5一玉(61) ( 4:00/01:33:00) *7筋から遠ざかったが▲3四飛が厳しい。△同飛は▲5二金以下の詰みがある。 69 3四飛(36) ( 0:00/00:36:00) *△3四同飛は▲5二金△同金▲同歩成△同玉▲5三銀成△4一玉▲4二金△同角▲同成銀で詰み。△5七飛成は▲7三歩成で先手の攻めが速い。 *この局面で伊藤が投了した。終局時刻は13時30分。消費時間は、▲西山36分、△伊藤1時間33分(持ち時間、各3時間)。 * *【感想戦の様子】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryu_ouza/2014/08/post-88ef.html *【挑戦者決定戦は9月1日(月)対局】 *http://kifulog.shogi.or.jp/joryu_ouza/2014/08/post-30e1.html * *※局後の感想※ *感想戦は14時30分ごろに終了した。伊藤は28手目△8四銀を「ずっと後悔していた」という。それでも△4四銀から△4二角とすれば後手有望だったが、その順を逃したことで先手にリードを許した。 * *※後日追記※ *里見香奈女流王座の休場延長により、9月1日(月)に予定されておりました加藤桃子女王と西山朋佳奨励会初段による挑戦者決定戦は、行われないことになりました。これにより、第4期女流王座戦五番勝負の代わりに加藤女王と西山奨励会初段による決勝五番勝負を行い、女流王座のタイトルを争うことになりました。 70 投了 ( 0:00/01:33:00) まで69手で先手の勝ち