# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.09 棋譜ファイル --- 対局ID:7555 記録ID:5acf11d00468f80004b23f45 開始日時:2018/05/12 14:00 終了日時:2018/05/12 20:27 表題:叡王戦 棋戦:第3期叡王戦決勝七番勝負 第3局 戦型:横歩取り△3三角型 持ち時間:各3時間 消費時間:112▲180△161 場所:宮城・瑞巌寺 備考:夕休前71手目▲137分△101分\n 振り駒:なし 計時方式:チェスクロック 秒読み:60秒 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 夕食休憩:18:00〜18:30 夕休前消費時間:71手▲137分△101分 手合割:平手   先手:金井恒太六段 後手:高見泰地六段 先手省略名:金井 後手省略名:高見 手数----指手---------消費時間-- *金井恒太六段と高見泰地六段が叡王の座を争う第3期叡王戦決勝七番勝負は、第2局を終えて高見が2連勝とリード。金井が巻き返すか、高見が3連勝でタイトルに迫るのか。第3局は5月12日(土)、宮城県宮城郡松島町「瑞巌寺」で行われる。 *立会人は谷川浩司九段、記録係は岡井良樹三段(大野八一雄七段門下)。ニコニコ生放送の解説は木村一基九段、聞き手は里見香奈女流五冠、香川愛生女流三段。現地大盤解説会は広瀬章人八段、三枚堂達也六段が担当する。 *対局開始は14時。第3局の持ち時間は各3時間(チェスクロック使用)、使いきると1手60秒の秒読み。先手は金井。現地の棋士は戦型を横歩取りと予想している。 * *※局後の感想※ *94手目、112手目に記載。 * *(棋譜・コメント入力=文) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手] 1 7六歩(77) ( 0:20/00:00:20) *14時、谷川九段が「定刻になりました。第3期叡王戦第3局、金井六段の先手でお願いします」と告げて対局が始まった。両対局者が一礼し、金井は居住まいを正してから盤上に手を伸ばした。 2 3四歩(33) ( 0:43/00:00:43) *高見はひと呼吸置いてから手を伸ばす。開始前はおしぼりで右手を強く拭く仕草が見られた。時折はあと息を吐いて、緊張しているようにも見えたが、実際はどうだろう。 3 2六歩(27) ( 1:39/00:01:59) *◆金井 恒太(かない こうた)六段◆ *1986年5月25日生まれ、埼玉県上尾市出身。飯野健二七段門下。2007年、四段。2016年、六段。棋士番号は265。 *タイトル戦登場は1回。 4 8四歩(83) ( 0:36/00:01:19) *◆高見 泰地(たかみ たいち)六段◆ *1993年7月12日生まれ、神奈川県横浜市出身。石田和雄九段門下。2011年、四段。2018年、六段。棋士番号は284。 *タイトル戦登場は1回。 5 2五歩(26) ( 0:22/00:02:21) *叡王戦はドワンゴが主催する棋戦。今期の第3期からタイトル戦に昇格した。予選は段位別、本戦は16名によるトーナメント戦、決勝は七段勝負で争われる。 * *【株式会社ドワンゴ】 *http://dwango.co.jp/ * *【第3期 叡王戦】 *http://www.eiou.jp/ 6 8五歩(84) ( 0:22/00:01:41) *叡王戦決勝七番勝負には生茶、マカフィー、タカラレーベン、デンソーが協賛している。 * *【生茶|ソフトドリンク|キリン】 *http://www.kirin.co.jp/products/softdrink/namacya/ * *【サイバー セキュリティ対策|マカフィー】 *https://www.mcafee.com/jp/index.html * *【株式会社タカラレーベン 新築分譲マンション・新築一戸建て・物件情報】 *http://www.leben.co.jp * *【DENSO - 株式会社デンソー/Crafting the Core/】 *https://www.denso.com/jp/ja/ 7 7八金(69) ( 0:23/00:02:44) *本局の観戦記は大川慎太郎さんが担当する。叡王戦公式サイトでは、鈴木大四郎さんによる第2局の観戦エッセイを順次公開している。 * *【第2譜『覚悟』 金井恒太六段―高見泰地六段:第3期叡王戦 決勝七番勝負 第2局 観戦エッセイ】 *http://originalnews.nico/98143 8 3二金(41) ( 0:13/00:01:54) *横歩取り模様の立ち上がり。事前の予想が的中しそうだ。 9 2四歩(25) ( 0:17/00:03:01) *金井の今年度成績は1勝2敗(0.333)。 *通算成績は209勝167敗(0.556)。 10 同 歩(23) ( 0:16/00:02:10) *高見の今年度成績は7勝2敗(0.778)。 *対局数、勝数はランキング1位。現在5連勝中。 *通算成績は163勝100敗(0.620)。 11 同 飛(28) ( 0:12/00:03:13) *対局場の瑞巌寺は天長5年(828年)、円仁が創建したことに由来する東北地方随一の禅寺。慶長9年(1604年)に伊達政宗が伽藍の再建を目指し、4年の歳月をかけて完成。伊達家の菩提寺となった。華麗な襖絵のある本堂、庫裏および廊下が国宝に指定されているほか、重要文化財も数多く擁する。 *今年は2008年から始まった平成の大修理が終わり、6月24日に落慶法要が予定されている。 * *【国宝 瑞巌寺】 *http://www.zuiganji.or.jp/ 12 8六歩(85) ( 0:11/00:02:21) *松島町は宮城県の沿岸部、仙台市の北に位置する町。日本三景のひとつ、松島の観光拠点として知られる。国の特別名勝に指定されている松島は、松島丘陵が沈降してできた溺れ谷で、点在する島々が独自の景観を作り出している。月の名所であり、松尾芭蕉は『奥の細道』冒頭で「松島の月先(まづ)心にかかりて」と記した。芭蕉は松島の景色の美しさに、句作を断念したという逸話も残っている。 13 同 歩(87) ( 0:17/00:03:30) *松島では昭和末期から平成初期にかけて「松島センチュリーホテル」でタイトル戦が行われている(下記の肩書は当時)。本局の立会人である谷川九段は2度、名人戦で松島を訪れているが、中原誠十六世名人に敗れた。前夜祭では1985年の対局に触れて「逆転負け。苦い思い出の場所」と振り返っていた。 * *・1985年 第43期名人戦第1局 * 谷川浩司名人●−○中原誠二冠 *・1987年 第45期名人戦第1局 * 米長邦雄九段○−●中原誠名人 *・1988年 第1期竜王戦第2局 * 米長邦雄九段●−○島朗六段 *・1990年 第48期名人戦第3局 * 中原誠二冠○−●谷川浩司名人 *・1992年 第50期名人戦第1局 * 中原誠名人●−○高橋道雄九段 14 同 飛(82) ( 0:13/00:02:34) *本局の開始前の様子を振り返る。対局室には高見、金井の順で入室。2人が駒を並べ終えると、谷川九段が「6分前です」と開始までの時間を伝えた。続けて「持ち時間は3時間、夕食休憩は18時から18時30分までです」と確認。谷川九段の気配りが感じられた。 * *【対局開始前の様子】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/05/post-1bd0.html 15 3四飛(24) ( 0:28/00:03:58) *14時7分、金井が着手。戦型は第1局と同じく横歩取りになった。 16 3三角(22) ( 0:28/00:03:02) *先手は作戦の岐路。代表的なものには飛車を立て直すオーソドックスな▲3六飛、飛車を引かずに戦う積極的な▲5八玉、▲6八玉がある。第1局は▲5八玉だった。 17 3六飛(34) ( 0:28/00:04:26) *金井は飛車を引いた。歩得を主張する方針で、後手が先攻する展開になりやすい。これで第1局とは異なる戦いになった。 18 8四飛(86) ( 1:09/00:04:11) 19 2六飛(36) ( 0:20/00:04:46) *対局前日、両対局者は新幹線で仙台駅に移動。そこから車に乗り換えて瑞巌寺を目指した。検分は問題なく数分で終了。駒は日本将棋連盟から持ち込まれた掬水師作、水無瀬書の盛上駒が使われる。一行は検分のあとに本堂を見学し、瑞巌寺をあとにした。 20 2二銀(31) ( 0:16/00:04:27) *検分を終え、18時から「ホテル大観荘」で前夜祭が開かれた。金井は「宮城県は優秀なスポーツ選手を輩出している土地。この七番勝負は金メダルを争う戦いでもある。羽生結弦選手や、頑張りを続けた東北の方を見習って、明日は粘り強く戦いたい」、高見は「瑞巌寺は武将好きな私にとってうれしい対局場所。準備はしてきたので、自分を信じて、しかし気負わず、成長したところを見せたいと思う」と意気込みを語った。 21 8七歩打 ( 0:14/00:05:00) *第1局は4月14日、愛知県名古屋市「名古屋城」で行われた。後手の高見が横歩取りに誘導し、青野流に用意の対策を披露した。結果は高見勝ち。 * *【第3期叡王戦決勝七番勝負第1局 ▲金井恒太六段−△高見泰地六段】 *http://live.shogi.or.jp/eiou/kifu/3/eiou201804140101.html 22 5二玉(51) ( 1:00/00:05:27) *第2局は4月28日、福岡県宗像市「宗像大社」で行われた。矢倉模様から、後手の金井が飛車先を受けずに早繰り銀に出て最新形に。接戦になったが、最後は高見が逆転勝ちを収めた。 * *【第3期叡王戦決勝七番勝負第2局 ▲高見泰地六段−△金井恒太六段】 *http://live.shogi.or.jp/eiou/kifu/3/eiou201804280101.html 23 6八玉(59) ( 0:54/00:05:54) *本局のように、先手が飛車を引いて駒組みを進める形は最近、減少傾向にある。1手前の△5二玉の局面は、2017年度の先手勝率が4割1分と低迷する一方で、後手勝率は5割8分にもなる。この▲6八玉は比較的少数派の作戦。後手と同様に中住まいに構える▲5八玉が多数派だった。 24 7二銀(71) ( 1:18/00:06:45) *こうして銀を立つ形が後手の新標準。金銀の連結がよく、急戦に強い。また、△6二玉〜△7一玉と囲いとして利用することで持久戦にも適性がある。 25 4八銀(39) ( 0:38/00:06:32) 26 7四歩(73) ( 2:09/00:08:54) 27 1六歩(17) ( 0:49/00:07:21) *端を突いて様子を見る。先手は桂を活用するだけなら▲3六歩と突きたいが、飛車の横利きが止まったタイミングを狙われる恐れもある。この端歩は▲1七桂の活用を狙ってもいる。 28 7三桂(81) ( 0:36/00:09:30) 29 5九金(49) ( 0:51/00:08:12) *先手は中原囲いのような形になった。玉の位置は6九が定番だが、6八玉型は7七の地点を玉で守っている意味がある。 30 6二金(61) ( 5:34/00:15:04) *上部を補強。後手は△6四歩〜△6三銀と駒組みを進めれば好形になる。 *14時25分、ニコニコ生放送では現地スタジオと仙台市の解説会場でやり取りをしている。「ほとんど空席が見られません」と仙台市の広瀬八段。 31 1五歩(16) ( 3:11/00:11:23) *1筋の歩を伸ばして圧力をかける。これで▲1四歩△同歩▲1二歩△同香▲3三角成△同桂▲2一角という攻め筋が生じた。すぐに成立するかはわからないが、後手としては警戒すべき筋だ。 32 6四歩(63) ( 3:10/00:18:14) *陣形整備を進めて堂々と待つ。対局開始から30分、そろそろ中盤に入りそうな雰囲気だ。現地スタジオの木村九段は「3時間の持ち時間らしい進行です」と話している。 33 1四歩(15) ( 4:21/00:15:44) *14時34分、金井が着手。「あっ、いった!」と木村九段の声。決断よく仕掛けたが、果たして成否は。 34 同 歩(13) ( 1:02/00:19:16) 35 1二歩打 ( 0:17/00:16:01) *狙いの攻め筋。これに△1二同香なら▲3三角成△同桂▲2一角△2三銀▲2四歩で成功だ。後手は飛車の横利きが通っていれば受かるのだが、二重に止まっている。 36 2五歩打 ( 0:23/00:19:39) *飛車の頭をたたいて切り返す。素直に▲2五同飛なら、△1二香▲3三角成△同桂と進んだときに飛車当たりの先手になる仕組みだ。 37 3六飛(26) ( 0:38/00:16:39) *ひとつ寄ってかわしておく。飛車の利きがそれて悔しいようだが、ここも浮き駒の金を間接的に狙って好位置だ。 38 1二香(11) ( 0:29/00:20:08) 39 1七桂(29) ( 0:43/00:17:22) *奥の手の端桂。飛車を寄った手と連動していて、次の▲2五桂が猛烈に厳しい。後手は角が動くと▲3二飛成でそれまでだ。木村九段は「どう受けるか。最有力は△4二玉、ほかには△2三銀もありますか」と話している。どちらも金にヒモをつけて守る手だ。 *14時45分、ニコニコ生放送に谷川九段が出演した。対局開始時の様子を振り返っている。「普段は『おはようございます』と声をかけるのですが」と苦笑い。本局のように、タイトル戦が午後から始まることは珍しい。 40 4二玉(52) (11:00/00:31:08) *14時49分、高見が着手。木村九段が本命として挙げていた玉寄りだった。金を守って、角を自由に動けるようにしている。実戦例は▲豊島将之八段−△羽生善治竜王戦(2018年3月、順位戦A級プレーオフ)のみ。ここから▲3三角成△同桂▲2一角△4五角と進んでいる。結果は後手勝ち。 *現地には日本将棋連盟常務理事として森下卓九段が訪れている。松島を訪れるのは31年前以来、2度目とのこと。モニターを見ながら「先手は攻撃部隊が全部下にいますからねえ。金井さんがうまく手を作れるかどうか」と話している。 41 2五桂(17) ( 2:52/00:20:14) *自然な桂跳ねだが、これで前例を離れた。 42 8八角成(33) ( 0:34/00:31:42) 43 同 銀(79) ( 0:08/00:20:22) *後手はこのまま放っておくと▲5一角△同玉▲3二飛成で崩壊する。飛車の利きが素通しでは危険なので、例えば△3三歩として受けておきたい。 44 3三歩打 ( 3:20/00:35:02) *さて、先手はどのように手を作るか。攻め駒は飛角桂香に持ち歩が2枚。歩が利く筋も1筋と2筋のみと少ないので、技術が求められる。 *現地スタジオでは谷川九段が▲7五歩△同歩▲7四歩△同飛▲5六角という筋を解説している。こうなれば飛香両取りが決まって成功だ。盤面を広く見ることが、手を作るコツになる。将棋ソフト「電王ぽんぽこ」が示す評価値は先手プラス300点ほど。木村九段は「先手を持って考えてみたいです。自分から手を作れそうな気がしますから」と話す。 *15時、対局室にはおやつが運ばれた。金井は抹茶ケーキ「前進松島」、高見はフルーツタルト、ずんだ餅。両者ともさっそく食べてひと息つく。 *控室ではモニターを見た森下九段が「すごい読み筋ですね」とうなっている。電王ぽんぽこが示す読み筋は、▲2四歩△8五飛▲2六飛△4四角▲7七桂△5五飛▲6六角△5七飛成▲同角△2六角とアクロバティック。木村九段は「最初の2、3手は理解できますけど、そこから先は人間には指しにくいですね」とコメントした。 * *【おやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/05/post-6c0a.html 45 1三歩打 (27:59/00:48:21) *15時24分、金井の手が動いた。1筋から手がかりを作りにかかる。取れる駒はいくつかあるが、△1三同銀は駒損になり、△1三同桂は▲1四香で攻めが厚くなる。ここは△1三同香が自然だろう。 46 同 香(12) ( 6:36/00:41:38) 47 1二角打 ( 0:39/00:49:00) *1筋に空間を作って角を打つ。後手はこのまま▲2一角成と桂を取られてはいけない。控室の谷川九段は「自然な手は△8一飛ですか。受けずに△8五飛もあるかもしれません。以下▲1三桂成は手順に△同桂で逃げられますから。ただ、先手としてはそれでも▲1四香と香が使えますから、攻めていった甲斐があるという感じですね」と話している。ニコニコ生放送の木村九段は△8一飛に▲2四歩と力をためる手を予想。先手は攻め駒こそ少ないが、自玉は金銀4枚に守られている。攻めが続けば形勢を引き寄せることができそうだ。 48 8一飛(84) (22:50/01:04:28) *飛車を引いて桂取りを受ける。仙台で解説中の三枚堂六段が「目をつむってもマス目ぴったりに引けるほど指し慣れているはず」と話していた手だ。高見と三枚堂六段は誕生日が2日違い。同年代で切磋琢磨する間柄だ。 *23分近い考慮時間からは慎重な印象を受ける。谷川九段は「▲2一角成△同飛▲2四桂のような手ではつぶれないと思いますが」と話していた。そうした猛攻だけでなく、力をためる▲2四歩、馬を作っておく▲4五角成も候補手に挙がっている。先手の出方が絞れないだけに、時間を使うことになったのかもしれない。 *16時18分、手番の金井は席を立っている。高見は前傾姿勢で盤面を見つめている。金井の考慮時間も30分を超えた。中盤の勝負どころといえそうだ。 49 2四歩打 (37:30/01:26:30) *16時31分、金井の左手が駒台に伸びる。垂れ歩で後手陣に圧力をかけた。 50 2三歩打 ( 1:24/01:05:52) *高見は歩を合わせて受けた。先手の攻めを催促している。 51 1三桂成(25) ( 0:16/01:26:46) 52 同 桂(21) ( 0:08/01:06:00) 53 1四香(19) ( 0:15/01:27:01) *パタパタと手が進んだ。攻め駒をさばいて先手が一歩前進。次は▲1三香成△同銀▲2三歩成があるので、これにどう対応するかが後手の課題だ。 *と金の種を払う(1)△2四歩は自然だが、盤上の駒を使う▲1六飛が見える。ただ、そこで△3四角や△2五角という切り返しがあって簡単ではないようだ。「軽くて筋がいいということは、迫力に欠けるということでもあるので、うまくいくかどうかはわからないです」と木村九段。飛車を回る▲1六飛では、愚直に数を足す▲1五香も一案のようだ。 *先手が1筋の歩を取ったので、ここで(2)△1一歩という手も生じている。が、先手の猛攻を誘うだけに怖いところもある。木村九段は△1一歩に▲2三角成△同銀▲同歩成△同金▲2四歩を解説中。「けっこう攻めがうるさい気がします」と話している。 54 1一歩打 (18:43/01:24:43) *歩が利くようになったことを利用して、角取りに歩を打つ。先手の動きをうまく逆用したようだが、暴れてくる順が見えているので怖さもある。 55 2三角成(12) ( 1:05/01:28:06) 56 同 銀(22) ( 0:05/01:24:48) 57 同 歩成(24) ( 0:09/01:28:15) 58 同 金(32) ( 0:05/01:24:53) 59 2四歩打 ( 0:59/01:29:14) *たたきで攻めをつなぐ。対応は2通りだが、△2四同金は▲1三香成、△1四金は▲2三歩成でどちらも成駒ができる。「棋風に合っていない戦いを高見さんが強いられているかな、という気がしますね」と木村九段。 * *【松島と雄島】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/05/post-9ffa.html 60 同 金(23) ( 4:23/01:29:16) 61 1三香成(14) ( 0:13/01:29:27) *駒割りは角と銀香の2枚換え。わずかに先手の駒得といえる。木村九段は「ここでいい手がないと、高見さんが焦る展開かなと思います」と話す。先手は自玉が安泰なので、ゆっくりでも攻めが続けばいい。後手は自玉の安全度を把握しながら、先手の攻めに対応していく必要がある。 * *【雄島の風景】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/05/post-3ca1.html 62 1八角打 ( 1:23/01:30:39) *角を打って飛車に狙いをつけた。先手は▲1六飛だと△2七角成、▲4六飛だと△5四桂、どこに逃げても飛車を追われる。いずれ飛車は取られることになりそうだが、それを踏まえて後手玉にどう迫るのがよいか。電王ぽんぽこは▲2二成香△3六角成▲同歩△1八飛▲3二角という順を示している。「ここで▲2二成香と指す人はそれなりにいると思いますが、▲3二角と指す人はあまりいないのではないか」と木村九段。この▲3二角は▲5五桂や▲4六香の数の攻めを狙って露骨だ。 *17時20分、金井は前傾姿勢で盤に向かっている。高見が席を立つと、金井がはたはたと扇子であおぐ。電王ぽんぽこの評価値は先手プラス500点ほど。 63 4六飛(36) (23:34/01:53:01) *17時24分の着手。逃げながら後手の玉頭を狙う。 64 5四桂打 ( 2:06/01:32:45) *逃げた飛車を追う。ニコニコ生放送では▲2六飛△2五歩▲5六飛△4五角成▲2二成香△5六馬▲同歩を解説している。いったん飛車を2筋に回って歩を打たせるのが細かい手順。あとで成香を△2一歩と攻められる筋を消す意味がある。 *仙台の大盤解説会と中継がつながった。広瀬八段によると、金井六段との研究会で指した将棋が途中まで同じ進行だったという。 65 2六飛(46) ( 4:57/01:57:58) 66 2五歩打 ( 0:26/01:33:11) 67 5六飛(26) ( 3:24/02:01:22) 68 4五角成(18) ( 0:20/01:33:31) *ここで▲1六飛△2七馬▲5六飛△4五馬……となれば千日手模様。「谷川先生は青ざめると思います」と木村九段。 69 2二成香(13) ( 0:14/02:01:36) *千日手模様の順にはしない。成香を活用して後手玉に迫った。1筋に空間ができたので、▲1六飛〜▲1三飛成の狙いが生じている。後手は△5六馬と飛車を取るのが自然だが、▲同歩から▲5五歩と歩が伸びてくるので嫌なところがある。ニコニコ生放送では△2七角と打ち、▲1六飛を防ぐ辛抱も挙がっている。 70 6五歩(64) ( 7:58/01:41:29) *高見、じっと歩を突き出した。裏を取る▲6四香が見えるので、ぎょっとする手だ。後手玉は挟撃される危険が高まっている。森下九段は「歩を突いたんですか。はあー……」と驚きの顔。仙台の大盤解説会では「先手からうまい手があってもおかしくない」といわれている。 *18時、金井の手番で夕食休憩に入った。消費時間は▲金井2時間17分、△高見1時間41分。対局は18時30分に再開される。夕食は金井がいくら丼、アップルジュース。高見がうな重、ジンジャーエール、緑茶、抹茶ケーキ「前進松島」をそれぞれ注文した。 *18時30分、対局再開。金井はすぐには指さない。高見は脇息にもたれて盤面を見ている。 * *【夕食休憩】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/05/post-d57e.html 71 6四香打 (27:19/02:28:55) *18時41分、金井の手が動いた。残り時間は31分ほど。部分的には厳しい手だが、△5二金のときにどう攻めるか。 72 5二金(62) ( 1:06/01:42:35) 73 1六飛(56) ( 0:06/02:29:01) *ノータイム。高い駒音が響いた。 74 6六歩(65) ( 1:21/01:43:56) *飛車が動いたので、馬が先手の玉頭に利いてきた。狙いの攻めだ。 75 1三飛成(16) ( 0:24/02:29:25) *ぐっと押さえつけるような手つきだった。強く攻め合って、一気に詰む詰まないの最終盤に突入だ。「決めにいったということですね」と木村九段。パッと見では△6七歩成▲同金△6六歩が怖いが、大丈夫だろうか。控室で「▲5六金と出るということですか」と森下九段の声。 *ここで△6七歩成▲同金△6六歩▲5六金△同馬▲同歩△6七角と先手玉に詰めろをかけるのは、▲3四桂△同金▲3二成香△同玉▲1四角から後手玉が詰む。 *よって△6七歩成▲同金△6六歩▲5六金に、単に△6七角と打ってどうか。だが、谷川九段によるとそこで▲1六桂という妙手があるという。代えて▲2四竜は後手玉が詰めろにならないので△5六馬で負け筋だが、▲1六桂なら後手玉が▲3二成香以下の詰めろになっているようだ。これを聞いた森下九段は「いや、天才の一手がありました」と現地スタジオに向かった。 76 6三銀(72) (13:48/01:57:44) *銀の顔面ブロック。狙いは香の入手だ。ここから▲6三同香成△同金▲2四竜と進めるのは、△6七歩成▲同金△同馬▲同玉△6四香から先手玉が詰む。「攻めるか受けるか、方針を決めるのが難しいです」と木村九段。 *19時5分、金井が手を止めている。評価値はなんと先手プラス2000点を超えている。先手勝勢を示す数値だ。ニコニコ生放送では森下九段と木村九段が決め手を探している。ここで▲5六銀△6七歩成▲同玉が有力のようだ。最後の▲6七同玉がポイントで、▲6七同金と取っては△6六歩が厳しくなってしまう。 77 5六銀打 (12:49/02:42:14) *19時11分、金井が着手。銀を投入してがっちりと守りを固めた。先手は▲2四竜と▲6三香成△同金▲7二銀という、厳しい攻めが2通り残っているので、慌てる必要はない。ニコニコ生放送では、ここから△6七歩成▲同玉△3四馬のときに先手がどうすべきかを調べている。以下▲6三香成△同金▲7二銀と攻めるのは、△6四香▲6六歩△同桂が怖い筋だ。木村九段は「金井六段がよさそうですが、まだひと山ありそうな感じです」と話している。 *高見は前傾姿勢で盤面に顔を近づける。金井は頬に手を当てて盤面を見ている。 78 6七歩成(66) (20:07/02:17:51) *19時31分、高見は顔を覆うような仕草を見せてから、盤上に手を伸ばした。 79 同 玉(68) ( 0:21/02:42:35) 80 3四馬(45) ( 0:11/02:18:02) *検討した手順に進んでいる。控室の谷川九段は「単に▲3六桂でしょうか」とつぶやいていた。次に▲3二成香△同玉▲2四桂と王手で金を取る筋がある。 *19時40分、高見はうつむいたり、口元を手で押さえたり。苦しげな様子にも見える。金井は時折、チェスクロック用のタブレットに目をやる。残り時間は10分ほど。 81 6三香成(64) (13:04/02:55:39) *19時44分の着手。怖いといわれていた筋に踏み込んだ。 82 同 金(52) ( 1:22/02:19:24) *ここで▲7二銀には△6四香が手ごわい王手だ。対して▲6六歩が手筋の捨て合いだが、△同桂で先手玉が詰めろになる。以下▲6三銀成△7八桂成▲6四成銀としのぐ筋はあるものの、そこで△6五歩と打たれて対応が悩ましい。 *19時50分、金井が持ち時間を使いきって秒読みに入った。 83 7二銀打 ( 4:21/03:00:00) 84 6四香打 ( 1:12/02:20:36) 85 5八玉(67) ( 0:00/03:00:00) *単に玉を引いた。これは△6六桂▲4九玉に△2七角と攻防に角を打つ筋が生じる。それを防ぐために、▲6六歩の捨て合いが検討されていたのだった。金井の選択はどう影響するのか。 *ニコニコ生放送では△6六桂▲4九玉△2七角▲3八桂△8二飛▲6三銀成△同角成▲1一竜が調べられている。これで次の▲6一竜の挟撃が受けにくい。形勢は依然として金井に傾いているようだ。 86 6六桂(54) ( 4:59/02:25:35) 87 4九玉(58) ( 0:00/03:00:00) *時刻は20時を回った。高見は額を押さえてうつむく。 88 1二歩(11) ( 3:19/02:28:54) *妖しい突き出しで竜の進退を問う。決めにいくなら▲2四竜△同馬▲8一銀不成と詰めろをかける順があるが、先手も△1九飛の王手があるので怖い形だ。金井に秒読みが迫る。 89 2四竜(13) ( 0:00/03:00:00) 90 1六角打 ( 2:56/02:31:50) *際どいタイミングで王手を入れた。できれば駒は使いたくないが、▲3九玉とかわすのは△7八桂成でいけない。 91 3八桂打 ( 0:00/03:00:00) 92 2四馬(34) ( 0:01/02:31:51) *ノータイムで竜を取った。ここで▲6三銀成と金を取ればうまく挟撃できるようだが、△4四歩で上部脱出を目指される。 93 8一銀(72) ( 0:00/03:00:00) *後手玉に▲3二飛以下の詰めろがかかった。ただし、△1九飛の王手に▲3九金と手放すと詰めろが消えてしまう。先手は▲3九銀の移動合いでしのぐよりなさそうだ。 94 4四歩(43) ( 5:10/02:37:01) *脱出口を開けて防戦。ここから▲3一飛△4三玉▲4一飛成△4二飛▲同竜△同玉▲3一飛……と進むと千日手模様だ。「こうなると谷川先生の出番ですね」と木村九段。なお、手順中△4二飛で△3四玉と逃げるのは▲4五金△同歩▲同竜までの詰み。 * *※局後の感想※ *「△5四歩と△4四歩があって、△5四歩が負けなので。△4四歩で打開されてしまったらしょうがないと思っていましたが、(千日手の)可能性はあると思いました」(高見) 95 3一飛打 ( 0:00/03:00:00) 96 4三玉(42) ( 3:14/02:40:15) *後手は千日手含みでしのごうとしている。先手からうまい打開があるかどうか。 97 4一飛成(31) ( 0:00/03:00:00) 98 4二飛打 ( 0:04/02:40:19) *後手が△1九飛と王手をしなかったのは、ここに合駒を残すためだった。控室では▲2一竜でどうかといわれている。以下△7八桂成なら▲3二成香が飛車と馬の両取りだ。 99 同 竜(41) ( 0:00/03:00:00) 100 同 玉(43) ( 0:05/02:40:24) *94手目と同一局面。同一局面4回で千日手となる。秒読みの金井としては、千日手成立ギリギリまで繰り返して時間を稼ぎたいところだろう。 101 3一飛打 ( 0:00/03:00:00) 102 4三玉(42) ( 0:27/02:40:51) 103 4一飛成(31) ( 0:00/03:00:00) 104 4二飛打 ( 0:06/02:40:57) *高見はすぐに飛車を打つ。金井が頭に手をやる。 105 同 竜(41) ( 0:00/03:00:00) 106 同 玉(43) ( 0:03/02:41:00) *これで同一局面3回。木村九段は「(手を)変えるんじゃないですかね」と話している。 107 3一飛打 ( 0:00/03:00:00) 108 4三玉(42) ( 0:01/02:41:01) 109 4一飛成(31) ( 0:00/03:00:00) 110 4二飛打 ( 0:05/02:41:06) *問題の局面。飛車を取れば千日手。先手は手を変えるなら最後のチャンスだ。金井は両手で頭を抱えている。 111 同 竜(41) ( 0:00/03:00:00) *金井、頭を抱えながら飛車を取った。控室がにわかに慌ただしくなる。 112 同 玉(43) ( 0:07/02:41:13) *同一局面4回となり、千日手が成立した。終局時刻は20時27分。消費時間は▲金井3時間、△高見2時間41分。谷川九段をはじめ、関係者が対局室に向かう。今日中に指し直し局を行うかどうか、協議を行っている。 *しばらくして谷川九段から、指し直し局を行うことが両対局者に告げられた。指し直し局は双方の持ち時間に1時間を足し、先後を入れ替えて21時から行われる。 * *【千日手成立後の様子】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/05/post-d953.html * *※局後の感想※ *「打開するかは迷ったのですが、確信が持てず、正解と思える順がすぐにはわかりませんでした」(金井) 113 千日手 ( 0:00/03:00:00) まで112手で千日手