# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.09 棋譜ファイル --- 対局ID:7459 記録ID:5ac5d5004e99e800042ecf45 開始日時:2018/04/14 10:00 終了日時:2018/04/14 19:57 表題:叡王戦 棋戦:第3期叡王戦決勝七番勝負 第1局 戦型:横歩取り△3三角型 持ち時間:各5時間 消費時間:76▲287△219 場所:愛知・名古屋城 備考:昼休前32手目▲76分△72分\n夕休前53手目▲233分△185分\n 振り駒:なし 計時方式:チェスクロック 秒読み:60秒 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 昼食休憩:12:30〜13:30 夕食休憩:18:00〜18:30 昼休前消費時間:32手▲76分△72分 夕休前消費時間:53手▲233分△185分 手合割:平手   先手:金井恒太六段 後手:高見泰地六段 手数----指手---------消費時間-- *第3期叡王戦決勝七番勝負(主催:ドワンゴ)第1局の金井恒太六段−高見泰地六段戦は、4月14日10時に名古屋市「名古屋城」で指される。2月21日の第3期叡王戦決勝七番勝負発表会で「電王手一二さん」と「COBOTTA」が協力して振り駒をした。5枚の歩を振り、歩が2枚(駒が立った2枚は無効)で、第1局は金井先手と決まった。金井は第1局と第2局の持ち時間を5時間(チェスクロック方式。使いきると1手60秒の秒読み)と指定した。 *立会人は福崎文吾九段。記録係は柵木幹太三段(増田裕司六段門下)。現地大盤解説会は山崎隆之八段が解説、長谷川優貴女流二段が聞き手を務める。ニコニコ生放送の解説・聞き手は豊島将之八段、室田伊緒女流二段、中澤沙耶女流初段。中澤女流初段は現地リポートも務める。本局の観戦記はライトノベル作家の白鳥士郎さんが担当する。 *高見は9時46分ごろ、少しして金井が対局室に入る。 *【株式会社ドワンゴ】 *http://dwango.co.jp *【叡王戦公式ホームページ】 *http://www.eiou.jp *【第3期叡王戦決勝七番勝負第1局 金井恒太六段−高見泰地六段|ニコニコ生放送】 *http://live.nicovideo.jp/watch/lv311156547 *【第3期叡王戦決勝七番勝負第1局前夜祭|ニコニコ生放送】 *http://live.nicovideo.jp/watch/lv311154266 *【第3期叡王戦決勝七番勝負 発表会|ニコニコ生放送】 *http://live.nicovideo.jp/watch/lv310728211 *(棋譜・コメント入力=銀杏) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手。【】はブログやリンクのタイトル] 1 2六歩(27) ( 0:43/00:00:43) *立会人の福崎文吾九段が「第3期叡王戦決勝七番勝負第1局、愛知県名古屋市名古屋城の一戦は、金井恒太六段の先手番で始めていただきます」と告げて対局が始まった。 *緊張の面持ちの金井は一礼後、少し間を置いてから初手の▲2六歩を指した。 * *叡王戦は株式会社ドワンゴ主催によるタイトル戦。第1期、第2期は優勝棋戦だったが、第3期にタイトル戦に昇格した。これにより、七大タイトル戦から八大タイトル戦に移行した。タイトル戦の新設は王座戦以来34年ぶり。 *第3期叡王戦は全棋士と女流棋士1人、アマチュア選手1人が段位別の予選を戦い、本戦は佐藤天彦第2期叡王と予選通過者15人の計16人で争った。本戦を勝ち上がった金井恒太六段と高見泰地六段が決勝七番勝負を戦う。先に4勝した棋士が叡王を獲得する。 *決勝七番勝負は【第1局・第2局】【第3局・第4局】【第5局・第6局】【第7局】で、持ち時間を変更して行うのが特徴。 *戦前の振り駒で第1局が先手になった対局者が第1局・第2局の持ち時間を(1)各1時間(2)各3時間(3)各5時間、から選ぶ(いずれもチェスクロック方式)。第1局で後手の対局者が残る2択から第3局と第4局の持ち時間を選び、第5局・第6局は対局者が選ばなかった持ち時間で対局する。第7局は持ち時間各6時間(チェスクロック方式)で行う。 *【叡王戦開催概要】 *http://www.eiou.jp/outline.html 2 3四歩(33) ( 0:44/00:00:44) *高見は早くも前傾姿勢。2手目に△3四歩と角道を開けた。金井は生茶をコップについで飲む。 * *株式会社ドワンゴは1997年に設立。2011年2月に第36期棋王戦五番勝負第1局の久保利明棋王−渡辺明竜王(いずれも肩書は当時)戦以来、タイトル戦のライブストリーミング中継を行っている。 *2012年から2017年まで電王戦を主催。棋士対コンピュータ将棋ソフトの対局を行った。2013年からは電王戦出場ソフトを決めるための将棋電王トーナメントを主催している。 3 7六歩(77) ( 1:32/00:02:15) *叡王戦の協賛は以下のとおり。 *【生茶|ソフトドリンク|キリン】 *http://www.kirin.co.jp/products/softdrink/namacya/ *【サイバー セキュリティ対策|マカフィー】 *https://www.mcafee.com/jp/index.html *【株式会社タカラレーベン 新築分譲マンション・新築一戸建て・物件情報】 *http://www.leben.co.jp *【DENSO - 株式会社デンソー/Crafting the Core/】 *https://www.denso.com/jp/ja/ 4 8四歩(83) ( 1:12/00:01:56) *本局の観戦記は、ライトノベル作家の白鳥士郎さんが担当する。著書『りゅうおうのおしごと!』は、16歳で竜王を獲得した棋士、九頭竜八一が主人公。小学3年生の雛鶴あいが八一の弟子になるため家に押しかけて、ストーリーが進んでいく。 *2015年に1巻が刊行され、2018年3月に8巻が発売された。漫画化されているほか、2018年1月から3月にテレビアニメが放送された。 *白鳥さんの作品では農林高校を舞台にした『のうりん』もアニメ化や漫画化されて、ファンが多い。 *【「りゅうおうのおしごと!」特設ページ】 *http://ga.sbcr.jp/sp/ryuoh/ *【りゅうおうのおしごと!|ガンガンONLINE】 *http://www.ganganonline.com/contents/ryuou/ *【テレビアニメ公式サイト】 *http://www.ryuoh-anime.com 5 2五歩(26) ( 1:06/00:03:21) *◆金井 恒太(かない こうた)六段◆ *1986年5月25日生まれ、埼玉県上尾市出身。飯野健二七段門下。2007年、四段。2016年、六段。棋士番号は265。 *タイトル戦登場は1回。 6 8五歩(84) ( 1:20/00:03:16) *◆高見 泰地(たかみ たいち)六段◆ *1993年7月12日生まれ、神奈川県横浜市出身。石田和雄九段門下。2011年、四段。2018年、六段。棋士番号は284。 *タイトル戦登場は1回。 7 7八金(69) ( 0:38/00:03:59) *金井の本年度成績は1勝0敗(1.000)。 *昨年度成績は15勝15敗(0.500)。 *通算成績は209勝165敗(0.559)。 8 3二金(41) ( 0:27/00:03:43) *高見の本年度成績は1勝1敗(0.500)。 *昨年度成績は36勝14敗(0.720)。 *通算成績は157勝99敗(0.613)。 9 2四歩(25) ( 0:37/00:04:36) *金井は段位別予選の六段戦で村中秀史六段、村田智弘六段、千田翔太六段、永瀬拓矢六段(現七段)を、本戦で佐藤天彦名人、佐藤康光九段、行方尚史八段を破って決勝七番勝負に進出した。 10 同 歩(23) ( 0:34/00:04:17) *高見は段位別予選の五段戦で中尾敏之五段、渡辺大夢五段、村田顕弘五段(現六段)を、本戦で豊島将之八段、渡辺明棋王、丸山忠久九段を破って決勝七番勝負に進んだ。 11 同 飛(28) ( 0:22/00:04:58) *本局が行われている名古屋城は、日本を代表する城として名高い。 *1609年に廃城となっていた那古野城の跡地に徳川家康は城を築くことを決め、1612年に天守が完成。1945年に太平洋戦争で天守や本丸御殿、金のしゃちほこなどが焼失したが、天守閣は1959年に再建。金のしゃちほこは名古屋の象徴としてよく知られている。 *現在は、本丸御殿の復元計画が進められている。2009年1月に着工。2018年6月に上洛殿などすべての建物が完成し、公開される予定。 *現在は名古屋城春まつりが開催中。春まつりのチラシに描かれたイラストには藤井聡太六段の姿も。 *【名古屋城公式ウェブサイト】 *http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp *【名古屋城春まつり】 *http://nagoya-jo-fes.com/spring/ 12 8六歩(85) ( 0:47/00:05:04) *名古屋市は愛知県の県庁所在地で、人口約230万人の都市。三大都市圏の中京圏を形成し、政治や経済、交通などの中心である。 *源頼朝、織田信長、豊臣秀吉ら、多くの武将が生まれ、中心を担った。 *本局が行われている名古屋城をはじめ、熱田神宮、名古屋テレビ塔など名所が多く、きしめんや味噌煮込みうどん、手羽先の唐揚げなどの「名古屋めし」は名物として知られている。 *小菅剣之助名誉名人や山田道美九段、杉本昌隆七段ら名古屋市出身の棋士も多い。 13 同 歩(87) ( 0:28/00:05:26) *名古屋市では1月に第11回朝日杯将棋オープン戦本戦の対局が行われた。藤井聡太四段(現六段)が佐藤天彦名人を破って話題になった。 *近年のタイトル戦では、2013年5月に第71期名人戦七番勝負第5局の▲羽生善治三冠−△森内俊之名人戦(肩書はいずれも当時)が行われた。この将棋は、森内名人がネット将棋でコンピュータソフトPonanzaの指し手を拝借して快勝。当時の相矢倉戦の定跡に一石を投じたことで知られる。 *Ponanzaは2013年の第2回電王戦から17年の第2期電王戦まで5年連続で電王戦に登場し、7戦全勝の成績を挙げた。 14 同 飛(82) ( 0:31/00:05:35) *叡王戦では、玉将が玉などとなった一字駒が使用されている。本局も一字駒だ。 *天井カメラからの盤面の映像が見やすいことが特徴。テレビ対局でも一字駒が用いられる。 15 3四飛(24) ( 1:32/00:06:58) *二人は本局が初手合い。東西で分かれているわけでないので意外な感じがする。 *10時13分ごろ、ピシッとした手つきで、金井が歩を取る。高見の得意戦法を受けて立った。高見は本棋戦で渡辺明棋王、丸山九段、渡辺大五段を破り、快進撃の要因となった。 *対局室の床の間には「叡王戦本戦」の掛け軸がかけられている。 16 3三角(22) ( 2:16/00:07:51) *今回の叡王戦のように、初代タイトル保持者をめぐって争われるのは1988年の第1期竜王戦以来。米長邦雄九段と島朗六段の対戦は、4連勝で島六段が制して竜王獲得。「シンデレラボーイ」と呼ばれた。 *なお、番勝負の勝者が初タイトルとなるのは、1950年の第1期九段戦(九段戦は竜王戦の前身棋戦にあたる)以来とのこと。タイトル戦となった叡王戦で頂点に上り詰めるのはどちらか。 *【どちらが勝っても68年ぶりの偉業。金井恒太六段VS高見泰地六段、叡王戦七番勝負の展望は?|日本将棋連盟】 *https://www.shogi.or.jp/column/2018/04/post_360.html 17 5八玉(59) ( 2:07/00:09:05) *3四飛の形のまま▲5八玉から▲3六歩と突く指し方は「青野(照市九段)流」といわれる。先日、将棋大賞の升田幸三賞を受賞した。2017年度は横歩取りの対局数が2016年度よりも減った。その中で、△3三角に▲5八玉や▲6八玉から▲3六歩とする「(佐々木)勇気流」は対局数を増やしている。 *金井が▲5八玉と指したのは、2013年8月の銀河戦対瀬川晶司五段戦以来。また、ここまでは11・12日に行われた第76期名人戦七番勝負第1局の▲羽生善治竜王−△佐藤天彦名人戦と同じ進行だ。佐藤天名人は△6二玉と上がった。 *ニコニコ生放送で豊島八段は「△6二玉だけでなく、いろいろな玉の動かし場所があります。高見さんは玉を安定させて指すことが多いですね」と話している。ちなみに、ニコニコ生放送のスタジオの大盤は180度ひっくり返せる特殊仕様。後手側の視点で見ることもできる。 *控室には関係者が戻ってきた。日本将棋連盟会長として訪れている佐藤康光九段、福崎九段、大盤解説会の山崎隆之八段が継ぎ盤を作る。「金井さんの着慣れた感じがすごいですね」と山崎八段。確かに、金井は若旦那といったようで、よく似合っている。 18 4二銀(31) ( 4:43/00:12:34) *10時22分、高見は△4二銀。控室で声が上がった。「これを用意していたんだ」と実戦例は3局。 *3月に入って2局指された。棋聖戦の▲稲葉陽八段−△大橋貴洸四段戦と竜王戦6組の▲星野良生四段−△都成竜馬五段戦で、いずれも将棋連盟ライブ中継で棋譜中継された。佐藤康九段はさっそくスマートフォンを取り出して、棋譜を鑑賞する。 *【将棋連盟ライブ中継】 *https://www.shogi.or.jp/lp/mr201704/ *※局後の感想※ *「△5二玉と上がる手は後手が押され気味なので、工夫して指した」と高見。 19 3六飛(34) ( 3:20/00:12:25) *「△4二銀を見て、作戦を変えて飛車を引いたのだと思います。後手は次の▲2六飛にどう対応するか。△8五飛として▲2六飛に△2五歩と打つのが一案です。普通に△5二玉▲2六飛△2四歩の進行もあります」と豊島八段。 *10時28分ごろ、佐々木大地四段が控室を訪れた。「高見先生は青野流対策に研究を深めていたようです。△4二銀は▲3六歩なら、△4一玉から△5一金〜△6二銀という駒組みが考えられました」という。 20 8五飛(86) ( 4:54/00:17:28) *豊島八段の示していた手だ。公式戦では指されていない手でもある。実戦例はなくなった。開始から30分ほどで未知の局面に入った。継ぎ盤では▲2六飛△2五歩▲2八飛△8八角成▲同銀△3三桂や▲3八金△2五飛▲2八銀△6二玉といった進行が示される。金井は40分以上考えている。 *10時38分、中澤女流初段がニコニコ生放送の控室リポートをする。 *福崎九段「横歩取りはチンプンカンプンですが、隣の佐藤会長と山崎八段の解説が楽しみです」 *佐藤康九段「前夜祭での戦型予想が的中して、さすがでした。もう前例のない将棋になっています」 *福崎九段「なんか、プロみたいな解説でしたね」 *山崎八段「高見六段は秘策を練っていたのだなと。序盤から考えさせられる展開です」 *福崎九段「では、九州男児(長崎県対馬市出身)の佐々木さんに」 *佐々木大四段「今日は勉強しにきました。高見六段は、前に練習将棋を指したときに、こういう戦型をやろうと思っているという話が出ていました。ただ、▲3六飛と穏便に指されたときにどう考えているかはわかりません」 *福崎九段「なんだか、われわれ3人足しても、佐々木さんに負けた感じですね」 *佐々木大四段「今日の和服の生地は、親戚の方が用意されたもので、高見さんも気に入っていらっしゃるようです」 *佐藤康九段「福崎九段も履いているものについて極秘情報があるんですよ」 *福崎九段「いま見せられませんが、草履は塚田正夫名誉十段の奥さまから送ってくださったものです」 *白鳥さん「対局前、金井六段は駒箱を開けたときに手が震えていたので、とても緊張していたのが伝わってきました」 *【金井六段長考】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-7499.html 21 2六飛(36) (46:15/00:58:40) *11時16分の着手。▲2六飛までの消費時間は▲金井58分、△高見17分。▲2六飛は46分の長考だった。 * *【いざ決戦の地へ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-c0b6.html *【対局検分】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-1734.html 22 2五歩打 ( 0:44/00:18:12) *高見はすぐに△2五歩を打つ。どこまでが想定している進行なのか。 * *【前夜祭(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-b995.html *【前夜祭(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-8f9f.html *【前夜祭(3)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-5d4f.html *【前夜祭(4)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-8889.html *【前夜祭(5)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-4d49.html *【前夜祭(6)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-249a.html *【前夜祭(7)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-1ea6.html 23 2八飛(26) ( 0:52/00:59:32) *▲3六飛と戻って△8八角成▲同銀△3三桂を牽制する(△8八角成に▲3二飛成がある)手も示されていたが、トリッキーな指し方だ。本格派の金井は自然に▲2八飛と引いた。 *ここですぐ△8八角成▲同銀△3三桂とするのは、先手が8七に歩を打たずに済むのが不満とのこと。なので、控室では△6二玉や△5二玉から△5一金などと固める指し方が示されている。 *豊島八段はニコニコ生放送の検討ソフト「電王ぽんぽこ」の指し手として、△8六歩▲3三角成△同桂▲8八銀の進行を示していた。それを見た山崎八段は「人間はリターンがないとリスクを取れないですね」という。△8六歩は垂れ歩の手筋だが、歩切れになるのでリスクが高い。 *豊島八段は「評価値は互角ですが、後手の指し方は難しいです。自分なら先手のほうが気楽に指せると思います。先手はあまり▲8七歩と打たずに頑張りたいです」と話している。 *高見は前傾姿勢になり、左手で扇子を握りしめている。金井は背筋を伸ばして、腕を組む。 *【対局開始】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-e12e.html *【開始直前の対局室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-86dd.html 24 8六歩打 (12:20/00:30:32) *山崎八段は「おおおー、さすが」、福崎九段は「やらへんと思ったら、やるねんな」と感心するように声を上げた。 *11時30分ごろ、高見は打ちにくいとみられていた△8六歩を打った。 *「興味深い将棋ですね。これで指せるなら、ほかの人もやるかもしれないです」と福崎九段。 25 3三角成(88) ( 1:03/01:00:35) *11時30分過ぎ、中澤女流初段が名古屋城のリポートをする。名古屋名物である味噌カツの食レポも。名古屋城のスタッフが「名古屋城は城であると同時に桜の名所です」と話している。1000本の桜が植えられているとのことだ。 26 同 桂(21) ( 6:43/00:37:15) *羽生善治竜王をはじめ、高段棋士がタイトル戦に出ることが多いため、六段の棋士同士によるタイトル戦は珍しい。それだけにフレッシュな争いとなりそうだ。 *過去には1990年度の第57期棋聖戦五番勝負で屋敷伸之棋聖(段位は五段)−森下卓六段戦という例がある。 *■ニコニコ生放送■ *豊島将之八段>手順に桂を跳ねられたのが後手の主張です。 27 8八歩打 ( 1:35/01:02:10) *▲8八銀もあるところだったが、「金井さんは予想と外れた進行かと思いますので、手堅くいきたくなるところかと思います」と豊島八段。 *【叡王戦記念扇子】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-6e13.html 28 8四飛(85) ( 8:02/00:45:17) *名古屋城は天守の金のしゃちほこが象徴である。だが、横歩取りとなったため、立体的な天守閣美濃にはならない。低い陣形で駒組みして攻めを狙うことが横歩取りの特徴。隙がないように平べったい形で守るのが横歩取りでは多い。 29 3八銀(39) ( 2:15/01:04:25) *「後手はどうやって手を作るのでしょうか」と佐々木大四段。後手は歩切れなので、手段が限られている面がある。 *高見の考慮中に12時を過ぎた。 *ニコニコ生放送で現地リポートが行われた。 *佐藤康九段は「高見六段が歩切れになったので、どう手を作るのかなという感じ。互角だと思いますが、私の感覚だと先手を持ちたいです。構想力次第かと思います」、佐々木大四段は「先手もどう組むのか制約が大きいのかなと。▲3六歩と突きにくいです。私も先手を持ってみたいですが、高見六段にはよくお世話になっています」と話していた。 30 5二玉(51) (17:25/01:02:42) *12時8分、高見も中住まいに構えた。金井は21手目▲2六飛に長考していたが、高見も時間を使っており、消費時間に差はあまりない。 *△5二玉と指した高見は、デカフェの生茶を飲み、席を外した。キリン独自の製法で、生茶のカフェインが除かれている。入れ違いに席を外していた金井が戻ってくる。 *【生茶 デカフェについて|生茶|キリン】 *http://www.kirin.co.jp/products/softdrink/namacya/decaf.html 31 6八銀(79) (12:09/01:16:34) *12時19分の着手。「後手は飛車を8四に置いたまま指したほうがよさそうです。△2四飛から△2六歩としても、▲3五角で歩を取られるのが気になります。先手は駒組みしにくいです。▲6八銀〜▲7七桂〜▲3六歩としたいですが、▲7七桂に△7四飛と歩を狙う筋が気になります」と佐々木大四段が話す。 *「後手の主張はスムーズに左桂と跳ねられたことや、大駒の働きの違いですね」と豊島八段。 *12時28分、千田翔太六段が控室へ。第2期叡王戦では決勝三番勝負に進出した。ここで12時30分になり、昼食休憩に入った。消費時間は▲金井1時間16分、△高見1時間12分。 32 9四歩(93) (11:54/01:14:36) *13時30分、対局再開。高見はすぐに端歩を突いた。 *佐藤康九段と佐々木大四段が継ぎ盤を作る。先手は▲6六歩から▲6七銀を目指す。「後手は8六に使っていますので手を作るのは大変です。歩を持っていれば、手を作りやすいのですが」と佐藤康九段。 *【対局再開】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/1330-c17e.html 33 7七銀(68) ( 9:23/01:25:57) *佐々木大四段は後手側を持って攻めを狙うがうまくいかない。 *「それではダメですね」と笑いながら、佐藤康九段が盤面をひっくり返して後手側を持って、△9五歩▲3六歩△9三桂▲3七桂△8五桂▲8六銀△9七桂成の強襲を示している。△9四歩を継承した指し方だ。 *13時55分、ニコニコ生放送でスタジオと現地大盤解説会をつないで中継されている。 *「この数手の間に2五歩を守るか、思わぬところから手をつなぐか。次の一手を当てるのは難しいけど、面白い局面です」と山崎八段。豊島八段が「▲7七銀のあとの構想が難しいと思います。後手は△9四歩と突いたので、△9五歩から△9三桂としていくのかなと思います」と話すと、「おっ! 豊島八段と感覚が一致するんだな。そうですよねぇ」と佐藤康九段はご満悦の様子。ニッコリと笑顔を見せた。 34 7二銀(71) (21:17/01:35:53) *14時2分の着手。△7二銀までの消費時間は▲金井1時間25分、△高見1時間35分。 *「第3の手が出ました」と佐藤康九段。すぐ攻める手を示していた控室やニコニコ生放送では出てこなかった手だ。山崎八段は「▲3六歩から▲3七桂で歩を狙われるのは怖くないということですか」。 *対局者の昼食が発表された。金井は鰻丼。高見はひつまぶしときしめん(少なめ)。 *【両対局者の昼食】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-6fbd.html 35 3六歩(37) ( 3:19/01:29:16) *角や桂の頭は丸い(利きがない)。そこを狙って3筋の歩を突いていくのは横歩取りの先手番でよく出てくる。 *△9五歩▲3七桂△3四飛▲5六角△2四飛▲3五歩という進行が控室の検討手順。 *【名古屋城を歩く(1)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-0283.html *【名古屋城を歩く(2)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-fde8.html 36 9五歩(94) ( 9:01/01:44:54) *2五歩を狙う▲3七桂に後手はどうするか。(1)△3四飛で▲2五桂に△4五桂から3筋を狙う(2)△2四飛で2筋を受けるが考えられる。 *現地大盤解説会は休憩に入ったようで、山崎八段が控室に戻る。「難しいな」とつぶやきながら継ぎ盤に座る。 *■ニコニコ生放送■ *豊島将之八段>△9五歩は欲張った手です。▲3七桂と跳ねさせたら、後手が即作戦負けと思っていましたが、考えてみると意外とそうでもないようです。本局は8筋の歩の関係が珍しいです。8八歩・8六歩の形では、先手の歩が8七にあって、後手が歩を持っていることが多いです。 37 3七桂(29) (16:15/01:45:31) *午後に入ってから、白鳥さんは対局室に詰めて取材している。 *高見は前傾姿勢でうつむく。差し手争いの難所である。 *「キッパリと桂を跳ねたんですね」と佐藤康九段がつぶやく。妥協なき桂跳ね。16分使って、じっくり読みを入れた。高見はうなずきながら考えている。 *控室では△3四飛▲5六角△2四飛▲3五歩の進行を調べている。▲5六角は好点の角打ちだ。 *【14時35分ごろの控室】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/1435-9d0b.html 38 9三桂(81) (13:28/01:58:22) *控室やニコニコ生放送では、△7二銀ですぐ△9五歩から△9三桂と跳ねていく変化が調べられていた。高見は自陣を引き締めてから桂を跳ねる。▲2五桂が見えているだけに意外な組み合わせだ。 *▲2九飛が示されている。2筋や3筋の当たりを避けつつ、▲4八金で8九まで利きを通す含みがある。価値の高い手のようだ。電王ぽんぽこも▲2九飛を示していた。 *14時50分過ぎ、ニコニコ生放送で現地大盤解説会の様子が映されている。福崎九段と長谷川女流二段が担当している。福崎九段の話の広げ方は、余人が真似するのは難しい巧みさだ。 39 6六銀(77) (12:29/01:58:00) *15時になり、対局室におやつが運ばれてきた。金井はわらびもちと温かい緑茶。高見はショートケーキとホットコーヒー、オレンジジュース。腹が減っては戦はできぬ。つかの間の休息である。おいしいおやつも厳しい表情で食べている。金井は横を向いて、おやつを食べている。わらびもちの粉が落ちやすいので、気をつけたのだろう。ニコニコ生放送で「格調高いですね」の声も。 *「▲6六銀は▲2五桂△4五桂と跳ね違いされたときに、事前に5七を守っている意味があります」と佐藤康九段。 *15時10分ごろ、ニコニコ生放送ではティロフォンで杉本昌隆七段と藤井聡太六段の師弟が電話出演した。杉本昌七段は名古屋市出身、藤井聡六段は名古屋市に隣接する瀬戸市出身。室田女流二段や中澤女流初段は杉本昌七段門下である。 *藤井聡六段は「高見六段がどのように進めるか。ここ数手で局面が動くことも考えられます。現在の局面は、△8五桂と使うのが自然かと思います」とコメントした。 *15時13分ごろ、名古屋市で地震が起きた。考慮中の高見は動きを止めて、あたりを見渡した。震源は愛知県西部で、最大震度は4。名古屋城のある名古屋市中区は震度2だった。 *早朝には北海道東部で、最大震度5弱の地震があった。日ごろ、地震などの災害には備えたい。将棋で玉を囲うのは「備えあれば憂いなし」ということである。 *【おやつ】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-6c0a.html 40 8五桂(93) (25:05/02:23:27) *15時22分、高見は△8五桂と跳ねる。9筋に力がたまった。しかし、9筋は先手玉から遠いところでもある。どれだけ戦果を挙げられるか。 *【名古屋城を歩く(3)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-6c02.html *【名古屋城を歩く(4)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-19f3.html *【名古屋城を歩く(5)】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-644d.html *【金シャチ横丁】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-6553.html 41 2五桂(37) (30:20/02:28:20) *25分使っての△8五桂に▲2五桂も30分の長考だった。△2五同桂▲同飛と進めばうまい。△2四飛も▲3三桂成△2八飛成▲3二成桂で飛車と金桂の交換の上に成桂が迫っている。 *15時50分ごろの局面。消費時間は▲金井2時間28分、△高見2時間23分。 42 4五桂(33) ( 0:32/02:23:59) *桂のすれ違い。将棋用語では、相手の桂と逆側に跳ねることを跳ね違いと呼ばれる。後手は1歩あれば△2四歩や△3七歩の楽しみがあるが、ないものねだりをしても仕方ない。違う手段を考えることになりそうだ。 *先手は▲5五角が好点の角打ち。ただ、電王ぽんぽこの評価値はほぼ互角で、豊島八段は「へぇー」と意外そうな声を上げた。 *対局室では、金井は腕を組んで不動のまま考えている。 *16時ごろの大盤解説会場は230人ほど訪れているという。ニコニコ生放送を映すサブ会場も用意され、そちらでも30人が観戦している。 *16時10分、ニコニコ生放送は佐藤康九段と山崎八段による大盤解説会が中継されている。▲3三桂成△同金▲2一飛成△2四飛という激しい進行が検討されている。 *【盛り上がる大盤解説会会場】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-11a8.html 43 5五角打 (26:25/02:54:45) *5五は四方に利く角打ち。金井は▲2五桂に30分、▲5五角に26分と連続長考になった。 *「横歩取りは後手でも動いていけるのが魅力です。ここまで、両者自然に進めているように思います。後手は△9七桂成くらいなので、少し先手がいいと思います」と佐々木大四段。 *△9七桂成▲同香に△9六歩や△9八角、△3七歩といった手段が考えられる。 *16時30分になり、現地大盤解説会は休憩に入った。会長の佐藤康九段は帰途についた。 *※局後の感想※ *▲4六歩は△3七角▲同銀△同桂成と攻め込まれる。 44 9七桂成(85) (18:18/02:42:17) *高い駒音で桂を成り込む。端攻めの手筋だ。後手は先に桂損するが、▲9七同香や▲9七同桂に△9六歩と攻めていける。 *先手は▲1一角成から▲3三香が一つの攻め筋。いつ、それを行使するか。2八飛を世に出すのが難しいのは難点かもしれない。 *16時40分過ぎ、金井は残り2時間を切った。考慮が続いて17時を回った。3手連続で25分以上の熟考になった。 45 同 桂(89) (32:08/03:26:53) *17時10分、金井は32分使って▲9七同桂と応じた。「▲9七同桂は少し意外です。△9六歩に▲2三歩、▲1一角成、▲8五桂が予想されます」と佐々木大四段。 *▲8五桂は△同飛と取らせることで、飛車の横利きを止める意味。▲1一角成のあと、後手は▲3五香に△3四歩と打つ手が利かない。 *控室で福崎九段と佐々木大四段は△9六歩▲2三歩△9七歩成▲2二歩成△8七歩成▲3二と△7八と▲4二と△6二玉という直線の進行を調べる。途中で△3七歩▲2九銀の交換が入れば、後手がよさそうとのこと。 46 9六歩(95) (14:15/02:56:32) *時刻は17時25分になろうとしている。時刻は▲金井3時間26分、△高見2時間56分。夕食休憩は18時から18時30分。 *記者がモニターを見ている限りでは、金井は背筋を伸ばしたまま考えていることが多い。ほとんど動きがない。前傾姿勢にならず、黙々と考えている。 *※局後の感想※ *ここで△3七歩なら先手は手抜くことはできない。ただ、△3七歩▲2九銀に△9六歩は▲9八歩と受けられたときにどうか。 47 3三桂成(25) ( 3:21/03:30:14) *「おっ、いった」と福崎九段が声を上げた。桂を犠牲に大将格の飛車がドンと成り込むつもり。ただし、▲3三桂成△同金▲2二飛成に△4四歩や△2一歩と受ける手もある。 *※局後の感想※ *▲9八歩は△9七歩成▲同歩△6四角が高見の予定。以下▲6四同角△同飛▲5五角に△7四桂と打てるのが飛車を6四にずらした意味。 48 同 金(32) ( 3:17/02:59:49) 49 2二飛成(28) ( 1:19/03:31:33) *素通しの2筋で先手の飛車が敵陣に侵入して名乗りを上げる。ただし、攻め駒の援軍が多いわけではないので、高見玉の首を狙うにはまだ力が足りない。 *竜の働きを弱める△2一歩、角の利きを止めて▲3三角成を受ける△4四歩が予想される。 *まだ49手だが、局面は早くも終盤戦に入りつつある。戦いになってすぐ終盤。横歩取りの激しさ、厳しさが表れている。対局者がどのようにバランスを取りながら、攻防を繰り広げるかが注目だ。 50 4四歩(43) ( 2:40/03:02:29) *17時35分ごろ、ニコニコ生放送で控室中継された。 *千田六段「△2一歩なら先手が少しいいと思っていました。△4四歩は自分の飛車の利きを止めて心細いですね」 *佐々木大四段「後手からすると、△4四歩に対して▲2四歩のような手が少し気になりますね」 *福崎九段「まだ人間がはっきりわかるような、すごい差がついているわけではないです」 *ニコニコ生放送で白鳥さんも出演。『りゅうおうのおしごと!』の話をする。 51 2四歩打 (10:05/03:41:38) *参考になる垂れ歩の手筋。 *ニコニコ生放送は現地大盤解説会と中継をつなぐ。山崎八段と豊島八段が局面について話す。 *※局後の感想※ *金井は▲6五桂も考えていた。 52 3七歩打 ( 2:55/03:05:24) *17時47分、ニコニコ生放送で豊島八段が△3七歩を示した瞬間に高見の手が伸びた。△3七歩である。大盤解説会で拍手が起きた。際どいタイミングで歩を利かそうとする。▲2九銀なら先手陣が乱れる。 *解説会はここで次の一手が出された。候補は(1)▲2九銀(2)▲2七銀(3)▲3七同銀(4)その他。ニコニコ生放送のアンケートでは(1)▲2九銀が多かった。 *現地では▲2九銀△8七歩成▲同歩△9七歩成▲2三歩成△同金▲同竜△8七とという直線的な変化を調べている。 *ここで18時になり、夕食休憩に入った。消費時間は▲金井3時間53分、△高見3時間5分。 *■ニコニコ生放送■ *豊島将之八段>相当先まで読まないと、▲2七銀と▲2九銀のどちらに逃げるべきか難しいです。 *山崎隆之八段>では、第一感の感覚でどちらに銀を動かすか一緒にいいましょう。せーの。 *豊島将之八段>2九。 *山崎隆之八段>下。同じでしたね。ただ、▲2九銀のデメリットは、先手玉が4八にいったときに、△2六角と打つ筋が厳しい場合があることです。なので、▲2七銀も考えたいんです。ここで夕食休憩に入る可能性が高いですね。 53 2三歩成(24) (12:11/03:53:49) *18時30分対局再開。金井の次の一手は▲2三歩成。「銀をどちらに逃がすか」という山崎八段と豊島八段の見解と違った。現地大盤解説会で二人が謝罪していたが、正解者は10人いた。 *※局後の感想※ *▲2九銀は△8七歩成▲同歩△9七歩成▲2三歩成△同金▲同竜△8七と▲6八金△7七とが検討された。▲7七同銀に△8九飛成と成り込める。金井は△3七歩を利かされるのを嫌ったようだ。 54 同 金(33) ( 0:29/03:05:53) *ニコニコ生放送の豊島八段が、スタジオから現地大盤解説会に移っている。ニコニコ生放送は山崎八段が担当している。 55 同 竜(22) ( 0:09/03:53:58) *金をはがせたが、竜の一瞬働きが悪くなった。 56 3八歩成(37) ( 0:17/03:06:10) *対局者には夕食休憩時に軽食として、サンドイッチとおにぎりが出された。 *【夜の名古屋城】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-0610.html *【軽食】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-bc64.html 57 同 金(49) ( 0:10/03:54:08) 58 3七歩打 ( 5:26/03:11:36) *もう1回歩を打つ。△9七歩成は先手玉から遠い。終盤は駒の損得よりも速度が大事なので、急所に迫っていく。 *※局後の感想※ *「△3七歩と打つかどうかは、歩切れになるので難しいところ」と高見。 *金井は△3七歩と打たれると思っていたという。 59 4八金(38) ( 0:25/03:54:33) 60 6二玉(52) ( 5:19/03:16:55) *玉の早逃げ八手の得あり。▲2二竜は△3一銀打と弾いて、後手陣を堅くできる。 *※局後の感想※ *△8七歩成▲同歩△9七歩成は▲3四桂△8七と▲4二桂成△6二玉▲8三歩が▲5二金以下の詰めろで厳しい。△8三同飛は飛車の横利きが止まって、▲5三竜△同玉▲4三金△6二玉▲4四角で詰む筋がある。 *「△6二玉は実戦的だと思った」と高見。 61 7五金打 ( 1:13/03:55:46) *金井は右側から攻めていたが、一転して手が盤の左側に伸びた。▲2三歩成のような激しさとは異なる指し方といえそうだ。 *※局後の感想※ *「▲7五金はすぐに指してしまったが、しっかり考えないといけなかった。飛車角交換で手番を渡してしまい、まずい手だった」と金井は反省していた。 *(1)▲2二竜は△3一銀打▲1一竜△9七歩成とされて先手大変。早逃げされているので重たいが、(2)▲3四桂と攻めるのが有力で、△5一銀▲2二竜△5二桂と進んでどうか。 *「▲7五金はあまり読んでいなかった。後手の飛車を追われにくいと思っていた」と高見。 62 5四飛(84) ( 1:38/03:18:33) 63 6五金(75) ( 0:20/03:56:06) *△8四飛▲7五金△5四飛…なら千日手。しかし、電王ぽんぽこの評価値が後手に触れている。ここ数手のやり取りは後手のほうがポイントを挙げているようだ。 *■ニコニコ生放送■ *山崎隆之八段>先手が飛車を取っても、▲3二飛に△3一銀打や△4一銀と受けられてしまいます。高見六段は攻めに専念できます。この一瞬は後手玉がかなり安全になりました。 64 5五飛(54) ( 5:32/03:24:05) 65 同 金(65) ( 0:12/03:56:18) 66 7四桂打 ( 1:00/03:25:05) *金井は残り40分を切った。駒の損得はないのだが、5五金の働きが悪い。 *福崎九段に話を聞いた。「大げさにいうと、急転直下ですね。急に後手がよくなりました。再開時の▲2三歩成がどうだったか。△3七歩を利かされるのは嫌だったのでしょうけど、銀を取られてから比較的わかりやすく、後手がよくなりました。なんといいますか、F1でコーナーの回り方が大回りになってしまい、一瞬で抜かれたような感じです。 *プロもアマも同じですけど、将棋の一瞬での判断の難しさや面白さが出ていますね。大山康晴十五世名人は、人はミスするものとおっしゃっていますが、的を射ていますね。どんなに修行をしても、まったくミスしないということはできませんから」 *■ニコニコ生放送■ *山崎隆之八段>4二銀は浮いているのですが、持ち駒の銀を打って固めることができます。こういうときに鋭く攻めるのが高見六段らしいです。金井六段は切り合いに出たのですが、夕食休憩のときに迷ってしまったかもしれません。 *△6六桂▲同歩△8九角が厳しいです。△3九角もありますね。ただ、▲2九竜と引いて粘るのではつらいですね。後手は△9七歩成と補充する手も大きいですし。少し前の▲7五金では、後手玉が早逃げしましたけど、それでも▲3四桂は有力だったと思います。 67 6五桂打 (37:16/04:33:34) *金井は残り27分になるまで考えて▲6五桂と打った。高見は残り時間を確認して、あぐらになる。腰を落として考えるつもりだろう。あぐらで指すタイプではない。高見は残り時間が1時間25分ある。高見が慌ててくれないと金井はつらい。 *■ニコニコ生放送■ *山崎隆之八段>ここで△3九角▲4五金△6六桂▲同歩△6九銀▲同玉△4八角成▲8五桂となれば、後手玉にプレッシャーをかけています。先手は苦しいですけど、理想の手順に進めば勝負です。先手はカウンターを狙っているので、簡単には負けませんが、高見六段は残り時間がたくさんあります。 68 8九角打 ( 8:57/03:34:02) *現地大盤解説会は千田六段と佐々木大四段がゲスト出演している。ニコニコ生放送で二人の解説や雑談を見ていて「なかなかやるわ」と福崎九段。 *19時40分、高見は席を外している。金井はじっと盤面を見つめている。 *■ニコニコ生放送■ *千田翔太六段>推測になりますが、金井六段に何か誤算があったかと思います。 *佐々木大地四段>高見六段が踏み込みましたね。最短の勝ちを目指しているといっても過言ではないですね。 *【高見六段勝勢】 *http://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2018/04/post-b340.html 69 7九飛打 ( 5:58/04:39:32) *千田六段と佐々木大四段は粘るならこれといっていた▲7九飛だった。▲7五金と打ってまで手に入れた飛車をここに打つのではつらい。ここに打つ駒は金のほうがいい。 *■ニコニコ生放送■ *豊島将之八段>簡単には終わりませんよという手です。気が早い人なら投了してもおかしくないと思いましたが、あきらめませんと。 70 7八角成(89) ( 1:38/03:35:40) 71 同 飛(79) ( 0:09/04:39:41) 72 8九角打 ( 0:33/03:36:13) *おかわりの角打ち。金がないので受けにくい。福崎九段は静かに継ぎ盤の駒をしまい、モニターを見つめている。19時49分、金井が息をつく。 *■ニコニコ生放送■ *豊島将之八段>▲7九飛には△6六桂▲同歩△5七桂成が王手龍取りになりますし、▲6六同歩に△6七銀からの攻めも厳しそうです。 73 7七飛(78) ( 7:05/04:46:46) *豊島八段が示していた△6六桂▲同歩△5七桂成の筋がある。 *高見は腰を据えて考えている。 74 6六桂(74) ( 2:40/03:38:53) 75 同 歩(67) ( 0:16/04:47:02) 76 5七桂成(45) ( 0:12/03:39:05) *桂を成った高見はお絞りで手をぬぐう。8九角が遠く2三竜に狙いをつけている。技が決まった。飛車角桂という飛び道具が舞う、横歩取りの醍醐味が出た局面といえる。 *この局面を見つめていた金井は、はっきりした声で「負けました」と告げて頭を下げた。終局時刻は19時57分。消費時間は▲金井4時間47分、△高見3時間39分。高見先勝。第2局は4月28日に福岡県宗像市「宗像大社」で行われる。 *対局室と控室が少し離れているため、関係者が対局室に入るのに時間がかかった。その間に、金井は▲7五金がよくなかった旨を観戦記担当の白鳥さんに話していた。 *■ニコニコ生放送■ *豊島将之八段>高見六段が横歩取りから積極的に将棋をつくっていきました。途中までは拮抗していて、互角だったと思います。 *※局後の感想※ *感想戦は20時48分ごろに終了した。 *「夕食休憩の後、たたき合いになって急に激しくなったが、いくところまでいって悪いとひどいので、そういう展開にならないように序中盤は指していた。(持ち時間の使い方について)チェスクロック方式でもあるので、この一手というところでは早めに指した」と高見。 *「▲7五金から差がついてしまって、後手が金を狙う手が厳しかった。的確に寄せきられた」と金井。 77 投了 ( 0:23/04:47:25) まで76手で後手の勝ち