# --- Kifu for Windows (Pro) V6.63.1 棋譜ファイル --- 対局ID:3521 記録ID: 開始日時:2015/01/19 19:00 終了日時:2015/01/19 21:02 表題:朝日杯将棋オープン戦 棋戦:第8回朝日杯将棋オープン戦本戦 持ち時間:各40分 消費時間:137▲40△40 場所:東京・将棋会館 先手消費時間加算:0 後手消費時間加算:0 手合割:平手   先手:渡辺明二冠 後手:郷田真隆九段 先手省略名:渡辺明 後手省略名:郷田 手数----指手---------消費時間-- *第8回朝日杯将棋オープン戦は本戦が進行中。本局は14時からの対局を勝ち抜いた渡辺明二冠と郷田真隆九段で行われるベスト4入りの一戦。王将戦七番勝負でタイトルを争う二人の対局が実現した。対戦成績は渡辺17勝、郷田9勝。本棋戦では第6回で対戦があり、渡辺が午前に行われた対局で指された順をそのまま郷田にぶつける進行で注目を集めた。 *持ち時間は40分(チェスクロック使用)、使い切ると1手60秒の秒読み。先後は振り駒で決定される。ニコニコ生放送の解説は佐々木慎六段、聞き手は熊倉紫野女流初段が担当する。本局の記録係は梶浦宏孝三段(鈴木大介八段門下)。18時28分、先に入室したのは郷田。下座に着くと、かばんから扇子を取り出し、駒台の位置をそっと直す。18時42分、渡辺入室。コートをかけ、部屋を出ていった。二人ともペットボトルの温かいお茶を用意している。外は日が暮れ、すっかり暗くなった。18時46分、渡辺が対局室に戻る。かばんから扇子を取り出し、身支度を整えて駒箱に手を伸ばす。対局の準備が始まった。18時50分、振り駒。歩が3枚出て、渡辺の先手に決まった。郷田が脇息を変えるように記録係に頼む。置かれていたものが少しぐらついていたようだ。渡辺は腕組みをし、目を閉じて対局開始を待つ。郷田は両手を組んでひざの上に置いている。 * *【ニコニコ生放送】 *http://live.nicovideo.jp/watch/lv205825062 * *【第6回朝日杯将棋オープン戦本戦 ▲渡辺明竜王−△郷田真隆棋王(肩書きは当時)】 *http://live.shogi.or.jp/asahi/kifu/6/asahi201301180601.html * *※局後の感想※ *87手目、89手目、92手目、96手目、137手目に記載。 * *(棋譜・コメント入力=文) *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手] 1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *渡辺、ちらりとチェスクロックを見てから着手。 2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) *郷田はサッと歩に手を伸ばした。 3 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *◆渡辺 明(わたなべ あきら)二冠(棋王・王将)◆ *1984年4月23日生まれ、東京都葛飾区出身。所司和晴七段門下。2000年、四段。2005年、九段。棋士番号は235。 *タイトル戦登場は21回。獲得は竜王9期(永世竜王)、王座1期、棋王2期、王将2期の計14期。棋戦優勝は9回。 4 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00) *◆郷田 真隆(ごうだ まさたか)九段◆ *1971年3月17日生まれ、東京都出身。(故)大友昇九段門下。1990年、四段。2001年、九段。棋士番号は195。 *タイトル戦登場は16回。獲得は王位1期、棋王1期、棋聖2期の計4期。棋戦優勝は7回。 5 7七角(88) ( 0:00/00:00:00) *角換わり模様の立ち上がり。二人が素直に進めればこうなるという戦型だ。 6 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) 7 8八銀(79) ( 0:00/00:00:00) 8 3二金(41) ( 0:00/00:00:00) 9 7八金(69) ( 0:00/00:00:00) *渡辺の今年度成績は17勝7敗(0.708)。 *勝率はランキング10位。 *通算成績は492勝235敗(0.677)。 10 7七角成(22) ( 0:00/00:00:00) *郷田の今年度成績は17勝17敗(0.500)。 *対局数はランキング10位タイ。 *通算成績は785勝454敗(0.634)。 11 同 銀(88) ( 0:00/00:00:00) 12 4二銀(31) ( 0:00/00:00:00) 13 3八銀(39) ( 0:00/00:00:00) 14 7二銀(71) ( 0:00/00:00:00) 15 9六歩(97) ( 0:00/00:00:00) 16 9四歩(93) ( 0:00/00:00:00) 17 4六歩(47) ( 0:00/00:00:00) 18 6四歩(63) ( 0:00/00:00:00) 19 4七銀(38) ( 0:00/00:00:00) 20 6三銀(72) ( 0:00/00:00:00) 21 6八玉(59) ( 0:00/00:00:00) 22 5四銀(63) ( 0:00/00:00:00) 23 5八金(49) ( 0:00/00:00:00) 24 5二金(61) ( 0:00/00:00:00) 25 3六歩(37) ( 0:00/00:00:00) 26 4四歩(43) ( 0:00/00:00:00) 27 5六銀(47) ( 0:00/00:00:00) 28 4一玉(51) ( 0:00/00:00:00) 29 7九玉(68) ( 0:00/00:00:00) 30 3一玉(41) ( 0:00/00:00:00) *14時から行われた渡辺と永瀬拓矢六段の対局のように、どんどん指し手が進んでいく。梶浦三段はマス目の符号だけを棋譜用紙に記してチェスクロックを押す。記録係の技だ。 31 1六歩(17) ( 0:00/00:00:00) 32 1四歩(13) ( 0:00/00:00:00) 33 3七桂(29) ( 0:00/00:00:00) 34 7四歩(73) ( 0:00/00:00:00) 35 6六歩(67) ( 0:00/00:00:00) 36 3三銀(42) ( 0:00/00:00:00) *郷田、同型ではなく△7三桂保留型を選択。先手の動きを待ってカウンターを合わせる姿勢は同じだが、桂を跳ねないことでより隙なく待つことができ、仕掛け方のハードルを上げている。 37 4八飛(28) ( 0:00/00:00:00) 38 4二金(52) ( 0:00/00:00:00) 39 8八玉(79) ( 0:00/00:00:00) 40 2二玉(31) ( 0:00/00:00:00) *19時5分、パタパタと進んでいた指し手が止まった。渡辺がくいくいとネクタイを直す。 *現局面までの消費時間は▲渡辺3分、△郷田2分。 41 6七金(58) ( 0:00/00:00:00) *実戦例が少なめの▲6七金右。最近は▲6八金右と寄る例が圧倒的に多い。郷田が「ふう」と息を吐き、盤をのぞき込む。 42 3五歩(34) ( 0:00/00:00:00) *郷田は記憶を探るように斜め上をじっと見ていたが、やがて盤上に手を伸ばした。郷田は順位戦で先手番を持って経験のある形だ。2014年3月のA級、羽生善治名人(当時三冠)が指した積極的な順である。羽生名人はその前の2011年8月の丸山忠久九段との対局でも後手を持って同じ順を指しており、結果はどちらも後手勝ち。 * 43 同 歩(36) ( 0:00/00:00:00) 44 2四銀(33) ( 0:00/00:00:00) 45 3四歩(35) ( 0:00/00:00:00) *習いある突き出し。 46 2七角打 ( 0:00/00:00:00) *角を打ち込む。羽生名人が指した順をたどっている。 * *■ニコニコ生放送■ *佐々木慎六段>一見は狭い角なんですけどね。次に△3六角成▲2五桂は△2六馬とどんどん取られてしまうので、ここは前例の▲4七銀と引く手が普通ですね。 &元に戻す表示局面 47 4七銀(56) ( 0:00/00:00:00) 48 3五銀(24) ( 0:00/00:00:00) 49 2五桂(37) ( 0:00/00:00:00) 50 4三銀(54) ( 0:00/00:00:00) *前例2局はいずれも▲1五歩△同歩▲同香△同香▲3三歩成△同金直▲同桂成△同金と攻めている。19時15分、郷田が席を立った。 *現局面までの消費時間は▲渡辺6分、△郷田4分。 * *■ニコニコ生放送■ *佐々木慎六段>先手は次に△3四銀〜△2四歩と突かれたら勝てない形なので、ここで動いていきたいところです。一例は▲1五歩△同歩▲同香△同香で、香車を捨ててもったいないようですが▲3三歩成(△同桂は▲1三角)△同金直▲同桂成△同金で、金と桂香の二枚換えですが守りの金をはがしにいくような展開があります。 51 1五歩(16) ( 0:00/00:00:00) *19時17分、郷田が対局室に戻ってすぐ指された。前例の結果を踏まえれば先手が工夫をする必要がある。 52 同 歩(14) ( 0:00/00:00:00) 53 1三歩打 ( 0:00/00:00:00) *19時18分、渡辺が着手。これでデータにある展開を離れた。郷田がうなずく。「うーん」とうなって額に手をやる。 * *■ニコニコ生放送■ *佐々木慎六段>△2六銀は▲2八飛で釘付けになるのでやりにくいです。以下△3七銀成も▲2七飛△同成銀▲1五香があるので、形勢はさておき第一感ではやりにくい手です。 54 2四銀(35) ( 0:00/00:00:00) *19時20分、「うーん」という声とともに指された。バックして端に備える。渡辺は首をかしげ、ちらりと郷田の表情をうかがう。 55 6五歩(66) ( 0:00/00:00:00) *19時24分、渡辺が盤上に手を伸ばす。首をかしげながらの着手だった。△6五同歩なら飛車のコビンが開くので、4筋を攻めたときに王手飛車のラインができて技がかかりやすくなる。渡辺が席を立ち、戻ってくる。郷田が「うーむ」とうなり、口をへの字に曲げて首を振る。「そうか」というぼやき。 * *■ニコニコ生放送■ *佐々木慎六段>熊倉さんの予想した手が当たりましたね。6七の金が6八にいる形なら突きやすいと思うのですが、当たりがきついので突く手はどうなのかなと思っていました。△6五同歩は▲5六銀△5四角成▲4五歩という感じですか。 56 5四角成(27) ( 0:00/00:00:00) *「馬は自陣に引け」と格言は教える。後手陣は手厚くなった。先手も6筋で歩の補充が利くのは大きい。どう攻めをつなげていくか、渡辺の手腕が問われる。 57 4五歩(46) ( 0:00/00:00:00) *渡辺、ピシッと歩を突き出してお茶を一口。6筋に続いて4筋でも歩がぶつかった。攻める際は争点が多いほうが手段が増えやすい。郷田は頬に手を当て、「うーん」とうめく。 * *■ニコニコ生放送■ *佐々木慎六段>そうか、指されてみると良い手ですね。 58 3四銀(43) ( 0:00/00:00:00) *取り込みの当たりを事前にかわしつつ、垂れ歩を払う。後手は金銀4枚に加えて馬を守りにつけて専守防衛の構え。先手が突破口を見つけられるかどうか。 * *■ニコニコ生放送■ *佐々木慎六段>先手は▲4四歩と取り込みたいんですが、△同馬〜△2六馬が気になるので少しやりにくいですね。 59 5六銀(47) ( 0:00/00:00:00) 60 3六歩打 ( 0:00/00:00:00) *垂れ歩でと金の種をまく。△3七歩成が実現すれば攻撃陣を制圧する大きな存在だ。渡辺が「そうか……」とつぶやいた。 *現局面までの消費時間は▲渡辺19分、△郷田12分。 61 2八角打 ( 0:00/00:00:00) *攻防の角。と金作りを受けつつ後手の飛車に狙いを定めた。次は▲6四歩が大きな手になる。「うーん」「いやあ」と郷田のつぶやき。対局室に空調の低いうなりが響く。6筋をすっきり受けるのは難しそうだ。△8六歩や△7五歩で先手陣に嫌みをつけておき攻め合いに備える手もあるが、歩を渡すので反動もきつくなる。△3五銀直と立って▲6四歩には△3七歩成▲同角△3六銀と角を攻めるのは、守り駒が離れるのでやりにくいか。いかにも手にされそうな怖さがある。 *19時44分、対局室に郷田の苦吟の声が響く。額に手をやり、「そっか」とつぶやいた。 * *■ニコニコ生放送■ *佐々木慎六段>ここから△4五歩▲6四歩に△7三桂としてしまうと▲5五銀△8一馬▲6三歩成△同馬▲6四銀で後手が悪いです。△4五歩▲6四歩△9二飛も▲6三歩成△同馬▲5五角△3三桂は▲3五歩が痛そうです。△4五歩はちょっと堂々としすぎましたか。 62 9五歩(94) ( 0:00/00:00:00) *19時49分、10分を超える考慮で指された。受けが難しいと見て先手陣にキズをつけにいく。 63 同 歩(96) ( 0:00/00:00:00) *先手にとって歩はたくさんあって困ることはない。陣形を乱される損と歩をもらう得、どちらが大きいか。 64 9六歩打 ( 0:00/00:00:00) *手筋の端攻め。▲9六同香と香をつり上げれば桂を入手して△8四桂が嫌らしい筋になる。渡辺、両手で後頭部を抱えるようにして盤に向かう。 65 6四歩(65) ( 0:00/00:00:00) *待望の取り込みが入った。次は▲6三歩成△9二飛▲6四と。と金が威張る展開になれば先手がはっきりよくなる。 66 9二飛(82) ( 0:00/00:00:00) *角のラインをあらかじめかわした。 67 6三歩成(64) ( 0:00/00:00:00) *それでも歩を成っていく。馬の利きをそらしたい。 68 同 馬(54) ( 0:00/00:00:00) 69 4四歩(45) ( 0:00/00:00:00) *4筋で歩が一歩前進。どこかで▲5五角〜▲4三歩成が必殺の狙いになる。郷田、腕を組んで「いやー」と首をかしげた。渡辺は額を押さえ、うつむく。脇息に左腕を置き、口元をぎゅっと結んで盤面をにらむ。19時58分、渡辺が席を立つ。「いやー」と郷田の声。ぼやきが止まらない。 70 3七歩成(36) ( 0:00/00:00:00) *渡辺が席を外している間に指された。成り捨てて△3三歩の受けを用意した。悔しい後退だが、背に腹は代えられない。20時、渡辺が対局室に戻る。「指されました」の声。 *現局面までの消費時間は▲渡辺26分、△郷田30分。 71 同 角(28) ( 0:00/00:00:00) *席に戻った渡辺、すぐにと金を払う。 72 2七馬(63) ( 0:00/00:00:00) *郷田、ノータイム。攻め駒に働きかけた。▲5五角には△3三歩と受けておいて、△2六馬が楽しみになる。 73 5五角(37) ( 0:00/00:00:00) *気持ちのよい角出。△5四歩は▲6六角で馬の利きを消す分損になるか。いずれにせよ後手はコビンを守るよりない。 74 3三歩打 ( 0:00/00:00:00) *歩を埋めて角の利きを防ぐ。自分で垂らした歩を消して打ったので、ややつらい受けだ。しかし金銀4枚の守りは健在。△2六馬が間に合えば楽しみが出てくる。 75 3五歩打 ( 0:00/00:00:00) *弱点の3筋に働きかけた。 76 同 銀(24) ( 0:00/00:00:00) *玉のコビンを守るにはこちらで取るしかない。だが、今度は端が薄くなった。 77 1二歩成(13) ( 0:00/00:00:00) *20時6分、渡辺が着手。ちらちらとチェスクロックを気にしている。残り時間は5〜6分。 78 同 香(11) ( 0:00/00:00:00) 79 1三歩打 ( 0:00/00:00:00) *バシバシとたたく。端攻めは歩の数が物を言う。「いやあ」と郷田の声。 80 同 桂(21) ( 0:00/00:00:00) *現局面までの消費時間は▲渡辺34分、△郷田31分。 81 同 桂成(25) ( 0:00/00:00:00) 82 同 香(12) ( 0:00/00:00:00) *郷田がペットボトルのお茶を湯飲みに注ぐ。「ん?」と声を出して盤面を見つめ、それから席を立った。 83 4六桂打 ( 0:00/00:00:00) *単刀直入、コビン攻め。渡辺は舌打ちをして首を振った。郷田が戻ってくる。「指されました」と梶浦三段。後手は△4五銀▲3四歩△1二玉と受けて緩和するか、それとも△4六同銀と取ってしまうか。 84 同 銀(35) ( 0:00/00:00:00) *食いちぎる。手番を取りにいった。 85 同 角(55) ( 0:00/00:00:00) 86 4五歩打 ( 0:00/00:00:00) *好点にいる角を追う。渡辺は扇子ではたはたとあおぐ。 87 5五角(46) ( 0:00/00:00:00) *郷田は相変わらず「うーん」とうめいている。だが、心なしか姿勢が前のめりになってきた。 * *※局後の感想※ *「△4五歩と打って、ちょっとこちらがよさそうな気もした」と郷田。ここで△9七歩成が調べられ、▲同香△9六歩▲同香△8四桂▲3五歩△9六桂▲9八玉△9七歩▲同玉△2六馬▲3八飛で難しい。終盤の寄せ合いが見込める分、後手はこちらを選んだほうがまさったようだ。 88 5四歩(53) ( 0:00/00:00:00) *さらに角の態度を尋ねる。不退転の覚悟で▲6四角と出るか、じっと▲6六角と引いておくか。「そっか」と渡辺の声。20時16分、持ち時間が切れたことを渡辺が自己申告。1分将棋に入った。 89 6四角(55) ( 0:00/00:00:00) *敵陣をにらむ方向にぐいっと出た。「いやー、そっか」と郷田。 * *※局後の感想※ *ここで「取る一手でしたか」(郷田)と△2六馬が示された。以下▲2八飛△4四馬▲2四歩△同歩▲8二銀で難しい。後手は馬を引きつけた形が手厚いが、先手も▲8二銀という切り札がある。 90 6三歩打 ( 0:00/00:00:00) *角を取りにいった。▲2八角は△3六桂。もう逃げられない。「40秒」と読まれ、渡辺が額を押さえる。 *現局面までの消費時間は▲渡辺40分、△郷田36分。 * *■ニコニコ生放送■ *佐々木慎六段>▲4二角成△同飛▲3五歩みたいな手が嫌な気がしたので△6三歩とはやらないと思ったのですが、郷田九段は本譜でも攻めが細いと見たのかもしれません。 91 4二角成(64) ( 0:00/00:00:00) *ばっさり切る。角を失ったが、先手陣は手つかず。攻めが続けばペースを握れる。 92 同 飛(92) ( 0:00/00:00:00) *囲いと合体させて4筋に厚く取る。だがこの飛車が目標になる可能性も出てきた。 * *※局後の感想※ *代えて△4二同金が示された。以下▲3五歩△2六馬▲3八飛△3五銀▲4五銀で「自信なし」(郷田)の展開だが、本譜よりまさったようだ。 93 3五歩打 ( 0:00/00:00:00) 94 同 銀(34) ( 0:00/00:00:00) *渡辺は脇息に腕を置き、頬に手を当てて盤面をにらんでいる。 95 4五銀(56) ( 0:00/00:00:00) *守りの銀とすれ違いに堂々の進軍。後手は1筋が詰まっているので横から攻められると脆い形だ。突破だけは許してはならない。 * *■ニコニコ生放送■ *佐々木慎六段>単に銀を出ましたか。これは何か4八の飛車にアクションを仕掛けたいです。 96 4六歩打 ( 0:00/00:00:00) *飛車の利きを遮って銀取り。▲5三銀や▲5三金と打って攻めきれなければ、▲5六金などでいったんは守ることになるだろう。 * *※局後の感想※ *代えて△4七歩▲同飛△3八馬▲1七飛と進めたほうがまさった。 97 5三金打 ( 0:00/00:00:00) *渡辺、駒台から金を手に取ったが盤上に落としてしまった。すぐに拾い上げて打つ。銀取りを手抜いて攻める金打ち。飛車を取れば寄せの方針はわかりやすい。20時25分、郷田が持ち時間を使い切り1分将棋に入った。 98 4五馬(27) ( 0:00/00:00:00) *郷田、「いや」とささやきながら銀を取る。覚悟を決めた。取った銀が盤から転げ落ち、「失礼しました」と乱れた駒を直す。 99 4二金(53) ( 0:00/00:00:00) *■ニコニコ生放送■ *佐々木慎六段>これは先手の攻めがつながってきた気がします。 100 同 金(32) ( 0:00/00:00:00) *郷田は険しい表情。金を駒台にのせ、額に手をやる。▲7二飛と打ち、金取りを受ければ▲4三歩成が入る。 * *■ニコニコ生放送■ *佐々木慎六段>▲8二飛△6四角▲8一飛成で先手優勢と見ました。 101 4三銀打 ( 0:00/00:00:00) *横からではなく、上からガツンと。 * *■ニコニコ生放送■ *佐々木慎六段>ごつく行きましたか。△3一金などと受けてきてもいずれは二段目に飛車を打つのだと思います。 102 4一銀打 ( 0:00/00:00:00) *下から支えて受ける。金銀を打ち替えての千日手がちらつく。 103 7二飛打 ( 0:00/00:00:00) *横から攻め駒を足した。▲8二飛は△6四角と当てて受けられる手があった。 104 6二桂打 ( 0:00/00:00:00) *桂を捨ててクッションにする。▲6二同飛成には△4四馬でどうか。「ええー」と渡辺がつぶやいた。 105 4二銀(43) ( 0:00/00:00:00) 106 同 銀(41) ( 0:00/00:00:00) *渡辺、うつむく。頬に手を当てながら盤面を見る。 107 6二飛成(72) ( 0:00/00:00:00) *頬に手を当てながら、盤上に手を伸ばした。銀取りの先手で桂を取れた。後手の秘術も効果は現れなかったか。郷田がため息をつく。 * *■ニコニコ生放送■ *佐々木慎六段>△5一金に▲4三歩成△6二金▲3二金△1二玉▲4二とで、△2四歩と逃げ道をあけても▲3三金と引けるので後手玉は寄っていそうです。 108 5一銀打 ( 0:00/00:00:00) 109 7二龍(62) ( 0:00/00:00:00) *いったんは逃げておく。駒割りは五分だが、実質手番を握っている先手には楽しみが多い。 * *■ニコニコ生放送■ *佐々木慎六段>そうか、先ほどの変化は▲4二との局面で良く考えてみると打ち歩詰めになりそうだったので、竜を逃げたのが冷静だったかもしれません。秒読みですからね。 110 4四馬(45) ( 0:00/00:00:00) *歩を払った。受けきるのは厳しい状況だが、立て直してチャンスを待ちたい。 111 4一金打 ( 0:00/00:00:00) 112 6二金打 ( 0:00/00:00:00) *壁を作って受けたが、受け一方でつらい。郷田、がくっと肩を落とす。 113 8一龍(72) ( 0:00/00:00:00) *先手は駒を増やしつつの攻めで切れる心配がない。 * *■ニコニコ生放送■ *佐々木慎六段>まだ後手が苦戦だとは思いますが、やる気の出てくる展開に見えます。 114 5五桂打 ( 0:00/00:00:00) *次の▲5一金は玉から遠ざかる攻め。受けずに攻めに転じた。 115 6八金(67) ( 0:00/00:00:00) 116 4七歩成(46) ( 0:00/00:00:00) 117 5一金(41) ( 0:00/00:00:00) *飛車を見捨てての攻め。先手玉は飛車を渡してもしばらくは寄らない。猶予のあるうちに後手玉を寄せることができれば。 118 4八と(47) ( 0:00/00:00:00) *飛車を取らせた代わりに手番を得た。20時45分、秒を読まれた渡辺が頭を抱える。 119 4一金(51) ( 0:00/00:00:00) *じりじりと迫っていく。後手は攻め合いに出られる局面ではないので、当面は先手の攻めをしのぐ必要がある。 120 3二玉(22) ( 0:00/00:00:00) *守り駒が少ない分、広さで勝負。 121 5六桂打 ( 0:00/00:00:00) *終盤では盤上の最強の駒を攻めるのがわかりやすい指針のひとつ。後手玉を上から押さえる駒にもなっている。 122 5三馬(44) ( 0:00/00:00:00) *ただ逃げただけでなく、端に利かせて先手玉にプレッシャーをかけている。 123 4五桂打 ( 0:00/00:00:00) *馬を攻める桂の連打。次々に攻めの種駒が増える。郷田は「うーん」とうなり、うつむいた。 124 5二馬(53) ( 0:00/00:00:00) *郷田、湯飲みのお茶を飲む。ぼんやりと天井を見上げた。 125 3四歩打 ( 0:00/00:00:00) *「歩の攻めは指し切らない」という。歩で攻めが続く形になると、しのぐことは難しい。郷田、がっくりと肩を落とした。 126 同 馬(52) ( 0:00/00:00:00) *カタリと乾いた音を立てて、郷田の駒台に歩がのった。渡辺はちらりと天井を見上げる。 127 4二金(41) ( 0:00/00:00:00) *57秒まで読まれて銀を取った。郷田がうんうんとうなずく。 128 同 玉(32) ( 0:00/00:00:00) *先手は4筋に歩が利くのが心強い。 129 5一銀打 ( 0:00/00:00:00) *渡辺、頭を抱えながら銀を打った。足を崩してあぐらになる。 130 3二玉(42) ( 0:00/00:00:00) *郷田は苦しげな表情。ネクタイをぎゅっとつかむ。 131 6二銀(51) ( 0:00/00:00:00) 132 2四歩(23) ( 0:00/00:00:00) *上部脱出を目指す。手筋は退路封鎖の▲1四歩。 133 1四歩打 ( 0:00/00:00:00) *まさに一歩千金。後手玉は退路を開けない。 134 同 香(13) ( 0:00/00:00:00) *郷田、ため息をつき、ふるふると首を振って歩を払った。湯飲みにペットボトルのお茶を注ぐ。 135 1一龍(81) ( 0:00/00:00:00) *大きく竜を使って左右挟撃態勢。▲2二金△4二玉▲5三桂成までの詰めろ。 136 4五馬(34) ( 0:00/00:00:00) *郷田は何度もため息をつく。渡辺が一瞬、盤をのぞき込むように顔を近づけた。 137 2二金打 ( 0:00/00:00:00) *郷田のため息が聞こえる。渡辺はふっと天井を見上げる。「50秒」まで読まれ、郷田は「負けました」と頭を下げた。△4三玉▲4一竜に△4二桂は▲3二竜以下、△4二飛は▲3二銀以下、後手玉は詰み。終局時刻は21時2分、消費時間は両者40分。渡辺が3年連続のベスト4進出を果たした。準決勝と決勝は2月14日(土)、東京都千代田区「有楽町朝日ホール」で公開対局として行われる。 * *※局後の感想※ *対局中、渡辺は自信の持てない時間が続いていた。先手の攻めが見た目通り細いからだ。だが、調べてみると後手もふりほどくのは容易ではない。「そうか、全然攻めが切れてると思ったけど、大変なんですね」と渡辺。郷田は自信のある局面もあったが、「すぐの狙いはなくても、ゆっくりやられて苦しい」との結論。感想戦の終わりに、渡辺は「(先手は)攻めとしてはうまくいっていないけど、先に手を付けている分の得があるんですかね」と話していた。感想戦は21時27分に終了した。 138 投了 ( 0:00/00:00:00) まで137手で先手の勝ち