# --- Kifu for Windows (HTTP) V6.53.2 棋譜ファイル --- 対局ID:1743 開始日時:2013/01/18 10:00 終了日時:2013/01/18 11:34 表題:朝日杯将棋オープン戦 棋戦:第6回朝日杯将棋オープン戦本戦 持ち時間:各40分 消費時間:102▲40△39 場所:東京・将棋会館 図:投了 手合割:平手   先手:村山慈明 後手:渡辺明 先手省略名:村山 後手省略名:渡辺明 手数----指手---------消費時間-- *第6回朝日杯将棋オープン戦本戦1回戦の渡辺明竜王−村山慈明六段戦。本局は1月18日10時より、東京・将棋会館「特別対局室」で行われる。持ち時間はチェスクロック使用40分。使い切ったら一手60秒以内の着手となる。 *本局の記録係は杉本和陽三段(21歳、米長邦雄永世棋聖門下)。振り駒は渡辺の振り歩先でと金が3枚。村山の先手となった。 * *(棋譜・コメント入力=烏) * *[棋譜表示の*はコメント付きの指し手。#は局後の感想が追記された指し手。【】内はブログ記事、リンク先] 1 7六歩(77) ( 0:00/00:00:00) *居飛車党本格派にとって、どちらが先手番を得るかは大きなポイント。 2 8四歩(83) ( 0:00/00:00:00) 3 2六歩(27) ( 0:00/00:00:00) *過去の対戦成績は村山の1勝0敗。その将棋は村山先手で角換わり腰掛け銀だった。 4 3二金(41) ( 0:00/00:00:00) *前回の対戦と同じく、本局も角換わりとなりそうだ。 5 7八金(69) ( 0:00/00:00:00) 6 8五歩(84) ( 0:00/00:00:00) 7 7七角(88) ( 0:00/00:00:00) 8 3四歩(33) ( 0:00/00:00:00) 9 8八銀(79) ( 0:00/00:00:00) 10 7七角成(22) ( 0:00/00:00:00) 11 同 銀(88) ( 0:00/00:00:00) 12 4二銀(31) ( 0:00/00:00:00) *◆渡辺 明(わたなべ あきら)竜王◆ *1984年4月23日生まれ、東京都葛飾区出身。所司和晴七段門下。2000年、四段。2005年、九段。棋士番号は235。 *タイトル戦登場は14回。獲得は竜王9期(永世竜王)、王座1期の計10期。棋戦優勝は5回。 13 3八銀(39) ( 0:00/00:00:00) *◆村山 慈明(むらやま やすあき)六段◆ *1984年5月9日生まれ、東京都日野市出身。桜井昇八段門下。2003年、四段。2012年、六段。棋士番号は249。 *2007年、第38期新人王戦で優勝。 14 7二銀(71) ( 0:00/00:00:00) 15 9六歩(97) ( 0:00/00:00:00) *渡辺の通算成績は432勝198敗(0.686) *村山の通算成績は242勝125敗(0.659) 16 9四歩(93) ( 0:00/00:00:00) *渡辺の今年度成績は30勝11敗(0.732) *村山の今年度成績は26勝8敗(0.765) 17 4六歩(47) ( 0:00/00:00:00) 18 6四歩(63) ( 0:00/00:00:00) *渡辺は本戦からの出場。村山は一次予選から出場して、及川拓馬五段、中川大輔八段、森下卓九段に勝って二次予選進出。阿部光瑠四段、高橋道雄九段を破り本戦に駒を進めている。 * *【二次予選 村山慈明六段−阿部光瑠四段戦】 * http://live.shogi.or.jp/asahi/kifu/6/asahi201211190201.html * *【二次予選 高橋道雄九段−村山慈明六段戦】 * http://live.shogi.or.jp/asahi/kifu/6/asahi201211190301.html 19 4七銀(38) ( 0:00/00:00:00) 20 6三銀(72) ( 0:00/00:00:00) 21 1六歩(17) ( 0:00/00:00:00) *ペースが速い。 22 1四歩(13) ( 0:00/00:00:00) 23 6八玉(59) ( 0:00/00:00:00) 24 3三銀(42) ( 0:00/00:00:00) * 25 5八金(49) ( 0:00/00:00:00) 26 4二玉(51) ( 0:00/00:00:00) 27 3六歩(37) ( 0:00/00:00:00) 28 5二金(61) ( 0:00/00:00:00) *両者とも、ちらりちらりと記録係に目をやりながら指している。指し手についてきているか、確認しているのだろう。 29 5六銀(47) ( 0:00/00:00:00) 30 5四銀(63) ( 0:00/00:00:00) *相腰掛け銀となった。 31 7九玉(68) ( 0:00/00:00:00) 32 3一玉(42) ( 0:00/00:00:00) 33 3七桂(29) ( 0:00/00:00:00) 34 4四歩(43) ( 0:00/00:00:00) 35 6六歩(67) ( 0:00/00:00:00) 36 7四歩(73) ( 0:00/00:00:00) 37 4八飛(28) ( 0:00/00:00:00) 38 4二金(52) ( 0:00/00:00:00) 39 8八玉(79) ( 0:00/00:00:00) 40 2二玉(31) ( 0:00/00:00:00) 41 1八香(19) ( 0:00/00:00:00) *このあたりはまだ前例がある形で、渡辺も先手で経験している。ただし▲1八香では▲2五桂△2四銀▲2八角のほうが多い。 42 4三金(42) ( 0:00/00:00:00) 43 2五歩(26) ( 0:00/00:00:00) 44 4二金(43) ( 0:00/00:00:00) *一人千日手といわれる手順。後手番ゆえ千日手は歓迎。したがって、陣形にスキを作らぬよう待つ戦術が有力となる。 45 4五歩(46) ( 0:00/00:00:00) *開戦。代えて▲6七金右のような手は、あとで△5九角のキズが生じやすい。 46 同 歩(44) ( 0:00/00:00:00) *ここで▲同銀には△2六角が部分的な手筋。角の斜めのラインで間接的に飛車を狙うことができる。 47 同 桂(37) ( 0:00/00:00:00) 48 4四銀(33) ( 0:00/00:00:00) *桂先の銀、定跡なり。 49 3七角打 ( 0:00/00:00:00) *やはりこのラインが急所。後手の飛車のコビンを狙いつつ、▲1五歩から攻撃の幅を広げる順を見せている。 50 6二飛(82) ( 0:00/00:00:00) 51 1五歩(16) ( 0:00/00:00:00) *10時13分、消費時間は▲村山7分、△渡辺6分。 52 同 歩(14) ( 0:00/00:00:00) *将棋の基本は同歩同歩の姿勢。瞬間的にだが、駒得になる。 53 同 香(18) ( 0:00/00:00:00) *△同香▲同角は先手の角の位置がよい。後手はしばらく辛抱が必要。 54 1三歩打 ( 0:00/00:00:00) *先手は角を手放しているため忙しい。長期戦になれば後手の持ち角が生きてくる。 55 3五歩(36) ( 0:00/00:00:00) *▲3五歩は珍しい。この手では▲2四歩△同歩▲2五歩と継ぎ歩で攻める順が主流だ。 * *※局後の感想※ *「本譜はまずかったよね。どう指すんだった? △2七角にしようかと思ったんだけど、▲3四歩で指す手がないからやめたんです」(渡辺竜王) *「△1七角から馬を作りに来られるかなと」(村山六段) *「そうか。たしかに本譜よりそっちのほうがいいか」(渡辺竜王) 56 同 歩(34) ( 0:00/00:00:00) *ここも△同歩。渡辺はやってこいの姿勢。 *村山は、すんなりと突き捨てが入ると思っていなかったのだろうか。前傾姿勢で考えこんでいる。 * *※局後の感想※ *「△3五同歩は考えていなかった。もっと事前に考えなきゃいけないよなぁ」(村山六段) *「でもこちらまずいでしょう」(渡辺竜王) 57 3三歩打 ( 0:00/00:00:00) *直接手で。△同桂は▲同桂成△同銀▲3四歩△同銀▲4六桂の筋がある。後手は銀を渡すと▲5一銀の割り打ちが気になるところ。 58 4三金(32) ( 0:00/00:00:00) *ひらりと△4三金左。拠点は作られたが、まだ先手の駒台には歩しかない。 *10時半、消費時間は▲村山19分、△渡辺10分。 59 5五銀(56) ( 0:00/00:00:00) *これは? 数は?  *どうやら強引に銀を入手して▲5一銀を実現させるつもりのようだ。とんでもない強襲があったものだ。 * *※局後の感想※ *「この銀捨てが成立しているのは珍しい」(渡辺竜王) 60 同 銀(54) ( 0:00/00:00:00) *ここでも堂々と。 61 同 角(37) ( 0:00/00:00:00) 62 同 銀(44) ( 0:00/00:00:00) *これで後手の角得。 63 5一銀打 ( 0:00/00:00:00) *角捨ての代償はこの銀打ち。 64 8二飛(62) ( 0:00/00:00:00) 65 4二銀成(51) ( 0:00/00:00:00) 66 同 金(43) ( 0:00/00:00:00) *このあたりは後手も仕方ないところ。駒得をよすがに、しばらく受けに回る。 *パッと目につくのは、▲5三桂成。△同金なら▲3二金と打ち込んで飛車を取ることができそうだ。村山はひとつひとつ変化をつぶすように、時折うなずいている。 *10時37分、消費時間は▲村山24分、△渡辺13分。 * *※局後の感想※ *ここで▲5三桂成は、△4七歩▲4二成桂△3三玉でどうか。後手も上部脱出の楽しみがあり、先手は選びにくいかもしれない。 67 4三歩打 ( 0:00/00:00:00) *まずは歩のジャブ。△同金▲3二金から飛車を取る展開になれば、4五の桂が上部脱出の押さえとして残る。 *対局室に先崎八段。どうやってこうなったのかと、じっと棋譜を眺めている。 *△4三同金▲3二金△1二玉▲5三桂成△3三金(△同金は▲4一飛成で受けなし)が進行の一例。しかしその順は先手が一歩入手したのが大きく、攻めが続きそうだ。 * *※局後の感想※ *「この手が厳しかった。△同金はダメなので、△3三金しかない」(渡辺竜王) 68 3三金(42) ( 0:00/00:00:00) *渡辺の選択は△3三金。これには▲4二歩成とやってみたい。以下△同飛は▲3三桂成から飛車を取ることができる。 *10時45分、消費時間は▲村山28分、△渡辺17分。 69 同 桂成(45) ( 0:00/00:00:00) *単に。▲4二歩成は手抜きで飛車を押さえにいく順が嫌だったのかもしれない。 70 同 玉(22) ( 0:00/00:00:00) 71 4五金打 ( 0:00/00:00:00) *村山は上から押しつぶす順を選んだ。次に▲3四金打△3二玉▲5五金まで進めば磐石。渡辺はこの瞬間に仕事をするしかない。 *パッと目につく△4七歩は、ひらり▲3八飛と寄られてしまう。 *しかし飛車に当てていく手以外は考えにくいところなので、△3六桂▲4七飛△4六歩のような感じになるだろうか。 * *※局後の感想※ *「ぼんやり▲4五金と打たれて、苦しいですね」(渡辺竜王) 72 4七歩打 ( 0:00/00:00:00) *△4七歩。▲3八飛のときに、うまく立ち回る手があるのだろうか。 * *※局後の感想※ *「ここで▲同飛と取ったのがおかしかった。飛車を取らせる変化を選ぶ人はいなかったです。単に▲同金と応じておいて先手十分でした」(村山六段) 73 同 飛(48) ( 0:00/00:00:00) *村山は天井に目をやってから、パチリと△同飛。ここは歩の1枚が大きいという判断。 *自然な手の流れは△4六歩か。▲同金なら△同銀▲同飛△4五歩▲同飛△4四金と厚くすることができる。 *ただし△4六歩の瞬間に▲3四金打を利かす手がある。玉を下段に落としてから▲4六金と払えば、むしろ先手の攻めが厚い格好だ。 *11時、消費時間は▲村山30分、△渡辺30分。 74 3六銀打 ( 0:00/00:00:00) *こう指したら一気に激しくなる。▲3四金打△3二玉▲5五金△4七銀不成までは一本道で進みそうだ。 *次に△5八銀不成と金を取られてもまだ先手玉は安泰。うまく後手玉に迫る手段を発見できるかだが……。 *11時11分、村山が時間を使いきった。渡辺はまだ10分残している。 *※局後の感想※ *ここからは、後手がやれていたようだ。ただ先手は▲3四金打△3二玉▲5五金△4七銀不成の変化を選んだほうがよく、本譜は△2八飛が厳しくはっきりと負けになった。 75 5五金(45) ( 0:00/00:00:00) *▲3四金打を利かさず、単に銀を取った。金は4四に打ったほうがいいと見たのだろう。 76 4七銀(36) ( 0:00/00:00:00) 77 同 金(58) ( 0:00/00:00:00) *まだ押さえの金は打たない。 *先手の金が玉から離れたため、横からの飛車打ちが厳しくなりそうだ。 78 2八飛打 ( 0:00/00:00:00) *次に△2五飛成と歩を取れば勝ち。さすがにそろそろ▲4四金打と押さえるしかない。 79 4四銀打 ( 0:00/00:00:00) *銀だった。なるほど△3四玉には▲3六金の追撃がある。 *玉の逃げ場は3二か2二か。ここは4三の拠点から逃げる2二のほうがよさそうだ。 80 2二玉(33) ( 0:00/00:00:00) *先手玉は△7九角〜△6七桂の筋で相当に危ない。駒を渡すといきなり詰む可能性もある。 81 3三歩打 ( 0:00/00:00:00) *▲3一銀△同玉▲3二金からの詰めろ。 82 4一銀打 ( 0:00/00:00:00) *1回受けて、手を遅らせにいく。どうやら後手の手勝ちがはっきりしてきたか。 83 3二銀打 ( 0:00/00:00:00) *秒に追われて銀を打ち込んだが、これは詰めろになっていない。 *△6九角と詰めろで打たれたときの対応は? 84 3四角打 ( 0:00/00:00:00) *遠く、狭いところから。この手も詰めろだ。 85 5六歩(57) ( 0:00/00:00:00) 86 8六桂打 ( 0:00/00:00:00) *有名な歩頭桂の手筋。△3四角は、先手から▲3四桂と打たれるスペースを消す意味だった。 87 同 歩(87) ( 0:00/00:00:00) 88 同 歩(85) ( 0:00/00:00:00) 89 4八桂打 ( 0:00/00:00:00) *飛車の横利きを止めて△8七歩成からの詰めろを消した。 90 2九飛成(28) ( 0:00/00:00:00) *これも△8七歩成▲同金△8九竜以下の詰めろ。だんだんと受けにくくなってきた。 *▲8六銀△同飛▲8七歩は、△7六飛がまた詰めろになる。 91 8六銀(77) ( 0:00/00:00:00) 92 同 飛(82) ( 0:00/00:00:00) *村山は口をとがらせて自玉をにらんでいる。 93 8七歩打 ( 0:00/00:00:00) 94 7六飛(86) ( 0:00/00:00:00) *渡辺の手は早い。後手玉は飛車を渡してもまだ詰まず、余裕がある。 95 7七金打 ( 0:00/00:00:00) *飛車を渡せるなら、△同飛成でどうやら寄りそうだ。 96 同 飛成(76) ( 0:00/00:00:00) *▲同金は△7九角で詰み。▲同玉は△8九竜で一手一手。▲同桂も△9五歩が詰めろになる。 97 同 桂(89) ( 0:00/00:00:00) 98 6七金打 ( 0:00/00:00:00) *この手も△7八金からの詰めろ。▲同金は△7九角▲7八玉△8九銀▲同玉△9七角成で詰む。 99 8二飛打 ( 0:00/00:00:00) 100 7八金(67) ( 0:00/00:00:00) 101 同 玉(88) ( 0:00/00:00:00) 102 8九角打 ( 0:00/00:00:00) *この手を見て、村山は両膝をそろえて投了を告げた。以下は▲8八玉△7九竜▲9七玉△8八銀▲8六玉△7五金まで。 *終局は11時34分。消費時間は▲村山40分、△渡辺△39分。勝った渡辺は14時から郷田真隆棋王−久保利明九段戦の勝者と戦う。 * *【郷田真隆棋王−久保利明九段戦】 *http://live.shogi.or.jp/asahi/kifu/6/asahi201301180401.html 103 投了 ( 0:00/00:00:00) まで102手で後手の勝ち