# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.09 棋譜ファイル --- 対局ID:7566 記録ID:5af6d14e14b9590004538b6f 開始日時:2018/05/12 21:00 終了日時:2018/05/12 23:14 表題:叡王戦 棋戦:第3期叡王戦決勝七番勝負 第3局 戦型:その他の戦型 持ち時間:各3時間 消費時間:81▲165△180 場所:宮城・瑞巌寺 備考:千日手指し直し局\n前局消費時間\n金井恒太六段:180分→120分\n高見泰地六段:161分→101分\n 振り駒:なし 計時方式:チェスクロック 秒読み:60秒 先手消費時間加算:101 後手消費時間加算:120 手合割:平手   先手:高見泰地六段 後手:金井恒太六段 先手省略名:高見 後手省略名:金井 手数----指手---------消費時間-- *金井恒太六段と高見泰地六段による第3期叡王戦決勝七番勝負第3局は千日手が成立した。指し直し局は先後を入れ替えて21時開始。持ち時間は千日手局の残り時間から双方に1時間を足し、▲高見1時間19分、△金井1時間で行われる(チェスクロック使用)。使いきると1手60秒の秒読み。 *立会人は谷川浩司九段、記録係は岡井良樹三段(大野八一雄七段門下)。ニコニコ生放送の解説は木村一基九段、聞き手は里見香奈女流五冠、香川愛生女流三段。現地大盤解説会は広瀬章人八段、三枚堂達也六段が担当する。日本将棋連盟常務理事として森下卓九段が現地を訪れている。 * *※局後の感想※ *41手目、47手目、59手目、81手目に記載。 * *(棋譜・コメント入力=文) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手] 1 7六歩(77) (101:10/01:41:10) *◆高見 泰地(たかみ たいち)六段◆ *1993年7月12日生まれ、神奈川県横浜市出身。石田和雄九段門下。2011年、四段。2018年、六段。棋士番号は284。 *タイトル戦登場は1回。 2 8四歩(83) (120:11/02:00:11) *◆金井 恒太(かない こうた)六段◆ *1986年5月25日生まれ、埼玉県上尾市出身。飯野健二七段門下。2007年、四段。2016年、六段。棋士番号は265。 *タイトル戦登場は1回。 3 6八銀(79) ( 0:07/01:41:17) *第2局と同じ矢倉志向。本局も似た展開になるのだろうか。 * *【第3期叡王戦決勝七番勝負第2局 ▲高見泰地六段−△金井恒太六段】 *http://live.shogi.or.jp/eiou/kifu/3/eiou201804280101.html 4 3四歩(33) ( 0:11/02:00:22) *叡王戦はドワンゴが主催する棋戦。今期の第3期からタイトル戦に昇格した。予選は段位別、本戦は16名によるトーナメント戦、決勝は七段勝負で争われる。 * *【株式会社ドワンゴ】 *http://dwango.co.jp/ * *【第3期 叡王戦】 *http://www.eiou.jp/ 5 7七銀(68) ( 0:06/01:41:23) *叡王戦決勝七番勝負には生茶、マカフィー、タカラレーベン、デンソーが協賛している。 * *【生茶|ソフトドリンク|キリン】 *http://www.kirin.co.jp/products/softdrink/namacya/ * *【サイバー セキュリティ対策|マカフィー】 *https://www.mcafee.com/jp/index.html * *【株式会社タカラレーベン 新築分譲マンション・新築一戸建て・物件情報】 *http://www.leben.co.jp * *【DENSO - 株式会社デンソー/Crafting the Core/】 *https://www.denso.com/jp/ja/ 6 6二銀(71) ( 0:15/02:00:37) *本局の観戦記は大川慎太郎さんが担当する。叡王戦公式サイトでは、鈴木大四郎さんによる第2局の観戦エッセイを順次公開している。 * *【第2譜『覚悟』 金井恒太六段―高見泰地六段:第3期叡王戦 決勝七番勝負 第2局 観戦エッセイ】 *http://originalnews.nico/98143 7 2六歩(27) ( 0:08/01:41:31) 8 7四歩(73) ( 0:41/02:01:18) *飛車先を受けずに銀の活用を優先。第2局と同じ作戦だ。 9 2五歩(26) ( 0:08/01:41:39) *高見の今年度成績は7勝2敗(0.778)。 *対局数、勝数はランキング1位。現在5連勝中。 *通算成績は163勝100敗(0.620)。 10 3二金(41) ( 0:06/02:01:24) *金井の今年度成績は1勝2敗(0.333)。 *通算成績は209勝167敗(0.556)。 11 2四歩(25) ( 0:10/01:41:49) 12 同 歩(23) ( 0:09/02:01:33) 13 同 飛(28) ( 0:06/01:41:55) *先手は飛車先交換に成功。格言に「飛車先交換三つの利あり」といわれるが、最近はその価値観が揺らいでいる。本局の後手のように、飛車先交換を防ぐよりも駒の活用を優先する指し方が増えている。 14 8五歩(84) ( 0:15/02:01:48) 15 7八金(69) ( 0:15/01:42:10) 16 7三銀(62) ( 0:10/02:01:58) 17 3八銀(39) ( 0:27/01:42:37) 18 4一玉(51) ( 0:28/02:02:26) *対局開始から5分。高見が手を止めた。ここまでは第2局と同じ進行をたどっている。 19 1六歩(17) ( 4:04/01:46:41) *端歩突き。第2局では▲2八飛と引いていた。桂の逃げ道を作った意味があり、次に▲3四飛と横歩を取る準備になっている。そのときに△2八歩と打たれても▲1七桂と逃げて大丈夫だ。 20 6四銀(73) ( 0:55/02:03:21) 21 1五歩(16) ( 0:22/01:47:03) *早々に端を詰めて積極的。後手は早繰り銀に出た以上△7五歩▲同歩△同銀と攻めたいところだが、先手の飛車先が素通しなので切り返しが気になるところでもある。 22 7五歩(74) (11:46/02:15:07) *最強の攻めに踏み込んだ。「これは決着をつけようという手ですね」と木村九段。 23 同 歩(76) ( 0:30/01:47:33) 24 8六歩(85) ( 0:23/02:15:30) 25 同 歩(87) ( 0:29/01:48:02) 26 7五銀(64) ( 0:07/02:15:37) *8筋を突き捨ててスピードアップしてから銀を出た。激しい流れだ。木村九段から「こうなると△4一玉と寄っている一手が非常に大きいですね」の声。後手は居玉だと、△8六銀▲同銀△同飛と攻めたときに▲2二飛成△同銀▲9五角と王手飛車をかけられてしびれた。早繰り銀で攻める際はこの王手飛車の筋に備えておくことが欠かせない。 *さて、速攻に出てきた後手に対して先手はどう切り返すか。銀に当てる▲2五飛がひとつの手筋だ。仙台で解説中の広瀬八段は「こうなると1筋の位を取った手があまり生きない気がします」と話している。 27 2五飛(24) ( 4:13/01:52:15) *飛車をひとつ引いて銀を狙う。2筋にスペースを作って▲2四歩の攻めを視野に入れつつ、角のラインで狙われにくい位置になったこともポイントだ。後手は自然に攻めるなら△8六銀▲同銀△同飛と銀をさばく順になるが、角の利きが通るので何が起こるかわからない怖さがある。「ここでのちょっとの差が決定的なリードになることも考えられますね」と木村九段。 28 8六銀(75) ( 6:05/02:21:42) 29 同 銀(77) ( 0:08/01:52:23) 30 同 飛(82) ( 0:06/02:21:48) 31 8七歩打 ( 0:06/01:52:29) 32 8二飛(86) ( 0:40/02:22:28) 33 2二角成(88) ( 1:09/01:53:38) 34 同 銀(31) ( 0:17/02:22:45) 35 4六角打 ( 0:41/01:54:19) *早繰り銀をさばくと、必然的に飛車のコビンが開くことがひとつの弱点。先手は角交換から▲4六角と据えてこの弱みを突いた。歩で受ける△7三歩は▲7四歩と合わせて手が続く。 36 6四銀打 ( 1:20/02:24:05) *銀を投入して角の利きをブロック。安定した受け方だ。駒を手放すのは悔しいようだが、先手も角を手放している。後手としてはこの角が働かない展開にできればうまい。先手はどこから手を作るか。盤上で攻めに使える駒が少ないので、持ち駒の銀の使いどころがポイントになる。角のラインを利用した▲6五銀や▲7五銀は目に映る手だが、△7二飛の切り札もあって不安なところ。 *ニコニコ生放送の木村九段は「私は後手を持って丁寧に受けてみたい」と話している。21時52分、高見はここで15分ほど使っている。控室では「ここで考えるのは不思議ですね」と谷川九段。森下九段が「角を打ってしまってますからねえ」とうなずく。 37 6八玉(59) (22:59/02:17:18) *22時1分、高見の手が動いた。手の流れから考えると、攻めるのではなく自陣を整備したのは意外な印象だ。金にヒモをつけることで攻めたときの反動を軽減する意味はあるが、貴重な手番を後手に渡す点、また玉が危険地帯に近づく点がどう出るか。木村九段は「1手使ったけど、プラスかどうか謎。後手に楽しみが出てきたように思います」と話す。 *ニコニコ生放送の検討では△4四角▲6六銀△2六歩が一例として示された。飛車の捕獲を狙う順だ。 38 4四角打 (11:04/02:35:09) *後手も急所のラインに角を据える。 39 6六銀打 ( 1:37/02:18:55) 40 2六歩打 ( 2:53/02:38:02) *金井、ゆったりとした手つきで歩を打った。これで△3三桂▲9五飛△9四歩と追って飛車を取りにいく順ができた。 41 3六歩(37) ( 0:44/02:19:39) *高見はすぐに歩を突いた。「読み筋だったんでしょうか」と森下九段。 * *※局後の感想※ *ここで△3三桂が調べられた。以下▲9五飛△9四歩▲9六飛△7五歩▲7七桂△2七歩成▲同銀△9五歩▲8六飛△同飛▲同歩△7六歩▲8五桂△8九飛は「バラバラすぎて自信がない」と高見。金井は「飛車を追いきれるかわからなかった」と話した。 42 9四歩(93) ( 5:07/02:43:09) *じっと端歩。飛車の捕獲を狙う△3三桂ではなかった。放置すれば次こそ△3三桂だが、ここで▲3五歩と突けば角の利きを止めることができる。 43 3五歩(36) ( 0:43/02:20:22) 44 同 歩(34) ( 0:08/02:43:17) 45 2六飛(25) ( 0:43/02:21:05) 46 2三歩打 ( 0:46/02:44:03) *飛車の捕獲を見せてから一転、渋い指し回しに切り替わった。次は△3三銀〜△3四銀で角を圧迫する順がある。「▲3四歩と打ってみたい」と木村九段。 47 3四歩打 ( 1:27/02:22:32) *駒の進出を阻止する一着。森下九段は「後手は壁形をどう解消するんでしょう」と心配そうな声だ。木村九段は「△2三歩と▲3四歩の交換は先手が大得しました」と解説している。 * *※局後の感想※ *「2筋、3筋の形が悪くなってしまって自信がなくなりました」と金井。感想戦ではここで△2四歩に言及された。仮に▲2四同飛なら△2三銀〜△2四歩と銀冠に組み替える順がある。ただ、直前に△2三歩と打ったところなのでやりにくい意味はある。金井は「形が悪いので、手をかけてほぐしにいったほうが将来性がありましたか」と話していた。 48 9五歩(94) ( 0:17/02:44:20) 49 3七桂(29) ( 2:01/02:24:33) 50 9六歩(95) ( 0:35/02:44:55) *9筋から猛然と攻めかかった。うまく手にできるかどうか。 51 同 歩(97) ( 0:05/02:24:38) 52 9七歩打 ( 0:04/02:44:59) 53 同 香(99) ( 1:47/02:26:25) *香をつり上げてから△9八歩が手筋の攻めになる。ただ、後手は2筋に壁が残って不安な形。先手の反撃が気になるところ。 *22時30分、仙台で行われていた大盤解説会が時間の都合で終了となった。 54 9八歩打 ( 2:58/02:47:57) *確実な攻め。次の△9九歩成は受からないので、先手は反撃に出たい。木村九段は▲7七桂△9九歩成▲4五桂△9八と▲6五桂を一例として解説している。後手の攻めに乗じて左右両桂を中央に殺到する、気分のいい反撃だ。後手は2筋が壁なので、その逆サイドから攻める順は効果抜群になる。 55 4五桂(37) ( 4:12/02:30:37) 56 9九歩成(98) ( 0:37/02:48:34) *22時40分、将棋ソフト「電王ぽんぽこ」が示す評価値は先手プラス250点ほど。谷川九段と森下九段は「意外に低いんですね」と話している。「人間はもっと(高い)点数をつけそうなんですが」とは木村九段の話。 57 6四角(46) ( 2:21/02:32:58) *突然の角切り。森下九段が「ええっ」と驚きの声を上げた。 58 同 歩(63) ( 0:07/02:48:41) 59 5六飛(26) ( 0:13/02:33:11) *飛車を回って▲5三桂不成を狙う。これも壁形の逆サイドを攻めるセオリーに沿った順ではある。 * *※局後の感想※ *ここで△4二金が調べられた。以下▲5五銀△同角▲同飛△4四銀▲7五飛△8九とでどうか。金井は「まだしもこのほうがよかったです」と話した。 60 8九と(99) ( 5:05/02:53:46) *先手が強気の攻めに出れば、後手も狙い筋を受けず強気に攻め合う。先手は▲5三桂不成と飛び込みたいが、桂を渡すと△8八と▲同金△7六桂の返し技が生じる。 61 5五銀(66) ( 2:18/02:35:29) *すぐ桂を飛び込むのではなく、銀を出て力をためた。だが、△5五同角▲同飛△4四角と切り返されると、角の利きで△8八との威力が増してくる。 62 8八と(89) ( 2:30/02:56:16) *先にと金を引く。やはり狙い筋は△5五角▲同飛△4四角だ。 63 同 金(78) ( 0:16/02:35:45) 64 5五角(44) ( 0:09/02:56:25) *ここで▲5五同飛は△4四角が急所の一打になる。よって▲5三桂不成△3一玉▲6一桂成と金を取る順が有力だ。以下△8八角成は▲4一金△同玉▲5一飛成で後手玉が詰んでしまう。 65 5三桂(45) ( 2:55/02:38:40) *評価値は先手プラス600点ほど。先手よしの数値を示している。後手はやはり壁形が響いているか。 *22時58分、金井が持ち時間を使いきって秒読みに入った。 66 3一玉(41) ( 3:35/03:00:00) 67 6一桂成(53) ( 0:07/02:38:47) *次に▲5五飛と角を取る手が詰めろで厳しい。後手は何かしら角取りを受けなければならない。 68 4四角打 ( 0:00/03:00:00) 69 6六銀打 ( 0:09/02:38:56) *動けない角を狙う。ここで△6六同角は▲4一金△同玉▲5一飛成で詰んでしまう。 70 4五銀打 ( 0:00/03:00:00) *飛車を攻めて先手の動きを催促した。しかし▲5五飛△同角▲同銀と角を2枚取られてしまうのは痛そうだ。後手も△7六桂の王手金取りはあるが、それだけでは先手玉に右辺に逃げられたときに決め手がない。 71 5五飛(56) ( 3:02/02:41:58) *23時4分の着手。秒読みに入っている金井に対し、高見はまだ18分ほど残している。 72 同 角(44) ( 0:00/03:00:00) 73 同 銀(66) ( 0:06/02:42:04) 74 7六桂打 ( 0:00/03:00:00) 75 5九玉(68) ( 0:10/02:42:14) *駒台の飛車に追撃されないよう、斜めに落ちるのが正解だ。手番が回れば、持ち駒に乏しい後手には▲5三角が厳しい攻めになる。 76 8八桂成(76) ( 0:00/03:00:00) *金を取ったが、攻め駒が先手玉と逆方向に向かうのはつらい。 77 5三角打 ( 1:19/02:43:33) 78 4二金打 ( 0:00/03:00:00) *ここで▲6三角が△5三金には▲4一金の詰みを見てうまい手に映るが、後手も△3三桂と退路を開く切り札がある。 79 6四角成(53) ( 0:17/02:43:50) 80 8四飛(82) ( 0:00/03:00:00) *馬に当てながら逃げた。先手は▲6三角と打てば▲4一金までの詰めろ。後手は△6四飛と馬を外すよりない。 81 6三角打 ( 1:55/02:45:45) *後手玉は壁形がたたっている。先手の馬と角の利きが強烈だ。秒を読まれた金井は「負けました」と頭を下げた。終局時刻は23時14分。消費時間は▲高見2時間45分、△金井3時間。これで高見はシリーズ3連勝、タイトル獲得まであと1勝と迫った。第4局は5月26日(土)、群馬県富岡市「富岡製糸場」で行われる。 * *※局後の感想※ *「星は偏っていますが、内容は接戦です。次の1勝は重いですし、簡単には手にできないと思っています」(高見) *「こういうところでこそ棋士の個性が出ると思うので、精いっぱい頑張りたいと思います」(金井) 82 投了 ( 0:00/03:00:00) まで81手で先手の勝ち